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なぜ経営メンバーとのケンカが発生するのか

 なぜ、創業から 1年前後の時期に、人が辞めていくのでしょうか?  創業社長は、一緒に創業した経営メンバーに対して同じ志を持っている「仲間」という感覚を持つものです。しかし、いくら仲が良かったとしても、他人は他人です。  価値観を同じくして結婚したパートナーでも、結婚後には大なり小なり揉めるものです。  経営メンバーは結婚よりも関係性が薄いうえ、お互いプライベートも抱えています。しかも毎日のように修羅場が訪れるので、構造的に揉めやすい。どんなに強固な人間関係を築いていた間柄だとしても、それを引き裂くほどの力学が働きます。  では、経営メンバーは何が原因で揉めるのか。一番の原因は、会社の舵の取り方、つまり意思決定をめぐるケンカです。  とりわけスタートアップが立ち上げるビジネスは、これまで誰もしたことがない事業がほとんどです。「こっちに行けば正解」という答えが誰にもわかりません。だから、すんなり意思決定できることはほとんどないのです。「俺はこっちだと思う」「いや、私はこういうふうにすべきだと思う」とさんざん意見を戦わせた末に、「これで行こう」と意思決定をするものです。  もちろん、その意思決定がすべて的中し、順風満帆であればよいのですが、そんなことはまずありえない。いや、どっちに行ってもうまくいかないことのほうが多いですから、「予想よりもユーザーからの反響が少ない」「開発が計画通り進まない」「資金が調達できない」といった事態に直面するのが常です。とはいえ、最初のうちは一緒に乗り越えていこうとするものです。  しかし、想像してみてください。その意思決定によってあまりにもうまくいかないことが日常化し続ける。すると、どこかのタイミングから、「揉め事」に発展します。

合議で決めたのに、「この意思決定が信用ならない」「そもそも、何か根本的に考え方が違う」と責任の押し付け合いが始まるのです。  二人で対等に経営する共同経営の場合、どちらかが意思決定をしてうまくいかないことが続くと、もう片方から不満が出てきます。  本当は自分が決めたほうがうまくいくと思っている人も、もう一人に意思決定を任せたほうがいいと考えている人も、結果が出ないままだと、「ダメじゃないか」と不満を持ちます。  私の体感では、二人で共同創業すると、十中八九ケンカ別れします。これは、どちらが悪いというのではありません。スタートアップを起業し、同じ志で続けていくというのはそれだけ難しいことなのです(*)。  そもそも起業とは、ハズレだらけのくじ引きのようなものです。いきなり当たりくじを引けることはめったになく、ほとんどの人がハズレくじを引き続けます。  くじを引くのにもタダでは引けず、そのつど、資金を失います。  資金が潤沢にあれば良いですが、そんなスタートアップはほとんどありません。そのうち、くじを引くのに 500円かかるけど、手元にはもう 1000円しかない。「あと 2回引いてハズレたらどうしよう……」という状況に陥ります。  そこで、もっとくじを引くために金策に走り、資金を調達するわけですが、引いても引いてもハズレくじ……。こうなると、人間のドロドロしたところが出るのは無理もないことです。「自信の塊」のような不屈の精神を持った社長ですらメンタル不調に陥ることもじつは珍しくありません。*志を同じくして集まった仲間ですが、会社が 5年、 8年、 10年続いたとしても、創業メンバーが全員そのまま残る会社はほぼありません。会社が変わっていくにつれて初期のメンバーは入れ替わっていくのが常です。

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