MENU

ステップ① 事業の究極の目標 あなたが望む人生の目標とは?

ここまで読み進めてくれた読者の皆さんなら、事業の目標を考えるときにいちばん大切なことは、あなた自身の人生の目標である、といっても驚かないだろう。

私は、事業が人生のすべてだとは思っていないが、人生の中でかなり重要な役割を担っていると考えている。

だからこそ、事業の目標を考えるうえで、「あなた」にとっての人生の目標を無視することはできないのである。

事業の目標とは、あなたが何に最も価値を置き、どんな人生を望んでいるのか?に対する答えとなるものである。

縁起が悪いかもしれないが、あなたの人生の最期の瞬間を想像してほしい。

友達、家族、仕事仲間が顔をそろえて、涙を流しながら別れを告げる中、あなたの生前の声を録音したテープが流れはじめる。

あなたはテープの中で、どんな人生だったと振り返りたいだろうか?・そこであなたが伝えたいと思うことが、あなたの人生の目標なのである。

人生の日標が決まれば、あとは実行に移すだけである.つまり人生の目標をつくり、あなたが望むような人生へと切り替えればよいのである。

単純なことだろうか?・単純なことだ。簡単なことだろうか?いや、簡単なことではない。しかし、まずは人生の日標を決めなければならない。

人生の目標が定まらないまま、どうして事業の日標を決めることができるだろうか?どうして達成の度合いを測ることができるだろうか?優良企業は、はっきりとした将来像をもち、それを実現するために何が必要かを知っている。

功績を残す人たちは、明確な人生の目標をもち、それを実現するために毎日努力を重ねている。

普通の人と功績を残す人の違いは、人生を受身の姿勢で過ごすことと、自ら人生を切り開こうとすることの差だと私は信じている。

事業を立ち上げる前に、または明日の仕事を始める前に、次の質問を自分に問いかけてみてほしい。

  • 私はどんな人生を過ごしたいと思っているのか?
  • 私は毎日どんな生活を送りたいのか?
  • 人生の中で何を大切にしたいのか?
  • 自分以外の人たち―家族、友達、仕事仲間、顧客、従業員、地域社会――とどのように関わっていきたいのか?
  • 自分以外の人たちから、どう思われたいのか?。
  • 二年後、十年後、二十年後、そして人生が終わりに近づいたときに何をしていたいのか?
  • 精神的な充実、金銭的な豊かさ、健康的な生活、知識の探求、技術の習得、人間関係の豊かさ、人生の中で何を追求したいのか?
  • 夢を実現するためにはどれくらいのお金が必要か?
  • いつまでに必要か?

これらは、事業の究極の目標を考えるうえで必要な質問のごく一部にすぎない。究極の事業目標とは、人生の目標と切っても切れない関係にあるのだ。

「私の事業には、全く欠けていた考え方だわ」サラは大きな声をあげた。「『私』という大切な要素をどうして見落としていたのかしら」私は答えた。

「自分を責める必要はないよ。誰もが同じようなものさ。私もきみとは同じようなものだったんだ。ある物語を教えてあげよう」

「昔、人生を無為に過ごす若者がいた。彼の人生に目標などなかった。音楽のオ能を周囲に認められながらも、その道に進むこともなく、UCLAに入学しても、興味をもてるものを見つけられないままに半年で中退した。さまざまなもの――小説や詩の創作、宗教、神秘主義、お金―‐が、彼の興味を引きつけたが、長続きすることはなかった」

「仕事を頼まれれば、彼はどんなものでも引き受けた。生まれもった器用さから、どんな仕事もうまくこなしたが、天職と思えるような仕事に巡り合うことはなかった。

大学を去った後、芸術を学ぶためにニューヨークに行っても、すぐに心変わりして軍隊に入ることになる。韓国の部隊に派遣されてまもなく、父の訃報に接した彼は、母親と幼い兄弟の面倒を見るために西海岸に戻ってきた」

「その後、彼は刺激的な女性と出会つた。二人はヨーロッパの各国をスクーターで巡る旅を始めた。必要な資金は、彼がサキソフオンの演奏をし、教会の前で宗教画を描くことで稼いでいた」

「彼が二十五歳のとき、彼らは結婚し、二人の子供に恵まれた。彼は百科事典を売ることで生計を立てるかたわら、サキソフオンの演奏を続けていた。しかし、常に刺激を求めてきた彼らも、もう若くはなかった。アルコール依存症になつた妻は不倫に走り、彼は依然として人生に目標らしきものが見つけられないまま、二人は離婚へと向かった」

「すぐに彼は、若い女性と出会った。先妻にはない日の輝きをもち、彼の書いた詩にも、彼の演奏する音楽にも共感し、彼のそばに座っていることにただ満足してくれる女性だった。彼は百科事典を売る仕事を続けていた。人生の目標が見つからないという悩みを抱えてはいても、二番目の妻となる女性との出会いによって、彼は人生の転換点を迎えていた」

「彼は回先だけの仕事から足を洗い、まっとうな仕事につくために、大学に戻り、建築と土木の勉強を始めた。そして南カリフォルニアヘと引っ越し、何度も解雇されながらも建築の仕事を覚えていった」

「彼は三十代後半に差し掛かっていた。胸に届くほどにあごひげを伸ばし、長髪は肩に屈くばかりとなっていたが、二十歳も年下の子供のような若者とともに無心になって働いていた。夜には詩を書き、週末にはジャズの演奏に興じ、メンドシノ郡に二十エーカーの土地を買って、マイホームを建てることを夢見ていた」

「実際のところは、ちっぽけな家に住み、五二年式のシボレーのビックアップトラックに乗り、ダンという名前のグレート・デーン大とマーレイという名前のプードル大を飼っているにすぎなかった。それでも、彼らにとっては、理想に近い生活を送っていた」

「しかし、何事にも終わりはやってくる。建築の仕事についてから三年がたったころ、彼は独立を決意した。まっとうな仕事を続けてきたおかげで、手のひらは分厚くなり、日焼けした肉体はたくましく変わり、生活も軌道に乗りはじめていた。詩も書きためられ、サキソフオンの演奏も新しい境地に達していた。彼と若い妻は、家財道具一式と二匹の大をビックアップトラックに載せ、サンフランシスコに向かった」

「マイホームのための土地を探す間、二人は彼の姉夫婦の家に居候することになった。姉の夫は広告代理店を経営し、シリコンバレーのハイテク企業を顧客に抱えていた。そして義理の弟が、営業のプロであることを知っていて、そのオ能をコンサルティングに生かすことを思いついたのである。土地を見つけて、工務店を立ち上げるまでの間だけでも、コンサルティングの仕事をやってみないか、と」

「予想もつかない大きな変化が起きたのは、このときであった」「彼は、強烈な理想主義―‐若いころの遍歴を見れば明らかだろう――を掲げて、夢の実現に向かっていた。二十エーカーの土地を入手するのは日前となり、工務店の免許も取得し、資金もあった。誰もがこの道を進むと思っていた。しかし、彼はあっさりとこの道を捨てて、何も準備しないままに、シリコンバレーという新しい世界に飛び込むことを決意したのである」

「義理の兄に紹介されるままに、彼は聞いたこともないようなエレクトロニクス製品をつくっている会社を訪れた。彼には何の予備知識もなかった。経営者は彼に尋ねた。

『どんな方法で私たちを手伝ってくれるというのかね?』彼は答えた。『わからないんだ』経営者は尋ねた。『私の事業について何を知っているのかな?』彼は答えた。『わからないんだ』経営者は長い間、彼を見ていた。彼は過去を思い返しながら考えていた。経営者はこう言った。

『少し考える時間をおいてから、また来たらどうだい?』彼は同意した」「この瞬間、彼は何かを感じていた。そして、彼は再び経営者のもとを訪れることになる」

「考えてみてほしい。夜ごとに、ダイエングテーブルの前で百科事典を売り続けてきた男がいる。百科事典を取り出して開くまで、彼は不審な表情で見られることに慣れていた。しかし、百科事典を開けば、カラフルな図版の地図や人体の透視図をはじめ、際限ない情報が広がっている。

ITという言葉など存在しない時代に、これを見て目を輝かせない家族などいなかった。

百科事典とは、平凡な人生とは異次元にある驚きに満ちた世界であり、子供たちが知性や教養を身につけてくれるという期待であつた。

それが、今夜、自分たちの手の届くところにあるのだ」「夜遅く老夫婦のもとを営業で訪れたとき、死の床にあつた一家の主は、絞り出すような声で妻に言った。

『きみはどう思う?・私は買うべきだと思うのだが』彼は身動きもせず、二人からの返事を待つた。

そして、イエスであれ、ノーであれ、答えを聞くなり、あわただしく荷物をまとめて、別の家に向かった」「こんな男にとって、シリコンバレーとは不思議な世界であつた。

エレクトロニクスの専門家が経営する会社のことや、彼の会社がつくっている小さな黒い箱のことなど、わかるはずもなかった。

しかし、小さな黒い箱が奇妙な存在感を放っているということと、経営者が自分の知識を必要としてくれるだろうということだけは、直感的に理解していた」「このとき、カーテンが上がったのである。

周囲と彼を隔てていたカーテン、そして彼と本当の彼―‐彼と彼の人生―‐を隔てていたカーテンが取り払われた。

めまいを感じながらも、彼はカーテンが上がつたことをはっきりと理解した」「彼は生まれ変わり、新しい人生と新しい目的を発見したのである。

二度とカーテンを下ろさないこと、カーテンの裏側に何事も隠そうとはしないこと、これまでとは全く違う世界を生きるということを彼は決意した」「彼にとって、シリコンバレーは未知の世界であった。しかし、シリコンバレーの人間にとっても、彼が身につけていた営業のテクニツクは未知のものであったのだ」

「百科事典を売る中で、彼は数々の困難な局面を乗り越えていた。契約を目前にしてシェパード大に噛みつかれたこともあった。契約書を破り捨てられたこともあった。しかし、彼はしっかりと小切手を握りしめて戸日から出てきた。そして、契約を取り続けたのである。シリコンバレーで、誰が同じことをできるだろうか?・小さな黒い箱のことが理解できないからといつて、不安を感じる必要などなかった」

サラの反応を見るために私は話を少し中断したが、続けることにした。最後まで話さなければならない。

「こうして彼の人生の一つの章が終わり、新しい章が始まった。四十代前半になつた彼は、三番目の娘に恵まれた。にもかかわらず二度目の結婚は終わりを迎えることになった。その後の彼は、コンサルテイングの仕事ですばらしい成果を収め、三度目の結婚をし、二人の子供に恵まれた。

本を書き、世界中で講演を行い、事業の成功と失敗を経験し、立て直しに奔走した。でも、いつも忘れないことがあった。それはカーテンである。そう、カーテンである。どれほどの犠牲があっても、カーテンを取り払わなければならない」

「ここが重要なところだよ、サラ。危惧するべきなのは、事業を失うことではなく、むしろ、もっと大切なきみ自身が失われてしまうことなんだ」

「きみのカーテンはどんな真実を隠しているのだろう?・どんな誤解が、きみを現在の場所にとどめているのだろう?・奇妙な思い込みや過去の経験のせいで、カーテンの向こうの光から隔てられていないだろうか?」

「カーテンを引き上げたとき、そして『手ごろなサイズ』を超えたとき、自分に欠けているものを知ることができる。カーテンの向こう側で、発見されるのを待っているもの、それはきみ自身なんだよ」

「私は知っているんだ。なぜなら、きみに話してきた『彼』とは、私のことなのさ。カーテンが上がったとき、私はとても大切なものを学んだ。カーテンの向こうにいるのは、ほかでもない自分自身なんだってね」

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次