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まずは月に一度、正しい月次決算をする

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まずは月に一度、正しい月次決算をする

プロローグでは、正しい経営をするためには「管理会計」が必要なこと、そのためには「月次決算書」の数字を正しく読むことが必要だと説明しました。

ところが、多くの中小企業の社長は、「月次決算書」を作るところからつまずいています。

なぜなら、そもそも毎月の月次決算がきちんとできていないからです。

中小企業の多くは「月次決算書」を正しく出せていませんし、そもそも「月次決算をする」という発想がない経営者もいます。

一般に、中小企業の社長は、「損益計算書」( P/ L)や「貸借対照表」( B/ S)などの決算書、いわゆる財務諸表については、「年に 1回、決算のときに取りまとめるもので、税務署に申告したり、決算公告をしたり、借金をしている銀行に求められたら提出したりするものだ」と思い込んでいます。これは間違いではありません。

しかし、財務諸表にはもう1つ、「会社の経営分析ツール」という役割があります。

年次決算の決算書類とは別に、財務諸表を毎月の経営分析ツールとして、見やすい形に作り変えたものが、本書で紹介する正しい「月次決算書」です。

具体的には、「月次損益計算書」(月次 P/ L)、「月次貸借対照表」(月次 B/ S)、「月次キャッシュフロー計算書」(月次 C/ F)の3つを使って、毎月の会社の舵取りを進めていきます。

ここでは、この3つの「月次決算書」の役割を簡単に整理しておきましょう。

●3つの「月次決算書」の本質

弊社では、月次 P/ Lは「運動能力表」、月次 B/ Sは「健康診断書」、月次 C/ Fは「血流検査表」にたとえてお話をしています。

 1つ目の月次 P/ Lからは、会社のその月の「事業収益の能力」がわかります。「運動能力表」でいえば、走る速さや握力などに当たります。

具体的には、「売上高」と「変動費」「固定費」の金額やその推移から「粗利益」や「経常利益」といった儲けの額、売上の増減や費用の内訳を把握できます。

2つ目の月次 B/ Sからは、会社の現時点の「会社の財務状況」がわかります。「健康診断書」でいえば、肥満度や血圧や血糖値などに当たります。

月次 B/ Sには、会社のさまざまな資産がそれぞれいくらあり、どんな借金(負債)がいくらあるのか、すべて詳細に書かれています。

たとえば、手元にある「現預金」、銀行からの「短期借入金」や「長期借入金」がそれぞれいくらあるか、仕入れ先に支払わなくてはいけない「買掛金」や「支払手形」の額などもすべてわかります。

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月次 B/ Sを正しく読めるようになると、現時点の資産のうち、どれくらいが自社のもので、どれくらいが借金によるものかがひと目でわかります。

3つ目の月次 C/ Fからは、「会社の現預金の流れ方や留まり方」がわかります。「血流検査表」でいえば、血液が「現預金」(キャッシュ)に当たります。

具体的には、事業によるキャッシュの出入りや、借金の借り入れや返済などによるキャッシュの出入り、つまりは「会社の資金繰り」がわかります。

手元にいくらのキャッシュが入ってきて、借金の支払い、仕入れなどの支払いにいくらかかるか、資金ショートの心配がどれだけあるかが把握できます。

●ほとんどの社長は P/ Lしか見ていない

ところが、中小企業の場合、多くの社長が月次 P/ Lしか見ていません。  月次 B/ Sは本質を読み解くことが難しく、苦手意識から見ない人が多いのです。多くは目で数字を追っているだけで本質はつかめていません。  ほとんどの中小企業では C/ Fを出していないこともあって、毎月見るべきものだと認識していない人のほうが多いのではないでしょうか。  もし、月次 P/ Lしかチェックできていないのであれば、最悪の場合、黒字倒産もあり得ます。  黒字倒産は、月次 P/ Lでは黒字になっているにもかかわらず、なぜか手元には現預金がなく、支払手形や買掛金の支払いができない、といったことで起こります。  こうしたことを防ぎ、会社を正しく経営するためには、ほぼリアルタイムでの経営状況の把握が理想です。  しかし、中小企業の場合は一部の業種を除いて、そこまでは必要ありませんし、そもそも厳密なリアルタイム会計は不可能でしょう。  ですから、まずは毎月一度、必ず月次決算をし、「運動能力表」(月次 P/ L)だけでなく、「健康診断書」(月次 B/ S)、さらに、「血流検査表」(月次 C/ F)をきちんと出して、必ずチェックするようにしてください。  これができていないと、状況に応じた的確な一手を打てませんし、兆しを捉えて事前に対策を打つこともままなりません。  3つの「月次決算書」は経営の舵取りになくてはならない数字が満載の最重要資料であり、最高の羅針盤なのです。

●会計ソフトがあれば「月次決算書」は簡単に手に入る

会計ソフトやコンピュータシステムを使って会計情報を管理しているのであれば、コンピュータ内に数字が積み上がっているので、「月次決算書」の入手は簡単です。  社長は経理担当者や会計事務所に「月次決算書を出してください」と頼むだけです。  ほとんどの会社で使われている会計ソフトや会計システムには、「月次残高試算表」や月次 C/ Fを出す機能がついているので、3つの月次決算書類は簡単に手に入るはずです。  弊社では、この3つの書類を独自のわかりやすい形にまとめて「月次決算書」として、社長に毎月お渡ししています。  この「月次決算書」を一緒に見ながら会社の状況を説明し、今月はどんな手を打てばいいのかを一緒に考えます。社長には日々、「月次決算書を必ず手元に置いて穴があくほど見てください」とお願いしています。  まずは、毎月正しく月次決算をし、3つの「月次決算書」を手に入れること。  これで毎月の「管理会計」の始めの一歩が踏み出せます。  そして、この「月次決算書」を数字の意味がわかるように作り変え、正しく読むことが次のステップになります。

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