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システム化はニュービジネス開発への道

ここに紹介したアンゾフの企業戦略マトリックス表(図表6

1 7)は、実はとくに目新しいものではない。読者の皆様が、

日夜重ねている戦略思考を一つの表にまとめたもので、その意

味では皆様には先刻ご承知のはずである。

従来の商品のまま、従来と同じ市場をターゲットとして事業

展開を行なっている場合、その商品が成熟化してくればくるほ

ど、売上げを伸ばすには市場を奥深くまで開拓していかなけれ

ばならない。このような「市場深耕戦略」はライバル企業との

シェアの奪い合いとなり、お互いに体力の消耗が激しいため、

不況期、または相手企業が弱ったときしか使えない。

そこで次に企業がとるべき戦略は、従来の商品を新しい市場

やチャネルで販売することによって新規の需要層を開拓することである。それまで系列の一

般小売店でしか販売していなかった商品を、量販店やコンビニエンスストアなど新しい販売

ルートに乗せて売上げ増加を実現した例は少なくない。だが、これも競合企業の後追いなど

で、次第に効果が薄れていかぎるを得ない。

そこで求められるのが、やはリマーチャンダイジング(商品開発)力である。従来の市場で

もいままでの商品になかった魅力を持った新商品を開発することで、売上げを拡大すること

が可能である。さらに、新商品を新しいチャネルなど新市場に販売していくことで、企業の

多角化を進め、他社に水を開けることができよう。

アンゾフの企業戦略は、こうした企業行動を四つのタイプに分けて説明している。新市場

であるチャネル開発やイノベーションなど、新技術を駆使した新商品開発は当然、やらねば

ならない。だが、いまや、経営者はそのような固定観念から脱して、もう一度、柔軟な発想

による「新しいビジネスシステム」を駆使した革新的な戦略が求められる時代がやってきてい

る。

広義のニュービジネスシステムをあげると、次の五つに要約される。

●新生産技術(新素材、新技術)

●情報処理技術(コンピュータ)

●通信技術(ネットワーク)

●購買規制撤廃(国際取引)

●販売システム

これらを詳細に述べることは本書のテーマから外れるので、図表618および619に概

略を示しておいた。これらのニュービジネスシステムを従来のビジネスに積極的に導入する

ことで、新型のビジネスが誕生する。

例えば酒類販売業。いわゆる街の酒屋さんは、酒類小売業規制に守られてか、市場規模、

経営形態もまったく従来型のままで、メーカーの言いなりにワインを売ったり、ビールの運

び屋に成り下がってしまっている。だが、この反対に、ニュービジネスのビジネスシステム

を駆使した、酒類ディスカウンターと呼ばれる変革者の台頭が著しい。その一つ、やまや(本

社仙台市、山内英房社長)を見てみよう。

同社が導入している新システムは、

①一ストアオートメーション・システム

●ソースマーキング率(バー

コード、ジャンコードの普

及率)の向上

●大型店舗化、多店舗化に対

応する陳列什器、フォーク

リフトの使用

②効率的な物流システム

●バーコード、ジャンコード

の採用

● ハンディターミナル、MC

A無線の採用

●物流センターの集約

③情報。通信システムの活用

●ネットワーク化

●データベース化

④生産活動、国際ビジネス活動

●在庫仕入れ

●自社MD(スペック、買い取り責任)

これらのニュービジネスシステムを積極的に導入して従来の酒販店や単なるディスカウン

ターの域からはるかに脱皮した、「カテゴリーキラー店」としての酒類販売業が誕生している。

また、先に触れた大手家具量販店も、通信販売システムを導入して、事業展開を行なって

いる。生産財販売会社のミスミ、幅広い消費財を販売している千趣会、さらに米菓の通信販

売会社で高収益企業に成長し、いまは「播磨屋」として親しまれている兵庫県生野市の菓子製

造業のかつてのクローバー製菓など、多くの企業がカタログ販売や通信販売など新しいシス

テムの導入に意欲的に挑戦し、見事に成功している。

さらにこれらのシステムを高度化していくうちに、まったく新しい商品、新しい業態、新

しいサービス提供業として定着、成長路線を歩んでいるのが、どこの街角でもお馴染みになっ

たコンビニエンスストアであり、レンタルビデオショップ、ゲームセンターである。また、

かつての小口運送業はいつの間にか「宅配便」としてニュービジネスの一方の旗手にまで成長

し、「カラオケ」ビジネスもいまでは顧客に圧倒的な支持を受けている。

昔より経営の三要素は、人材(ひと)。商品(もの)・資金(かね)のバランスが大切だと言わ

れている。しかし今日では、システムの他社との比較においての優劣が、業界の順位、存在

すら激変させていくだろう。

システム開発に、会社が前を向いて進もうとした時、

。投資資金の壁(カネがいる)

・システムの成否の壁(うまくいくのか?・失敗では?)

。組み入れるソフト要求の壁(外野のうるささ、あれもこれも)

。経済性(金食い虫との非難)

などの多くの困難をはねのけて、小さいシステムからコツコツと進めて大きなシステムに

つくりあげる実戦部隊がいる。

古い体質の会社では、「わからないから」「信じられないから」「金が要るから」との反対に

あって、頓挫している例を多く見るが、システムは刻々と変化し、そのスピードは速い。何

しろ手をかけてやっていかないと、システムの遅れは、必ず倒産に近くなることは間違いな

いと予言する。

私が皆様方のビジネスに、ぜひとも革新的なビジネスシステムを導入されるよう強く望む

わけも、こうした実例を見ればおわかりいただけると思う。

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