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イヤな情報こそ大切にせよ

世の中の流れを見極めるうえで、案外に大事なポイントとなるにもかかわらず、多くの社

長が苦手なことは、「不利な情報、耳障りな情報」を大事にすることではないだろうか。

大体、社長はお山の大将だから、嫌な話は嫌、聞きたくない話をわざわざするな、という

ことになりやすい。

たとえば、どこかの勉強会で有名な評論家が、「これから食料品の小売店数は半減してし

まう」と言っているのを関係業界の社長が聞くと、「何を評論家が無責任なことを言うか、

俺の業界はそんなことにはならない」と聞く耳をもたない。得意先に行って「お宅の品揃え

は最近マンネリだ、これこれを加えたらどうか」と言われると、日では有難いご指摘で、ぜ

ひ前向きに検討しますと言っておきながら、実際は「本当にうるさいお客だ、意地が悪いよ」

とつい、むかっ腹を立ててしまう。

「嫌なことを聞いたり見たりするのは嫌だ」という目で物事を見ると、本当の姿が見えて

こない。これは大変なことだ。

実は、わたしだって、嫌なことを聞かされて気分がよいわけはない。人間ならだれでもそ

うだろう。前にも触れたことであるが、かつて、結構利益をだしてまんざらでもないなあ、

と思っていた時代に、二代目の非常勤社長から「君の会社はこのままではつぶれる運命だ」

と言われ、正直言って、大いにムカッときた。今考えると傲慢不遜もいいとこだが、「大会

社の社長だからといって、わたしの会社をそんなにバカにしなくてもいいじゃないか、言う

に事欠いてつぶれるとは何だ」と、当初はその真意を考えようともしなかった。しかし、そ

の嫌な話が、わが社の一大事業転換のきっかけとなったのだ。

最近も嫌な情報がどんどん耳に入ってくる。たとえばアメリカのコンピュータ業界では、

国内の生産拠点を次々に閉鎖して、台湾に移しはじめたというのだ。これまでも台湾で生産

しているメーカーがあるにはあったが、すべてマイナーのものであった。それがIBMとか

コンパックという一流どころの参画である。もし今後の長期戦略の中で、パソコンはもうア

メリカでつくる産業ではないという、高い次元から海外政策を展開するのであれば、日本と

しても、国内で生産していては合わなくなるのも日前、という嫌な嫌な情報である。

世の中の流れが変われば手の打ち方も変えぎるをえない。いやがおうでも、台湾に出かけ

て、嫌な実情をこの日で確かめなければならない。楽しい仕事ではないが、勇気をもって聞

けば聞くほど、見れば見るほど、困ったことに嫌な情報の真実味が増してくる。対応策を考

えぎるをえなくなり、計画の修正がなされることになる。それが、多少の先見性につながる

のではないかと思う。

嫌な情報こそ大事にできるかどうかは、社長が将来を的確に読むために欠かせない心得の

ひとつなのだ。「嫌な情報の中で、わが社はどうやって生きていくか、ということを考える

勇気がなかったら経営者は務まらない」と、ぜひ心得ていただきたいのである。

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