はじめに
アルバイトがまったく採用できない。しかたなく求人広告を出す。しかし、応募の電話なんて鳴りもしない。そんななか、頼みのバイトくんが無断欠勤。何度連絡しても音信不通に。ずっと休まずに店長の自分がシフトを埋めてきたけれど、さすがにもう限界。このままでは、いつか倒れる……。飲食やアパレル、小売りなど、サービス業の現場から届くこうしたSOSは、近年より深刻さを増しています。その原因は採用難。世は、バブル期を超える空前の人手不足です。求人広告を出しても、時給を上げても人が採れない。せっかく採用できてもすぐに辞めてしまう。サービス業にかかわる人であれば、この深刻さが、身に染みて理解できるはずです。本書は、アルバイト(本書では、一般的な「パート・アルバイト」という呼称を「アルバイト」と表記しています)の採用と定着に関する悩みを抱える、現場の店長やエリアマネージャー、人事担当者、そして、お店のオーナー、経営者に向けて、求人に対する応募が劇的に増える方法、いい人材を他店にとられないための面接法、入社した貴重な人材を辞めさせないための育成ノウハウ、この3つのメソッドをお伝えする本です。じつは、このご時世にまったく採用に困っていない職場が少なからず存在します。しかも、それらの職場は、ブランドが確立されている有名チェーンでも、利益度外視で採用広告費をかけたり、時給を上げたりしている店舗でもありません。どこにでもある普通のお店でも、ちょっとした工夫をするだけで、人が集まり、人手不足と決別することができるのです。本書では、1つひとつの項目に、そのような勝ち組の実例を紹介しながらノウハウを解説していきます。なぜ、私がこのようなノウハウや事例を紹介することができるのか。それは、私がこれまで30年の仕事人生のすべてをアルバイト採用関連の仕事に捧げてきたからです。ここで、少し自己紹介させていただきます。私は、1988年にリクルートフロムエー(現・リクルートジョブズ)に入社し、「fromA」「タウンワーク」「とらばーゆ」「ガテン」など、求人媒体の統括編集長や同社の執行役員を務めるなど、入社以来ずっと、アルバイト採用に関する仕事をしてきました。そして現在は、日本で唯一のアルバイト労働市場に特化した調査研究機関である、ツナグ働き方研究所の所長を務めながら、アルバイトの採用から定着に至るプロセス、あるいは職場マネジメントに関する調査研究を数多く実施しています。また、さまざまな企業の人事担当者、店舗で採用を担う店長、個人店を経営するオーナー、そしてそこで働くアルバイトに至るまで、2000人以上に取材を行い、それによって得られた知見や示唆を、世の中に発信しています。求人広告、現場の店長などへの取材、企業の人事担当者や店長へのコンサルティング……、私はこれまで、アルバイト採用の川上から川下まで、さまざまな成功事例、失敗事例をこの目で見てきました。そんな私が、今最も注力しているのが、この採用難の時代において人材確保にまったく困っていない企業や店舗のノウハウを蓄積することです。たとえば、求人広告にいっさい頼ることなく、自前で人材を調達し続けている職場があります。お客様から「ウチの子を働かせてほしい」と懇願されるお店もあります。採用してもすぐ辞めると嘆く声が多いなか、戦力となって店舗売上に貢献する大学生スタッフもいます。その彼が大学を卒業してアルバイトを辞める日、70人を超える常連が駆けつけたそうです。いったいどのような「手」を使えば、そんなことが実現できるのでしょうか。バブル期を超える史上空前の人手不足時代、そのメソッドは「神ワザ」といっても過言ではありません。こうした「神ワザ」を紹介しようというのが本書です。とはいえ、その「神ワザ」が、「再現性が低く小難しい」「効果はあるがお金がかかる」「大手企業や特定の業種にしか使えない」といったものでは意味がありません。人手不足に悩む採用現場にとって、誰でも簡単にマネできるメソッドであることが重要です。また、チェーン店に勤める店長にとっては、本部の決裁なしで、現場判断で行えることも大切です。ですから、本書に収録した神採用メソッドは、「余計なお金を使わずに」「ちょっとした工夫やアイデアによって」「もしくは、応募者対応にほんのひと手間をかけるだけで」、誰もが人材採用と定着を成功に導くことのできる簡単なノウハウばかり。アルバイトの採用現場で、すぐにご活用いただけるはずです。たとえば「他店のイケてる求人ポスターをマネしたら応募が来た」「お店のトイレにひと工夫したら応募が増えた」「求人広告に載せる写真を替えたら即電話が鳴った」「面接の日、駅まで迎えにいくことにしただけで内定辞退がなくなった」など……。いかがでしょう。ちょっとできそうな気がしませんか?AIやITを駆使した最新の採用ノウハウなどではなく、むしろ気が抜けるくらいのアイデアやほんのひと手間が、本書における「神採用」の定義なのです。また、本書のゴールは採用の成功ではなく、採った人材が定着することです。採用できても、すぐに辞めてしまっては意味がありません。ですから、新人が職場に慣れ、モチベーションを保ちながら戦力になるまでのメソッドを紹介しています。
さらに、特別付録を2つ収録しました。1つは、とっつきにくい「HRテック(ITを活用した採用支援サービス)」についてのカンタン講座。あのグーグルまでが求人サービスを開始するほどホットな分野ですが、小難しくてとっつきにくいのも事実。本書ではテレビCMで話題の「indeed」をはじめ、今旬の4つのサービスについてわかりやすく解説します。2つめは、「採用お助けツール」集。面接時の応募受付表や電話対応マニュアルなど、あると便利な採用ツールを掲載しています。ダウンロードしてそのまま使えるようにしてありますので、ぜひご活用ください。ツナグ働き方研究所での活動をはじめてはや4年。私のこれまでの経験や蓄積した知識を総動員し、できるだけシンプルに、30個の「神ワザ」として詰め込みました。とことん現場が使いやすい1冊にまとめたつもりです。ぜひ、日々のお仕事に役立てていただければと思います。2019年1月ツナグ働き方研究所所長平賀充記
パート・アルバイトの応募が殺到!神採用メソッド
もくじ
はじめに
第1章求人誌に広告を出さなくても応募は来る!採用費ゼロを実現する驚きの手法
「どうせ応募は来ないよな」的あきらめ感で店頭に貼り紙出していませんか? 店頭の貼り紙だって反響出ますから!
新聞の購読数が減ったといわれる昨今ですが…… 各家庭のポストに直接届ける作戦はアリ!
面接で「いいな」と思ったのに内定辞退……。でもあきらめない! 後日、サラリと電話すると、意外と採用できるんです!
来店客は、当然ながらファンであることが多い 「いいな」と思ったお客様を思いきってスカウトする!
卒業時に、自動的に後釜を連れてきてもらう! 先輩がバトンを渡す学生ルート採用を確立せよ
今や応募者の50%が面接前に職場を下見する時代 店舗をキレイにするだけで、間違いなく採用力アップ!
接客力がハンパない!雰囲気が家族的でいい! 「職場力」が高いお店は、親からオファーが来ることも
職場のページをつくって、「♯アルバイト募集」とハッシュタグをつけるだけ ツイッターを採用に利用しない手はありません!
SNS映えする写真は、採用にも効果あり! インスタグラム活用のススメ
スタッフの離職にビクビクしなくなる! 退職者がカムバックする「アルムナイ制度」とは?
コラム 地方での募集なら地元生活情報誌!ご当地ラジオや農協の有線放送も!
第2章求人広告にひと手間かければ、時給を上げなくても採用できる!
今どきの応募者にとって履歴書は面倒くさい! 思いきって履歴書不要のススメ
バカにできない採用の切り札! 「まかない」推しの求人広告で職場アピール
「誰でもいい」では誰も来ない 対象を絞ったほうが応募は増えるという真実!
求人広告の神は細部に宿る! ちょっとした表現の工夫で効果が変わる
職場写真は、キレイすぎても嘘っぽい 求人広告の写真はリアルなほど伝わる!
コラム これで激変!求人広告のビフォー・アフター
第3章ドタキャンがなくなる!採用につながる!面接時に役立つ魔法のテクニック
スタッフ全員を面接予約受付態勢に とにかく即レス!即アポ!
電話対応のコツをまとめよう! 応募者対応マニュアルがあればスタッフも安心
じつは、面接会場にたどり着けない人多発!? 場所をしっかり伝えるだけでも面接率は上がる!
応募者の「ここで働きたい!」という気持ちを高めるために 忙しくても面接には1時間かけるべし!
応募者がさらにグッとくる秘訣 お給料以外の魅力をアピールできれば勝ち!
「面接で聞いていた話と違います……」が、すぐ辞める元凶! 募集条件は、きちんと確認すべし
どのくらい働けるのか?どのくらい稼げるのか? 勤務時間と収入について握っておけば、もめません!
コラム 不採用時の対応には細心の注意が必要
第4章定着してこそ「神採用」のゴール!アルバイトが辞めなくなるちょっとしたコツ
「明日も来よう!」と思ってもらうために とにかく初日のウェルカムが肝心です!
新人の居場所をつくるには…… 職場全員の顔と名前の一致がカギ!
定期的なコミュニケーションは超重要 流行りの1対1面談「1on1」を実践すべし
「ぶっつけ本番」と「ほったらかし」は厳禁! OJTの本当の意味を知ろう
教育の虎の巻をちゃんと整備しておく! 頼りになるマニュアル&チェックシートを活用
何げないことも「褒めポイント」になる! 褒めるコツはとにかく量。小さなことでも「いいね!」が大事
怒ってもいいけど、怒り方が問題! 「叱ってもらえた!」と思わせるコツ
「頼りになる右腕」と「やっかいなベテラン」との境界線を把握せよ ベテランの居場所づくりが新人を救う!
コラム いよいよ本格化する外国人雇用!その成功のカギとは?
特別付録1誰でもわかる「HRテック」講座
誰でもわかるHRテック1とにかくCMで話題!でも、どんなモノなのかよくわからない「indeed」
誰でもわかるHRテック2アナログな縁故採用のデジタル進化形リファラル採用を支援する「Refcome」
誰でもわかるHRテック3手間のかかる応募者との面接設定をスピーディに!面接日程調整システム「オートークビズ」
誰でもわかるHRテック4ユーチューブ世代は、こっちのほうが素を出せる!?動画面接プラットフォーム「HARUTAKA」
特別付録2ダウンロードして使える!「採用お助けツール」集面接予約受付シート
応募者電話対応マニュアル
応募受付FAQ(問合せ対応集)
理想的な1時間面接シナリオシート
面接採点表
アルバイトの応募受付・面接・出勤初日完全チェックシート
おわりに
装幀・本文デザイン小口翔平+岩永香穂+保延みなみ(tobufune)カバーイラスト高旗将雄図版荒井雅美(トモエキコウ)
働きたい人1人あたりに、仕事がいくつあるのかを示す有効求人倍率……。採用の難易度を示すこの数値は、今や1・6倍を突破。バブル期を超える空前の人手不足時代が到来しています。とはいえ、意外なことに、このような完全な売り手市場においても、お金をかけずにアルバイト採用を成功させている職場はけっこう存在します。本章では、当たり前すぎて力を入れていなかった〝灯台下暗し〟的な方法から、「え?そんな方法で採用できるんだ!」という変化球的なノウハウまで、採用の勝ち組が実践している手法を紹介していきましょう。必要なのは、お金ではなくアイデアでした。
第1章求人誌に広告を出さなくても応募は来る!採用費ゼロを実現する驚きの手法
「どうせ応募は来ないよな」的あきらめ感で店頭に貼り紙出していませんか?店頭の貼り紙だって反響出ますから!
アルバイトがまったく採用できない。ずっと休まずに自分がシフトを埋めてきたけれど、さすがにもう限界。仕方ないから求人広告を出してみるか。でも掲載料高いんだよなぁ……。採用支援の仕事をしていると、こんな状況に追い込まれている店長やマネージャーの悲鳴と嘆きの声が聞こえてきます。そんな現場の店長さんたちに、まず聞いてみたいのが「店頭に募集の貼り紙を出していますか?」ということです。貼り紙の力を侮ってはいけません。我々、ツナグ働き方研究所の調査では、2人に1人が応募する前に職場を下見しているというデータがあります。ここ数年のブラックバイト報道の影響もあって、最近の応募者は自分が働くかもしれない職場の環境について、非常に神経質になっています。だから、求人サイトや求人誌で候補を見つけたとしても、その情報だけで応募するのは不安で、実際にその店舗を訪れ、細かく偵察しているのです。いってみれば、店頭こそが最大の求人メディア。結局、店舗を訪れ応募するかどうかを決めるのだから、そこに募集の貼り紙があり、安心できる職場環境だと確認できれば、応募につながる可能性は高まります。現に、ある大手コンビニチェーンでは、店頭貼り紙を重要な求人媒体として位置づけ、本部主導で各店舗に配付しています。ここまで読んで、「いやいや、当然貼り紙は出してるよ。でも、それを見て働きたいといってくる子なんてほとんどいないよ」という人も多いのではないでしょうか。もし店頭貼り紙からの応募がないとしたら……、原因は2つ考えられます。1つは、そもそも時給などの募集条件が近隣の店舗より劣っているから。これを確認するのは簡単。求人サイトなり求人誌なり、世に出まわっている求人媒体で、近隣の募集広告をチェックしてみてください。給与の相場や勤務時間帯を簡単に調べることができます。そして、もう1つが、貼り紙の表現がイケてないという問題。実際、店頭の募集貼り紙のほとんどは、無味乾燥な条件の羅列。店長さんが何も考えずにサクッとつくったであろう雑な貼り紙では、興味を持ってもらうのは難しいでしょう。そんなときに頼りになるのが、「ぽけじょぶ」という求人サイト。なんと、さまざまな店頭貼り紙の写真そのものが掲載されているのです。そのなかから「これだ!」と思った表現を、そのまま参考にすればいいのです。たとえば、都内に十数店舗を展開する居酒屋チェーンの店長Gさん。彼のお店では、募集条件を羅列しただけの貼り紙をトイレに貼るのが常態化していました。ところが、ある日「ぽけじょぶ」の存在を知り、検索してみてビックリ。個性的な貼り紙がいろいろ出ていたのです。なかでも目を引いたのが「店長の〇〇です。忙しすぎて寝てません。助けてください!」という赤裸々なコピー。「こういうのもアリかも」と、マネしてみたところ、3名の大学生が応募してきました。採用した学生に聞くと「店長の正直な人柄を感じたから」とのこと。「貼り紙をバカにしない」「情報を得て参考にする」「条件だけでなく熱を持って伝える」。これだけで「貼り紙」は立派な求人メディアとして蘇ります。
神事例1スタッフTシャツも募集媒体に!胸には時給1000円の文字店内に募集の貼り紙を出す際、どこに掲出するのかは大きなポイントです。目立つ場所に貼らないと意味がありません。王道は店頭。入店していない人にもアピールできます。次に多いのがトイレではないでしょうか。用を足している間のふとした瞬間、しかも閉ざされた空間は、情報を届けるのに適した場所といえるかもしれません。そんななか、なんとスタッフのユニフォームTシャツを利用している居酒屋さんを発見。写真をご覧ください。なるほど、これは否が応でも目立ちます。会話が弾み、応募につながるきっかけにもなりそうです。
新聞の購読数が減ったといわれる昨今ですが……各家庭のポストに直接届ける作戦はアリ!
無味乾燥な条件羅列型の貼り紙をバージョンアップさせることに成功したとしましょう。その貼り紙は、求職者のハートに届く出来栄えに達しているはずです。だとしたら、店頭に貼っておくだけではもったいないですよね。貼り紙をそのまま再活用する手段として、パッと思いつくものの1つが、新聞の折り込みチラシ広告です。スーパーの特売広告だったり、ご近所のカーディーラーの広告だったり、週末の新聞にバサッと入っているアレです。求人専門の折り込み媒体も存在します。「アイデム」や「ユメックス」といったブランドが有名ですが、日本各地にはご当地に根差した新聞折り込み媒体がたくさん存在していて、その数はなんと200を超えます。一方で昨今は新聞購読数が減少しているという事実もあります。日本における新聞の発行部数は1997年の5377万部をピークに減少に転じ、2017年では約4213万部。この20年で1000万部以上も減っています。たしかに、都市部では新聞をとらない世帯が増えていたり、若年層がネットニュースに移行したりと、折り込み配布装置としての新聞の影響力は、相対的に低下しているといって間違いないでしょう。だからといってあきらめる必要はありません。新聞購読数は減っても、各家庭のポストの数が減ったわけではありません。新聞の力を借りて届けるのではなく、自分たちの手で直接届ければいいのです。首都圏郊外の、あるファミレス店では、アルバイトの応募者数を増やすために、求人広告チラシを直接各家庭のポストに配布する作戦に出ました。店舗周辺のエリアを分割し、今いるスタッフに割り当てて、ポストに届けようというキャンペーンを店長の発案で仕掛けたのです。もちろん時給を払い、しかもたくさん配布したスタッフには、インセンティブも支給しました。時給を払うとはいえ、そんなことに協力してもらえるのかと、最初は半信半疑だった店長ですが、これが意外と盛り上がったのです。人手不足の悩みに直面していたのは、店長だけではなく、ほかでもない店舗スタッフの面々だったからです。休みたくてもシフトに入らざるを得ない状況の彼らとしては、このチャンスに採用ができれば、自分自身をラクにできるという思いもあります。また、店舗全体のイベント的な仕掛けにしたことも功を奏しました。結果として、近隣に住む人たちからの応募が集まり採用に成功したのです。時給やインセンティブ、イベント的に盛り上げるための飾りつけの費用など、多少のコストはかかったものの、新聞に折り込みチラシを入れるコストを考えればお釣りがくる額です。また、何より店舗全体の一体感が生まれたことを、店長は喜んでいました。このように、近隣の各家庭に直接ポスティングする方法は、意外な効果を発揮します。情報がきちんと届けば、それなりに応募は集まるのです。「募集している」という情報を、求職者に「きちんと届ける」ことに、ぜひ注力してみてください。
神事例2販促チラシに求人チラシを足してみた!東京都世田谷区にある宅配すしのフランチャイズ店。宅配サービス業界では、メニューチラシを近隣家庭にポスティングするのは常識です。あるとき、スタッフの1人が「メニューのチラシを配るのなら、求人チラシも一緒に配ればいいのに……」と、ポロリと発言。「たしかに!」そのひと言にビビッときた店長は、「販促+求人」のダブルポスティングを実行。学生ばかりの応募だったのが、主婦からの応募が倍になりました。目からウロコのエピソードです。
面接で「いいな」と思ったのに内定辞退……。でもあきらめない!後日、サラリと電話すると、意外と採用できるんです!
このご時世、募集を出しても出しても、応募はなかなか集まりません。そのうえ、せっかく応募があっても面接のドタキャンが多発。面接までたどり着く応募者は希少です。そんな状況で、やっと会えた応募者が、礼儀正しくて会話もハキハキとして好印象だったら……。即採用!ですよね。ここまでの苦労がやっと報われた気持ちになることでしょう。ところが、これで一件落着とはいかないのが今の採用環境。やっと決まってホッとひと息ついたのも束の間、内定を辞退されることも当然あるわけです。内定を出してから勤務開始まで間が空いてしまったり、面接で応募者のハートをしっかりつかみきれていなかったり……。いくつかの要因によって、内定者の〝ここで働きたい〟という熱は簡単に冷めていきます。面接の際に役立つ神ワザは、後述させていただきますが、いずれにしてもやっとめぐりあった期待の新人(候補)が、職場にやってこないというのはショックな事態でしょう。しかし、ここからが神採用のポイント。ひと言でいえば、採用する側があきらめなければいいのです。そもそも〝ここで働きたい〟という熱が簡単に冷めてしまうのはなぜか。アルバイトを探している求職者の仕事や職場への意識は、「ここがいい!」ではなく、「ここでもいいかな……」というのが実態だからです。我々、ツナグ働き方研究所の調査によると、面接をキャンセルした理由として圧倒的に多いのが「より興味がある他社で採用が決まったから」「その企業・店舗に興味がなくなったから」です。面接のドタキャンが後を絶たないのは、アルバイト求職者のもともとの動機の弱さがベースにあるのです。また、入社後の離職率は、半年以内で50%を超えるという調査データがあります。よく新卒社員が3年で3割も辞めてしまうという報道を耳にしますが、アルバイトの離職率はその比ではありません。この離職傾向も、彼らの「ここがいい!」ではなく「ここでもいいかな……」という意識と大きく関係しているわけです。こう聞いて、肩を落とす必要はありません。逆にいえば、あなたのお店の採用を辞退して、ほかにいってしまった内定者が、その職場で充実した日々を送っているとはかぎらないとも考えられるわけです。まわりくどくなってしまいましたが〝あきらめなければいい〟というのは、※内定を辞退した人に対して、一定期間が経ったあとに再アプローチをしてみましょう、という提案なのです。入社したものの、その職場で悶々としている場合には、こちらからのアプローチが「救いの声」に聞こえる可能性が十分にあるわけです。ここで留意すべきポイントが2つあります。1つめはアプローチのタイミング。あまりに期間が短いのも考えもの。1カ月経ったあたりが狙い目です。もう1つは、アプローチする際の言い方です。あからさまにスカウトするのではなく、あくまでもさりげなく「どう、頑張ってる?」くらいの会話からはじめることをおすすめします。※個人情報保護の観点から、面接時に事後連絡の可否を確認しておきましょう。
神事例3めげずに辞退者に電話をかけた、イタリア料理店のハッピーエンドじつは、この神ワザは、ある採用コンサルタントの講演で聞いたものです。その際、「もはや採用も恋愛と同じような域に達しているなぁ」と思いながらメモをとっていたのを記憶しています。その講演から間もなく、「これは使えるかも!」という状況に直面しました。私がよく利用させてもらうカジュアルなイタリアンレストランで、オーナーシェフが残念そうに、接客スタッフとして内定を出したフリーターに逃げられたという話をしていたのです。私はさっそく、この神ワザの話をしてみました。最初は「今さら連絡するのってどうかな」と腰が引け気味だったオーナーでしたが、前述した求職者意識を説明していくうちに、その気になったようでした。後日訪れた際、結果を確認すると、なんと翌週からそのフリーターが勤務する予定とのこと。条件のいいほかのビストロで働きはじめたものの、頑固なシェフと気が合わずに悩んでいたようなのです。まさに教科書どおりのエピソードで、すごく記憶に残っています。
来店客は、当然ながらファンであることが多い「いいな」と思ったお客様を思いきってスカウトする!
お店で接客をしているとき、お客様を見て、「こんな子がウチで働いてくれればなぁ……」と思った経験を持つ店長さんは少なくないはず。とくに、比較的接客時間の長いアパレル店や居酒屋などは、接客中にお客様のキャラクターがうっすらとわかってきます。お客様側なのにもかかわらず、スタッフに対して謙虚な姿勢で接してくれたり、オーダー時のコミュニケーションがテキパキしていたりすると、冒頭のような思いが脳裏をよぎるわけです。そんなときは、思いきってスカウトしてみましょう。いきなりお店のスタッフから「ウチで働きませんか?」といわれたら、お客様はビックリするはずです。しかし、路上での怪しげなスカウトとはわけが違います。現に、某大手ハンバーガーチェーンは、来店客をアルバイトとしてスカウトする試みを実施しています。まず、店員が候補となりそうなお客様に声をかけて会話し、脈がありそうな場合は、レジで商品を渡す際に「お仕事紹介パンフレット」を渡しているのです。また、裏に時給などが書かれた「募集カード」をトレイに置くというようなケースもあるとのこと。当初は店舗単位で行われていたようですが、スカウトによる募集活動に着目した本部が、全店舗統一の正式な採用活動と位置づけ、戦略的にサポートをはじめました。店長だけでなく、アルバイトスタッフが声がけするケースもあるようで、4月など新生活がスタートする節目の時期には、とくに有効な募集手段になっているとのこと。スカウトにおけるいちばんのポイントは、「一緒に働きたいと思えるかどうか?」という点に尽きます。そういった意味で、スカウトが機能しやすいのがアパレル店です。アパレル業界は、働く人のファッションセンスが重視されます。また、そのブランドと、働く人との相性も重要な決め手になります。店頭で「この子、ウチのブランドの服が似合いそう!こんな子がウチの服を着て店頭に立ってくれたらなぁ……」と感じさせるようなお客様は、かなりの数いるのではないでしょうか。そもそも、お店に買い物に来ているということは、そのお客様自身がお店のファンである可能性が高いわけです。そう考えると、オファーを受けてくれる可能性は、けっして低くないのではないでしょうか。実際に、スカウトからアパレル店に入社したKさんのエピソードを紹介しましょう。Kさんは、休日にフラっと立ち寄ったアパレル店で、店長からスカウトされました。じつはKさんには、高校卒業後大好きだったアパレルブランドに応募したが、最終面接で落ちてしまい、とりあえずOLになったという経緯がありました。彼女にしてみればビッグチャンス。Kさんいわく、「そのブランドが大好きだったし、もともと憧れの職業だったし、声をかけてもらえることなんてこの先ないと思い、会社の上司に気持ちを伝え1カ月後に退職しました」とのこと。なんと彼女は、仕事を辞めてまでスカウトに応じたのです。実際にこういうことがあるのです。チャレンジしても損はありませんよね。
神事例4往復6時間かけてアウトレット店のバイトに通う女子大生アパレル業界におけるスカウトの神ワザはほかにもあります。親子で御殿場のアウトレットモールに買い物にいった女子大生Rさんは、某ファッションブランドのお店のレジで、店長から、あるカードを手渡されました。そのカードは上図のようなスカウト専用の名刺。このカードの存在自体が、このブランドがスカウトという手法を戦略的に活用していることを物語っています。Rさんは現在、授業に支障のない範囲で、御殿場まで往復6時間かけて通っています。スカウトは距離のハンデさえ乗り越える力を持っているのです。
卒業時に、自動的に後釜を連れてきてもらう!先輩がバトンを渡す学生ルート採用を確立せよ
私が住んでいるエリアには複数の大学キャンパスがあるため、近隣の店舗では大学生のアルバイトが数多く働いています。私は仕事柄、アルバイトスタッフに、学生かフリーターかを聞く習性が身についてしまっているのですが、商店街にあるいきつけの居酒屋では、N大学の陸上部員が、駅前の中華料理店では、S大学のテニスサークル部員がアルバイトをしています。私は彼らと話をするうち1つの共通点に気がつきました。それは、彼ら全員が部活やサークルの先輩の卒業時に紹介されて、そのお店でアルバイトをはじめていたことです。大学生アルバイトが卒業するときに〝自動的に後釜を連れてきてくれる〟というのは、理想的な採用手法ですよね。このルートで採用することができれば、大学がなくならないかぎり、採用コストがゼロですみます。しかも、バトンを渡す後輩を先輩自身が選ぶので、外れ人材をつかまされるリスクが低くなります。思い起こせば、私自身もそうでした。私は大学時代を京都で過ごしたのですが、よく先輩からアルバイトを紹介されていました。しかも半強制的な感じで……。京都という街は大学の数が多いうえ、山に囲まれた閉鎖的な地形であることも手伝い、当時はアルバイトの調達を身内で完結できてしまうエリアでした。私が今住んでいるエリアにしても、京都にしても、大学キャンパスが集積しているという点で共通しています。こういった条件が整っていることが、大学生アルバイトのルート採用につながりやすいのはいうまでもありません。とはいえ、それ以外のエリアのお店もあきらめる必要はありません。近隣に大学キャンパスがあるロケーションでなくても、歴代、一子相伝の大学生バイトルートが確立されている職場はいたるところに存在します。立地ではなく、学生が後輩を紹介したくなる気持ちこそが重要なのです。そのエッセンスをすくいとることができれば、夢の大学生ルート採用が実現できるのです。では、そのエッセンスとは何か。それは、大学生が働きやすい、あるいは働きたくなる職場環境づくりに尽きます。大学生が働きやすい職場環境づくりで最も重要なのが「シフトの柔軟性」です。授業や部活の合間を縫ってシフトに入る大学生にとって、時間の柔軟性は必須でしょう。そのためにも、できるだけ多くの学生を確保しておくことをおすすめします。当たり前ですが、頭数が多いほどシフトに穴があかないからです。また、学生同士が、シフトを埋め合うことを推奨する空気感をつくってあげることも効果的でしょう。そして、意外と効き目があるのが「まかないの充実」です。これは、飲食店にしかできませんが、お金に余裕がなく食べ盛りの世代にとって、「まかない」はアルバイトをするうえでけっこう重要な要素。まかないについては、後ほど詳述しますが、某どんぶりチェーンでは、750円の豪華天丼を200円で食べることができますし、某餃子チェーンでは、4時間以上のシフトに入ると、好きなメニューを無料で食べられるルールがあります。これは、体育会系の学生などを確保するのに、うってつけの制度といえます。
事例5ある焼鳥店が毎年行う、大学生の「芋づる採用」ある焼鳥店の店長は、この大学生ルートを「芋づる採用」と呼んで積極的に活用しています。このお店は、20席くらいの、いわゆる〝小箱〟といわれる規模です。店長にスタッフの構成を聞いたところ、厨房を含め社員が2人。レギュラーで入っているフリーターが2人。この4人が中核メンバーとして、お店の運営を担っているそうです。しかし実際の店舗オペレーションの主役は大学生アルバイト。15名ほどの大学生がいて、彼らがシフトを組んで働いているとのことでした。店長は、「大学生のバイトくんたちが卒業するときに、必ず後輩を連れてきてくれるんです。彼らとは、マメに飲みに連れていったりして仲良くしています。関係性がないとさすがに紹介してもらえないでしょ。紹介したいなって思う環境をつくるのに必死です(笑)」と、話してくれました。苦心はしていますが、おかげでここ数年アルバイト募集の求人広告を出したことがないとのこと。このお店は、東京の都心にあるのですが、近くに大学があるわけではありません。店長の思惑と努力が、「芋づる採用」を完成させたのです。
今や応募者の50%が面接前に職場を下見する時代店舗をキレイにするだけで、間違いなく採用力アップ!
ブラックバイトに関連するニュースが、たびたびメディアで取り上げられるようになったこともあり、求職者はアルバイト選びをより慎重に行うようになってきています。そんななか、求職者の多くは、求人情報や会社のホームページに書いてある「表向きの情報」だけでなく、悪い情報がないかも含めて、客観的で率直な事実を知りたいと思っています。前述した「2人に1人が応募前に職場を下見している」というデータからもわかるとおり、求職者の多くは、アルバイト選びの際に口コミ情報などを収集するだけに留まらず、自分の目で職場の〝リアル〟を確認しているのです。繰り返しになりますが、今や「職場こそが最大の求人メディア」なのです。では、求職者は職場を下見する際、何をチェックしているのでしょうか。もちろん、仕事内容や忙しさなどさまざまな点をチェックしているのですが、多くの求職者が最も気にするのが、一緒に働くことになる「人」についてです。なかでも、最も影響力を持つ店長に関しては容赦ないチェックの目が向けられています。以前、ある求職者にインタビューしたときも、店長が「高圧的で怖そうじゃないか」「チャラチャラしていないか」「責任者なのにイヤイヤ働いていたり、やる気が見られない人ではないか」「客に見られていないところで、乱暴な言葉を使っていないか」などなど……、非常に細かく観察していると教えてくれました。店長や現場責任者は、求職者から「常に見られている」という意識を持ち、いつ、誰が下見に来ても「働いてみたい」と思われる魅力的な職場づくりを目指していく必要があります。とはいえ、こういった本質的な職場改善には時間がかかります。それに取り組むことはとても大切ですが、まずは即効性の高い改善からはじめるのも手です。いちばん手っ取り早いのが、職場の見た目に関する改善です。職場磨きの第一歩は、文字どおり店舗をキレイにすることからはじまります。たとえば、飲食店の場合、テーブルやイスなどのクリンリネスはもちろん、お客様が帰ったあとの〝下げ〟の状況なども気になるポイント。ランチタイムの忙しさを物語るかのように、食べ終わった食器が店内のいたるところに放置されている光景を目にすることがありますが、アレはいただけません。また、確実にチェックされているのがトイレです。自分の働くお店のトイレが汚いのって、生理的にイヤですよね。逆に、おしぼりやブレスケアなどが置いてあったりすると、その気遣いにグッとくるわけです。そういった意味でも、トイレはお店のキャラが出やすい空間です。衛生状態を保つのは当然として、そこからプラスアルファの工夫は、求職者に確実に届いています。ぜひ、トイレ磨きを頑張ってください。
神事例6トイレで、暖簾分けした後輩の店を紹介しまくる居酒屋の人情に惚れる私の地元にある人気の居酒屋のエピソードです。このお店は個人経営なのですが、スタッフが続々と暖簾分けで独立していきます。なぜ、常連でもない私にそんなことがわかるのか?答えはお店のトイレにあります。トイレの壁一面に、自分が鍛えた後輩たちが出したお店の情報がずらりと並んでいるのです。たとえば、「スタッフのあっくんが独立!肉バルをOPEN!F駅から徒歩5分。うちの名物〝ジャンボ唐揚げ〟も洋風にアレンジして登場!」といった内容。トイレは、販促告知の場として使われることがあります。店主の知り合いのお店の名刺が置かれていることもよくありますよね。しかし、弟子のお店をここまで全力で紹介している店は稀です。「弟子が辞めた」と嘆くのではなく、彼らの独立を応援してあげたいという、大将の情の深さにジーンときます。ジーンとくるのは私だけではないようで、「ここで修業させてほしい」という声が絶えないとのこと。「名は体を表す」、「トイレは店を表す」です。
接客力がハンパない!雰囲気が家族的でいい!「職場力」が高いお店は、親からオファーが来ることも
「職場は下見されている。だから職場磨きが重要」とお伝えしましたが、職場をチェックしているのは、アルバイトを探している本人だけではありません。なんと高校生や大学生の子どもを持つ親が、「我が子のバイト先という観点でチェックしている」というケースも多々あるようです。就活に親が口を出す時代だといわれる昨今ですが、バイト先にも親が口を出す時代なのですね。一時期過熱したブラックバイト報道は、働いている本人だけでなく、その保護者にもショックを与えました。試験期間中にシフトの配慮がなされず、学業に差し支える長時間労働を強いられたケースはもちろん、ひどいものになると賃金未払い、罰金請求、パワハラ、セクハラまで……。世間を知らない学生につけこみ、劣悪な働かせ方をする職場の実態が続々と明るみに出ました。「ウチの子は大丈夫なのか?」と心配になるのも当然です。以前、取材で出会ったCさんは、「ひとり息子が塾講師のアルバイトに没頭したせいで留年してしまった」と、苦い経験を告白してくれました。塾の講師は、勤務時間以外に授業の準備をしなくてはならず、講義を持つと休めないなど、ブラック要素の強いバイトと指摘されることもしばしば。Cさんは、「最初は塾講師を頑張っているのね、と好意的に受け取っていましたが、自宅でサービス残業をして大学の勉学が疎かになっていたんでしょうね。結局留年しちゃって。私が状況を知っていれば止められたんですけど……」と悔しがっていました。やや過保護な感じもしますが、子どものバイト先をチェックする親御さんは少なくありません。一方で、「アルバイトで社会経験を積ませたい」という親御さんもいます。ゆとり教育の反作用もあるのでしょうか、我が子を鍛えたいという欲求が強まっているのかもしれません。たしかにアルバイトは「働くことの楽しさ・やりがい」や「お金を稼ぐことの大変さ」といった就業観を学ぶいい機会です。また、「なんでこんなことで怒られなくてはならないのだろう」と感じる理不尽な体験も、人生修行としていい経験になるでしょう。新宿一帯にお店を持つある居酒屋チェーンでは、お客様からの「ウチの息子をこの店で働かせてほしい」という申し出が絶えません。実際にお店にいってみましたが、スタッフ全員が礼儀に厳しくて、きびきびとした接客が気持ちのいいお店でした。店長に話を聞いたところ、「親御さんの紹介は多いですね。もちろん採用するかどうかは面接して決めますが、おかげで採用にお金をかけたことはありません」と、胸を張って答えてくれました。この居酒屋チェーンは、採用のために接客サービスを磨いたわけではありません。しかし、きちんとしたスタッフ教育と家族感のある職場づくりが、親世代の琴線に触れたことで、結果として働き手が集まってくるという図式を確立しています。一朝一夕にできる神ワザではありませんが、本業を頑張ることが採用にもつながるという教訓として、どうしても紹介しておきたい事例でした。
神事例7接客日本一店長の店には、「ウチの息子を働かせてほしい」が殺到お客様から「ウチの子を働かせてほしい」と頼まれるお店は、ほかにもあります。今や、日本を代表する飲食店接客コンテストとなった「S1サーバーグランプリ」で、約700名のサーバーのなかから見事グランプリに輝いた店長のFさんに取材させていただいたときのこと。「おかげさまで、アルバイトは全部で11人いて、人手が足りないということはないですね。学生が主なので、先日も就職が決まると同時にバイトリーダー的なポジションのスタッフが2名辞めていきましたが、その分、また紹介で入ってきてくれたり、お客様が『ウチの息子を働かせてほしい』といってくださったり」と、F店長はやや照れながらも誇らしげに語ってくれました。卓越した接客力に触れることで、この職場が子どもの修業の場として最適だと思う世の父親は、けっこう多いようです。実際、敬語を含めた正しい日本語の使い方や、さまざまな年齢の人々とのコミュニケーションのとり方など、接客から社会人基礎力を学ぶことは多いですから。
職場のページをつくって、「♯アルバイト募集」とハッシュタグをつけるだけツイッターを採用に利用しない手はありません!
私たちの生活にとってSNSは、もはやなくてはならないメディアです。そこまでの影響力を獲得しているメディアを、採用に利用しない手はありませんよね。今、日本でよく利用されている代表的なSNSといえば「フェイスブック」「ツイッター」「LINE」「インスタグラム」が四天王でしょう。そのなかでもアルバイト採用に効力を発揮するのが「ツイッター」。国内の月間アクティブユーザー数は4500万人。若年層をターゲットにしたプロモーション施策にはぜひ活用していきたいSNSだといわれています。ツイッターのいちばんの特長は発信力の強さ。さまざまなトピックスやニュースがリアルタイムに流れてくるニュースメディアにも近い存在です。だからこそ求人募集に適しているのです。じつは、すでにツイッターには35万件を超える求人案件が投稿されています。ちょっと覗いてみるだけでも、ラーメン店、韓国料理店、ロンドンパブ、フラワーショップ……、さまざまな業態の募集があります。もしあなたのお店が採用にツイッターを活用していないのなら、ぜひ挑戦してみてください。では、どうやって募集を出せばいいのか。基本的には通常の投稿と同じです。❶「お店」や「職場」のアカウントを登録する❷画像や紹介文、URLリンクなどを入れてページを整える❸ハッシュタグに「スタッフ募集」「アルバイト募集」といった言葉をつける❹アルバイトを募集している旨をつぶやく❺応募者とやりとりするもちろん投稿する内容には、「勤務時間」「時給」「簡単な仕事内容」など、基本的な募集条件を記す必要がありますが、通常のつぶやきとの違いは、ハッシュタグに募集関連のキーワードを入れることだけです。応募のつぶやきが返ってきたら、やりとりをして面接へと進んでいけばいいのです。最後に、ツイッターにかぎらず、SNS採用での留意点について触れておきます。❶すべてのつぶやきが求人になるので、こまめにアップする❷スマホの通知でツイッターをONにする❸自動返信ツールなどを使ってツイートしない❹応募者のタイムラインをチェックする❺面接でのやりとりは、SNS内で完結させる❶❷❹は、リアルタイムレスポンスが重要であるという観点から。そして、意外とやりがちなのが❸。応募者が1対多でコミュニケーションをとられていることに気づいたら、確実にシラけます。❺も同じような温度感の問題。ツイッターユーザーはツイッターが好きなのです。ほかのSNSやメールに移行した時点で、せっかくの応募者の熱は冷めてしまうのです。
神事例8お店のアカウントをつくったら、すぐにお店のファンが応募してきた!東京郊外にある、美味しいと評判のカレー屋さん。募集の貼り紙を店頭に出していたものの、ほかに方法はないかと周囲に聞いてみたところ、「ツイッターで募集してみれば?」と複数のお客様からすすめられました。この店のオーナーは、日ごろからツイッターを使っていたものの、募集手段として使う発想はありませんでした。さっそく募集用のアカウントをつくって、スタッフ募集をつぶやいてみました。ハッシュタグはベタに「♯アルバイト募集」。すると、すぐに反応が返ってきたのです。働きたいとレスをしたのは、この店のカレーが大好きだった大学生のS君。お店のファンということもあり、ツイッター上で話が弾んで面接に。そして即採用。ツイッターでの募集だと、こうした手軽なやりとりがベースになるので、通常のプロセスに比べ、応募者が物怖じしなくてすむのかもしれません。そのほうが人となりもわかって、採用後、辞めにくくなる効果も期待できます。S君は現在も元気に働いているそうです。
SNS映えする写真は、採用にも効果あり!インスタグラム活用のススメ
「インスタ映え」という言葉を聞いたことのない人はいないでしょう。ご存じのとおり「インスタ映え」とは、インスタグラムで見栄えのする写真やモノのことです。食べ物や景色の写真を撮るのに、「いい光」や「いい角度」を探し求めて、何枚も撮影したことがあるという人も少なくないはずです。以前、インタビューした女子大生のOさんは、「自分はそんなに投稿しないんですけど、インスタに食べ物を上げるのが好きな友人がいるので、なんとなく気を遣っちゃいがちで。ついインスタ映えしそうなお店を選びがちです」と語っていました。それだけではありません。「その子のために、自分が食べたいメニューより、インスタ映えしそうなメニューを率先して選ぶようになっちゃいました」というくらい、インスタ映えを意識して行動しているのです。Oさんの行動はけっして特殊ではありません。世の中全体が「インスタ映え」を意識し、オシャレなモノや場所に人が集まりやすくなっているのです。そんなニーズに応えるため、街には、ピンク一色のカフェや、天使の羽がペイントされた壁、ど派手なスイーツなど、わかりやすく「インスタ映え」するアイテムがあふれています。この前訪れた居酒屋も、インスタ映えを大いに意識していました。とにかく〝メガ〟なメニューが目白押しなのです。1リットルのメガハイボールなどは、ほかのお店でも目にしたことがありましたが、キャベツがタワーのように盛られたド迫力のメガサラダにはビックリ。思わず店員さんに聞いてみると「キャベツ1玉、丸ごと使ってますからね。この迫力をお客様が写真に撮って投稿してくれれば、お店の販促につながりますから。もう採算度外視ですよ(笑)」とのこと。そして、インスタグラムにはアルバイト生活に関する投稿も見られます。たとえば「ウチのまかない、メガ盛りのさらにメガ盛りでハンパない!」「バイト先のカフェではじめて黒板のメニューを書かせてもらいました!」「書店バイトでポップデビュー!」など……。こういった投稿は、アルバイトを通じて「リア充」生活をアピールしたいという自己表現の発露です。見栄えをベースとした「自己表現ツール」としての特徴こそが、インスタグラムをここまでのブームに導いた大きな要因の1つです。アルバイトスタッフの自己アピール投稿は、その職場を魅力的にアピールする効果にもつながるでしょう。これは採用ブランド力に直結します。実際、お店の女子大生スタッフの投稿に「♯アルバイト募集」というハッシュタグをつけてもらっただけで、同年代の女子大生が採用できたという例もあります。お店がかっこいい、制服がオシャレ、イケてるスタッフがいる……、といった特徴は、採用のアドバンテージになりますし、「メガ盛り」や「まかない」がアピールポイントになることも実証されています。自分の職場にインスタ映えするアイテムがあれば、それを採用に生かさない手はありません。
神事例9イケてる写真投稿の合間に募集を差し込み応募獲得!インスタグラム採用で、職場の魅力を伝えるためのポイントは、もちろん〝映える写真〟です。ある居酒屋のインスタグラムから応募したHさん。「このお店の雰囲気好きだなぁ」と思いながら、お店の投稿(メニュー写真や、仲よさげなスタッフの写真)をながめていたら、ある日スタッフ募集の投稿を発見。すぐに「働きたい」とコメントを返したとのこと。このお店のように、〝映える写真〟を投稿しながら、その合間に募集情報を挟んで投稿するのがコツです。なお、募集時のビジュアルは、通常の求人チラシでOKです。
スタッフの離職にビクビクしなくなる!退職者がカムバックする「アルムナイ制度」とは?
「アルムナイ制度」という言葉を聞いたことがありますか。「アルムナイ(alumni)」とは、卒業生とか同窓生といった意味の英語です。これを会社に置き換えると、「退職者」ということになるのです。つまり、アルムナイ制度とは、退職者と企業がつながりを持つという制度です。そのつながりによって、退職者が戻ってきてくれることになったら……。思いがけず即戦力人材が採用できたということになりますよね。こう考えると、アルムナイ制度は、いってみれば「退職者のタレントプール」。タレントプールとは、優秀な人材を候補者として溜めておき、コミュニケーションをとり続けることで採用に結びつけるリクルーティング手法です。優秀な人材とあらゆる角度から関係を継続しておくことで、ミスマッチの少ない採用が可能になると、最近話題になっています。やむを得ない事情で退職するスタッフは、これまでの経験値から考えると、その職場にとって優秀な人材といえます。彼らのカムバックは店長にとって非常にありがたいはず。退職者と個人的にSNSなどでつながっているという従業員は少なくありません。辞めたあとも飲みにいったり、遊んだり……。これもひとつのアルムナイです。とはいえ、それが制度化されていない場合、退職者のほうから「もう一度働きたい」「復帰させてください」とアプローチするのは、相当ハードルが高いはずです。だからこそ、こういった「私」のアルムナイを、会社や職場として制度化する「公」のアルムナイ制度が重要なのです。こう聞くと、難しそうに思えますが、退職した人とコミュニケーションがとれる状況を用意し、継続的にメールを送るだけでも十分です。まずは、退職者にアルムナイ制度があることをしっかりと告知しましょう。これで「私はまた戻ってくることができるんだ」ということを退職者が認識できます。そして、本人の許可を得たうえで、定期的にメールやDMなどで情報発信する旨を伝えましょう。メールは月1回でもかまいません。職場の状況や現スタッフの声などを届け、そのうえで、可能であれば相互にコミュニケーションをとれるようにしておきましょう。退職者に、いつどのタイミングで復帰できる状況が訪れるかわかりません。退職者側からも気軽にコミュニケーションがとれる環境が用意されていれば、気軽に復帰の意思を伝えることができます。また、アルムナイ制度は、店長や現場管理職の精神衛生上も、ありがたい仕組みです。ただでさえ人が足りない現場では、スタッフに辞められたら現場がまわらなくなるので、離職に過敏になりがち。辞めても戻ってきてくれる可能性があると思えば、必要以上にビクビクすることもなくなります。「すいません。また戻ってきちゃいました」と、照れながら復帰したスタッフを、拍手で迎え入れる仲間たち。素敵な光景じゃないですか。アルムナイというカムバックマッチングは、雇う側にとっても働く側にとってもハッピーな制度です。活用しない手はありません。
神事例10スープストックトーキョーの「バーチャル社員」制度「世の中の体温をあげる」という経営理念を掲げるスープストックトーキョー。その理念を実現するためにはスタッフの体温を上げる(=従業員満足度を上げる)ことが必要だと、さまざまな社内制度を展開しています。その1つが「バーチャル社員」制度。退職者でも従業員と同じ割引が使えたり、社内報を閲覧できたり、試食会に参加できたりするオリジナルの会員制度で、このつながりから復帰するスタッフも多いとのこと。まさに「アルムナイ制度」の好例です。同社の取締役人材開発部部長の江澤身和さんはこう語ります。「社員でもアルバイトでも、退職希望者とは面談します。大切なのは、その人の人生にちゃんと寄り添って相談に乗れているかどうか。退職して新たな世界を知るほうがプラスになると感じたら、むしろ卒業に向けて背中を押すこともあります」この制度は、「戻ってきて」というメッセージを全面に出しているわけではなく、月に1回送る情報のなかに、採用情報がそっと添えられているくらいだといいます。そんな自然なコミュニケーションだからこそ、戻ってきたくなるのかもしれません。
コラム 地方での募集なら地元生活情報誌!ご当地ラジオや農協の有線放送も!
東名阪などの都市部以外の地域では、求人専門媒体がさほど発達していません。そんな地方で頼りになるのが、ご当地で発行される総合型の生活情報誌でしょう。発行されるのを毎号心待ちにされているほど住民に親しまれている情報誌もあるくらいで、その地域での影響力は想像を大きく超えます。その筆頭が「ハッピーメディア」という媒体。岐阜に本社をかまえる株式会社中広が発行する、地域密着型の総合生活情報誌です。正式には「ハッピーメディア®『地域みっちゃく生活情報誌®』」という名称ですが、この名前は表紙に登場しません。なぜなら、地域によって誌名が変わるからです。たとえば、飛騨高山エリアで発行する版の誌名は「SARUBOBO」。これは飛騨高山でつくられる「さるぼぼ」というサルの赤ちゃんの人形からとったものです。また、滋賀県彦根市で発行されている誌名は「KonkiClub」。これは、国宝彦根城を地元の人々が「金亀城」と呼ぶことに由来しているそうです。その土地にちなんだ誌名を冠するこだわりが、ご当地読者からの共感を獲得している1つのポイントです。発行エリアは32都道府県に及び、媒体数149誌、発行部数は936万9240部とのこと(2018年12月末)。カバーエリア、部数、発行版数等のスケール感は明らかに日本最大級。ちなみに紙の求人誌として圧倒的な存在感を誇る「タウンワーク」(リクルートジョブズ発行)ですら108版ですから、比較するといかにすごいかがわかるでしょう。しかも、「ハッピーメディア」は、たんにたくさん発行されているだけではありません。発行エリアを細かく分割し、そのエリア内の90%以上の世帯に配布しているとのこと。要するに、そのエリアのほとんどの人に届けられているわけです。現に、こういう事例があります。岐阜の高山エリアで、日本を代表する某ファッション大手チェーンが、スタッフをまったく採用できずに困っていました。「タウンワーク」が発行されていないこともあって、頼る求人媒体がなかったのです。そこで、この「ハッピーメディア」を使って募集をかけたところ、14人もの応募が来たとのこと。地域のほぼすべての人に届くからこその反響。「ハッピーメディア」が地域に根差している証です。また、地方の求人で有効なのは、紙媒体だけではありません。テレビ・ラジオといったご当地に根差したマス媒体を使う手もあります。地方のテレビ・ラジオCMの特長はなんといっても、圧倒的に広告費が安いこと。以前、福井に出張した際、ホテルのテレビで、地元のパチンコ屋さんのアルバイト募集CMが流れていました。画面の動かない静止画でしたので、製作費も非常に安くすんでいたはずです。テレビもさることながら、地元マスメディアの代表格がAMラジオやミニFM局。都心部に比べてインターネット化が進んでおらず、アナログな媒体の存在感がいまだに大きい地方では、かなり影響力があります。その証拠に、地方では早朝や深夜帯に、タクシードライバーの求人広告CMが流れています。たしかにラジオは運転しながら聞くことが多いので相性がいいのでしょう。また、地元スーパーのパート募集も流れていたりします。さらにユニークな事例を発見しました。それは、農協の有線放送です。福岡にあるJAの有線放送で、飲食店のパート募集の告知が流れていたという情報を入手したのです。もちろんきちんと結果も出ており、そのオンエアを聞いていた兼業農家の主婦を採用できたとのこと。農協が管轄している地方集落(1000〜2000世帯規模)を対象に、さまざまな告知を行っている有線放送にも、広告枠が存在するのです。地元のお店や事業主からの依頼があれば、CMを制作し、流してくれるとのこと。特売などの情報が中心ではあるものの、もちろん求人募集もできます。しかも単価2000円程度。それにしても「農協の有線放送を使ってみるか!」という発想の逞しさもすごい。こういう視点が、神採用につながるのです。ご当地で店舗を運営している場合は、地元マス媒体の影響力についてある程度の相場感があるでしょう。しかし、全国に店舗を展開するメガチェーン本部の採用責任者は、大都市圏に住んでいることが多く、地方のマス媒体を採用活動に使うという発想にはたどり着かないのではないでしょうか。採用環境を全国一律で考えるのではなく、ご当地にアジャストした視点で捉える。固定観念を捨て、フラットな視点で考える。「なんでも利用してやろう」というスタンスを意識する。そうすれば、自ずと活路は見えてくるのです。
やむにやまれず有料の求人広告を出す。しかし、出しても出しても人が採れない。仕方なく時給を上げる……。こうした負のスパイラルによって、アルバイトの募集時給は高騰を続けています。ある求人媒体の調査によると、2019年1月の全国平均時給は1051円。もはや4ケタの時給が当たり前の時代になってしまいました。しかし、「時給上げ」も限界に近づいています。むしろ時給以外でアピールできるポイントはないか。応募してもらいやすくなる工夫はないか。そもそも求人広告に書いてある内容はちゃんと伝わっているのか……。本章では、時給を上げなくても採用できる求人広告づくりのテクニックを、教えます
第2章求人広告にひと手間かければ、時給を上げなくても採用できる!
今どきの応募者にとって履歴書は面倒くさい!思いきって履歴書不要のススメ
求人広告には、当たり前のように「履歴書持参」と書かれています。しかし、応募する側からすると、けっこう面倒くさいものなんです。はっきり申し上げると、紙の履歴書は今や前時代的なアイテム。まず、履歴書にはお金がかかります。アルバイトの場合は、複数の職場に応募することも多く、出費がかさむという声が多く寄せられています。また、手書きであることも一因です。もちろんパソコンで記入し出力する人もいますが、「手書きのほうが採用されやすい」という都市伝説を信じている応募者は少なくありません。そして、最も面倒くさいのが顔写真。今どき、写真はスマホで撮るのが当たり前です。履歴書に貼れるようなプリントした顔写真を持っていること自体珍しいでしょう。そうなると、街角の写真コーナーにわざわざ撮りにいかなければなりません。手間がかかることはもちろん、証明写真にはお金もかかります。そこで提案です。いっそのこと「履歴書不要」にしませんか。履歴書がないだけで応募のハードルがグッと下がるのです。求人広告に「履歴書不要」と表記しただけで、ある雑貨屋さんでは3割、ある倉庫会社では1・5倍、応募が増えたとのことです。さらに、最近の若い世代は、非生産的なことを毛嫌いする傾向があります。「履歴書持参」という前時代的慣習をよしとする職場には、いい印象を持たない可能性もあります。逆にいえば、「履歴書不要」だとする職場は、合理的な考えをしてくれる職場だとして好印象を抱かれる可能性があるということ。履歴書の代わりとして、面接の際、次ページのようなエントリーシートに記入してもらえば事足ります。それでも履歴書要りますかね?
神事例11清水の舞台から飛び降りる気持ちで履歴書不要にした牛乳屋さんの勝利ある牛乳販売加盟店ネットワークを対象にしたアルバイト採用セミナーに講師として呼ばれたときのことです。「応募を増やすためにも履歴書不要にしてみませんか」と説いたところ、加盟店のオーナーであるEさんからこんな質問を受けました。「履歴書なしでどうやって面接すればいいんですか?」と。Eさんのお店では、履歴書に書かれた基本データと志望動機、自己PRを基に質問することで、合否を判断するやり方が確立されていたのです。そこで「面接時にシートに記入してもらえばいい」と説明したら、パッと表情が変わりました。「履歴書は絶対に必要」と思い込んでいたEさんにとって、この考えは盲点だったのでしょう。翌月、Eさんと再会したとき、「履歴書不要にしてみたら5人も応募が来て。いや〜、清水の舞台から飛び降りた気持ちでしたけど、やってみてよかったです。ありがとうございました」とお礼の言葉をいただきました。それほど今の採用現場では、履歴書は当たり前の存在なんでしょう。そういった当たり前を見直すだけでも、神ワザになるんです。
バカにできない採用の切り札!「まかない」推しの求人広告で職場アピール
時給を上げることと近しい効果を期待できるのが、福利厚生の充実でしょう。なかでも飲食店の場合、「まかない」がキラーコンテンツとなりえます。その日のまかない担当者が創作料理をつくってくれる、お客様に出すメニューを従業員価格で食べられるなど、いろいろなケースがありますが、いずれにせよ「まかないが美味しい」という要素は、「そこでバイトしてみようか」につながる大きな武器です。とくに、懐に余裕がない学生にとって、バイト先のまかない飯で食費が浮くのは、実質的な時給アップといえます。学生がアルバイト先を選ぶ際、「まかないがあるかどうか」や「まかないが美味しいかどうか」は、大きなチェックポイントの1つなのです。そこで我々、ツナグ働き方研究所は、食べ盛りの学生を対象に「まかないが美味しそうなアルバイト先は?」という調査を行ってみました。
トップ3は「天丼てんや」「餃子の王将」「スープストックトーキョー」。まったく異なるジャンルの3店がランクインしました。2位にランクインした「餃子の王将」は、そもそもまかないに太っ腹なイメージが確立されています。「お店の全メニューを好きなだけ食べてもいい」という都市伝説もあるくらいで、ガッツリ食べたい体育会系の男子学生などには、たまらない職場といえます。そんな「餃子の王将」は、〝1日4時間以上の勤務でまかないが無料〟と、求人広告で「無料」をきっちりアピールしています。そして、「餃子の王将」を抑えて1位に輝いた「天丼てんや」をはじめ、上位に選ばれた会社のホームページを覗いてみると、採用ページで、必ずといっていいほど「まかないアピール」がされていました。まかないアピール自体は以前からあったものの、驚いたのは、そのアピール度合いが格段に増していること。各社ともかなり工夫を凝らして紹介していました。そして、そのアピール度合いと、今回のランキング結果がほぼ合致しているのです。やはり学生にとって、まかないは気になるポイントであるがゆえに、ちゃんとチェックしているのでしょう。採用におけるまかないの影響力が、より高まっているのは間違いありません。ぜひ、求人広告やホームページで、まかないについてアピールしましょう。その際は、「まかないつき」といった淡泊な表現ではなく、「おかわり自由」「シェフの創作料理が食べられます」など、できるだけ具体的にアピールすることがポイントです。
神事例12天丼てんや、塚田農場、富士そばの「まかない」推しに学ぶ天丼てんやのアルバイト募集ページには、「オールスター天丼、そば、うどんなどの人気メニューを特別価格で食べられます。てんやの従業員割引は、『福利厚生』の一つ」と書かれています。オールスター天丼とは、海老、大イカ、ほたて、まいたけ、れんこん、いんげんなど、てんやの人気天ぷらを集めた超豪華メニュー(720円)。普段はなかなか手の届かない豪華天丼が特別価格で食べられるのは超オトク。そして、塚田農場は、採用ページに「まかないグランプリ」というコーナーまであるほどの充実ぶり。アレンジされた創作メニューが写真つきで紹介されています。また、ランキング9位と大健闘の富士そばは、フェイスブックの公式アカウントで、スタッフのまかないが紹介されています。「煮干しラーメンのスープに、うどんを入れて、揚げ玉をかけたもの」という名もなき創作料理を生み出す猛者もいます。また、同社の浜松町店では、その名も「まかない丼」なるメニューが店頭に陳列されています。これがボリューミーで美味しそうなのです。この画像もしっかりツイッターで拡散されています。SNSを駆使したアピールが実を結んでいる好例です。
「誰でもいい」では誰も来ない対象を絞ったほうが応募は増えるという真実!
「フルタイムで働いてくれるフリーター歓迎!」という表記の片隅に、「主婦も歓迎!高校生もOK!」と書いてある求人広告、よく見かけませんか。当たり前ですが、主婦も高校生もフルタイムで働けません。これでは、どういう働き手に来てほしいのかが伝わりませんよね。貴重な広告費を無駄にしたくないという気持ちは十分理解できます。「本当はフリーター狙いなんだけど、主婦でも高校生でも来てくれるに越したことはない」という心理が働いて、ついアレコレつけ足してしまうのでしょう。しかし、全方位に向けたアプローチでは、表現が浅くなってしまい、求職者に届きません。「誰でもいい」では、誰も来てくれないんです。求職者が、「自分が求められているんだ」と感じられる表現こそが求人広告の鉄則なのです。つまり、求人広告を出す際のポイントは、募集対象を広げることではなく、募集対象を絞ってその対象に深く伝えること。これは、勇気のいることではありますが、ぜひトライしていただきたい採用の神ワザです。最近では、主婦やシニアといった多様な働き手が増えています。彼らは勤務時間に制約があったり、年齢面から体力に自信がなかったり……。常々、「自分でいいのか?」という不安な思いで求人広告に接しています。「フリーター歓迎!」とデカデカと書かれた横に、申し訳程度に「主婦も歓迎」と書かれていたとしても、「よし応募しよう!」なんて思うはずがありません。採用を成功に導く1つのカギは、そういった気弱な状態の求職者が、「自分でもいいんだ!」と安心して応募できる状況をつくってあげることです。さて、対象を絞るという決断を下せたとして、それで一件落着ではありません。次に大切になるのが、その対象にフィットした条件設定と表現です。たとえば、「主婦(夫)歓迎!」と書いてあるのに、勤務時間が「夕方5時からできる人!」となっていたりすることも実際にはあります。夕飯の準備をしなければいけないことの多い主婦にとって、夕方からの勤務はほぼ無理でしょう。対象を絞って深く伝えるためには、その対象に合った条件を設定することが前提です。だからこそ自分向きな募集だと思うのですから。また、「主婦が活躍している職場です!」というコピーの横にある画像が、女子大生っぽい若いスタッフの集合写真……、という広告を目にすることがあります。主婦がこの画像を見たら、「いやいや私じゃ馴染みにくいでしょ」となってしまいます。写真に関する神ワザは後述しますが、対象を絞るなら、対象に刺さる表現をセットにすることが必要です。対象を絞るというセオリーが根づかないのは、「対象を絞ったほうがいい」と提案してくれる人が少ないからです。本来、その役割を担うはずの求人広告営業担当者は、空前の人手不足のなか、応募が来なかった場合のリスクに対して、これまで以上に過敏になっています。ですから、対象を絞った求人広告設計には及び腰になりがち。結局、採用担当者自身が主体性を持って勇気を出すしかないのです。
神事例13勤務時間を、近くの学校の時間割に合わせたゲームセンター対象を絞り込んだうえで、その対象にだけフィットした募集条件に変えたことで採用成功に至った事例を紹介します。大阪近郊にある、K大学近くのゲームセンター。もともとはフルタイムでシフトに入れるフリーターを募集していたのですが、なかなか採用につながりませんでした。そこで、K大学に通う学生を採用しようと対象を切り替え、シフトを細かく設定して募集することに。ここまではセオリーどおりなのですが、それでも応募は鳴かず飛ばず。ある日、お客様として来ていたK大学の2年生が大きなヒントをくれました。「最終の講義が終わってからなら、ここでバイトしたいんですけどね」。応募がなかったのは、設定した勤務開始時間が、K大学の時間割と合致していなかったのです。店長は、さっそくその学生に1限から6限までの授業時間を細かく教えてもらい、授業の合間に勤務できるシフトに変えました。すると、K大学の学生から応募が殺到。以前の3倍くらいになったとのこと。絞り込んだ対象だけが魅力的に感じるシフト設定が、功を奏したのはいうまでもありませんよね。
求人広告の神は細部に宿る!ちょっとした表現の工夫で効果が変わる
[パ](1)鮮魚(2)精肉これは、ある求人誌に掲載されていたスーパーの求人広告です。よく考えれば鮮魚・精肉コーナーのパート募集であることが理解できますが、一瞬戸惑いませんか。じつは、求人募集において、こんな表現は日常茶飯事です。募集する側にとって当たり前の表現は、得てして応募する側もわかっているという前提に立ってしまいがち。ていねいな表現を少し心がけるだけでも、応募者に届く情報量は格段に増えます。それが応募者の心理的ハードルを下げるのです。ここで紹介するのは、ちょっとした小ワザ集です。「求人広告の神は細部に宿る」と心得てください。まずは、職種の書き方について。職種は極力わかりやすく書いてください。たとえば、先述のスーパーの募集についてビフォー・アフターで解説してみます。【Before】[パ](1)鮮魚(2)精肉【After】[パート]販売スタッフ(1)鮮魚売り場/加工なし(2)精肉売り場/陳列のみこのくらいの、わかりやすさを意識してください。わかりやすい表現を心がけなければいけない理由は、たんに応募者へのホスピタリティだけではありません。インターネット上で情報を収集しているプログラムへの配慮という側面もあるのです。最新HRテックツールである「indeed」(詳しくは巻末の付録で解説)は、乱暴にいうとインターネット上の「求人おまとめサイト」。「これは求人情報だ」と認識したものを自動的にピックアップして掲載する仕組みです。要するに職種の書き方しだいで、掲載されるかされないかが決まるということ。そしてその判断は、職種のわかりやすさに準拠しています。職種をていねいに書くだけで、今最も旬の求人サービスに無料で掲載されるのですから、ここは頑張りどころです。ちなみに、文中に「♪」や「★」などと、記号をつけてしまうと、ピックアップされないという情報もあります。注意してください。もう1つ小ワザを紹介しましょう。それは、連絡先についてです。電話番号欄のそばには必ず担当者の名前を入れましょう。名前が少しでも読みにくい場合には、フリガナも添えてください。また、電話をかけてもいい時間を明記しておくことも効果的です。応募者にとって、電話をかける行為自体かなりの緊張感があります。しかも、若い世代はコミュニケーションの多くをLINEなどのSNSで完結しているので、電話に対するハードルが余計に高くなっています。「何時から何時までの間に誰宛にかければ大丈夫」ということがわかっているだけで、安心感が増します。担当者の名前と受付時間を明記する。たったこれだけのことで、実際に応募が増えた例は本当に多いのです。
神事例14「お昼休みの時給払います」から「ランチ代1000円支給」へ知り合いの個人設計事務所が事務のアルバイトを募集していました。社長のMさんは、お昼休みの時間にも時給を払うことをウリにして求人広告に表記していましたが、応募は芳しくありませんでした。「けっこういい待遇だと思うんだけど反響がないのはなぜだろう?」と、Mさんは首をひねっていましたが、要はその待遇が魅力的に伝わっていなかったのです。事務という職種柄、採用したいのは女性です。そこで、「〝お昼休みの1時間も時給を支給します〟と書くよりも、同じ1000円を支給するなら、いっそのこと〝ランチ代1000円支給〟くらいのポップなテイストにしたほうが、若い女性にはお得な感じが伝わるんじゃないですか」とアドバイスしたところ、Mさんはさっそく募集内容を変更しました。すると、すぐに応募があり、結局10人くらい面接して20代のフリーターの女性を採用できたのです。物は言いよう。女性に届く表現を考え、ハートを鷲づかみにした事例です。
職場写真は、キレイすぎても嘘っぽい求人広告の写真はリアルなほど伝わる!
1分間で相手に伝えられる情報量は、文字であれば300字といわれています。一方で、図版、絵、写真といった画像は、1分間に2000字分もの情報を伝えることができるといわれています。画像には、文字情報の約7倍の情報伝達力があるのです。また、画像情報を送信する技術も日々進化してきました。最初のカメラ付き携帯が発売されたのが1999年。今の若者は生まれながらにビジュアルでのコミュニケーションで育ってきた世代です。彼らは、文章の代わりにスタンプでコミュニケーションをとるのが当たり前。インスタグラムがここまで支持されるのも、ビジュアル全盛時代だからこそです(インスタ映え採用の神ワザは神採用9で解説させていただきました)。ここでは、求人広告におけるビジュアルの活用法について触れてみましょう。どういったビジュアルを使うかによって、応募数が大きく変わってくるのです。求人を出す際のビジュアル選びにおいて極めて重要なポイントは、キレイさではなくリアルさだということです。求人広告は美しさを競うものではありません。応募する側はその職場をイメージしようと必死なわけです。職場のイメージをよりよく見せようとして、かっこいいフリー画像を掲載したとしても、求職者に届く情報はゼロ。それよりも職場の雰囲気が伝わるリアルな写真を使用すべきなのです。ある新聞専売所は、新聞名のロゴから思いきって職場写真に変更。応募してきた人は、とりつくろっていない写真に親近感を覚えたとのこと。そのビジュアルはスタッフ全員の肩が触れ合うほどのデコボコ集合写真でした。意図していたわけではないものの、スタッフが整然と並んで写っている写真よりも、アットホームな印象が増し、それが応募につながったのです。また、神採用13で「対象を絞ったほうが応募が増える」と伝えましたが、人物写真を使う際には、採用したい対象と近しい人の写真を掲載すべきです。掲載されている人の髪型、髪色、メイクなどを見て、自分が馴染めそうな職場かどうかを判断している人が多いからです。そして、働くスタッフのテイスト以上に重要なのが対象年齢の観点です。雇用対策法が改正されたのが2007年。「労働者の募集および採用について、年齢にかかわりなく均等な機会を与えなければならないこと」とされ、年齢制限の禁止が義務化されました。その結果、応募者は求人広告に掲載された人物写真から、対象年齢を読みとる以外にヒントがなくなってしまいました。このような背景もあり、求人広告の人物写真の重要度が増しているのです。主婦を採用したいなら主婦スタッフ、学生を採用したいなら学生スタッフ……、求人広告には、とにかく来てほしいターゲットの写真を使うべきです。
神事例15看板娘とイケメンを載せてみた。その明暗とは「自分の職場に看板娘やイケメンがいたら、求人広告に出さない手はない」こう考える採用担当者は少なくないはず。その明暗を分けた事例を紹介します。あるカフェでは、求人広告にアルバイトの女子大生の写真を載せていました。非常に写真映えする学生だったからです。しかし、いくら待っても応募が来ません。そのときの募集対象はランチタイムに働いてほしい主婦。そこで、写真を主婦スタッフに変えてみたところ、主婦層から応募が殺到。採用されたSさんは「このカフェ、前から気になっていたけれど、若くてかわいい子ばかりだと馴染めないかも……」と躊躇していたとのことです。逆に、名古屋のある居酒屋では、女性スタッフを採用しようというときに、その店いちばんのイケメンの写真を掲載。狙いどおり20代前半の女性の応募が殺到しました。欲しい対象と近しい人物ではないけれど、対象の心理を読んだことが勝因です。募集対象の気持ちになって掲載写真を選択したかどうか、ここが明暗を分けたポイントでした。
コラム これで激変!求人広告のビフォー・アフター
第2章で解説してきた求人広告に関する神ワザを駆使して求人広告をつくったら、どのくらいバージョンアップするか。ここでは、実際に求人広告のビフォー・アフターを比較しながら、わかりやすく解説してみましょう。まずは、紙媒体。とくに小さい広告スペースにおける基本的なワザを紹介します。ターゲットを絞る際の表現に注目してください。また、応募者のハードルを少しでも下げるための親切な表現についても触れています。たとえば交通機関や応募受付の時間帯、担当者の名前(フリガナもつける)の表記など……。非常に細かいワザなのですが、応募者目線に立つと、そういった情報がありがたいことがわかるはずです。次に解説するのが、ウェブ媒体。こちらは一覧画面のポイントについてです。検索結果で最初に表示される一覧画面の表記がイケていなければ、クリックして詳細画面まで見ようとはなりませんよね。それでは、応募には結びつき
ません。とにかく一覧画面に表示される情報で、興味を引くことができるかどうか。そのために必要な表現に関するワザを紹介します。また、ウェブ媒体で重要な役割を果たす画像表現についても解説します。本編でも述べましたが、キーワードは「リアリティ」です。たとえば、写真の背景は店内や外観などがベター。わざとらしいピース写真などではなく、自然なポーズ。また1人よりも、どんなメンバーがいるのかがわかる大勢での写真がグッド。こういう求人広告をつくることができれば、時給を上げなくても応募は来るはず。ぜひ、参考にしてみてください。
ここまで、応募の数を増やすためのアイデアや、広告を出す際のちょっとしたひと手間について解説してきました。しかしこの採用難時代、応募の数以上に重要なのが、少ない応募をどうやって採用に結びつけるかという視点です。我々、ツナグ働き方研究所の調査によると、応募者が実際に面接に至る確率は49%。なんと貴重な応募者の約半数が面接に来ていないんです。これ、非常にもったいないですよね。応募の数に一喜一憂するのではなく、どうすれば面接にこぎつけられるかに注力したほうが、はるかに実利的かもしれません。本章では、応募から面接に至る採用プロセスの神ワザを紹介します。
スタッフ全員を面接予約受付態勢にとにかく即レス!即アポ!
アルバイトを探す際の情報収集は、ウェブやアプリを利用した「デジタル化」が進んでいます。この変化は、スマートフォンの普及が大きく影響しているわけですが、スマホの普及は、同時に応募アクションを電話で行う「アナログ化」への回帰も促すことになりました。〝パソコン機能としてのスマホ〟で求人情報を探し、〝電話機能としてのスマホ〟で応募する。まさにバイト探しのデジアナ化現象です。ツナグ働き方研究所の調査によると、求人サイトを利用した人が電話で応募した割合は62・8%に上ります。デジタル派の3分の2が電話で応募しているというデータがこの現象を裏づけています。そもそも面接ドタキャンの理由は「他社に決まった」「連絡が遅かった」というものが大半を占めます。せっかくの応募を無駄にしないためにも、とにかく迅速な対応が求められているのです。電話応募に対していかにリアルタイムにレスポンスできるか。そして、会話中に面接の予約を取りつけることができるか……。貴重な応募を面接に結びつけることができるかどうかは、初動で決まるといっても過言ではありません。ここでは、「即レス」「即アポ」を実現するための重要なポイントを3つ紹介します。1つめのポイントは、スタッフ全員への周知です。よく見受けられるのが、アルバイト採用活動を行っていることが職場全体に伝わっていないケース。お店が人を募集していることを店長だけしか知らなければ、応募の電話をとったスタッフは当然戸惑います。どう対応すべきかわからず、店長からの折り返し連絡にしてしまった時点で、その応募者が面接に来てくれる確率はいっきに下がります。そういった事態を回避するためにも、求人広告が掲載される前に、職場のスタッフ全員に募集のことを伝えておきましょう。たとえば、朝礼の場で「来週月曜日からスタッフ募集の広告を掲載します。みんなの新しい仲間となる募集だから、店長の自分がいないときでも面接の予約を受けつけられるようにお願いします」といった告知をしておけば、スタッフの当事者意識も高まります。2つめのポイントは、対応をスムーズにするための準備。面接候補日がわかるカレンダーと、応募者情報を記入できる※面接予約受付シートを、電話の横に置いておくことをおすすめします。これだけで迅速な対応につながります。こういった細かい準備をしておけば、スタッフが慌てずにすむうえ、応募者を待たせてイライラさせることを防ぐこともできます。3つめのポイントは、ウェブからの応募に対しても電話をかけることです。ウェブ応募の利点の1つは深夜帯にも応募ができること。朝出勤した時点で前夜の応募を確認したら、すぐに電話をかけましょう。一度電話で話しておくことで、応募者の「約束を守らなければ」という気持ちを高めることができます。メールでの淡泊なやりとりだけより、各段にドタキャンを防ぐことにつながります。繰り返しになりますが、応募電話に対して「即レス」「即アポ」が実現できるか……、これが面接へのカギです。スタッフ全員、面接予約受付態勢で臨みましょう。※「面接予約受付シート」は、特別付録2からダウンロードできます。
神事例16「店長から折り返し連絡します」をやめてみた!あるアパレルブランドの店舗での募集。人気のブランドであることも手伝ってか、この採用難時代にもかかわらず応募はそこそこありました。しかし、面接率が低かった。原因は、店長不在時の「店長から折り返し連絡します」というオペレーションでした。それに気づいた店長はやり方を変えました。スタッフ全員にアルバイトを募集していることを周知し、応募の電話に誰もが対応できるようにしたのです。しかし、それでも面接率は上がりませんでした。よく見直してみると、店長自身が忙しく、面接時間を確保できていなかったのです。その結果、あとから連絡するという対応が多発していたのです。そこで、店長は面接日の確保を最優先することにしました。1回の応募電話対応で面接予約までを完結させるためには、面接官の面接候補日程を事前に確保しておくことが必須です。日々の業務に追われながらも、店長は面接日程の確保に努めました。その結果、応募者の3割ほどしか面接に来てもらえなかったのが、応募者の約7割が面接に来てくれるようになったのです。
電話対応のコツをまとめよう!応募者対応マニュアルがあればスタッフも安心
「即レス」「即アポ」。応募に対する迅速な対応の重要性について述べましたが、それだけでは対応が完璧だとはいえません。その対応中、実際にどんなやりとりをすればいいのか。当たり前ではありますが、スタッフ全員に、ここをちゃんと周知しておくことがポイントです。とくに、電話での対応は緊張しがち。SNSの普及もあり、日常で電話をする機会が減っているからです。友人との私的な電話ならまだしも、職場での公的な電話となれば、余計にハードルが高いと感じるでしょう。だからこそお店のスタッフには、たとえば「電話はできるだけ3コール以内に出る」「会話が終わってもこちらから電話を切らない」といった、基本的なマナーからきちんと教えてあげる必要があるのです。有効なのが※応募者対応マニュアル(電話対応台本)をつくることです。基本的なマナーはもちろん、面接予約に至るまでの応募者とのやりとりを台本にしておくと、応募者からの電話に出たスタッフがスムーズに対応できます。また、不意な質問にあたふたしないための※FAQ(問合せ対応集)を準備しておくことも大切。こういうマニュアルがあればスタッフも安心できます。ただし、せっかくマニュアルをつくったとしても、うまく使えなければ意味がありません。台本を見ながら事前に練習しておくことをおすすめします。実際に声に出して練習することで、慌てずにすむわけですから。ここからはやや上級編となりますが、面接に来てもらうためのトークに関する神ワザをお伝えしましょう。面接に来てもらうためには、「来ない選択をさせない」あるいは「来ない理由を減らす」ことがポイントです。たとえば「面接日は、いつがよろしいですか?」と聞くのではなく、「面接日は、〇日と×日のどちらがいいですか?」と聞けば、面接予約率が上がります。面接に来る前提で、選択肢を限定した聞き方になっているからです。前者はオープンクエスチョン、後者はクローズドクエスチョンといいます。応募者との会話では、後者のクローズドクエスチョンをうまく活用しましょう。以前、何かの雑誌で、女性をデートに誘う際は、デートに来てもらう前提に立って「食事はイタリアンにしますか?それとも和食がいいですか?」と聞いたほうが、デートに応じてもらえる確率が高まる、という記事を読んだことがありますが、これもクローズドクエスチョンの効果です。実際、応募対応の際に「面接時の飲み物はオレンジジュースとコーヒー、どちらがいいですか?」と聞くことで、「面接ドタキャンゼロ」を実現したカレー屋さんもあります。まさに心理学のテクニックを利用した上級編の駆け引きトーク。こういった工夫をすることで面接率の向上につながるのなら、覚えておいて損はありません。※「応募者対応マニュアル」「FAQ」は、特別付録2からダウンロードできます。
神事例17前日の確認連絡が当日のドタキャンを防ぎます面接の前日に、「明日の面接よろしくお願いします」と連絡をする。これも、面接のドタキャンを防止するのに有効です。最近は食べログでお店を予約しても、前日に予約確認のショートメールが送られてきますよね。アレと同じです。あるフレンチレストランでは、当日キャンセルを避けるため、予約のお客様に「明日お待ちしております」というメールを前日に送っていました。このレストランのオーナーシェフのGさんは、「これが面接にも使えるのでは」と、思いつきました。以降、応募者に対して面接前日に確認メールを送るようにしたところ、面接に来てくれる率が1・5倍に向上したとのこと。Gさんがメールで送る情報は、簡単な挨拶のほか、「①面接時間」「②場所の説明」「③面接担当者の名前」など。これらの情報を再通知することで、応募者の面接に対する心理的なハードルを下げることができます。なお、この連絡は電話ではなくショートメールでも可。当日、応募者が面接会場にたどり着くのに、この情報が便利な確認手段になります。
場所をしっかり伝えるだけでも面接率は上がる!
通い慣れた立場からすると気づきにくいものですが、はじめて訪れる応募者にとって、面接場所にたどり着くことはそれほど簡単なことではありません。グーグルマップがどれだけ発達したとしても、「これから面接」という緊張感もあり、なかなか普段どおりにはいかないものなのです。それに加えて、大型ショッピングモール内の店舗などは、広大な敷地に100を超える店舗が軒を連ねているので、見つけるだけでもひと苦労。先日取材した郊外のアパレル店は、ショッピングモールの入口から店舗まで、なんと15分もかかりました。普通、施設の入口から店舗まで15分もかかるなんて誰も考えません。ですから、このお店に応募した場合、あらかじめお店の場所を知っている人でなければ、面接に遅刻してしまうわけです。応募者の約半数が下見にいくという話をしましたが、その理由の1つが店舗の場所確認だというのもうなずけます。ある惣菜店チェーンでのケースを紹介します。この会社は、「応募は集まるのに面接率が低い」という問題を抱えていました。その原因は面接場所でした。この会社の店舗はデパ地下にあるため、スペースが狭く、店舗での面接ができません。そこで仕方なく、新宿西口の高層ビル街にある本社オフィスで面接を行っていたのですが、その場所がわかりにくいと、数人の応募者から異口同音に指摘されたのです。それを聞いて採用担当者は驚きました。その会社は、新宿高層ビル群のなかでも、かなり有名なビルに入っていたからです。「いくらなんでもわかるよね……」と。しかし、デパ地下のお惣菜屋さんということもあり、応募者の大半は主婦層。彼女たちは普段、高層ビル街には足を運びません。ただでさえ複雑な新宿駅。「どの出口から出ればいいのか」「地下道からいくべきか、地上を歩くべきか」など、有名なビルであっても、通い慣れていない人にとっては、たどり着くまでにいくつもの関門があったのです。応募者の指摘の意味を理解したこの会社は、新宿駅から本社ビルへの道順を記した地図を、面接予約者にFAXで送るようにしました。現在ではFAXからLINEに変わっていますが、面接場所の地図を送るひと手間をかけることを継続しています。LINEにせよショートメールにせよ、面接に対するハードルを下げるために、応募者に地図を送ることは極めて有効な手段です。今では地図のURLを送ることもそれほど手間ではなくなりました。とはいえ、主婦やシニアのなかにはデジタルリテラシーの低い応募者もいて、ガラケーを使っている人もいます。そういったことを鑑みると、応募者からかかってきた電話で、きちんと説明できれば、それに越したことはありません。面接場所を電話で伝える際に重要なのは、応募者の目線に立つことです。「4番出口を出ます」とか、「出て10歩で左に曲がります」とか、駅から面接場所までの行程をできるだけ具体的に伝えることを意識しましょう。
神事例18いっそ迎えにいってしまう作戦もあり!再開発が進む渋谷にあるカフェでは、最近、応募者からの「道がわからない」という電話が増えていました。工事中の場所が多く、昨日まで通れた通路がいきなり通行止めになっていたりと、電話口で説明するのも大変な状況。そこで、渋谷駅の改札まで迎えにいくことにしました。これだけで面接のドタキャンがいっきに減ったそう。しかも、歩きながら世間話をしたり、職場の雰囲気を伝えたりできるようになったことで、応募者の緊張が解けるという効果も。おかげで、和やかな雰囲気で面接できるようになり、内定辞退者も激減しました。
応募者の「ここで働きたい!」という気持ちを高めるために忙しくても面接には1時間かけるべし!
いよいよ、面接本番で使える神ワザについて解説しましょう。まずは、面接にかける時間です。我々の調査によると「面接にかける時間は30分以内」という店長が78%。これは、店長が「面接は見極めの場だ」という認識に立っているからでしょう。しかし、面接は応募者を見極める場であると同時に応募者から見極められる場でもあります。つまり、応募者を選ぶのではなく、「選んでもらう」という意識が大切なのです。それなのに、突っ込んだ質問をすることもなく、第一印象だけで見極めを終え、あとは勤務条件の確認をして終了……。こんな面接が大半を占めているのです。これでは、「選んでもらう面接」とは程遠い状態。逆にいえば、応募者が働きたくなるツボを押さえ「動機づけ」できれば、採用率は確実にアップします。そのためには、※面接に1時間割いてほしいのです。まずは、アイスブレイクで話しやすい雰囲気をつくります。たとえば、応募者に対して「あなた」ではなく、ちゃんと名前で呼ぶだけでも、距離感がグッと縮まります。その後、合否を見極めたら、後半30分は応募者を惹きつけるための時間に使いましょう。ここまで再三述べてきたように、「絶対にこの職場で働きたい」という強い動機を持つ応募者は希少なわけですから、面接時の「動機づけタイム」こそが、採用確率を格段に向上させる「魔法の時間」となりうるのです。では、どんな話をすれば応募者の「動機づけ」につながるのか。やり方は簡単です。じつは応募者の90%は、面接時に仕事の説明をしっかりしてもらえると、「この職場で働こう」という気持ちが高まるというデータがあります。同じような観点で、職場を案内することも有効です。いずれにせよ、具体的に働くイメージが湧くことで、応募者のモチベーションは上がります。また、面接の最後には必ず応募者からの質問タイムを設けましょう。「質問に対して満足な回答が得られる」「自分の話をじっくり聞いてくれる」ことにも、応募者は動機づけされるからです。こういった傾聴の姿勢は、「入社後も自分を大切に扱ってくれそう」という気持ちを醸成します。なお、不採用と判断した応募者に対しても、残り30分をきちんと使いましょう。採用されなかった応募者からすると、あまりに短い時間で判断されたのでは、ちゃんと見極めてもらえたのかという不審感を抱きかねません。それによって、お店に対するネガティブな気持ちが芽生えれば、お客様を1人失うことになるからです。
神事例19「採用即決!」で、応募者のモチベーションが上がった!面接に来た応募者の働きたい気持ちを高める一手として、「即決採用」を心がけているお店があります。ある焼肉チェーンの店長Fさんは、内定辞退が多いことが悩みでした。そこで仲のよかった先輩店長のTさんに相談すると、「オレはいいと思ったら面接の場で『採用っ!』って握手するよ」とのこと。じつは、Fさんはほかの応募者と比較して採用する人を決めたい慎重派。内定の連絡をするまでに時間がかかっていたのです。しかし、Tさんの「こっちも比較しているけど、応募者もあちこち比較しているわけだから、連絡ははやいほうがいいんじゃないの」というアドバイスを聞いて納得。「やってみてわかったんですけど、たんに内定辞退を防ぐだけでなく、その場で内定を出すと、面接に来た子の顔がパッと明るくなるんですよね」と、Fさんは語ってくれました。即決することによって、応募者が「動機づけ」されているわけです。我々の調査でも「面接の場で採用する旨を伝えられると働く気持ちが強くなる」というデータがあります。これこそ、まさに神ワザではないでしょうか。
応募者がさらにグッとくる秘訣お給料以外の魅力をアピールできれば勝ち!
面接に1時間を確保すること、そのうえで具体的な仕事内容をしっかりと説明すること、応募者からの質問にていねいに答えること。この3つを実践することで、応募者が職場で働くイメージを持つことができ、それが「ここで働きたい!」というモチベーションにつながります。忙しい現場で、店長が面接のために1時間を割くというハードルはあるものの、仕事内容の説明や傾聴の姿勢を示すことは、それほど難しいことではありません。これまでやってきた面接に、まさにひと手間をプラスするだけで採用成功につながるのですから、実践しない手はないでしょう。ここでは、さらに応募者の働く気持ちを高める採用の神ワザを紹介しましょう。それは、〝お給料以外の魅力を伝えることができるか〟ということ。ここまで、「インスタ映え」するビジュアルや、美味しい「まかない」は、職場の立派なアピールポイントになるとお伝えしてきました。これらと同じように、面接の場でも、職場の魅力をアピールすべきなのです。面接での応募者に対するアピール力は侮れません。第2章で、求人広告では対象を絞り、その対象に響く表現を心がけるべきと述べました。とはいえ、広告は不特定多数に対する情報発信であることは否めません。一方、面接は基本的に1対1。面接時には、応募者個人に向けて、その人が魅力に感じるであろうポイントを訴えることができるのです。たとえば、ある応募者は「職場で友人ができるといいなぁ」という思いを持っていたとします。その応募者に対しては、職場内での交流がアピールポイントになります。仕事終わりにみんなでボウリングにいく、休日にバーベキュー大会を開催している、といったことが「ここで働きたい!」というモチベーションにつながります。また、英語を勉強している学生は、外国人のお客様が多いエリアの飲食店に応募することもあるでしょう。職場で英語を使う機会があれば英語力が磨かれるからです。このようなケースでは、外国人のお客様への接客について触れるといいでしょう。似たようなケースとして、就活を意識してアルバイト先を選ぶ応募者もいます。あるいは、私服で勤務できる、髪型や髪色が自由といった職場の雰囲気に惹かれる応募者もいます。アルバイトに応募する動機は千差万別。1人ひとりの欲求や志向をくみとり、それに合わせて職場の魅力を語れば、かなりの確率で採用に至るはずです。「いやいや、そんな簡単にいうけど、応募者の志向と職場の魅力が合致しない場合だってあるはず」と思った人も多いことでしょう。だからこそ、応募の動機をしっかり聞き出すことが重要なのです。応募者は、あなたの職場になんらかの魅力を感じて面接に来ているわけですから、必ず合致する要素があるはずです。それを面接時に見極めることが大切なのです。なお、それを探る際は、給与や勤務時間などのハード面ではなく、仕事への興味や職場環境といったソフト面を聞き出してください。それがそのままヒントになります。ただし、盛りすぎには注意が必要です。「聞いていた話と違う」と離職の原因になりますから。この塩梅は意識してください。
神事例20面接時に、自慢の1杯をふるまい動機づけするラーメン店東京都心に十数店舗をかまえる人気ラーメン店では、その個性を前面に押し出した面接を実施しています。「超」がつくほど人気の行列店なので、面接に割ける時間は、午後の比較的閑散とした数時間しかありません。しかし、そのかぎられた時間のなかで、非常に効率的な面接を行っているのです。まず、面接に来た応募者全員に自慢のラーメンをふるまいます。そして食べ終わったあとに、その味へのこだわりを語り、そこから面接に入っていくのです。応募者はこのお店のファンであることも多いので、面接でラーメンを食べることができるのはかなりうれしいはず。しかし、このお店は一宿一飯の恩義から採用にこぎつけようという、あざとい狙いでラーメンを出しているのではありません。このお店の創業者はこれまでの経験から、スタッフが長続きする秘訣は、結局のところお店に対する共感の強さだと悟ったのです。ラーメンを食べてもらう。そのこだわりについて語る。面接ではなく、もはや仲間探しです。このチェーンでは、時給ではなく、ラーメンそのものが最大の動機づけポイント。ある意味、最強ですよね。
「面接で聞いていた話と違います……」が、すぐ辞める元凶!
募集条件は、きちんと確認すべし時間をかけたていねいな面接には、苦労して採用したスタッフの早期離職を防止する効能もあります。アルバイトなど、非正規雇用者の離職率は、入社6カ月以内で55%に上ります。新卒採用で入社した新入社員が3年で3割辞めることが社会問題化していますが、アルバイトの離職率はその比ではありません。もちろん無期雇用の社員と有期雇用のアルバイトとでは、働く期間に対する前提が違いますが、それを考慮したとしても、はやすぎる離職が多発しているのです。アルバイトの世界では、働きはじめて1カ月以内に2割以上が辞めてしまうのが当たり前。それはなぜなのでしょうか。せっかく働きはじめたのに、すぐ辞めてしまった人が口をそろえていうのが「面接で聞いていた話と違います」という言葉。つまり、面接時にイメージした職場と、入社後のリアルな職場のギャップが大きすぎて、働き続けるのが困難だというのです。冒頭で「時間をかけたていねいな面接が離職を防止する」と述べたのはこのためです。15分から30分ほどの短い面接時間では、仕事内容や職場環境についてきちんと説明することが難しいでしょう。「いやいや、どんな仕事なのかくらいはちゃんと説明しているよ」という反論もあるでしょう。しかし、それは採用する側の考え。「伝えたつもりが伝わっていない」というケースが山ほどあるのです。日々そのお店で働いているこちら側の〝当たり前〟と、その職場のことをまるで知らない応募者の〝当たり前〟との間には、大きなギャップがあるのです。とくに、社会経験のない学生だと、少し説明したくらいでは話の内容を理解できないこともあるでしょう。「伝えたか」ではなく「伝わったか」がゴールなのです。事実、「ちゃんと仕事内容を伝えた」という面接官の割合が60%なのに対し、「ちゃんと仕事内容を理解できた」という応募者の割合は35%に留まるというデータもあります。「伝えたつもりが伝わってない」というギャップが25ポイントもあるわけです。では、面接時に何を伝え、確認しておくべきなのか。基本的には以下の5つについて確認してください。もちろん募集する際に提示した募集条件がベースとなることが前提です。❶給与:研修期間があるのかないのか?その間の給与はどうなるのか?❷勤務時間:勤務時間のカウントはどこからどこまでか?❸待遇:制服の有無。まかないの有無。それらの費用負担はあるか?❹交通費:一部支給の場合は上限を。駅からのバス代は出るか?❺出勤日:いつから勤務できるか?また、きちんと仕事のキツさを伝えておくことも大切です。入社を促すために、つい仕事のいい点ばかりを誇張してアピールしがちです。しかし、「土日の昼過ぎはとくに忙しい」「お客様から叱られることもある」など、仕事の厳しい点を伝えておくことが、「聞いていた話と違います」を防ぐためには極めて重要なのです。
神事例21採用決定後、入社前に「2時間面談」を行う雑貨屋さん面接後、採用を伝えてから入社するまでの間に一度来社してもらい、2時間程度の面談をしている雑貨屋さんがあります。本格的なトレーニングは入社後に行うのですが、ざっくりとした仕事の概要や職場の雰囲気などを伝えるために面談を行っているとのこと。とくに意識しているのが、お店で大事にしている理念などをじっくりと語ること。たとえば、お店に並んでいる雑貨がどんな視点でセレクトされているのか、あるいはショップブランドをつくっていくうえで何を大切にしているのかなど。条件面の確認に留まらず、思いを伝えることによって、自社で働いてもらううえでの心の準備ができるのです。入社前面談をはじめたころは、勤務上のルール説明がメインだったのですが、徐々に理念共有の時間に変わっていったとのこと。そういう話を事前にしておいたほうが、圧倒的に辞めにくいと気づいたからです。もちろん、この2時間分の時給と交通費は支払っています。言わずもがなですが、ここをケチらないようにしてください。
どのくらい働けるのか?どのくらい稼げるのか?勤務時間と収入について握っておけば、もめません!
働く条件を確認するうえで最も重要なのは勤務時間です。当然ですが、採用されたスタッフにとって「どのくらい働けるか」によって「どのくらい稼げるか」が決まりますから。じつは、「思ったより稼げない」と感じているアルバイトは少なくありません。彼らは、「シフトの希望を出しているのにあまり出勤させてもらえない」という不満を溜め込んでいるのです。こういったストレスは離職に直結します。我々、ツナグ働き方研究所が実施した「アルバイト労働時間調査」では、アルバイトの「理想の労働時間」の平均は月間98・3時間でした。勤務日数は17日で週休3日程度、1日あたりの労働時間は5・7時間を希望しているという結果でした。しかし、実際の労働時間の平均は91・3時間と、やや少なめです。以前話を聞いた、あるファストフード店のアルバイトYさんは、「ウチの会社は、残業代未払い問題が報道されてから、労働時間の管理が厳しくなったんです。たとえば5時間のシフトに入り、手が足りないので残業することになっても、8時間以上は絶対に働けません。こっちは平気だし稼げるから、もっと働きたいんですけどね」と、語ってくれました。働き方改革やブラックバイト報道の影響もあり、経営側に「アルバイトを働かせすぎるのはNG」という意識が蔓延しているのかもしれません。そういった観点からも、「どのくらいシフトに入れそうか」を確認しておくことは極めて重要です。一方で、過剰にシフトに入れるのも、働く側の不満の原因になります。学生なら授業との兼ね合いがあるし、主婦には家事育児という本業があります。シニアの方も体力的にフル稼働するのは大変でしょう。そういった意味でも、どのくらいシフトに入れるかを共有しておくことを強くおすすめします。とくに、お休みに関しては細かく確認しておきましょう。学生の場合は、シフトに入ってほしい日と試験日が重なったり、お子さんのいる主婦の場合は、夏休み中の勤務シフトを変更してほしいというケースがあったり……。入社後、おたがいが「聞いてないよ!」とならないよう、きちんと確認しましょう。とはいえ、聞き方に注意が必要な時代になってきました。たとえば、主婦の応募者に対して、こちら側から、子どもの有無、子どもがいた場合の夫の協力態勢、面倒を見てくれる親がいるかなど、個人情報にかかわる質問はNG。勤務時間の確認については、❶とくに入ってほしいシフトの時間や曜日に対する要望❷ほかのアルバイト先との掛け持ちの有無❸平日、土日祝日それぞれの勤務可能時間❹お正月、ゴールデンウィーク、お盆など連休期間の勤務について、できるだけ具体的にヒアリングしていきましょう
神事例22「どのくらい働けますか?」ではなく「どのくらい稼ぎたいですか?」某大手外食チェーンが経営する焼鳥店の店長、Hさんに取材したときのこと。彼は、「面接時に〝どのくらいシフトに入れますか?〟ではなく、〝どのくらい稼ぎたいですか?〟と聞くようにしています」と教えてくれました。理由を聞くと、「稼ぎたい額をベースに勤務シフトのイメージを共有すると、応募者との距離が近くなるんです。〝この店長は、自分の給料のことを一緒に考えてくれるんだ〟みたいな」という答えが返ってきました。「雇う・雇われる」ではなく、応募者と同じ方向を向く意識が共感を深めるのです。実際、H店長のお店では、シフトのトラブルで辞めるスタッフがほぼいないとのこと。「このくらい稼ぐには、このくらいシフトに入らないと」というイメージができるため、入社後に「休む、休まない」でもめにくいのです。また、急なシフト変更についても、「明後日入ってもらえば、希望額に届きますよね」と、お金とセットで頼むことで、お願いしやすくなるとのこと。ぜひマネしてみてください。
コラム 不採用時の対応には細心の注意が必要
不採用の応募者への伝え方には細心の注意を払いましょう。「不採用の人には連絡しない」というケースも散見されますが、必ず連絡すべきです。なぜなら、不採用の通知がないと、応募者は次のアルバイト先を探しはじめていいのかがわからないからです。また、対応が悪ければイメージダウンにもつながりますし、「いい加減なお店だ」と思われる可能性も出てきます。ここでは、不採用の通知をする際のコツをいくつか紹介しましょう。不採用通知はいつする?不採用通知は、遅くとも面接から1週間以内に完了させましょう。ただし、あまりにはやいと、応募者は「きちんと選考してくれたのだろうか?」と不安に感じる可能性があります。応募人数や選考期間の事情で長くかかることがありますが、その場合は、面接時に「遅くとも〇日までに結果をご連絡します」と、目安のスケジュールを伝えておくと、応募者も安心します。伝え方はやんわりと「不採用になりました」と、結果のみを端的な表現で伝える不採用通知は、マイナスの印象を与えてしまいます。「ご応募いただき、誠にありがとうございます」という感謝の気持ちを述べたうえで、できるかぎり「不合格」「不採用」という言葉を使わないよう心がけ、相手に不快な印象を与えないようにしましょう。不採用の場合、履歴書は極力返却する履歴書は個人情報の塊です。不採用の人の履歴書は、店内・社内に保管したままにすると流出するリスクを伴うため、必ず返却または破棄しましょう。履歴書の代わりに「応募エントリーシート」のような形で個人情報をもらう場合もありますが、その際も同様です。なお、返却方法は郵送がベスト。応募者が最も安心できる方法ですし、「ていねいに対応してもらった」と、いい印象を持ちやすいからです。不採用通知に履歴書を返却する旨を記し、同封すると手間が省けていいでしょう。破棄は速やかに履歴書や応募シートを破棄する場合は、極力速やかに行いましょう。いつ・誰が破棄するかのルールを決めておくとトラブルを予防できます。個人情報が漏れないよう、シュレッダーで細断してください。お店のファンであるお客様が、「ここで働きたい」と応募してくるケースは少なくありません。それが不採用になった。このケースで対応を誤れば、お客様のなかにアンチな気持ちが芽生え、大事なお客様を失ってしまうかもしれません。しかも、影響はそれだけではありません。SNSにネガティブな投稿をされる可能性もあります。その投稿が多くの人にシェアされることになれば、お店の評判はガタ落ちになり、1人のお客様を失っただけではすまなくなります。不採用のときこそ、ていねいな対応が必要だと心得てください。
「採用できたから、これで大丈夫!」いいえ。世の中そんなに甘くはありません。苦労して採用したスタッフが入社後すぐに辞めてしまい、結局、また募集しなくてはならない……。この悪循環がアルバイトの採用現場における問題の核心なのです。その背景にあるのが「辞めたらまた採ればいい」という残念な価値観。本書では「初日の受け入れ」「職場に馴染むためのフォロー」「業務トレーニング」など、入社後に必要なコミュニケーションタスクを、採用活動における最終段階と位置づけています。入社したての新人に「この職場ならやっていけそうだ」と感じてもらうこと。これが「神採用」のゴールなのです。
とにかく初日のウェルカムが肝心です!
どうすれば新人が、この職場ならやっていけそうだと感じてくれるのか。それは、「この職場には自分の居場所がある」と感じてもらうことです。もう少し具体的に説明すると、次の3つです。❶この職場は、自分にとって安心・安全である❷この職場は、自分の存在を受け入れてくれる❸この職場で、自分は役に立っている気がするこれらは、アメリカの心理学者アブラハム・マズローが説いた「欲求5段階説」に通じています。マズローは、人間が本質的に求める欲求を5段階層で理論化しました。❶〜❸は、そのなかの「安全欲求」「社会的欲求」「承認欲求」と呼ばれるもの。
ここでは、この3要素にもとづいて、出勤初日の受け入れ方について解説します。いうまでもありませんが「初日」はとくに重要。「居場所がある」という感覚まで達しなくても、「明日も来よう!」「次の出勤が楽しみだ!」という気持ちを持ち帰ってもらえれば成功です。そのために必要なのは、とにもかくにも「ウェルカムの気持ち」。そして「準備」。整理すると、次のプロセスをきちんと行うことです。❶事前に必要なもの(制服・名札・ロッカー・タイムカード・入館証等)を準備する❷初日の朝(仕事に入った直後)に面談の時間を設ける❸仕事内容・ハウスルールを説明する❹職場を案内し、先輩スタッフ全員に紹介する❺休憩時間にもこまめに声をかけるたとえば、仕事内容や、職場におけるルールをきちんと説明することは、「安全欲求」を満たすことにつながります。なぜなら、慣れない職場でむやみに怒られないための「安全」を、新人に提供しているからです。また、制服や名札を事前に準備したり、先輩スタッフに紹介し、歓迎していることを強調することは、新人の「社会的欲求=所属の欲求」を満たすことにつながります。さらに、ある大手ファミレスチェーンでは、初日朝に店長が30分の面談をし、新人への期待や店舗で大事にしているイズムを語るようにしただけで、1カ月後の離職率が約半分になったとのこと。これは新人の「承認欲求」を満たすことにつながります。このケースが示すように、ちょっとしたウェルカムでも大きな効果を生むのです。
神事例23初日ウェルカムサプライズの仕掛け人ある個人経営の居酒屋では、オーナー店長Nさんのこだわりで、新人の出勤初日にちょっとしたサプライズを行っています。そのお店のスタッフ全員がウェルカムメッセージを色紙に書き、手渡すようにしているのです。「入社おめでとう!」「今日から仲間だね!」というメッセージをもらえるだけでも、新人にとっては、かなりインパクトのあるサプライズになるのです。このウェルカムサプライズの効能は、ほかにもあります。「最初は、自分が率先してやってたんだけどね。サプライズを体験した新人にも後輩ができるじゃないですか。新人が入ってきたら、だんだん先輩のスタッフが自発的にやってくれるようになってさ……」と、N店長は、うれしそうに話してくれました。このサプライズの連鎖が、職場の一体感を高めてくれているようで、このお店では、ネガティブな理由でアルバイトが離職することがないとのこと。店長自らが動かなくても、先輩スタッフが自主的に職場力の向上に寄与してくれる。素晴らしい事例だと思います。
新人の居場所をつくるには……職場全員の顔と名前の一致がカギ!
「この職場には自分の居場所がある」と感じてもらうために、いちばん手っ取り早いのは、新人の名前を覚えてあげることでしょう。まわりの人に顔と名前を覚えられていることは、脳科学や心理学的な観点から見ても、非常に重要な要件です。顔と名前を覚えられていることで、その場所を「自分の居場所」だと強く感じられるようになるので、安心感が増すうえ、その職場に対するコミットメントを感じることにもつながるからです。これは先述した「マズローの欲求5段階説」の「社会的欲求」を満たすことに直結しています。ある調査によると、上司に自分の顔と名前を「あまり覚えられていない」と感じる人の3割以上は、離職意向が高まる傾向にあるといいます。逆に、「顔と名前を覚えられている」と感じている人は、そうでない人よりも、仕事に対するモチベーションが高い人の割合が約4割高いというデータもあります。新人に、「職場で顔と名前を覚えられている」と感じてもらうことが、いかに重要であるかがわかりますよね。結果的にそれが、モチベーションアップや、「辞めたい」という気持ちを解消することにつながるのです。また、新人の顔と名前を覚えるだけでなく、新人にスタッフの名前を覚えてもらうことも、モチベーションを高く保って働いてもらうために重要な要素です。「知っている顔がいる」職場には親近感も増しますし、職場でコミュニケーションがとれたという体験を積むことができれば、より〝居場所感〟も増していきます。そもそも、新人の立場で考えれば、自分の名前は覚えてもらっているのに、自分は先輩の名前を覚えていないとなれば、引け目を感じるのは当たり前です。だからこそ、新人の名前を覚えてあげること以上に、新人に先輩の名前を覚えてもらいやすくする工夫が大切。そのほうが職場にはやく溶け込めるのです。さらに、先輩の名前を覚えることは、新人のスキルアップにも影響します。何か質問したいとき、「あの〜」と聞くよりも「〇〇さん」と名前で呼びかけるほうが、声をかけやすいからです。このように、「新人の顔と名前を覚えること」と「新人に顔と名前を覚えてもらうこと」は、離職防止と、モチベーションアップ、業務効率の向上という3つのメリットがあります。社員、パート、アルバイト同士が、たがいに顔と名前を「覚えている」「覚えられている」職場、つまり〝顔と名前が一致している職場〟を目指しましょう。
神事例24事務所に100名超の従業員全員の名前と顔写真を貼り出す量販店ある大手量販店では、バックヤードに100人を超える従業員全員の名前と顔写真を貼り出しています。さらに、各スタッフの趣味や星座、動物占いの動物といったコミカルなプロフィールまで記載されていて、従業員同士のコミュニケーションに一役買っています。じつは、このお店では、10年ほど前まで、従業員名簿をつくり配付していたのですが、個人情報保護の観点からそれを廃止しました。このアイデアは、その名簿の有用性を実感していたベテラン主婦パートJさんのアイデアからはじまったそうです。彼女に話を聞くと、「バックヤードで会っても、顔と名前が一致しないと話しかけづらくて。とくに新人は、休憩時間中孤独じゃないですか。ポツンと1人でいるのはかわいそうだし……」と語ってくれました。この仕組みのおかげで職場内の会話が増え、新人スタッフがはやく馴染めるようになったことで、離職率が約3分の1に下がったとのこと。まさに、顔と名前を覚えることで職場活性・離職防止につなげた神事例です。
定期的なコミュニケーションは超重要流行りの1対1面談「1on1」を実践すべし
初日をうまく過ごせたとしても、新人が職場に溶け込むためには、節目、節目のハードルが存在します。たとえば、少し店の雰囲気がわかってきた3日目、なんとなく仕事がわかってきた3週間目、自分なりに動けるようになってきた3カ月目……。このように、「3」のつくタイミングには、なんらかのコミュニケーションをとったほうがいいとよくいわれます。いずれにせよ、入社から1週間以内、遅くても4週間以内には「フォロー面談」を実施すべきです。1対1で対話する場を設け、実際に働いてみての感想についてヒアリングしましょう。こういった、1対1の面談は、「1on1(ワン・オン・ワン)ミーティング」と呼ばれ、近年多くの企業で導入されています。「入社前のイメージと実際の職場のギャップはないか」「先輩との関係性はつくれているか」「孤立していないか」「教えたことは理解できているか」「困っていることはないか」など……、さまざまな角度からチェックしてください。ていねいに気持ちを聞き出す「傾聴」の姿勢で理解しようと努めることで、新人との距離が少しずつ縮まっていくはずです。なお、フォロー面談の日程は、「初日」の段階から決めておきましょう。これは、ものすごく大切なことです。なぜなら、面談日までは、辞めにくくなるからです。新人が辛い経験をしたり、1人で悶々としている時期があったりしても、面談日が決まっていれば、ある程度、耐えて待つことができます。「次の電信柱まで頑張って走ろう」と考えながらジョギングすると、長い距離を走れるというアレです。このようなマイルストーンが、職場に馴染めず悩んでいる新人にとって、希望の光になるのです。ある大手人材派遣会社では、自社の派遣スタッフが派遣先で勤務を開始すると、「コーディネーター」と呼ばれるフォロー役が、即座に1回目の訪問面談日程を設定します。この仕組みによって、離職率が改善したとのことです。このフォロー面談のポイントは、面談を「コーディネーター」が行うことです。仕事を指導する立場ではないなど、利害関係のない人が面談を行うことによって、新人の本音を引き出し、信頼関係を築きやすくするのです。この手法を「トライアングルコミュニケーション」と呼びます。「トライアングルコミュニケーション」は、派遣会社でなくても、店舗で簡単に行うことができます。指導係の先輩スタッフではない、別のスタッフに面談をしてもらえばいいのです。新店のオープニングスタッフのように同期入社組がいる場合は別ですが、欠員補充で入ってきた新人アルバイトには、ちょっとした愚痴をこぼしあえる相手が存在しません。目上の立場である上司にはいいにくいこともあるでしょう。そう考えると、利害関係の少ない〝斜めの関係〟にあたる先輩スタッフが面談を行うほうが、新人も本音を話しやすくなります。「職場の三角関係」ぜひ、試してみてください。
神事例25面談時の不平不満を業務改善案につなげ一石二鳥!「1on1」の面談では、仕事の愚痴だけでなく、職場改善のアイデアが出てくることも少なくありません。ちょっと聞くと、不平不満のような話でも、よく聞いてみると業務改善の余地があることに気づかされることもあります。そういった意見が出たら、即実行することが大切です。その際に有効なのは、その提案をした本人に改善の責任者を任せること。そうすることで、突然の退職を防げるうえ、仕事を任せることで責任感が増し、そのスタッフの成長を促すことができます。耳障りな意見に対しても聞く耳を持つ度量と、任せる勇気が大切なのです。あるコールセンターでは、クレームに近い意見を述べたUさんを改善の責任者にしたところ、素晴らしい解決策を提案してくれたそうです。Uさんはもともと自分なりの解決策を持っていて、その裏返しが不平不満につながっていたのでしょう。その後、Uさんは、他者の意見をまとめ上げながら積極的に業務改善に努め、2年後には社員に登用されるまでに成長したとのこと。もはや離職防止ではなく、業務改善とスタッフ戦力化の理想形のような事例です。
「ぶっつけ本番」と「ほったらかし」は厳禁!OJTの本当の意味を知ろう
ここまで、新人に「この職場には居場所がある」と感じてもらうための取り組みについてお伝えしてきました。ここでは、初期トレーニングについて解説します。担当業務を覚えて、一人前のスタッフになっていくこと。これは「この職場で、自分は役に立っている」という「承認欲求」を満たすことにつながります。とはいえ、それは一朝一夕にできることではありません。そのための第一歩は、「自分は役に立っている」という感覚ではなく、「自分は足を引っ張っていない」という感覚を提供すること。つまり、まずは業務上のしくじりを極力減らしてあげることです。「失敗する→怒られる→足を引っ張っていると感じる→この職場は無理」という負のスパイラルに陥らない状態をつくることが、初期トレーニングにおけるポイントなのです。とはいえ、忙しい現場ではそう簡単にはいきません。新人スタッフが安定稼働するまでは、トレーニングに心血を注ぐ必要があると頭ではわかっていても、なかなかその時間を捻出できないのが現場のリアルでしょう。結果として、OJT(OntheJobTraining)という名の「ぶっつけ本番」や「ほったらかし」が横行するのです。OJTとは、座学だけでは覚えられない業務を、実際にやってみることで習得してもらう初期教育の考え方です。あくまでも座学とセットで、計画的に実践の場で学ばせるためのトレーニングを、座学で教えることもなく無計画に現場に立たせるというやり方にしてしまったら、業務が身につくはずがありません。何も教えてもらっていない状態で失敗しないわけがありません。こんな状態では、当然先輩から怒られたり、お客様からクレームを入れられたりするシーンが増えていきます。これでは、承認欲求を満たすどころか否認機会を増やすことになってしまいます。では、忙しい現場において、どのようにすればこういう状況を回避できるのか。特効薬はありませんが、次図を参考にしながら初期教育を組み立ててください。
重要なのは、❶教育内容を整理し分担して行う❷業務に関するコミュニケーションの機会を増やすこの2つのポイントを意識してみましょう。
神事例26スタバは、新人研修に80時間使う世界的なコーヒーチェーン、スターバックスコーヒーでは、アルバイト採用後、すぐに1人で店頭に立たせることはしません。なんと、研修に80時間もかけるのです!研修の内容は正社員と同じです。まず、「OFF‐JT(OfftheJobTraining)」からはじめます。座学でスタバの歴史やコーヒーの知識などを学びます。その後、OJTとして約1カ月間、店頭に立ち、オーダー受けやレジ打ちなど、接客にまつわるさまざまなことを学びます。もちろん、研修中は必ずコーチ(教育担当)と一緒になるようシフトが組まれます。ちなみに、この80時間分の時給はきちんと支払われます。時給が1000円だとすると、1人あたり8万円もの投資をしていることになります。現在、都心部では、1人当たりの採用単価が10万円ほどかかるといわれていますが、スタバは自社HPだけで採用できているため十分ペイできるのです。卓越した接客力がブランド力を高め、自社HPで採用を完結できる。これこそが教育がもたらす経済効果。教育にかける時間への投資はケチるべきではありません。
教育の虎の巻をちゃんと整備しておく!頼りになるマニュアル&チェックシートを活用
新人アルバイトに対して、教育担当の先輩が業務内容をレクチャーするケースは多く見られます。しかし、新人と先輩が常に同じシフトに入れるわけではありませんので、四六時中つきっきりで教育することは現実的ではありません。また、教育担当者の教え方のレベルにはバラツキがあります。そんなとき、役に立つのが「マニュアル」です。どんな人材になってもらいたいかを明らかにし、その道筋を示す「新人教育の羅針盤」、それが教育マニュアルの存在意義です。盛り込む内容は、「基本的なビジネスマナー」「企業理念」「職場のハウスルール」「業務の全体像」「具体的業務の説明」「働くうえでの心得」など。しかし、これをすべてまとめ上げるのは大変な作業です。企業理念やハウスルールについては、面談等でもカバーできると考えると、最低限必要なのは「仕事の基本を教えること」です。つまり、新人アルバイトのために整備しておくべきは「業務マニュアル」なのです。業務マニュアルは具体的な「行動指示書」とも言い換えることができます。新人でも、これを読めば、ある程度の業務内容は理解できますし、仕事の全体像をつかむことができるようになるでしょう。そうやって仕事のやり方や手順を自分のペースで自習・復習できるようになることで、新人が「自ら学ぼう」という姿勢を持ってくれるようにもなります。マニュアルは、教え方のバラツキを是正するだけではなく、自主性の醸成にも効力を発揮してくれるのです。また、マニュアルの整備に劣らず重要なのが、教育の進捗状況をわかりやすく確認できる「研修項目チェックシート」の作成です。とくに、先輩アルバイトに新人教育を任せた場合、店長や職場の責任者が、教育の進捗状況や新人スタッフの習熟度合いを細かく把握する必要が出てきます。そういった意味でこのチェックシートは、業務マニュアルと対をなす教育ツールなのです。作成時のポイントは、マニュアルに記載されている業務を、1つひとつの手順に分解してチェックできるようにすること。たとえば「レジ業務」「トイレ清掃」のようにひと括りにするのではなく、次図のように極力行動を細分化し、具体的に記載しましょう。
「教えたこと(教わったこと)」「クリアしたこと」という教育の進捗具合を、このシートを使い、職場全体で確認することによって、次に何を教えるべきかが明確になります。業務マニュアルとチェックシート、この2つのツールを使いこなすことで、新人教育はとてもスムーズになるはずです。
神事例27無印良品の最強マニュアル「MUJIGRAM」無印良品には、社員やアルバイトに向けた壮大な業務マニュアルが存在します。このマニュアルは「MUJIGRAM(ムジグラム)」と呼ばれ、売り場におけるディスプレイの仕方から、接客や発注に至るまで、店舗運営に関するあらゆることが網羅されており、総ページ数は2000ページを超えます。いっきにすべて覚えるものではなく、働きながら「こういうときはどうしたらいいか」と迷った際に頼りにする、まさに羅針盤のようなマニュアルです。構成もわかりやすく、図解や写真が多用されていて、新人でも理解しやすい内容になっています。そして、「MUJIGRAM」のすごさは、そのアップデート力。現場の「小さな気づき」を吸い上げ、それを内容に反映させているのです。現在、全国から年間約5000件もの改善提案が本部へ寄せられています。そのうち毎月20〜30件の提案が採用され、「MUJIGRAM」に反映されていくのです。「MUJIGRAM」が更新されるたびに、現場の生産性や効率は高まり、一連の変化に対する現場の貢献感も高まる。まさに「マニュアルの鏡」です。
何げないことも「褒めポイント」になる!褒めるコツはとにかく量。小さなことでも「いいね!」が大事
唐突ですが、2018年に平昌で開催された冬季五輪でのエピソードを紹介します。女子フィギュアスケートの宮原知子選手が4位に入賞したときのインタビューシーン。あるテレビ局の女性アナウンサーがかけたねぎらいの言葉は、「メダル、惜しかったですね」でした。多くの日本国民の言葉を代弁したようなコメントです。ところが、別の番組で、元テニスプレイヤーの松岡修造さんがかけた言葉は違いました。それは、「おめでとう!自己ベスト!自分を超えた!」というひと言。「さすが修造!いいこという!」と、思わず膝を叩いたのを覚えています。松岡さんは、アスリートとしての自身の経験や、多くのテニス選手に教えてきた経験から、褒めることの重要性をよく知っています。「人は、褒められればうれしくなり、成長する力が湧いてくる!ならば僕が日本の皆さんを本気で褒めまくります!」というくらい、褒めることに熱い思いを持っているのです。「メダル惜しかったね」ではなく「おめでとう!自己ベスト!」。この素敵な褒め言葉は、宮原選手のこれまでの成績を把握していたからこそ生まれたわけです。ここが彼のセンスです。これは、アスリートだけでなく、アルバイトに対しても同じことです。上司や先輩など、他者からの賞賛は、新人アルバイトの「承認欲求」に直結します。誰だって褒められればうれしいわけですが、「足を引っ張らないように」と、ビクビクしながら日々を過ごしている新人にとっては、「褒められること」に対する喜びレベルが格段に違います。では、どうやって褒めればいいのか。そのコツは、とにかく質より量です。「仕事のできない新人のどこを褒めればいいの?」と疑問に思った人も多いことでしょう。しかし、そんなに難しく考える必要はありません。なぜなら、褒めるポイントは、些細なことでいいからです。たとえば、「挨拶の声が大きくていいね!」「制服が似合っているね!」「歩く姿勢がいいね!」など……。ちょっとしたことを指摘してあげるだけでも、新人にとっては大きな褒め言葉。新人が無意識で行っていることを、サラリと褒めてあげるだけでいいのです。これなら、スタッフを細かく観察することで必ず何か見つかるはずです。私がこれまで話を聞いてきた、アルバイトが辞めない職場の店長たちは、必ず「質より量のちょっとした褒め言葉」を新人にかけていました。自分でも気づいていないことを他者から肯定されると、うれしい気持ちが倍増するだけでなく、「自分のことをちゃんと見てくれている」「気にかけてくれている」という安心感につながり、新人が心を開く第一歩になるのです。
神事例28褒め上手な店長は、アルバイトに愛を叫ぶ!以前、取材させていただいた、ある居酒屋の店長Mさんはとにかく熱い男でした。彼は、話のなかで、こんなことを語ってくれました。「シンプルに〝愛〟だと思うんですよね。僕がスタッフを死ぬほど愛しているから、スタッフも愛してくれる。要するに信頼関係です」信頼関係を築くためのコツを聞いたところ、「コミュニケーションは質よりも量が大切」「とにかくポジティブなコミュニケーションをとり続けます。なんでもいいのですが、話す回数を増やすことです」と、Mさんは熱く教えてくれました。日々のコミュニケーションの積み重ねが信頼関係を築き、スタッフがお店で働くのが楽しくなる。楽しいからもっと仕事を覚えたいと思う。それがお客様にも伝わり、愛されるスタッフになる……。このお店には、こんなプラスの循環が存在するのです。このお店では、大学を卒業するアルバイトの最終出勤日、21歳の2人のために、常連客が79人も駆けつけた、というエピソードがあります。にわかに信じられない話ですが、M店長の話を聞けば、納得することができます。
怒ってもいいけど、怒り方が問題!「叱ってもらえた!」と思わせるコツ
アルバイトをちょっと怒ったら、次の日から来なくなった……。こんな体験をしたことがある店長さんも少なくないはずです。新人にとってガッツリ怒られるのは辛いもの。職場でまだ自分の居場所を確立できていない時期だからこそ、余計に堪えるのです。そんな状況で、理不尽な怒られ方をすれば離職に直結することでしょう。とはいえ、ミスを容認するわけにはいきませんし、新人が失敗したときには、きちんと注意してあげるべき。そのためには、正しい怒り方を習得する必要があります。よくいわれることですが、「怒られた!」ではなく「叱ってもらえた!」と思わせるのが怒り方の理想形。では、具体的にどうすればいいのか。ポイントは次の3つ。❶無駄な怒りは捨てること❷怒りの言葉で吐き出さないこと❸怒りポイントを具体的に伝えることこれが、「怒る」を「叱る」に変えるコツです。まず、「❶無駄な怒りを捨てること」について。怒りの感情が持続するのは6秒ほどだそうです。ですから、怒りを感じたらまずは6秒間我慢する。これだけで怒りの感情がかなり収まります。6秒待ったら、冷静な頭で怒るべきかどうかを見極めるのです。この6秒ルールで怒る機会は減るはずです。とはいえ、6秒って意外と長い。それをやりすごすための、ちょっとしたワザがあります。たとえば、難しい計算をしてみるとか、自分の怒りに点数をつけてみるとか。あるいは、自分の好きなタレントや飼っているペットの名前など、どんなことでもいいので、イラッときた瞬間に唱える言葉を決めておくというのも手です。いずれにせよ、冷静になるためのルーティンを1つ持っておけばいいのです。また、この6秒ルールは「❷怒りの言葉で吐き出さないこと」にもつながります。冷静になることで、怒るべき場面でも「なんでテーブルが片づいていないんだ!」などと怒鳴ってしまうことがなくなるからです。最後に「❸怒りポイントを具体的に伝えること」について。そもそも人が怒りを覚えるのは、自分が持つ「こうあるべき」というこだわりが破られたときです。それを、「許せる範囲」「なんとか許せる範囲」「許せない範囲」と、線引きしましょう。たとえば、あなたに「ドリンクは注文を受けてから1分以内に提供すべき」というこだわりがあったとします。その場合、「許せる範囲」は1分以内。「なんとか許せる範囲」は5分以内。それ以上経過して、お客様に声掛けもしないのは「許せない範囲」など……。具体的なこだわりをイメージしてみてください。そのうえで、「ドリンクははやく出すように」という抽象的な指示ではなく、「ドリンクはオーダーから1分以内の提供を心がけること」とスタッフに伝えておくのです。そうすれば、怒られる側も「あ、5分以上かかってしまった」と怒られた理由がわかるので、「理不尽」と感じることがなくなります。怒鳴るのではなく、「こうしてほしい」と、リクエストの形で伝えるだけで、職場の雰囲気は劇的に変わります。
神事例29「アンガーマネジメント」を取り入れた店長ここで紹介した怒り方のポイントは、「アンガーマネジメント」というメソッドがベースになっています。アンガーマネジメントとは、怒りを予防し制御するための心理療法プログラムのこと。短気であることを自覚していた、あるコンビニのA店長は、テレビで見たこのプログラムに興味を覚え、研修を受講しました。受講後、すぐに怒りを制御できるようになったわけではないものの、日々実践するなかで徐々に効果が表れてきました。たとえば、アルバイトが遅刻してもすぐには怒らない。その代わりに忙しく仕事している自分の姿をやや誇張して見せる。その後、間を置いてから遅刻した理由を聞く。そんな冷静な対応ができるようになったのです。すると、遅刻したアルバイトは自然と自身の行動を反省し、改めるようになったそうです。もともと、怒りっぽいことを除けば、気さくなキャラで人気者だったA店長。アンガーマネジメントを学んだことで、〝怒った次の日から来なくなり、フェードアウトして辞める〟ということがゼロになったそうです。
「頼りになる右腕」と「やっかいなベテラン」との境界線を把握せよ
ベテランの居場所づくりが新人を救う!以前、あるスーパーに勤める30代主婦のKさんが、こんな話をしてくれました。「私たちの仕事は、レジ・店内見まわり・フリーの3つに分かれています。フリーというのは、バックヤードで発注や伝票処理をする仕事で、立ち仕事でないため体がちょっとラクなんです。でも、特売日とか忙しい日はほとんどフリーの時間はありません。それなのに、Tさんはずっとフリーの仕事をやっているんです。レジお願いしますと頼んでも来てくれず、ずっと裏にこもっているんです……」まさに職場に君臨するお局様。しかし、Tさんは最初から困った存在だったわけではないはず。むしろ仕事のできる「頼れる右腕」だったのではないでしょうか。なぜ、このような困ったベテランが生まれるのか。人手不足の現場において、店長やマネージャーは、キャリアが長く職場のことを熟知しているベテランに頼りがち。しかし、それがあまりにも行き過ぎると歪みが出てくるのです。「みんなに頼られている」ことが当たり前になりすぎると、どうしても気持ちが緩みます。その結果、「ミスをしても謝らない」「他人の指摘はすべて批判する」といった残念なふるまいが顔を出すのです。それがエスカレートすると、「他人に自分の地位を脅かされること」を危惧するようになります。そうなると「自分の居場所を守りたい」という防衛本能が働き、せっかく入ってきた新人のシフトを横どりしたり、無視したりするなどして、退職に追い込んでしまうことにもつながるのです。24時間営業や年中無休の外食・小売りチェーンなどでは、店長がずっと職場にいるわけにはいきません。むしろ全営業時間で考えれば、店長不在の時間のほうが長いかもしれません。ですから、留守を任せる職場のベテランが「やっかいな古株」なのか「頼れる右腕」なのかで、新人の定着率には天と地ほどの差が生まれるのです。「店長には、それでいいといわれたかもしれないけど、お客様には、こちらから声をかけて接客してください」ある眼鏡ブランド店でアルバイトをはじめたDさんは、副店長にそういわれ「えっ?」と思いました。店長からは「レジまわりの仕事に慣れてから、接客を覚えましょう」と指導されていたからです。この副店長は、赴任してきたばかりの新任店長よりも年上の先輩社員。店長のやり方に納得がいかないらしく、店長が休みの日には、店長の方針と違うことを指示してアルバイトを混乱させることもしばしばあるとのことでした。ベテランが職場のリーダーとして機能する状態をつくる。なかなか難しいことですが、まずは懐に飛び込むことです。「力を貸してもらっている」というスタンスも大切。しかし、関係性ができれば毅然とした態度で臨むこともできます。そして、頼るだけでなく任せること。心配だからと、途中で口出ししたり進捗の確認をしすぎたりすると、「信頼されていない」と思われる逆効果を生みます。リスクはあるけど責任をとるという覚悟。新人に「居場所がある」と感じてもらうためには、まずベテランスタッフが「居場所がある」と感じられる職場づくりが大切なのです。
神事例30副店長の改心で職場が蘇ったラーメン店あるラーメンチェーンで、副店長だったMさんのエピソード。「2人で店をつくり上げてきた信頼できる店長が異動になったため、自分がこの店を任されるのかと思ったら、違う店から店長が異動してきました。正直、なんでオレがこんな店長の下に?と思いましたよ」と、Mさんは当時の心境を語ってくれました。納得のいかないMさんは、スタッフを抱え込み店長を孤立させました。すると、それに反発した店長がハードマネジメントを断行。結果、その店のアルバイト6人全員が辞めてしまったそうです。その後、店長から「腹を割って話そう」と声をかけられたMさん。本音をぶつける前に、店長から「店を助けてほしい」と頭を下げられ、店の仕切りは基本的にすべて任せてもらえることになりました。さらに、店舗運営のノウハウも開示してもらい、店長昇進へのサポートもしてくれるようになったとのこと。Mさんは「これで頑張らないと男じゃない」と大反省。その後、2人で店を盛り立てる体制ができたとのこと。辞めたスタッフも、数人が戻ってきてくれたそうです。
コラム いよいよ本格化する外国人雇用!その成功のカギとは?
2019年4月、改正された出入国管理法が施行されます。政府が、とうとう外国人の受け入れに関する政策を「大転換」したのです。これまでは、「単純労働」分野での外国人就労は原則禁止されてきました。「え?建設現場でもコンビニでも、外国人が働いている姿をいっぱい見ますよね」と思った方も少なくないかと思います。じつは、建設現場や工場で働いている外国人の多くは技能実習生。また、コンビニや飲食店で働いている外国人は留学生なのです。技能実習制度は、技術を習得し母国に帰って役立ててもらおうという国際貢献支援のこと。外国人留学生制度は、文字どおり教育支援のことです。技能実習生とアルバイトの留学生を合わせると約52万人に上り、これだけで、日本における外国人労働者の約4割を占めています。要するに国際貢献や教育を名目に、外国人を安価な労働力として利用しているのが実情だったのです。なぜ、そういったいびつな状況になっているのか。それは、外国人就労政策は移民政策に通じる非常に難しいテーマだからです。安価に雇える外国人が大量に流入することで日本人の仕事が奪われるとか、治安の問題とか、ケアしなければならないことが多い。だからこそ歴代の日本政府はここまで慎重に慎重を期した対応をしてきました。しかし、世は空前の人手不足。これまでは研究者や企業の管理職、専門スキルを持つ人など高度な専門人材にかぎられていた就労目的の在留資格を、単純労働の分野にも広げることはやむを得ないと判断したのです。今回の法改正では、新たな在留資格を設け、人手不足が深刻な分野で就労を認めることになりました。一定の日本語能力や就業分野に関する知識があれば、特定技能1号として最長5年間の在留が認められます。その対象となるのが、介護や建設など14業種。コンビニなど小売業は対象から外れているものの、これまで単純作業と見なされてきた飲食業や宿泊業までが対象に入りました。人手不足に悩むサービス業の本丸にあたる業界で、外国人を雇用できるようになることは、現場にとっては朗報でしょう。そうなると問われるのが、各々の職場でどう迎え入れるのか。本書でも重要だと位置づけてきた「受け入れ力」問題。外国人雇用がうまくいくカギは、まさにここです。そこで、ベトナム人のマッチング事業を手掛けるasegonia代表の井上義設氏に、受け入れのコツを聞きました。ベトナムはここ数年で最も入国者が増えている国です。──来日するベトナム人が増えている理由は?井上2017年には23万人以上のベトナム人が来日しています。彼らは親日派が多いんです。仏教や儒教の国で、宗教観も日本に似ているし、日本の漫画やアニメも大好き。もちろん最大の理由はお金を稼ぎたいから。貨幣価値を比較すると、ベトナムのドンに対して日本円は5倍の貨幣価値です。これは大きな魅力でしょう。──ベトナム人スタッフを受け入れる企業は、彼らとどんなふうに接するべき?井上彼らは基本的に仕事熱心。一方で、誇り高いところがあります。仕事に対してはもちろん、ベトナムという国に対してのリスペクトを忘れないことです。ベトナムの祝日や記念日など、特別な日を把握していると職場の雰囲気がよくなると思います。たとえば、ベトナムには「女性の日」というのがあるのですが、その日に女性スタッフ全員に花を配るという職場がありました。これはうれしいですよね。──ほかにも、同様の事例はありますか?井上あるブライダル企業の例なのですが、ベトナム人のチームをバッシング(片づけ)スタッフとして採用した際、仕事は裏方なのですが、ほかのスタッフと同じように正装のビシッとした制服を貸与したところ、ものすごくモチベーションが上がったそうです。そうしたハートフルな対応は、じつはすごく重要なんですよね。──外国人雇用がうまくいくか否かのカギも、日本人に対するの接し方と同じだと?井上外国人雇用がうまくいっている企業は、シニアや主婦のスタッフのマネジメントもうまくできています。日本人スタッフの離職率も低いところが多いんです。ドイツは、1960年代に、トルコなど多くの国から大量の労働力を受け入れました。当時を振り返る有識者は「ドイツは労働力を呼び寄せたつもりだったが、来たのは人間だった」と語っています。結局のところ、日本人であろうが外国人であろうが、職場での接し方は同じということなのです。
「HRテック」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?「HRテック」とは、クラウドやビッグデータ解析、人工知能(AI)など、最先端のIT関連技術を活用して、人事関連業務を行うサービスの総称です。こうした次世代ツールをうまく活用することができれば、採用定着率や業務効率の向上など、現場にとって大きなメリットがあります。しかし、現場の採用担当者のなかには、デジタルアレルギーの人も多く、最新のテクノロジーに対して及び腰になりがち。そこで、この【特別付録1】では、今、旬のHRテックツール4つをカタログ化。誰にでもわかるよう、超簡単に解説します。
とにかくCMで話題!でも、どんなモノなのかよくわからない「indeed」
「仕事探しはIndeed、バイト探しもindeed♪」最近、テレビCMでよく耳にするフレーズです。このキャッチフレーズから、求人サービスであることはわかるものの、実際、indeedがどのようなサービスなのか、従来の求人媒体と何が違うのかがわからないという人も多いのではないでしょうか。indeedは、インターネットの求人サービスです。ただし従来型の「タウンワークネット」や「バイトル」といった求人サイトとは少し違います。正確には、「求人情報専門の検索エンジン」と表現するのが適切でしょう。indeedは、求人サイト、新聞等のメディア、各種団体、企業の採用ページなど、数千のウェブサイトを巡回して求人情報を収集、独自のAIテクノロジーを駆使して、求職者の検索条件に合わせて一覧表示します。「求人業界のグーグル」といえばわかりやすいかもしれません。創業は、フェイスブックとほぼ同時期の2004年11月。2010年には世界7大陸すべてでサービスを展開する初の求人サイトとなり、現在では50以上の国と地域、28言語での検索に対応する世界最大のオンライン求人サービスへと成長しました。日本でサービスを開始したのは2009年のこと。その後、2012年にリクルートの完全子会社となりました。関係者によると、現在、日本での求人掲載件数は約200万件を超えるとのこと。求人サービス最大手の「タウンワーク」の求人件数が約80万件、求人サイト大手の「an」が約30万件であることを考えても、そのモンスターぶりが際立っています。提供する情報量が多いほど価値が高いという視点に立つと、indeedは、日本の求人媒体のなかで、圧倒的なパワーを持っている、といっても過言ではありません。しかも、indeedは、掲載するだけなら基本的に無料です。アカウントを持ち、求人票をつくれば、情報を無料で掲載できる仕組みなのです。こんな素晴らしいツールを活用しない手はありません。とはいえ、はじめて利用するサイトでアカウントを登録することは、面倒なものです。とくに、デジタルアレルギーの人は、余計にそう感じるのではないでしょうか。毎日、職場で使うストアコンピュータなどは、扱えないと仕事に支障をきたしますが、普段触れることのないデジタルツールでは、なおさらでしょう。しかし、すべきことは、登録して投稿するだけ。しかもタダ。繰り返しになりますが、この最旬最強の採用ツールを使わない手はありません。
アナログな縁故採用のデジタル進化形リファラル採用を支援する「Refcome」
縁故採用は、ベーシックな採用手法として長年重宝されてきましたが、じつは、これが最近注目を集めています。「縁故採用」は、長年入職者経路1位の座を保ってきましたが、1996年に「広告」にその座を明け渡して以降、横ばいが続いていました。しかし、2013年から再び上昇傾向に転じているのです。理由はインターネットです。「紹介」というアナログベースの手法が、「SNS」を使ったデジタルベースの手法へと進化したことで、広がりを見せているのです。これまでは、せいぜい「知人からの紹介」程度でしたが、SNSであれば、「知人の知人からの紹介」など、いっきに輪が広がります。SNSの発達が、紹介による人づての採用活動の利便性・効率性を飛躍的に進化させているのです。紹介による採用が注目を浴びているのには、もう1つ理由があります。それは、離職防止です。人と人との個人的なつながりがベースとなっていることが、採用のマッチング精度を高め、入社後の離職防止にも効果を発揮するのです。紹介なので、候補者の人となりはある程度担保されますし、候補者から見ても、働く職場に対する信頼感がある程度担保されています。この両者の安心感が定着につながるのです。そして、「縁故採用」のさらなる進化形として、最近注目を浴びているのが「リファラル採用」です。リファラル(referral)とは「委託・紹介・推薦」といった意味。そして「進化形」とは、アナログだった「紹介」という採用手法を、デジタルツールで支援するスキームが登場したことを指します。そもそも、縁故採用を成功させるためには、以前からいくつかのハードルがありました。その1つが〝手間〟の問題です。候補者に対する勧誘、その際の条件提示、面接担当への取次など……。縁故採用のプロセスには、紹介者であるスタッフが〝にわか採用担当〟となって採用活動に関与せざるを得ません。これって、従業員からするとかなり手間ですよね(だからこそ、紹介報奨金などが支給されたりするわけですが)。そういった手間を極力軽減する目的で登場したのが「Refcome」というサービス。SNSで拡散するための求人情報の生成、あるいはSNS上で応募を受けつける仕組みをデジタルで支援するクラウドサービスです。まさに、アナログを支援するデジタルのツール。難しいと感じがちなHRテックのなかで、このサービスは非常に簡単。サービスサポートも充実しています。
手間のかかる応募者との面接設定をスピーディに!面接日程調整システム「オートークビズ」
第3章で、「応募者が実際に面接に至る確率は50%以下。応募を無駄にしないためにも迅速な対応が求められている」と述べました。繰り返しになりますが、貴重な応募を面接につなげるためには、とにかく「即レス」「即アポ」が必須です。とくに若い世代には、一般的なメールのやりとりでさえ、「どうしてこんなに時間がかかるのか」と感じる人も少なくありません。LINEなど、チャットでのリアルタイムのやりとりが当たり前なので、「どうして返事に1日以上かかるのか」という不満は、時代とともに大きくなっています。一方、本業で忙しい店長やスタッフにとっては、応募者への対応はそれなりの負担となります。この、採用する側とされる側のギャップを解消できると期待されているのが、急速に進歩を遂げた「チャットボット」という技術。「チャットボット(chatbot)」とは、チャット(会話)とボット(ロボット)を組み合わせた言葉で、人工知能を活用した「自動会話プログラム」のことです。ここで紹介する「オートークビズ」も、このチャットボットを使って面接日程調整を完全自動化するサービスの1つです。「オートークビズ」は、いわゆる、採用管理システムのカテゴリに属するサービスですが、従来のそれとは大きく開発思想が異なっています。とにかく使い方が簡単なのです。これまでの採用管理システムは、機能が豊富な半面、それを使いこなすのが難しいことが問題でした。このオートークビズがこだわっているのが、機能のシンプルさ。応募から面接日程の調整までは自動的に進んでいくため、店長は確認するだけというコンセプトで設計されているのです。担当者がパソコンやスマホで情報を入力する手間やステップを極力少なくし、できるだけボタンをクリックさせないインターフェイスになっています。機能を追加するのではなく、余計な機能を削りシンプルにした結果、採用担当者のITサービスに対する苦手意識を払拭することができたのです。オートマチックに合理化できるところがあるならば、そこはシステムに任せて、店長も人事担当者も、もっと本業に注力する。オートークビズは、シンプルな使い勝手のよさを追求することによって、HRテックがもたらす本来的価値の提供を実現しているのです。
動画面接プラットフォーム「HARUTAKA」
ここで紹介する「HARUTAKA」は、オンラインで面接を行うことができるサービスです。前項で紹介した「オートークビズ」のように、面接日の設定を、自動化するメリットは大きいはずです。しかし、面接そのものは、採用における最もコアなプロセスです。だから私は、当初「オンラインで面接をやってしまいましょう」というITサービスに対して、正直なところ半信半疑でした。前述のとおり、面接はたんなる見極めの時間ではなく、応募者を惹きつけて動機づけするスカウトの時間であったり、入社直後の離職を防ぐための条件確認の時間であったり、さまざまな役割を含んでいるからです。そういった観点からも、やはり実際に会って面接すべきではないかと思っていたのです。しかし、調べていくうち、動画面接には圧倒的なメリットがあることに気づきました。その1つがスピード感です。採用担当者の面接時間を確保したり、応募者との日程調整をしたりするだけでも大変ななか、リアルな面接では面接会場の確保も必要になります。これらすべてが重なるタイミングを探すのには、かなりの労力がかかり、なかなか面接をセッティングできずに終わってしまうケースも実際に起きています。また、応募者が遠方に住んでいる場合、面接に来てもらうのも大きな負担となります。その点、時間や場所の制約がない動画面接は、採用活動をスピードアップさせること間違いなしです。しかも、ここで紹介する「HARUTAKA」は、ライブ面接だけでなく、録画面接という機能もあります。これを使えば、応募者がスマホで録画しておいた面接動画を、採用担当者が時間の空いているときにチェックするというオンデマンドな面接が実現できるため、非常に効率的だといえます。そしてもう一点、動画面接の優れた点があります。それは、応募者の「素」を見極めやすくなることです。一般的に動画が伝えてくれる情報量は、ウェブサイト3600ページ分といわれています。文字と写真だけの履歴書が教えてくれる人となりと比較して、圧倒的な情報が得られるわけです。「いやいや、それは履歴書比較の話でしょ。やっぱり実際に会って面接しないと、応募者の人となりはわからないでしょ」という声も聞こえてきそうです。しかし、緊張感いっぱいの面接で、素の自分を出しきることは、難しいものです。とくに、最近の若者はリアルコミュニケーションが苦手。ユーチューブやTikTokへの投稿に慣れ親しんでいる世代にとっては、むしろ動画による自己表現のほうが、よほどリラックスして「素」を出せるのかもしれません。もちろん、オンライン面接で採用を決めた場合は、「動機づけ」のための時間を別途設定することをお忘れなく。
第3章で、応募から面接に至る採用プロセスに関する神ワザとその重要性について解説しました。応募を受けつけたり、面接をしたりという採用のプロセスは、求人媒体や求職者からの応募など「他力」に頼るプロセスとは違い、自らの対応しだい、つまり「自力」で結果が変わります。このプロセスを磨くだけでグッと成果が上がるのです。そこで、本編のなかでも触れた、採用強者に近づくためのサポートツールを【特別付録2】としてまとめました。忙しいあなたに、そのまま使っていただけるよう、すべてダウンロードできる仕様になっています。ぜひご活用ください。
「採用お助けツール」とダウンロードの方法ついてここまで、アルバイト採用に関するさまざまなメソッドを解説してきました。そのなかで、いくつかのツールを紹介しました。ここでは、そのなかから、汎用性の高い次の5つのツールと、本書で解説した内容を、あなたの職場に落とし込むためのチェックシートを公開します。❶面接予約受付シート❷応募者電話対応マニュアル❸応募受付FAQ(問合せ対応集)❹理想的な1時間面接シナリオシート❺面接採点表❻応募受付・面接・出勤初日完全チェックシート❺の「面接採点表」は、本編では紹介していませんが、面接時に応募者を見極める際、役に立ちますのでご活用ください。❻の「応募受付・面接・出勤初日完全チェックシート」は第3章、第4章で解説した内容を、実践できているかを確認するためのチェックシートです。ぜひ、本書を〝読んだだけ〟で終わらせず、日々のお仕事に役立てていただければと思います。ダウンロードの方法「採用お助けツール」のダウンロードは次のURLから行えます。http://www.kankipub.co.jp/pages/kamisaiyo.zip/職場やご自宅のパソコンにダウンロードし、プリントアウトしてご活用ください。
❶面接予約受付シート神採用16参照とにかく「即レス」「即アポ」。本編で何度もお伝えしましたが、そのために役立つのがこの予約受付シートです。スタッフが慌てずに対応でき、応募者を待たせ、イライラさせてしまうことも防いでくれます。ここで重要なポイントは、面接官の日程確保です。このシートに、面接候補時間をあらかじめ書き込んでおけば、応募者とのファーストコンタクトで、確実に面接の予約をとりつけることができます。忙しい店長が面接官であることが多いでしょうから、事前の日程確保はなかなか難しいでしょう。しかし、ここが勝負の分かれ目といっても過言ではありません。なお、応募者の個人情報管理には細心の注意を払ってください。
❷応募者電話対応マニュアル神採用17参照職場でのオフィシャルな電話対応は、とかく緊張するものです。基本的なマナーや質問事項など、応募者との間で発生するやりとりを記した「台本」のようなマニュアルを準備しておくと、アルバイトスタッフでも安心できますよね。あまりにも細かくしてしまうと、覚えるのが大変なので、最低限のやりとりで構成するほうがいいでしょう。これを用意するだけで「必要なことを聞き忘れた!」というミスを防げますし、キャリアの浅いスタッフでも、自分で対応できるようになります。誰かに取り次ぐことなくスタッフ全員が面接設定まで対応できる。応募者を待たせないためにも、あるいは職場の生産性を考えても、これは大事なポイントといえます。
❸応募受付FAQ(問合せ対応集)神採用17参照応募者とのやりとりがスムーズにいって、さっくり面接の設定までこぎつけることができればありがたいのですが、そうはいかないケースも当然ありますよね。不意な質問をされれば、あたふたしてしまうのも無理はありません。対応マニュアル以外にも、よくある質問に対して回答を用意しておくと、さらに安心感が増します。なお、FAQは、応募者対応用にわざわざ作成する必要はありません。FAQが最も必要になるのが面接時。面接でよく聞かれる質問に対しての回答集を準備することは必須ですから、それを応募者対応のシーンでもそのまま使えばけっこうです。また、募集条件について聞かれることも多いでしょうから、求人広告をコピーしたり、採用ホームページをプリントアウトしたり、募集時の情報を手元に置いておくこともおすすめします。
❹理想的な1時間面接シナリオシート神採用19参照「面接は、採用プロセスにおいて極めて重要。1時間はかけるべし!」とお伝えしました。そして、その1時間の過ごし方についても、簡単なフロー図で解説しました。この面接シナリオシートは、理想的な1時間を過ごしてもらうために、より具体的なトーク例をまとめたものです。前半の「見極めタイム」はもちろんですが、後半の「動機づけタイム」はとくに重要。お給料以外の職場の魅力を、応募者の興味に照らし合わせて、やりがいとして伝えることができるか。これができれば、グッと採用確率は上がりますし、辞めにくくもなります。ぜひ、参考にしてください。
❺面接採点表面接における採用基準については、本編では触れていません。〝面接では選ぶのではなく、選ばれる意識が重要〟ということをしっかり理解していただくためにも、あえて応募者を選別するノウハウについては解説しなかったのです。しかし、せっかく採用できたものの、「あれ?こんなはずでは……」となってしまったら、こんなに残念なことはありません。採用基準があいまいだったり、面接で話した内容をよく覚えておらず、第一印象の記憶しかなかったり……。こういった不備をなくすためにも、採用基準を明確にすることと、面接時に評価を記録することをおすすめします。そのためのお助けツールがこの面接採点表。あらかじめ決めた採用基準を記載しておき、その項目を判定できるようにしておくと便利です。また、評価の記録は、できるだけ面接が終わってすぐに行ってください。
❻アルバイトの応募受付・面接・出勤初日完全チェックシート最後に収録したのは、採用プロセスにおいて実践すべき項目をまとめてチェックできるシートです。本書でお伝えした神ワザはもちろん、それ以外の大切な項目も網羅的に確認できるよう、応募受付から面接、そして出勤初日まで34項目をピックアップしました。かなり細かいチェックシートではありますが、せっかくの貴重な応募を、採用・定着につなげるために実践すべき項目ばかりです。1つでも多くマルがつくよう、頑張ってください。このチェックポイントをきちんと実践できれば、採用率、定着率は劇的に改善するはずです。
おわりに最後まで読んでいただき、ありがとうございました。地元のカフェで、最後の原稿を書いています。このカフェは、けっこう集中しやすいロケーションで、休日の原稿書きによく使わせてもらっているのです。ふと集中力が途切れた瞬間、人の話し声が耳に入ってきました。カウンターに陣取ってパソコンをカタカタ叩いている私の背後で、面接が行われていたのです。このカフェに応募してきたアルバイトの面接のようです。聞き耳を立てていると、このカフェはどうやら個人店ではなく、近隣に4〜5店舗ほどを展開しているチェーン店で、面接官は店長のさらに上の立場とおぼしき本部の人。ひょっとしたらオーナーかもしれません。俳優の吉田鋼太郎に似た中年男性です。この面接官が、次から次に応募者をさばいていました。そう。まさに……さばいていたのです。「店舗は、A店が希望なんだね。今後、B駅に新店が出るんだけど、そっちじゃダメ?」「職種はホール希望か……。厨房は?興味ない?料理覚えられるよ!」彼は、人手の薄い店舗と職種へのコンバートが可能かどうかにしか興味がないようでした。そのポイントだけを確認して「じゃ、あとで連絡するから!」といって、次々に応募者を帰していきます。所要時間は10分もかかっていなかったのではないでしょうか。でたッ!塩採用!私は思わず心のなかでつぶやきました。本書でお伝えした「神採用」の対極にある接し方。まさに、「塩採用」としかいいようがありません。このお店は、雰囲気もいいうえに食事も美味しく、なかなかいいお店です。しかし、スタッフの入れ替わりが本当に激しい。大学生のアルバイトが中心なのですが、いつも新人さん状態なので、サービスレベルが安定しません。「残念だなぁ」と常日頃から思っていたのですが、これで納得しました。こんなしょっぱい面接をやっていたら、すぐに辞めてしまうでしょう……。このタイミングで、本書ができていたら、この吉田鋼太郎似の面接官に、今すぐ渡してあげるのに……。ちょっと間に合わなかった。残念です。しかしこの光景に立ち会い、本書が世のお役に立てればと、より奮い立つものがありました。こういった塩採用は、他人事ではありません。むしろ、実際の採用現場においては、塩採用派が圧倒的多数を占めていることでしょう。もしかしたら、あなた自身も気づかぬうちに塩採用をしているかもしれません。ぜひ、本書の内容を日々の採用活動に生かし、「神採用」を実現してください。本書でお伝えしてきたとおり、アルバイトの採用と定着に関する問題は、ちょっとした工夫やひと手間で劇的に改善します。ニッポンにはびこる塩採用が、オセロのように1枚ずつ「神採用」に裏返っていく。本書が、そのお手伝いをすることにつながるとしたら、こんなにうれしいことはありません。
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