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できるリーダーは、「これ」しかやらない メンバーが自ら動き出す「任せ方」のコツ

はじめに⦿「部下をワクワクさせていますか?」部下やチームのメンバーをワクワクさせているか、どうか…。

実にイヤな質問の1つです。

でも、答えがどうであれ、今は気にしないでください。

むしろ「ウチのチーム(職場)は大丈夫!」と胸を張る人のほうが、心配です。

そもそも、この〝ワクワク〟とは、どういった状態を指すのでしょうか。

私なりの定義があります。

「部下やメンバーが、挑戦を楽しんでおり、仕事を通じて成長を感じている状態」です。

これは、無印良品、成城石井、デニーズをV字回復に導いたプロ経営者、大久保恒夫氏が語った「プロフェッショナルの条件」(※①)からインスパイアされた定義です。

つまり、そんなエキサイティングな状態こそが〝ワクワク〟だ、と考えています。

きっと、同意していただけるのではないでしょうか。

ただ、多忙を極めるリーダーにとっては、部下をワクワクさせるのは容易なことではありません。

でも、そうありたいものです。

だから、この本を書きました。

⦿信頼していた部下からのショッキングな質問申し遅れました。

私は、研修会社を営む、研修講師の伊庭正康と申します。

前職のリクルートでは、営業リーダー、マネージャー、部長を経験し、37歳で関連会社(社内ベンチャー)の代表になりました。

短期間で成果を出す手法を駆使して「残業しないチーム」を実現したこと、また管理職を務めていた11年間、メンタルダウンする部下や入社3年以内の自主退職者を1人も出さずに済んだことが、ひそかな自慢です。

独立後は、累計2万人を超えるリーダー職の皆様に、研修を通じて、この「ワクワクさせるマネジメント手法」をレクチャーしてまいりました。

でも、白状します。

かつての私も「部下やメンバーをワクワクさせられていないリーダー」の1人でした。

リクルートで管理職の駆け出しだった時、信頼していた部下からこんなことを聞かれたことがあります。

部下「伊庭さん、この職場の部下を見て、感じることはないですか?」私「えっ、(じっと、職場を見る)…で、なに?」部下「楽しそうに仕事をしている人、何割くらいいるように見えますか?」これには、参りました。

図星を突かれたからです。

さらに、部下はこう続けました。

「僕らは、いくらでも仕事をします。

ただ、業績を出すだけでは不十分なんです。

その先のことをもっと知りたいんです。

そこは、今こそリーダーである伊庭さんの口から語っていただく必要があると思います」完全にノックダウンでした。

私は「我々の担当地域でシェアを50%とるぞ!」「この部署で売上30億円を目指すぞ!」とは言っていました。

でも、部下は〝それによって何が得られるのか〟を語ってほしいというのです。

この時の私は、恥ずかしながら、そのことを真剣に考えたことはありませんでした。

本書では、昔の私がそうであったように、目の前のことで頭がいっぱいになっている方に向けて、大切な「リーダーのセオリー」を紹介していきます。

⦿「1人で頑張っていませんか?」きっと、あなた自身、ますます忙しくなるばかりではないでしょうか。

また、残業削減を厳しく要請されているのではないでしょうか。

そうなると、部下との会話の時間より、PCと会話(PC作業)をしている時間のほうが多かったりしませんか?また、部下との限られた会話も、「業務の指示・確認」ばかりになっていませんか?こうなると、ワクワクではなく、ソワソワする職場になってしまっていても不思議ではありません。

もしそうだとするなら、あなたは「1人で、頑張りすぎている」のかもしれません。

もっと部下やメンバーに頼ってもいいのです。

職場の様々な役割を、部下に任せてみてはどうでしょう。

そのほうが、部下も成長しますし、自分たちの組織だと自覚するはずです。

ここまで、時短の要請が厳しくなり、しかも管理職としての業務も忙しいとなると、もはや任せるしか方法はないのです。

そうは言っても…。

たしかに、任せることは簡単ではありません。

その難しさは、私も骨身にしみて理解しています。

リクルートで初めてリーダーになった頃、1人で頑張りすぎたため、かえって部下のやる気や主体性を奪っていたという苦い経験があります。

その後、猛烈な反省から、数多くのリーダーを観察し、優れたリーダーシップに共通するセオリーを抽出。

さらにそれを自ら実践・アレンジし続けた結果、ある組織では当初わずか5%だった従業員満足率を95%に高めることができました。

⦿「リーダーなんて向いていない」と思っていた私何を隠そう、私はリーダーになるのがとにかくイヤで、リクルートで営業リーダーになる(させられる)まで、リーダーになることから徹底的に逃げてきたような人間です(小学校時代には、6人グループの「班長」からも逃げました)。

そんな私でも、ちょっとしたコツを知ることで、「任せる」ことができるようになり、リーダーほど面白い経験はない、とまで言えるようになりました。

ですので、今は「任せるのはどうも苦手で…」「リーダーなんて向いていない…」という人も安心してください。

また、意外かもしれませんが、部下は仕事を任せられたとしても面倒だなとは思いません。

任せ方のポイントをおさえておけば、むしろ前向きに頑張ってくれます。

この本では、「任せられた部下がワクワクできる」、そんなマネジメント手法を紹介していきます。

さて、前置きはこのくらいにしましょう。

この本を全部読んでいただくもよし、目次を見て必要な箇所だけ読んでいただくもよし、いずれにしても必ず現状打開のヒントをつかんでいただけると自負しております。

実際、研修をしたリーダーの皆様から、「生まれ変わった」「盲点だらけだった」、そんな声を多くいただいております。

先日も、あるリーダーの方からこんなお話を伺いました。

辞めようとしていた部下が、奮起して社内表彰を受賞し、その壇上の挨拶で、「視点を変えれば、仕事を面白くできることがわかりました」とスピーチされたそうなのです。

上司の関わり方が変わったことの成果でしょう。

もし部下をワクワクさせられていないな…と思われたなら、今こそチャンス到来です。

今度は、あなたが変わる番です。

では、参りましょう!株式会社らしさラボ代表取締役/研修講師伊庭正康※①NHK『プロフェッショナル仕事の流儀』(2009年11月10日放送)よりプロフェッショナルとは、「仕事に楽しく挑戦し、仕事を通して成長できる人。

なおかつ部下を仕事に楽しく挑戦し、仕事を通して成長させられる人」(大久保恒夫)

目次できるリーダーは、「これ」しかやらないメンバーが自ら動き出す「任せ方」のコツはじめに第1章リーダーの悩みは、「頑張るポイント」を変えるだけで解決する01「部下の話」を聞く時間がない…リーダー失格なのか?⦿自分のリーダーとしての「能力」が低いのか?⦿ちゃんと部下の話を聞くと、残業になる⦿「力の入れどころ」を変えれば、解決への糸口が見える02「任せられない」のは、部下のスキルが低いから?⦿経験が邪魔していないだろうか?⦿もし、世の中が自分レベルの人ばかりだったら?⦿「最初の3年」が、部下の将来を決める?03あまり叱らないようにしている。

でも、イイのだろうか?⦿〝厳しさ〟が〝パワハラ〟になる時代⦿「厳しさ」を「丁寧さ」に変換するだけで、うまくいく04年上への「接し方」がわからず、調整役になってしまう⦿もはや「年上の部下」は、特別なことではない⦿年上部下にとって、やりやすい上司になるために05部下が「仕事に本気」にならないのは、自分の責任?⦿今の時代は、仕事を「ほどほど」にするのがクール?⦿会社以外に、いくらでも選択肢がある時代⦿彼らが「仕事中心の生活」になってもいい、と思う時06部下から「放置されている」とクレーム。

子供じゃないのに…⦿「一度、私たちの仕事を経験してみてくださいよ」をどう考える?⦿「任せる」と「放任」の違いを明確にしておく07細かく指示しないと不安になるのは、気にしすぎ?⦿「マイクロマネジメント」が、部下のチャレンジ精神を奪う⦿不安になるべきは、部下の「成長」を止めてしまうこと08「ケジメのない」状態をどうしたらいいのだろう?⦿あなたの会社の若手は大丈夫?⦿これもダイバーシティだと考えると解決する⦿教えておくべき、たった1つのこと

第1章リーダーの悩みは、「頑張るポイント」を変えるだけで解決する

01「部下の話」を聞く時間がない…リーダー失格なのか?部下の話を聞かなければならないのは、わかっている。

でも、本音を言うと、自分のことで手いっぱいで、かまう余裕なんてない。

こんな基本的なこともできないなんて、リーダーとして失格なのか…。

⦿自分のリーダーとしての「能力」が低いのか?部下の話を聞く時間が持てないのは、能力の問題ではありません。

そもそも、リーダーのやることが増えているからです。

実際、「上場企業の課長に関する実態調査(2017年11月実施/産業能率大学調べ)」でも、約6割のリーダーが、3年前と比べて業務量が増えていると回答しています。

プレイヤーをしながらマネジメントをしているなら、なおさらです。

自分の業務が忙しいために、マネジメントが疎かになっていると考えているリーダーも、同じく約6割にものぼるというのです。

あなただけではないのです。

私も研修の講師という職業柄、そのことを実感しています。

研修の休憩時間に入った瞬間に、PCを開きメール対応に追われる方も多いですし、研修中も、メールが気になってスマホに手が伸びてしまう方もいらっしゃいます。

ご本人も、こうおっしゃいます。

「なぜ、そうなっているのかわからないけど、いつも何かに急かされている」と。

本当にそうなのだろうと思います。

会社のリスクマネジメントは強化され、ダイバーシティ体制への移行は不可避になっています。

当然、提出物も増えていますし、報告の頻度も増えているはずです。

つまり、頑張るだけでは乗り越えられなくなってきているのが、現状なのです。

⦿ちゃんと部下の話を聞くと、残業になるもちろん、部下の話をしっかりと聞きたいと誰もが思うもの。

でも、部下の話を聞くと、困ったことに自分の時間がなくなるのが現実です。

先ほどの調査では、実に課長の99・2%がプレイヤーとしての仕事を持っており、しかも約半数(45・1%)は自分の業務に占めるプレイヤー業務の割合が半分より多いと言うのです。

となると、個人業務に充てる時間はおそらく1日4~5時間程度。

もし、時間をこれ以上とられると、1日2~3時間しか個人業務はできなくなるわけです。

そうなると、残業で対応することになるわけですが、残業規制が厳しくなる中、そうもいかないのが現実でしょう。

部下と話す時間がとれなくて当たり前なのです。

⦿「力の入れどころ」を変えれば、解決への糸口が見えるただ、「力の入れどころ」を変える必要はあります。

実は、かつて私もこの問題について悩んだ1人ですが、「力の入れどころ」が違っていたことに気がつけば、解決の糸口が見えてきます。

「いかに速くやるか」ではなく、「いかに任せていくか」を考えるしか方法はないのです。

例えば、日々の売上の確認。

これを〝あなたの参謀〟に任せられないでしょうか?日々の進捗チェックもそうです。

〝その係〟の人に任せられないでしょうか?新人の教育も、〝他の部署の人〟もしくは〝部下〟に任せられないでしょうか?そうやって、手分けをして任せていくしかないのです。

でも、こう思う人もいるかもしれません。

「任せられた人も負担になるのでは…」と。

実は、これがそうではないのです。

私が研修で耳にする部下の不満を紹介します。

「もっと、信頼して任せてほしい」「チームでできることはあると思うのに」──。

つまり、もっと部下や仲間を頼ってもいい、ということなのです。

ひょっとしたら、「任せる人がいない」ということもあるかもしれません。

その場合は、人を育てるか、協力体制を作るしかありません。

この本では、部下の力を引き出し、チームで対処する方法を紹介していきます。

Pointリーダーの業務が増えた今、「任せる」力が不可欠になっている。

02「任せられない」のは、部下のスキルが低いから?自分でやったほうが早いし、出来ばえもよい。

教える手間はバカにならない。

部下にもう少しチカラがあれば…。

⦿経験が邪魔していないだろうか?もし今、あなたが部下や同僚に仕事を任せていないとするなら、あなたはきっとプレイングリーダーであり、部下よりもその仕事に精通しているのではないでしょうか?また、部下の仕事のクオリティを見て、自分と比較すると決して満足できるレベルではない、とも考えているのではないでしょうか?多かれ少なかれ、〝その業務〟に精通していると、こだわりが生まれてしまい、よほどの理由がないと人に任せられなくなるものです。

部下のスキル不足が原因で「任せられない」のではなく、自分がやったほうがベターだと思っているので「任せたくない」、これが本当のところなのです。

白状しますと、かつての私はそうでした。

部下を信用していないわけではありませんでしたが、〝その業務〟に精通しているために、細かい点が気になるのです。

企画書の色使いやフォントまで気になります。

なので、自分で作成したほうが早いと考えてしまうのです。

営業に同行した時もそうです。

商談の肝がわかるので、つい、上司の自分が商談までしてしまうこともありました。

これでは、部下の出番を奪ってしまいます。

部下には、自分の姿を見て同じようにやってくれればいい、と考えたりするわけですが、それはエゴでしかないのです。

⦿もし、世の中が自分レベルの人ばかりだったら?私には変な想像癖があり、ある時、こんな想像をしたことがあります。

人類全員が私レベルの能力なら、縄文時代のままだっただろうな、と。

良い狩猟の方法はわかっても、稲作はもちろんできなかったでしょう。

仏教を学ぶためにリスクを冒してまで遣唐使になる覚悟はサラサラなかったでしょうし、それどころか、未知の国や文化に脅威すら感じたかもしれない、と思ったりもします。

バカな喩えに感じられたかもしれませんが、要は1人でできることはたかが知れている、ということです。

「早く行きたければ1人で進め、遠くまで行きたければ皆で進め」というアフリカのことわざを道しるべにするとよいかもしれません。

思えば、松下幸之助さんが採用した「事業部制」も、今では多くの会社にみられる「カンパニー制」も、組織の〝皆〟の力を最大限引き出すための仕組みと言えるでしょう。

自分以外の「他者の能力」を活かし尽くすことが、組織を成長させるリーダーの務めなのです。

⦿「最初の3年」が、部下の将来を決める?そんな私でしたが、「とりあえず任せてみる」と決めました。

すると、辞めたいと言っていた部下がドンドン成長し、5年たてば組織の中核となり、嬉しいことに10年もたつとリーダーとなりました。

今や自分で会社を興して軌道に乗せている人、会社に残って幹部として活躍する人…その活躍は様々です。

でも、もっと嬉しいのはメンタルダウンしたり、辞めた部下がいなかったことです。

もちろん、いずれの場合も、彼らのポテンシャルによるものが99%だとは思いますが、1%くらいは私も貢献したかもしれない、と自負はしています。

実際、リクルートワークスのこんな調査報告があります。

(※①)最初の3年が肝心で、その時に「上司が部下に、厳しい仕事を任せなかった」ために、4年目以降の成長を遅らせてしまっている、と。

この調査報告は、早い段階で「どんどん任せていけ」ということを示唆していると言えるでしょう。

また、ある経済雑誌に、こんなインタビュー記事がありました。

当時、プロ経営者として注目を浴びていた原田泳幸氏(日本マクドナルド、ベネッセホールディングスなどの社長を歴任)のコメントです。

「まだ、早いと言い、部下に仕事を任せない店長は害でしかない」強烈な言葉ですが、意味することは同じです。

むしろ、任せたほうが、部下も成長する、これだけは間違いなさそうです。

この本では、そんなワンランク上の「任せ方」を紹介していきます。

※①リクルートワークス研究所「入社後3年間の上司が与える影響(2010年調査)」Point最初の3年が勝負。

仕事を任せていかないと、部下の成長は鈍化する。

03あまり叱らないようにしている。

でも、イイのだろうか?部下を叱るのは難しい。

嫌われるとやりにくくなるし、もし辞められたりしたら、自分のリーダーとしての能力を疑われる。

本音を言うと、叱るのも苦手だし…。

でも、こんなんでいいのかな?⦿〝厳しさ〟が〝パワハラ〟になる時代「不用意に厳しく接する」のが、とても危険な時代になりました。

本人のためだと思ってやったことが、パワハラと見なされてもおかしくないからです。

実際、この10年でパワハラに関する労働局への相談は3倍に急増しており、中身を見ると「無理な仕事を押しつけられた」というものも紹介されています。

(※①)その上司は青天の霹靂だったかもしれません。

日本能率協会が発表した、2018年入社の新入社員に対する意識調査の「理想の上司ランキング」には、若者の傾向を常にウォッチしている私ですら、驚きました。

「叱ってくれる上司」のランキングが、4位→5位→10位と、3回連続で〝急降下〟しているのです。

(※②)これは良し悪しの問題ではなく、環境の問題でしょう。

彼らが「叱られない時代に育ってきた」から、と考えるとスッキリします。

もう少しだけ解説させてください。

こう考えてみるとどうでしょう。

もし、我々が先生や先輩から〝ビンタ〟をされたらどう感じるか、です。

到底許せないでしょう。

でも、昭和の時代は、普通にあったことです。

今、ビンタなんてする先生や先輩なんていません。

これが育った環境の違い。

時代とともに、指導の在り方が変わっていくことは必然なのです。

でも、ここで絶対に気をつけないといけないのは過剰適応してしまうことです。

何があっても部下を叱ってはいけない、と考えるのは絶対に早計です。

その弊害は確実にあります。

部下の将来を考える上司ほど、そのことが気になるため、不安になるわけです。

⦿「厳しさ」を「丁寧さ」に変換するだけで、うまくいくそこで、こうしてみてはいかがでしょう。

次のようにアプローチを変えてみてください。

「厳しく伝える」のではなく、「丁寧に伝える」のです。

その時、「これくらいは、できないとダメだよ」といった説教は厳禁。

まず、「なぜ、その業務をお願いするのかを伝える」「具体的にどうやればよいのか、手順を伝える」それだけではありません。

丁寧さには、確認も大切です。

「その指示を聞いて、どう思ったかを確認する」「不安な点、不明な点がないかを確認する」「その後も定期的に確認の場を設ける」もし、これができたら、「理想の上司」になること間違いなしです。

実際、前述の新入社員の意識調査にはこんな報告があります。

新入社員たちが思い描く理想的な上司の1位、2位は、次のようなものでした。

1位:部下の意見・要望を傾聴する上司(33・5%)2位:仕事について丁寧な指導をする上司(33・2%)彼らと話をするとよくわかります。

前提にあるのは「自分たちは、知らないことが多い。

なので、厳しく指導する前に、キチンと教えてほしい」というのが彼らの本音です。

甘やかしてほしい、なんて誰も言っていません。

この本では、より「丁寧」に指導する実践ノウハウを紹介していきます。

※①厚生労働省のホームページ「あかるい職場応援団」より※②日本能率協会「2018年度新入社員意識調査報告書」Point

「甘く」するのは間違い!「丁寧」に教えるのが正解!

04年上への「接し方」がわからず、調整役になってしまう年上の部下は難しい。

時には自分より業務には精通している。

教えることなんて何もない。

自分の出る幕なんてあるのだろうか…。

「調整役」になっているだけにも感じる…。

自分じゃないほうが、お互いにとってベターなのでは…。

⦿もはや「年上の部下」は、特別なことではない「年上の部下」が増えているのは、あなたの職場だけではありません。

課長に絞って見てみると、なんと年上の部下を持つ課長は過半数(50・9%)になっているのが、現状。

キャリアパスが多様化した今、特別なことではないのです。

(※①)でも、その一方で、年上の部下との接し方に悩むリーダーは少なくありません。

特に、仕事ができる年上の部下を持った時ほど、その傾向は顕著です。

私も経験したことがあります。

営業力は抜群にある、プロ意識も極めて高い、そんな方々でした。

今までのように営業の手法を指導する、いわゆる「ノウハウ」を教える、といったやり方で介在価値を示せるはずはありません。

でも、ここで単なる調整役、伝達役になってしまうと、失敗します。

彼らの多くは、組織の論理を熟知しています。

「だったら、その上の上司と直接やったほうが早い」と見透かすでしょう。

そうなると、リーダーとしての介在価値を示せなくなるどころか、ムダな存在と見なされてしまいかねません。

⦿年上部下にとって、やりやすい上司になるために逆(部下)の立場からも考えると、シンプルな法則が見えてきます。

「年上の部下」は、どんな年下上司がやりやすいと考えているのか、です。

エン・ジャパン社が同社のサイト「ミドルの転職」のユーザーを対象に行った、「年下上司」に関するアンケート調査の結果は参考になります。

仕事をしやすい年下上司の上位は「謙虚な姿勢」「人の意見を柔軟に受け入れる」ことだと言います。

一方で、やりにくい「年下上司」の上位は、「人の使い方が下手」「知識・知見が少ない」「人の意見を受け入れない」「人望がない」ことだと言います。

こうした結果からうかがえるのは、決して調整役になってはいけないものの、〝謙虚な姿勢〟の大切さではないでしょうか。

ゆえに、まず3つの原則を意識してみてください。

【年上部下にとって、やりやすい上司になる3つの原則】①〝判断軸〟を示しておく。

日和見になってはいけません。

健康問題や危険、人権問題、家族の緊急事態等は別ですが、業務上のことであれば優先すべきはチームの目標や方針です。

優先すべき判断軸を明確に示しましょう。

年上部下は経験が豊富です。

判断軸が曖昧だと、自分の経験則で判断せざるを得ず、お互いがやりにくくなります。

②支援者になると決める(柔軟な姿勢で)。

年上部下は、純粋に「仕事に打ち込む」ことで、上下関係のジレンマを乗り越えようとしています。

ですので、上司は話を聞きながら、「より良い仕事の進め方」を一緒に考え、柔軟に環境を整えなければなりません。

③「ぜひ、教えてもらいたい」という姿勢を持つこと。

彼らの経験を侮ってはいけません。

かつては部下や後輩をマネジメントしていたこともあるでしょうし、プレイヤーとしての経験も豊富なはずです。

社会人としての知見は「あなた以上」に持っていると考えておくぐらいで丁度です。

自分の経験や、ましてや立場で勝負するのは、もはやリーダーではありません。

年上部下の「強み」を借りながら、チームのパフォーマンスを最高に引き出すのが、これからのリーダーの条件。

この本では、そんなリーダーとしての強さを持つための手法も紹介していきます。

※①産業能率大学「第4回上場企業の課長に関する実態調査(2018年)」Point特に年上の部下に対しては、「3原則」を忘れないようにする。

05部下が「仕事に本気」にならないのは、自分の責任?なぜ、彼らは、すぐにあきらめてしまうのだろうか…。

自分の関わり方が悪いのだろうか。

もっと本気になって頑張ってほしいなぁ…。

⦿今の時代は、仕事を「ほどほど」にするのがクール?もっと、本気で仕事に精を出してほしい…。

そんな部下を見ていると、自分の関わり方に問題があるのでは、と思ってしまいそうになります。

でも、話はそう単純なものではなさそうです。

「そこまで、ガムシャラにやる理由は、どこにもない」それが、彼らの本音だからです。

リクルートマネジメントソリューションズの「新人・若手の意識調査2016」の調査結果からもその根深さを読み取ることができます。

「仕事中心の生活に対する考え方」に対する回答の上位は以下のとおりです。

1位「仕事中心の生活はいやだ」2位「仕事以外の生活を充実させたいので、仕事はほどほどにしたい」3位「仕事は生計を立てるための手段と割り切っているので、ほどほどにしたい」もちろん、個人によって考え方は異なりますが、もはや、多くの若手にとっては仕事でガッツリと頑張ることが美徳ではない、それが当たり前の認識なのです。

⦿会社以外に、いくらでも選択肢がある時代これをどう考えるべきでしょうか。

私は、彼らが間違っている、とは言い切れないと思うのです。

「人からすごいと思われなくてもいい」この言葉は、天台宗大阿闍梨、故・酒井雄哉さんの言葉です。

これは、ヘトヘトになってムリせずとも、自分らしく1日1日を大切に生きればいいという意味。

彼らの考え方もこれに共通するものがあると考えれば、捉え方が変わりませんか。

実際、彼らと話していると見えてくることがあります。

彼らは不真面目に手を抜こうとしているわけではありません。

むしろ、1日1日を充実させたい、と思っています。

まず、前提が大きく変わっていることを認識しておくべきでしょう。

今、稼ぎ方、楽しみ方の選択肢は、増えています。

まず、楽しみ方。

お金がなくても、十分に楽しめます。

彼らは、欲しいものがあればメルカリで安く買い、不要になれば売ります。

彼らは、旅行も比較サイトを使います。

シンガポールなら片道2万円以下で行けます。

また、稼ぎ方もいくらでもあります。

仮想通貨もあれば、FX等の金融商品、株式投資もあるわけです。

もちろん、「好きなことを副業」で楽しみながら、稼ぐという選択肢もあります。

勤めている会社で出世しなくても、自分で会社を持てば、その日から社長です。

私が担当する研修の受講者と話していても、会社によっては「別に会社を持っていて、今は仲間に任せている」「金融商品で数百万を動かしている」といった新入社員も珍しくはなくなってきました。

⦿彼らが「仕事中心の生活」になってもいい、と思う時それでも、彼らに本気になってもらわなければなりません。

そう思わせるのがリーダーの務めです。

実現させるカギは、ただ1つ。

彼らが「打ち込みたくなるよう、1人ひとりに合わせた動機づけを行う」ことです。

先ほどの新人の調査結果には続きがあります。

着目すべきは4位です。

4位「打ち込める仕事であれば、仕事中心の生活になることもいとわない」ここにマネジメントの方向を定めれば、十分に活路を見出せます。

この本では、彼ら自身が「今の仕事に、もっと打ち込みたくなる」、そんな動機づけの手法をいくつか紹介していきます。

Pointその仕事が「打ち込むことに値する」とわかれば、彼らは本気になる!

06部下から「放置されている」とクレーム。

子供じゃないのに…良かれと思って、口出しをしないようにしている…。

でも、部下は「もっと関心を持ってほしい」と言う。

子供じゃないんだから…。

⦿「一度、私たちの仕事を経験してみてくださいよ」をどう考える?あえて、細かく指示せずに「任せている」ことが原因で陥りやすいトラブルがあります。

良かれと思って任せているのに、なぜか部下がこう言うのです。

「放置されている。

関心を持ってくれていない」私の研修でもよく聞く悩みです。

部下の意志を尊重したい、と考える上司ほど、このパターンに陥りやすく、正直に言うと、私もかつてこの失敗に陥ったことがあります。

私は、良かれと思って任せていたのですが、部下はそうは思ってくれていなかったのです。

「関心を持ってほしい」と言われてはいたものの、最初の頃は、「任せているのだからさ…」と思いましたし、実際に仕事も問題なくやってくれていたので、「ちょっと、かまってほしいのかな」くらいに思っていました。

そこで、感謝の言葉を増やしてみたりしたのですが、どうもそういうことではなさそうなのです。

部下はこう言いました。

「一度、私たちの仕事を経験してみてくださいよ」、と。

このセリフは、こうしたケースに陥った上司がよく言われることです。

では、どうすればよかったのでしょう。

⦿「任せる」と「放任」の違いを明確にしておく良かれと思ってやっていたことが裏目に出たショックは大きいものです。

やはり、私もショックでした。

そこで、うまくいっているリーダーの行動を観察し、自分なりの「任せ方論」を探ることにしました。

すると、ある重要なポイントが浮かび上がりました。

「任せる」と「放任」の違いは2つだ、ということです。

任せる上司は、この瞬間、部下がやっている作業を「具体的」に答えられるが、放任する上司は、「曖昧」にしか答えられない。

任せる上司は、部下が感じる〝不便・不安・不満〟を「事実」で答えられるが、放任する上司は、「憶測」でしか答えられない。

例えば、社内システムの構築に携わる部下がいたとしましょう。

この時、上司にシステムの知見がなかったとします。

なにも熟達する必要はないのですが、仕事の流れをつかむためには、1回はその業務を経験しておくべきです。

そもそも、部下がやっている仕事の流れくらいは知らないと相談にも乗れません。

また、的外れな改善策を提案し、かえって部下にストレスを与えてしまうようなことにもなりかねません。

これは、子供にサッカーを教えたり、算数を教えたりするのと一緒だと思うのです。

子供に教えるには、下手でもいいのでサッカーがどんなものかは知っていることや、方程式を忘れていても算数がどんなものか知っていることは不可欠です。

その時、子供にテクニックや答えを教えることができなくても、問題はありません。

ただ、サッカーの試合を見に行く、算数の内容を知っている、といったことは必要でしょう。

それが「関心」を持つ、ということです。

「コーチにこの点を聞いてみたら?」「先生にこの点を相談してみたら?」というように、関心を持ち、知っているから、いざという時にアドバイスができるのです。

今、この「放任問題」が職場で多発しています。

この本では、上司と部下の関係において、さらに効果的な「任せ方」のポイントを紹介していきます。

Point「任せる」と「放任」の違いを知れば、すべてはうまくいく!

07細かく指示しないと不安になるのは、気にしすぎ?遊びじゃないんだから、ミスは許されない。

なので細かく指示もするし、確認もする。

でも、部下が自分のほうを見て仕事をしているようにも感じる…。

⦿「マイクロマネジメント」が、部下のチャレンジ精神を奪うマイクロマネジメントという言葉をご存知でしょうか。

細かく部下に指示をしすぎてしまう状態のことを言います。

「わかっていると思うけど、翌朝までに、この箇所に記入をしておいてね」「企画書ができたら、事前に見せてね。

間違いがあったらいけないからね」「お礼の手紙は、すぐにださなきゃダメだよ」右の傍線を引いた箇所をご覧ください。

「できていないとダメだからね」と言っているわけですから、やさしそうな表現であっても、言われたほうは、かなり窮屈に感じてしまいます。

窮屈なことを好む人は、そうそういないでしょう。

だから、自分で考えることが好きな人や、自由さを求める人ほど、マイクロマネジメントをされると、会社を辞めたくなります。

言うなれば、過干渉の親の元を飛び出したくなる子供と一緒と考えるといいかもしれません。

でも、部下が一人前でない場合もあります。

だから、気になるわけです。

では、どうすればよいのでしょう。

⦿不安になるべきは、部下の「成長」を止めてしまうこと責任感がある上司ほど、マイクロマネジメントに陥りやすいものです。

そこで、その責任感を「目先のこと」ではなく、「部下を成長させること」に向けてみると、マイクロマネジメントを手放しやすくなります。

「やらされた仕事」では成長ができないことは、心理学が実証しています。

(※①)「目標は未達成だったけど、上司の言う通りに電話を30件かけたのでOK」といったように、他責にしがちになるからです。

そこで「自己決定感」に着目してみてください。

自己決定感とは、「自分がそれを決めた」という感覚のことを言います。

この自己決定感が高いと、失敗をしても次の成長に活かすことができる、というのです。

「目標は未達成だった。

こうしておけばよかったな。

よし、次はこうしよう」と「反省」をし、次に活かすようになります。

星野リゾートの星野佳路社長の口ぐせは参考になります。

同社の会議の光景がテレビのドキュメンタリー番組で放映されていたのですが、最も多かったセリフがこれでした。

「で、どうしますか?」まさに自己決定感を誘発するセリフです。

社員の方も、こうおっしゃっていました。

「社長は、自分の手柄にしてくれる。

やるしかない」と。

これからはこう考えてみてはいかがでしょう。

致命的なミスでないなら、それも本人の成長の肥やしだ、と。

実際、ミスは無意味なものではなく、部下に色々な気づきを与えてくれます。

言うなれば、一見するとネガティブな存在である「ミス」が、彼らの指導役にもなってくれるわけですから、ミスを逆に利用しない手はありません。

部下がミスしたら、こう言えばいいのです。

「失敗は次に活かせばいい。

で、次はどうしますか?」と。

※①エドワード・デシとリチャード・ライアンの「自己決定理論」Point気にかけるべきは、「部下の成長」の機会を奪っていないかどうか。

08「ケジメのない」状態をどうしたらいいのだろう?学生気分が抜けない新人には疲れる。

イチイチ注意をするもの面倒だし。

でも、このままでは彼らのためにもならない。

何かいい手があれば…。

⦿あなたの会社の若手は大丈夫?手のかかる新人が、上司や先輩にとってのストレスとなっていませんか。

例えば、ミスをした理由を尋ねると、「まだ、教わっていなかったんで…」と平気で答えたり、できなかった理由を確認すると、「教わったようにやってはいるのですが…」と答える。

導入研修どうだった?と尋ねると、「わかっている内容もあったので効率が悪いなと思いました」と上から目線で評価する。

「もっと、謙虚にやれよ!」と言いたくなる瞬間です。

「けじめをつけろよ!」と言っても通用しないでしょう。

社会人のマインドセットがインストールされずにデビューしている人もいるからどうしようもないことです。

でも、このような新人は一事が万事で、他部署や取引先にも不満を感じさせてしまっていると思って間違いありません。

そうなると、上司としての育成不足が問われても仕方がないでしょう。

⦿これもダイバーシティだと考えると解決する私のオススメの方法を紹介します。

相手を自分と一緒だとは思わないことです。

育ってきた文化が異なると考え、ルールを教えてあげてみてください。

それだけで新人の態度はずいぶんと変わります。

ちょっと、説明が必要ですね。

例えば、海外で育った人に仕事を教えるのと一緒だと考えてみるのです。

海外に行くと常識の違いに驚くことがありませんか。

先日も私はこんな光景を見ました。

香港のフェリーの中で、隣の男性はスマホから大ボリュームで広東語の何かを流していましたし、後ろの婦人は大声でケンカのような会話をしていました。

でも香港ではこれが普通の光景なのです。

彼らに問題があるわけではなく、日本と香港で常識に違いがあるだけのこと。

もし、彼らと日本で仕事をするなら、ルールから丁寧に教えなくてはならないでしょう。

これを新人に当てはめてみるのです。

「職場では、元気に挨拶をしてほしい」「会議の際は、5分前には入室し、備品に不足はないか確認しておいてほしい」と。

それくらい言わなくてもわかるだろう、と思った時点で歯車が狂い始めます。

⦿教えておくべき、たった1つのこととはいえ、アレもコレも教えるのは骨が折れるばかりか、新人も混乱します。

そこで、大事なことを1つだけ教えておくといいでしょう。

私のオススメはこれ。

「すべてのことを〝相手軸〟で想像してみてほしい」と明確に伝え、その都度、フィードバックをすることです。

「今の電話、良かったよ。

相手の立場に立っていたね」であるとか、「今の挨拶は、ちょっとダメなんじゃない?(相手軸の視点で)」といったように。

すると、「ケジメのない行動」のすべてが対象となるので、色々なことがドミノ倒しのように変わります。

ジメッとした挨拶も、職場を明るくするような挨拶に変わります。

研修の感想も、受けさせてもらった感謝と学んだ内容の報告に変わります。

相手のことを思うなら、早めに資料も提出するようになります。

つまり、ケジメは、「基準を示すこと」「フィードバックをすること」によって育まれます。

「行動・所作」に目をやると、重箱の隅をつつくような批判になってしまいます。

何事もそうですが、「核」が大事です。

Pointアレコレ注意をせず、「相手軸」で考えているのかを常に考えさせる。

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