ドーパミン復活禁煙法目次 1. 150回以上の禁煙失敗 2.喫煙は深刻な問題 3.何故タバコを吸うのか 4.タバコを吸う理由 5.タバコをやめたい理由 6.何故やめられないのか 7.タバコに依存するまでの流れ 8.感情のテーブル 8- 1.楽しみのテーブル 8- 2.ストレスのテーブル 8- 3.悲しみのテーブル 9.対処方法のわからない不安感はすべてに勝る 10.世間一般に信じられている禁断症状 11.禁断症状は寝ている時や電車の中と同じ程度のもの 12.必要なドーパミン、不要なドーパミン 13.ドーパミンの過剰放出による影響 14.これまでのおさらい 15.物理的な禁断症状は 3日で消える 16.認知行動療法について 17.あなたの脳内プログラムを理解しよう 18.「タバコが吸いたい」と感じるまでの思考の流れ 19.認知行動療法による禁煙手順 20.永遠の安心感を手に入れる説明書 1. 150回以上の禁煙失敗本書の冒頭で禁煙の素晴らしさ、つまりタバコに支配されない生活の素晴らしさを語ることに何の意味もないことは、今の私にははっきりとわかっています。また、肺癌になるとか、息が臭くなるとか、免疫が落ちるとか、お金がたまるとか、そんな話をいくらしたところで、禁煙の動機には全くならないことも理解しています。私がそう言いきれるのには理由があります。何を隠そう私は、少なくとも私の知る限りでは禁煙失敗の最多記録保持者だからです。その回数、実に 150回以上。この回数を聞いて、信じられないと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、事実なのです。また、もしかしたらこれ以上の回数禁煙に失敗しているという方も中にはいらっしゃるかもしれません。もしそんな方がいらっしゃるのであれば、私がこれから話す内容は、そんな方だからこそ、禁煙成功の最後の鍵になると確信しております。ですが、ここで私が申し上げたいのは具体的な禁煙失敗の回数のことではなく、それほど喫煙問題は複雑だということです。ここまで聞いて、禁煙には気の遠くなるような道のりが必要だと思われるかもしれません。ですが実際はその逆。実は、禁煙は正しい理解さえあればとても簡単なのです。私が自身の禁煙失敗談を敢えて話したのは、禁煙継続の絶対的な鍵が、今の世界に存在していなかったという事実を強調したかったからなのです。もちろん、優れた書籍は存在します。その中でも特に私が素晴らしいと感じたのは毎年ベストセラーになるほどの禁煙書籍で、イラスト版、 CD版なども含め全種類何度も読み返し、聞き返し、更には DVD版も購入し何度も繰り返し視聴した経験がございます。この他にもありとあらゆる書籍を読み漁り、「これは!」と思う本に関しては 30回以上も読破し、その度に「なるほど!」と納得したものです。ですが、私はその上で禁煙に何度も失敗してきたのです。これは強調しておきたいのですが、私が何度も繰り返し読んだ書籍は本当に素晴らしいものばかりでした。毎年これら先人の画期的な方法論により何万人もの人が禁煙に成功し、タバコに縛られない自由で健康的かつエネルギッシュな生活を手に入れていることも事実です。ですが、私は失敗しました。良いときで一年間成功したこともあるのですが、仕事が忙しい時期に再喫煙し、それでもやめたい気持ちが収まらず、何度も本を読んではタバコを捨て、そしてまた再喫煙という地獄の無限ループにはまりこんでいったのです。はたからみれば病的と思えるでしょうが、私は自身が完全に異常な精神状態にあることも自覚しながら、それでもタバコをやめることができなかったのです。失敗に次ぐ失敗を繰り返し、気付けば最初の禁煙から既に 4年が経過していました。直近で再喫煙してしまった時には、もう自分に禁煙は不可能だ、世の中にある最高の書物と、最高の禁煙メソッドをすべて身に付けた上で失敗したのだから、もう成功するわけがないと、人生のすべてが嫌になり、半ば自暴自棄になっていたように思われます。常に憂鬱に苛まれ、もういっそ一生タバコに縛られたまま生きようかとさえ思えるまでに、私の精神は完全にタバコに支配されていたのです。ところで、今まで多くの禁煙書籍を読んだことのある方であれば、「あの本の二番煎じでは?」といったような不安が芽生えた方もいらっしゃるかもしれません。ですがご安心ください。私は 150回以上の禁煙失敗の中でそれらの書籍を繰り返し読破しているため、何らかの既存書籍と論調が似てしまう部分も多少あるかとは思いますが、本書の方法論は、それらの優れた書籍を完全にインプットしたうえで提案する、まったく新しい禁煙法です。また、結果的に既存の書籍と同じこと言っていると感じる部分もあろうかと思いますが、それは「インフルエンザは高熱が出る」という事実を誰しもが共通して語るように、真実は真実としていたずらに捻じ曲げてはならないからです。ですが、それらの揺るぎない真実と独自の発見、方法論を完璧な順序で構成することで、本書は世界で初めてタバコのからくりを完全に解明し、そして苦しい思いを一切することなく誰しもが禁煙できる唯一の方法に辿り着くことができたと確信しております。さて、話を元に戻しますが、私は度重なる禁煙の末に 150回以上もの禁煙失敗を繰り返し、最終的には一生タバコがやめられないのではと考えるまでになっていました。しかし、私には吸い続ける選択肢がなかったこともまた事実です。私は禁煙失敗を誰にも話すことができなかったのです。身内や友人は私が四年前に禁煙したと信じておりましたし、一年間禁煙に成功したときには自信満々に禁煙の素晴らしさを多くの人に語ってしまっていました。今さらタバコをやめられていない事実を打ち明けたら、家族をどれほど悲しませてしまうか、またあれほど自信満々で語っていた自分がどれほど愚かに見られるか、そう考えると打ち明けるのはあまりに恐ろしく、こんな思いをしながら生きる人生が想像できなくて、どうしても禁煙を諦めることができなかったのです。タバコがやめられない、でもやめなければならない、永遠に続くこの葛藤の中、もはや私の心はがんじがらめで、自分でもどうすればいいのかわからなくなっていました。しかし、そんな私に転機が訪れます。それは自分でも信じられないくらい突然の出来事でした。憂鬱な気持ちを抱えながら車を運転していると、突如あるひらめきが舞い降りてきたのです。ひらめきとはこういうことです。つまり、いままで禁煙に失敗する度に、次はもっと落ち着いた環境で禁煙本を読めば成功するとか、早朝の頭が冴えた状態で読めば成功するとか自分に言い聞かせていたのが実は全く
の間違いで、まだ誰も気付いていない、禁煙成功の最後の鍵がどこかにまだ眠っているのではないかと気付いたのです。そこで私は今まで自分が得てきた禁煙に関する全知識を書き出し、持っている禁煙書籍及び DVDを徹底分析することにしました。すると、いままで全く見えていなかったものが明らかになったのです。そして、それこそがすべての人間を禁煙成功に導く、最後の鍵だったのです。この時の私の気持ちは、とても言葉では言い表せません。 150回以上も禁煙に失敗し、もう喫煙地獄から解放されるのは無理かもしれないと諦めかけていた私に、神様が最後のチャンスを与えてくれたのだと確信しました。そして、その経験を一人でも多くの人に伝え、かつての私のようにタバコでがんじがらめになっている人々のお役に立ちたいと、心の底から思ったのです。繰り返しになりますが、私は 150回以上禁煙に失敗しました。ということは、見方を変えれば私は四年もの月日をかけて 150パターン以上の禁煙失敗ケースをすべて身を持って体験し、その末に答えを導きだしたということなのです。また、この 150回のうち、精神力でやめようとしたのは最初の一回のみで、それ以外はすべて禁煙に関する何らかの本を読んだり、 CDを聞いたり、 DVDを見たりして行ったことも事実です。つまり私は、結果的に現存する数多くの禁煙メソッドを完全にインプットし、ありとあらゆる禁断症状と禁煙失敗の理由、また禁煙初日、三日後、一週間後、三か月後など禁煙継続期間中の症状をそれぞれ分析した上で、それでもまだ足りない部分を見つけ出すことに成功したのです。そして、それらの知識を総動員して禁煙をより完璧なものにする、独自の方法論を構築するに至ったのです。私は医師でもなければ、禁煙専門家でもありません。何の肩書も持たない
ない単なる一個人です。ですが、私は一個人であったからこそ、利害関係に縛られることなく客観的な目で世の喫煙問題を見渡し、また偉大なる先人たちの作り上げた禁煙メソッドを素直な気持ちで受け入れてこられたのだと思っています。何の肩書も持たない人間がおこがましいということは重々承知しております。ですが私は、かつての私のように喫煙地獄の中でもがき苦しむすべての方々のお役に立ちたいのです。ですから、全面的に私を信じてくれということは今の段階ではとても申し上げることができませんし、そんなことを言ってしまえばかえって不信感を抱かせてしまう結果になることも理解しているつもりではありますが、その一方で、私がこれからお話しする内容にはすべて根拠があり、そしてどのような状況に置かれている人にも有効な、極めて効果的な禁煙方法であるとも確信しております。ですからどうか本書を、できれば素直な気持ちで、最後まで読んでいただきたいのです。これは私の本心からの切実なお願いです。あなたの貴重な時間を、ほんの少しだけ私にください。必ず皆様を禁煙に導くことができる絶対的な自信は、どれほど私が謙虚になろうとしても、一切ゆらぐことがないのです。また、先に申し上げておきますが、本書で紹介する禁煙法は、紙とペンを持ってこんなことを書きなさいとか、毎日何分歩きなさいとかいう具体的な行動をいくつも組み合わせて行うような複雑なものでは一切ございません。しかし、必ず守っていただきたいルールがあります。それは、 ①この本を読み飛ばさず、 2日以内に読破する ②読み終わったら最後の「永遠の安心感を手に入れる説明書」の章を定期的に読み返す ③本書を捨てないという 3点です。尚、「永遠の安心感を手に入れる説明書」の章が莫大なページ数をさいているということはありませんので、この 3点は非常に簡単なルールと言えます。また、 ②で「定期的に読み返す」と書きましたが、実は、本書を素直な気持ちで読み進め、心から納得していただければ、一度読めば永遠にタバコから解放されるのです。では、何故「定期的に読み返す」ことを推奨しているのかといえば、どんな状況でも常に「安心感」を手にいれていただくためです。意外に思われるかもしれませんが、禁煙を最も難しくしているものは何かを突き詰めていくと、「またタバコを吸ってしまったらどうしよう」という不安感であるという結論に達します。この「安心感」と「不安感」について、最初になんとなくでも理解していただくことが本書を読み進む上で極めて重要となりますので、ここで一つ例え話をさせていただきます。まず、あなたがとある重い病気にかかったと想像してください。この病気にかかると常にだるく、憂鬱な気分が継続し、集中力が低下します。また、今まで楽しかったことがすべてつまらなく感じるようになり、最終的にはどんよりした日常を経て死に至ります。風邪やインフルエンザのように時間が経てば完治するかといえば決してそういうわけではなく、一生この病気と共に生きる人も少なくありません。また確実に寿命を縮める病気であるということはわかっているのですが、発症から死までの期間は人によって大きく異なっており、この病気を抱えたまま長生きする人はむしろ耐え難い苦痛を長期間強いられることになりますので、どう転んでも人生を悲惨なものにする恐ろしい病気であることに変わりはありません。あなたの心はこの病気に対する恐怖心でいっぱいです。そんなある日、この病気を三週間で治す特効薬が開発され、全国のドラッグストアで一斉販売されたというニュースが流れます。しかも非常に安価で、正しく服用すれば副作用も一切ないという正に奇跡の薬です。もはや選択の余地はありません。今すぐにでもこの薬を試したいと思うでしょう。しかし、この薬の飲み方にはちょっとした注意点があります。薬は錠剤なのですが、朝に 1錠、昼に 3錠、夜に 2錠を食前に水で飲んでいただき、服用後は大きく深呼吸を 5回した上でもう一度水を飲まなければならないのです。うっかり間違った飲み方をしてしまうとその後の効果はすべて無効となる可能性が高く、一生この病気を治癒することはできなくなるかもしれません。さて、ここであなたがこの薬を服用するために絶対必要なものは何でしょうか。もちろん、説明書です。この薬の飲み方を記した説明書が常に手元になければ、どんなに服用方法を暗記しようとも、必ず不安が生まれてしまうはずです。さて、すでにお気づきになられた方もいらっしゃるかもしれませんが、実は
実はこの不安感こそが、「またタバコを吸ってしまったらどうしよう」という気持ちに似た不安感なのです。たとえスパッとタバコをやめる方法があったとしても、それを継続するための説明書が常に手元になければ、いつどのタイミングで再喫煙してしまうか不安を抱え続けることになるかもしれません。ですが今、あなたの手元には説明書があります。それも先ほどの薬の飲み方よりもっと簡単で、うっかり忘れても捨てさえしなければ何の問題もない、やさしい説明書です。それが本書であり、また「永遠の安心感を手に入れる説明書」の章なのです。説明書さえ手元にあればいつでも安心して薬を飲めるように、禁煙も説明書さえ手元にあれば安心して継続できるのです。難しく考える必要はありません。基本的には本書が手元にあるだけで一定の安心感は得られますし、定期的に読み返せば更に安心感は絶対的なものとなります。人間は忘れる生き物です。ですが、忘れてしまうことへの不安は本書を捨てさえしなければ永遠のものになります。そして、あっという間に読み返さなくても自然と禁煙が楽にできている自分に気が付く瞬間がすぐに訪れるはずです。一生復習する必要はありません。長くても 3週間の間、定期的に「永遠の安心感を手に入れる説明書」の章を読み返していただければ、永遠の禁煙生活が手に入ったと確信できるでしょう。そうなれば、もはや読み返す必要もありません。前置きが長くなりましたが、いよいよ本題です。私はこれからあなたの心に巣食うタバコへの認識を一つ一つ正しい認識へと変えていきます。無理に理解しようと緊張することはありません。私は普段、小学生からご年配の方まで幅広い年齢層に向け、日本の食糧問題や農業事情について説明したり、時には講演をする仕事をしておりますが、常に意識していることは、相手の理解力に関わらず、その場にいるすべての人たちにちゃんと要点が伝わる話をするということです。一人たりとも取り残されて辛い思いをしてほしくないのです。何故そうしているのかといえば、私自身が、幼少期より理解力が乏しく、授業や実習でクラスのみんなに取り残されてきた辛い経験があるからです。また、そういった経験を積み重ねてきたことによって、「よく理解できない」とはどういうことなのか、身をもって学ぶことができたという自負もございます。もしかしたらその理解力の乏しさ故、 150回以上も禁煙に失敗してきたのかもしれません。ですが、そんな私でも禁煙できたのです。そんな私でも禁煙できた方法が本書の禁煙法なのです。読み進む途中で理解できているかどうか不安になったとしても、心配ありません。また、今の段階で本当に禁煙できるかどうか不安に感じたり、もしくはやっぱりタバコを手放すのは惜しいと感じたりするのは自然なことです。あなたはただ本書を読み進むだけでよいのです。それだけで、要点はしっかりとあなたの潜在意識に刷り込まれていくはずです。そして、最後の章、すなわち「永遠の安心感を手に入れる説明書」を読み終える頃には、絶対に禁煙できると確信を持つことができるはずです。ですからどうか最後まで読み進めてください。大きな変化は、想像もつかない状況であればあるほど起こりやすいものなのです。さぁ、一歩前へ踏み出しましょう。今からあなたをタバコに縛られない自由な世界へとご案内いたします。どうか最後まで禁煙プロセスをお楽しみください。 2.喫煙は深刻な問題具体的な話をする前にまずはっきりとさせておきたいのが、タバコをやめられないということが非常に深刻な問題であるということです。例えば家の隅で火のついたろうそくが倒れて、少しずつ燃え広がっていたとします。確かにその段階では大きな火事とは言えないかもしれませんが、では火がまだ小さいからといって、その状況を深刻ではないと言い切ることはできるでしょうか。もちろん、そんなことはできませんよね。火は確実に燃え広がっていきますし、放っておけば家が全焼するかもしれません。私は喫煙行為もこれに似ていると思うのです。吸いはじめの頃はまさか自分が一生吸い続けることになるとは思わなかった人も、気付けば何をするにもタバコが手放せず、やめると考えただけで恐ろしいと思える段階にまで達します。タバコが肺癌のリスクになりうるとか、寿命を縮めるとかいう様々なデメリットは誰しもが自覚しているのですが、それでもいきなり癌になったり急死したりするわけではないので、重大な健康問題が発生しない限り、恐怖心から目をそらすことも可能です。しかし、タバコの害は確実に体に広がりつつあるのです。
です。そう、最初は小さかった火種が、徐々に家全体に広がり、最終的にはすべてを燃やし尽くしてしまうように。喫煙行為は、この燃え広がる火に気付かず、もしくは気付かないふりをして今まで通りの生活を送ろうとする行為に似ています。それがいかに危険で、人間にとって不自然な行為であるかは、言うまでもないことでしょう。そして、その先には必ず全焼、つまり死が待っています。それも通常の死に方ではない、癌や呼吸器疾患など、様々な苦痛を伴う最期です。では、このリスクを回避するにはどうすればよいのでしょうか?もちろん、火が小さいうちに消火すれば良いのです。更に、火事と違ってタバコは気付いた段階で消火活動を始めれば、その火種を完全に消し去ることは簡単です。また、家は一度燃えてしまえば元に戻りませんが、人間には自己回復能力が備わっていますから、例え喫煙によって重い病を患っていたとしても、タバコをやめさえすれば体は回復に向かいます。もう手遅れ、という段階は存在しないのです。ですが、そのためには消火方法を知らなければなりません。どんな火事でも、間違った方法で消火活動を行えば、更に事態を悪化させることにもなりかねません。そして、その消火方法こそが本書で紹介する禁煙法なのです。この方法はどんなに火種が大きくなった喫煙者に対しても有効です。むしろ、火種が大きければ大きいほど消したときの安心感も大きくなりますので、うまくいけばヘビースモーカーの方が楽に禁煙できるかもしれません。いずれにせよ、喫煙年数、年齢、性別、職業に関わらず、私の禁煙方法は有効です。また、本書はいたずらに不安を煽ったりショックを与えたりするものでは一切ございませんので、安心して最後まで読んでいただけることも先に申し添えておきます。読み進むうちに、その理由がはっきりと見えてくることでしょう。失うものはなにもありません。喫煙者は「もし本当に禁煙できてしまったらどうしよう」という一見矛盾するような不安も心のどこかに必ず持っているものですが、その不安でさえ、本書を最後まで読めば嘘のように消えてしまうはずです。火種が消えて、もう家が全焼することはないと思えたときの安堵感と同様、禁煙できたときの安堵感も万人に共通するものだと私は信じております。あとは読み進む勇気さえあれば、あなたもきっとこの安堵感を手に入れることができるでしょう。タバコから解放されるというのは、常につきまとう不安から解放され、本物の自由を手に入れるということなのです。 3.何故タバコを吸うのかでは本題に入っていくことにしましょう。ここで具体的な禁煙方法をいきなりお話ししてもよいのですが、本書の目的は一から禁煙を楽しんでいただくことにあります。この本を読み終わった後には禁煙は辛くないだけでなく、本当に楽しいものだと理解していただけることと確信しております。ですがその為にはタバコについての正しい理解が必要です。例えば目の前にとても美味しそうな料理が用意されたとします。お腹はペコペコ。すぐにでも食べたいと思うのですが、料理人から「この料理は一時間待ってから食べてくれ」との指示があり、椅子に座ったまま待機することを強いられます。既に空腹は限界なのに更に一時間も待たされるなんて。それは大変な苦痛を伴うはずです。こんな状況でいくら欲求を回避する方法を学んだとしても、なかなか食べたい気持ちがおさまらず、ストレスは溜まっていく一方でしょう。それでも我慢すれば、料理にありつける。そう思ってじっと我慢するのですが、時計を見たらまだ 10分しか経っていません。食欲旺盛な人ならパニックを起こすかもしれないほど残酷な時間ですよね。しかし、ここで料理人から種明かしがあります。なんとその料理はプラスチックでできた食品サンプルだと言うのです。どうでしょう?その瞬間に欲求は消え失せ、全く食べたいと思わなくなるのではないでしょうか。つまり、目の前の食べ物が本物だと信じながら欲求を回避する方法を学ぶのと、単なる食品サンプルだとわかった上で欲求を回避することは、全く別物なのです。仮に「もしかしたら食品サンプルというのも嘘で、本物の料理かもしれない」という気持ちが多少残っていたとしても、「絶対に美味しい料理だ」と信じているときに比べればその欲求は大したことありません。本書の禁煙手順もこれとよく似ています。つまり、タバコのが楽しいとかストレスを解消してくれるといった思い込みを完全に捨て、それらが全て嘘だったと理解していただいた上で、タバコに対する欲求を回避する方法論を展開していく
のです。目の前の料理が本物の美味しい料理だと信じている状態、すなわちタバコは楽しくてストレス解消してくれると思い込んでいる状態で欲求を回避する方法をいくら学んだところで、次から次へと欲求が生まれてしまうのは当然です。そして、結論から話してしまいますと、実はタバコが楽しみとかストレス解消になるとかいうのはすべて全くありもしない単なる錯覚なのです。ですから本書では具体的な方法論をお話しする前にタバコの正体を明らかにしていきます。すると、食品サンプルを食べたいと思わないのと同様に、タバコを吸いたい気持ち自体が起こらなくなっていきます。その上で、万が一タバコを欲した時の対処法を学べば、禁煙はより完璧なものとなるでしょう。まだどういうことか理解できなくても大丈夫。読み進むうちに、不思議なくらいタバコに対する欲求は消えていくはずです。それではさっそく、タバコとはいったいどういうものなのかを解き明かしていきましょう。 4.タバコを吸う理由先ほど、タバコが楽しいとかストレス解消になるとかいうのは全くありもしない錯覚だというお話をしました。タバコの正体がわかれば、食品サンプルを見る目と同じ目でタバコを見ることができるようになります。つまりタバコを欲しなくなるのです。ですが、いきなりそんなことを言われても信じることはできないでしょう。タバコの正体を見破るにあたって、まずは皆さんがタバコを吸いたいと感じるときはどんな時か、考えてみましょう。リラックスしたいときストレスを感じたとき集中したいとき単純に吸いたいと思ったとき食事や飲み会など、楽しいときやる気を出したいとき勇気が必要なとき口寂しいときショックを受けたとき目を覚ましたいとき電話に出るときなどなど。この他にも思い当たるシチュエーションがあれば挙げられるだけ挙げてみてください。本当にたくさんの場面でタバコが必要だと感じていると思います。それらはすべて、あなたが何らかのメリットをタバコに感じている証拠です。タバコはリラックスさせてくれるとか、ストレスを解消してくれるとか、そういったメリットを信じているからこそ、ありとあらゆる状況下でタバコが必要だと感じてしまうのです。では、これらのメリットは本当にタバコに備わっているものなのでしょうか。答えはすべてノーです。このような一般的にメリットと信じられている効果は一切ありません。今の段階では全く信じられなくて当然。本書の後半でもう一度同じ質問をします。その時にはすべてノーである理由がはっきりわかるでしょう。それと、もうひとつ気付いていただきたいのは、相反する複数の作用がタバコにあると思われている点です。例えばリラックスしている時とストレスを感じている時というのは全く正反対の状況です。虫歯とインフルエンザを同時に患っているときに痛み止めを飲んでも、虫歯の痛みはおさまるかもしれませんがインフルエンザは治りません。すべての症状に効く万能の薬など存在しないのです。好きな音楽を聴くことでストレスを緩和したりリラックスしたりしているという人でも、口寂しいときや電話に出るときにも音楽を聴きたくなるという人は稀なはずです。では何故タバコだけは様々な症状に効くと思い込んでしまうのでしょうか。まずはその謎を解き明かすことこそが、禁煙の第一ステップだと思ってください。ちなみに、先に申し上げておきますと、タバコの持つ作用は誰に対しても共通です。これについては後程詳しく説明しますので、ここでは結論を述べるにとどめさせていただきます。タバコの作用は一つなら、何故人はタバコに対して様々なメリットを感じてしまうのか。その疑問を胸に、次はタバコのデメリットについて考えてみましょう。 5.タバコをやめたい理由タバコを吸う理由として、タバコが必要と感じる様々なシチュエーションを考えていただきました。タバコになんらかのメリットを感じているというのはすべての喫煙者に共通する事実であることは明白です。なんのメリットも感じていないのであれば、誰もタバコなど吸わないはずですから。
から。ですが、本書を読んでいる方はタバコをやめたいわけです。タバコをやめたい理由はなんでしょう?これも思いつくだけたくさん挙げてみてください。健康に悪いからお金がかかるからだるくなるから活力が奪われるから疲労感が抜けないから吸えない場所でイライラするから息が臭くなるから副流煙で周りに迷惑をかけるからなどなどこれもまたたくさん挙げられると思います。しかし、先ほど挙げたメリットと異なる点は、これらがすべて事実であるということです。こちらは恐らく誰も疑わないでしょう。では、もし私が先ほど挙げたタバコのメリットがすべて嘘だと証明できれば、あとに残されたのはデメリットしかないということになるのではないでしょうか。当然そうなりますよね。当たり前すぎて馬鹿にしているように思われたかもしれません。ですが、問題の核心は正にそこ。タバコの罠は当たり前のことを当たり前として見ることができなくなるようにできているのです。早く結論を知りたいと思うかもしれませんが、禁煙は気合いや根性、意志力で成功するものではなく、正しい理解が必要不可欠となります。ですからもうしばらく、私の話にお付き合いください。きっとある段階からタバコの正体が見え始め、早く禁煙したくてたまらなくなる瞬間が訪れるはずです。 6.何故やめられないのかタバコのメリットは信じているにせよ、それでもタバコのデメリットも喫煙者はしっかりと自覚しています。だからこそ禁煙したいと思う人が大勢いるわけですし、本書を手にとっていただいているわけですよね。その一方で、タバコをやめようとする時、心の中にはタバコを吸っていて楽しかった記憶や、タバコが勇気を与えてくれたことなどが思い浮かんで、誰しもが不安になります。だから、禁煙したい気持ちの裏でタバコを吸い続けたいという気持ちが生まれ、この相反する気持ちの真ん中で葛藤が始まり、にっちもさっちもいかなくなるのです。タバコは健康に悪いし日々のストレスの原因にもなっているのはわかっているけど、タバコをやめたら今までの通り楽しめなくなりそうだし、いざ困難に直面したときタバコ無しでどう対処すればよいのかわからない、といった具合ですね。今まで禁煙したことのない人は未知のものに対する恐怖かもしれませんし、既に禁煙した経験のある人なら、その時の苦しさがトラウマになっているからかもしれません。また、世の中には「禁断症状は耐え難いがたい苦痛である」という情報が蔓延していますから、タバコをやめたい気持ちとは裏腹に、タバコを失った生活への不安感や禁断症状への恐怖が大きくなって、結果的に禁煙を先のばしにしてしまうのです。ここで少し考えていただきたいのですが、タバコをやめたときに生じる禁断症状は本当に耐え難い苦痛を伴うものなのでしょうか?多くの人がタバコをやめると禁断症状に苦しまなければならないと思い込んでいます。どんな症状があるかと聞けば、吸いたくてたまらなくなる、手が震える、憂鬱になる、禁煙鬱になる、ストレス解消できない、眠くなる、などなど、数え切れないほどの症状が挙げられることでしょう。こう聞くと、禁断症状は本当に多種多様で、そのうちの何が起こるか常に不安に感じながら過ごさなければならないと思われるかもしれません。ですがご安心ください。今の段階では信じられないかもしれませんが、実は禁断症状はすべての人に共通した症状だけが起こるのです。例えば、虫歯にかかると歯が痛くなって耐え難い苦痛を感じますね。ですが、虫歯にかかって歯がかゆくなったり、歯が麻痺して感覚がなくなったりする人はおそらくいないはずです。つまり、虫歯になって「歯が痛む」という症状は万人に共通しているのです。ですが、虫歯の痛みに耐えきれずストレスで胃が痛くなったとか、痛すぎて夜眠れなくなったとか、鬱になるといった症状が現れた場合、それらはすべて「歯の痛み」という共通の症状が起こる結果として様々な形で現れてくるものであり、仮に何らかの方法で歯の痛みを無くす方法さえあれば、これらの症状は起こらないということになります。実は禁煙による禁断症状もこれと同じで、実際に起こっている禁断症状は万人に共通の症状で、多種多様に思えるのは禁断症状の結果として様々な問題が発生しているに過ぎ
過ぎないのです。しかも虫歯と違って、タバコの禁断症状には大変有利な点があります。虫歯の痛みは耐え難いものですが、タバコの禁断症状は実はほとんどの人があることさえ気付かないほど軽いものなのです。今は信じられなくて当然です。実際過去に禁煙したことのある人なら、尚のこと信じられないでしょう。私もそうでした。ですが事実なのです。今からそれを証明していきましょう。 7.タバコに依存するまでの流れ禁断症状が万人に共通した症状であることを証明するにあたっては、人がタバコに依存するまでの流れを理解する必要があります。まず、ここに一度もタバコを吸ったことの無い青年がいたとします。この青年にとってタバコは現在不要なものであり、吸いたいと思ったこともありません。そんなとき、職場の先輩からタバコを一本勧められます。特に気乗りはしないのですが、付き合いが悪いと思われるのも嫌なのでとりあえず一本もらって吸ってみることにします。すると、煙はまずいし咳は出るし、何でこんなものをみんな吸っているのか不思議に思えるくらい、タバコが美味しいとは到底思えません。皆さんも初めて吸った一本を覚えているでしょう。不快に思う気持ちは人それぞれにせよ、決して美味しいとかリラックスできるとは思わなかったはずです。ですが、美味しかったとしても不味かったとしても、実はこの一本がこの青年の中にとある症状を引き起こします。順を追って説明しましょう。まず、タバコにはニコチンという依存性薬物が含まれており、タバコを一服すると体内にニコチンが供給されます。ニコチンは肺から脳へ瞬時に運ばれて、強制的な刺激を与えます。初めてタバコを吸う人がクラクラしたりするのは、このニコチンの刺激に免疫がないからです。さて、人生で一本目のタバコを吸い終え、脳へのニコチンの供給が止まりました。すると、体は即座にこのニコチンを分解し始めます。ニコチンは強力な毒物ですので、当然体はこれを排出しようと頑張り始めるわけです。ですがこの時に、非常に微かながらある症状が発生します。ニコチンが排出されるにつれ、心の中に何かが満たされないような、ぽっかりと穴があいたような、「微妙な不安感」が生まれてくるのです。この感覚はタバコを吸い始めて間もないうちはほとんど全く気付かない程度のもので、そのまま二本目を吸わなければすぐにおさまります。ニコチンも 3日でほとんどが体外へ排出され、その時点で「微妙な不安感」は完全に消え去ります。そして、それ以降も吸いたい気持ちは全く起こらないでしょう。それから数週間が経過しました。職場の休憩室で一息ついていると、例の先輩がまたタバコをすすめてくるのです。もちろんこの段階でもタバコが吸いたいという気持ちは一切ないのですが、やはり断るのもそっけない感じがして嫌だったので、この青年は再びその一本をもらって火をつけることにします。このタバコも前回吸った時と同様、全く美味しいとは思えません。ですが確実にニコチンは脳へと運ばれ、そしてニコチンが体内から排出される時に再び「微妙な不安感」が発生し始めます。さて、前回は二本目を吸わなかったので、何事もなかったかのように日常に戻れました。この「微妙な不安感」はニコチンが体外へ排出されてしまえば綺麗さっぱり消え失せるからです。では、今度はニコチンが抜けきる前に二本目のタバコを吸ったとしましょう。おそらくこの二本目も決して美味しいものではないでしょうが、実はこの二本目のタバコこそが、やめたくてもやめられない喫煙地獄への入り口なのです。何故ならニコチンにはこの「微妙な不安感」を緩和する作用があり、一度タバコでこの「微妙な不安感」を緩和してしまうと、潜在意識に「タバコが微妙な不安感を緩和してくれた」という情報がインプットされてしまうからです。もちろんこの段階では本人に全く自覚はありません。「微妙な不安感」が非常に微かな感覚だからです。ですが、実際に体に起こっているのは、ニコチンが体から抜けていく時に発生する「微妙な不安感」が、次に吸うタバコで緩和されるという現象なのです。そして二本目を吸い終わり、ニコチンが排出され始める時にも当然この「微妙な不安感」が発生し始めます。ここで問題なのは、「微妙な不安感」が発生することではありません。「微妙な不安感が、タバコを吸うことで緩和された」という事実こそが最大の問題なのです。この「微妙な不安感」は本人も気付かないほど微かな感覚ですし、仮にそれ以降一本も吸わなければ、完全に消え去ります。ですが、「タバコを吸うことで微妙な不安感が緩和された」という
という事実は潜在意識に刷り込まれ、たとえニコチンがすべて抜けきったとしても残り続けます。さて、ここで一つはっきりとさせておきましょう。実は私が先ほどから何度も申し上げているこの「微妙な不安感」こそが、禁断症状の正体なのです。それ以上でも、それ以下でもありません。どんなに重度のヘビースモーカーでも、人生で一本目のタバコを吸い終えた直後の少年であっても、この事実は万人に共通しています。タバコの作用としての禁断症状は、手が震えたりとか鬱になったりとか集中力が落ちたりとか、そういったものではないのです。ただ単に「微妙な不安感」を心に生み落とすだけ。本当にこれだけなのです。これは私の 150回以上に及ぶ禁煙失敗経験の中でも、突き詰めていけば確実にそうであったと言い切れます。そしてその不安感はどんなに重度のヘビースモーカーでも実は大したことありません。この理由は後程詳しく説明いたします。では何故禁断症状は多種多様で、人によって異なってくるかと言えば、潜在意識に刷り込まれた「タバコを吸うことで微妙な不安感が緩和された」という記憶が関係していると言わざるを得ません。ここでおさらいですが、まずタバコを吸い終えるとニコチンは即座に排出され、それと同時に心の中に「微妙な不安感 =禁断症状」が発生し始めます。この時にタバコを吸うと「微妙な不安感 =禁断症状」が緩和されます。そしてその一本をもみ消した瞬間、再びニコチンが排出され、「微妙な不安感 =禁断症状」が発生します。このまま何度も何度もタバコを吸い続けるとどんなことが起こるでしょう。そうです、脳に「タバコが微妙な不安感を緩和してくれた」という事実が、回を重ねるごとにどんどん強く刷り込まれていってしまうのです。もちろん本人はこの「微妙な不安感 =禁断症状」が、まさかニコチンが引き起こしているものだと自覚しておりませんし、不安感自体も本当に微々たる感覚のため、日常生活には何ら影響は及ぼしていません。ですが、タバコを吸った瞬間に微妙な不安感が緩和された感覚は次第に意識できるようになっていくのです。それは「タバコを吸ったら何故かほっとした」とか、もしくは「タバコは美味しい」という感覚など、人によって様々な形で現れてくるかもしれませんが、いずれにせよこの不安感が緩和される感覚を、人間は「楽しい」とか「ストレス解消してくれた」と錯覚してしまうのです。更にこの「微妙な不安感 =禁断症状」はタバコを吸えば吸うほど蓄積して大きくなっていくため、それに伴ってタバコを吸ったときにその「微妙な不安感 =禁断症状」を緩和できたという感覚も大きくなっていくという、蟻地獄的な仕掛けになっているのです。これをしっかりと理解することができれば、禁煙の難易度は一気に下がります。しかし、前述の通り、この「微妙な不安感 =禁断症状」はどんなヘビースモーカーであっても本当に微かな感覚のため、意識しなければ全く気付くことさえできません。精神力でタバコをやめようとするときに大変な苦痛を感じる理由は、この「微妙な不安感 =禁断症状」の正体に気付かず、タバコが吸いたいと思い続けてしまうことにあります。人間は正体が見えないものに恐怖を感じます。「何だかよくわからないけどとにかくタバコが吸いたい」という状況は、暗闇で何か得体の知れないものが近付いてきている状況によく似ています。ですがその得体の知れないものの正体が、例えば子犬や猫など自分に何の危害も加えないものだと気付いた瞬間、恐怖心は消え失せ安心感に変わることでしょう。タバコも同じです。自分が「タバコを吸いたい」と感じる理由がわからないまま必死で我慢するのは大変な苦痛を伴いますが、タバコが吸いたいと感じる原因が、単なる「微妙な不安感 =禁断症状」を緩和するためだけだったと気付けば、もはやそこに精神力もいりませんし、恐怖もありません。禁断症状は禁煙したときにのみ発生すると思われがちですが、実はタバコを吸っている人のすべてに生じているのです。また、ニコチンが完全に体から排出されたときに禁断症状はピークに達するという話も聞いたことがあるかもしれませんが、禁断症状はニコチンが体から排出される過程において生じるものであり、完全に体から排出されれば何も起こりません。つまり、ニコチンには即効性の作用(脳に刺激を与え、「微妙な不安感 =禁断症状」を緩和する作用)と、その後に起こる作用(ニコチンが排出される過程で「微妙な不安感 =禁断症状」を作り出す作用)の二つの作用があり、ニコチンさえ体になければ禁断症状など起こるはずがないのです。ということは、タバコを吸うという行為は、タバコが作った禁断症状をタバコで緩和するという行為を繰り返しているに過ぎないのです。こんな無意味な行為が他にあるでしょ
でしょうか。しかも、タバコには何種類もの化学物質が添加されておりますので、吸うたびにダメージを体に残していくという嬉しくないおまけまでついてきます。とはいえ、タバコを吸った時にほっとする感覚やストレスが緩和されたという感覚があるのは事実です。「微妙な不安感 =禁断症状」は本人にも自覚できないほど微かなものですが確実に生じていますし、それを緩和できれば少なからず心の平穏が戻ってくるのは当たり前のことと言えます。ここで、最初に考えていただいたタバコが吸いたくなるシチュエーションを思い出してください。リラックスしたいときストレスを感じたとき集中したいとき単純に吸いたいと思ったとき食事や飲み会など、楽しいときやる気を出したいとき勇気が必要なとき口寂しいときショックを受けたとき目を覚ましたいとき電話に出るときお気付きでしょうか。「微妙な不安感 =禁断症状」がタバコを吸い終えた直後から生じているということは、このようなシチュエーションすべてに「微妙な不安感 =禁断症状」がつきまとっているということになるのです。例えばストレスに直面した時、タバコを吸わない人の目の前にはストレスそのものがあるだけですが、タバコを吸う人の目の前には「ストレス +微妙な不安感 =禁断症状」が存在しているのです。ですが本人は「微妙な不安感 =禁断症状」の存在に気付いておりません。ということは、禁断症状のストレスが加わった分、タバコを吸わない人よりタバコを吸う人の方がストレスの度合いは大きいのです。そこでタバコを一本吸えばどうなるでしょう。確かに「微妙な不安感 =禁断症状」は一時的に緩和されますので多少はほっとするでしょうが、ただそれだけのこと。目の前のストレスは変わらず存在しているわけですから、状況は全く変わらないどころか、タバコに含まれる有害物質は疲労感や無気力感も生みますので、状況を悪化させているとさえ言えます。ですが「タバコを吸ってほっとした」という感覚は少なからず記憶に残りますので、あたかも目の前のストレスをタバコが解消してくれたと錯覚してしまうのです。これはリラックスする場面も同じです。本来最高にリラックスできる場面でも「微妙な不安感 =禁断症状」が生じていますので、ここでタバコを吸えば「微妙な不安感 =禁断症状」だけは緩和され、ほっとした感覚が残ります。そして、そのほっとした感覚がリラックスできる場面と結びつき、あたかもタバコがリラックスさせてくれたと錯覚するのです。この結びつきはありとあらゆるシチュエーションにおいて生じます。タバコのメリットが人によって様々なのはこのためです。タバコをやめて何年もたつのに吸いたくなるという人がいるのは、ニコチンが抜けきっていてもこの思い込み、つまりタバコが様々なシチュエーションで役に立ったという記憶が消えていないからです。反対に、ヘビースモーカーなのにある日突然タバコがやめられて特に苦しそうにもしていない人は、この結びつきが少なかった人なのかもしれません。いずれにせよ、この結びつきが多ければ多いほど、日常生活でタバコの必要度は増していきます。ですが、考えてもみてください。そもそも「微妙な不安感 =禁断症状」はタバコを吸うからこそ生じるもので、タバコさえ吸わなければ、ストレスはより小さなものになり、反対にリラックスできる場面もよりリラックスできるとは思いませんか?ごくごくシンプルに考えてみてください。何をするにも微妙な不安感を抱えて過ごさなければいけない日常を送りたいと思いますか?ここでイエスと答える人は一人もいないはずです。もしそうであればここまで本書を読み進めてはいないはずです。さて、ここまででタバコの正体がだいぶ明らかになってきたと思います。ですが、この知識だけではタバコはやめられません。何故ならタバコと結びついたシチュエーションは人の数だけ存在し、その結果として起こる錯覚、つまり「タバコがストレスを解消してくれた」とか「タバコが楽しくさせてくれた」という思い込みも大変強力なものだからです。また、世の中には「タバコはストレス解消に良い」とか「タバコは楽しい場を楽しくしてくれる」という間違った考え方が蔓延していますから、そのような前情報ありきでタバコを吸ってほっとした経験を積み重ねてしまったあなたの脳は、意識していようがいまいが「タバコはありがたいものだ」と信じて疑わなくなってしまっています。この洗脳とも
とも言える思い込みを捨てるためには、より深くタバコと結びついたあなたの生活を掘り下げて考えていかなければなりません。それについては次の章で詳しく説明しますが、ここで一度これまでのお話を復習しておきましょう。タバコを吸う理由は、タバコを吸うことで発生した「微妙な不安感 =禁断症状」を緩和することだけであり、タバコにメリットを感じてしまうのは、「微妙な不安感 =禁断症状」を緩和してほっとした時の状況と日常の様々なシチュエーションを結び付けて考えてしまうからでした。この事実を踏まえ、今度はあなたの生活のどの部分がタバコと結びついているのかを考えていきましょう。 8.感情のテーブルまず、あなたの心の中に様々な感情のテーブルがあると想像してください。ここでは仮に「楽しみのテーブル」「ストレスのテーブル」「悲しみのテーブル」の 3つが存在するとして話を進めることにします。例えば「楽しみのテーブル」には、あなたが楽しいと感じることがたくさん並べられてます。「食事」「音楽鑑賞」「スポーツ」「マッサージ」「温泉」など、あなたが楽しいと思うことがたくさん並んでいる様子を想像してください。またストレスのテーブルには「職場」「育児」「家事」「人間関係」「会議」「電話」など、あなたがストレスに感じることがずらっと並べられています。同様に「悲しみのテーブル」にも「失恋」「死別」「孤立」など、あなたが悲しいと思うことが並べられています。ここでは 3つのテーブルを取り上げますが、これ以外にも様々な感情のテーブルが存在しており、私たちは日々、この様々な感情のテーブルから何を取り出すかを選択し、生活しているものと考えていただければ、これからの話が理解しやすくなります。ではまず、「楽しみのテーブル」の話から始めていきましょう。 8- 1.楽しみのテーブル前述のとおり、このテーブルには「食事」「音楽鑑賞」「スポーツ」「マッサージ」「温泉」など、あなたが楽しいと感じることがずらっと並べられています。あなたは日々このテーブルから楽しみを選択し、例えば食事であれば、美味しいものをおなか一杯食べて満足感や幸福感を得ます。人生の喜びの源ともいえるテーブルでしょう。しかし、喫煙者にはこのテーブルにもう一つ、厄介なものがのっかっています。「微妙な不安感」です。先ほどもお話ししたとおり、タバコを吸っている以上常に「微妙な不安感」がつきまといます。例えば禁煙のレストランに行ったとしましょう。食事中はタバコが吸えないとわかっていますから、「微妙な不安感」は確実にあるにせよ、とりあえず食事を楽しみ、それなりに満足感や幸福感を味わいます。ですが、食事が終わり、それだけで満足できるでしょうか。食後の一服が欲しくなってきませんか?そう、喫煙者は、それがどんな楽しみであれ、「微妙な不安感」を緩和するまでは、そのことを 100%楽しめないのです。後ほど詳しく説明しますが、不安感の持つ影響は大変強力なものです。趣味に没頭しているのに些細な心配事が気になって、急に目の前の趣味が楽しめなくなったことはありませんか?「微妙な不安感」を抱えたままでは常にその存在が気になって、タバコを吸うまではこのテーブルにあるものすべてを完全に楽しむことはできないのです。だからこそ食後の一服や音楽を聴きながらの一服、スポーツやマッサージの後の一服、温泉でリラックスした後の一服が特別に感じてしまうのです。ですがタバコを吸わない人に「微妙な不安感」はありません。つまり楽しいことを 100%楽しむことができるのです。タバコが楽しい時をより楽しくしてくれるというのは錯覚です。ただタバコがなければ「微妙な不安感」が気になって、楽しめていなかっただけなのです。 8- 2.ストレスのテーブルこのテーブルには「職場」「育児」「家事」「人間関係」「会議」「電話」など、あなたがストレスに感じることが並べられています。もちろん、楽しみのテーブル同様、ここにも「微妙な不安感」はのっかっているわけですが、このテーブル上の「微妙な不安感」は本当に厄介です。何故なら「微妙な不安感」そのものがストレスの原因ですから、通常のストレスがより大きなものに感じられてしまうのです。ストレスを感じたときにタバコを吸う人は大勢います。大事な会議の前にタバコが吸いたくなるのは、目の前の会議というストレスに「微妙な不安感」のストレスが加わり、部分的
部分的でもそのストレスを解消したいと思うからです。でもタバコを吸ったところで状況は改善しません。「微妙な不安感」のストレスは緩和されるかもしれませんが、そもそもこの「微妙な不安感」はタバコを吸いさえしなければ存在しないものですし、どんなに緩和したところで会議のストレスは変わらずそこにあるわけですから、これは日常生活で常に雑音が流れるイヤホンをつけている人が、会議の前だけイヤホンを外して解放感を味わっているようなものです。それをストレス解消とは言えませんよね。ですがこれを平然とやってのけるのが喫煙者なのです。日々「微妙な不安感」という雑音の中に身を置き、イヤホンを外した時だけほっとしている。ほっとしたのもつかの間、またイヤホンをつけて雑音を聞きながら日常生活を送っているのです。こんな状況では少しも物事に集中することなどできません。しかし、「雑音」と「微妙な不安感」には決定的な違いがあります。雑音は大変気になるものですが、タバコの引き起こす「微妙な不安感」は、実はその正体にさえ気付いてしまえば本当はあることさえ気付かないほど弱いもので、緩和する必要もない程度のものなのです。ですがその正体を知らずして、「なんだかよくわからないけどとにかくタバコが無ければ会議に集中できない」と感じていれば、タバコ無しではその微妙な不安感が恐怖にまで高まってしまい、下手をすれば会議のストレスより大きくなってしまうかもしれません。いずれにせよ、タバコはストレスを解消するどころか、日々のストレスに余計なストレスを上乗せしていたということを覚えておいてください。 8- 3.悲しみのテーブルこのテーブルには「失恋」「死別」「孤立」など、あなたが悲しいと思うことが並べられています。残念ながら、人生には悲しい出来事が必ず起こるものです。もちろん、スピリチュアル的には悲しい出来事が起きた後は人生が好転するとも言われていますから、悲しい出来事自体は人間を強くする、または幸福へと導くきっかけであると私は信じております。しかしながら喫煙者にとってこの悲しみのテーブルは本当に辛いものです。何故なら失恋や死別などのショックな出来事に、「微妙な不安感」までつきまとうからです。悲しい出来事をどんなに前向きにとらえようとしても、「微妙な不安感」がある以上、少しも立ち直れる気分になれません。「微妙な不安感」とは漠然とした表現ですが、要するに「また素敵な人が現れるさ」とか「この悲しみはすぐ癒えるさ」といった感情に「もう二度と素敵な人に巡り合えないかも」とか「一生この悲しみを引きずらなければならないかも」という微妙な不安感が加わっている状況であると言えるのです。更にタバコは強力な毒物であり、摂取するたびに活力や自信、自尊心、元気などが奪われ、体も弱ってくるわけですから、悲しみを乗り越えるのは更に困難ということになります。さて、本書では 3つのテーブルを紹介しましたが、この他にも様々な感情のテーブルは存在しており、またタバコを吸って「微妙な不安感」を消してほっとした記憶と各テーブルの結びつきが多ければ多いほど、日常生活でタバコを思い出す回数が増えていくことも覚えておいていただく必要があります。ライトスモーカーでも、ヘビースモーカーでも、禁煙の難易度を決定するのはこの結びつきの多さであり、禁断症状の程度とは関係ありません。ですが、どんなに結びつきが多い喫煙者(例えば楽しい時やストレスを感じた時や悲しみを感じた時すべての状況でいつもタバコが手放せなかった人)でも、本書の手順に従って禁煙すればなんの問題もありません。「微妙な不安感」はそもそも本当に小さな感覚ですし、その正体に気付いてしまえば克服するのは極めて簡単です。あなたは本書を読み終えた瞬間から、楽しみのテーブルも、ストレスのテーブルも、悲しみのテーブルも、人生を構成するすべての要素につきまとっていた「微妙な不安感」から解放され、人生を 100%楽しめるようになるのです。莫大な情報を暗記しておく必要もありません。本書の禁煙手順はいたってシンプルです。ですが、その効果を最大限発揮するためには本書の内容をすべて読み切る必要があります。何度も言いますがどうか読み飛ばさず、最後までお付き合いください。 9.対処方法のわからない不安感はすべてに勝るさて、前述のテーブルの話からもわかるように、あなたの日常生活は何をするにも常に「
常に「微妙な不安感」が付きまとい、しかもその不安感はタバコを吸うことでしか解消されないと潜在意識は学習しています。ここで覚えておいていただきたいのは、「対処方法のわからない不安感はすべての感情に勝る」という事実です。タバコの正体を知らず、更にいつでもタバコが吸える状況であれば、真っ先にタバコを吸ってこの正体不明の不安感を解消したいと考えるのが人間であり、ある意味では自然な行動なのです。人間は不安を取り除いてから行動したいと思う生き物なのです。例えば極端な例ではありますが、高所恐怖症の人が翌日に急遽、人生初のバンジージャンプをしなければならなくなったとします。その日の夜はとてもゆったりと食事を楽しんだり、リラックスすることはできないはずですよね。これは翌日に大切なプレゼンがあるとか試験があるという場合と大きく異なります。プレゼンや試験は、たとえ不安に感じたとしても準備をしっかりとすることで不安は多少なりとも解消されていくからです。対処方法がわかっているものへの不安感は、程度の差こそあれ必ず上限があるのです。ですがバンジージャンプという未知のものに対する不安には対処する術がありません。ジャンプする瞬間どんな気持ちだろうとか、万が一命綱が切れてしまったらどうしようとか、いろいろとありもしないことまで想像して不安が恐怖にまで達し、パニックに近い状態まで陥ってしまうのです。つまり、対処方法がわからない不安感がある以上、どんなにその不安を考えないようにしても、目の前の楽しいことやくつろげること、また集中しなければならないことにもやがかかってしまい、不安ばかりが気になってしまうのです。これが「対処方法のわからない不安感はすべてに勝る」と言う最大の理由です。そして、喫煙者は常にタバコによる禁断症状、つまり微妙な不安感を抱えていますので、その不安感の正体を知らずして「なんだかよくわからないけどとりあえずタバコを吸えばなんとかなる」と信じている以上、タバコなしでは少しも楽しめないし、くつろげないし、集中できないといった状況に誰しもが陥っているのです。タバコに火をつけないことには何も手が付けられないという方は、その理由がはっきりとおわかりいただけたのではないでしょうか。もしそこまで酷い状況ではなかったとしても、タバコに火を付ける行為自体が「微妙な不安感」を緩和するためだけに行われるものなのですから、これはタバコが体に悪いとわかっていながらも何故か吸い続けてしまうすべての喫煙者に共通して「対処方法がわからない不安感」が発生していると言ってあながち嘘ではありません。ですがご安心ください。確かにバンジージャンプへの不安感は耐え難いものかもしれませんが、タバコの作り出したこの微妙な不安感は、何度も言うように本当はあることさえ気付かないほど軽いものです。翌日のプレゼンや試験への不安感とも比較にならないほど弱いものです。しっかりと「これはタバコが作り出した不安感だ」と意識することができれば、例え体が禁断症状を感じていても、ほとんど気にすることなく目の前の楽しいことやストレスに対処することができるのです。しかし、その正体を「タバコ自体が作った不安感である」と気付いていない状態で禁煙を始めてしまえば、暗闇で正体がわからないものが迫ってきたときと同様、その単なる微妙な不安感を恐怖にまで高めてしまい、バンジージャンプと同じような大きな不安感、ひいては恐怖にまで高めてしまうかもしれません。ですが、今のあなたは違います。何度も言いますが今のあなたは微妙な不安感の正体が、実はタバコが作り出したものだと理解しています。しかも、本書を読破してニコチンが体から抜けきってしまえば、その不安感さえもきれいさっぱり消えてしまうという、約束された未来があるのです。バンジージャンプで感じる「もし命綱が切れたらどうしよう」とかいう実際的な不安は、こと禁煙に関しては一切存在しないのです。とはいえ、禁煙しようと思うとき、同時に禁断症状への恐怖も湧き上がってくるものです。いくら私が「禁断症状は単なる微妙な不安感だからあってもなくても大して気にならないもの」といったところで、その不安はなかなかぬぐいされないのではないでしょうか。そこで、今度は禁断症状について徹底的に掘り下げていこうと思います。 10.世間一般に信じられている禁断症状タバコをやめたときの禁断症状にはどんなものがあるかと質問すれば、本当に多種多様な答えが返ってくると思います。タバコが吸いたくてたまらなくなる
手が震えるイライラして怒りっぽくなるストレスまみれで大変なことになる集中力が低下するやる気がでなくなる今まで楽しかったことが楽しめなくなる常に不安に苛まれる禁煙鬱になるなどなど。本当に挙げていけば切りがありませんし、実際にこういった症状を経験したことのある方もいらっしゃることでしょう。ですが、本当の意味での禁断症状、つまり単なる微妙な不安感はニコチンが抜けていく過程で生じるものですから、体からニコチンが抜けきってしまえば物理的に起こりません。そしてそれに要する期間はせいぜい 3日です。では 3日間は地獄の苦しみを味わわなければならないということでしょうか。違います。ですが、禁断症状の正体を知らないままひたすら我慢する方法では、 3日間どころか何週間も恐ろしい苦痛を感じるはめになります。これはいったいどういうことなのでしょうか?おそらくまだあなたの心には耐えがたい禁断症状への不安が残っているはずです。今からその不安感を安心感に変えていきましょう。 11.禁断症状は寝ている時や電車の中と同じ程度のもの先にも話した通り、禁断症状は禁煙した人だけでなく、すべての喫煙者が常に感じているものです。禁断症状はニコチンが体から抜けていく過程において生じるもので、ニコチンが体から抜けきってしまえば物理的には何も起こらないとも既に説明しました。ここでひとつあなたに質問します。夜寝ている間にタバコが吸いたくて目を覚ましたことはありますか?仮に一度や二度はあったとしても、果たして毎晩目が覚めてタバコを吸ってしまうということはあるでしょうか?おそらく無いはずです。では、禁煙の映画館で映画を見ているときや、新幹線の中で死ぬほど吸いたくてパニックを起こしたことはありますか?手が震えたり、途中下車しなければならないほどの禁断症状が現れたことがありますか?こちらもおそらく無いのではないかと思います。それどころかそのような状況下では「吸いたい」という気持ちさえ起こらないという人がほとんどです。そう、禁断症状はその程度のものなのです。それ以上でもそれ以下でもありません。もちろん、長年タバコを吸い続ければ禁断症状は積み重なり多少は大きくなるのでしょうが、それには必ず上限があるのです。そしてその上限とは、映画館や新幹線の中で感じる程度、もしくは夜寝ているときに体に生じている程度のもの、つまりほとんど存在していないも同然な、あってもなくても別に気にならないレベルの感覚なのです。ですが、これが映画館や新幹線の中ではなく、吸えるのに吸えないという状況だったらどうでしょう。喫煙が許された環境で目の前に灰皿とタバコが置いてあったら、新幹線の中とは比べ物にならないほどの衝動があなたの脳を支配し、そこで一時間吸わずに待てと言われればパニックに陥るのではないでしょうか。禁断症状は映画館や新幹線の中で感じていたものと大して変わらないはずなのに、映画館から出て、または新幹線を降りて喫煙所が見えた瞬間一気に吸いたくてたまらなくなる。これはいったいどういうことなのでしょうか。実はこの謎を解き明かすことが禁煙後の生活をより楽しいものにする鍵であり、この仕組みを理解すれば禁煙は驚くほど簡単なものになるのです。その為に、まずは「ドーパミン」という脳内物質について説明しましょう。 12.必要なドーパミン、不要なドーパミン始めに結論を申し上げておきますが、ドーパミンは幸福への「期待」をさせるホルモンです。目の前の幸福が手に入りそうという状況で最大限に放出され、対象物を是が非でも手に入れるよう全身に指令を送り、人間を行動へと導きます。例えば魅力的な異性ともうすぐ付き合うことができそうな状況の時、自分でも信じられないほどの行動力でアプローチすることができるのは、このドーパミンが大量放出され、行動を起こさせているからです。逆に、どう頑張ったって手に入らないと確信しているときには放出されません。バスケットのゴールが 100 mも高い位置にあったら誰もシュートを打とうと思わないのと一緒です。「手に入りそう」という状況がトリガーとなって放出されるのです。しかし、ここではっきりとさせておきたいことは、ドーパミン自体
は人間に決して幸福を与えてくれるものではなく、幸福への期待をさせ、行動を起こさせるだけのものであるという事実です。例えば、ずっと以前から欲しくて欲しくてたまらなかったものが、もうすぐ手に入る!という状況になったとします。ドーパミンは放出され、すぐにでも手に入れたいと思い、行動を起こすでしょう。ところが、実際に手に入った瞬間に何故か興味が失われてしまって、想像していたような幸福感は得られなかったというような経験はないでしょうか?もちろん、手に入って嬉しいという気持ちはあるかもしれませんが、期待を上回る幸福感は得られなかった、という経験は案外多いのが現状です。何故なら前述の通り、ドーパミンは対象物を手に入れるよう行動を起こせと指令を送るだけで、手に入れた後の幸福感とは全く別物だからです。しかも、ドーパミンは人間を強制的に行動させるわけですから、求める気持ちが大きければ大きいほど体力も消耗しているわけです。ですから、いざ対象物が手に入り、ドーパミンが役割を果たした瞬間に興味が失われるという現象も、ある意味では当然起こりうる現象と言えるわけです。ではドーパミンは完全に悪なのでしょうか。もちろんそんなことはありません。ドーパミンは人間が進化の過程で獲得してきた、生きるために必要不可欠なホルモンです。例えば砂漠で一人さまよっている状況を想像してください。喉はカラカラに乾いていて、水筒の中身もからっぽです。あなたの心は不安でいっぱいで、もしかしたらこのまま死んでしまうのではないかとさえ思えるほど、絶望的な状況です。そんな時、一キロ先まで歩けば水が飲めるとの看板を目にしたら、あなたはどうするでしょう?どんなにクタクタであろうとも、水を手に入れようと歩き始めるのではないでしょうか。そう、それこそがドーパミンの役割、すなわち人間を動かす原動力となるのです。たとえ瀕死の状態であっても、人間の体は生き延びるためこのドーパミンを放出し、対象物(つまり水)を得るための行動を起こせと指令を出すのです。そして、水を飲むことで飢餓感は幸福感に変わり、満たされた気分を味わうことができるでしょう。これは空腹を満たす為に食事を求める行為にも同じことが言えます。何故なら水も食事も、人間が生きるために必要なものだからです。砂漠の話は極端な例ですが、要するに生きるために必要なものを手に入れるときに放出されるドーパミンは人間にとって必要な、極めて原始的な機能で、その先にある喜びもまた人間の本能を満たす、本物の幸福感なのです。また、現代社会ではお金を稼ぐことも生きる上では必要なことですから、金銭的な報酬を得られそうな時、仕事で成功をおさめることができそうな時に放出されるドーパミンも、手に入れたときの幸福感が約束された、正に「必要な」ドーパミンと言えるわけです。魅力的な異性を見たときに放出されるドーパミンも、子孫繁栄においては必要なドーパミンと言えます。しかしながらこのドーパミンは本当に必要なものだけでなく、例えばアルコールやジャンクフードなど、体にはよくないとわかっているものに対しても、本人が「欲しい」と感じている以上は「もうすぐ手に入る」という状況で分泌されてしまいます。体にはあまり良くないにせよ、ジャンクフードであれば食欲を満たしたいという欲求や美味しいものを食べたいという欲求を満たすことで幸福感を味わえるわけですし、アルコールも酔ったときに感覚や美味しいという感覚に幸福感を感じますので、いずれの場合も脳は「幸福への期待」をし、ドーパミンを放出するわけです。そして、対象物を手に入れた瞬間、何事もなかったかのように消え去り、幸福を感じられるかどうかは手に入れた対象物次第ということになるのです。ですがここではジャンクフードもやめましょうとかアルコールもやめましょうとかいう話はいたしません。本書では徹底してタバコに焦点を当てて、ドーパミンの放出を見ていくことに致します。まず、先程の新幹線の例を思い出してください。車内では大して吸いたいとも思わなかったのに、新幹線を降りて喫煙所を発見した瞬間にタバコが吸いたくなる理由がもうお分かりの方もいるのではないでしょうか。つまり、新幹線の中ではニコチンという対象物を手に入れることができないとわかっていますのでドーパミンは放出されませんが、電車を降りて喫煙所を発見した瞬間、「もうすぐ吸える」という意識が芽生えると共に幸福への期待をさせるホルモン、すなわちドーパミンが一気に放出され、タバコを吸わせようと脳が指令を出していたのです。ドーパミンの力は大変強力です。一度放出されてしまえば意志の力で抑え込むのは非常に困難と言えるでしょう。では、タバコを吸ってニコチンを補給した瞬間、幸福感は得られる
られるでしょうか?確かに「微妙な不安感 =禁断症状」は緩和されますので一服目はほっとするかもしれませんが、続けざまに 2本も 3本も吸って「ああ、幸せだなぁ」とは思わないはずです。第一、禁断症状は前述の通り、あることさえ気付かないほど弱いものですので、このほっとする感じも本当は微々たるものなのです。しかし、この禁断症状の及ぼす影響は小さくなく、ここでもし、目の前で喫煙所が撤去され「禁煙です」となったら、もうすぐ吸えると思っていた喫煙者はパニックに陥り、他の喫煙所を探して人によっては何百メートルも歩き回ることでしょう。もしそこで喫煙所を見つけられなかったら、強制的に動かされた体は疲弊し、放出され続けたドーパミンは枯渇し、その後の無気力感は計り知れないものとなるはずです。禁煙後の日常にもタバコを求めるドーパミンを放出させてしまう要素は無数にあります。「コンビニで買えばすぐ吸えるのに」とか「友達から一本もらえばすぐ吸えるのに」という気持ちは、その後吸うか吸わないかに関わらず幸福への期待をさせ、ドーパミンを放出させてしまいます。つまり、一般的に信じられている耐え難い禁断症状というのは、タバコのメリットを信じた状態(幸福への期待をした状態)で事あるごとにタバコを求めるドーパミンが放出されるのに、それでも我慢しなければならないという状態を継続した結果としてドーパミンが枯渇し、ストレスがたまり、様々な症状となって現れているにすぎないのです。ですがよく考えてください。タバコを求めた時に放出されるドーパミンは、水や食事を手に入れる時のように、確実に幸福に繋がっているものでしょうか?確かにタバコにありつけば禁断症状は緩和され、不安感は和らぐでしょうが、果たしてその行為に意味はあるのでしょうか?ここで思い出していただきたいのは、この禁断症状の成り立ちです。初めてタバコを吸ったときにほっとする感じがないのは、禁断症状がなく、不安感が消えたという自覚がないからでした。しかし本数が増えるに連れ「微妙な不安感 =禁断症状」は増し、タバコが不安を緩和してくれると潜在意識は学習していきます。これを繰り返すことによって、「タバコを吸う →不安感が和らぐ →ニコチンが切れてくる →不安感が発生する →タバコを吸う →不安感が和らぐ →ニコチンが切れてくる →不安感が発生する…」という一連の喫煙行為があたかも習慣のように確立されてしまったのでした。これは一見無限ループのように思われるかもしれませんが、実はそうではありません。体はニコチンという毒物に徐々に免疫を付けていくため、一服するごとに禁断症状を緩和できる量も減っていきますし、そもそも毒物を接種しているわけですから、喫煙行為の繰り返しは無限ループというより、確実に死へと繋がる螺旋階段をゆっくりと下っている状況であると言えるのです。と、いうことは、いくら禁断症状をタバコで和らげてもタバコを吸っていなかった頃より不安感は増し、体も毒物で満たされ疲労感や倦怠感が増し、体が弱ってくれば弱ってくるほどタバコで不安感を消したいという欲求も高まるといった、どう転んでも悲惨な結末しかない人生を自ら作り上げてしまっているのが喫煙者の本当の姿なのです。そして、それに伴ってタバコを求めた時に放出されるドーパミンも更に強力なものになり、意思の力では対処できないほどになってしまうのです。しかし、ここで本当に重要なことを見落としてはいけません。確かにタバコを吸えば不安感は部分的に解消します。だからこそ、タバコを手放したときにこの不安感を解消する術を失ったと感じてパニックに陥る気持ちもわかります。ですが、これは特に強調しておきたいのですが、この不安感は、もともとタバコを吸いさえしなければ存在しなかったということです。誰も最初はニコチンを接種したくてタバコを吸い始めるわけではありません。ちょっと試しに吸ってみるとか、かっこいいから吸ってみるとか、そんな程度の理由です。つまり、ニコチンへの欲求は水や食事と異なり、もともと人間には存在しない極めて不自然な欲求なのです。もう一度言います。この不安感と欲求は、タバコを吸いさえしなければ存在しなかったもの、つまり後から作られた不自然なものなのです。それどころかタバコは血管を収縮させ、無気力感を生み、死に繋がる恐ろしい麻薬、つまり毒物なのです。また、繰り返しになりますが禁断症状はタバコを吸うからこそ発生するもので、いくらタバコを吸って禁断症状を和らげたところでタバコを吸わない人と同じ状態までは回復できないのです。喫煙者は非喫煙者と同じ状態、つまり余計な不安感の存在しない状態に戻りたくてタバコを吸っていたのです。そんな行為になんの意味があるでしょうか。全く何の意味もありません。
お腹が空いて死にそうなとき、目の前のテーブルにとても美味しそうな料理が運ばれてくればドーパミンが放出され、是が非でもそれを食べるため手が伸びるでしょう。しかし、いざ食べようとしたらお皿に「この料理は毒性の植物から作られていて、食べると疲労感が増し、日常の活力は損なわれ、息は臭くなり、また依存性があるので、毒だとわかっていながら一生食べ続けることになります」という注意書きが貼ってあったとしたらどうでしょう。誰も食べたいと思わないどころか、においをかぎたいとも思わないはずです。更には強烈な渇望でドーパミンが放出された後ですので、実際には食べなかったとしてもその後に残るのは疲労感や喪失感だけです。食べたとしても空腹が解消されるどころか、次の欲求に繋がるだけで一生満たされることはありません。これは緩やかな自殺と同じです。しかし、こんな料理を平気で食べ続けているのが喫煙者なのです。そして、それが「対処方法がわからない不安感」の成せる強大な力なのです。もうタバコに騙されるのは終わりにしましょう。私はタバコの恐ろしさをいたずらに誇張して語っているわけではありません。喫煙行為のありのままをお話しているのです。では次に、ニコチンを求めてドーパミンを放出させ続けると日常生活にどんな変化が現れてくるのかを解説しますが、その前に人間が「求める対象」と、それを手に入れた結果何を得られるかを簡単にまとめておきます。左:求める対象 右:手に入れた時の感情と得られるもの・美味しそうな食事 →ドーパミンの放出 →幸福感。栄養・魅力的な異性 →ドーパミンの放出 →幸福感。子孫繁栄・報酬を得られそうな仕事 →ドーパミンの放出 →幸福感。達成感と報酬・タバコ →ドーパミンの放出 →「微妙な不安感 =禁断症状」の緩和 13.ドーパミンの過剰放出による影響水や食べ物を求めて放出されるドーパミンは必要なもので、タバコ、すなわちニコチンを求めて放出されるドーパミンは不要などころか恐ろしいデメリットがたくさんあることがおわかりいただけたことと思います。ここで前者を「必要ドーパミン」、後者を「ニコチンドーパミン」と定義し、本章を進めていくことにします。まず「必要ドーパミン」についてですが、これは言うまでもなく、活力に溢れた生活を送るために必要不可欠なものです。水や食事、住む場所などを手に入れるためにはお金を稼がなければなりませんので、人間はそのために努力をします。好きな人と付き合いたいと感じる欲求も、子孫を残したいという本能に基づいたものですから、その際に放出されるドーパミンも当然必要ドーパミンといえます。そして、生きるために必要な努力に対しては、どんな行動であれこの必要ドーパミンを少なからず放出して行動を起こしていることが多いのです。何故ならその先には約束された幸福があると本能的に知っているからです。「幸福への期待」が実際の幸福につながっていると確信しているからです。だからこそ、それがどんなに困難であっても、すぐに手に入らないとしても、長期的な視野で必要に応じてドーパミンを放出し、必要な行動を起こせるのです。一方で「ニコチンドーパミン」は目の前の「微妙な不安感 =禁断症状」を解消するためだけに放出されるものでした。先にも話したとおり、対処方法のわからない不安感はすべての行動に優先して解消することを脳から求められますので、何をするにもまずタバコを吸うという行為を優先するようになっていきます。要するに目先の、それも偽物の幸福感を得るためだけに「ニコチンドーパミン」を放出させ続けるのです。ここで問題なのは、「必要ドーパミン」の場合は対象物を手に入れるために長期的な行動が必要な場合が多々あるのに対し、「ニコチンドーパミン」は極めて短期的で、タバコを吸うことで手軽に対象物を手に入れることができてしまう点にあります。なにせニコチンの体内での分解速度は速く、タバコを吸い終えた後 30 ~ 40分で「微妙な不安感 =禁断症状」が発生してきますから、いつでもタバコが吸える状況であればほとんど 30 ~ 40分おきに「ニコチンドーパミン」を放出させ続けなければなりません。そして、人間が一日に放出できるドーパミン量には限りがあるのです。便宜上「必要ドーパミン」と「ニコチンドーパミン」を分けて書いていますが、いずれもドーパミンであることに変わりはありませんので、例えば人間が一日に放出できるドーパミン
ドーパミン量が 10だったとして、「ニコチンドーパミン」にその内の 7もドーパミンを使用している人であれば、「必要ドーパミン」にまわせる分は 3しかなく、従って長期的に何かを手に入れようという活力や、他の楽しいことに対する欲求も弱まり、更にはストレスを乗り越える活力さえも奪われていくのです。こんな行為を続けた先には、積極的な行動を避けるようになり、だらだらと禁断症状を緩和するだけの日常が待っています。また、「ニコチンドーパミン」は禁断症状の緩和という短期的な目の前の欲求に応えるためだけに使用されるわけですから、そんなことを続けていけば「長期的な努力で得られる幸福」の価値さえも見いだせなくなり、それに伴って仕事や日常生活すべてにやりがいを感じなくなる未来も当然待っていると言わざるを得ません。人間の脳には快楽原則というものがあり、簡単に楽に手に入るものを優先して得たいと思う本能がありますから、「ニコチンドーパミン」を放出して目の前の欲求に応え続けている限り、長期的な考え方はどんどんできなくなっていくのです。努力すること自体に魅力を感じなくなっていくのです。これは恐ろしい事実です。そして、これもニコチンの持つ大変巧妙な罠なのです。タバコをやめたらどんなに素晴らしい未来が待っているか、こんなに明白なことはないのに、目の前の「微妙な不安感 =禁断症状」を緩和することが最優先事項となってしまい、禁煙達成という目標にさえも心を閉ざしてしまうのです。タバコを吸っているときだけ禁煙したいと思える人が大勢いる理由もこれでおわかりかと思います。「微妙な不安感 =禁断症状」を緩和して初めて未来に目が向くからです。ですがタバコをもみ消してニコチンが体から抜けていけば再び「微妙な不安感 =禁断症状」が目の前に現れ、未来はすぐに霞んでいき、結局禁煙を先延ばしにしてしまうのです。ですが、ここで非常に重要なポイントがあります。先ほどの新幹線の例を思い出してください。車内では大してタバコを求める気持ちはないのに、新幹線を降りて喫煙所を発見した瞬間に一気にタバコが吸いたくなるのでした。と、いうことはつまり、この「ニコチンドーパミン」は「微妙な不安感 =禁断症状」を感じた瞬間ではなく、「もうすぐタバコが吸える」と思った瞬間に放出されているということになるのではないでしょうか。そして、「もうすぐタバコが吸える」という感情は、「タバコが必要だ」という気持ちが無い限り、芽生えることはありません。気付いているでしょうか。実はもう既にあなたの脳は、ニコチンドーパミンを放出させる必要がないと気付いているのです。何故なら本書をここまで読んでくれば、タバコを吸う行為には何のメリットもないという事実があなたの脳に刷り込まれているからです。タバコは「微妙な不安感 =禁断症状」を自ら作り出し、そして自ら緩和するだけの行為であったという事実。タバコの作り出す「微妙な不安感 =禁断症状」はすべての感情のテーブルの上にのっかって、日常の楽しみや喜び、幸福感を感じにくくしていたという事実。そして必要ドーパミンの使用量を削って無気力感を生み、長期的な視野で物事を考えることをできなくしていたという事実。これらの基本的な事実さえ頭に入っていれば、仮に「微妙な不安感 =禁断症状」が発生したとしても、その後の欲求には繋がりにくく、従って「ニコチンドーパミン」の放出にも繋がりにくいのです。そう、美味しそうな料理を目の前にしたときにはドーパミンが放出されるのに、食品サンプルを目の前にしたときにはドーパミンが放出されないのと一緒なのです。今まであなたはこの「微妙な不安感 =禁断症状」の正体に気付かず、とにかく目の前の正体不明の不安感を消すためだけにタバコを吸っていました。しかし、その不安感さえ消えれば、その先の未来を見ることができるようになるのです。私が 150回以上の禁煙失敗の末にたどり着いた最後の鍵は、「ニコチンドーパミンこそが禁煙達成という目標に心を閉ざさせる最大の原因であった」という事実だったのです。そして、そのことに気付いた瞬間、「ニコチンドーパミンが放出される前に対処することができれば、禁煙は驚くほど簡単になる」という仮説が生まれ、最終的に「ドーパミン復活禁煙法」の考案に至ったわけです。尚、具体的な方法論については後程説明させていただきますが、「ニコチンドーパミンが放出された瞬間にタバコを吸うことが最優先事項となってしまい、禁煙達成という素晴らしい未来にもやがかかってしまう」ということはしっかりと心にとどめておいてください。ちなみに、タバコを吸い続ける生活の中でも、タバコ吸った直後はそれなりに未来がクリアに見えることもあるかと思います。「微妙な不安感 =禁断症状」を緩和し
たいという気持ちがタバコを吸っている時だけは和らぐからです。しかし、タバコを吸わない人に比べればニコチンドーパミンを消費している分、本来使われるはずだった必要ドーパミン量も少なくなっていますから、その時に見ている未来には少なからずもやがかかっています。ではこの先、もし禁煙できたとしたらあなたの未来ビジョンがどうなるかを想像してみてください。あなたはこれまで心の中の各テーブルに居座る「微妙な不安感 =禁断症状」を緩和するためだけにニコチンドーパミンを大量消費していました。と、いうことはこの「微妙な不安感 =禁断症状」の正体に気付き、タバコを吸う必要はないと確信した瞬間、どうなると思いますか?そうです、目の前のもやが消え去ると共に、すべての楽しいことやすべてのストレスに「必要ドーパミン」が 100%使用可能となるのです。タバコを吸うという選択肢がある人生と、タバコを吸う必要性を取り除いた人生の差は、このドーパミンを何に使うかという差だったのです。残念ながらタバコを吸う選択肢は生活の中にあふれています。タバコが恋しいと思い続けていれば、コンビニの前を通るたびにニコチンドーパミンが放出されてしまうかもしれません。ですが、その選択肢を完全に捨て去り、タバコ以外のすべてにドーパミンを向けることができれば、人生の楽しいことがもっと意欲的に楽しめるようになり、人生の辛いことがもっと簡単に乗り越えられる、またストレスに直面したときに解決する活力が沸いてくるのです。今まで何をするにも邪魔で邪魔で仕方が無かった、目の前の霧が晴れるようなものです。この霧が晴れると、一気に未来が明るく見え始めます。ある書籍では禁煙すると 3週間ほどで「真実が見える瞬間」がやってくると書いてありましたが、これがその瞬間なのかもしれません。精神力で禁煙してもこれは得られません。何故なら「微妙な不安感 =禁断症状」が完全に消えても、ことあるごとにタバコを思い出し、「タバコが吸いたい」と感じることでニコチンドーパミンがタバコを吸わせようとあなたに働きかけ続けるからです。ニコチンドーパミンはあなたがタバコを恋しいと思っている以上、放出され続けます。だから禁煙して数週間も経っているのに吸いたい気持ちがおさまらず、そこで吸わなかったとしてもニコチンドーパミンを消耗しているわけですから、他のことに本来向けるはずだった必要ドーパミンも枯渇してしまうのです。禁煙数週間後に無気力感や禁煙鬱などの症状が出てくる理由は正にこれです。ですが今のあなたは違います。タバコを吸いたくなる本当の理由が、タバコが作り出した「微妙な不安感 =禁断症状」を緩和することだけだったと気付き、そしてその「微妙な不安感 =禁断症状」は、気付いてしまえば全く生活に影響を及ぼさないほど弱いものだと気付いたからです。とはいえ、その「微妙な不安感 =禁断症状」はニコチンの供給を断った直後から、大変微弱ながら 3日間確実に生じてきます。逆に言えば、この 3日間の過ごし方さえ正しければ、永遠にタバコを求める気持ちから開放されるのです。ですから最後のステップとして、その「微妙な不安感 =禁断症状」をかわす方法をお伝えします。それさえ知ってしまえば、もはや禁煙は怖いものではなく、それどころか最高に楽しいものとなるでしょう。 14.これまでのおさらいもう一度、おさらいをしておきます。くどいようですが、タバコから開放されるためには具体的な行動だけでなく、正しい理解が必要不可欠となります。ですからどうか読み飛ばさず、できるだけじっくり読んでいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。最後の 1本を吸い終えると、 30 ~ 40分後くらいにニコチンの遅効作用である「微妙な不安感 =禁断症状」が発生する。その時にタバコを吸うと「微妙な不安感 =禁断症状」が緩和され、そのほっとした気持ちとその時の状況が結びつき、日常の様々なシチュエーションでタバコが必要だと脳が錯覚を起こしてしまう。だからこそ、ことあるごとに「タバコが吸いたい」と感じ、それを繰り返すことでタバコにはメリットがあると信じ込んでしまっていた。タバコを吸う理由は、タバコ自体が作り上げた「微妙な不安感 =禁断症状」を緩和することだけ。「微妙な不安感 =禁断症状」は新幹線の中や夜寝ている間に感じている程度のもの。つまりほとんど存在しないも同然。タバコのメリットを信じていると、「タバコ
タバコが吸えるかも」という状況でニコチンドーパミンが放出され、必要ドーパミンの使用可能量が減ってしまう。従って、タバコを吸い続けることで日常の活力が奪われ、本来楽しいことにも魅力を感じなくなり、ストレスに立ち向かう勇気も奪われてしまう。これらはゆるぎない事実です。この事実を踏まえて、皆さんがタバコを吸いたいと感じるシチュエーションを、もう一度考えてみましょう。リラックスしたいときストレスを感じたとき集中したいとき単純に吸いたいと思ったとき食事や飲み会など、楽しいときやる気を出したいとき勇気が必要なとき口寂しいときショックを受けたとき目を覚ましたいとき電話に出るときこれらすべてと「微妙な不安感 =禁断症状」がセットになっていたことが、もうあなたにははっきりと見えていますね。あなたはただ単にタバコが作り出した「微妙な不安感 =禁断症状」をタバコで緩和してからでないと、これらのシチュエーションに身を置くことができなかっただけなのです。しかもその際にニコチンドーパミンを消費しているわけですから、何事もタバコを吸う前より良くなっていた試しがないこともおわかりいただけたと思います。それともうひとつ、「微妙な不安感 =禁断症状」はニコチンが体内から抜けていく過程で生じるもので、ニコチンが体から抜けきってしまえば物理的には何も起こらないのでした。次にニコチンが抜けきるまでの時間と症状を、確認の意味も込めて説明させていただきます。 15.物理的な禁断症状は 3日で消える禁煙 2日目とか 3日目が一番辛いといいますが、そんなことはありません。先にも話したとおり、ニコチンの禁断症状には上限があり、新幹線の中での感覚程度です。禁断症状の正体を知らず、その微妙な不安感を恐怖にまで高めてニコチンドーパミンを放出させ続けるから耐え難い症状が現れるのでした。仮に 2日目や 3日目あたりに不安が大きくなったとしても、それは禁断症状が強くなったからではなく、認知能力が正常化して禁断症状、つまり不安感がはっきり見えるようになっただけです。同様に吸いたい気持ちが強まったとしたら、それは思考がクリアになることで不安感がはっきりと見えたためにそれを消したい気持ちが強まったに過ぎません。いずれにしても、「禁断症状 =微妙な不安感」は非常に弱い感覚であることをしっかりと心に留めておきましょう。また、ニコチンは 72時間つまり 3日でほとんどが体外に排出されますので、それ以降、実際にはタバコが引き起こす物理的な禁断症状はありません。とはいえタバコを吸ったときのほっとする感覚は日常の多くのシチュエーションと結びついていますので、物理的な禁断症状がなくてもふとタバコのことが頭に浮かぶかもしれません。ですがそれさえも、これからお話しする手順に従えば極めて簡単に克服できます。どうか安心して読み進めてください。 16.認知行動療法についてあなたはすでに禁煙に必要な知識のほとんどを手に入れています。ですから、ここから話す内容は禁煙の確実性をより一層高める手法だと思って聞いてください。さて、具体的な禁煙の手順をお話しする前に、認知行動療法について、その効果もあわせて話しておきましょう。つまり、これからあなたにやっていただくのは、この認知行動療法によって、タバコそのものへの欲求を完全に消すことなのです。なんだか難しそうだと感じている方も心配ありません。本当に簡単なことです。認知行動療法は様々な分野で応用可能な、極めて効果的な方法です。重度のうつ病患者でさえ、この認知行動療法によって薬物での治療より高い効果が認められているとの研究結果さえあるほどです。ここでひとつ、認知行動療法の具体的な例を挙げてご説明しましょう。尚、この例は認知行動療法とはどのようなものなのかを説明するためのものですので、なんとなく読んでいただくだけでもかまいません。ですが、なんとなくでも読み飛ばさず読んでいただければ、その後の話がよりスムーズに理解していただけるかと思いましたので、敢えて記載させていただき
いただきます。ここからはいったんタバコのことは忘れて、ショートストーリーを読むような軽い気持ちで読んでいただきますようよろしくお願いいたします。まず、パン工場で勤務している Aさんがいたとします。彼は製造部門の主任を任されており、現場の責任を一手に引き受けて仕事をしています。仕事には大変やりがいを感じており、人間関係にも特に不満はないのですが、ある日、オーブンのスイッチを切り忘れて帰ってしまいます。本人は切ったつもりだったのですが、翌日出勤して厨房に入ると電源が切れておりません。確認したはずなのに電源が切れていなかった事実は、 Aさんの心に小さな不安の種を生み落します。そしてその日の夕方。製造が終わって厨房を確認し、すべての電源が切れていることを確認した Aさんは、いつも通り服を着替え帰路につくのですが、ふと前日オーブンの電源が切れていなかったことを思い出します。まぁ昨日はたまたまで、今日はちゃんと確認したから大丈夫だろうという気持ちもあるのですが、やはりそのことが気になって、帰宅後もくつろげそうにありません。そこで Aさんは再び厨房に戻ってすべての電源が切れているかを確認することにしました。厨房に戻り、すべての機器をくまなくチェックする Aさん。そして、全厨房機器の電源が切れていることを確認すると、いよいよ安心して帰宅することができました。さて、ここまでは誰しも経験したことがあるような話だと思うのですが、 Aさんの場合は少し違いました。その翌日、作業を終え帰宅途中に、再び電源が切れているか不安に感じ始めたのです。もちろんしっかりと確認してから厨房を出ましたので、現実的にはそんなことはありえないという気持ちもあるのですが、「ここで一度戻れば不安感は消えて安心できる」という気持ちがどうしても拭い去れず、再び厨房に戻って確認をしてしまいます。当然、電源はすべて切れておりますし、それを見た Aさんも少し無駄なことをしたと思いつつも、安心感を胸に帰宅することができました。ですがその翌日も、そのまた翌日も、帰路に付くたびに不安が発生してしてくるのです。そのたびに厨房に戻って確認するのですが、日を追うごとにこの不安は小さくなるどころか、大きくなる一方です。最終的には一度確認に戻るだけでは安心できず、二度も三度も厨房に戻らなければ安心できなくなるまでに、 Aさんは常に不安に苛まれながら帰宅する生活を送る羽目になってしまいました。ガスの元栓を閉めたか不安になって何度も家に戻ってしまう人も、この Aさんと同じ状態であると言えるでしょう。では、この Aさんが厨房に確認に戻らなくても安心感を得るためにはどうすればよいのでしょうか。まず最初に結論を話してしまいますと、それは「確認をしに戻らない」という行為を繰り返す。ただこれだけです。一回現場で確認してオッケーだと思ったら、その後絶対に確認をしに戻らないという行動を繰り返すだけでよいのです。その理由についてお話しましょう。まず、普通の人は「電源を切ったか不安に感じる →たぶん大丈夫だろうと思いそのままやりすごす →翌日、何もしなくても大丈夫だったことを確認する →安心する →不安を感じなくなっていく」という自然のプロセスを辿っていて、これが =慣れというものです。では今回のケースはどうでしょう。何度確認しても安心感が得られないのは、やはり正常とは言い難いですよね。確かに不安を感じて現場を確認しに戻れば一時的に不安は解消するかもしれませんが、これを何日も繰り返してしまうとどうなるでしょう。なんと脳内に「確認に戻ること =安心」という新しいプログラムが出来上がってしまい、またその裏で、「確認に戻らない =不安」というプログラムも同時に出来上がってしまうのです。本当は一度現場で確認すればそれだけで安心できていたはずなのに、何度も同じ行為を繰り返すことによって、戻って確認しなければ安心感を得られないように脳が新たにプログラムされてしまっていたのです。よって、安心感を得るためにやっていたことが実は逆効果。確認に戻れば戻るほど、雪だるま式に不安が拡大していっていたことに、 Aさんは全く気付いていなかったのです。この「確認に戻る →一時的に安心する →不安になる →確認に戻る →一時的に安心する →不安になる →…」という無限ループは、自分で抜け出す努力をしない限り、決して解消されることはありません。しかしながら、この症状は非常に簡単に克服できることもまた事実なのです。繰り返しになりますが、職場に戻って確認するという行為を続けると「何もトラブルが起こらなかった =安心」ではなく、「確認に戻ること自体 =安心」になってしまい、その裏で無意識的に「確認に
戻らない =不安」という認識がどんどん大きくなっていくのでした。そして、「確認に戻らなくても何も起こらなかった =安心」という自然なプロセスからどんどん遠ざかってしまうのでした。最初の頃の「スイッチ切ったかな」とかいう断片的な不安が、「確認をしないこと自体」に対する不安にすり変わってしまうのです。また、もっとやっかいなのは、そのような状況下では他の不安も確認しないことへの不安と結び付けて考えてしまい、芋づる式に色んな不安がスパイラルしていく可能性があるということです。では、どうすれば良いのでしょうか。それは、今の状態が異常であることを受け入れた上で、「確認をしなくても大丈夫だった」という経験を積み上げていけば良いのです。不安を感じたらその不安を受け入れて、「これは確認をしなかったこと自体への不安なんだ」と言い聞かせてしのげばいいのです。実際、一度現場で確認すれば、わざわざもう一度確認に戻らなくてもその後何か大変なことが起きるなんてことはほぼ有り得ないのですから。第一オーブンの電源を切り忘れたところで火事になるなんてことも極めて稀と言えるでしょう。もちろん最初のうちはどんなに言い聞かせても不安が残るかもしれませんが、心配ありません。数日も繰り返せば、不安自体が段々出てこなくなることに気付くはずです。何故ならこれを繰り返すことによって、「戻って確認をしなくても安心」という新しいプログラムが脳内に出来上がるからです。それどころか、 Aさんが仮に大変心配性な人だったとしたら、今回不安を克服できたという経験が糧となり、漠然とした不安でがんじがらめになっていた生活から解放される可能性すらあるのです。人間は、正体が見えないものに不安を感じ、そして、正体が見えない不安を恐怖にまで高めていってしまう特性があります。ですが、その不安の正体が単なる「確認に戻らないことそのものへの不安」であると気付き、その解消法もわかってしまえば、あとは行動するしかありません。必ず克服できるとわかっているものに対して、人間はどんな状況であれ、それをなんとかしようと行動を起こせるものなのです。わざわざ確認に戻らなくても一度現場で確認していればトラブルなんてほぼ起こり得ない。それが真実。そして、それはただ単に「確認に戻らない」という単純な行為を繰り返すだけで、いとも簡単に解消されるのです。それともうひとつ、注意点としては、たとえ現場に戻らなかったとしても、繰り返し頭の中で現場を思い出して脳内確認をしないこと。これをしてしまうと、実際に現場には戻らなくても「脳内確認 =安心」のプログラムが新たに出来上がってしまい、「脳内確認をしない =不安」という状態になってしまうからです。重要なのは、一度確認して店を出たら、思い返さないこと。真実を疑わないこと。「大丈夫」と自分に言い聞かせて、不安を感じたら、「この不安は“確認をしないことそのものに対しての不安”だ。単なる錯覚だ」と繰り返し自分に言い聞かせること。生まれつき心配性な人間なんて存在しません。本来人間は、繰り返しポジティブな思考を巡らせることで、常に安心感を手に入れることができるように設計されているのです。要点をまとめると次のようになります。【不安感の正体に気付かず確認に戻る行為を繰り返した場合】不安を感じる現場に戻って確認すれば安心できると考える現場に確認に戻る安心する 1 ~ 4を繰り返す「何も起こらなかった =安心」ではなく、「確認に戻る =安心」になるその裏で「確認に戻らない =不安」というプログラムが脳内に形成される確認に戻らないと不安になる 1 ~ 8を繰り返し、不安がどんどん大きくなっていく【不安感の正体に気付いて確認に戻らなかった場合】不安を感じるこの不安は「確認をしに戻らなかったことそのものに対しての不安だ」と認識するはっきりと認識できたら、それをやりすごす 1 ~ 3を繰り返す「確認に戻らなくても不安にならない」という新しいプログラムが脳内に作られる不安自体が発生しなくなる両者を見比べると、 1.不安を感じるという現象は共通していますが、その不安をどう
認識するかという点において、 2.以降の行動が大きく異なっていることがわかります。つまり、同じ感情が発生したとしても、そのとらえ方と行動さえ正しければ、人間の感情はコントロールできるのです。そしてこれこそが認知行動療法なのです。さて、話をタバコに戻します。これからあなたにやっていただくのもこの認知行動療法に近いものです。つまり、タバコをやめたときに引き起こされる不快な症状を意識的にとらえ、それを感じた瞬間に「この不快感は実はタバコが引き起こしているものだ」とはっきり認識して、乗り越えていくのです。まだよくわからないという人も大丈夫。次以降の章でわかりやすくご説明いたします。単純すぎて不安になるかもしれませんが、プロセスは単純であればあるほど効果がでやすく、継続しやすいものなのです。私を信じて読み進めてください。 17.あなたの脳内プログラムを理解しようさて、タバコを吸う理由は、タバコ自体が作り出した「微妙な不安感 =禁断症状」を解消するためだけであり、この「微妙な不安感 =禁断症状」を緩和したときのほっとした感覚がその時の状況と結びつき、たとえばリラックスさせてくれたとか、ストレスを解消してくれたという錯覚が生まれるのでした。だからこそリラックスしたいと思った時や、ストレスを感じる度にタバコを思い出し、タバコが吸いたくなってしまうのです。そして、喫煙年数が長ければ長いほどこの結びつきは多くなり、ことあるごとにタバコのことを思い出して「吸いたい」と感じてしまうのでした。ここでポイントとなるのが、日常生活の様々な場面でタバコのことを思い出すとき、同時に「微妙な不安感 =禁断症状」も無意識に思い出してしまうという点にあります。たとえばストレス解消のためにタバコを吸っている人の場合を考えてみましょう。この人はストレスを感じる度にタバコを吸ってきたわけですから、当然ストレスを感じる場面とタバコの結びつきが強くなっています。「微妙な不安感 =禁断症状」は禁煙した人だけではなく、喫煙者にも常に生じているという話はすでにしました。ニコチンは体内で素早く分解されるため、大体タバコを吸い終えて 30 ~ 40分後に「微妙な不安感 =禁断症状」が発生し始めるからです。ですがこの感覚は非常に微かな感覚のため、本人はまさかタバコが引き起こした禁断症状とは気付いていません。新幹線の中や夜寝ているときと同程度です。しかし、ひとたびストレスを感じた瞬間、一気にこの「微妙な不安感 =禁断症状」が表に出てきます。ストレスとタバコが結びついているからです。そして真っ先にこの不安感を解消したいという気持ちが生まれ、そこで吸えなければ「微妙な不安感 =禁断症状」はイライラに変わります。そしていざタバコが吸えるとなった瞬間にニコチンドーパミンが放出され、結果的にタバコを吸ってしまうわけです。そしてタバコを吸い終え、「微妙な不安感 =禁断症状」が解消されるとニコチンドーパミンは何事もなかったかのように消え去り、残されたのは必要ドーパミンの使用量を削られストレスに対処しにくくなった状況だけということになります。では、この人が精神力で禁煙して一週間が経過した時にストレスを感じたらどうなるでしょうか。 3日も経てばニコチンは体からほとんど排出されますので、物理的な禁断症状は生じていないはずです。では果たしてこの人はタバコを吸いたいと感じないでしょうか?答えはノーです。実はこれこそがタバコの持つ最大の罠なのです。今一度確認ですが、この人はストレスを感じると「微妙な不安感 =禁断症状」に意識が向いて、タバコを吸いたくなるのでした。実は、この「ストレス →微妙な不安感 →タバコが吸いたい」という一連のプロセスを繰り返してしまうと、今度はニコチンが抜けきっていてもストレスを感じる度に自動的に微妙な不安感が発生するようになってしまうのです。つまり、ストレスがトリガーとなって微妙な不安感が発生するというプログラムが脳内に完成してしまっているのです。この脳内プログラムの形成はあなたが過去にタバコを吸っていたすべてのシチュエーションにおいて生じてきます。例えばリラックスするためにタバコを吸っていた人であれば、「リラックス →微妙な不安感 →タバコが吸いたい」というプログラムが脳内に存在していると考えてほぼ間違いないでしょう。そう、これこそが、何日も何週間も禁煙しているのにまた吸いたくなってしまう最大の理由です。つまり、ニコチンの有無に関わらず、その人がタバコを吸ったすべてのシチュエーション
シチュエーションにおいてこの微妙な不安感が発生するように脳の仕組み自体が変わってしまったのです。リラックスしたいときストレスを感じたとき集中したいとき単純に吸いたいと思ったとき食事や飲み会など、楽しいときやる気を出したいとき勇気が必要なとき口寂しいときショックを受けたとき目を覚ましたいとき電話に出るときこれらすべてがトリガーとなり、微妙な不安感が発生し、その結果としてタバコを連想してしまうプログラムが出来上がってしまっているのです。これは本当に厄介です。そしてこれが精神力で禁煙しても永遠にタバコから解放されない理由とも言えます。何故ならこのプログラムは自分で意識的に変えていかない限り残り続けるからです。ですがご安心ください。確かに微妙な不安感や吸いたい気持ちを我慢しているだけではこのプログラムは解消されませんが、正しい方法で認識を変えていけば 3日程度でこのプログラムは書き換えられます。そう、その方法こそが、今からあなたにやっていただく認知行動療法なのです。あなたは簡単にこのプログラムを書き換えられるのです。それはつまり、ことあるごとに発生していた微妙な不安感と、決別できるチャンスなのです。もしかしたら既にあなたにはタバコをやめた後の素晴らしい未来が見え始めているかもしれません。ここが正念場です。今までタバコに支配されてきた陰鬱な生活を葬り去り、本当の自由を取り戻しましょう。 18.「タバコが吸いたい」と感じるまでの思考の流れでは次に、タバコが吸いたいと思うまでの思考の流れを改めてご説明いたします。最初は喫煙者の場合ですが、まず、ストレスやリラックスなど、その人がタバコを吸いたいと感じるシチュエーションが訪れます。すると脳内のプログラムが発動し、微妙な不安感が発生します。更にはまだニコチンが体内にあるわけですから、このプログラムの他に物理的な禁断症状も加わり、微妙な不安感は更に大きなものとなります。そこですぐにタバコが吸えるのであればニコチンドーパミンが放出され、即座にタバコに火が付けられます。反対にしばらく吸えない状況であれば、微妙な不安感はイライラに変わります。そしていざ吸えるとなった瞬間に「タバコが吸いたい」と強く感じ、ニコチンドーパミンが放出されタバコに火を付けるでしょう。では、禁煙して 3日以上経過している場合はどうでしょう。まずはストレスやリラックスなど、その人が過去にタバコを吸っていたシチュエーションが訪れると、喫煙者同様、脳内のプログラムが発動し、ニコチンが体から抜けきっているにも関わらず微妙な不安感が発生し始めます。しかしそこでタバコは吸えませんから、物理的な禁断症状は無いにも関わらず微妙な不安感はイライラに変わります。人間は不快感を解消したいと考える生き物ですから、そのイライラした感覚はやがて「タバコを吸いたい」という気持ちに変化します。ですがその後もタバコは吸えませんから、そのイライラした感覚とタバコが吸いたいという気持ちは更に大きなものとなっていきます。これを継続してしまうと、そのイライラした感覚とタバコを吸いたいけど吸えないという気持ちがストレスを生み、最終的には手が震えたり禁煙鬱になったりといった症状が現れてきます。もちろんこれは精神力で禁煙した場合の話ですから、ここまで本書を読んできた皆さんであれば仮にここで読むのをやめても、このような症状は起こりにくいと言えます。しかし本書の目的は禁煙をより確実なものにすることにあります。「タバコに対する正しい理解」 +「認知行動療法」という盤石の布陣で挑めば、禁煙など少しも辛くありません。既に「タバコに対する正しい理解」は皆様の脳にしっかりと刻みつけられているはずですので、あとは具体的な方法論、つまり「認知行動療法」を身に着けるだけであなたの禁煙はより確実なものとなります。さて、話を元に戻しますが、ここまでのお話でまず気付いていただきたいのは、喫煙者も、禁煙して 3日以上経っている元喫煙者も、最初に必ず「微妙な不安感」が生じており、「イライラした感覚」を経て、最終的に「タバコが吸いたい」という気持ちに繋がっているという点は共通しているという事実です。つまり、
喫煙者も、禁煙して 3日以上経っている人も、「微妙な不安感」「イライラした感覚」「タバコが吸いたい」という 3つの感覚は、ニコチンの有無に関わらず同様に生じているのです。ちなみにこれからあなたにやっていただく認知行動療法は、これら 3つの感覚を意識的にとらえ、それを「この感覚はタバコ自体が引き起こしてるものなんだ」とはっきり認識して乗り越えるプロセスです。このプロセスを繰り返すと、パン屋の Aさんの例と同様、 3つの感覚自体が起こらなくなってきます。そう、それこそが認知行動療法の真骨頂であり、どんな状況の人でも簡単に実行できる、極めて効果的なメソッドなのです。それではいよいよ具体的な禁煙方法をお話しします。 19.認知行動療法による禁煙手順まず何より大切なことは、「微妙な不安感」「イライラした感覚」「タバコが吸いたい」という 3つの感覚にできるだけ早く気付くことです。これらは同時に起こってくるものではなく、「微妙な不安感」 →「イライラした感覚」 →「タバコが吸いたい」という順で生じてきますから、「微妙な不安感」の段階で気付ければ最も乗り越えるのが楽になります。ですが実際は仕事をしたり、家事をしたりと、忙しい生活の中で禁煙を始める場合が多いでしょうから、「微妙な不安感」の発生に気付かず、その後の「イライラした感覚」や、それにも気付かなければ「タバコが吸いたい」という感覚になった段階で気付くことになるかもしれません。ですが心配はご無用。要は気付いた段階で認識すればよいのです。そして、その感覚に気付いたら、次に「これはタバコが引き起こした感覚だ。 3日も経てば必ず消えてくれる」と頭ではっきりと言葉にしてください。「あ、タバコの影響か。 3日で消えるさ」とか「タバコの仕業だな、すぐにおさまる」とか、言葉は何でも結構です。どんな言葉であれ「この感覚はタバコが原因だ、すぐにおさまる」と自分に言い聞かせることのできる言葉であれば OKです。その上で、今度は大きく深呼吸をします。鼻でも口でもかまいません。冷たい空気が鼻やのどの奥にあたる感覚、胸やお腹が膨らむ感覚に全神経を集中させ、そしてゆっくりと吐き出すのです。そして、吐き出すときにも、暖かい空気が外に出て行く感覚を舌や鼻で意識的に感じるようにしましょう。深呼吸は一回でも十分ですが、そもそも深呼吸自体にリラックス効果がありますから、何度もできる環境であれば何度もやるに越したことはありません。タバコの作り出すこれらの感覚はいずれも長続きはせず、深呼吸を終えてしまえばすぐに消えてなくなることがほとんどです。仮になくならなくても、「これはタバコが引き起こしたものだ」と理解さえできていれば、数分で消えていくはずです。このプロセスをまとめると次のようになります。「微妙な不安感」「イライラした感覚」「タバコが吸いたい」いずれかの感覚にできるだけ早く気付く気付いた段階で「これはタバコが引き起こした感覚だ。 3日で消える」と頭ではっきりと言葉にする大きく深呼吸をして、それらの感覚が消えていくことを実感する。実感できなくても、回を重ねるごとに実感できるようになるので特に心配しない 1 ~ 3を繰り返すと、 3日くらいで、今度は「タバコが無くても 3つの感覚が出てこない」という新しいプログラムが形成され始める。この本を読み終えてから数日間、「微妙な不安感」「イライラした感覚」「タバコが吸いたい」という 3つの感覚はとにかく徹底的に意識してください。この 3つの感覚のいずれかがふっと心をよぎった瞬間を逃さずとらえてください。例えそれが仕事への不安感なのか、タバコによる微妙な不安感なのか区別ができなくてもかまいません。事実としてこの不安感は、たとえ仕事の不安感とはっきりわかっている場合であっても、必ず一部はタバコの影響による微妙な不安感が加わっているからです。今タバコを吸っている人も、すでにタバコをやめて 3日以上経っている人も、この本を読み終えた直後がスタートラインだと思ってください。この認知行動療法を実践するまでは、微妙な不安感が発生するプログラムはあなたの脳内に残っており、そして様々なシチュエーションと少なからず紐づいているのは確固たる事実だからです。ですから日常のどんな不安感もイライラも、必ず一部はタバコが作り出したプログラムと関連していると確信し、そのような感覚をすべて意識的にとらえるようにしてください。どれがタバコによるイライラで、どれが仕事によるイライラなのかわからなくてもかまい
かまいません。というか、そんなことを考える必要はないのです。どんなイライラも、どんな不安感も、とにかくそれらの不快な感情には少なからずタバコが影響しているのですから、全部まとめて「この感覚はタバコが引き起こしているんだ」と言い聞かせることこそが重要なのです。恐らく 3日目には効果を十分に感じることができると思いますが、タバコを吸って楽しかった記憶はかなりしつこく付きまとってきますので、禁煙後 3週間はこのプロセスを繰り返してください。そうすればタバコの影響はきれいさっぱり消え失せます。それどころかうまくいけば他の不安感やストレスまで同時に消し去ることができる可能性も秘めているのです。失うものは何もありません。「タバコに対する正しい理解」 +「認知行動療法」という最強のメソッドは、実践してみて初めてその効果を実感できるものなのです。なんだか単純すぎてあっけないと思われたでしょうか。それともちょっと難しそうと思われたでしょうか。いずれの場合でも、とにかくやってみればその効果と継続のしやすさがはっきりと実感していただけるはずですし、深呼吸はドーパミンを増やす効果もありますから、深呼吸自体が習慣になれば効果は更に倍増するはずです。さて、あなたが禁煙するために必要な知識はこれですべてそろいました。あとは行動あるのみです。ここまで読み進めていただけた皆様であれば、必ずタバコから解放された素晴らしい未来を手に入れることができると私は確信しております。ですが、人間は忘れる生き物です。そして、忘れること自体への不安もまた付きまとうもので、禁煙の場合もそれと同じ不安を感じるかもしれません。私がそうでした。素晴らしい禁煙メソッドも、忘れてしまうかもしれないという不安や、どこを読み返したらいいのかわからないという不安で、かえってタバコを求めるようになってしまったことさえあるほどです。ですから皆様に永遠の安心感、すなわち永遠にタバコから解放されるという確信を得ていただくために、最後の章、「永遠の安心感を手に入れる説明書」を書き綴り、本書の結びとさせていただこうと思います。尚、現在タバコを吸っている人は、ここで人生最後の一本に火を付け、吸い終えてから次に進んでください。現在タバコを吸っていない人は敢えて吸う必要はありませんので、安心して次の章へ進んでください。 20.永遠の安心感を手に入れる説明書いよいよ最終章です。もはやあなたにとってタバコは完全に不要なものだと心の底から納得できているはずですし、あとは認知行動療法で脳内のプログラムを書き換えてしまえば、禁煙は永遠のものとなります。この章だけは禁煙後 3週間の間、定期的に( 2 ~ 5日おきくらいに)読み返していただきたいので、今まで長い時間をかけて説明してきた内容のポイントを要約し、更にはちょっとした注意点も書き加えて完結させてあります。もちろん本書を何度もすべて読み返していただければそれに越したことはありませんが、とりあえずこの章だけは定期的に読み返していただくことを推奨させていただくと共に、永遠の安心感を得る為にもどうか本書を捨てず手元に残していただくことをお願い申し上げます。 ①タバコを吸う理由は「微妙な不安感 =禁断症状」の解消だけタバコを吸い終えると 30分 ~ 40分後に「微妙な不安感」が発生してきます。そしてこの「微妙な不安感」こそが禁断症状の正体であり、それ以上でもそれ以下でもないのでした。タバコの効果はこの「微妙な不安感」を緩和することだけです。日々のストレスも解消してくれなければ、楽しいときを楽しくしてくれることもありません。日常のすべてのシチュエーションにこの「微妙な不安感 =禁断症状」が付きまとっていることを思い出し、それが消えたらどんなに素晴らしいかを想像してください。 ②ニコチンドーパミンと必要ドーパミンを区別するニコチンドーパミンはタバコを吸うためだけに消費されるものですから、日々のストレスに効果がないどころか、本来ストレスに対して使用するはずだった必要ドーパミンの総量すら削っていたのでしたね。尚、「タバコが吸いたい」と感じただけではニコチンドーパミンは放出されません。「もうすぐ吸える!」と思うから一気に放出されるのです。また、ニコチンが完全に体から抜けきっていても、タバコを求める脳内
のプログラムを書き換えない限りはコンビニの前を通り過ぎるたびに「ここで買えばもうすぐ吸える!」と感じてしまうかもしれませんので、気付かないうちにニコチンドーパミンを消費することにもなりかねません。ですがこれに関しては後述の認知行動療法で簡単に克服できます。いずれにせよ、一日に使えるドーパミンの総量が仮に 10だとして、今まであなたがニコチンドーパミンに使っていた分が 7、必要ドーパミンに使っていたのが 3くらいだったとすれば、今後は丸々 10のドーパミンを必要ドーパミンに使えることになります。楽しいことにも、ストレスにも、惜しみなくドーパミンが使用可能になったのです。日常のすべてのシチュエーションにドーパミンが降り注ぐ様子を想像してみてください。楽しいことにより積極的になり、ストレスに立ち向かう活力が湧いてくる。まるで世界が一気に明るくなったような感覚を味わう瞬間が必ずあなたを待っています。ですが、タバコをやめて数日間は脳が必要ドーパミンの使い方を忘れているかもしれません。それゆえ、なんだか日常がつまらなく感じたり、何にも興味が湧かないと感じることもあるかもしれませんが、「つまらない」とか「やる気がでない」といったような状況に陥ることも、脳が回復するためには重要なプロセスなのです。何故ならそれらの不快な感情がトリガーとなって必要ドーパミンが回復していくからです。ですからどんなに不快な症状が現れたとしても「これはニコチンドーパミンが消え失せ、必要ドーパミンが回復するプロセスなんだ」ということを即座に思い出し、後述の認知行動療法を実践し続けてください。そうすれば、あとは脳が勝手に「必要ドーパミン」の使用方法を思い出してくれます。それにつれ次第にいろんなことが楽しくなり、またタバコなしでは無理かもと思っていたシチュエーションも難なくこなしている自分に気がつく瞬間が訪れるでしょう。 ③あなたの脳に形成された脳内プログラムを意識するニコチンの有無に関わらず、あなたの脳内にはストレスやリラックスなど、特定の状況下で「微妙な不安感」が発生するプログラムが形成されています。この「微妙な不安感」はやがて「イライラ」変わり、最終的には「タバコが吸いたい」という気持ちとなって現れたりします。ですが心配ご無用。このプログラムは認知行動療法によって簡単に書き換えることができます。 ④認知行動療法を実践する本書を読み終えてからしばらくの間、「微妙な不安感」「イライラした感覚」「タバコが吸いたい」という 3つの感覚を徹底的に意識してください。これらは同時に起こってくるものではなく、「微妙な不安感」 →「イライラした感覚」 →「タバコが吸いたい」という順で生じてきますが、いずれの段階であっても、気付いた時点で意識し、以下の手順でその気持ちを解消するプロセスを繰り返せば、脳内に「タバコが無くても不快な感覚が出てこない」という新しいプログラムが出来上がります。 Ⅰ.「微妙な不安感」「イライラした感覚」「タバコが吸いたい」いずれかの感覚にでき るだけ早く気付く Ⅱ.気付いた段階で「これはタバコが引き起こした感覚だ。 3日で消える」と、頭ではっきりと言葉にする Ⅲ.呼吸に集中しながら大きく深呼吸をして、それらの感覚が消えていくことを実感する。実感できなくても、回を重ねるごとに実感できるようになるので特に心配しない Ⅳ. Ⅰ ~ Ⅲを繰り返すと 3日くらいで、今度は「タバコが無くても 3つの感覚が出てこない」という新しいプログラムが形成され始める。 4日目以降にも定期的にこれらの感覚が現れることがあるが、特に焦らず「これはタバコが引き起こした感覚だ。すぐに消える」と脳内で言葉にし、深呼吸して乗り越える。トリガーとなっていた日常の結びつきもこのプロセスを繰り返すたびに断ち切れていき、最終的には完全にタバコから解放される。たとえ禁煙 3週間後に「タバコが吸いたい」と感じることがあっても焦らず、「ああ、まだ結びつきが残ってたんだな」くらいにとらえて同様の手順で乗り越える。尚、深呼吸自体にドーパミンを増やす効果があることも覚えておくと効果は更に倍増する。 ⑤禁煙開始に絶好な日は今日しかない不思議なもので、タバコをやめてから 3週間くらいは「今日はまだ禁煙に向かない日なんだ。明後日が絶好の日だ」などという考えが定期的に浮かんでくるものです。上司に怒られたり、悪口を言われたりといった
経験が重なればその考えはより大きくなることでしょう。そして、一度そう思ってしまえば、途端にニコチンドーパミンが放出され、あなたの足をコンビニへと運んでしまいます。ですから、このような考えが浮かんでも、その考え自体タバコが引き起こしているという事実を瞬時に思い出し、上記の認知行動療法で乗り越えてください。つまり、タバコを求めるどんな感情が沸き起こったとしても、「これはタバコ自体が引き起こしているんだ」とはっきり脳内で言って、深呼吸して乗り越えるのです。そこで欲求に従ってしまえば、タバコを買おうとコンビニに向かっている間、「もうすぐ吸える」という気持ちが最大限に高まり、とんでもない量のニコチンドーパミンを消費することになりますので、当然ストレスを乗り越えるために必要なドーパミン量も減少します。そして一服してしまえばニコチンドーパミンは瞬時に消え失せ、残されたのは目の前のストレスと枯渇した必要ドーパミンだけとなります。今日より明日の方がストレスに対処しやすくなるなんてことはあり得ないと確信してください。本書を読み終えた瞬間、もうタバコに縛られる陰鬱な生活は終わっているのです。それに、タバコなしでは乗り越えられなそうなシチュエーションが早く訪れれば訪れるほど、それを乗り越えたときに新しいプログラムが形成されやすく、その後の禁煙生活が簡単に送れるようになります。それはむしろチャンスだと思って、しっかりと認知行動療法で乗り越えてください。そうすれば次第にこの気持ち自体、起こらなくなっていきます。 ⑥タバコを手元におかないタバコは一切手元に置かないでください。「いつでも吸える」という状況は、どれだけ吸いたくなくても無意識にニコチンドーパミンを放出してしまう可能性があるからです。無駄なニコチンドーパミンを使用せず、必要ドーパミンを目いっぱい使うためには、タバコも灰皿もライターも一切捨ててしまうのが効果的です。ですが、もし家族で吸う人がいる場合には、無理にタバコを捨てさせる必要はありません。他人のタバコと自分で買ったタバコは意味合いが違います。周りでタバコを吸う人間はむしろ良い実験台だと思って観察してみてください。喫煙の許された休憩所や飲み会の席でも同様です。「微妙な不安感 =禁断症状」が発生し、ニコチンドーパミンが放出され、タバコに火をつけ、日常の必要ドーパミンが枯渇していく様子を眺めてみると本当にその通りだと思えるはずですから、むしろそんな状況はラッキーだと思って是非観察を楽しんでください。 ⑦生活習慣を極端に変えないニコチンドーパミンを使用しなくなり、必要ドーパミンが 100%使えるようになるといろいろなことが面白く、どんどんと興味がわいてきたりします。一般的にタバコをやめると食欲が増したり太ったりするのは、味覚の回復で料理が美味しくなったり、禁断症状でニコチンの代用品を求めたりするからだと説明されていますが、この必要ドーパミンの回復も理由のひとつであると私は考えています。食べること自体への喜びが増すのでつい食べ過ぎてしまうのです。また、今まで大して興味がなかったことにどんどんと興味が湧いてきて、いろんなことにチャレンジしたくなってくるかもしれませんが、禁煙後三週間はできるだけ極端に生活習慣を変えないよう注意してください。もちろん、多少のことであればそれは良い変化ですので自分の意欲に素直に従えば、禁煙後の生活を続ける励みにもなるのですが、人間の体はあまりに極端な変化を経験すると、その反動で疲れてしまうことがあるからです。ただでさえタバコをやめて必要ドーパミンがどばどば放出されてくるという大きな変化の真っ最中に、食事の量を極端に増やしたり、コーヒーの量を 2倍に増やしたり、激しい運動を始めたりすれば、脳にとっては大きな負担となります。逆に、タバコを吸っていたときと同じような生活習慣で過ごせば、タバコを吸っていたときと、やめた後の心身の変化を比較しやすくなり、いかにタバコが日常生活の妨げであったかがはっきりと見えてくるでしょう。そして、単調な毎日の中にも実は数多くの喜びがあふれていたことに気がつけるはずです。 ⑧たまにはいいか、一本だけならいいか、などと決して思わない一本吸ってしまえば、その後は「いつでも吸える」という意識が芽生え、そのたびにニコチンドーパミンが放出されてしまいます。禁煙とは、一生一本たりとも、一服たりともしないということなのです。友達から一本もらって、一服でもしてしまえばまた
また喫煙生活に逆戻りです。それどころか「吸いたくなったらまたもらえばいい」といった意識が生まれてしまいますので、友達が吸っているのを見る度にニコチンドーパミンが消費され、使用できる必要ドーパミン量も減るのですから、仮にそこで吸わなかったとしても必ずその後にはどんよりとした日常が待っていることも覚えておいてください。「たまにはいいか、一本だけならいいか」などという気持ちは、禁煙生活において絶対に持ってはいけません。 ⑨とにかく 3週間継続するくどいようですが、とにかく 3週間はこの章を定期的に読み返し、そして禁煙を継続してください。疑いの気持ちや喫煙欲求があなたの心に湧き上がることがあっても、焦らず認知行動療法で乗り越えてください。乗り越える度に脳は浄化されていきます。そして 3週間後には吸いたい気持ちはきれいさっぱりなくなり、「やっぱりタバコには何のメリットもなかった」と心から思えるはずです。そして、吸っていたこと自体が信じられなくなる瞬間が必ず訪れます。もちろん、禁煙直後は脳がまだニコチンの呪縛から解放されておりませんので、なかなかそういった考え方はできないかもしれませんが、 3週間後には脳が正常化し自然とそういう気持ちになることができます。これは私が保証します。そして、必要ドーパミンが目一杯使用可能となることで、人生がより明るいものになっていくことでしょう。 ⑩タバコを吸う行為自体が病気だと認識するタバコを吸い続けることで様々な病気にかかるリスクは上がりますが、そもそもタバコを吸い続ける行為自体が「ニコチン依存症」という病気そのものなのです。この病気にかかると常にだるく、憂鬱な気分が継続し、集中力が低下します。また、今まで楽しかったことがすべてつまらなく感じるようになり、最終的にはどんよりした日常を経て死に至ります。風邪やインフルエンザのように時間が経てば完治するかといえば決してそういうわけではなく、一生この病気と共に生きる人も少なくありません。また確実に寿命を縮める病気であるということはわかっているのですが、発症から死までの期間は人によって大きく異なっており、この病気を抱えたまま長生きする人はむしろ耐え難い苦痛を長期間強いられることになりますので、どう転んでも人生を悲惨なものにする恐ろしい病気であることに変わりはありません。ですが、この病気を 3週間で治す特効薬が開発されました。しかも手軽に服用できて、副作用も一切ないという正に奇跡の薬です。それが「ドーパミン復活禁煙法」です。どうか私の話を信じて、タバコに縛られない自由な世界に飛び込んでください。 ⑪最後におめでとうございます。これであなたもタバコから解放されました。ニコチンドーパミンが消え失せ、必要ドーパミンを 100%使用可能になったことで、タバコのみを求める生活から自由になったのです。あとはこの章を定期的に読み返し、認知行動療法を実践すれば禁煙は永遠のものとなります。最後にお伝えしたいのですが、もしかしたらあなたは今後ふとした瞬間、あの肺にガツンとくる感じや、吸ってほっとした感覚を思い出して「タバコが吸いたい」と感じるかもしれません。ですが、それを感じたとしたら、それはラッキーサインだと思っていただきたいのです。何故ならそれらの古い記憶を「これはタバコが作り出したものだ」と認識し、認知行動療法で塗り替えていく経験こそが、禁煙成功に向けた大きな前進となるからです。吸いたい気持ちや禁断症状が大きければ大きいほど、それを塗り替えた時の成功体験も大きくなり、「タバコが無くても大丈夫」という新たな脳内プログラムも強固なものになるからです。反対に本書を読み終えた瞬間から素晴らしい気分で、全くタバコを吸いたいとさえ思わない人は、内容を完璧に理解している証拠ですから、そのままタバコに縛られない自由な生活を謳歌してください。ですが、油断も禁物です。タバコと日常生活の結びつきは本当に多岐に渡っていますから、ふとした瞬間にタバコの誘惑にさらされ、「こんなに気分がいいんだったら一本くらいいいか」と考えてしまうかもしれないからです。繰り返します。一本だけなどという吸い方はありません。ですからいずれの場合にしても、特に深く考えずこの章を三週間は定期的に読み返し、認知行動療法を繰り返していただければと思います。そしてその先には約束された明るい未来が必ず待っていると確信し、何が起きても焦らず一歩一歩進んでいってください。そう
すれば、あっという間に必要ドーパミンが日常のすべてをフルカラーに塗り替えてくれるはずです。私がそうであったように。それでは、ここまで私の話にお付き合いいただき、本当にありがとうございました。自分や他者への愛に満ちた「禁煙」という美しいプロセスを、どうか存分にお楽しみください。もしあなたが完全にタバコから解放された暁には、もう二度とお会いすることは無いのかもしれませんし、それはそれで少し寂しいような気も当然するのですが、とはいえそれが私の本望でございますので、いずれにせよあなたの禁煙成功を遠くから一生、万歳三唱する禁煙マニアがいたという事実だけは、心の隅っこの方でなんとなく覚えておいていただけましたら、甚だ幸いでございます。「微妙な不安感」「イライラした感覚」「タバコが吸いたい」 ↓「これはタバコが引き起こした感覚だ。 3日で消える」 ↓深呼吸 ↓乗り越えれば新しいプログラムが形成
コメント