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ビジョンが強くても、お金がなければ人は離れていく

 スタートアップの創業者は、ビジョンや戦略がきちんと定まっていれば人はついてくるし、自分の事業がうまくいくと思いこんでいる人が少なくありません。たしかに、それは紛れもない事実でもあります。  しかし、いくら強いビジョン、確かな戦略があっても、お金がなくなれば人はついてこなくなるのが現実です。  多くのスタートアップも資金が枯渇するにつれて、人が離れていきます。会社にお金がないのはわかっていても、給料が未払いなら、社員から「自分が働いた分は払ってください」と言われます。生活があるのですから、当然のことです。  社長なら「儲からなければ給料が得られない」という感覚を当たり前のように持ちますが、社員は必ずしもそうではありません。集まったメンバーは、もちろん会社のビジョンや思想に共感はしてくれているものの、将来的な不安を抱えながら働き続けるほどの覚悟は持っていないのです。  世界一周の旅に向かうチケットは買ってくれていても、本当の意味では、その船に乗ってくれてはいない。そんな感覚に近いのかもしれません。  それにもかかわらず、社長は「創業メンバーなら、自分と同じ感覚を持っているはずだ」と思っている。いや、思いこんでしまうものです。社員が次々と辞めていく事態にまで発展して初めて、自分の甘さを痛感し、そして社長は孤独を味わうのです。

また構造的に考えても、社長と社員の覚悟にズレがあるのは当然のことです。  金融機関がスタートアップに融資する先は、名目上は会社ですが、日本の場合は実質的に社長です。欧米と異なり、日本では借り入れをすると、いまだに社長個人の連帯保証を求められることは少なくありません。「会社がお金を返せなかったら、あなた個人で払ってください。あなた個人が払えなかったら、連帯保証人であるあなたの親なり親戚なり誰かなりが払ってください」ということになります。  つまり、社長は金融機関から融資を受けると、逃げられなくなります。  株式で調達しているケースでも、自分を信じて貴重なお金を投資してもらっている以上、状況は変わりません。自己破産すれば逃げられなくもありませんが、いずれにしても、気軽に会社を投げ出せるような話ではないのです。  そんな重荷を背負っている社長と、「ちょっとおもしろそうだからかかわってみようかな」というメンバーでは、意識が違うのは構造として当然と言えるでしょう。

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