MENU

アルバイトだけでもまわるチームをつくろう 増補改訂版【オリジナル】

目次

はじめに

この本の初版が出版された2012年から現在までの7年間で、アルバイトスタッフの雇用環境は大きく変わりました。ここ数年、人手不足が深刻ということが言われていますが、この傾向は当分変わることがないでしょう。

そのような中、私の会社グッドウェーブプロモーションは、この7年の間にイベントプロモーション事業だけではなく、フィットネス事業や飲食事業、海外事業など、アルバイトスタッフの活躍により、順調に事業を拡げてくることが出来ました。

本書では、その経験と実績を基に実戦的な内容で、アルバイトスタッフと一緒に事業を成長・拡大するポイントを述べていきます。さて、今では経営者側である私も、実は30歳までフリーターでした。そして、色々な会社でアルバイトをしてきました。

みなさんが想像している以上に、アルバイトスタッフの働く環境は厳しいのが実情です。彼らを使い捨てにしているような会社もまだまだあります。

しかし、私も現在は会社の役員として働いているので、経営していく上で、その実情も深く理解できます。だからこそ、小さな気遣いや手間だけで、アルバイトスタッフが「この会社は自分たちを大切に扱ってくれる」と思えるような環境をつくり、他の会社との差をつけることができるのです。

その気遣いやコツを本書でお伝えします。その気遣いで離職率が下がり、アルバイトスタッフの質も上がるはずです。多くの企業や店舗運営には、ディズニーランドのように、アルバイトスタッフがワクワクするような環境や、素晴らしい教育ノウハウはありません。

彼らにまで教育をしていく時間や予算も当然ありません。そこで、時間も予算もない企業や店舗では、「効率的」な教育というものが重要になります。

そこで、まず必要なのが人を集める技術です。教育をしたくとも、そもそも人が集まらないとお困りの会社も多いと思います。

求人競争が過熱する中、いかに効率的に多くの人材を集めることが出来るかは、どの会社にも必須の大きな課題になっています。最近では、人材が集まらず、店舗や会社を閉鎖せざるえなくなったという話も、珍しい話ではなくなってしまいました。

そこで本書では、私が現在も実践している求人ノウハウを追記させていただきました。次に大切なのは面接ノウハウ。つまり見極める力です。面接の段階から優秀な人材を見極める力をつけて、少しでも無駄な労力とお金をかけないようにすることです。

人手が足りないとか、条件が合っているといった理由だけでとりあえず採用することをやめて、少しだけで良いので、今あるあなたの会社の採用フィルターに新たなフィルターをかけ、面接の段階で素質を見極めることから始めてください。

そして、研修の段階で、さらに優秀なアルバイトスタッフを選別し、集中的に教育を進めていきます。また、現在あなたの会社に在籍しているアルバイトスタッフを育てようということであれば、評価基準を変えていく必要があるかもしれません。

そもそも、アルバイトに評価や昇進を考えていない企業は多いですが、可能であれば昇給も含めて正しい評価を行うことで、アルバイトスタッフのモチベーションも当然上がります。

また、仕事は抜群にできるのに、まわりの面倒を見ないという社員が、あなたの会社にもいるのではないでしょうか。

アルバイトスタッフを評価する仕組みを取り入れることで、その社員自身が相手に興味を持ち、マネジメント能力も上がっていきます。その社員がアルバイトスタッフを育てることができれば、さらにアルバイトスタッフがアルバイトスタッフを育てる環境に変わっていくのです。

マネジメントノウハウは伝染するように、拡がっていくのです。ここで大切なのは、そのアルバイトスタッフの能力ではなく、潜在的に持っている責任感と素直さを見抜き、そこを評価した上で集中的な教育をしていくことです。

アルバイトスタッフには、責任感と素直さが絶対の武器となります。おそらく、彼ら全員に教育を進めていくとなると、能力にもやる気にも大きな個人差があるので、なかなかうまくいきません。ここが社員教育との大きな違いになります。

全体に対する教育は行いつつも、良い人材を選抜して育てていくことが、実は大切なのです。現在、当社は大手企業のセールスプロモーションにおけるイベントやキャンペーンの制作・運営を行うイベント会社を主軸に、フィットネス事業、飲食事業、ホワイトニング事業、リラクゼーション事業と多岐に渡る事業展開を、日本のみならず海外でも展開させていただいております。

本書が出版された時には10名程度だった社員数も、今年には200名を超える勢いです。当初はイベント会社での人材派遣事業に将来的な不安を感じて多角化を行ってきましたが、実のところ新規事業は成長しているのに対し、人材派遣事業の成長に未だ追いつくことができていません。

人材派遣事業は成長が止まるどころか、益々成長をして売上も伸びているのです。むしろ、人材派遣事業で養ってきたアルバイトマネジメントのノウハウがあったからこそ、新規事業の成功の要因だとも言えるのです。

社員が増えていく過程で実感しているのは、アルバイトマネジメントができるスキルがあれば、社員マネジメントは難しくはないということ。もちろん、会社をやっている限り、人に関する悩みが消えることはありませんが、それでもアルバイトマネジメントに意識のある社員の成長は、圧倒的に成長が早いのです。当社の新規事業にタピオカジュース専門店の「CoCo都可」があります。台湾発祥のブランドで世界に2500店舗を展開しているのですが、日本未上陸の昨年に渋谷センター街に1号店をオープン。現在、原宿、下北沢でもオープンして、今年中には10店舗を出店予定のお店です。

実は、その1号店の渋谷センター街店には、つい最近まで店長がいませんでした。つまり、社員不在で「アルバイトだけでまわるチーム」がお店をまわしていたのです。渋谷センター街店は決して暇なお店ではありません。お客様に支えられ、オープン当初より行列が絶えず、今では5坪の店舗で年間1億円の売上を超える繁盛店です。

その繁盛店をアルバイトスタッフだけで運営してこられたのは、人材派遣で育てたノウハウが活きているからです。イベントプロモーション事業部では、現在も多くのアルバイトスタッフが活躍しています。電通、ADK、小田急エージェーンシーをはじめとする大手代理店から、コカ・コーラ、ゼスプリ、バンダイナムコ、ドールなど多数の企業がクライアントです。

クライアント主催のイベントや運営する店舗で、我々社員の代わりにお客様をもてなし、時にはプロモーションの最前線に立ってセールスをするのが彼らの仕事です。無責任と思われるかもしれませんが、我々が現場に常駐せずに彼らに仕事を任せるというのは、同時期に多くの現場を抱えるイベント業界では珍しいことではありません。

ディレクターと呼ばれるアルバイトスタッフが、同じアルバイトスタッフを管理しながら現場を運営するのです。派遣法や請負における指示系統に問題がないことが前提になりますが、「アルバイトだけでまわるチーム」が大切なお客様の仕事を請け負うのです。

つまり私の会社では、仕事を任せられる優秀なアルバイトスタッフが大きな責任を背負い、会社の責任者、時にはクライアント企業の顔として現場に向かうのです。

イベント会社なので、華やかで、ディズニーランドと同じようにアルバイトスタッフが楽しく仕事ができるのではないかと思われるかもしれません。

確かに、芸能人に会えるような華やかな仕事もあります。しかしながら、ほとんどの仕事は、裏方での肉体労働や街頭でのサンプリングのような屋外作業が多く、一般的なアルバイトよりも体力的にきつい仕事が圧倒的に多いのです。

また単発的な仕事が多いため、同じ場所、同じ人、同じ時間で働くことがあまりなく、常に緊張感があり、精神的負担やプレッシャーが大きいのも事実です。

楽しいアルバイトとは決して呼べるものではなく、数あるアルバイトの中でも条件的に厳しい方だと思います。そのような環境なので、この業界ではアルバイトスタッフが長続きせずに辞めていくという会社も多く、彼らを使い捨てにしていることが多いのです。

私たちはアルバイトスタッフが少しでも長く、そしてやりがいをもって働いてくれる環境づくりにこだわっています。私の会社で働いたら、「他の会社では働きたくなくなる」と言ってもらえるようにしなければならないと考えています。

働く環境は厳しくても、アルバイトスタッフのモチベーションを上げて、いきいきと働ける環境をつくることが我々の価値なのです。私の会社が培ってきた、優秀なアルバイトスタッフを採用の段階から見極め育てていくノウハウを使い、ぜひみなさんの会社でも優秀なアルバイトスタッフを育ててください。

30歳までフリーターだった私のような人間でも、わかりやすいと感じてもらえるように、難しい専門用語や言い回しは極力避けています。

みなさんが本書を読み終えたら、みなさんが信頼できるアルバイトスタッフに、この本を渡してもらい、そのノウハウを彼らにも伝えてもらえたらと思います。そこではじめて、「アルバイトだけでまわるチーム」ができるのです。人は必ず成長します。

みなさんの会社で働くアルバイトスタッフも必ず成長します。あなたの会社で働くアルバイトスタッフと真剣に向き合い、彼らのことを真剣に考えてみてください。

間違いなく、その期待に応える責任感のあるアルバイトスタッフが現れて、あなたにとって、かけがえのないパートナーになることでしょう。素敵な出会いがあることを期待しています。そして、本書が、そのきっかけになれば幸いです。

CONTENTS

はじめに

Chapter1アルバイトだけでまわるチームとは?

指導者を見出せ

優秀な指導者とは

アルバイトスタッフ活用のメリット  ①低コストオペレーション/②ミスマッチのない正社員採用/③教えることで社員が成長する/④将来の仕事につながる人脈となる

95%の仕事がキャンセルになっても倒産を免れる

責任とリスク

理想のアルバイト像「アルバイトだけでまわるチーム」をつくる手順

Chapter2優秀なアルバイトを集める7つの募集のコツ

採用原稿は自分で作る

ライバル情報をチェックする

あなたの会社・お店の強みは何か?

サムネイルの注意点

ターゲットの考え方は、一般広告と一緒

数値化できるPDCAサイクルを習慣化する

紹介制度を活用する

Chapter3優秀なアルバイトを見極める、7つの理論と2つの質問

お勧めは「加点方式」と「人物評価」

間違った人を採らない面接  ①名前理論/②誕プレ理論/③親の職業理論/④一人暮らし理論/⑤ビジュアル系理論⑥メアド理論/⑦趣味・特技理論/質問1「あなたの人生は今までツイていましたか?」/質問2「今までの仕事での一番の失敗を教えてください」

面接でのチェック項目

面接も差別化を図ること

今どきの若者の仕事観

Chapter4優秀なアルバイトを育てるトレーニング

トレーニングが良い仕事を引き出す

研修でアルバイトのやる気とスキルをアップする  研修時間は小分けにする/研修は2次面接の場

アルバイトのコミュニケーション能力を鍛える

教える立場から学ばせる

仕事への「想い」を語ること

アルバイトのための目標のつくり方

「褒める」ワーク  ①ビジュアルを褒めるタイプ/②言動にフォーカスして褒めるタイプ/③褒める+感謝の気持ちを伝えるタイプ

名刺・秘密・責任を与える 名刺を与える/秘密を与える/責任を与える

最初から優秀すぎるアルバイトは、80%の確率ですぐ辞める

Chapter5アルバイトだけでもまわるマネジメント

アルバイト・マネジメントとは  「作業内容」をマネジメントする/「働く環境」をマネジメントする

アルバイトの面談

シフト管理がうまくいかない  シフトの提出方法/シフトの偏りをなくす/繁忙期にシフトを増やしてもらうには/急なキャンセル、無責任な欠勤の防ぎ方

仕事のマニュアルは、アルバイトスタッフにつくらせる

外国人アルバイトをマネジメントする

Chapter6優秀なスタッフを育てるコミュニケーション術

コミュニケーションツールの使い方  電話術/SNSの活用

「今日の仕事どうだった?」  「今日の仕事を自己評価してみてください」/成功体験を語らせる

「自分のおかげ」と「他人のせい」を使い分ける  自分の気遣いをしっかり印象づける/不都合なことは、会社または上司のせいにする

アルバイトスタッフ同士の関係を把握する

360度評価を取り入れる  アンケート内容/ネガティブなことをこちらから聞かない/特定の人を評価しない

表彰式を開催する

「アルバイト」「フリーター」と呼ばない

Chapter7アルバイトがイキイキ動く指示の出し方

アルバイトは所詮アルバイト

男女別にコミュニケーションを使い分ける

「とりあえずやっておいて」では通じない  自分が納得してから指示をする

指示と一緒に期待を添える

スタッフのレベルで変わる指示の出し方  第1段階(新人スタッフ)/第2段階(ベテランスタッフ)/第3段階(新人ディレクター)/第4段階(ベテランディレクター)

伝達ミスをなくす方法

指示が上手な人の共通点

Chapter8上手な褒め方、叱り方

叱られたことが原因でアルバイトは辞めない  ときには「怒る」ように感情を乗せて叱る

叱らない職場に、一生懸命働く人はいない  叱る基準と理由をはっきりさせる

叱るときは、3つのルールを守りなさい  理由の説明/アドバイス/フォロー

影響力のある褒め方をする  「らしいね」で拍車をかける/褒める仕組みをつくる

Chapter9優秀なアルバイトを社員にする方法

中小・ベンチャー企業は、社員はアルバイトから採れ

それでもミスマッチは起きる  ①適性検査ツールによるマッチング/②有期雇用期間を設ける

夢やビジョンを語る

将来の仕事につながる人脈になる

おわりに

 

 

指導者を見出せ

「アルバイトだけでまわるチーム」と聞くと、アルバイトスタッフ全員が非常に高いスキルとモチベーションを備えて、一致団結している素晴らしいチームをイメージするかもしれません。もちろん、そのようなチームが私の目指す理想のチームでもあります。チームをその状態にするには1つずつ段階を踏んでいく必要があります。まずはじめに目指さなければならないのは、素晴らしい指導者がいるチームをつくることです。アルバイトスタッフが所属するチームやグループには、必ず彼らを管理する指導者がいます。その指導者は社員であることがほとんどです。社員には社員の仕事があるとよく言われます。確かに高度なスキルを有する社員にしかできない仕事があるのも事実です。しかし、アルバイトスタッフの管理が社員にしかできない仕事であるとは私は思いません。アルバイトスタッフにはできない仕事は確かに多いです。しかし、責任という言葉にとらわれて、社員にしかできないと思い込んでいる仕事も意外と多いのです。アルバイトスタッフの負う責任については後述しますが、アルバイトリーダーというような役職で、アルバイトスタッフ全体を管理している会社も最近非常に増えてきました。私の会社でもディレクターと呼ばれるアルバイトスタッフが、イベント会場などで彼らを管理し、叱咤激励しつつ、アルバイト教育を行なってくれています。熱意を持って、現場スタッフを教育してくれる姿に、社員とアルバイトの違いを感じることはまったくありません。「アルバイトだけでまわるチームをつくる」には、アルバイトスタッフ全員に対して教育をするのではなく、優秀なアルバイトスタッフの指導者を育てていかなければなりません。

◆優秀な指導者とは

そもそも指導者とはどんな役割を果たす人のことを指すのでしょうか。私もたくさんの方々に指導者の役割について教えていただきました。それについては、様々な意見があります。そこで優秀な指導者に必要な要素のうち、私が思う重要なことを1つだけ共有させていただきます。優秀な指導者とは、次の指導者を育てることができる人です。みなさんも経営者や店長、部署やグループ、大小の違いはあるかもしれませんが、いずれかの組織の中で指導者的立場にいるのではないでしょうか。みなさんのような組織の指導者には、次の指導者を育てることができるようになってほしいと思います。

もちろん、みなさんが担っていることのすべてをアルバイトスタッフが担うことは不可能でしょう。しかし、その一部や、みなさんの部下が担っていることを任せることは可能なはずです。あまり大きく考えずに、小さな指導者をたくさん育てるイメージでよいのです。その小さな指導者は、同じ小さな指導者を育てることができるほどに、優秀なのです。その指導者たちがまとめるのが、アルバイトスタッフだけでまわるチームになります。

アルバイトスタッフ活用のメリット

そもそもアルバイトスタッフを雇用するメリットには、どんなことが挙げられるでしょうか。ここでは私が考えるメリット4点を挙げてお話ししたいと思います。❶低コストオペレーションアルバイトを雇うことでコストを抑えられる。最大のメリットとして誰しもが思いつくことでしょう。最近ではコスト削減のために、社員雇用を控え、アルバイト雇用を増やす企業が非常に増えています。スーパー、コンビニ、レストラン、アパレルをはじめ、今や超一流ブランドの販売員も、実はアルバイトスタッフであることは珍しくありません。❷ミスマッチのない正社員採用仕事が増え会社に利益が残ってはじめて、社員雇用の機会が出てきます。ここにもアルバイト雇用の大きなメリットがあります。そのアルバイトスタッフが優秀に育てば、そのまま社員登用ができるからです。募集や面接の費用もかからないというコスト面でのメリットもありますが、何より仕事ぶりを日頃から見ているため、ミスマッチのリスクが少ないというのが大きなメリットです。現在、当社の幹部のほとんどがアルバイトからの登用です。一般社員もアルバイトからの登用も多く、勤続率も自然と高く、非常に良い雰囲気の社内環境になっているのが自慢でもあります。❸教えることで社員が成長するもちろん、社員登用ができないこともあると思います。それでも、彼らが社会に出ても通用するように、できる限りの教育をすることは大きな社会的貢献です。相手が学生でも同じです。「学生時代にグッドウェーブプロモーションで働いて学んだことを、就職面接で話して合格しました」と言ってもらうことがあります。本当にうれしい瞬間です。学生にとっても、フリーターにとっても、ただのアルバイトではなく、働きながら学べる場にすることが重要なのです。なぜなら、教育に力を入れると、教える側の社員やアルバイトも大きな成長をしてくれることが大きなメリットとなるからです。人は学んだことをアウトプットするときに、それが定着します。その学びの場をたくさんつくってあげることが重要なのです。教える側も教わる側も学べる場をつくるべきです。

❹将来の仕事につながる人脈となるみなさんはアルバイトを人脈と考えたことはありますか?経営者の方々は、アルバイトスタッフ一人一人と深くコミュニケーションをとる機会は少ないかもしれません。しかし、アルバイトとあなどるなかれ、彼らの将来は、みなさんの将来同様に無限に広がっています。せっかく繋がった縁として大切にしていると、思わぬところで仕事に繋がることは多いものです。私が今の会社に入って14年経ちましたが、入社当時アルバイトスタッフとして働いていた若者も、今や30代の立派なビジネスパーソンです。アルバイト、社員、経営者などの立場に関係なく、縁を大切にしてください。打算的でも、無意識でもいいから、今の仲間との縁を大切にすることを、常にアルバイトスタッフには言い続けています。みなさんもアルバイトスタッフとの人脈を大切にしてみてください。思わぬところでビジネスチャンスに繋がるかもしれません。

95%の仕事がキャンセルになっても倒産を免れる

前項のアルバイトスタッフを活用するメリットの1点目に、低コストであることを挙げました。しかし、非正規雇用者を使ってのコスト削減には、様々な批判があるかもしれません。社会的に非正規雇用者を増やすのはどうなのか?私たちの仕事は社会のためになっているのか?私も自分の仕事について悩んだ時期がありました。この悩みが一気に吹き飛んだきっかけが、3月11日の東北地方太平洋沖地震でした。東北の方々に比べれば、東京の私たちは決して被災者とは言えないことは理解しています。しかし、我々の仕事にも震災が大きく影響しました。震災1週間で、約95%の仕事がキャンセルになったのです。正直愕然としました。CMも自粛するくらいですから、イベントやキャンペーンを企業として実施できないのは当然でした。そこで実感したのが、非正規雇用であっても、誰かの生活を支えているということでした。社員に関しては、いち早く当社社長が「会社にこれだけ資金があり、いつまで給料は払い続けることができる」と安心を与えてくれたのですが、それでも社員の悩みは消えません。アルバイトスタッフの生活保障については、何もできなかったからです。申し訳ないという気持ちを、おそらく社員全員が味わったと思います。仕事がないということで、こんなに罪悪感にかられたのは、間違いなくアルバイト、特に私の会社の仕事だけで生計を立てているフリーターがいたからだと思います。仕事がなくて本当に申し訳なかった……。しかし、感情をさし置いて極めて現実的な話をすると、もし当社の仕事を社員、または契約社員だけでまわしていたら倒産していたかもしれません。極端に仕事が少ないその一方で、人件費を抑えることができたために、しばらくの間の資金繰りの目処を立てることができたからこそ、倒産を免れることができました。さらにはアルバイトが残した実績のお陰で、4月の初旬には仕事が戻ってきたので一安心できましたが、いくつかのイベント会社が潰れたことはニュースにもなっていました。「アルバイトだけでまわるチーム」が救いとなったのです。この時、気持ちや綺麗事だけでは人は救えないことを強く実感しました。人を救いたければ、力とお金が絶対に必要だということです。潰れてしまっては誰も救うことはできません。「雇用の創出」は企業の社会的意義における重要な点です。しかし、社員雇用をすることは、企業にとっては本当に大きなリスクになります。まずは、綺麗事ではなく、可能な限りリスクを減らし、最大限の利益を上げるためには、社員雇用に代わるアルバイト雇用は非常に有効的な手段だということです。利益を上げてはじめて雇用の創出が可能になるのです。

責任とリスク

「よくバイトをそんなに信頼できるよね?バイトじゃ責任とれないじゃない」と言われることがあります。そんなとき、私はこのように答えます。「あなたの会社では、社員の肩書きがあれば責任をとれるようになるのですか?」アルバイトスタッフの負う責任について考えてみましょう。飲食業やサービス業においては、配膳スタッフ、接客スタッフ、レジスタッフ、受付スタッフなどがアルバイトの仕事に多いようです。これらの仕事すべてに共通すること、それはお客様と接することです。お客様は接するスタッフをそのお店や企業のスタッフとしてしか見ていません。そのスタッフが社員であろうがアルバイトであろうが関係ありません。笑顔で素敵な接客をしてもらえれば、また行こうと思うでしょうし、無愛想で感じが悪ければこの店には二度と来ないと思うでしょう。このように、サービス業の場合は企業のイメージを大きく左右する最前線で、アルバイトスタッフが働いていることが多くあります。こう考えると、アルバイトスタッフの仕事には、本当に大きな責任が伴っていることになります。また、テレビ、出版、新聞、音楽、広告などクリエイティブな仕事に携わるアルバイトもたくさんあります。大切な資料や原稿をアルバイトスタッフが預かって、誰かに届けるというのはよくある話です。その資料の価値や原稿の制作時間を考えると、大変な責任を預かったことになります。営業、事務、工場作業、どんな職種であっても、すべてのアルバイトスタッフはとても大きな責任を背負って仕事をしていることが多いのです。彼らの負う責任に関して重要なのは、彼ら自身がその責任の大きさを認識して仕事をしているかです。人が作業している限りミスは起きます。トラブルがゼロということはありえません。大切なお客様が不快に思って、もう二度と来店しないかもしれない。大切なクライアントからの仕事が来なくなってしまうかもしれない。このようなことが絶対にないように、リスクを最小にする必要があります。特に私の会社のビジネスは、人を扱っている以上、残念ながらリスクをゼロにすることはできません。しかし、それを少しでもゼロに近づける努力を、仕組みや管理体制で行うことが仕事なのです。そこでもう一度質問をします。最悪の事態に発展してしまった場合、「その原因が社員であれば、その仕事に対しての責任はとれるのでしょうか?」当社の場合は過去に、社員が原因でお客様にご迷惑をおかけしたことも、アルバイトが原因でご迷惑をおかけしたこともあります。しかし、大きなトラブルになってしまった場合には、最終的な責任は、どちらにもとることはできません。過去に積み重ねてきた信用や時間、情熱、そしてたくさんの人の想いの責任は、誰にも

とることができないからです。ビジネスにおいては、最終的に金銭で解決することもあります。入ってくるはずのお金を失うだけでなく、払うことにもなりかねません。その代金や損失金を社員やアルバイトスタッフに払ってもらう会社は、ほとんどありません。罰金という形で制裁金を実施している会社はあるかもしれませんが、数百万、数千万と大きなものになってしまった場合には、個人にはどうにもできません。社員とアルバイトができる責任のとり方は、ご迷惑をおかけしたお客様に対して、逃げることなく誠心誠意の謝罪と、できる限りのリカバリーをすることだけなのです。辞めて責任をとるなんて、無責任極まりない責任のとり方です。仕事で返すしかありません。役員である私にも本当の責任をとることはできません。唯一、金銭も含む責任をとれるのは、社長に代表されるその企業のトップだけです。特に中小・ベンチャー企業の場合、トップの責任は重大です。会社に何かがあったときには、彼らは家を売ってでもどうにかするというリスクさえ負っているからこその、社長という立場なのです。そのような意味で、責任とリスクを考えてみると、本当にそのポジションは社員ではないと務まらないのかが見えてきます。重要なのは、社員、アルバイトという肩書きではなく、任せる相手が信頼できる人間かどうかということです。信頼できるアルバイトスタッフがいれば、社員だから、アルバイトだからということではなく「〇〇さんだから」となることでしょう。ただし、注意しなければならないことがあります。それは、社外的な見え方です。我々の場合も、クライアントに安心を与えるために社員がフォローすることがあります。関係性が整うまでは社員が必要な場合もあるのです。キーワードは「安心感」です。お客様やクライアントに対して、アルバイトという肩書きが安心感を与える妨げになる場合は、そのポジションはアルバイトでない方が良いでしょう。お客様やクライアントに安心を与えることは最優先に考えなくてはなりません。

理想のアルバイト像ここで、私が思う理想のアルバイト像をみなさんと共有しておきたいと思います。私が今の会社に入ったとき、当時のアルバイトの質は、恥ずかしくてここではお話しできるようなものではありませんでした。一部のスタッフは頑張ってくれていたものの、プロ意識のカケラもなく、茶髪にボサボサ頭は当たり前で身だしなみは最悪、笑顔もつくれず勤務態度も最悪、そんなアルバイトスタッフがたくさんいました。しかし、その原因は明白でした。社員の質が悪かったのです。当時、よくある風景として、アルバイトとの電話を切った社員から出てくる一言、「なんだよ、こいつ。むかつくな!」「こいつアホなのか?」出てくる言葉は、毎日毎日アルバイトの悪口ばかりでした。当時、つい最近までアルバイトの立場だった私にとっては、自分のことを言われているようで、毎日フラストレーションがたまるばかりでした。そして入社2ヶ月も経たずして、早くも爆発してしまったのです。「いい加減にしろ!アルバイトが駄目なのは、お前らが駄目だからだろ!」完全にキレてしまいました。あの時の言い方は、本当に反省していますが、しかし、これを機会に私たちがやらなくてはいけないことが見えた瞬間でもありました。全社をあげてアルバイトスタッフの質の向上を目標に掲げ、それを通して社員自身も自己成長を遂げるよう意識が向き始めたのです。そして、結果はすぐに現れました。そこに顕著に気づくことのできた機会が、飲み会の場でした。当時は、アルバイトスタッフとも飲みにいくことが多かったのですが、彼らが居酒屋で話す話の内容が明らかに変わっていったのです。以前は、仕事の話などほとんどなく愚痴ばかりだったのですが、徐々に仕事の話が増え、最終的には仕事の話しかしなくなったのです。彼らが、自分の仕事について熱く語り合っている姿を見て、私の求めるアルバイト像はこれだと感じました。これは社員でも一緒だと思います。時間の切り売りと言われるアルバイトスタッフに、プライベートでも仕事について考えてもらえるように、彼らのモチベーションを大切にしたい、そしてそんな姿こそが私の求めるアルバイト像だと感じたのです。

「アルバイトだけでまわるチーム」をつくる手順

ここで「アルバイトだけでまわるチーム」のつくりかたの流れを記しておきます。それぞれに関して、次章から具体的に述べていこうと思います。●スタッフ全員がモチベーション高く、一生懸命働くチームを目標に掲げる↓●優秀な人材を見極める面接・研修↓●選抜した優秀な人材への集中的な教育↓●勤務の様子を見ながら、さらなる教育と選抜、同時にアルバイトスタッフが働きやすい環境づくり↓●信頼に足る人材に、社員だけに任せてきた大きな責任を伴う仕事を任せ、アルバイトだけのチームがある場合はそのリーダーに任命、教育・環境づくり、人材選抜にも参加させる以上を繰り返して、能力の底上げを図りましょう。ある程度のところで、すべての工程をアルバイトスタッフに一任します。かなり大まかな説明ですが、最終的には自分が行なっている人材教育を、すべて一任するイメージをはっきりともって実行することが必要になります。全行程を任せるつもりで準備をすることで、今やるべきことが見えてきます。まずは、効果的な教育をするために、優秀な人材を見極め選抜してください。アルバイトスタッフの能力の底上げのためには、社員の教育以上に時間がかかります。ですから、成長した優秀なアルバイトスタッフに任せて進めましょう。成長したアルバイトスタッフが増えれば増えるほど、全体的な能力の底上げのスピードも加速します。

Chapter2優秀なアルバイトを集める7つの募集のコツ

採用原稿は自分で作る

当たり前の話ではありますが、「アルバイトだけでまわるチームを作る」ための第一歩は、まず必要な人数のアルバイトスタッフを募集して採用することです。一昔前ならば応募情報を出すだけで簡単に人材を確保できていましたが、少子化や労働人口の減少のあおりを受けて、アルバイトスタッフの採用も困難になりました。外食チェーン店を運営しているある経営者の方から、こんな話を聞きました。「100万円のコストをかけてアルバイトスタッフの募集を行ったが、一人も採用することができず、2店舗が閉店することになった」というのです。全国展開するような大企業であれば数店舗の縮小で済みますが、中小規模の会社であれば近年増加している人手不足倒産という最悪の事態にまで発展しかねません。そんな状況の中、大変ありがたいことに、この7年間で当社のビジネスはプロモーション事業だけでなく、飲食やフィットネスへも事業を展開し、順調に成長・拡大しています。こうした店舗型ビジネスの成功には優秀なスタッフの採用と育成、そして長期的な雇用が必要不可欠です。当社の事業に対してアルバイトの採用募集が占める重要性の割合は増加していますし、これだけの数の学生やフリーターを採用するには、ただ募集情報を出して待っているだけではとても確保することができません。そこで大いに役に立っているのが、イベントプロモーションで培ってきた採用活動のノウハウです。イベントやキャンペーンの運営を手がけるという業務の都合上、体力があって活発に動ける学生や若者を多く採用する傾向にあります。学生や若者というのはアルバイト採用市場で非常に人気の高い層となっています。しかも一回のイベントに必要なアルバイトの数は多いときには100人単位で、年間何件ものイベントを運営しています。この状況での採用の苦労が、人手不足の今では大いに役立っているのです。この章では当社が行ってきた採用活動で培ってきたノウハウを、皆様にご紹介していきたいと思います。まず最初に皆様に取り組んでいただきたいのが、「採用原稿は自分で作る」ということです。たとえばあなたが、職場でアルバイトの募集と採用を任される立場になり、求人募集サイトに求人広告を出すことになったとしましょう。募集サイトに問い合わせの連絡を入れれば、すぐにサイト側の営業担当の方が営業にやってきて、「こういう広告をご用意します」とサンプルを提示してくれます。あなたは何一つ面倒な作業をすることなく、登録料を払えばすぐに求人広告がネットに公開されてい

るでしょう。実はこの人任せな広告の出し方が、よくある失敗の原因になっているのです。サイトの営業担当は営業のプロではあっても広告のプロではありません。毎日数多くの企業に向けて提案を行っていますし、あなたの会社だけを他の会社より優遇したり、凝った広告を作ってくれるというわけではありません。自らがアイデアを出し、細かな指示を出さないと、無数の採用情報に埋もれる内容になってしまうのです。多少大変であっても、担当者自らが主体性を持って原稿作りに参加しないと過熱する求人競争では勝ち残れない時代なのです。では、どうやって求人広告を作るのか、具体的にご説明します。

ライバル情報をチェックする

そこで大切なのが、まず自らが立地を見にいくことです。なぜ、求人広告の話で立地の話が出てくるのかと疑問に思うことでしょう。たとえば、あなたが自分の店を出しているオーナーで、大型ショッピングモールに出店を計画していると想像してください。出店料を払って店がオープンするまでの間、ショッピングモールに足を運んで立地や店構えを確かめたり、隣にどんな店が出店しているか、客層がどうなっているか、確認しないということがあるでしょうか?しかし、求人広告に限っては、自分たちの情報がどの場所に載るのか、まわりのライバルはどのような広告を出しているのか、自らが見に行くことをしてない人が多いのです。自分たちの立地に関しては、Web媒体でも紙媒体でも、ある程度の場所は担当者に聞けば教えてもらえます。ここで確認するべきは、やはりライバルの情報です。一般的なショッピングモールとは違い、同業種のライバルが、隣になることが多いのが求人媒体。そのライバルが何を一番の訴求ポイントにしているのかをチェックするのです。例えば、その企業が高い時給を売りにしているのか?働きやすさを売りにしているのか?福利厚生を売りにしているのか?特に時給に関しては、最近急騰しております。牛丼チェーン店のアルバイト時給が1500円を超えたニュースは記憶に残っている方も多いことでしょう。求人情報大手のリクルートジョブズが2017年7月に行なった調査では、アルバイト・パートの募集時平均時給は、三大都市圏(首都圏、東海、関西)で前年同月比2・4%高い1010円というデータが出ています。49カ月連続で上昇が続き、現在でも上昇は続いているものと予想されます。地方では最低時給の環境は違いますが、その地域のマーケットの変化を確認しなくてはいけません。それにも関わらず、1400円の時給のライバルの横で、時給1000円を訴求してみても誰が募集に来てくれるのでしょうか?単純に言ってしまえば「相場の見誤り」が原因なのですが、これもまた事前の調査によって対策が可能です。時給を上げることが出来るのであれば、ぜひ検討をお願いいたします。しかし、中小企業では簡単には時給を上げられない事情も多いはず。当社もその一つです。その場合は、他の強みを訴求しなくてはならないのです。また、他よりもビジュアルで目立つことも大切です。ショッピングモールに例えると看板にあたります。競合他社が並ぶ店舗でどれだけ目立てるかということです。Web媒体の場合、無数に並ぶサムネイル画面の中で目に留まらなくては、どんなに良い記事を書いても読んでもらうことすらありません。

まわりが暖色系の写真や装飾を使っているのであれば、あえて寒色系を使って目立たせる。キャッチコピーは面白い言葉や、挑発的な言葉を使うなど、まわりのライバルと差をつける努力をするということです。世の中のあらゆるビジネスが顧客目線を持つことの重要性を説いているにも関わらず、求職者目線を考えないまま採用活動を行っている企業の事例は非常に多いです。また、求人広告も広告という文字が使われているからには、マーケティング活動と採用活動のコツは同じです。コストをかけて募集情報を掲載し、社員たちの時間を使って面接や採用活動を行い、人材という収益を得る一連の流れは、マーケティングの手法と同じなのです。当社は企業向けのプロモーションを専門にしている会社ですので、マーケティングや広告といった事業に元々多くのノウハウを持っていました。マーケティングと同じように広告効果を数値化して検証したり、仮説を立ててPDCAを回すことで、多量の人材確保を可能としています。これから採用活動を始める方も、思うような効果が出せていない方も、まずは採用を社内業務としてではなくマーケティング活動であると認識を改め、取り組みの姿勢を変えるところから始めてみると良いでしょう。

あなたの会社・お店の強みは何か?

では、ライバルと差をつけるために、一体どんなところに着目して、何を訴求すれば良いか、みなさんは思いつくでしょうか?「大手と比べてしまうと、中小企業のうちなんて……」という言葉は私も何度も聞いた事があります。そんな時、どんな募集広告を出せば人が集まるか、どんな広告に魅力を感じてもらえるのか、一体誰に尋ねてみるのが良いでしょう?例えばノウハウを持っているコンサルタントに高い契約料を払って相談するのも一つの手段ですが、当社ではもっと頼りになる人たちに、しかも無料でアドバイスをいただくことができています。それは今まさにアルバイトとして働いてくれているスタッフたちに尋ねてみることです。①なぜ、うちの仕事に募集したのか?②このアルバイトに決めたきっかけは何か?③今働いている理由は何なのか?という3つのアンケートを取り、アルバイト募集の現場では何が重視されているのか定期的に調査を行なっています。マーケティングでいったところの顧客調査のようなものです。顧客に対して商品についてのアンケートをお願いする場合だと、協力してもらえる可能性は高くないので、特典を用意したりメール配信を行ったり、意見の収集にもかなりの手間がかかります。しかし雇用しているアルバイトのスタッフたちに一人一人お願いするのであれば、快く協力してもらえるのでわずかな手間でデータが集めることができます。当社でも長年このアンケート調査をスタッフたちにお願いし、価値観のギャップや意外なメリットについて気付かされました。私たちが大してメリットとは感じていなかった些細な要素が、実は募集広告でもっとも強く推し出すべきポイントだったと気付かされることもあります。時には、そのアンケート結果をそのまま求人原稿のキャッチコピーに使うこともありました。最近アンケートを取ったホワイトニング事業では、こんな内容が上がってきました。応募したきっかけは「勤務地」かつ「飲食店は嫌だった」、現在働いている理由は「店長が好き」。そこから考えた訴求ポイントは、新宿駅直結(雨が降っても傘いらず)、簡単な受付業務のみ、そしてアンケート結果の第一位「店長の人柄が良い」という事でした。実際に店長の実名写真入りでプロフィールと合わせて載せることなども行っています。

また、社員応募の話にはなりますが、ここ数年の当社の社員求人キャッチコピーは「6年間離職率0%」を多用しております。現在、社員も増えて離職者も出てしまったのですが、過去6年間に離職者が一人も出なかったことを今でも強調しております。つまり、働きやすさや人間関係の良さを数値で強調しているのです。これも社員から教えてもらった事実でした。自分たちの強みがわからないという方は、まずは働くスタッフに聞いてみましょう。思いがけない強みがわかると同時に、その強みをさらに磨けば、他社との差別化が図れるようになります。気が付くと、他社には真似できない大きな強みになっていると思います。

サムネイルの注意点

求人広告で、まず目を引くのは、広告に掲載されるサムネイル画像です。前項でお話ししたように、自社の強みをこのサムネイル写真に書くこともあるでしょう。ここについても大きな注意が必要です。まずは写真についてです。募集サイトを巡ってみると、せっかく目を惹きつけるこの部分が、どこかから持ってきたバイトと無関係なフリー素材であったり、ありきたりな集合写真になっていることがよくあります。もっと最悪なのは、会社のロゴの場合です。会社のロゴに想いがあることはとても素晴らしいことだと思います。ただ、よほどのブランド力のある会社ではないと、求人にとってはメリットにはなりません。ここで重要視してほしいのが、求職者目線の写真を選ぶこと。会社の雰囲気をわかってほしいのであれば、それが伝わる写真。写っている人は笑顔なのか?服装は?人数は?男性か女性か?つまり、その写真から何を伝えたいのか、なぜその写真を選んだのか、求職者の目線で選定してほしいのです。ぜひ、Webでも紙でも良いので、求人媒体を覗いてみてください。なぜ、この写真を選んだのかと疑問に思う求人広告が少なくないと思います。おそらく、なにも考えずに作られている求人広告で間違いないことでしょう。また、効果を上げるための画像の中に「給与」や「条件」といった情報を文字で入れることも多いと思います。また、御社の強みがあれば、ぜひそれを押し出してみるのも良いでしょう。給料であれ他の情報であれ、ライバルとの差別化を意識した情報であれば、非常に目を引く場所になるので有効になります。ただ、ここで注意をしてほしいのが、文字の大きさです。スマホの利用率は20代~30代で9割を超えて、全世代でも7割を超えたというのに、まだまだスマホを意識することを忘れた原稿が多いのです。求人媒体やターゲットによっても差があるとは思いますが、それでもWeb求人媒体では、8割近くの利用者がスマホからの閲覧になります。おそらく、作成者は会社のPC上で作業をしているので、見落としがちなのは理解できますが、サムネイルにどんなに訴求ポイントを書いたとしても、スマホで読めない文字の小ささであったら、まったく意味がありません。ここも求職者の視点に立ち、スマホでも見える文字の大きさか、読みやすい改行がされているのか、必ずチェックをお願いします。

ターゲットの考え方は、一般広告と一緒

マーケティングの世界では、ターゲットを詳細まで明確にするというのは一般的な話です。ただ、あまり仕事でマーケティングについて触れることのない方も多いと思いますので、ここでターゲットについての考え方をお伝えしておきます。ターゲットの詳細化とは、求人においては、どんな人に来てほしいかということです。男性なのか、女性なのか?年はいくつなのか?学生か、フリーターか?一人暮らしか、同居か?兄弟はいるのか?趣味は何か?好きな音楽は何か?読んでいる雑誌は何か?等々。ここまでの情報が必要なのかと思う方もいるかもしれませんが、ターゲットが詳細かつ明確であればあるほど、求人広告は作りやすくなります。男性も女性も両方欲しいという企業も多いとは思いますが、広告に関して言えば、どちらかに絞って明確な広告を打ち出したほうが、サブターゲットと呼ばれるターゲット外も含めて結果は良くなるのが普通なのです。例えば、寮や社宅がある会社では、東京に出てきて働きたい人をターゲットに強みを打ち出すことが出来ます。当社の場合は、以前バンダイナムコさんのお仕事で、全国のキャラクターショップの運営を行ってきました。キャラクターなので、著作権の問題で求人広告にキャラクターを安易に使うことは出来ませんでした。しかし、そのキャラクターが好きなターゲットを狙うために、写真や文章に可能な限りキャラクターが想像できるようにヒントを散りばめました。また、店長のキャラクターを打ち出す時などは、店長の趣味などを記載して一緒に趣味を楽しめる人募集というような求人も効果的です。要はここでも求職者の気持ちになるために、その求職者がどんな人なのかを明確にするということです。そして、その人に向けてラブレターを書くつもりで原稿を作ると良いものが出来上がります。また、ターゲットを明確にする良い方法があります。これも非常に簡単で、今あなたの会社で活躍しているスタッフの中で、「この人みたいなスタッフが来てほしい」と思う人をターゲットにすることです。前述したように、その人からのアンケートを参考にその人に向けた求人を書くことで、ターゲットが明確になった良い原稿が出来ると思います。ぜひ、試してみてください。

数値化できるPDCAサイクルを習慣化する

PDCAサイクルとは、P(Plan=計画)、D(Do=実行)、C(Check=評価)、A(Action=改善)を繰り返し行うことです。求人活動において、意外と行われていないのが、このPDCAサイクルを回すこと、特にCheckとAction、評価と改善を行っていないことが目立ちます。原稿を作って(Plan)、募集をかけて(Do)、沢山来たから良かったとか、全然来なくて困ったとか、良かった悪かったの結果(Check)まではわかるものの、具体的に募集単価がいくらだったかという明確な数値で答えられない採用担当者は少なくありません。ここで重要なのが、明確な数値として把握することになります。ここで必要な数値項目は次の3つです。①募集単価求人費÷応募数(例:募集費30万円÷30人=1万円)②面接単価求人費÷面接数(例:募集費30万円÷15人=2万円)③採用単価求人費÷採用数(例:募集費30万円÷10人=3万円)まず募集単価についてですが、この結果からわかるのは求人広告の結果です。職種や場所や季節によって大きな差が出る部分なので、できるだけ同じ条件で比較する定点観測が必要な項目です。その為にも、常に数字を集め続け、まずは自社の基準値を見つけることから始めてください。仮にデータが少なくとも、常に過去のデータと比べることで、今回の求人原稿の良し悪し、あるいは結果に対する原因は原稿なのか、季節変動なのか、常に検証し改善することを続けてください。可能であればABテストをすることをお勧めします。ABテストとは、同条件において、ある項目を変えて反応を見るテストのことですが、広告に関しては季節を同条件にすることは一年後の同時期に募集をする必要があり、現実的ではありません。求人における季節変動はターゲットによりますが、学生がターゲットの場合、3月4月は反応が高く、テスト時期や年末年始は反応が低い傾向があります。この辺りは媒体の営業担当に言えばすぐに提出してくれますので参考にしてください。ただ、それより大切にしてほしいのが、季節変動に関してはあまり気にせず、積極的なABテストを行うことです。年末などの大きな差が出るタイミングだけ、加点や減点で影響の大きさを打ち消すように調整すれば、あまり難しいことを考えずに積極的にチャレンジするほうが重要だと私は思ってます。そして、もう一点注意をしてほしいのが、反応が良かった場合は、原稿を絶対に変えないこと。当たり前のことのようですが、チャレンジ精神旺盛な人は、次々と変えていってしまう傾向があります。残念なことに、どんなに創り込んだ求人原稿も仮説検証の上に行

われるものなので外れる時もあるのです。言い換えれば、当たったときはとにかく変えずに、しばらく使い続けることが効果的な方法とも言えるのです。次に面接単価についてです。この結果でわかるのは、面接までの案内手順が正しく行われているか否かです。例えば、沢山募集は来たけど、実際に面接まで来た人が少なかった場合など。ここの結果が悪い場合の理由は大きく3つが考えられます。❶応募に対する反応スピードスピードが命です。1日の違いで倍以上来社率が変わります。3時間以内の反応が理想です。残念なことに、アルバイト募集では複数同時応募は当たり前で、どこに募集したかすら応募者本人が覚えていないことも珍しくありません。❷電話の応対丁寧な対応が全てです。うちは大丈夫だろうと思わず、結果に問題がある場合はオペレーションを見直してみてください。❸面接までのリードタイムこちらも応募に対するスピードと同様、面接までの期間で来社率は大きく変わります。可能な限り早いタイミングでの面接を実施してください。アルバイト求人では、先に採用をした企業を優先するので、何社か比べて入社を決めるということはほとんどありません。以上、面接単価が低い場合は必ず社内スキームをチェックしてみてください。そして最後に採用単価についてです。こちらでわかるのが、担当者の面接対応になります。リクルートの面接コンサルタントに聞いた話ですが、店舗に面接を任せているとあるスーパーでは、いまだに店長が煙草を吸いながら面接をしていたことがあったそうです。さすがにそのようなことは稀だとは思いますが、アルバイト採用では面接担当者が業務で忙しい中で面接を実施することも多く、大柄な対応を露骨にしてしまうこともあるようです。まず事実として、確認しなくてはいけないのが、面接では合格になっているにも関わらず、当日に勤務に来ない等、つまりバックレが多い場合は要注意です。面接担当者の対応に問題がある可能性があります。また、丁寧な対応をしていても、面接対応者によって採用フィルターが厳しい場合や緩い場合など個人差があることは当然です。このフィルターについては、企業の状況により

千差万別だとは思いますが、社内では統一したフィルターが必要です。面接方法に関しては後述しますが、採用単価にバラつきがある場合は、担当者のチェックが必ず必須となることは覚えておいてください。このように、あらゆる可能性を把握するために、数値化するのは必須な作業となります。今では当社もリクオプやジョブオプといった外部サービスを使って採用管理を行っております。他にも多くの採用管理サービスがありますので、興味のある方は探してみてください。もちろん、そこに費用を使えないという企業も多いとは思いますが、当社も以前まではアナログで全ての採用管理を行っておりました。担当者にとって面倒な作業ではありますが、データを蓄積することで、御社にとって大きな価値に変わることは間違いありません。この本の読者の皆さんは、自分が採用担当である方も経営者の方もいるとは思いますが、未だ数値化を行っていない企業は、この先の採用競争で勝ち抜くのは難しくなるでしょう。あなたの会社の未来のために、ここは頑張って欲しいと思います。

紹介制度を活用する

最後にアルバイト応募を効率的に集める方法をいくつか紹介しておきます。まずは、現在いるスタッフに見込みのある友人や知人を紹介してもらうという方法です。彼らの持つ人脈を活かして、採用エージェントとしても働いてもらうのです。もちろん、「良い人がいたら紹介してほしい」と口でお願いするだけでは効果は上がりません。こちらが本気で危機感を持って制度として取り組むことで、はじめてアルバイトスタッフたちも本気で人材紹介に取り組んでくれるのです。ここで活躍するのが、先ほどの採用単価です。なかなか採用活動が上手くいかず、採用単価が10万円を超えてしまっている職種もあることでしょう。当社も仕事内容によっては、そのような苦労があった時期もありました。しかも、このときかかったスタッフの採用コストは10万円ですが、募集情報を掲載するために社員がかけた手続きの時間や、募集記事の制作時間をコストに含めれば、それ以上のコストがかかっているかもしれません。さらに、もし運悪く一度の募集で必要な人材を採用することができなければ、採用活動の期間を延長しなければなりませんので、コストはどんどん膨れ上がっていきます。どうせ一人採用するのに10万円とかそれ以上のコストがかかるなら、現在いるアルバイトスタッフに有望そうな人材を紹介してもらって、紹介してくれたスタッフに5万円、10万と少し多いかなと思う金額を報酬(インセンティブ、ボーナス)として渡すことにしてみたらどうでしょう。かかる採用コストは十数万も削減できていますし、募集のためにかけていた社員の時間を他の仕事に充てられるという金額以上のメリットがあります。すでに居るスタッフに縁のある人間であれば、無責任にやめられてしまう心配も少ないですし、知人同士という関係性が雰囲気を良くしたり、定着率も長くなるといった多くのメリットが存在します。私たちも今まで友人紹介キャンペーンという題目で、社内向けのアルバイト募集キャンペーンを繰り返してきました。結論から言えば、常に有効な募集方法だと思います。もちろん、制度として導入するには様々な準備や制度づくりが不可欠です。中には制度を悪用して、インセンティブ目的で質を吟味せず大量に紹介を行い、面接にかかる時間やコストが増えてしまったり採用した人間がすぐ辞めてしまったりといった問題も起こり得ます。これを防ぐために当社では、「紹介された人材が3か月または半年以上勤続してくれた段階」で、紹介してくれたスタッフに報酬をわたすようにしています。また、ここには確実な法則があるのでここでご紹介しておきます。それは、A級はA級を連れてくる、B級はC級を連れてくるという友人紹介の法則です。人をA級B級の区別するのは失礼で申し訳ないですが、過去のデータを分析すると、優

秀なアルバイトスタッフは優秀な人を連れてくることが圧倒的に多かったのです。彼らは自分たちの仕事をよく理解しています。よって、その仕事を誰かに頼もうと思った時に、向き不向きをしっかり考えた上で人選をして、自分の評価を落とさない信用ある友人を連れてきてくれているのだと思います。反対に、優秀でないアルバイトスタッフに紹介を期待しても良い結果になることはほとんどありません。人選をせずに人を連れてくるから、その本人を超える人を紹介してくれることはほとんどないのです。これが顕著に表れるのが、外国人採用です。現在の求人環境で採用しやすいのは、外国人、主婦、高齢者だと言われています。コンビニで外国人スタッフの活躍は良く目にすると思います。特に環境的にも文化的にも、横のつながりが強い外国人の場合、多くの友人を紹介してくれる傾向があります。そのときには、やはりはじめに紹介してもらう人を間違えると、露骨に社内の文化が変わってしまうこともあり、苦労している経営者の話も珍しくありません。ただ反対に、はじめに声をかけた人が素晴らしく、とても良い人脈に助けられているということも良く聞く話です。そのためにも、誰かにアルバイトの紹介をしてもらう場合は、優秀なアルバイトスタッフに頼むのが良いでしょう。アルバイトを単なる労働力としてではなくパートナーとして扱うことで、採用活動をも助けくれる心強い戦力になってもらえることでしょう。また、有料の求人媒体を主軸に話してきましたが、今では無料の求人媒体やジョブセンスに代表されるような採用課金型の求人媒体も数多く存在します。これらの求人媒体を使った経験からすると、爆発的な募集の期待は出来ませんが、間違いなく掲載はしておいた方が良いと思います。忘れたころに応募があっても、こちらのタイミング次第では大いに助かることもあります。他にも最近ではIndeedや自社HPでの採用方法など、新たな採用手段が出てきていますが、大切なことは、できることは全て実施しておかないと、これからの求人競争に勝つことはできないことだけは、繰り返しになりますがお伝えしておきます。

Chapter3優秀なアルバイトを見極める、7つの理論と2つの質問

お勧めは「加点方式」と「人物評価」

この章では、優秀な人材を見極める面接をするためにはどうすればよいのか、それについてお話しします。まずは面接での評価方法です。評価には大きく2つの方法があります。評価基準と照らし合わせ、プラス要素があった場合に点数を加えていく「加点方式」と、マイナス要素があった場合に点数を減らしていく「減点方式」です。実際には「加点方式」と「減点方式」を組み合わせて評価を行っている会社が多いのではないかと思いますが、すべての面接は原則「加点方式」で行うことをお勧めします。減点方式で相手と接すると、粗探しのような面接になってしまいます。相手も面接官に良い印象をもたない場合は、お互いにとって良い面接になることはないでしょう。相手の良いところを見つけようと好感をもって面接することで、相手も本音で話してみようという気になるのではないでしょうか。また面接において評価すべきポイントに、人物評価と能力評価の2点があります。人物評価とは、その人のもつ性格や資質に対する評価。能力評価とは、その人のもつ職務能力に対する評価です。おそらくほとんどの企業のアルバイト面接では、人物評価のみで採用判断をしていると思われます。難しいスキルを求めることがないアルバイト面接の特徴です。人物評価のみでアルバイトを評価することは、私も賛成です。アルバイトに最低限必要なものは、素直な性格と責任感です。この2つさえあれば、教える側が愛情をもって教育することで、大きく変わることができるからです。

間違った人を採らない面接

私の会社では、年間1000人以上のアルバイト採用の面接を行います。そして、たくさんのアルバイトスタッフを雇用し、その中から、ディレクターと呼ばれる現場責任者(優秀なアルバイトスタッフ)を見極め、選抜して教育していきます。その課程の中で、優秀なアルバイトスタッフには何か共通点がないかとデータをとり、分析し始めたのが、「見極める面接」を始めたきっかけです。現在働いている、または過去に働いていたアルバイトスタッフから、評価が高かった人の共通点を探るのが重要です。履歴書には書かれていない事実を見極めるのです。それが面接の役割です。そのため、まずはあなたがアルバイトスタッフに興味をもち、観察しなければなりません。データをとり始めると意外な共通点が必ず出てきます。おそらく、業種、職種によって大きく傾向が分かれることでしょう。ここからは、イベント会社である私の会社で採用している理論を紹介していきます。どの業種にも必ず優秀なアルバイトスタッフの傾向があるので、しっかり検証してみてください。そして、そのデータを採用の見極めに使ってください。実際、私の会社のようにたくさんの採用をして、その分析結果を選考に使う場合は稀だと思います。みなさんの会社でも、面接採用の参考データとして分析してみると、多くの応募者の中から、将来優秀な人材を見極めることができることでしょう。❶名前理論採用の際にまず注目していただきたいのが、どのような家庭環境で育ってきたか、ということです。特にアルバイトスタッフに多い10代、20代の若者が、それまで育ててきてくれた両親に大きな影響を受けていることは間違いありません。子どもは親の背中を見て育つものです。面接ではその両親がどのような人物なのかに着目することが、素質のある人材を見極める指標の1つとなります。しかし直接両親について質問することはNGです。人事担当の方であればご存知かと思いますが、面接で本人に責任のないことを質問することは厚生労働省によって禁止されています(正確には禁止ではなく、配慮すべきという表現ですが、法令違反になる可能性が高いので避けるのが無難です)。したがって、親の職業はもちろん、家族構成なども本来聞いてはいけない質問なのです。とはいえ、どのような親元で育ってきたかということは、多くの面接官が知りたい情報です。私にとっては何よりも知りたい情報です。「駄目だとはわかっているけれども、あえて聞かせてもらうよ」と聞いている面接官も多いのが現実です。

親の職業や家庭環境についての偏見で不合格にするようなことは絶対にしてはいけませんが、どのような親に育てられてきたのかは人間形成における基本事項です。そこを判断するのに非常に有効な方法の1つが「名前理論」です。面接希望者の名前を見てください。その名前が、あなたの感覚でおかしな名前、いわゆる当て字の名前の場合は要注意です。ここで見ているのは、親の愛です。当て字の名前だからダメだという訳ではありません。深い親の想いがあってつけられている名前であれば良いと思います。しかし、わざわざまわりの人が読めない漢字を使う名前をつける親の心理とはどのようなものでしょうか。ありふれた名前でなく、人とは違った個性的な名前をつけてあげたいという気持ちはわかります。しかし、いじめに遭ってしまうのではと、こちらが心配になるような変わった名前は論外です。おそらくみなさんがそうであったように、お子さんに名前をつけるときには、普段は気にもしないような画数を気にしてみたりと、子供の将来を想像して想いのこもった名前を授けたことでしょう。それは子供のための名前だったと思います。しかし、一部の名前には親のための名前、つまり親がかわいいと思うからというような親の自己満足としか思えないものがあります。そのような場合はこんな質問をします。「あなたのお名前の由来をご存知ですか?」と。これに答えられれば、当て字は気にしなくて良いでしょう。ちなみにこの質問は、当て字の人に限らず有効な質問です。自分の名前の由来を知っている若者の方が素直な傾向があります。名前の由来をしっかりと説明している親からは深い親の愛情を感じます。再度断っておきますが、知らないから駄目ということではないのでご注意ください。話を戻しますが、自分の名前の由来を知らない若者は意外と多くいます。当社の面接では原則「加点方式」を採用しているものの、当て字の名前、かつ名前の由来を知らない若者は減点対象としています。私の会社の優秀なアルバイトスタッフの中に、当て字の名前のスタッフがいたことはありません。❷誕プレ理論先ほどの名前理論は親の愛情を見るものでしたが、反対に親への愛情を見る質問があります。「親の誕生日に毎年何かをしていますか?」という質問です。「毎年」というのが肝になります。生意気盛りの若者で、親の誕生日に毎年プレゼントや親孝行をしている若者は非常に少ないです。これが素直にできている若者は、仕事に対しても本当に真面目で素直です。採用試験で親の誕生日を書かせている会社も多いようです。

嘘がつけない、具体的な聞き方をお教えします。履歴書の住所を見て、一人暮らしか実家かを聞きます。その返答を聞いて、親と一緒の場合は、「実家は楽だよね。僕もずっと実家にいたことあるからわかるよ」、一人暮らしの場合は、「それは寂しいね。親とも会いたくなるでしょ」と返答し、どちらもここで「親とは仲いいの?」と切り返します。ここで仲がいいと答える人には「ほんと、それはいいね!でも、僕もそうだったけど、若いときって恥ずかしくてプレゼントとかってしづらくない?親の誕生日とかは何もしてないでしょ?」と聞き出します。自然な感じで、何もしていない方が普通だという空気をつくるのです。それでも親にプレゼントをしている人は、楽しそうにエピソードを話し始めます。そこで「毎年?」と聞くのです。この質問の良いところはもう1つあり、親孝行を楽しそうに話す姿を見て、非常に親近感を覚えることができる点です。仲が悪い場合は簡単です。「そうだよね、僕もそうだった。じゃあ、親の誕生日には今は何もしてないよね」としていない前提で聞くだけです。また、最近では必ず「反抗期」があったのかを聞くようにしています。あったから良い悪いということはありませんが、そこから親との関係性が垣間見れることが多いからです。時には身の上話のようになることもありますが、それは本音で話してくれている証拠なのでとても良い兆候です。真剣に話を聞いてあげましょう。そして大切なのが、今はどのような関係性に変わっているかを知ることで、相手の人間的成長を見極めることなのです。私の場合、30歳までフリーターだったように、親不孝を絵に描いたような人間でしたのでよくわかるのですが、「親への感謝」という当たり前のことができない間は、仕事に対する姿勢も考えも間違いなく未熟でした。20代の若いとき、感謝していると親に素直に言うことはまったくできませんでした。何かをきっかけに親の愛情や苦労に気づき、素直に親への感謝が芽生えていく。それが人の成長なのでしょう。その人の成長過程で、どの段階に現在いるのかを見極めることは、仕事においての成長とリンクするものだと思います。10代から身についている場合もあれば、私のように30代になってやっと気づいたという人もいます。親への感謝は、遅かれ早かれ必ず全員が気づくことですが、早期に気づき、親孝行をしているという若者の親は素晴らしい教育を子どもにしてきたのだと思います。そのような親に育てられた若者は、仕事に関しても真面目に取り組むものです。❸親の職業理論親の職業については、顕著なデータがあります。親が小さな商売をやっている家庭の子どもは、優秀なアルバイトスタッフになることが非常に多いです。その商売は小さければ小さいほど良く、自宅でお店や工場、事業をやっている場合などです。おそらく、小さな頃から近くで両親の働く姿を見ていたため、労働の本質がいつのまにか身についているのでしょう。父親がサラリーマンの私には経験がありませんが、父親の

働く姿を子どもに見せることができる環境は、大変な苦労もあると思いますが、非常に素晴らしい教育の場になります。親の苦労を見て学ぶものは非常に多いです。しかし、前述したように、親のことを聞くのは面接ではNGです。そこで有効な質問があります。過去の思い出にフォーカスをした質問をするのです。例えば、「今まででうれしかった小学校の思い出は何ですか?」「お父さん、お母さんとの思い出を教えてください」といった質問です。過去の思い出にフォーカスした質問を始めると、頻繁に親との思い出が出てきます。自発的に親の話をしてもらうわけです。「うちは両親が共働きで……」「うちは家が〇〇屋をやっておりまして……」など、相手から家庭の話が出てきたら、それを皮切りにして知りたいことを聞いてしまいます。面接相手が家庭の商売の話を楽しそうにしてくれたなら、その人には可能性があると加点してあげることになります。❹一人暮らし理論親からどのような教育を受けてきたのかを、ある程度理解できたところで、もう1つ重要なことがあります。現在も親の影響力が大きいかどうか、現在も実家住まいなのか、それとも一人暮らしなのかです。実家で親と暮らしているのであれば、良くも悪くも少なからず親の影響力は現在も強いと言っていいでしょう。親の影響力が悪いと言っているわけではありません。親から良い影響を受けているように見えれば、実家暮らしは加点要素になるのです。先ほどのように、一人暮らしかを直接聞くのは問題ありません。履歴書の住所からある程度推測することも可能です。住所がマンションやアパートではなく、一戸建てであれば実家暮らしの可能性は高いです。また、最近では地方の出身者が良い傾向があります。正確な分析を行っていないので参考程度にしてほしいのですが、出身地で分析するとおもしろい結果が出ると思います。地方出身で一人暮らしの若者の方が苦労している分、おもしろい結果が出てきそうです。❺ビジュアル系理論当社の面接では必ず好きな音楽について聞きます。手探りで始めた質問内容でしたが、このデータをまとめたときにおもしろい結果が出てきました。我々の業界では、ビジュアル系バンドが好きな若者に優秀なスタッフが多いというものでした。もちろん、面接にビジュアル系の服装で来たらきつく注意しますが……。ビジュアル系のような一見まわりから後ろ指をさされるかもしれない特異な服装をするところまで何かに没頭できるというのは、とても素直な資質の表れではないかと思いま

す。もちろん、その興味を仕事に向けるというのが前提ですが、あそこまで何かに没頭できるという若者は、その気持ちのベクトルが仕事に向いたときに大きな力を発揮するというのも納得がいく話です。ぜひ、好きな音楽に限らず、好きな映画、好きな本など若者の文化に興味をもって、分析を行ってみてください。意外な傾向が表れるかもしれません。面接をする我々が、若者文化を知っておくことも重要です。彼らが好きな話題を広げて、そこから人となりを探るというのはとても有効です。若者文化は理解ができないと拒絶するのではなく、時には彼らの目線に合わせることで見えてくるものも多いのです。❻メアド理論面接の際に履歴書で必ず見てもらいたいことがあります。それはメールアドレスです。市販の履歴書フォーマットには記入する部分がないものが多いので、記入欄がない場合は必ず履歴書の空いている箇所に書いてもらいます。PCアドレス、携帯アドレスの両方記入してもらうのが理想的ですが、特に知りたいのが携帯アドレスです。この携帯アドレスに彼氏彼女の名前が入っている若者が意外と多いのですが、そのような人は要注意です。非常に高い確率で無責任に辞めていく傾向があります。これは依存の問題です。自分の知り合いが周知する携帯アドレスに彼氏彼女の名前を入れるのは、一見すると仲睦まじく思えますが、そこまですることに、交際相手に対する強い依存を感じざるをえません。実際、交際が良好にいっている時はとても良い働きをしていたにもかかわらず、プライベートが荒れてくると、人が変わったように仕事に対して無責任になってプライベートを優先し、最終的には信じられないような無責任な辞め方をするのがこのタイプです。特に女性に多い傾向があります。ペットの名前や子どもの名前が入っている場合がありますが、これは似て非なるものなので、こちらはまったく問題ありません。むしろ、こちらは良い傾向が強いです。愛する対象をメールアドレスに入れるという意味では似ているのですが、責任の度合いや覚悟というところに雲泥の差があります。ちなみに、当社のアルバイトは若者がメインなので、奥さんや旦那さんの名前を入れた人は見たことがありません。優秀なアルバイトスタッフの傾向を把握するために、ぜひメールアドレスを見てください。番号をそのままメールに使っている人や自分の名前を入れている人など、おもしろい傾向が見えてくるかもしれません。❼趣味・特技理論本章冒頭で、一般的に面接で見るべきポイントは「人物」と「能力」で、アルバイト面接においては人物評価のみをすればよいと言いました。しかしながら、私の会社では一点だけ加点評価として能力評価をすることがあります。

私の会社では、趣味がダンスの場合やダンス部に所属していた若者は非常に良い仕事をしてくれる傾向があります。体と表情を使っての表現には、イベント会場やキャンペーン会場でのスタッフの動きに通じるものがあるからです。大きな身振りと大きな声でお客様に何かを伝えることは、まさしくダンスと呼べるのです。ボーカリストや演劇経験者も同じ理由で良い傾向があります。また、その活動をどれだけ本気でやってきたかも重要です。毎日3時間は練習していますという人や、野球をやっていて甲子園に出場しましたなど、過去に結果を残している人は大きく加点です。そこに大きな努力が見えるからです。必ずどの業種にも、ぴったりとハマる趣味や特技があるはずです。例えばレジ打ちならピアノやパソコンの経験者の上達が早いなど、意外な組み合わせがあるかもしれません。特技とは少し異なりますが、以前ある経営者がテレビでおもしろい話をしていました。新入社員を食事に連れていって観察するのが魚の食べ方だそうです。優秀なエンジニアは魚を見事なくらいに綺麗に食べるようです。細かな作業が普段から身にしみているのでしょう。魚の食べ方を面接試験にすることは難しいですが、今までのアルバイトの趣味や特技を分析してみてください。そこにあなたの会社の仕事内容に合った傾向が見えてきます。◆質問1「あなたの人生は今までツイていましたか?」これは、アルバイト面接だけでなく社員面接にも非常に有効な質問です。面接の最後、そろそろ終了という雰囲気で打ち解けたところで、何気なく軽い感じで聞きます。「ちょっと聞いていい?今までのあなたの人生、ツイてたと思う?」必ず答えは3つに分かれます。●「ツイていたと思います」こう即答できる人は、非常にポイントが高いです。本当にツイていた人もいるとは思いますが、多かれ少なかれ人生においてツイていないと、肩を落とすことは誰にでもあることです。社会経験の少ない若者でも同じです。親のことや恋愛のこと、様々な悩みを抱えています。しかし、今の自分はツイていると言えることは、その悩みを自分の中で解決し、前向きに進んでいる証拠です。自分はツイていると言えるポジティブさは、仕事においても大きな武器になるものです。●「どちらとも言えません」この手の返答をする人は、おそらく現在、もしくは過去に大きな悩みを抱えていたと思います。しかし、現在進行形でその悩みと葛藤している最中の方が多いようです。

自分の中では完全に消化できていなくとも、前向きに進もうとしている最中なので、加点も減点もしなくて良いと思います。今は温かく見守ってあげることが最善です。●「ツイていなかったと思います」3つの答えの中で一番注意してもらいたいのがこの答えです。この質問に関しては、加点方式で面接をする当社でも大きく減点を加えています。正直に話すと、私はこの答えの若者は採用しません。この質問では責任感を見ています。今の自分をツイていないと思ってしまう心理はどのようなものでしょうか。おそらく、この人は大きな壁に突き当たったことがあるのでしょう。現在進行形で苦しんでいるのかもしれません。どちらにせよ、その現実を今も解決できずに、悩み苦しんでいるのは間違いなさそうです。ここから読み取れるのが、その原因を運のせいにしていることです。起きた事実を運に責任転嫁してしまっていることに大きな問題があるのです。仕事をしていく中で必ず失敗はあります。できる人とできない人の大きな違いは、その失敗という事実を自分の責任として受け入れ、他の誰かや何かのせいにしないことです。確かに、自分ではどうにもならない大きな問題もあるかもしれません。やりきれないほど悲しいことも起こるかもしれません。それでも、他の何かのせいにするのではなく、必ず自責の気持ちで事実を受け入れることが大切です。苦しさや悲しさを乗り越えて人は成長するものです。人は必ず伸びるものなので、このような考えの人も先々は大きく成長するとは思います。しかし、企業活動の中でこのタイプの人を育成するのには時間がかかりすぎてしまうのです。したがって、私はこのタイプの人を採用しないようにしています。◆質問2「今までの仕事での一番の失敗を教えてください」先ほど、優秀なアルバイトスタッフに必要なことは、責任感と素直さだと話しました。特に潜在的な責任感を見極めることは必須事項になります。先ほどの運のせいにしないということの補足になりますが、もう少し責任感を見極める場合は、過去の失敗について聞くことをお勧めします。「今までの仕事での一番の失敗を教えてください」と。経験が豊富なアルバイトであれば、たくさんの失敗を重ねていると思います。あまりアルバイト経験がない人でも1つくらいの失敗はあるものです。アルバイトがはじめてという人の場合は、部活や学校での失敗談でもOKです。重要なのは、その失敗を他の誰かや何かのせいにすることなく、自責の気持ちで事実を受け入れているかということです。先ほどの運と同じようですが、こちらの質問の場合はもう1つ重要なことがあります。その失敗をどのように解決し、乗り越えたかという答えを持っていることが理想的です。成功体験よりも失敗体験の方が圧倒的に重要です。失敗を繰り返し、その度に何を学

び、何を活かすかで人は成長するのです。もし「失敗の経験はありません」と言われた場合は、失敗に気づけていないか、何も活かせていない人ということになります。

面接でのチェック項目

ここで私が面接のときにチェックしている項目をまとめます。参考にしてみてください。来社時間□早すぎるのもNG。遅刻も当然NGですが、事前の連絡やその後の対応次第。□面接会場までの行き方を調べているか。行き方がわからなくて、電話をしてくる場合は、近くまで来ていることが最低条件。挨拶□言葉での挨拶と目での挨拶。特に相手の目を見て挨拶できることが重要。□服装や髪型の身だしなみをはじめ、身振り、姿勢、表情、視線、声のトーンなどノンバーバルコミュニケーション力をチェック(詳しくは後述)。シンプルに第一印象が良いか悪いかを重要視。履歴書□名前が当て字ではないか。当て字で由来を知らない場合は減点。□携帯アドレスをチェック。記載欄がない場合は、記入してもらう。彼氏彼女の名前がアドレスになっていないかをチェック。変わったアドレスの場合は由来を聞いてみる。□履歴書をコピーしていないか。最近はデータの印刷も多いですが、データ印刷の履歴書はOK。□住所を事前チェック。一人暮らしか自宅同居か、団地やアパートか。質問□趣味・特技を見る。唯一の能力評価。当社の場合はダンス、ボーカル、演劇が加点。どのくらい本気でやっていたかを聞く。また受賞歴などの結果も聞く。□好きな音楽。当社の場合はビジュアル系などコアな音楽が加点。右2つの質問は、アイスブレイクの役割もあり。気軽に相手の好きなことを楽しげに話してもらうように心がける。□当て字の名前でなくても名前の由来を聞く。知っていて親の愛情を感じる答えの場合は加点。□親の誕生日に何かしているかを聞く。親の誕生日を書いてもらうのもOK。親への感謝の気持ちを直接聞くのもOK。□親の職業は聞けないので、過去にフォーカスした質問をする。お父さん、お母さんとの思い出や、小さいときによくしていたお手伝いなど。□一人暮らしか実家住まいかを聞く。良い印象の場合の自宅は加点。あわせて兄弟姉妹がいるか。自分の部屋はあったか。□あなたの人生は今までツイていたと思いますか。何気なく軽い感じで質

問。ツイていないと発言した場合のみ減点。私の場合は、よっぽどな場合以外不採用。□責任感を見極める質問。今までで一番の失敗談を聞く。その失敗をどのように解決し、どう次に活かしているかが重要。

面接も差別化を図ること

面接と聞くと企業がアルバイトを選んでいるイメージをお持ちの方もいるかもしれません。しかし、当然のことですが、アルバイトにせよ社員にせよ、企業も相手から選ばれていることは忘れてはいけません。面接の最後に、私の場合は必ずこのことを相手に伝えます。「この面接は僕たちだけが選んでいるわけじゃないですからね。〇〇さんもしっかり考えて、ウチの会社の選ぶかを考えてくれていいんですからね?このおっさんと働きたくないなと思ったら正直に教えてくださいね。傷つくけど、打たれ強いんで大丈夫!もし気持ちが決まっているなら教えて欲しいんですけど、今の気持ちを正直に言うと、うちの会社でまだ働きたい気持ちはありますか?」この質問で頻繁に言ってもらえることがあります。「ここに来る前以上に御社で働きたいと思いました」「こんな面接はじめてです。ぜひ、お願いします」個人的にもうれしくなるこの言葉を言ってもらうために、面接を行っていると言っても過言ではありません。社員面接はもちろんのこと、アルバイト面接でも競合数社と同時進行で面接を行っていることは珍しくありません。その競争に勝つためには、意図的に一般的な会社の面接とは違う雰囲気をつくり、必死に自分自身のアピールと会社のアピールを行っているのです。個人的な魅力も会社の魅力も千差万別なので、そこは各自にお任せしますが、私が意識していることは3つです。1つ目は、可能な限りフランクな面接を意識することです。誤解を恐れずに言うと私の場合はふざけた面接という表現の方が正しいかもしれません。相手の緊張感を解くために、冗談も言うことも多いです。いえ、冗談しか言ってないかもしれません。そのくらい、面接の堅い雰囲気を壊すように心がけてます。次に本音で話すこと。これもキャラクターがあるとは思いますが、面接では意図的に感情をのせて、自分の想いやスタッフの話をします。前述したように、場合によっては身の上話のようになることも珍しくないですが、そんな場合こそ表面的な話ではなく、自分の過去をさらけ出して、本音で話すように心がけています。そのアドバイスが温かいものでも、厳しいものでも、この本音のやり取りで伝わることや感じるものが多いのです。最後の3つ目は、しっかりと自社のアピールタイムをつくることです。一通り説明が終わったタイミングで、あなたにウチの会社を選んでもらいたいのでと一言を必ず添えて、アピールタイムをもらいます。話の流れにのって自社のアピールができれば理想的ですが、面接は生き物なので、どのような流れになるかはわかりません。どんな流れになろう

とも、アピールタイムをつくっておけば、あなたが欲しいと思った人材に熱意を伝えることを忘れることがありません。面接に来ていることだけで、応募者があなたの会社で働きたいという前提で話を進めてしまっている担当者もまだまだ多いかもしれません。この勘違いを社内で共有することで面接のレベルは格段に上がります。ただ正直に話すと、上記の能力は担当者の持つコミュニケーション能力や人間的魅力も大きく影響します。最近では人事部にエースを投入する企業が増えていますが、私も非常に賛成です。能力的にも人間的にも、他者から一緒に働きたいと思わせる人を、面接担当にすることも大切な戦略だということは考えておいてください。

今どきの若者の仕事観

みなさんは、今の若者にどのような感情をもっていますか?「格差社会の中で生きる若者はかわいそうだ」「就職ができない人がたくさんいて悲惨だ」「明るい将来を見出せない若年層は不幸である」同情の声をよく聞きます。しかし、実際の当事者の若者はどう考えているのでしょうか?内閣府の「国民生活に関する世論調査」(2017年度)を見て私は驚きました。2017年の18~29歳の約79・5%は「現在の生活に総じて満足している」と答えており、初版の原稿を執筆した2011年の20代の約73・5%と比べて、満足度は年々上がっているのです。しかも、20代~60代の働く世代の中では一番満足度が高いのです。そして、この数値は1970年からの調査の中で過去最高の満足度に近いものです。30代以降の世代からは20代の若者はかわいそうだと同情されてきましたが、実は当事者である20代の若者たちは満足した生活を送っているのです。消費にもおもしろい傾向があります。車は買わない、ブランド品も興味がない、飲みにいくことも外食もあまりしない。しかし、インターネットや通信費は惜しまない。人と繋がるためにお金は使うが、物欲はない。そもそも、バブル時代を経験したことがなく、もの心がついたときには、日本の景気の良い時代は終わっていた。そのため、就職難や格差についても、不満ではなく当たり前になっている。これが、現代の20代のリアルです。だから上の世代から、草食系は元気がない、欲がないと揶揄されてしまうのですが、実は環境に対応して自然に生きてきただけなのかもしれません。仕事観についても同じようなことが言えます。お金に対する欲が確実に弱くなっています。以前は、例えばなぜアルバイトリーダーをやりたいのかという質問に、「お給料が良いから」と答える人が多かったのですが、今では「人と繋がれるため」「責任がありやりがいを感じるから」「アルバイトではあまり体験できない出張があるから」等、以前ではあまりなかったお金以外の理由がかなり増えてきています。ボランティアについても、思うことがあります。震災以降、私も自分ができる範囲内でボランティアに参加させてもらっているのですが、ボランティアの企画を募集すると、今でも一番集まってくれるのが20代の若者たちです。震災後の20代の若者たちの活躍は、どの世代よりも目立っていたと感じます。お金はなくても、誰かのために動こうという意識が非常に強いのではないでしょうか。人との繋がりを大切にしようとする世代のようにも感じます。また、今の経済はデフレが進み、良い品質の物が安価で買えるようになり、お

金がない若者には意外と住みやすいようです。また、世界にはハーバードに代表されるような幸福度を研究する大学施設が多くあり、日本では慶應大学が有名ですが、それらの研究データによると幸福度を上昇させる大きな要素に「人との繋がり」が挙げられます。SNSを駆使して、上手にまわりとの繋がりを保つことができる若者の幸福感が高いことも納得がいく事実です。誤解がないように言っておきますが、アルバイトスタッフのモチベーションを高めるために、お金は非常に大切です。しかし、若者の価値観の変化を考えると、お金以外のモチベーションの価値は、今後も大きくなると思います。中小企業の我々は、環境づくりで、アルバイトスタッフにとっての付加価値を生み出すことがより重要になるのです。

Chapter4優秀なアルバイトを育てるトレーニング

トレーニングが良い仕事を引き出す

面接が終わると、次はトレーニングです。アルバイトスタッフにはトレーニングのない企業もあるかもしれません。その場合は、簡単なトレーニング(研修)制度を導入した方が良いでしょう。「すぐにでも人が必要だから、早速お店に出てもらいます」と、すぐに現場に立ってもらわなければならない事情も理解はできます。しかし、トレーニングもせずにお客様の前にアルバイトスタッフを立たせるリスクは、冷静に考えると相当なものです。デスクワークなどお客様の前に立たない仕事の場合でも同じです。トラブルやミスの発生率がまったく違います。最低でも、次の内容の共有はしておくのが理想的でしょう。①作業の留意点②作業の目的③作業の重要性④報連相の徹底⑤企業理念、行動指針の説明実は、アルバイト側の立場から考えても、細かくしっかりと教えてほしいという気持ちが強いのです。トレーニングといえば、アルバイトスタッフにしてみれば面倒なものだと考えられがちですが、それは大きな誤解です。当社ではスタッフ評価や現状の把握のためにアンケートをとることが多いのですが、「一番働きにくい現場は?」という質問に対して多かったのが、説明が少なく、何をして良いかわからない現場というものでした。事細かく指示を出し、目的を共有するような少しうるさく感じる現場は、アルバイトスタッフにとっては実は働きやすい現場なのです。また、〝細かい〟というプレッシャーは現場において緊張感を出すためにも大切です。これは、現場だけでなく会社にも当てはまります。アルバイトにとって働きやすい環境は、すでにトレーニングから始まっているのです。1時間でも2時間でも良いので、まずはトレーニングの時間をつくってみてください。特に今まで実施をしていない企業には、大きな変化があると思います。

研修でアルバイトのやる気とスキルをアップする

◆研修時間は小分けにするみなさんの会社の新人研修の時間はどのくらいでしょうか。私のまわりでは、1時間程度という短い会社から、1週間みっちりやるところまで様々でした。アルバイトスタッフに対してじっくり時間をかける傾向は、大きい企業の方が強いようです。予算的に余裕がある場合は、じっくり時間をかけるのは良いと思います。なるべく多くの教育を入れていくことは、人材教育にとって重要です。中小企業のようにあまりアルバイトスタッフの人材教育に予算も時間も使えない場合は、最長2時間の研修をお勧めします。1日かかるような研修内容の場合も、1日あたり2時間程度の内容に小分けにして、日数をかけることをお勧めします。予算も時間もほとんど変わらず実施できるはずです。研修に同じだけ時間を費やすのなら、数回に分けて改めて顔を合わせる回数を重ね、じっくりと接点を増やしていく方が、1日で一気に行う研修より、より人間関係を構築しやすく、結果として効果的な研修となるからです。1日かかる研修プログラムを考えるよりも、数回に分け、1日あたり最長2時間を目安の研修を行うことをお勧めします。研修内容はもちろん大切なのですが、ここで重要視したいのが、アルバイトスタッフとの人間関係の構築です。◆研修は2次面接の場通常、新人研修は新たなアルバイトに業務内容や業務の目的を伝える大切なものです。そこに当社では、もう1つの大切な目的を作っています。研修は「2次面接の場」であるということです。研修の場で、優秀なアルバイトスタッフを選抜しているのです。私の会社ではディレクターと呼ばれるアルバイトリーダーが必要であるため、再度ここで人材のチェックをしているのですが、みなさんの会社においても、より優秀な人材を見極めておくことは、「アルバイトだけでまわるチーム」をつくるための必須事項となります。研修でチームのリーダー候補を再度チェックするのです。繰り返しになりますが、アルバイトスタッフに求めるものは「責任感」と「素直さ」です。研修でこれらを見極めるためにチェックすべきポイントが、話を聞く姿勢です。おそらく、多くの企業での研修内容には、「そんなの知っているよ」とアルバイトが当たり前に思うことも多いはずです。しかし、当たり前のことを伝え、確認するのが重要な

のです。大切なことほど当たり前なことも多いですし、当たり前なことほど大切であることも多々あります。言わずとも知っているような当たり前だけど大切な話を、どのように聞いているかを観察するのです。その話に対して、こちらに目線を合わせて、「目を使ってしっかりと聞く姿勢」がまずは必要。そして、程よく目線をそらすことも重要です。その行為が自然とできている若者は期待できます。この時点で優秀と言いきるのは時期尚早かもしれませんが、この話の聞き方ができる人にこそ、優秀なアルバイトになるための要素である「責任感」と「素直さ」を兼ね備えた性格を期待できるのです。「そんなの知っているよ」と露骨に態度に出てしまっている人は、素直という言葉からかけ離れています。どんな内容でも、話し手が気持ちよく話せるような「聞き方」ができることが重要です。若者の場合は経験から培って意識しているというより、自然とやっていることがほとんどです。特に、面接ではなく、研修という採用が決定した安心感のある場所なのでなおさらです。話が少し反れますが、私の会社の新人社員にはディズニーランドのキャスト出身者がいます。さすが、ディズニー出身と思える優秀な新人です。また、スタッフにも多くのディズニーランドのキャスト出身者がいます。彼らにディズニーランドの教育の話を聞くと、口をそろえて言うのが、伝え方が上手であることです。研修すべてにワクワクするような要素があり、飽きることなく学べるということでした。その方法を聞いてみると、なかなか我々には真似をすることが難しそうです。テキストや映像にミッキーなどのキャラクターが登場し、ディズニーランドの裏側が見られる内容は、聞くものすべての興味を惹きつける魅力があるようです。しかし、我々もなるべく聞く側が飽きないように、話し方や内容を工夫したほうが良いことは言うまでもないでしょう。

アルバイトのコミュニケーション能力を鍛える

私の会社の場合、まず最初に求めるスキルがコミュニケーション能力です。コミュニケーションには「バーバル・コミュニケーション」と「ノンバーバル・コミュニケーション」の2つがあります。アルバイトには飲食店に代表されるようにお客様と接する仕事が多くあるため、アルバイトスタッフには文字や言葉によるバーバル・コミュニケーションのスキルが求められるものと思われがちです。確かに話すスキルも大切ではありますが、実は文字や言葉によらない、ノンバーバル・コミュケーションの方がより重要なのです。ノンバーバル・コミュニケーションにおいて大事なのは2つ、「聞くスキル」と「身だしなみ」です。ではなぜノンバーバル・コミュニケーションを重視すべきなのか。アルバイトという立場である以上、話す機会、伝える機会よりも、指示や説明、注文を聞く機会の方が圧倒的に多いからです。また、私たちのようなイベント会社では、クライアントやお客様、そしてスタッフ、その日に会う人みんなが初対面ということが多いのですが、はじめて会った人とのコミュニケーションで重要なのが第一印象です。会った瞬間に「この人は安心できそうだ」と良い印象を与えた場合と「この人大丈夫かな?」と悪い印象を与えた場合では、その後の仕事に大きな差が出てきます。第一印象の9割はノンバーバル・コミュニケーションで決まると言われており、言葉を使わず無意識にメッセージを発しているので、誤解されてしまうことも多いのが特徴です。また、チーム作りの視点においてもノンバーバル・コミュニケーションは重要です。本人の機嫌は良いのにも関わらず、相手の目を見ず挨拶をすることや、暗い顔をしているだけで、何かあったのかな?怒っているのかな?と勝手な勘違いが起きてしまい、チームの空気が悪くなることもありえます。それが毎日のことだと、その負の空気はボディーブローのように効いてきます。特にリーダーと呼ばれる人たちの影響は大きいものです。リーダーたるもの、常にまわりに良い空気を創り出すことが大きな役割なのです。では、良い空気を作り出すためにはどうすればいいのか。その対処方法は非常に簡単です。意識すればいいだけです。ノンバーバル・コミュニケーションが劣っている場合、それは無意識であることがほとんどなので、その重要性と目的を伝えれば簡単に治ります。時間が経てば必ず意識することを忘れてしまうことが多いので、管理する側がコミュニケーションをとりつつ、チェックを続ける必要があるでしょう。通常の会話の中で常に意識するようにさせ、忘れているなと思った時に軽く注意してあげる。この程度で十分な効果を発揮します。注意する側の根気が大切です。

また、その違いを体感してもらうことも効果的です。当社の場合、研修やセミナーなどがあるときに、自己紹介をする機会があります。その自己紹介の半分の時間を、聞く側にはあえて横柄な態度で聞いてもらうのです。その後、今度は聞く態度を精一杯に意識して聞いてもらいます。両方とも事実は聞いているにも関わらず、話す側が感じる大きなギャップを感じてもらうことで、ノンバーバル・コミュニケーションの重要性を理解してもらうのです。次に「聞くスキル」のチェック項目を記しておきますので、役立ててください。当社における具体的な「聞くスキル」のチェック内容□相手の目をしっかり見ているか□話の内容に合わせて表情をつくっているか□程よく(10秒に1回程度)目線をずらしているか□程よく相づちをしているか。毎回の相づちは逆効果□声と頭の両方を使って相づちができているか□メモをとっているか□復唱しているか。相手の認識とのズレを確認□自分に求められていることとその他不明な点を質問できているか以上、「聞くスキル」のすべてのチェック項目は、実際のミスを事前に防ぐことと同時に、相手に安心感を与える目的があることを忘れてはいけません。

◆教える立場から学ばせる

研修の内容次第では、アルバイトスタッフが講師を務めることもお勧めします。2次面接としての役割をしている新人研修では難しいですが、作業内容を教えるような研修では大きな効果を発揮します。ディズニーランドやスターバックスでも、アルバイトスタッフが講師となって新人研修を行なっているのをご存知ですか?どこが始めたのかはわかりませんが、実は意外と多くの企業が実施している手法です。これも会社の大きさは関係なく、有効な手法になります。やはり仕事を一番知っているスタッフが教えることで、現場の状況を加味した細かい内容になります。教え方は下手かもしれません。しかし、研修を繰り返すうちに必ず教えることもうまくなります。そして気がつくと、その仕事のエキスパートに育っていることをお約束します。何度も言いますが、アウトプットすることで人は成長するのです。また、教育を通して相手が成長していくことに、間違いなくやりがいを感じます。教える側には、これも大きな成長のきっかけとなるのです。また、良好な人間関係も生まれます。一番のコミュニケーションになるからです。ただし、はじめは上手な教え方を伝えてあげなければなりません。ここは任せきりにす

ることなく、教える姿をチェックすることも大切です。教えるときに意識することは一点です。「できるだけ丁寧に教える」ことです。それだけで大丈夫なのかと言われてしまうかもしれませんね。もちろん他にも意識したほうが良いことはあります。しかし、伝えることは可能な限りシンプルにするのを心がけてください。どんなに良いことも、相手に使いこなせなければ意味がありません。そのためにも、アルバイト教育では、なるべく一番伝えたいことを一点にしぼって伝えるようにする方が効果的です。あれもこれもというよりも、ここだけは覚えてほしいということで良いのです。話を戻しますが、人に教える際には、教える姿を実際に見せてあげるのが良いでしょう。丁寧さの度合いも人によって認識が違うからです。お互いの認識のズレを修正することを意識してあげてください。

仕事への「想い」を語ること

みなさんの会社の研修では、「想い」について語っていますか?みなさんの会社の社員が、「想い」について語ればアルバイトスタッフからも会社に対する愛情が生まれます。社員が不満を語れば、アルバイトスタッフからも不満が出てきます。当然のことです。だから、研修の場でも必ず「想い」について語ることが重要です。具体的には、企業理念が「想い」としてふさわしいでしょう。もし企業理念がなければつくることをお勧めしますが、社長の「想い」でも良いですし、社員の「想い」でも構いません。ディズニーランドのアルバイトマニュアルでも、一番はじめのページに「私たちが目指すもの」として理念が記載されています。ディズニーランドのような大企業も我々みたいな中小企業も、理念の重要性についての違いはありません。「グッドウェーブ(私の会社)のスタッフとして、しっかりやります」「グッドウェーブのスタッフとして、負けないように頑張ってきます!」こんなうれしい言葉が聞けるようになったのは、アルバイトスタッフにも理念を浸透させてみようとチャレンジし始めてからのことです。理念を共有することで愛社精神が生まれるのです。企業理念を浸透させる、十分な時間も予算もありませんでしたが、可能な限りやってみようと試みてみたところ、アルバイトの風土に明らかに変化が見られるようになったのです。いつかは辞めていくであろうアルバイトスタッフにまで企業理念を浸透させる必要はないと思われるかもしれませんが、会社の隅々にまで企業理念が広まっていることが理想的な状態であると私は思っています。価値観を共有することができるのも、「想い」を伝えることを勧める理由の1つです。私もフリーターだったときに、愛社精神を持つことができる会社と、持てない会社がありました。その違いは作業内容や業種だけではありません。自分の好きな社員や、自分のお世話になっている社員から、会社の「想い」である理念や、その社員の仕事への「想い」を聞いていたことが、愛社精神に非常に大きく左右していたのです。人は人の「想い」を大切にします。年齢や立場は関係ありません。その「想い」を共有することで、人の「想い」を大切にする風土が生まれるのです。人の「想い」は、なかなか軽視できないものです。当然、批判や不満も少なくなります。可能な限り、というのが時間も予算もない中小企業での実施のコツにはなりますが、やるのとやらないのとでは大きな差となることを覚えておいてください。もう1つ大切なのが「行動指針」です。私の会社にいる元ディズニーランドのキャストの社員やスタッフも、この行動指針の大切さを語っていました。このように、辞めたアルバイトも語れるほどの明確な行動指針を浸透させていることが、ディズニーランドの教育の強みの1つです。

3・11の震災のときの、ディズニーランドの映像を観た方も多いのではないでしょうか。キャストが混乱せずに的確にお客様を誘導していたのが印象的です。ディズニーランドの行動指針の中で最優先とされている「安全性」に則って行動していたのです。我々のような企業でも、行動指針をつくる大切さに変わりはありません。これが浸透していれば、いかなるときも社員もアルバイトスタッフも同じ方向に向かって行動できるからです。そのために、あなたの会社の考える大切なことの優先順位をはっきりさせておくのです。社員やアルバイトスタッフに何を意識して行動してほしいのかを考え、優先順位をつけるのです。そして理念と一緒に可能な限りアウトプットしてみてください。まずは研修でその時間をつくることから始めましょう。

アルバイトのための目標のつくり方

これは研修のときにできる作業ではないのですが、理念や行動指針に関係することなので、ここで書かせていただきます。どんなに理念や行動指針が素晴らしくても、理解してもらえなければアルバイトスタッフの行動は変わりません。そのため、理念や行動指針に結びついたアルバイトスタッフのための目標づくりは有効です。具体的には、まず彼らの働く目的を明らかにします。目的と目標の違いはご存知でしょうか。意外と目的と目標を混同してしまっている方が多いかもしれません。○目的:最終的に到達したい地点。何のためか○目標:目的に向かうための具体的な状態目的は、「何のため」に置き換えることができます。あなたの働く目的は何ですか?この問いに対して、「家族を守るため」「お客様の笑顔のため」「世の中を良くするため」「生活のため」等、様々な答えがあり、どれも納得できます。もちろん目的意識が高いに越したことはありませんが、はじめから意識の高い答えをもつ若いアルバイトスタッフはめったにいません。彼らの目的は、おおまかに2つに分かれます。①やりたいこと、なりたいことがあるため(留学、学校に通う、役者になる、etc)②お金、生活のためこれらはまったく異なっていますが、こちらが伝えるべきことは1つです。目的のため、今どうすべきかということです。目的が何であろうと、今やるべきことに変わりはないのです。彼らがアルバイトで一生懸命に働くことに損はありません。役者になりたいのであれば、このアルバイトでお客さまに笑顔や感動を与えることができた方が良いですし、たとえお金のためでも、たくさんお金を稼ぎたいなら一生懸命に働いて、今学べることは吸収した方が彼らにとって得なのです。どんな答えが返ってこようが、すべて答えは一緒です。すべてが彼らのためになるということは事実だからです。非常に重要なことが別にあります。彼ら各々の目的を理解した上で、各々に目標の設定をしてあげることです。答えは一緒でも、彼らの目的について織り交ぜながら話すことで、理解度や納得度が大きく変わります。深く自分を理解してくれている人から、目標設定される場合と、自分の働く目的すら知らない人に目標設定をされるのとではどれだけ違うでしょうか?

彼らの目的を理解した上で、会社の目的である理念や行動指針に結びつけて話をするのです。そこで具体的な目標を設定してあげることで、やってやろうという気になるものなのです。具体的な目標を設定する際に、必ずスモールステップを意識してください。例えば、接客時の笑顔。まずは「1日笑顔を絶やさないで仕事してみよう!」と目標を設定します。当たり前の約束事を目標とするのです。そこで同意をしてもらうことが、最低限の約束事に変わり、その小さな一歩がアルバイトスタッフの自信に変わるのです。また、掲げる目的を見誤らないように注意しなければなりません。そのための良い方法があります。「なぜ問答」と私が呼んでいる方法です。例えば、お金のために働いていると言うアルバイトがいます。そこで「なぜ?」と繰り返し聞くのです。「なぜ、お金が欲しいの?」「お金をためて、起業したいからです」「なぜ、起業したいの?」「○○を通してたくさんの人たちに、笑顔を届けたいからです」となると、目的はお金ではなく人のためであることに気づくのです。「なぜ留学するの?」「なぜ歌手になりたいの?」なぜ問答で見えてくるものも多いのです。アルバイトの意外な志が見つかるかもしれません。その志が高ければ応援したくなるかもしれませんね。ぜひ彼らの働く目的を聞いてみてください。

「褒める」ワーク

私の会社では新人研修の最後に、その日一緒に研修を受けた仲間を「褒める」というワークを行っています。これは相手を喜ばせることで、自分自身が味わえる喜びを実感してもらうためのワークです。お客様に喜んでもらうことで自分も幸せな気持ちになることを実感してもらうのが狙いですが、相手のどこを褒めるかによって優秀なアルバイトスタッフとしての資質を見ることができます。資質は次の3つのタイプに分かれます。❶ビジュアルを褒めるタイプこのタイプが駄目なアルバイトスタッフだというわけではありません。しかし、ビジュアルはその場で判断でき、誰でも簡単に褒めることができます。相手(お客様)に対する情報アンテナが強くないタイプとも言えます。❷言動にフォーカスして褒めるタイプ「研修の際に発表されていた◯◯さんの▲▲に関するお話がとても誠実に感じました」「ジェスチャーや表情が豊かで、説明がわかりやすかったです」等、研修の間で得た情報や言動にフォーカスして褒めるタイプです。このタイプは、パッと見てわかるビジュアルよりもう一歩深いレベルで、相手の「発言」や「行動」を記憶にとどめています。まわりの環境に対してアンテナを張ることができるタイプです。仕事でもよく気づいて行動できるタイプの可能性があり、加点対象となります。❸褒める+感謝の気持ちを伝えるタイプ褒めるだけではなく、相手に感謝の気持ちも伝えるというタイプもいます。「◯◯さんはとても優しい方でした。面接前にお話をしてくれたおかげで緊張がほぐれました。ありがとうございます」「◯◯さんとご一緒できて楽しかったです。たくさん笑わせてもらいました。ありがとうございます」等です。このタイプは、人に感謝の気持ちをもつことができる「人柄」と、感謝の気持ちを伝えることができる「素直さ」を持っています。また、研修終了時までの間で既に他人と関わ

っているというコミュニケーション能力を持ち合わせているという面でも加点対象です。このタイプは人と接する上で大切なことは何かを知っていて、優秀なアルバイトとしての資質があります。この「褒める」ワークでもう1つ注目してほしいポイントがあります。褒めている側の表情です。褒めている本人の表情が笑顔であればあるほど良いのですが、「褒める」という行為にもかかわらず表情が乏しい、笑顔がない人がまれにいます。うれしい気持ちや気恥ずかしい気持ち、どちらであっても褒めることで出てくる表情は笑顔です。ここで笑顔が出てこない人はコミュニケーションがうまくないタイプである可能性が高いのです。面接では緊張で笑顔が出ないことも考えられます。しかし、研修最後のこの場面で笑顔がないパターンは、コミュニケーション能力を必要とする仕事で活躍することは難しいのかもしれません。再度じっくりと話してみた方が良いと思います。

名刺・秘密・責任を与える

私が新人のアルバイトスタッフに研修を実施していたときに使っていたテクニックです。◆名刺を与える面接から目をつけていて、研修においても「聞くスキル」が非常に高いアルバイトを必ず最後に残します。理由としては「少し話したいことがあるので残ってください」程度で十分。その他の全員が帰ってから切り出します。そのアルバイトスタッフへの率直な評価、ここでは褒めることになりますが、素直に評価を伝えた上で自分の名刺を差し出すのです。なぜ名刺?と思われるかもしれませんね。20代を真面目に社会で働いてきた方には理解しにくいかもしれませんが、アルバイトスタッフにとって名刺をもらうことはうれしいことなのです。これは学生でもフリーターでも一緒です。思い出してみてください。学生時代に社会人に名刺をもらったとき、少し大人になれた気がして、うれしくなったことはありませんでしたか?フリーターも同じで、社会から少し距離感を感じてしまっているフリーターには、名刺をもらうということが、社会人として認めてもらったような気がしてうれしいのです。私もフリーターだったときにもらった名刺を今でも大切に保管しているくらいです。名刺を渡す瞬間に彼らを一社会人として扱おうという気持ちになってもらえれば、より効果的だと思います。◆秘密を与えるそして、次に与えるのが秘密です。ここで与える秘密は「えこひいき」になるものです。お金でも条件でも、何でも構いません。他の人には秘密にしておくべき内容であれば、何でも良いのです。私の場合は、この場面でのお金や条件でのえこひいきはマイナスに働くこともあると思っているので、「期待」というえこひいきを使っていました。「君には期待してもいいかな?普通はディレクターになるまで半年くらいかかるんだけど、頑張ってくれれば、すぐにでもディレクターをしてもらうつもりでいます。そのつもりで頑張ってもらっても良いかな。一応、他の人の目もあるから、このことは内緒にしておいてね」

自分がアルバイトスタッフの立場であれば、「軽い気持ちで働いてきたけど、ちょっと本気でやってみようかな」という気持ちになりませんか?言葉は悪いかもしれませんが、ここでも彼らを試しています。優秀なアルバイトの選別はここでも続いているということを忘れないでください。この期待に乗ってくるかどうかをしっかり見極めてほしいのです。期待を負担と思う人に責任感を求めることはやめたほうが良いでしょう。逆にその期待に乗ってくるアルバイトスタッフであれば見込みは大です。◆責任を与えるここで最後に与えるのが「責任」になります。「成長に必要なものは責任である。あらゆるものがそこから始まる」これは、経営学者ピーター・ドラッカーの言葉です。私もアルバイト教育を経験してきたため、深く共感できる言葉です。責任を与えなければ人の成長は100%ありえないのです。言い換えると、成長をしたから責任を与えるのではなく、責任を与えるから成長するのです。ここまで面接、研修と、優秀なアルバイトになる可能性を見極めてきました。相手はアルバイト。責任ある仕事を与えることに心配はあります。アルバイトに仕事を任せて大丈夫だろうか?彼らを信用できるのだろうか?色々な心配が出てくると思います。それでも責任を与えなくては人は成長しません。そこでまず必要なのが、責任を与えるのではなく、今ある責任に気づかせることです。今、あなたの会社におけるアルバイトスタッフの役割をしっかり分析してみてください。意外と重要なポジションを任せていることが多いのではないでしょうか。前述したように、店舗運営であればお客様と直接やりとりしているアルバイトスタッフ。彼らがお客様に価値を提供できずに不快な思いをさせてしまったのであれば、お客様は二度と来てくれません。私たちの仕事で言えば、新商品のプロモーションイベントでアルバイトが発した一言のせいで、二度とそのお客様にその企業の商品を買っていただけなくなるかもしれません。そのためにクライアントからの仕事がなくなり、何千万、何億もの損失になる可能性も大いにあります。実際に当社の場合は一億円の損失が出たこともあります。工場作業で言えば、そのミスのせいでラインが止まってしまい、大きな損失になってしまうこともあるのです。そして何より、お金では取り返せない、たくさんの人の想いを裏切ってしまうことになるかもしれないのです。この責任に気づかせることで、大きな責任を与えることになるのです。当たり前だと思って伝えないことと、当たり前のこととして毎日のように伝えること。どちらが責任に対して深く感じてもらえるかを考えれば、やることは見えてくるでしょ

う。今あるアルバイトスタッフが負う責任をしっかり伝え続けてください。地味な作業ですが、非常に重要な作業になります。私の場合は必ずしている価値の話があります。当社のプロモーション事業部では無料のサンプルを扱うことも多いのですが、このサンプルは無料ということから昔は軽く扱われてしまうことがありました。軽い気持ちで持って帰ってしまおう、軽い気持ちで適当に配ってしまおう、そんなことを防ぐために気づかなくてはいけないのが、2つの価値になります。サンプルの金銭的価値は売り物ではないので、確かに0円かもしれません。ただし、サンプルには想いという大きな価値があるのです。商品を開発した人の想い、制作した人の想い、販売している人の想い、そこに値段があろうが無かろうが、必ずその仕事に携わっている沢山の想いという価値があるということです。そして、その人たちの後ろには応援している家族や友人がいるのです。その沢山の想いをお客様に届けるのが私たちの仕事であると考えると、仕事の責任の重さに気付けるのではないでしょうか。そして、さらに大きな責任を預けてみてください。今までは社員にしかさせていなかった作業をあえて、アルバイトスタッフに任せるのです。任せてみなければできるようにならないからです。まずはマニュアル作成でも良いかもしれません。お金の管理をさせてみるのも良いかもしれません。アルバイトリーダーとして、アルバイト管理を任せるのも良いかもしれません。採用の面接を担当させるのも良いかもしれません。某会社では、アルバイトを採用するための面接にアルバイトを面接官として参加させています。この方法を知ったときには本当に驚いたのと同時に、非常に感心したのを覚えています。彼らの意見が新人アルバイトの合否を左右することになり、大きな責任を感じるのです。この会社は、年間を通して様々なおもしろいプロモーションを仕掛けている会社ですが、現場の視点を大事にしたプロモーションが、この不景気に右肩上がりで業績を上げている理由なのかもしれません。また当社では、POP研究会という研修を定期的に実施しています。アルバイトを集めて、店頭販促に使うPOP(店頭で商品アピールに使用する小さなポスターのようなもの)を手書きで作成させます。手書きで温もりのあるPOPが作成できることも大きいのですが、何より自分たちの作成したPOPが店舗に掲示されるので、アルバイトにとっても大きなモチベーションアップに繋がります。会社に対するロイヤリティー(忠誠心)も高くなり、彼らは働くことに対して本気になるのです。

最初から優秀すぎるアルバイトは、80%の確率ですぐ辞める

OJT(オンザジョブトレーニング)を採用している会社は多いことでしょう。実際の現場でトレーニングをすることですが、この現場で注意が必要なことがあります。我々のデータによると、この研修の場で優秀すぎる評価を出すアルバイトには注意が必要だということです。かなりの高確率ですぐ辞めていきます。80%というところでしょうか。おそらく〝優秀すぎる〟というのが問題になっているのではないかと私は思っています。もちろん、ここで言う優秀というのは学力という意味ではありません。作業、サービス、立ち居振る舞い、すべての点で優秀だという意味です。優秀なアルバイトスタッフ、特にこの場合は学生スタッフであるパターンがほとんどです。彼らは優秀なだけあり、はじめての仕事もそつなくこなします。仕事の大切さや責任を感じなくても仕事をうまくこなしてしまいます。そのため、アルバイトスタッフの業務に物足りなさを感じ、さらに指導する若い社員を彼らが下に見てしまう傾向があるようです。そのため、会社に対する忠誠心が生まれないのではないでしょうか。成長する余白を残したまだまだ未完成な人を採用した方がいいのではないかということです。優秀すぎるアルバイトスタッフには少し気をつけましょう。また、OJTでは、アルバイトスタッフのユニフォームの片づけ方をチェックしてください。教わることもなくユニフォームをキレイにたたんで片づけるアルバイトスタッフは有望です。人から借りたものを大切に扱う気質がはじめから身についていると言えます。教われば誰にでもできることですが、はじめからできる人は無意識にどんな場面でも物を大切に扱える傾向があるのです。ここも親のしつけに影響されていることだと思います。

Chapter5アルバイトだけでもまわるマネジメント

アルバイト・マネジメントとは

基本的に仕事はすべてアルバイトスタッフに任せてしまおうというのが本書のテーマです。しかし、これは放任するということとは異なります。アルバイトスタッフに責任を与えますが、それは責任を預けることであり、あくまでも責任の所在は社員のみなさんにあります。アルバイトスタッフに責任をもって仕事をしてもらうには、しっかりとした管理(マネジメント)が必要になります。では、そもそも「管理」とは何でしょうか?辞書には、ある規準などから外れないよう、全体を統制することと書かれています。「ある規準」とは、会社のルールや理念、行動指針になると思います。しかし、もう1つ意味があることを教えてくれた方がいます。「管理」を漢字の意味から考えてみましょう。「管」+「理」に分解して、読み方を変えます。「くだ」+「ことわり」となります。「ことわり」には、たくさんの意味がありますが、ここでは「もっともであるさま」という意味で考えると、管理とは「もっともであるさま」に「くだ」を通すことになります。ここでの「もっともであるさま」とは、会社のルールや理念とも考えられますが、私は違う意味でとらえています。接する相手にとって「もっともであるさま」、言い換えると「相手のなりたい姿」だということです。もっと簡潔に言うと、相手のなりたい姿である「目標」に到達するためのサポートが、管理のもう1つの意味なのです。管理という言葉は、少し窮屈でネガティブな意味でとらえられてしまうことがあります。しかし、相手のなりたい姿や目標に近づくようにお手伝いすることだと考えると、相手も自分も大きく印象が違い、ポジティブなイメージに変わります。管理とは、相手をサポートすることなのです。まず、みなさんが直接アルバイトスタッフを管理するのか、それともアルバイトスタッフを管理する社員を管理するのかを考えます。これは組織の大きさに左右されると思いますが、管理のポイントは変わりません。「アルバイトだけでまわるチーム」をつくるためには、アルバイトスタッフを上手に管理することが必要です。そして、そのことと一緒にスタッフが働きやすい環境をつくるのです。具体的に管理する内容は大きく2つです。1つは「作業内容」、もう1つは「働く環境」です。◆「作業内容」をマネジメントする詳細なマニュアルを作成し、それをもとにチェックリストを作成し、管理します。管理する内容をチェックリストにすることで、管理をマニュアル化することが大事です。しかし、管理している側がチェックを忘れてしまうこともよくあります。これでは、

せっかく作成したマニュアルが無駄になってしまいます。マニュアル作成とセットで、必ずそのマニュアルをチェックする仕組みと担当者が必要なのです。そして、一番重要なのが、その担当者のチェックを、さらにチェックする仕組みを作ることです。おそらく、ここには社員であるみなさんが担当することになると思います。具体的には、アルバイトスタッフがマニュアルを実践し、アルバイトリーダーがチェックを行い、みなさんがチェックの管理を行うのです。ここでアルバイトリーダーが行うチェックリストには、細かくチェック項目を設ける必要がありますが、その上のチェックに関しては、チェックを実施しているかどうかの確認程度の内容で十分です。しっかりとしたチェック内容をマニュアル化することが大前提ですが、あとはチェックがされているかの確認をすればいいだけなのです。大手企業の強みは、このようなチェック機能がしっかり仕組み化されていることです。中小企業では、人手不足を理由に、せっかくつくった仕組みをチェックしていないことが多いもの。しかし、このチェックこそが管理のポイントになります。簡単にで良いので、定期的かつ長期的に運用できる仕組みを考えてみてください。一番のお勧めは、今、自分が管理しなくてはいけない内容を、箇条書きでチェックリスト化して、定期的に確認することです。ただし、サービス力や商品力に関わることについては話は別です。みなさんのサービスの根幹になることは、非常に詳細なチェックが必要になります。ここは、こちらの求めるレベルと、相手の求められているレベルをしっかりと現場ですり合わせて、現場のチェックも、社員のチェックも詳細な内容にする仕組みが必要です。管理に関しては、簡素化と詳細化のメリハリが重要です。人の足りない中小・ベンチャー企業では、マニュアルで効率化できることを最大限増やし、非常に重要な根幹の部分については、詳細なチェックを行わなくてはなりません。◆「働く環境」をマネジメントするアルバイトスタッフが働きやすい環境をつくるには、本書で書かれているようなことが実行されているかどうかのチェックが必要です。ここで有効なのが会議です。環境づくりに関する項目をチェックリスト化するのは良いのですが、実際にチェックするのは、毎日の業務に追われているため難しいと思います。そこで、各担当者が環境づくりに関する内容で、同じ方向性と考えを持ってアルバイトスタッフたちと接しているかをチェックすることを会議で行うのが効果的です。会議では、チェックというよりも、価値観の共有と言ったほうがふさわしいかもしれません。ここでチェックリストを用いて各項目を確認するなどして、企業理念に沿った行動がとれているかを確認します。私の会社では「サービス力会議」という名前で、月に一度実施をしています。何か人材のことで問題があった場合は、その都度、最優先で会議を実施します。最近もスタッフからの報告で問題が出てきたので、すぐに会議を開き、各担当だけでなく、社内全体で解決方法や考え方を共有しました。人に関することは非常にデリケートで

答えのないことです。だからこそ、会社としての考え方を共有して、同じ答えを出せる思考を育てることが大切なのです。アルバイトスタッフが働きやすい環境をつくるための管理は、細かな気遣いの積み重ねであり、その一つ一つの作業以上に、根幹となる思考の方が重要なのです。作業内容に関する管理では、実際に作業をチェックして、環境に関する管理では、思考をチェックすることになるのです。また、アルバイトにも会議に参加してもらうことも大切です。当社が運営している店舗では、アルバイトスタッフにも可能な限り会議に参加することをお願いしています。会議に参加してもらうことで、自分の意見が会社の方針や方向性に影響することを実感してもらいつつ、積極的に意見をする大切さを学んでもらいます。また、ルールを決めるときなどは、作成段階で参加をしてもらうことで、「会社から言われたからやらなきゃいけないルール」ではなく、「自らが決めたルール」になることで、浸透に雲泥の差が出てきます。私の場合は、すでに自分の中でも答えがあるものも、どんどんアルバイトも参加する会議に回答を求めるようにしています。時に現場目線に偏り過ぎた決定になりそうな場合も当然あります。その場合は、会社の事情や理由を話せばいいだけのことです。そしてなにより、やはり現場の最前線で働く彼らの意見は、我々が見落としがちなことに気付けることも多いのです。トップダウンのマネジメントをしている人には、かなり面倒でしょう。しかし、これが習慣化されるとアルバイトだからという感覚は減り、自らが店舗や会社をつくっているというやりがいに変わります。彼らから積極的に問題や課題が提案されるようになることで、あなたの仕事も楽になるのです。

アルバイトの面談

もう一つ大事な仕組みがあります。社員面談を行う会社は多いでしょうが、アルバイトにも定期的な面談を行うことお勧めします。その方法はあなた自身が実施をしても、直属の上司となる社員が実施をするのでも構いません。まずは、面談を仕組み化することが大切です。面談には2つの目的があります。会社の問題点を探る「会社のための面談」とモチベーションを高める「相手のための面談」です。私の質問は相手が社員の場合もアルバイトの場合も非常にシンプルです。「今働いている上で、困っていること、悩んでいること、こうなったらいいのになってことはありますか?」というものです。仕事上のアルバイトの困りごとの多くは、会社にとっても問題になる予備群であることや、すでに問題であることも少なくはありません。もちろん人間関係についての悩みもよく聞きます。いずれの問題も大切なのは聞いたことは即解決することです。相手に誤解や間違った考えがある場合は説明をして、気が付かず迷惑をかけていることであれば、謝罪をするというアクションを起こすことです。問題を放置することは絶対にしてはいけません。問題を放置すると、この上司は言っても無駄だと思われ、本音を話してくれなくなることでしょう。また、せっかく勇気を出して問題提起をしたことに対しての、頭ごなしの押しつけは最悪です。その後は絶対に本音を引き出せなくなるのです。精神的安全性というのですが、必ず「この人には本音で話をしても安全」という関係を構築しなくてはいけないのです。私の場合は、「チャンスカード」と呼んでいるのですが、相手の悩みや困りごとが出てきたときが、自分の腕の見せ所です。上司として可能な限り素早い対応をすることで、頼れる上司、頼れる社員をアピールしてください。当然ですが、これを繰り返していくと、アルバイトと面談者の関係は深くなり、信頼関係が育ちます。この信頼関係のある上司との面談は、アルバイトのモチベーションを大きく上げる結果になるのです。

シフト管理がうまくいかない

アルバイトスタッフを管理する上で、シフト管理は外せない重要事項です。システムがしっかり構築されている会社は良いですが、中小・ベンチャー企業では、まだまだ上手にアルバイトのシフト管理ができていないと悩んでいるところも多いようです。シフトに関してよく聞く悩みは大きく分けて次の3つです。①具体的なシフト管理の方法を知らない②繁忙期や曜日によるシフトの偏りがある③急なキャンセルによる欠勤この問題を踏まえて、私の会社のやり方を説明します。当社の場合は、少ない社員数で常時200人から300人くらいのアルバイトを管理しているので、アルバイトが少ない会社も多い会社も、どちらにも応用できる方法だと思います。◆シフトの提出方法まず、シフトの提出方法ですが、紙またはメールで必ず記述が残る方法で提出してもらいます。あとで言ったとか言わないという問題をなくすためです。提出期限もきっちり決めます。翌月のシフトは、当月の20日が提出期限です。この期限までに、確実に仕事ができる日程を提出します。後日に勤務する日程を追加することはOKですが、いったん提出した日程のキャンセルは絶対にNGです。そのため、ここでは慎重にシフトを提出してもらうことになります。これが重要で、プロ意識がまだできていない彼らに、「何かあったら休めばいい」という感覚をなくさせるのです。慎重になることで、仕事の重要性を感じてもらうのです。早めに提出することにも意味があります。スケジュールの確保です。彼らがスケジュールを決める際に天秤にかける内容は、「プライベートの用事」「別のアルバイト」「学校の用事」などが多いです。いずれにしても、自分たちの仕事を優先してもらいたいのが本音ですが、彼らには関係ありません。ですから、シフトを先に提出してもらうことで、スケジュールを確保するのです。いったんここでスケジュールを提出してもらい、現状の仕事量と照らし合わせるとで、アルバイトスタッフの人数の過不足がわかります。これで、月単位のシフトの目安ができるので、足らないところには、こちらから積極的にシフト交渉をしていけば良いのです。また、週単位でシフトを提出させたり、提出のタイミングを彼らに任せている会社もあります。アルバイトスタッフが気軽にシフトを提出できて、自分たちのスケジュールを優

先できるという環境づくりは、彼らが働きやすいという意味では良い方法だと思います。しかし、私の会社のように毎日決められた日までに提出というようにルールをつける方がいいでしょう。当社も追加のシフト提出は受けていますが、追加の場合、アルバイトスタッフがたくさんいて不要な日程は断りやすくなるからです。「追加の提出はいいけど、先にシフトを出している人を優先するから、人員が足りている場合はシフトには入れないかもしれないからね」と話しておくことで、スケジュールの確保をしつつ、自由にシフトの提出ができるアルバイトスタッフにとって働きやすい環境づくりができるのです。◆シフトの偏りをなくすここで重要なのが、アルバイトのシフトに関するこちら側の考え方です。せっかく提出してくれているシフトを、ぎりぎりまで引っ張り、最後に「やっぱり来なくていい」と伝えられたらどのように感じるでしょう。みなさんも、以前から決められていたアポイントを、ぎりぎりのタイミングでキャンセルされたら良い気分はしないはずです。人の時間を何だと思っているのかと不快に感じるのが普通です。でも、なぜかアルバイトの時間に関しては軽視する人が多いのです。そうならないためにも、早いタイミングで断ること、断る際にはしっかりと謝ること、この2つを徹底することが非常に重要です。具体的には、当社の場合は週確認というやり方で、毎週月曜日に翌週のシフトの確認をとります。言い換えると、1週間前まではシフトの確定の猶予をもらい、休みと伝えることもあると理解してもらっているのです。1週間前に休みとなることもあると事前に伝えていることで、アルバイトスタッフの不満は大きく解消できるのです。どの業界も、仕事の忙しさには波があることでしょう。また、繁忙期も様々だと思いますが、みなさんの会社に合ったシフトの提出方法をつくることは可能です。シフトのバラつきを抑えるためには、シフトの多いアルバイトスタッフにシフトを減らしてもらうことも管理として大切なことです。かわいそうだからといって、仕事をつくるほど余裕はありません。必要なときにだけ来てもらうためには、日頃から断れる環境もつくっておかなくてはいけないのです。◆繁忙期にシフトを増やしてもらうにはアルバイトスタッフにシフトを増やしてもらう方法ですが、ここは地道に仕事の楽しさを伝えていくことが一番の近道です。前述したように、シフトと天秤になるプライベートや別のアルバイトなどと比べて、仕事にやりがいを感じ始めてくれれば、必ずシフトは増えていきます。特にフリーターの場合は、やる気と比例してシフトが増える傾向が顕著です。学生の場合も、授業以外はすべてアルバイトに時間をあてているというのも珍しくはありません。要は、仕事に気持ちの

ベクトルが向けば、当たり前のように働きたいという感情が湧いてくるのです。そのためにも、アルバイトが働きやすい環境づくりが大切です。それでも、忙しいときに人手不足になることがあります。そういう場合、アルバイトスタッフに「シフトを増やしてほしい」ときちんとお願いをすることが大切です。私も自分でスタッフ管理をしていたときは、何度も頭を下げてお願いをしたのを覚えています。彼らに頭を下げることに抵抗感がある人もいるかもしれませんが、そんな考えは改めてください。こういうときにこそ、アルバイトスタッフへの感謝も生まれますし、人間関係も前進するのです。私の無理なお願いに幾度となく、たくさんのアルバイトスタッフが対応してくれました。プライベートな用事はもちろん、学校の授業、別のアルバイト等、他の用事を変更してまで対応してくれたことも数えきれません。学業優先でなくてはいけないこともわかっていますし、彼らの他のアルバイト先に迷惑をかけているかもしれないので非常に胸が痛むのですが、それ以上に、そこまで無理をしてくれる彼らに対して、強い感謝の気持ちが生まれるのです。普段からの人間関係の構築が重要だと実感する瞬間です。普段からのアルバイトスタッフに対する行いが、自分の困ったときに表れることになります。◆急なキャンセル、無責任な欠勤の防ぎ方もう1つみなさんを悩ませるのが、アルバイトの急なキャンセルでしょう。私の会社では、「いかなる理由でもスケジュールのキャンセルは認めません。病気になっても、現場に行ってもらいます。万が一、キャンセルが起きたときは、罰金をとります」と言ってあります。これは入ったばかりの新人研修のときから言い続けています。なぜなら、厳しいルールを敷くことが重要だからです。「社員ではなくアルバイトだから簡単に休める」という雰囲気を断ち切るためです。「このことが理解できなければ、ウチでは働けません」と、入社時に説明をします。ここで気軽な気持ちのアルバイトをふるいにかけていて、研修後に辞退を申し出てきたり、スケジュールを出さない人が出てきたりします。それでいいのです。厳しいルールを敷くことで気軽に休めない空気、甘えられない環境をつくるのです。でも実際は、罰金をとったこともありませんし、病欠でアルバイトが休むこともあります。どうしても行きたい企業の就職試験が入ってくることもあります。そのような相談がなくなるはずがありません。それでも、厳しいルールを敷いてあるので、こちらが首を傾げてしまうほどのおかしな理由での欠勤はほとんどありません。話を聞いて、こちらが納得のいく内容であれば快く対応してあげることもあるのです。さっきは絶対に駄目だと言ったではないかと聞こえてきそうですが、厳しくルールを敷いた上で、それでも相談してくるというのは、本人にとってどうしようもない状況だと思います。その理由を聞き、納得ができれば、対応してあげるのは当然のことです。実際、病欠などはどうしようもないことです。何度も言いますが、重要なのは甘えられない環境づくりです。

ここで必要なのが、欠勤を許す判断基準を社内で共有することです。この人は甘いけど、この人は厳しいというように判断基準にバラつきがあってはいけません。できれば、社員数人で判断できる仕組みづくりをしたほうが良いと思います。これだけ厳しく伝えているにも関わらず、本当にアルバイトスタッフが困ったときに快く対応をしてあげると、彼らに大きな感謝の気持ちが生まれます。日頃から厳しいルールを言っているにも関わらず、困ったときには頼りになるということは、信頼関係の構築に大きく役立ちます。こちらが困ったときも、相手が困ったときも、お互いが気持ち良く助け合える関係を構築するのが理想的です。そのためにも、厳しいルールと柔軟な対応の使い分けは効果があるのです。それでも、欠勤の理由に納得できない場合もあります。実際にこちらが対応できずに、代役を立てられない場合もあります。そのときは、約束通りにルールを守ってもらうことが重要です。例外はありません。アルバイトスタッフにそこまでさせるのかと思う方もいるかもしれませんが、みなさんの会社の社員に置き換えて考えてみてください。責任のある人は、少々具合が悪くても無理をしてでも出社します。そこに役職や立場は関係ないはずです。社員もアルバイトスタッフも、自分の責任を感じて働く人を育てなくてはいけないのです。

仕事のマニュアルは、アルバイトスタッフにつくらせる

上手にアルバイトマネジメントをするには、マニュアルをつくって活用することが不可欠です。ただ、サービス業においてはマニュアルの必要性について議論されることがよくあります。ハンバーガー10個の注文に対して、「お持ち帰りですか、こちらでお召し上がりですか」とマニュアル通りにたずねるのはいかがなものか、などと揶揄されることも多いですね。マニュアル化されたサービスには私も疑問を持ちますが、マニュアルは絶対に必要です。マニュアルがなくては、最低限のサービスを共有化することができないからです。基礎の上に、はじめて個性のあるサービスが確立されます。また、しっかり現場を理解した上でつくられたマニュアルであれば、ほとんどのことに対応は可能です。例えば4つ以上のハンバーガーの注文に対しては「お持ち帰りでよろしいですか」と聞いてください、とマニュアルに記載しておけば良いだけのことです。このマニュアルについて考えてもらいたいことがあります。それは、誰がマニュアルをつくるかということです。アルバイトスタッフが仕事する内容のマニュアルは、彼ら自身につくらせることを強く勧めます。このことは、株式会社リバークレインの稲田さんに教えてもらいました。リバークレインは、町田で間借りした倉庫で創業し、10年で30億以上を売り上げるまでに成長した人気のバイク用品店を運営する会社です。ここでは、クルーと呼ばれるアルバイト、パートさんがたくさん働いており、通販事業における発送業務を担っています。その作業マニュアルを作成したのがアルバイトスタッフだということでした。アルバイトスタッフの仕事を一番詳しく知っているのは、アルバイトである彼ら自身。社員よりも良いマニュアルをつくることができるというのが、稲田さんの考えでした。早速、私の会社でもやってみようとチャレンジしました。稲田さんの会社同様、当時はネットショップも運営していたので、まずは発送業務を担当しているアルバイトスタッフにマニュアル作成をしてもらいました。すると驚くような変化がありました。毎月二、三度は必ず起こっていた発送ミスがまったくなくなったのです。人はアウトプットする時に大きく成長することを実感しました。この体験の後、イベント業のマニュアルを振り返ってみると、これは私が入社して2ヶ月目に作成したものでした。バージョンアップはされてはいるものの、基本的な内容は当時のままです。そのときのことを振り返ってみると、私自身もまだまだ社員の目線ではなく、アルバイトスタッフの目線で作成したマニュアルだったことを思い出しました。アルバイトスタッフでもマニュアルは作成できるし、業務についてより細かな指摘ができるということです。

これから、アルバイトスタッフ向けのマニュアルを作成する方は、アルバイト自身に作成してもらってはいかがでしょうか。すでに、マニュアルがある場合は、アルバイトスタッフに改善をお願いするのも良いでしょう。現場の生の声を生かした、より良いマニュアルにバージョンアップすることは間違いありません。マニュアルは社員がつくるものだという既成概念を無視して、アルバイトスタッフにチャレンジさせることは、彼らにとってもあなたの会社にとっても良い変化になります。特にリスクもないので、試してみてください。

外国人アルバイトをマネジメントする

ここ数年、飲食店やコンビニなどアルバイトスタッフが多い現場で、外国人のアルバイトスタッフが活躍しているのをよく目にします。現在の人材確保が困難な環境にて、外国人の求人はまだまだしやすいため、今後もこのような風景はますます増えることでしょう。仕事に意欲的に取り組む中国人、韓国人などアジアの国の留学生がアルバイトスタッフとして活躍できる環境づくりも、今後のアルバイト・マネジメントの課題となることで「しょう。当社では2012年から中国でも人材ビジネスを開始しました。上海、北京、深圳をはじめ、中国13都市に事務所を構えています。我々が中国に進出したのには、中国における小売りの現場での人材問題が背景にあります。現在の中国は消費が盛んで、その消費を支える小売りの現場では、日本のようにお客様へのサービスが徹底していないという人材の質の問題を抱えています。今や中国全土に、イトーヨーカドー、イオンに代表されるような日本の小売店が展開されています。日本だけでなく、全世界からスーパーやデパートなどが進出しています。その小売店舗では、たくさんの企業が様々なアイデアを駆使してプロモーションを展開しているのですが、それを運営する現地の人の質が残念なことに低いのです。店頭でのおしゃべりや愛想のなさは当たり前。見張っていないと帰ってしまうスタッフまでいる始末です。せっかく企業が様々なプロモーションを用意しても、運営ができていないことが多いのです。これでは、せっかくお金をかけたプロモーションの機会が無駄になってしまいます。なぜこのようなことが起きるのか?答えは簡単です。「教育」と「管理」を徹底していないからです。販売の最前線で売り上げを左右するのがアルバイトスタッフなのにもかかわらず、彼らが軽視されているのです。徹底した教育と管理をしている企業では、販売担当者のレベルが高いです。それは、彼らが社員だからということではありません。社員とアルバイトスタッフに大きな違いはなく、教育をしっかりして管理をきちんとしているかどうかで差が出るのです。また、当社ではドクターストレッチというストレッチ専門店を上海にて展開しています。こちらでも感じるのが、やはり教育の重要性です。サービス的な教育はもちろんですが、それ以上に価値観共有のような考え方に対する教育は日本以上に大切です。元々、文化の違う外国人ですから、日本の当たり前、ましてやその企業の当たり前を理解しているはずはなく、定期的に伝え続ける必要があるのです。

当社の場合は「基礎研修」という名前で、代表自らが定期的に現地で研修を行っております。会社の仕組みとして、理念を伝え、価値観の統一を図っているのです。増え続ける日本の外国人労働者にも、仕組みとして教育を続けることは必須です。外国人をアルバイトスタッフとして雇用する場合、就労ビザや留学ビザ(週28時間以内の範囲であれば勤務可能)の保持や日本語の能力をチェックすること以外は、基本的に日本人のアルバイトスタッフと変わりはありません。これからは、外国人スタッフへの教育システムの有り無しが、企業の今後の明暗を左右するかもしれません。中国では人件費の高騰が大きな社会問題となっているため、今後アルバイトへの注目はますます大きくなると思います。私の会社では、中国の学生を中心とした若者に働きがいを伝えることで、お客様が楽しんでくれ、結果を出すプロモーションができる人材を提供していく予定です。中国でも、彼らが働きやすい環境を提供し、働きがいを伝えることで、間違いなくアルバイトだけでまわるチームをつくることができます。彼らが仕事の楽しさを知り、目を輝かせている姿に日本人との違いは感じません。私たちは中国でも変わらず、アルバイトスタッフが意欲的に働くことを応援していきたいと思います。

Chapter6優秀なスタッフを育てるコミュニケーション術

コミュニケーションツールの使い方

これまでの章で、ディズニーランドのように物理的に素晴らしい環境がなくても、アルバイトスタッフにとって精神的に素晴らしい環境は、少しのコツと気遣いでつくることができることをお話ししました。こうした環境があるだけで彼らの成長スピードが大きく変わっていくのは間違いありません。その環境とは、これをやれば良いとか、こんな制度があれば良いというものではありません。ましてやお給料が高ければ良いという話でもありません。細かな気遣いの積み重ねをしていくことで、はじめて「この会社は働きやすい。頑張ろう」と感じてもらえる環境をつくることができます。だからこそ、誰にでもできるし、お金もかからない。必要なのはアルバイトスタッフに対する日頃の感謝の気持ちだけです。アルバイトスタッフにまで、そんな感情移入はなかなかできないという人もいると思います。特に日頃から彼らと接する機会が少ない立場の人は当然です。そこで再度思い出してほしいのが、何のための環境づくりなのかということです。会社のための環境づくりだということを忘れないでほしいのです。アルバイトスタッフに感情移入しやすい私は、何のための環境づくりなのかを頻繁に思い出すようにしています。彼らに肩入れした過保護な仕組みを考えてしまうことがあるからです。やりすぎではないかという疑問が出てきたときは、あくまでも会社のためになっていなければならないと考えることで、スムーズに答えが出てきます。もしあなたが彼らに感情移入できなければ、しなくて結構です。しかし、会社のためであると考えればその必要性の大きさを感じることでしょう。◆電話術さてここからは、アルバイトスタッフとのコミュニケーションを円滑にするための各コミュニケーションツールと、その活用方法について述べていきます。お金も時間もかからないことなので、ぜひ実践してみてください。イベント業の仕事は、アルバイトスタッフに様々な現場に直接行ってもらうので、彼らと頻繁に顔を合わせることができません。そんな彼らとコミュニケーションをとる方法で一番便利なのは「電話」と「メール」によるものです。電話については、私の会社では細かなルールが社内で取り決められています。「はい、グッドウェーブプロモーション鈴木です」「お疲れさまです。スタッフの〇〇ですけども、お電話いただいたみたいなのですが

……」「電話ありがとう!電話代かかっちゃうから、すぐかけ直すね」私の会社ではよくある会話です。ここには2つのルールがあるのです。1つ目のルールは、こちらの要件で折り返し電話をもらった場合、必ずこちらから電話をかけ直すこと。理由は電話代がかかるからです。細かいですね。しかし、この細かさが大事なのです。お金がないアルバイトスタッフにとって、電話代は意外と気になるものです。無神経にこちらの要件だけを一方的に話していたら、次に会社から着信があってもすぐには折り返しの電話をしたくなくなるのも理解できます。細かな気遣いですが、アルバイトスタッフの目線に立つことが大切なのです。もう1つのルールが、「電話代がかかるので」と、折り返し電話する理由を伝えること。「やさしさは、相手に気づいてもらえなければ意味がない」。私がよく社員に使う言葉です。いやらしいかもしれませんが、例えば、「電話ありがとう!すぐに折り返し電話するね」と言って電話を折り返したとします。相手は間違いなく、こちらが今忙しいので折り返し電話をしたのだと思うでしょう。これではこちらの意図する気遣いに気づいてもらえないので、まったく意味がありません。細かな気遣いは、相手に気づいてもらうことではじめて喜んでもらえる気遣いとなります。昔のCMでも見たことがあると思いますが、引っ越し業でお客様のご自宅に上がるときに、靴下を新しいものに履き替えることを徹底している会社があります。その会社では、脱いだ靴下を必ず靴の上に置くようにします。お客様に気づいてもらうためです。せっかくキメの細かいサービスを実践しているのに、お客様に気づいてもらえなければ意味がありません。わざわざCMで紹介しているのも、気づいてもらうアピールです。気遣いをアピールすることは、非常に重要なことなのです。◆SNSの活用最近のコミュニケーションツールを語るのに、フェイスブックやツイッターに代表されるSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)は外せません。アルバイトスタッフとのコミュニケーションの手段として使用しています。以前から、私の会社の肝であるアルバイトリーダーの管理は新入社員に担当させています。年齢的にも若いので、SNSを使いこなしてきたメンバーも多く、実に上手にSNSを使ったコミュニケーションを図っています。特に利用されることが多いのがLINEです。報連相などの連絡事項は多くのメンバーがLINEを使っていて、現場に関する質問も他のアルバイトスタッフと共有しながら解決することが可能です。現場の写真をあげて、どこが良い悪いと言い合うのも簡単です。しかし、LINEだと他の情報に埋まってしまうことやプライベートと混同してしまうので避けたいということもありえます。そんな場合は、無料ならCHATWORK、有料

ならLINEワークスやWOWTALKなど、社内向けSNSを利用するのも良いかもしれません。様々なものが今はあるので、使い勝手の良いものを選んで、コミュニケーションの円滑化を図ることをお勧めします。また、SNSを利用している人はよくおわかりだと思いますが、実際に会っていなくても親密になっていくスピードは加速します。新しいアルバイトスタッフとも一緒にSNSで情報共有することで、人間関係を構築していくことができるのです。最近、当社の新しい取り組みとして、SNSセミナーを開催してみました。講師はSNSだけで、自社ブランドを2億円以上販売してきた「短パン社長」です。メディアにも度々登場しているのでご存知の方も多いと思いますが、実は年商20億円を超えるアパレル企業の経営者です。汗だくになりながら熱く語る姿は、当社の若いスタッフたちに大いに刺激を与えてくれました。自社の店舗をみんなで宣伝するという目的も無いわけではありませんが、それ以上に期待しているのが人間関係の構築です。短パン社長のように全国に多くのファンをつくることはできないかもしれませんが、社内間やお客様との距離を縮め、身近なファンをつくることは必ずできるはずです。それを短パン社長のように楽しみながらできたら最高です。アルバイトにもSNSを自由にさせるなんて、コンビニや飲食店での炎上事件を忘れたのかと思われることでしょう。当然、リスクが大きいことも理解をしていますし、私も講演活動でアルバイトの炎上問題の対策方法を何度も話してきました。しかし、そろそろSNSの危険性よりも、もっと大きなメリットにチャレンジしていくことのほうが、組織を育てていくには大切だと感じたのです。車の運転と同じで、危険だから乗るな!ではなく、危険性はあるけど上手に運転をすればとても楽しいものであれば、ちゃんとした乗り方を教えよう、それが教育ではないかと思ったのです。楽しく乗りこなしている人たちは、世の中に沢山いますからね。もちろん、今回の取り組みはまずは社員がほとんどで、アルバイトスタッフはまだ少数です。自社ブランドで他社に迷惑がかからないものだけにも限定はしております。しかしながら、仕事の本当の価値を理解した、信頼できるアルバイトスタッフを育てることで、SNSの発信をも任せられるメンバーが増えることは、会社にとって圧倒的な価値になるとは間違いありません。そんな信頼できるスタッフを増やしていくことが、我々自身の成長だと信じています。話を戻しますが、アルバイトスタッフとのコミュニケーションの基本は、相手に合わせることです。もしSNSをやっていない方は、ぜひこの機会にチャレンジしてみることをお勧めします。彼らとの距離を近づけるためには、私たちが変化をしないといけない時代だということなのです。

「今日の仕事どうだった?」

仕事をしながら優秀なアルバイトスタッフを見極めるのに有効な質問があります。「今日の仕事どうだった?」という質問です。この質問に対して、たいていのアルバイトスタッフの回答はこうです。「楽しかったです!」「大変でした……」必ず自分を中心とした感想を答えます。しかし優秀なアルバイトスタッフは違います。「この仕事は、実施場所が屋外だったせいか……」「たくさんのお客さんが来てくれて、一番喜んでくれたのが……」「クライアントの◯◯さんが現場に来られまして……」感想だけではなく、必ず仕事の状況を説明するのです。やはり、気持ちのベクトルが仕事に向いているので、仕事を中心とした発言になるのです。自分に意識が向いていることがNGだというわけではありませんが、サービスやチームプレーでは奉仕の精神が必要になります。時には自分を犠牲にしてでも他者を優先することが必要です。はじめから仕事を中心にものを語れる若者は、少し教えるだけでお客様やクライアントなどの他者の目線で物事を考えられるようになるため、相手に喜んでもらえるサービスを提供できるのです。この視点でアルバイトスタッフに教育を行えると、非常に効果的です。◆「今日の仕事を自己評価してみてください」もう1つ、優秀なアルバイトスタッフを見極めるのに有効な質問があります。若い世代と接してきて感じるのが、ゆとり世代と呼ばれる若者たちは、総じて自己評価が甘いということです。競争を避けてきている分、自分への評価も甘くなるのだと思います。また、景気低迷が続くなかで成長してきたせいか、少し自分に自信がない人も多いように感じます。そこで次のような質問を投げかけてみます。「今日の仕事を自己評価してみてください」この質問に対して、どこかに反省点を交えた答えが増えてきたのが、最近の特徴です。自己反省ができることは良い傾向だと思います。優秀なアルバイトスタッフは、反省点以上に「できるようになったこと」や「克服できるようになったこと」を答えます。厳しいことを言うようですが、反省することは誰にでもできます。その反省を活かし、できなかったことを克服することで人は成長します。そのために

は、反省点を課題に置き換えて、それを改善する習慣が必要です。自分の弱点の把握と克服を意識して実行している若者は、非常に高いポテンシャルをもっています。これは社員やアルバイトに関係なく、非常に高度な習慣を身につけていると言えるのです。成功者の共通点とも言えるこの習慣をもつ若者に、ハズレはないと言っても過言ではありません。◆成功体験を語らせる自己評価と一緒に実行してもらいたことがあります。反省までは誰でもできると言いましたが、それでも反省できたことは素晴らしいことです。その反省を課題に置き換えて克服する手伝いをしてあげなくては、本人にとっても会社にとっても非常にもったいないことになってしまいます。習慣化されていないのであれば、習慣化するように手伝ってあげてください。そのためには、コミュニケーションの中で成功体験を語ってもらうように習慣づけしましょう。前述したように、最近の若者は自信を喪失している人が多く見受けられるからです。特に意識して実行していないと、自分が克服できたことにも気づかないことがよくあります。成長を他者の目でしっかり見てあげることで、アルバイトスタッフに仕事への自信をつけてもらいましょう。

「自分のおかげ」と「他人のせい」を使い分ける

◆自分の気遣いをしっかり印象づけるアルバイトスタッフには、社員である自分が彼らに気遣いをしているということをしっかり印象づけるようにしましょう。アルバイトスタッフのお給料が上がるときのことを例にとってみます。昇級は彼らにとってうれしい瞬間の1つですが、彼らにとって良い話をするときは、教育担当社員の手柄として話してほしいのです。お給料を上げるときには、おそらく担当社員から上司や会社に申し入れがあるはずです。その担当社員の評価と行動が、お給料アップに繋がったことをきちんと伝えることが大事です。先ほどの、やさしさは気づいてもらえなければ意味がないというのと同様です。その手柄を担当社員は自分の手柄として話して良いのです。正直な人は「〇〇さんが許してくれたから」と、上司や決裁権者を立てようとします。そんなことは必要ありません。決裁権も担当社員である自分にあるように見せるべきです。自分がお給料を上げておいたよ、という表現で十分です。必要なのは、アルバイトスタッフとその担当社員の関係構築です。手柄はすべて担当社員のものにして、そのサポートを会社全体でしてあげることで良い関係をつくるのです。◆不都合なことは、会社または上司のせいにするまた、反対にアルバイトスタッフにとって不都合なことを伝えなければいけないこともあります。この場合は、担当者はなるべく上司、または会社のせいにすることを勧めます。人のせいにするなんてと言われてしまうかもしれませんが、何より優先したいのが、同じく担当社員とアルバイトスタッフの人間関係の構築なのです。そのためには、会社の責任か、役員である私の責任にして話すようにと社内でも言っています。なぜ、ここまでその人間関係にこだわるかというと、アルバイトスタッフの会社へのロイヤリティー(忠誠心)が、この人間関係ですべて決まるからです。大企業の場合であれば、企業ロイヤリティーに影響するような魅力的な環境は色々あるかもしれません。しかし中小企業の場合は、直に接する機会が多い担当社員の影響が8割です。会社によって違いがあるとは思いますが、店長だったり、担当社員だったり、時には社長の場合もあるでしょう。その人たちがアルバイトスタッフにとって良い人か悪い人かで、会社の印象や彼らのモチベーションは大きく変わります。

みなさんもアルバイトをしていたときのことを思い出してみてください。仕事はハードでも、一緒に働く店長や社員がとても良い人だったときは、「この人に頼まれたら、しょうがないけど頑張ろう」と思ったことでしょう。そのとき、会社に対する感情が良くても悪くても、あまり関係なかったのではないでしょうか。そのときに接する担当者との関係が、自分の行動を決めていたのだと思います。アルバイトスタッフにも会社への忠誠心をつくることは可能です。忠誠心をもたせれば、あのお店には負けない!あの会社には負けない!という思いで働いてくれます。理念や創業者の想いを浸透させるには時間がかかります。そのため、会社に対する忠誠心をつくるには、担当社員との人間関係を構築してあげることが近道なのです。その担当社員が会社の理念を大事にしたり、仕事に対する熱い想いをもっていたりすると、その気持ちはアルバイトスタッフにも間違いなく伝わります。

アルバイトスタッフ同士の関係を把握する

担当社員とアルバイトスタッフの人間関係とあわせて大事にしなくてはいけないことが、アルバイトスタッフ同士の人間関係です。彼らは良く言えば純粋、悪く言えば経験も少なく無知である分、まわりに影響されやすいものです。そのため、良いことも悪いこともあっという間に広がります。それならば、良いことがどんどん広がるようにすればいいのです。私はアルバイトスタッフの向こう側にいるアルバイトスタッフを意識して、印象の良い情報や考えを積極的に流すようにしています。自分が話したことを、話した人とは別のアルバイトスタッフから聞くことが多くあります。自分自身が思っている以上に、自分の考えをまわりは伝えてくれていることに驚かされます。反対に悪い噂も簡単に広がりますので、自分の発言や行動も慎重にしなくてはいけません。これは、自律になるので良いことです。まわりの社員にもアルバイトスタッフにもこの事実を伝えて、自律に役立てるのは良いと思います。若い男女がいるアルバイトの世界では、男女関係の問題が時々出てきます。これを抑えつけることは不可能です。こちらでルールづけするのもあまり意味がありません。私の場合はそのような情報を把握し、ある程度オープンにすることで、遊びの付き合いのような男女関係が起こりにくい環境をつくっています。仕事に悪い影響があるような男女関係は絶対に許さない、または恋愛関係に至った場合は、こちらに情報が入ってくるようにして、問題になりそうな男女関係のほとんどは防げるようになっています。また、アルバイト同士の関係で知っておきたいのが、アルバイト同士の上下関係です。当社では、優秀な現場のリーダーが、アルバイトスタッフであるということに大きな意味があります。同じことを社員から言われるのと、同じアルバイトスタッフのリーダーから言われるのとでは意味が大きく変わります。社員から言われることは、会社の意見として上から言われているようでなかなか納得しにくいことも、同じ立場の人間から言われるだけで納得しやすくなるということも多いのです。もちろん逆もしかり。社員から伝えた方が良いこともあります。そこをうまく使い分ける必要があるのです。そのためにも、まずはアルバイトスタッフ同士の人間関係を把握することが重要です。

360度評価を取り入れる

私の会社では、アルバイトスタッフの評価に「360度評価」を採用しています。360度評価とは、一般的な上司の評価だけでなく、同僚、部下など仕事において関わりのあるまわりの人が評価に参加する方法です。上司、同僚、部下だけでなくクライアントも含む人たちの評価を参考にしています。評価に慣れていない人が評価に関わることや好き嫌いが影響するということで、360度評価に反対する人もいます。しかし、私はこの評価方法ほど公平な評価方法は他にないと思っています。特にアルバイトスタッフのような若者を評価するには最適な評価方法です。360度評価は、難しくも面倒でもありません。まずは参考程度で良いので、簡単な社内アンケートをとるだけで十分です。このアンケートは本当におもしろい結果が見られます。自分が予想していた通りの結果から、見えていなかったと反省することまで、現状をリアルに把握することができます。評価の基準は曖昧で構いません。いえ、曖昧が良いのです。ここで社員評価のような細かな基準を設けると時間も手間もかかります。そして何より、アルバイトを結果や数字で評価するよりも、曖昧な「頑張り」で評価してあげた方が、最終的な結果は必ず良くなるからです。彼らに任せている内容であれば、どんなに責任感が必要な仕事でも一生懸命に働くことが結果に繋がります。管理職には結果を重視し、若手には過程を重視した社員評価の基準を設けている会社も多いと思いますが、それと一緒です。アルバイトの評価には結果ではなく過程を重視してあげることが大切なのです。若い世代は営業であろうと接客であろうと、ずば抜けた素質を持っている人以外は、スキルや経験に大きな差は少なく、とにかく一生懸命に仕事量をこなす人の方が結果を出しているはずです。そして、そのような人のほうが圧倒的に成長も早いのです。そのため、ここでは「頑張り」という曖昧な基準を使って評価するのです。最近私の会社で行ったアンケート内容をご紹介しますので、参考にしてみてください。◆アンケート内容スタッフの皆様、お疲れ様です。今週末は各地でキャンペーンや大イベントが実施されている週でもあります。気合いを入れて頑張っていきましょう!みんながあなたの努力を見ていることを意識して、仲間と共に、より自分の可能性を広げてくださいね~

さて、恒例のアンケートを配信いたします。「どのスタッフ、ディレクターが特に頑張っていたか」という視点で、お仕事に取り組んでみてください。たくさんのお客様の笑顔を作ってくださいね1、スタッフについて○月中に一緒に仕事をしていただいたメンバーの中で、お客様対応がとても良かった、とても楽しそうに(明るく)仕事をしていた、一生懸命動いていたなど、印象に残っているスタッフを1名以上教えてください(複数回答可)。また、選出した理由も教えてください。●名前●理由2、ディレクターについて○月中、スタッフに対しての指示出し、説明、現場の雰囲気など一緒にお仕事をして安心できたディレクターを1名以上教えてください。こちらも、選出した理由もあわせて教えてください(複数回答可)。●名前●理由3、グッドウェーブプロモーション社員について○クライアント対応や、スタッフのみなさんに対しての指示出し、説明などが『参考になる、勉強になる』社員はいますか?または、現場での対応、電話対応など、スタッフのみなさんがお仕事するにあたり安心できる社員はいますか。1名以上教えてください(複数回答可)。●名前●理由4、その他○現在、業務に関して何か気になっていることはありますか?または、担当者に話をしたものの解決していないことなどはありますか?ささいなことでも構いませんので、何かありましたら教えてください。→以上、ご協力お願いいたします。なお、返信メールに関しては担当○○のみが参照いたします。他の社員が参照することはありませんので安心してくださいね。◯月◯日(○)○時までにご返信下さい。質問4のみ、解決できることであれば各担当に伝える場合がありますが(名前を出してほしくないなど希望があれば、もちろん個人名を出さずに解決する方法を考えます!)、それ以外の質問に関しては、社員には口外しませんので、アンケート実施にご協力をお願いします。では、まだまだ忙しい季節ですが頑張りましょう!紙でもメールでも構いませんが、私の会社ではメールで配信集計を行っています。人数

が多いためにメールにしているだけなので、少人数の場合は紙の方がアンケートらしくて良いかもしれませんね。またアンケートに限らず、アルバイトスタッフからフィードバックを得る際に気をつけなければならないことが2点あります。◆ネガティブなことをこちらから聞かないわざわざネガティブなことを聞くと、無理矢理負の要素を探してしまうので、あまり参考にならないものになってしまいます。経験上、こちらからわざわざ聞かなくても、対応が求められるレベルの問題は必ず自然と出てきます。また、問題点があらわになった場合には必ず対応を行わなくてはなりません。もし、アルバイトスタッフが勘違いしていたり、間違った考えをもっていたりしたら、すぐに指摘します。絶対にしてはいけないのは、提示された問題点を無視することです。ここの会社は、何を言っても無駄だと思われてしまうと、何の情報も集まらなくなるからです。リスクや環境の悪化を未然に防ぐためには、情報が何にも増して大事です。ですから情報が入らない状況は絶対に防がなくてはいけません。そしてより正確なフィードバックをもらうためには、対応のスピードが肝心です。アルバイトスタッフの立場で考えると、せっかく勇気をもって話した改善案に対して、会社がすぐに対応してくれたらどうでしょう。また何か問題があったときには忠告してあげようと思うのではないでしょうか。対応しないのはもってのほかですが、レスポンスが遅くても、問題を提示したときの感情が薄れているため、対応が実施されたときに受ける印象は半減してしまうのです。私の会社では人に関わることは絶対に後回しにはしません。対応のスピードを意識することで、アルバイトスタッフに対するロイヤリティー向上の効果を最大限にできるのです。実際に対応できなくても、対応できない理由を伝えるだけで構いません。それだけでも、アルバイトスタッフの協力度は大きく変わります。絶対に、無視や後回しにだけはしないでください。話を戻しますが、こちらからネガティブなことをわざわざ聞き出す必要はありません。それらすべてに対応することになると本当に大変な作業になってしまうからです。こちらから聞かなくても、改善しなくてはならないような問題は必ず現れてきますので。また、アンケートの書き方や伝え方でシグナルを出している場合もあります。少し意味深な書き方をしている場合も、しっかり反応を示してあげてください。対応する側の早とちりであっても、そんなところも見てくれているのだとうれしくなるものです。打てば響く会社であることをしっかりアピールすることが大事です。◆特定の人を評価しない

360度評価の本来のありかたは、ある特定の人を全員で評価するものだと思います。しかし、アルバイトスタッフ一人一人を360度評価することは、手間も時間もかかるのでお勧めできません。あくまでも優秀な人材を見極めるツールとして参考にするということでよいのです。評価することでモチベーションの向上は期待できますが、優秀なアルバイトスタッフを見極め、自分たちの仕事を任せることが第一の目的と思ってください。そのため私の会社のアンケートの結果は、選挙のように○○さんが何票という形式で集計されます。まわりから評判の良いアルバイトスタッフが順番に並ぶのです。人数が少なくても同じです。私の会社の少ない部署のグループだと6名程度のグループもあります。もっと少ない場合は、アルバイトスタッフと社員を一緒にしてしまっても良いと思います。必ずおもしろい結果が出てきます。例えば、クライアントからの評価が良いものの、アルバイトスタッフからの票が入っていないという場合は、あきらかに本人にマネジメント能力が不足しています。協調性もないことが考えられます。逆にアルバイトスタッフからの評価は良いがディレクター(アルバイトリーダー)からの評価が悪いという場合は、扱いにくいスタッフであり、まわりを巻き込んで悪い空気をつくってしまうのではという心配が出てきます。アルバイトスタッフからの評価が良くてもクライアントからの評価が低い場合は、コミュニケーション能力が低いとも言えます。総じて言えるのが、やはり本当に優秀なスタッフは、上司、同僚、部下、360度全方向の立場の人から高い評価を受けています。どこかからの評価が高くて、どこかからの評価は低い、という場合は、弱点が明確に見えていることになります。その後の指導に役立ててください。また、このアンケートには、実はもう1つ大きな役割があります。まわりが見ているという管理の役割です。アルバイトスタッフだけでなく、人間は誰にも見られていないとサボりたくなるものです。私も同じです。しかし、一緒に働く人たちに「見られている」と考えてみてください。緊張感が生まれるはずです。サボりにくい環境になるのです。優秀なアルバイトスタッフの場合は、評価者が常にまわりにいることで一層頑張るようになります。悪い話は必ず噂として聞こえてきます。アンケートで見えてくる場合もあります。そのためにも風通しが良く情報が入りやすい環境をつくり、不正が起こりにくい環境づくりが必要になります。アンケート集計に関しては、少し手間がかかる作業になりますが、現状把握と環境づくりには抜群の効果があるのでぜひやってみてください。

表彰式を開催する

ディズニーランドでは、年に一度「サンクスデー」というものがあるそうです。ディズニーランドにアルバイトスタッフを招いて、日頃の感謝を込めて社員がおもてなしをするそうです。素敵なイベントで非常にうらやましくも思います。一般的な会社ではそこまではできませんが、当社でもアルバイトスタッフに感謝の意を示す場になればと思い、7年前から「G1グランプリ」という社内表彰式を始めています。社員も含めた表彰式で、パーティー形式で年1回実施しています。始めた当初よりアルバイトスタッフからの反応は予想以上で、たくさんのうれし涙や笑顔が見られ、我々が思っていたよりも感動してくれたのです。私も経験があるのでよくわかりますが、フリーターの社会的地位は低いです。どんなに頑張っていても、世の中から評価してもらえることが少ないのです。ここが正社員とは大きく違うところです。一緒に働く社員と同じように彼らを評価してあげてもいいのではないでしょうか。その評価が良いものであれば、表彰してあげてもいいのではないでしょうか。当社の場合は、人数が多いのでパーティーという形式ですが、決して豪勢にやる必要はありません。ちょっとした飲み会の場で、社長や担当社員から表彰してあげるだけでいいのです。表彰状でなくても構いません。手紙を書いてあげることでも喜ぶでしょう。たまにはアルバイトスタッフにも感謝を表現しましょうということです。株式会社エックスビズの社長の奥田さんより聞いた素敵な言葉があります。奥田さんは私の会社の社員にマネジメントを教えてくれているコンサルタントの方です。「人を褒めるには評価が必要だから、できないこともあるかもしれない。でも、感謝することに評価は必要ない」深く納得できました。確かに、自分の仕事を代行してもらい、期待通りの結果が上がらなければ、褒めることはできないかもしれません。しかし、自分の代わりに働いてくれたという事実には感謝しなくてはいけないのです。それを聞いてから、まわりに感謝の気持ちを持てるようになりました。それでも、私は感謝の気持ちを表現することは下手なようです。厳しいことを言ってしまうことの方が多く、その度に反省しています。アルバイトスタッフにそこまでの感情移入はできないと思う方もいるかもしれません。だからこそ、年に一度や二度くらいは、感謝を表現する場があってもいいのではないかと思うのです。母の日や父の日と一緒です。日頃から当たり前になって、感謝を忘れてしまっていることはあっても、感謝する機会があると思い出すこともできます。もちろん、常日頃から感謝を表現できればそれに越したことはありません。しかし、表彰という場をわざわざ設けることにも大きな意味があります。

一生懸命に働くことで正当に評価をしてくれる会社であることを、アルバイトスタッフ全体に示すこと。そして、表彰されていない人たちに、大きな刺激を与えることです。360度評価がここでも効いてきます。自分たちが評価した人が表彰されていれば、まわりも一緒に喜んでくれるのは当たり前です。当然、彼らが選んだのですから、文句が出るはずもありません。表彰されたアルバイトスタッフにも、まわりで見ていたアルバイトスタッフにも、大きくモチベーションを上げる契機となります。いつかはあの場所に立ってやろうという具体的な目標ができるのです。アルバイトスタッフの人数が少ないところなどでは不要と思われるかもしれませんが、人数は関係ありません。彼らの表情が大きく変わることを期待しましょう。

「アルバイト」「フリーター」と呼ばない

みなさんの会社では、アルバイトスタッフを何と呼んでいますか?「アルバイト」「バイト君」「バイト」「パートさん」「パート」、色々な呼び方があると思います。これまでさんざん「アルバイトスタッフ」という言葉を使ってきて申し訳ないのですが、当社ではアルバイトスタッフのことをそうは呼んでいません。アルバイトスタッフのことは、「スタッフ」または「ディレクター」、当社が運営するミットネスというフィットネスクラブでは、社員は「トレーナー」、アルバイトスタッフは「インストラクター」と呼んでいます。これはイベントにおける立場を表す言葉です。そのため、社員が現場に入るときも、社員は「スタッフ」にも「ディレクター」にもなることがあります。ディズニーランドでは「キャスト」、マクドナルドでは「クルー」、スターバックスは「パートナー」とアルバイトスタッフを呼ぶことは有名です。つまり、アルバイトスタッフにスタッフとしての役割、またはキャストとしての役割で活躍してほしいのであれば、アルバイトスタッフという呼び方はふさわしくありません。もちろん、アルバイトスタッフと呼んでいる会社が悪いということではありません。差別しているつもりもないでしょう。しかし、フリーター時代の私はアルバイトと呼ばれることに抵抗がありました。ディレクターとして真剣に働いていたため、感覚としてフリーのディレクターという意識でいたからです。まわりでは実際に自分自身のことをフリーディレクターと名乗って働いている人もいました。社会人からしてみれば、何を言っているんだと笑われてしまうかもしれません。それでも私は、プロ意識をもってアルバイトをしている人間ならば、この感覚を持っていると思いますし、持っていてほしいとも思います。我々の立場からすると、フリーターという意識から、フリーランスという意識に変えてあげることが重要なのです。この意識改革ができれば、圧倒的に仕事が変わります。そのためにも、「アルバイト」と呼ぶことにメリットはないと思います。こちらがアルバイトと呼ぶ度に、せっかく芽生えたプロ意識がなくなってしまうからです。また、「フリーター」という言葉についても考えてみましょう。フリーターとは「15~34歳の男性または未婚の女性(学生を除く)で、パート・アルバイトとして働く者、またはこれを希望する者」と厚生労働省に定義されています。人によって職業、生き方、雇用形態と定義が分かれて非常に曖昧なのです。私にしてみれば、「働く人」と「働くことを希望している人」を同じにしている時点で、このフリーターという言葉に意味などないと思っています。

では、フリーランスというのは何でしょう。「自由契約者であり、一定の会社や団体などに所属せず、仕事に応じて自由に契約するジャーナリストやライターなどの個人事業主である」と、こちらははっきり定義されています。我々イベント業界では、音響・照明・MCやアナウンサー、舞台監督などたくさんのフリーランスの人たちが活躍しているのでわかるのですが、彼らは自分の実力と人脈を活かしてビジネスをしているため、収入も仕事量も千差万別です。シビアな人気商売なのです。フリーターも社会から求められなければ仕事がなくなるという意味では人気商売です。仕事がほしいのであれば、自分を磨き、会社から選んでもらえるように努力をしなくてはなりません。実際にあなたの会社のアルバイトスタッフの人数が多いのであれば、優秀な人間から優先して仕事をお願いすると思います。この事実を理解させることで、彼らの意識は大きく変わります。そして、優秀なアルバイトスタッフをリーダーにするなど、立場的な競争環境をつくることで、彼らにも危機感や競争意識が生まれるのです。そのためにも、働いていない人をフリーターと呼ぶような理解のできない定義は無視していいのです。「アルバイト」や「フリーター」が持つ言葉の意味を考えると、呼び名ひとつにこだわる重要性をご理解いただけると思います。彼らにもプロ意識をつけるために、まずは呼び名から変えてみるのは有効です。

Chapter7アルバイトがイキイキ動く指示の出し方

アルバイトは所詮アルバイト

アルバイトスタッフへの指示の出し方を具体的に説明する前に、前提として意識してほしいことがあります。それは、「アルバイトは所詮アルバイト」だということです。もちろん、アルバイトスタッフは大切にしなければいけません。ただし、指示を出すときには、所詮アルバイトであるという意識を持ってほしいのです。どんなに優秀なアルバイトスタッフであっても、理解力、作業能力、判断力、コミュニケーション能力など、あらゆる仕事の能力において、それまで仕事一筋で頑張ってきた皆さんよりも優秀であるわけがないのです。新入社員と接してきたことがある方はよくおわかりだと思いますが、どんなに優秀な新人でも、はじめからみなさん以上に仕事ができる人はいなかったはずです。素質のある若手社員は、みなさんの地道な指導があってはじめて、頭角を現していったのではないでしょうか。ましてやアルバイトスタッフです。一を聞いて十を知ってくれる人はいません。一を聞いて二分の一を知る人だけだと思って接する必要があります。相手がアルバイトスタッフであることを再認識して、相手に合わせた指示を考えてください。マネージャーであれば、部下のミスは自分の責任です。社員であれば、アルバイトスタッフのミスは社員の責任です。ミスを起こさないためには、より細かく丁寧でわかりやすく、しつこいくらいの確認が必要なのです。お金はかかりませんが、時間と根気のいる作業です。それでも、相手がアルバイトであるということを意識して、きめ細かな指示を出しましょう。また、ここでも優秀なアルバイトスタッフであるかどうかを見極めていることを忘れないでください。アルバイトスタッフの人選はすべてコミュニケーションで行われます。そして、あなたが信頼できると判断したときに、あなたが今までやっていた仕事を任せるのです。もし、一を聞いて十を知るアルバイトがいれば、すぐにでも仕事を任せても良いでしょう。ただし、社員と同じ責任を求めても、アルバイトであるということを意識した指示の仕方を忘れないでください。

男女別にコミュニケーション方法を使い分ける

男女によって指示の出し方を変える方が良いかという質問をもらうことがあります。結論から言うと、指示の出し方は基本的に一緒です。しかし、相手によって変えるべきです。指示を出すというのは、コミュニケーションの中の1つの動作だと考えてください。それでは、まずは大枠である男女別のコミュニケーションについてお話しします。アルバイトスタッフがたくさんいる中で、意外と配慮が必要なのが女性とのコミュニケーションです。私が男だからかと思っていたのですが、意外なことに女性社員も男性より女性アルバイトの方が気を遣うらしいのです。そこで、男性と女性とのコミュニケーションの違いを考えてみたいと思います。我々の仕事では、アルバイトリーダーがコンパニオンを管理することが少なくありません。コンパニオンとは、展示会の企業ブースなどで働いている女性をイメージしてください。彼女たちもほとんどがアルバイトスタッフです。フリーランスとしてプロ意識をもって働いているコンパニオンはとても多いですが、一方で、プロ意識のかけらもなく働いているコンパニオンがいるのも事実です。このようなコンパニオンが来たときは最悪です。暑い、寒いは当たり前、立っているから足が痛いという信じられないことまで言ってくるコンパニオンまでいます。自分の会社のコンパニオンであれば、事前に業務内容や環境を伝えていなかった場合、会社の責任もあるかもしれません。必要であれば注意が必要ですし、改善が見られないときには、メンバーの差し替えもしなくてはなりません。しかし、ほとんどの場合は他社のコンパニオンであることが多く、そう簡単にメンバー変更とはいかないのです。そこで、非常に有効だったのが、敬語を使うというテクニックでした。距離感をつくるためです。程よい距離感をあえてつくるのです。特に同世代の人に女性は甘えやすいものです。仲が良くなるほどその傾向が強く表れるので、あえて距離感をつくることで甘えにくい環境をつくりました。すると、甘えと思える発言がなくなったのです。また、距離感をつくることは女性にとっても大きなメリットがあります。職場になれなれしい男性がいると、仕事がしにくいとか、セクハラまがいの発言があるなど問題になることがあります。それは実は、男性本人に悪気があるのではなく、距離を縮めるために良かれと思ってやっていることがほとんどなのです。敬語を使うと決めることで、こうした誤解を避けられるようにもなりました。これはアルバイトスタッフだけに限りませんが、男女の距離が近づくと、女性は甘えてくる、男性は下心が出てくるというのはよくあることです。それを防ぐためにも、お互いの立場を理解し、距離を置いたコミュニケーションをとることが有効です。異性との関係では、程よい距離感を意識してみてください。

また、男性と女性の関係だけでなく、女性と女性の場合も含めた女性とのコミュニケーションで意識すると、良いこともあります。女性の方が冷静に物事を分析する傾向があります。男性は「ノリ」でついてくることも多いのですが、女性はしっかり納得しないとついてきません。そのため、先が見えないと前には進めない女性には、目的とプロセスと具体例を明確にして指示を出すと良いでしょう。また、話すコミュニケーションだけではなく、聞くコミュニケーションも大切です。気持ちに浮き沈みがあり、仕事に支障が出てしまうタイプは女性の方が圧倒的に多いです。しかし、そのシグナルにこちらが気づき、聞いてあげることが、友好な人間関係をつくるきっかけになることも多いのです。先ほどの距離感を保った上でのコミュニケーションが前提ですが、女性が色々と話してくれるようになってきたら、コミュニケーションの方向性は正しいと判断して良いでしょう。冷静で分析力の高い女性たちは、話す相手をしっかり判断して話しているからです。一方、男性へのコミュニケーションはどうでしょうか。私の場合、男性とのコミュニケーションでは、女性とは反対に「ノリ」を大切にしています。部活の「ノリ」のイメージです。私の会社のある女性社員は彼らのお母さんをイメージしていると話していました。つまり、女性とのコミュニケーションでは、一緒に考え、話を聞くような「同じ目線」のコミュニケーションが有効で、男性の場合はついてこいというような「ノリ」や、母親が叱るような「上から目線」のコミュニケーションが有効だということです。しかし、中性的な男性が増え、昔ほど大きな差がなくなってきた傾向もあります。先ほどの女性に対するコミュニケーションで書いたような明確な目的やプロセスの説明を必要とする男性も増えてきています。指示の出し方は男女共通と考え、性別を意識したコミュニケーションをとるのがベストです。それでは、上手な指示の出し方をするアルバイトスタッフが実践している方法を、具体的にご説明します。

「とりあえずやっておいて」では通じない

5W1Hが指示出しの基本と言われます。5W1Hとは、WHY(なぜ)、WHAT(何を)、WHO(誰が)、WHEN(いつ)、WHERE(どこで)、HOW(どのように)のことです。しかし、こうした指示が良いと知りつつも、なかなか5W1Hを基本とした指示が出せていないのが正直なところです。私のように記憶力がない人にとっては、恥ずかしながら5W1Hの意味がすぐに思い浮かばないのです。アルバイトに忘れずに意識させるには、可能な限りシンプルにした方が良いことは前述しました。どんなに素晴らしいことであっても、実際に使ってもらえなければ意味がないからです。彼らが使いやすく、そして覚えやすくしなくては、忘れられてしまいます。そこで、私が特に大切にしているのが、1W、WHY(なぜ)です。なぜやるのかという目的や理由を忘れずに伝えるようにしています。アルバイトスタッフに指示をさせる場合も同じです。他のアルバイトスタッフには、とにかく丁寧に指示を出すことを意識しようと話しています。大雑把な指示に聞こえてしまうかもしれませんが、できる限り丁寧な指示をすることで、結果的に5W1Hすべて兼ね備えた指示になれば、それで良いと思いますし、1Wの「なぜ」を強調するだけで、上手な指示になっているものです。・5W1Hを意識した指示をしてください・とにかく丁寧な指示を心がけ、必ず目的を強調して伝えるようにしてくださいどちらが、覚えやすく使いやすい指示でしょうか。アルバイトスタッフの理解度に合わせなければ、どんなに良い指示であっても忘れられてしまいます。これを意識して、相手の立場を考慮した指示を心がけることが大切です。◆自分が納得してから指示をする私の会社では、仕事によって担当者が違うため、自分がよく知らない仕事についてもアルバイトスタッフに指示を出すことが多々あります。そこで、よく知らない仕事についてアルバイトスタッフに上手に指示を出している新入社員に聞いてみました。「私は自分が納得してから伝えるようにしています」当たり前に聞こえてしまう言葉かもしれません。しかし、多くの人が意外とできていないことなのです。例えば上司から、とある指示を出しておいてくれと頼まれたとします。そのとき、深く考えずに、伝言ゲームのように言葉だけメモをして指示をしている人が意外と多いのです。そのため、アルバイトスタッフが実際に行動するときに、意図や目的が不明で、曖昧

な指示になってしまうことがあるのです。その場合は、先ほど述べた1W「なぜ」なども、質問しないとわからないことも多いはずです。当たり前すぎて見落としがちですが、自分自身が納得をしてから指示を出すことは大切なのです。もしも、指示のときに「とりあえず」や「多分」などと言ってしまったら、相手を不安にさせてしまう可能性があります。どんな細かな指示出しも、自分自身がその意図や目的を理解しているのかを再確認してください。意外な見落としがあるかもしれません。

指示と一緒に期待を添える

社内でアルバイトスタッフに指示を出している社員を見ていて、上手だなと感じる人には必ず共通点があります。上手な指示出しをしている人たちは、細かい指示に必ず期待をプラスして指示を出すのです。同じ指示を出すのでも、期待を伝えて相手のモチベーションを上げることは可能です。例えばパソコンで資料作成をお願いするとしましょう。その資料をつくる目的を、スピードではなく、正確さを優先することを伝える場面です。「会議で使う大切な資料なので、いつものように正確に頼むね」「会議で使う大切な資料なので、正確に頼むね」何でもない指示なのですが、どちらの指示をもらった方がうれしいですか。「いつものように」があるだけで、期待が追加されていませんか。「いつものように」+「ポジティブな指示」で受け取る側の印象は大きく変わります。いつものように上手に、いつものように素敵な笑顔で。いつものように完璧に。指示出しが上手な人は、何気ない会話の中に意識して人を褒める要素を入れているものです。それも、いかにも褒めているという言葉でなくて、さりげない言葉を使って褒めているのです。「いつものように」という言葉が使えない状況もありますが、そのときは、指示と一緒に期待を添えることをイメージするだけで大きく変わるので実践してみてください。自分の状況に合った、他のさりげない褒め言葉が見つかるかもしれません。また、「いつものように」という言葉には、もう1つ大きな役割があります。それは、具体的な過去の成功のイメージを共有して、こちらの指示と相手の理解の方向性を共有するという役割です。前回と同じ状態を理想とするのか、今回は違うのかによって、指示の出し方は大きく変わるはずです。もし、新たなイメージを持ってほしい場合は、具体的な成功事例を提示する必要があるでしょう。

スタッフのレベルで変わる指示の出し方

先ほどは、アルバイトスタッフには特に丁寧な指示出しが必要だと話しました。しかし、相手の成長段階に応じた指示出しも非常に大切です。相手に合った指示出しは、効果的な教育に繋がります。私はアルバイトの成長を次の4段階で考えています。第1段階新人スタッフ第2段階ベテランスタッフ第3段階新人ディレクター第4段階ベテランディレクターこれは、私の会社のアルバイトスタッフの役割を新人とベテランに分けただけのものです。アルバイトの成長を最低でも4段階に分けることをお勧めします。この4段階は、教育される側である第1段階と第2段階と、教育する側である第3段階と第4段階に大きく分けられます。◆第1段階(新人スタッフ)まず、第1段階では、先ほどお話ししたように事細かな指示出しが有効です。ここでは、とにかく作業的なミスを防ぐことが優先されます。そのためには、価値観のすり合わせが大切になります。こちらの基準とアルバイトスタッフの基準を統一化することです。我々の常識は、彼らの常識ではありません。そのため、これを意識して一つ一つを丁寧に説明する必要があります。丁寧な指示出しが、良質なコミュニケーションにもつながり、不安を取り除くことになります。したがって、あまり精神的なケアの必要性がない時期とも言えます。その代わり、こまめな声がけをしてください。◆第2段階(ベテランスタッフ)第2段階では、経験でカバーできるため丁寧な指示はさほど必要ありません。その結果、こちらの指示の出し方が雑になる傾向があります。こちらが甘え始めると、コミュニケーションが減り、モチベーションを下げてしまうことが多くなります。仕事を任せるのは良いのですが、モチベーション管理に注意が必要となる段階だと言えます。指示出しのイメージとしては、期待をプラスすることを常に意識することが大切です。

また、そろそろ自分のことだけでなく、自分がまわりの人に与える影響を意識させる必要があります。常にまわりを意識させるような指示を出すことで、教育にも興味を持ち始めるのです。◆第3段階(新人ディレクター)次の第3段階では、再び丁寧な指示を意識します。ここでの指示内容は、アルバイトスタッフ自身が指示をする内容やその方法、人の扱い方など、管理者としての内容が主となります。ここでも、丁寧な指示を通じてコミュニケーションをとり、アルバイトスタッフの上に立って仕事をこなすモチベーションをサポートすることが大事です。このとき、彼らは気持ちだけが空回りして、失敗に悩むことが多い時期になりますので、指示出しと合わせて必ずメンタルケアを行いフォローしましょう。◆第4段階(ベテランディレクター)そして、最終段階では大きく路線変更をします。この段階の人に対しては、丁寧な指示をするのではなく、最低限の指示以外は、任せるようにするのです。この段階では、目的とゴールを伝えるだけで、やり方をすべて任せるようにします。決して「放任」ではありません。「任せること」と「放任すること」は違いますので、その点を理解して任せるようにしてください。当然、管理を放棄してはいけません。失敗したときも自分の責任であることを忘れてはいけません。プレーヤーとしての作業の権限を委譲しますが、責任は委譲できないのです。そして何より、なぜ、丸投げするかを伝えることが大切になります。丸投げするのは、任せられるだけ相手が優秀だからです。安心できる相手でないと、丸投げすることはできません。これを必ず相手に伝えることが、良好な人間関係を強固にしていくのです。仕事を任せられる喜びを感じてもらうことができるでしょう。

伝達ミスをなくす方法

私の会社では、毎日たくさんのアルバイトスタッフに指示を出しています。多いときでは朝から晩まで、100人以上のアルバイトスタッフにたくさんの指示を伝え続けることもあります。そのため、伝達ミスが起こらないように非常に細かな取り組みがなされています。そこで非常に大事にしているのが、ミスがあったときに責任の所在をはっきりとさせることです。そのために、当社では誰が誰に指示をしたかが確実にわかるように仕組みがつくられています。そして万が一、伝達ミスが起きてしまった場合には、叱られる人もすでに決まっています。必ず指示を出した側が叱られるのです。一般的によくあるトラブルは、伝達事項を伝えた、伝えていないかで食い違いが起きてしまうことです。当社ではそこはまったく気にしません。重要なのは、伝えたかではなく、伝わっているかどうかという事実だけです。伝わっていなければ、伝えたことになりません。当然、責任は伝えた側が負うことになるのです。それが浸透しているので、業務内容の伝達ミスはほとんど起きなくなりました。指示を出す側が、丁寧な指示出しを自分の責任として認識するようになったからです。確実な指示を浸透させるためには、責任の所在をはっきりと決め、共有することが大切です。これにより、指示を出す側がどうすれば指示が伝わるのかを考え始めます。伝え方、伝達方法、話し方、本人の業務の理解度も大きく変わるのです。責任を与えることで人が変わることを顕著に感じることができると思いますので、ぜひ試してみてください。

指示が上手な人の共通点

上手な指示の出し方をする人の共通点は、相手の立場に立って物事を考えられることです。また、「自分にとって」ではなく「あなたにとって」という言い方をする人が多いのです。もし、指示不足でミスが起きてしまったときは、逆にチャンスです。その相手と、じっくりと、どうすればミスが起きないのかを話し合えるからです。これはアルバイトスタッフに限りませんが、ミスが起きて反省しているとき、人は最も聞く態度になっています。この機会を最大限に利用して、相手の考えていることを聞き出し、すぐに活かすと良いでしょう。上手な指示出しとは、相手の状況や心情に配慮した指示を出すということです。また、指示を出す人は最終的には自分で考えて指示を出すようにならなくてはいけません。そのためにはじめは、具体的な指示を心がけて身体で覚えさせるので十分です。なぜならば、彼らに答えを求めても、経験が少ないうちは答えを導き出すことも、導く方法すらも知らないからです。それが経験を積むことで、次第に体験となって彼らの脳に焼きつくようになります。最終的には、相手の成長を見ながら彼らの体験の中からその後どうやって育成していくべきかの答えを引き出してください。基礎の上にしか個性を築くことはできないからです。そして、もう一つだけ意識してもらいたいことがあります。それは、自分自身の指示出しを改善するだけではなく、周囲にも改善してもらえるようにすることです。あくまでも本書は、この本を読んでくださっているみなさんが所属する「チーム」が成長していくことを目的としているからです。まわりの人が大きく変わり始めたとしたら、みなさんの指示出しは素晴らしいということですし、変わらなければ改善が必要なのです。自分だけではなく、まわりを巻き込んで、どんどんトライしてみてください。行動なしでは変化は起きません。

叱られたことが原因でアルバイトは辞めない

最近は叱られたことがない若者が多く、彼らを叱るとすぐに辞めてしまうため、なかなか叱れない上司が増えたそうです。私の経験では、叱られたことが原因で辞めてしまったという話は聞いたことがありません。社員もアルバイトスタッフも両方です。そもそも、叱れない上司など管理職の役割を果たしていないといっても過言ではないでしょう。それでは、なぜ叱られたせいで辞めてしまうと考える人がいるのか?ここに大きな勘違いがあるのです。社員でもアルバイトスタッフでも、叱られたせいで辞めてしまったのではありません。良好な人間関係を構築できなかったから辞めてしまったのです。日頃から相手のことを考えず、良好な関係を築けていないことが原因なのです。叱り方を考える前に、叱ることができる環境づくりを日頃から意識することが大切です。日頃から愛情をもって相手と付き合っていれば、感情的に叱りすぎても大丈夫なものです。すべては日頃の愛情を感じる環境なのです。そこで、どう叱るかよりも、誰に叱られるかが重要となります。私の会社では、「こんなことがあったから、○○さんをきつく注意しておいて」という会話がよくあります。誰が誰を叱るという役割がしっかり決まっているのです。人間関係が構築できていない人を叱ることは、辞めてしまうことにつながります。そのためにも、叱る役割の人は叱ることができる人間関係を常日頃から構築しておかなくてはいけないのです。これができていれば、叱り方はさほど意識しなくても大丈夫です。叱り方以上に大切なのは、誰に叱られるかということです。叱り方を考える前に、叱ることのできる人間関係を築けるように、日頃から愛情のあるコミュニケーションをとっていかなければなりません。◆ときには「怒る」ように感情を乗せて叱る恥ずかしながら、私は叱るのが下手です。すぐに感情的になってしまうのです。「叱る」と「怒る」の違いを聞いたことがあると思いますが、私の場合は「怒る」になってしまうのです。しかし、直すつもりはありません。開き直っているわけでもありません。何かを伝えたいときは、感情を乗せて話すことが大事だと思っているからです。うれしいことも悲しいことも、愛情や感謝の気持ちも、人に何かを伝える際には感情を乗せて話す方が絶対に伝わりやすいのです。

私は滑舌が悪く、学生時代はよく馬鹿にされたものです。頻繁に、言葉もかみます。ら行を発音するのも苦手です。舌が短く、話すことにコンプレックスがあるのです。それでも人前で話すことも多いので逃げることはできません。しかし、こんな私でも話し方を褒めていただけることもあります。言葉に感情が乗っているからだそうです。今では、言葉に感情を乗せて話すことを心がけています。「怒る」ことを勧めるつもりはありませんが、私のように「叱る」ことが苦手な人もあまり気にしなくて良いのではと思います。

叱らない職場に、一生懸命働く人はいない

アルバイトスタッフの叱り方で、社員の叱り方と大きく違う点があります。一般的に部下を叱るときには、人前を避けるというのがセオリーです。確かに、社員であれば、彼らのプライドを傷つけないように配慮することも大切かもしれません。しかし、アルバイトスタッフを叱る場合は違います。必ず人前で叱るよう意識してください。彼らにも当然プライドはありますが、アルバイトスタッフの方が社員と比べて叱られることに対するストレス耐性が強いと私は思います。プロ意識の高い優秀なアルバイトスタッフの場合は、社員同様の配慮が必要ですが、一般的なアルバイトスタッフの場合は良くも悪くもプロ意識が低く、仕事に対するプライドは社員ほど高くはありません。アルバイトスタッフの場合は、それ以上に意識しなくてはいけないことがあります。まわりへの影響です。私がこの業界に入って一番驚いたのが、先ほども問題に上がった叱らない環境でした。これは決して最近に限った特徴ではないと思います。叱ることで辞めてしまうのが怖いのでしょう。しかし、アルバイトスタッフがいる組織の中では、叱ることが絶対に必要です。一生懸命に働く真面目な人が悔しい思いをするような馬鹿げた環境をつくってはいけないからです。アルバイトの世界には多種多様な人がいます。私はフリーターのときに、一緒に働くアルバイトスタッフがサボる姿をよく目にしていました。なるべく楽をして、お金をもらおうとする人は少なくありません。では、自分の行動はどうだったのかと聞かれると、人のせいになってしまうのですが、その当時に働いていた会社の環境次第で大きく変わっていました。サボるアルバイトスタッフに対して、その会社が叱ることも注意することもあまりない場合、真面目に働くことが馬鹿らしいので、私もサボっていました。今では申し訳なく思っていますが、ある通信会社で営業のアルバイトをしていたときは、外回りの営業中にもかかわらず、朝から晩まで遊びほうけていたことさえあります。しかし、別の会社での営業のアルバイトをしていたときには、結果を求めて必死に働き、アルバイトという立場でありながら、その会社の社員も含めた全国の営業150人のなかで1番の成績で表彰されたこともあります。遊び続けた営業も表彰された営業も、両方とも同じ営業職であり、販売商材も一緒、働いていたときの年齢も同じでした。かたや遊びまくりのダメ営業マン、かたやトップセールスマン。いったい何が違ったのでしょうか?

それこそが環境の違いなのです。アルバイトスタッフがモチベーションを高く働ける環境づくりによって、結果が大きく変わるのです。その重要な要素の1つが、叱ることのできる環境だと私は思います。勘違いしてほしくないのが、叱られるから働くのではないということです。自分が叱られてしまうから一生懸命働こうなどという恐怖政治は、アルバイトスタッフにとっても会社にとっても良い環境であるはずはありません。叱ることのできる環境は、一生懸命働いている人たちのために重要なのです。ルールを守らなくても不真面目でも叱られることがなく、真面目に仕事をしている人が損をする印象があると、彼らのモチベーションを下げてしまうことになります。それを防ぐためにも、叱られているところを見せることが大切なのです。ですから、叱ることを避けては絶対にいけないのです。見せしめではないかと言われてしまうかもしれませんが、見せしめでも構いません。◆叱る基準と理由をはっきりさせるしかし、1つだけ絶対に守らなくてはいけないのは、叱る基準と理由をはっきりさせることです。なぜなら、叱られる側が「あぁ、叱られてしまう……」と事前にわかるようにすることが大事だからです。「なんでこんなことで叱られるのだろう?」と不満に感じるのは、会社とアルバイトスタッフが価値観を共有できていないからです。叱ることのできる関係を構築すると同時に、はっきりとした叱る基準を事前に周知させなければなりません。私の場合は、遅刻と一生懸命さという基準を設けています。わかりやすい例が遅刻です。すべての遅刻をNGとしているわけではなく、連絡のない遅刻と連絡の遅い遅刻は叱ります。もちろん、理由が利己的なものは論外です。この基準は会社のルールとしてはっきりと設けています。具体的には、遅刻するかもしれないという時点で連絡を入れる、何分遅刻するのかを伝える。以上、2点だけの非常に簡単なものです。しかし、この簡単なことが守れないと、場合によっては罰金を課します。遅刻がなぜ駄目なのか。その理由は人に迷惑をかけるからです。いくら遅刻したって人に迷惑をかけることがないなら叱りはしません。しかし、誰かを待たせている時点で、人に迷惑をかけてしまっています。だから遅刻は駄目なのです。特に我々の業界では、遅刻が大きな問題になることもあるのです。時間を守るという基本的なことは、ルールを守るという会社の風土を作る上で非常に重要です。そのため厳しく指導しています。明確な基準をはっきりとさせておけば、叱ることに問題はありません。叱り方も重要ではありません。その代わり、明確な基準がはっきりとしていない場合には、絶対に人前では叱ってはいけません。日頃から叱る準備をしておくことが大切です。また、人前で叱ることで、何が間違っていたのかをまわりと共有するメリットもありま

す。そのためにも、意識的に人前で叱ることには大きな意味があるのです。もちろん、叱られる相手のことを考えた叱り方も軽視できませんが、叱り方は下手でも構いません。まずは叱ること、これが絶対に大切です。

叱るときは、3つのルールを守りなさい

私は叱るときには次の3つのルールを守るようにしています。これは社員に対してもアルバイトスタッフに対しても同じく当てはまることだと思うので、参考にしてみてください。◆理由の説明なぜ叱るのか、その理由をしっかり説明します。論理的に説明しようとすることで、意外と冷静になれます。しかしここで一番重要なことは、「人柄」を責めるのではなく、起こってしまった「事柄」を責めることです。感情的になると、その人柄を叱ってしまう恐れがありますが、具体的な事実に沿って説明しながら叱ることで、何を叱るべきかを見失わないですみます。叱る方と叱られる方、双方にとって良いのです。「人柄」ではなく「事柄」を叱る意識が大切なのです。◆アドバイス何のためにあなたは叱っているのでしょうか。成長してほしいという愛情から叱っているはずです。しかし、私のように感情的になっているときは、この目的を忘れてしまいそうになることもあります。そこで、必ず叱るときの約束として、1つで良いのでアドバイスをするように心がけてください。具体的なアドバイスをするためには、具体的な事実をしっかり考える必要があります。何を叱るかということからも外れないで済みます。そして何よりも、アドバイスという行為から、みなさんの愛情を感じることができるからです。愛情のない相手にアドバイスなどしないことは、冷静になれば誰でもわかるものです。愛情があるからこそ叱っているんだということに気づいてもらうためには、アドバイスをすることが大切です。◆フォロー最後に基本的ではありますが、フォローが重要です。そして意識してほしいのは、アフターフォローではなく、叱っている最中からフォローすることです。一言で構わないので、必ず褒めてあげてください。どんな失敗でも、見方を変えれば良い部分が必ずあります。そこを無理矢理でも良いの

で褒めましょう。話を聞いてみて、前向きな失敗であれば、褒める方向に話が変わることもあります。後ろ向きであったとしても、どこかに褒められる要素があるものです。起きたことやそのときの心情に褒める要素がなくても、今の心情に変化があれば、十分褒める要素になります。それもなければ、もっと過去にさかのぼれば良いのです。褒める場合には、叱ることとは違い、その「人柄」を褒めることが許されますので、人にフォーカスすれば必ず何かが見つかります。どんなに感情的になってしまっても、褒める一言で印象が変わることを忘れないでください。そこから愛情を感じることができるのです。結局、叱るにしても怒るにしても、あなたに愛情があるのかどうかは必ず相手に伝わります。愛情を感じることもなく、上司として尊敬することもなければ、アルバイトスタッフは簡単に辞めてしまうでしょう。これまでアルバイトスタッフを見極める話をしてきましたが、彼らもあなたを上司として常に見極めようとしています。特に叱る場面では、上司としての資質が顕著に現れます。見くびられることを恐れて、叱ることのない上司は管理者として失格です。

影響力のある褒め方をする

みなさんは、「ほめ達!」検定をご存知ですか?一般社団法人日本ほめる達人協会理事の西村貴好さんが、褒める力を養うために行なっている検定です。ちなみに私の会社の社員は全員、ほめ達3級です。私もたくさんのアルバイトスタッフと接してきて、本当に褒めることの大切さを感じています。特に20代の若者は承認欲求が非常に強い。認められたい、褒められたいという気持ちが非常に強いのです。上司だけではなく、同僚、仲間、お客さま、承認されたいという対象はバラバラですが、誰かに認めてもらいたい、褒めてもらいたいと強く思っているのです。よく「まわりなんか関係ない」と生意気を言っている若者もいますが、そういう若者の方が間違いなく承認欲求が強いのです。若い頃の私が良い例です。20代の頃は、フリーターということで、社会から認めてもらっていない気持ちから、社会に反発心を持っていました。そのため、「まわりなんか関係ない、別に評価なんかされなくて良い」なんてよく言っていたものです。認めてくれない社会への反発心にすぎないのです。個人に対しても同じです。自分を認めてくれない人に対しては、関係ないと言って、反発しているだけなのです。しかし、自分の好きな人、尊敬する人から褒めてもらえたときは、本当にうれしく、そのためにも頑張ったものです。反発してしまう人間関係は、双方にとって大きなマイナスです。そのためにも、日頃から褒めることを意識した関係が大切なのです。ほめ達の西村さんの言葉をお借りすると、相手の価値を日頃から見つけてあげるのが重要なのです。アルバイト教育では人前で褒めることと、人影で褒めることを使い分ける必要があります。ここは慎重に判断するのが大切です。褒められればモチベーションが上がるのは当然ですが、一方で、そのまわりにモチベーションを下げてしまう人がいるかもしれないのを忘れてはいけません。「私の方が頑張っているのに……」と思われ、誰かを人前で褒めることが逆効果になってしまうのです。そのためにも、個人的な評価のうち基準の曖昧な「頑張り」みたいなものは、人前で褒めることは避けた方が無難です。はっきりした「数字」や「行動」のような明確な判断や、ここを見習ってほしいというような価値観を共有させたい内容に関して、人前で褒めることが効果的です。コツとしては、叱ることと似ているのですが、具体的な「事柄」を褒めるのは人前が有効で、「人柄」を褒めるときは慎重にまわりを見なくてはいけません。「人柄」を褒める場合は人前を避けたほうが無難です。妬みをつくるきっかけになってしまうことがあるからです。

褒めることがマイナスの結果を生み出してしまうことも考えると、人前で褒めるのが有効である「事柄」について褒めるようにすることをお勧めします。そのためにも、なるべく具体的な行動にフォーカスをして、価値を探してあげましょう。◆「らしいね」で拍車をかける直接アルバイトスタッフとやりとりしなくても、「褒める」ために重要な作業があります。誰かが誰かを褒めていることに、重ねて褒めることです。人に任せるようになってから、私が直接アルバイトスタッフと接する機会がかなり減りました。社員やディレクターが、アルバイトスタッフとのやりとりを直接しているからです。それでは、なかなか褒める機会もありません。しかし、私のような立場の人間でも効果的に使える、褒める技があります。「らしいね」という言葉です。「最近、頑張っているらしいね!」のように使います。日常の会話や電話、日報から聞こえてくる情報に聞き耳をたてて、「らしいね」を使って褒めるのです。人づてに聞いていると思わせることで、自分のいないところで良い噂が広がっているように思わせるのです。実際に私に聞こえてくる場合は、良い噂になっていることが多くあります。あえてもっと大きな噂になっているのではないかと期待させることに、効果があるのです。あまり会話もない上司などから、いきなり「最近頑張っているらしいね」なんて言われたらうれしくないですか?自分の上司が様々なところで、自分のことを褒めてくれているのが想像できませんか?このように喜びに拍車をかけることになるのです。叱る場合も褒める場合も、人前でその人を評価することで、まわりで聞いている人がどう感じるかを考えることが重要だということです。どちらも対象者のモチベーションだけを考えがちになりますが、同じ行動でもまわりの人に与える影響を考えて、効率良く環境をつくるのです。自分の1つの行動を、対象者1人だけへの影響だけではなく、少しでも多くの人への影響力と考えることで、より効果的な教育になります。◆褒める仕組みをつくる褒めることが大切なのはわかっていても、なかなか実行に移せない人も多いと思います。照れくさかったり、その人のキャラクターだったり、いろいろあるとは思いますが、褒める習慣がない組織は絶対に良くありません。そこで、「褒める仕組み」をつくることをお勧めします。みなさんの組織の中に、「褒める」を強制することを仕組み化してしまうのです。仕組みによっては、みなさんが褒める必要もありません。大切なのは「褒める仕組み」が社内にあるだけで、環境が大きく変わることです。誰が誰を褒めるということは重要ではないのです。例えば、お客様の声を貼り出すのもいいかもしれません。私の会社では、うれしいお客様からの声をもらったときは、必ずメールか口頭どちらでも良いので、全社と共有するこ

とが義務づけられています。前述したアンケートも「褒める仕組み」に一役買っています。アンケートに書かれている褒め言葉は必ずアルバイトスタッフへ伝えることが義務付けられています。義務というと、少し違和感があるかもしれませんが、お客様からでも、同僚からでも、上司からでも、良い評価を伝えないのは管理者の怠慢でしかないと思います。本来は伝えなくてはいけない大切な情報だからです。そういう意味でも、良いことは義務づけて良いのです。

Chapter9優秀なアルバイトを社員にする方法

中小・ベンチャー企業は、社員はアルバイトから採れ

仕事を選んでいる若者と人材を選びたい会社の関係は、非常に難しい問題です。アルバイト募集と正社員募集にここまでギャップが出てくるのはなぜなのでしょう。おそらく、募集のハードルの設定が大きいのではないかと私は思っています。募集のハードルというのは二つの視点があります。「募集する側」と「応募する側」の双方からの視点です。受け入れ側の企業では、社員募集にはそれなりの高さのハードルを設定します。アルバイトの採用に比べて、書類選考の段階から正社員の募集は厳しく選考しているはずです。言い換えると、かなりレベルの高い人材を期待して探しているのだと思います。こちらの期待が高いのであれば、結果は自ずと厳しい評価となるのは当然です。ただ、重要なのはもう一つの視点、応募者側からの視点です。先日、正社員の募集で、こんなことを言う人がいました。「なぜ、私なんかを面接してくれたのですか」。おそらく、たくさんの会社から書類選考の段階で落とされていたのでしょう。自信も喪失しているのだと思います。履歴書や職務経歴書から見えてくるものもありますが、現在の能力ではなく潜在能力を重要視する私は、学歴も職歴も気にしないので、まずはお会いしたいからですとお答えしました。このとき感じたのが、応募者側も正社員採用には、かなりの高いハードルを感じているということです。特に職歴がアルバイト経験しかない人などは大きなハードルを感じているようです。そのため、応募する前から諦めている若者も多いはずです。気合をいれてチャレンジしろと活を入れたくなる気持ちは置いておいて、このハードルが社員採用よりもアルバイト採用に人が集まる傾向に、大きな拍車をかけているようです。この方法は、アルバイトと正社員を同時に採るような新規店舗のオープンなどに使えます。我々のような企業にとって、社員募集の媒体は値段も高いため、採用単価が上がってしまいます。にもかかわらず、実際に集まる人数も質も、満足できることは少ないことが多いです。そこで社員募集ではなく、アルバイト募集をかけて集まってきた人の中から良い人材を社員として採用するのです。昔と違って、アルバイト募集に集まってきた人が社員採用に興味がないということはありません。本当は社員になりたいという人も非常に多いのです。実際、社員登用がある方がアルバイト募集も人気があります。まずはアルバイトからと思っている若者も多いのです。それであれば、こちらのハードルをあえて下げることでたくさんの人を集めて、その中から良い人材を採用するほうが、募集単価もより効果的な採用ができるのです。採用基準を下げる必要はありませんが、募集基準を下げることでみなさんの会社を見てくれる人を増やすことができます。ぜひ一度、試してみてください。

それでもミスマッチは起きる

前項ではアルバイトを正社員登用することのメリットをご紹介してきましたが、反対に難しい側面が存在していることも事実です。「アルバイトスタッフとして仕事をしてきてくれたのだから、正社員として採用すれば同じように活躍してくれるだろう」「正社員の採用には手間暇と費用がかかるので、アルバイトスタッフから社員を採用しよう」という安易な考えだけで正社員登用を進めてしまうと、思わぬミスマッチを起こしてしまうことがあります。「水は低きに流れ、人は易きに流れる」という言葉がありますが、採用の面でもつい易きに流れた考えをしてしまうことがあります。例えば、「彼は機転が利いて責任感を持った仕事振りだから、社員になってもらっても同じような仕事振りだろう」という理由で社員登用をしたものの、本人はアルバイトのときとは違う周囲の期待や責任の重さに負けて精神的に潰れてしまうということもあります。逆にアルバイトスタッフから社員になるスタッフの方も、「他にやりたいことがないし、就職活動もしたくないから」といった消極的な考えで社員になり、こちらが期待したような活躍をしてもらえないことも往々にしてありうるでしょう。「就職活動とは結婚活動だ」なんてよく言われますが、長く付き合ってきてお互いによく知った相手のつもりでも、結婚してみたら意外と上手くいかなかった……といった失敗談に、どこか似ているかもしれません。こうしたミスマッチは決して防ぐ手段がなく、採用は結局最後は運に任せるしかないのかと聞かれれば、私はそうではないと考えています。私たちは何度かの苦い経験の中から、ミスマッチを防ぐための手段をいくつか考案しました。もちろんコストや時間はかかりますが、会社にとっても本人にとっても不幸な事態になってしまうことを避けるため、必要な投資だと考えています。①適性検査ツールによるマッチングまず第一に当社が導入しているのが、適性検査ツールによる各スタッフの価値観分析です。選択式の質問に答えてもらって、答えの傾向からその人の性格や価値観を分析して評価の指標とするものです。大手企業では何かしらのツールを使用しているとは思いますが、中小企業ではまだまだ普及率は低いようです。当社でも役職ごとに様々なツールを使い分けて人材の分析を行っていますが、社員採用を行う際に必ず取っているのが株式会社ヒューマンキャピタル研究所の提供しているHCi

ASという適性検査です。大変有名なものなので、皆さんの会社でも導入されていることは多いのではないでしょうか。このツールの大きな魅力は、事前にテストを行う必要がなく、その場でテストを行い、最短10分ほどで出る結果を見ながら面接を行えるところです。評価対象を目標追求力、対人力、主体性という3つの能力に分けて評価を行い、またこれとは別にストレス耐性のチェックも行ってくれます。「その人を採用すべきかどうか」という判定も行ってくれますが、体感として約50%ほどは「再検討の余地あり」という結果が出てきて、この判定の方たちは面接をしっかりと行って人間性を判断しています。面接については前述したように、履歴書に書かれていない裏の情報をしっかり聞き出し、テスト結果と自分の判断に整合性を求めることが大切です。逆を言えば、多少結果が悪くても自分自身の納得感が持てるまでしっかりとした会話をすることです。裏打ちされたデータと自分の感覚の両方の精度を上げなくては、ミスマッチが起きてしまうのです。また、HCiASは確かに有効で信頼できるツールですが、あくまで能力の高さを測って基準に満たない候補を除外するためのものです。そのスタッフが会社の足りない要素を満たしてくれる人間なのか、どんなポジションに配属すれば力を発揮してくれるのかといった要素を見るには、また別の検査が必要になってきます。当社がもう一つ利用しているのは、株式会社EGIJ(エマジェネティックスインターナショナルジャパン)が提供しているエマジェネティックスというプロファイリングツールです。人の思考の傾向を「分析型思考」「構造型思考」「コンセプト型思考」「社交型思考」の4つに分類し、どの思考特性の傾向に偏っているかを評価するという特徴を持っています。たとえば私の場合は「社交型」の傾向が顕著に高い思考スタイルで、こうしたタイプはマネジメント職に向いています。代表の馬場社長は「コンセプト型」が高い思考スタイルで、コンセプトを打ち出せる能力がリーダー職には必須だという事実が見えてきました。また、私が率いているチームには「分析型」の傾向が強い人間が多くて、勢いで進んでしまいがちな私のことをチームが支えてくれているかたちです。私自身、実感として分析型の人間と一緒だと仕事をしやすいと感じていて、このタイプの社員を優先的に集めてチームを作るようにしています。それともう一つ、経営に近い人間はほぼ全員「構造型」が低いという傾向も見えてきました。この傾向が高い人間は、指示やルールを忠実に守って仕事をしてくれる、会社には必要不可欠な人間ですが、経営には向いていないというのも事実です。おそらく日本人にはこのタイプがもっとも多く、構造型思考のアルバイトスタッフたちを私たちがうまく導いていくのが仕事のコツなのではないかと思います。まずは社内の人間たちに検査を実施してみて、自分の会社にどんな人間で構成されているか分析してみることで、自然と欲しい人材の傾向も見えてくることでしょう。

②有期雇用期間を設けるもう1つ当社が制度として行っていることが、アルバイトをいきなり正社員として採用するのではなく、一定の有期雇用期間を設けることで最後のマッチング確認を行うことです。どれだけ慎重に協議をして分析を行っても、雇用が上手くいくかについては未知数な部分が多々あります。多くのアルバイトスタッフを正社員採用してきた蓄積を持つ当社でも、このリスクを完全に解消できているわけではありません。しかし「半年間の有期雇用期間」を設けることで正規雇用のデモンストレーションを行い、このリスクをかなり低減させることができます。社員としての責任やプレッシャーに耐えることができるのか、本人や会社にとってミスマッチに感じる部分がないか。有期雇用の6ヶ月間で最終確認を行うことで洗い出しを行います。仮に正社員として思うように働けないことがわかったとしても、有期期間の終了とともにアルバイトスタッフに戻ってもらうという調節も可能です。いきなり正社員登用するというイチかバチかのギャンブルになってしまうのは、会社にとってもアルバイトスタッフにとっても損な状況を生み出してしまいかねません。また、最後にもう1つ。有期雇用期間を設けることは、会社にとってリスクを防ぐだけでなく、大きなメリットをもたらします。それは厚生労働省が実施している「キャリアアップ助成金」と呼ばれる助成金制度です。支給対象となる事業主に通算して6ヶ月以上雇用されていることや、採用後6ヶ月以上の雇用関係が存在するなど、細かい条件はありますが、中小企業では1人につき最大72万円の助成金を会社は得ることが可能です。また、採用者にも無事に正社員になった場合に10万円のボーナスを支給などすれば、本人のモチベーションになることはもちろん、求人広告に「10万円の採用ボーナス支給」などの記載が出来るのです。少々生々しい話になってはしまいますが、アルバイトの正規雇用は国からも奨励されている時代の流れと考えれば、むしろ積極的な登用へのモチベーションにもなるでしょう。

夢やビジョンを語る

優秀なアルバイトスタッフ、特に学生スタッフを社員として採用するためには、会社に夢やビジョンが必要です。特に昨今では、経営者やリーダーが現場に赴き、アルバイトスタッフに直接、夢やビジョンを語りかけることで、優秀な人材を社員登用するケースが増えています。社員になってもらうには、給与や職場環境などの就業条件はもちろん入社の理由になりますが、近年では、「その会社には夢やビジョンがあるか?」「会社の成長を通じて自分が成長できるか?」ということを、入社を決める理由として考える若者が増えています。当社もそうですし、私の知る多くの会社では、社長の夢やビジョンが現場のリーダーまで浸透し、そのリーダーたちがアルバイトスタッフに夢やビジョンを語っています。これを繰り返すことで、「この会社に入ってもいいかなぁ」と優秀なアルバイトスタッフに会社に興味を持ってもらえます。当社では、大手や有名企業からの内定を断り、当社に入社をしてくれる学生スタッフが多くいます。学生側にしても、就職活動の短い期間や少ない接点で自社の夢やビジョンを語られるよりも、アルバイトの長い期間を通して夢やビジョンを語ってもらい、そしてそれを仕事の現場を通して体験できれば、入社へ心が動くことでしょう。最近、大企業がインターンシップ制度を設けているのも、同様の意図でのことです。夢やビジョンは、語りかけるだけではなく、きちんと明文化をしましょう。もしあなたの会社が掲げている理念やビジョンが、ありきたりで平凡なものであったとすれば、就職を考えるスタッフにとっても平凡な会社としてしか映りませんし、同じ目的を掲げている大手企業に負けてしまいます。中小・ベンチャー企業には、独特な哲学や理念を持っている経営者がとても多いと思います。そして何より、大手企業には無い大きな夢やビジョンが中小・ベンチャー企業にはあるはずです。そうした独自性を夢やビジョンをとして積極的に打ち出すことは、今いる社員に対してだけではなく、優秀なスタッフを社員として登用するために必要な準備なのです。

将来の仕事につながる人脈になる

アルバイトスタッフを正社員に登用すると、様々なメリットがあることをお伝えしてきましたが、こうしたメリットはあくまで会社にとってのメリットにすぎません。会社には会社の、スタッフにはスタッフの都合が存在しています。実はせっかく「正社員にならないか」と誘ったスタッフから、逆に「他に勤めたい会社がある」と振られてしまうこともしばしばで、その度に寂しい思いを味わいました。しかし、「せっかく誘ってやったのに断るとはなんだ」と批判することだけは絶対にしてはいけません。彼らは自分なりに夢や目標を持っていて、目の前の「易き道」に流されない意思も持った立派な社会人です。アルバイトスタッフだからといって軽んじたり、見下したりしても決して良いことはありません。例えばみなさんは、アルバイトを人脈と考えたことはありますか?経営者の方々は、アルバイトスタッフ一人一人と深くコミュニケーションをとる機会は少ないかもしれません。しかし、アルバイトとあなどるなかれ、彼らの将来は、みなさんの将来同様に無限に広がっています。せっかく繋がった縁として大切にしていると、思わぬところで仕事に繋がることは多いものです。私が今の会社に入って14年経ちましたが、入社当時アルバイトスタッフとして働いていた若者も、今や30代半ばの立派なビジネスパーソンです。彼らが卒業するときに言った「いつか一緒に仕事しような!」という言葉が、実現する機会が最近増えてきました。彼らの成長を感じるうれしい瞬間でもあります。社員にならないかと誘って断られてしまったときも、ぜひ同じように温かく送り出してあげて欲しいと思います。現在、渋谷にある当社は、ある不動産会社の紹介で非常に好条件で入ることが出来ました。この不動産会社の社長は、私の会社のアルバイト出身者です。15年以上昔の話になりますが、イベント現場で活躍してくれていた姿を今でも思い出します。彼の会社には、好条件の現在のオフィスを見つけてもらったり、店舗運営もする当社の新規物件を探してもらったりしました。新規クライアントとして、大手企業を紹介してもらったこともあります。15年以上昔のアルバイトスタッフが、今では私たちにとってはなくてはならないパートナーになっているのです。また、私自身がフリーターだった時代の繋がりは、大切なクライアントとなり、今の私を支えてくれています。金額にすると億単位のビジネスになっています。アルバイト、社員、経営者などの立場に関係なく、縁を大切にしてください。打算的でも、無意識でもいいから、今の仲間との縁を大切にすることを、常にアルバイトスタッフには言い続けています。みなさんもアルバイトスタッフとの人脈を大切にしてみてください。思わぬところでビジネスチャンスに繋がるかもしれません。

おわりに

2017年の大卒就職内定率が過去最高であったというニュースは、記憶に新しい方も多いと思います。この本が出版された2012年はまだまだ就職氷河期と言われており、ここ7年間で雇用環境は劇的に変貌しました。そのような時期であったため、当時の私は、「アルバイトだけでまわるチームをつくろう」という少し刺激的なタイトルに興味を持った経営者や社員の方々に、アルバイトスタッフに対する考え方を見直してもらいたい、ひいてはアルバイトスタッフの労働環境が少しでも良くなればという強い想いがありました。しかしながら、雇用環境の大きな変化によって、人手不足に苦しむ経営者や社員の方々が私のまわりにも多くなり、そんな苦労をしている方々に少しでも私のノウハウがお役に立てればという想いに大きく変わっていました。ただ、この環境の変化の中でも二つの変わらなかったものがあることに気づきました。ひとつは働く側と雇用側の関係性を良くしたいという想い。社員であれ、アルバイトであれ、今の仕事にやりがいを感じて楽しく仕事が出来れば、雇用側と働く側の双方にとって幸せなことだと思います。そして、もうひとつがやるべきことは同じだということ。改訂版ということで、久しぶりに拙著を読み返して思ったのが、今とやっていることは変わってないという気づきでした。どんな環境であれ、組織の人数が変わろうとも、働いてくれる人たちのために会社ができることを愚直に進めることが組織を成長させるためには欠かせないことだったと今更ながらに感じております。私は自分の会社のアルバイトスタッフたちが大好きです。笑われてしまうかもしれませんが、本気で好きなのです。片思いのことも多いのですが、教育を行う人にはわかってもらえる感覚だと思います。自分の想いや会社の想いを理解してくれて、愚直に努力するアルバイトスタッフの姿を見て嫌いになれるはずがありません。教えることで、どんどん人が好きになっていくのです。私は、この教える楽しさを知らない人が世の中にまだまだ少ない気がするのです。他人に関する関心が減り、利己主義的になっている現在の世の中に疑問を感じます。特に次の世代を担う若者には、我々のような先輩が教える意味が大きいと思います。私は当時、日本元気塾というビジネスパーソンを対象とした教育プログラムに通っていました。六本木ヒルズにあるアカデミーヒルズ(森ビル株式会社が運営する社会人向け教育機関)が行なっているビジネスセミナーで、一橋大学イノベーションセンター元教授の米倉誠一郎氏、フランフランを運営する株式会社バルスの高島郁夫社長、エンツォフェラーリをデザインした奥山清之氏という方々にビジネスのみならず、生き方を教えていただきました。このプログラムは、日本元気塾という名前の通り、日本を元気にするという目的で設立されました。有料プログラムであるものの、ビジネスで成功している彼らにしてみれば、使命感からボランティアで教えてくれているようなものだということは、容易に理解できます。彼らは本気で日本を元気にしたいのです。だからこそ、誰よりも忙しい時間を割いてでも、人に教えることを続けているのです。それは成功者である彼らだからできることなのでしょうか?私は絶対に違うと思います。まだまだ成長段階にある私たちにもできることはたくさんあるのです。アルバイトであっても私の会社にいる限りは、働いて稼ぐお金以上に、私たちの持っているノウハウや考えを教えることで、それが彼らの将来に繋がる力となってくれればと考えています。時間の切り売りと言われてしまうアルバイトであっても、多くの学びに繋がることはたくさんあるからです。それが結局、自分の会社を成長させることなのです。アルバイトスタッフの若者たちにも言いたいことがあります。アルバイトも社員も関係ありません。学生もフリーターも関係ありません。お金をもらっている限りは、本気で働いてほしい。自分のことを所詮アルバイトだと嘆いている人に言いたい。そんな人は立場が変わっても、自分は所詮サラリーマン、自分は所詮中小企業と嘆く未来が待っているだけです。あなたが変わらなければ、何も変わらないのです。他人と過去は変えられませんが、自分と未来は変えられるのです。先人たちにもアルバイトから人生を切り拓いた人はたくさんいます。吉野家の安部修仁社長やブックオフの橋本真由美会長は、アルバイトから上場企業のトップになったのは有名な話です。他にも日本には同じようなキャリアを築いた社長は数えきれないほど沢山います。共通するのは、彼らは必死の努力で這い上がったという事実だけです。もちろん社長になることだけがキャリアだなんて言うつもりはありません。どんな仕事であれ、どんな環境であれ、目の前の自分の仕事に努力を続け、楽しむことが出来ている人は、必ず結果が変わってくるということだけは忘れないで欲しいと思います。本書を作るにあたり私を支えてくれたみなさま、そして私の現在までを支えてくれたみなさまに感謝をして、これから恩返しをしていければと思います。まだまだ、成長しなくてはいけない自分ですが、そばにいてくれる方への感謝を決して忘れはしません。そして最後に、本書を手にとってくれたみなさまに感謝をして、筆を置かせていただきます。本当にありがとうございました。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次