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イントロダクション

有意義な人生を送るには、物事を成し遂げていかなければならない。

そのためには、多くの人々と関わり、さまざまなことを経験して、自分が望む結果を手に入れていく必要がある。

成功に至るカギは、昔も今も変わってはいない。正しい選択をして、効率的に物事を進めていくことだ。

そしてその実現を支援するための本やセミナー、コンサルテイング、コーチングプログラムなどが次々と世に送り出されつづけている。

目標管理、モチベーションマネジメント、整理術や時間管理手法など、枚挙にいとまがない。ただ、私が思うに、これらには決定的に欠けているものがある。

それは最終的な成果を生み出すために必要な、包括的なプロセスヘの理解と、そこへのアプローチだ。

複雑になりつつある現代においては、成し遂げるべきプロセスの「全体」を意識しつつ、すべての「部分」に細かい注意を向けていく必要がある。

部分的に効率化するだけのプロセスでは効果はどこまでも限定的なのである。そして、幸運なことに、そのような理論は確かに存在する。それが本書のテーマである。

メールでいっぱいになった受信箱、全社的に重要なプロジェクト、さらには次の休暇の計画まで、ありとあらゆることをスムーズに成し遂げていくための包括的かつ一貫性のあるマニュアルーそれが本書だ。

このマニュアルに従つていけば、これらのすべてに、同じ原則を適用し、同じやり方で実践していくことが可能になる。

そうすれば仕事へのストレスも減り、人生そのものが好転していくようになるだろう。いかに仕事を効率化していくか、という試みはある意味ゲームだと言えるだろう。

そしてゲームをプレイするにはその最終的な目的と細かいルールの両方を把握しておく必要がある。どちらかひとつでも曖味だと余計なストレスが生じてしまう。

逆に、どちらも完全に把握していれば、なにか突発的なトラブルが起きたときでも落ち着いて対処することができるようになる。仕事についても同じだ。

最終的な目的を見据えつつ、日々の作業をこなしていくやり方さえ身につけることができれば、ストレスなく仕事をこなし、自分がすべてをうまくコントロールできているという実感を得ることができるようになる。

また、この理論はいわゆる「仕事」以外のことにも同じように適用できる。今の時代、仕事だけではなく、いわゆる「プライベート」な事柄にも効率性が求められているのは間違いない。

だとしたら、この分野でも、ビジネスの現場ですでに効果を発揮している「うまくいくやり方」を積極的に取り入れていくべきだろう。プライベートに関する事柄もビジネスと同じように扱えばよい。

家族、健康、幸せ、娯楽、自己表現といつた目的を十分に達成していくには、仕事の現場で使われている数々の手法があなたの大きな助けになってくれるだろう。

つまり「仕事というゲーム」も「人生というビジネス」も、集中力を高めて効率的に成果をあげていく方法論においては、そこに違いはないのである。

仕事とプライベートの両方で成功をおさめていくには、漠然と物事を進めていくのではなく、常にうまくいくとゎかっている行動と思考法を身につけ、実践していくべきである。

私が2001年に上梓した『はじめてのGTDストレスフリーの整理術』(以下『はじめてのGTD』とする)は、おかげさまで30カ国語近くの言語に翻訳され、発行部数も数十万部に達した。

経営者、大学教授、エンジエア、兵士、ミュージシャン、学生、聖職者など、世界中の実にさまざまな分野の人々の支持を得ている。

同書で解説した手法の略語であるGTDも広く認知されるようになり、セルフマネジメント分野における基本用語の1つにもなった。

実際、インターネットで検索すれば数百万件がヒットする。

同書の刊行から数年経ったが、「次はどうすればいいのですか」という声がGTDの愛好者からたびたび寄せられてきた。

そういうときの私の答えはいつも決まつていた。それは「ぜひもう一度読み直してみてください」というものだった。

最初の本に書いた手法の効果は今も昔も変わるものではない。

すべての「気になること」を5つのステップで処理して目に見える結果と行動に変え、やるべきことのリストを定期的にレビューしつづけていく。

また自分がするべきことの優先順位がはっきりしなかつたら、6つのレベルからそれを見渡していけばよい。

GTDで主張したこのシンプルな手法こそが、昔から変わらないベストな方法なのである。そしてこのやり方が業種や分野を問わず効果を発揮することもわかつている。

ただ、これらの理論を理解することと、日々の生活で実践していくことには大きな隔たりがあることも私は知っている。GTDを理解し、実践していくにはいくつかの段階がある。

GTDを始めたばかりの人はまずその効果に驚き、もっと活用したいと思うはずだ。

また、しばらくGTDを実践し、そのモデルを完全に理解した、と思っている人でも実践においてはまだまだ改善する余地がある、と考えている人も多い。

そして本当に優れたGTDの実践者ほど、自分たちが理解できていないことがまだまだあるということを知っている。

私たちは、このように奥が深いGTDのモデルを、さらに幅広い人たちに活用してもらいたいと考えるようになった。

GTDを生活や仕事に取り入れていけばいくほど、もっと広い範囲で活用していきたいというモチベーションが高まっていくはずだ。私たちはこの理論の可能性の一部を引き出しはじめたにすぎなかつたのだ。

GTDの理論は、私たちを押しつぶしかねないストレスを把握し、それらを軽減するための極めて実用的なアプローチだ。

『はじめてのGTD』でもそう述べたが、これは強調しても強調しすぎることはない大事なポイントである。

活動的な人はど、やるべきことが無数にあるうえに、身の回りの状況も次々に変化していくため、大きな変化のストレスにさらされることになる。

だが、GTDのごく基本的なテクニックの一部を実践しただけで、そのようなストレスからたちまち解放されるのだ。そうしたストレスに苦しんでいる人が多いからこそ、GTDが世界的に認知され、受け入れられてきたのである。

押し寄せてくるメールの海に滋れずに済む確実な方法がわかっただけでも、その人にとって絶大な効力を発揮する場合もあるだろう。ただ、現実世界に潜む問題はさらに多種多様である。

そのためには仕事にもプライベートにも大きなことにも小さなことにも同じように使える、「包括的に」うまくいくシステムが絶対に必要なのだ。

現代において、人々は「目の回るような忙しさ」というトンネルの中でなんとか光を見出そうともがきつづけている。

そして、その問題を解決するための本当に使えるアドバイスを求めているのだ。

GTDを始めたばかりの人の多くは、自分たちがまだスタートラインに立ったばかりで、GTDのシステムを部分的にしか活用できていないことに気づいているだろう。

また、軽い気持ちで始めた人たちの大多数は、比較的簡単に以前の状況に戻ってしまう傾向があることも我々は知っている。

GTDの理論をもつときつちり解説してほしい、よリスムーズかつ包括的に仕事や生活の中にその理論を取り入れるための方法を教ぇてほしい、といった声はあちこちで聞かれていた。

一方、『はじめてのGTD』に寄せられた好意的なフイードバツクや、私たちのセミナーに参加したり教材を利用した人たちからの意見や感想から、GTDに対する私の認識と洞察は、1つ上のレベルに到達することができた。

GTDの基礎になっている原則が、さらに深い意味を持っており、より広範囲の応用が可能であること、単なる「個人の整理システム」の域をはるかに超えたものだということもわかつてきた。

個人に限らず、組織においてもGTDは絶大な効果を発揮することに私は前々から気づいていた。だが、そのための仕組みと、それはなぜかという本質的な部分がわかってきたのは、ここ10年のことである。

私はこの新しい理解に基づき、誰もが活用できるテクニックを盛り込んだ「GTDロードマップ」という1日セミナーを開発した。

本書ではそのセミナーで実証された、実践的な方法を紹介していきたいと考えている。

『はじめてのGTD』が基本マニュアルだったのに対し、本書は人生と仕事の両方に同時に対応していく力を高めるための応用マニュアルだと思ってもらいたい。

車を走らせるための基本マニュアルはもちろん大切だ。

車を運転するだけなら基本マニュアルだけでよいが、応用マニュアルを読み込んでその基本的な仕組みを理解することで、より自由に車を操っていくことができるようになる。

もちろん何かおかしなことが起きたときに、どうやって修理したらよいかもわかるようになる。

本書は『はじめてのGTD』にとって代わるものではないし、同書で説明したことを訂正したりもしていない。

同書で紹介した原則をさらに拡張し、より効果的に活用していくためのものだ。

GTDを少しでも実践した人は、オフイスに散乱している書類から、部門の合併、はては家族内でのトラブルに至るまで、さまざまな場面においてその手法の効果を感じることができたはずだ。

重要なのは、自分の周りで起きていることをコントロールできており、それらを適切な方向に進められているという実感を持つことだ。

そうでなければ、今やっていることに対して前向きに考えることができなくなって、単に目の前のことをこなすだけになってしまう。

複雑な仕事をこなさなくてはならない現代においては、そのときどきで何を最も優先すべきかがコロコロ変わる。

昼食前は書類を片付けるのがいちばん合理的かもしれないが、昼食後は重要なプロジエクトに関してアイデアを出すのがベストかもしれない。

すべてのことを同時にこなせるわけではない。人生という地図のあらゆる場所に、同時に行くことは不可能である。

重要なのは、そのときどきの状況においてどのような視点で考えるのがベストかをシステマチックに処理できていることだ。

そうすれば、日々の生活でも仕事でも、より高い生産性を発揮していくことができるようになる。

本書で紹介する理論はHの要素から構成されるが、それぞれの要素はさらに細かいテクニックや手法から成り立っている。

これらのテクニックは個別に使っても十分に効果を発揮するが、全体を把握したうえですべてを活用していくことができれば最大限の効果を発揮することだろう。

ただ、すべての手法がガチガチに組み合わさって連動しているというわけではないので、気軽にできるところから応用していってほしい。

GTDの理論を読んだ人の中には、「こんなに細かくて完璧なやり方は自分に合わない」と思ってしまう人がいるが、それぞれのテクニックは各自が自由に応用していける柔軟性を持っているので安心してほしい。

目次

GTDは初めてという人ヘ

これまで私が書いた本を読んでいない人たちも本書から読みはじめてもらってかまわない。その場合でも大きな成果を上げられるはずだ。

ただ、『はじめてのGTD』にも得るところは多いはずだし、あわせて読んでいただくと足りない部分を補うことができるだろう。同書は主に個人向けに効果的な自己管理手法を説明したものだ。

具体的な行動ステップをきめ細かく解説し、参考になる事例や自由に応用できるテクニックも豊富に紹介している。

本書ではそうした細かい点を繰り返すつもりはないが、基本的なGTDのモデルについては折にふれて紹介していく。

また、GTDを実践した人の事例なども紹介していくので、前著を読んでいなくても、本質的な理論について幅広い理解を得ることができるだろう。

本書の活用法

本書を読むときはメモ帳とペン(パソコンでもいいが)を手元において読むことをお薦めしたい。それ自体が、GTDの原則の1つ、「気になっていることに注意を向ける」を実践することになる。

これは、何か気になることを思いついたときは、必ずそれを記録するという基本原則だ(詳しくはあとで見ていくことになる)。

GTDを実践していくと、アイデアが浮かびやすくなったり、思考が活性化されたりする。そうして思いついたことの中には、いずれ役に立つかもしれないすごいアイデアが含まれていることも多い。

本書を読み終えるまでに、あなたは実にさまざまな発想に出会うことだろう。メモ帳とペンを手元に置いて、将来の金脈を発見するチャンスを逃さないようにしてもらいたい。

本書には、あなたの人生や仕事を好転させる、さまざまな示唆が、ぎっしり詰まっている。誰もが、周りの状況をコントロールしつつ、将来への見通しもきちんと定めておきたいと考えている。

この問題に真剣に取り組んでいる人ほど、生活や仕事のあらゆる面でまだまだ改善の余地があることを素直に認めている(私自身、まだ完璧にできているわけではない)。

本書に書かれていることは最終的な答えというわけではないにせよ、その答えを探すのに役立つアプローチであることは約束しよう。

成功を定着させる

これはオリンピツク選手がずいぶん前から実践していることだが、何かを成し遂げたいときには成功のイメージを思い浮かべるという方法がある。

そうすることで身体の感覚や能力が格段に高まっていく。そこで、あなたにも同じことをしてもらいたい。いつたんこの本を机に置いて、具体的にどんな成果を得たいかをイメージするのだ。

まず、なぜ本書を買ったのかを考えてみよう。他にも選択肢はたくさんあつたはずだし、今、別のことをしていてもいいはずだ。あなたはいつたいこの本のどこに魅力を感じて購入したのか。どんな効果を期待していたのだろう。

例えば状況をうまくコントロールできなくなったときに、すぐにそこから復帰できるテクニツクを身につけられるとしたらどうだろう。

これではまずいと感じているときに最高の状態にすぐに戻れる絶対確実な方法が見つかったとしたらどんな気分だろう。

チャレンジする意思と、ちょっとした集中力さえあれば、いくつかの簡単なテクニックを身につけるだけでこれらを実現することは可能だ。それどころか、もつと大きなことだって実現できるだろう。

大切なのは自分が出した答えを信頼すること

「転職すべきか否か」「別の相手と付き合うべきか」「会社を買ってしまうべきか」「子犬を飼うべきか」といった疑間に対する正しい答えが、本書を読むだけで瞬時に出てくるわけではない。

しかし、ここに書かれていることを実践すれば、自分が導き出した答えに自信が持てるようになるc『はじめてのGTD』が全世界の人々に提供したのは、自分が導き出した答えを信頼する方法だった。

現代では状況がめまぐるしく変化し、次々に無数の選択肢が押し寄せてくる。

そうした選択肢からどういう決断をしたらいいのかわからなくなった人々に、ある方法を使えばずっと自信をもって選択できることを示したのだ。

今の私たちに必要なのは、自分が下した決断を信頼できる状態を確立することである。

本書では、それを達成するためのさまざまな手法や理論、テクニックを提供していく。

もちろん、現代社会においてはどんなに知識や情報を集めたところで、100%正しい判断を下すことはできない。この世に完璧なものなど存在しないのだ。これで完全に終わったとか、もう直すところはないなどと断言できるものはない。

そう思いたくなるのは人として理解できるが、そのような思い込みを抱けば、いずれ失望を味わうことになるだろう。

私たちが本当に目指すべきなのは、それがどんな結果を生み出すにせよ、自分が下した決断を信頼できる状態になることである。

そのような状態に近づくためには、変化しつづける不安定な状況においても、さまざまな問題に確実に対処していくための、システマチツクな思考法を身につける必要がある。

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