グレー経費をのせる VSグレー経費をのせない バブルがはじけたばかりの頃、ある会社がフェラーリを経費として計上して、税務調査が入りました。税務署は「フェラーリやポルシェなんて、誰が考えても仕事で使っていないだろう」と考え、この経費を否認しようとしましたが、会社は「いや、実際にフェラーリで出張して接待ゴルフに行ってるんで社用です」と反論し、国税不服審判所に審査請求を行ったのです。さて、みなさんはどちらが勝ったと思いますか? 普通に考えたら税務署と同じような考えになると思いますが、国税不服審判所は「『減価償却資産は、事業の用に供していれば減価償却してもいい』とあるため、実際に出張で使われているのであれば、事業の用に供していると判断できる。これは損金として認めるべきだ」と裁決を出し、最終的に会社側の意見を認めました。 それまではフェラーリやポルシェはダメと税務署から言われていたのですが、その裁決以降、税務署は高級車を経費計上しても何も言わなくなったのです。 税務調査をやると如実にわかるのですが、税務署は完全な黒と判断できるものしか指摘しません。グレーが少しでも見えた場合は裁判をやると勝てないので、否認ができないのです。そのため、私は事業用として使われている費用は、基本的にはすべて経費として計上していいものと考えています。 ただ、だからと言って、なんでも大丈夫というわけではありません。 たとえば、ハワイ旅行に行ってそれを経費で落とそうとしても、簡単には落ちません。とくに一番ダメな例として挙げられるのは、明細に「子ども 1」と書いてあるケースです。夫婦両方とも役員の場合は、視察旅行として子どもを連れていっても構わないのですが、その場合は子どもにかかっている費用は外しておくべきです。 帰省旅行なども同じです。よく税務調査の際に調査官が「社長と奥さんのご実家はどちらですか?」と世間話のように話しながら聞いてきます。これは世間話ではなく、調査官が情報を収集しようとしているのです。 実際にあった私のクライアントの話ですが、ご実家が仙台の方で、正月に仙台に行った新幹線代を経費として計上していました。「これはなんのために仙台へ行ったのですか」と調査官が聞いてきたので、「お客様とゴルフへ行きました」と答えたのですが、「この日あたりにゴルフの領収書が出てこないんですけど、実際はどうだったんですか?」と返しがきたのです。結局、その費用は否認されることとなりました。 調査官もそういった訓練をされているので、噓はつかないほうがいいです。ですから、費用として計上するのであれば、しっかりと対策はとっておく必要があるのです。 こちらも私のクライアントの例で、夫婦で不動産事業をやっている方が沖縄に行ったときの話です。私は二人に「これを経費で落とすのであれば、売買できそうな不動産をチェックして、写真を撮ってきてください」と伝えました。 二人は実際に不動産を視察し、建物の写真を撮っておきました。そして、実際に税務調査が入ったときに「この沖縄の交通費はなんでしょうか」と聞かれたので、「沖縄でこういう建物があって購入を考えるための視察です」と答えたのです。 そのときは写真つきの報告書も提出していたので、それが決め手となり、「問題ないですね」と、調査はあっという間に終わりました。 結局のところ、グレーだと思われる経費でも事業として使われている可能性が少しでもあるならば、それはしっかりと費用計上できます。その代わり、どのように事業に使っているのか説明する必要があるので、そこは対策が必要です。
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