はじめに 日本人はなんとなく生きている人が多いです。「良い大学に入って良い会社に就職すれば幸せになれる」という価値観を小さい頃から信じ込まされ、それを疑いさえしない人が多いのも日本人の特徴の一つです。 そして世間の言葉を信じ、ほとんどの人は「会社員」となります。 眠い目をこすりながら毎日満員電車にゆられて出社し、上司や取引先に頭を下げながら、朝から晩まで働いているのに、給料は上がらず貯金もなかなか貯まりません。 お金が原因で子どもが大学にいけない家庭もあります。お金がないことで子どもにまで迷惑がかかることもあるのです。 一生懸命働き、すごく疲れているから休みたいと思っても休むと給料は下がります。 決まった仕事を一生懸命やっても、毎月決まった給料しかもらえません。 宝くじに当たらない限りお金が一気に増えることなどもありません。 そんな悩みを抱えながらも働いて、いつの間にか時間が過ぎ年をとっている……。 そんな人が本当に多いのが、現代の日本という国です。 では、この現状を打破するにはどうしたらよいのでしょうか? 起業して社長にチャレンジすればよいのでしょうか? そもそも実際の「社長」はどのような生活をしているのでしょう。 社長になれば自由な時間もあり、贅沢もできると思われがちですが、実はそうではありません。 国税庁が公表したデータによると日本の 65%以上の会社は赤字で、資金繰りに苦しんでいます。 社長は毎月の社員の給与を支払うために一生懸命働いています。 そもそも社長は社員のように一生懸命働けば給与が出るシステムではありません。 お金を稼がなければ自分にも社員にも給与は出せず、会社は倒産してしまうのです。 倒産してゼロになるならまだいいほうです。 銀行融資などの借り入れがあると、連帯保証に社長個人で入っていることも多く、最悪自己破産になる可能性もあります。 月末に毎月の給与を支払い、取引先の支払いも終えてようやく一息ついたと思ったら、来月末にはまた支払いに追われる。ずっとこの繰り返しです。 会社員も社長も全く楽ではないのです。 では、なぜこうなってしまうのでしょうか? それは、自分の人生を他人の言葉を鵜吞みにして無計画に過ごしているからです。「無計画を受け入れる」ことは会社でいえば倒産を計画していることと同じです。 日本の会社の 65%が赤字なのは、その場しのぎの考えを計画としてとらえた戦略しか持っていないからです。 黒字化して会社を成長させている社長は、きちんとした計画と戦略を持っています。 1日 1日一生懸命に過ごすのはとても大事ですが、きちんとした計画がありその計画に向かって努力していないならその場しのぎの「無駄な努力」となってしまいます。 では、どうすれば計画や戦略を考えられるのでしょうか。 それは、自分に投資するほかありません。 僕のまわりの成功している経営者は学ぶために様々な投資をしています。 自分のスキルになるものに投資をして学ぶ、これが生活を豊かにするために一番重要なことです。 学んでスキルを身につけることは会社員でも社長でも絶対に必要ですし、学ばない人は現状を変えることも、成長して成功することもありません。 僕こと「経営太郎」は、元々経営者として学生時代から起業して会社を数十億円規模まで成長させ、数十億円で売却をし、それを 4回実践しています。 その経験からコンサルタントとして年商数千万円のベンチャー企業から年商数千億円の上場企業までを手掛けており、売上をどのようにつくるのかを設計し、企業ごとにどのような戦略が良いのかの戦略構築からエグジットまでを請け負っています。 また投資家としても、金融庁に適格機関投資家として登録されているプロ投資家でもあります(もちろん、本名で登録されていますが、本業に差し障りがあるといけないので、本書では「経営太郎」というペンネームで執筆することにしました)。 適格機関投資家に登録されるには、金融資産を最低 10億円以上現在も運用している実績が必要で、個人では 170人程度しか登録されていません。
僕の投資している会社は大手企業からも出資を受けている会社も多く、その大手企業と出資先のアライアンスのお手伝いなどもしています。 本書は、僕が実際に経営して数億から数十億までに会社を成長させた戦略や、僕のクライアントや顧問先が実践して結果を出してきた戦略に実例を入れながらわかりやすく解説しています。 やみくもに努力するのではなく、まずは会社を成長させる戦略を理解し、自分なりの計画を立てるのに役立てていただければ嬉しいです。 きちんと学び、自分のスキルとして使いこなせれば間違いなく会社は黒字化し、成長し続けるはずです。 それは僕や僕のクライアントが証明しています。 本書がきっかけとなり、あなたの会社はもちろん、日本の多くの会社が黒字化し、より強く住みやすい国になることを期待しています。
目次はじめに第 1章 黒字化する社長のルールそもそも社長の仕事は何か?情熱だけでビジネスをするな自己責任の重要性「人を見る目」の磨き方アイデア出しと戦略構築の条件とは?自分への投資は必要不可欠「大企業経営」と「大家族経営」のどちらが適しているか?社長に「消費期限」はあるのか?第 2章 資金調達のルール知っておくべき銀行融資の基本「資金調達」ではどのくらい調達すべきなのか?銀行融資以外の調達方法金融機関の金利状況を把握しよう投資家から出資を受けるには?出資を受けるメリットとデメリット最新のクラウドファンディングの状況第 3章 マネジメントと人材活用のルールなぜ人材が集まらないのか?中途人材の境遇と心理をつかむ売上を伸ばす「スーパー人材」の採用社員評価の低い部下をどう扱うか社員の時間効率を向上させるには?オンライン勤務とオフライン勤務ではどちらが売上が上がるのか?社員モチベーションと市場マーケットの相関関係「伸びる企業」の人事制度第 4章 メディア戦略のルール「メディア戦略」はなぜ必要なのか?「プレスリリース」の基礎知識成果を上げるプレスリリースとは?「ブランディング」の重要性テレビと SNSの正しい活用法広告とブランディングの違いとは?予算別メディア戦略第 5章 アライアンスのルール「アライアンス」とは何か?大企業とアライアンスを組むための条件「営業代行会社」と組むメリット
成功するアライアンスの組み方アライアンスと M& Aの関係性とは?第 6章 「継続して黒字化する」ために注意することキャッシュフローとコスト管理の徹底が最重要「ストック収入」で売上を安定させる顧客満足度を上げてファンをつくるには?新規顧客発掘と既存顧客フォローの最適なバランス黒字化と「税金」の関係性黒字化と「社長の健康」の関係性おわりに読者の皆様へブックデザイン:菊池祐
そもそも社長の仕事は何か? 経営者の方に「社長の仕事は何ですか?」と尋ねると様々な答えが返ってきます。「社長は経営計画を作成し実行するのが仕事だ」「経営計画は役員と共に考え、それを判断するのが仕事だ」「社長は資金調達に奮闘してお金をつくるのが仕事だ」「資金調達は CFOの仕事で、社長は資金をどう使うかを決めるのが仕事だ」「社長自ら営業し売上をつくるのが社長の仕事だ」「売上をつくる仕組みをつくり、その仕組みで営業が売上をつくれるように設計するのが 社長の仕事だ」「人〝財〟を見極め、人を育てるのが社長の仕事だ」「ともかく多くの人を採用するのが社長の仕事だ」 など、全く逆の回答が出てくることもあります。 いったいどれが正解なのでしょうか? 結論からいうと、どの答えも間違ってはいません。 会社の状況によって社長がやるべき役割が変わるからです。 むしろ、それぞれの答えによってその会社のステージがわかります。 どういうことかというと、会社の「今のステージ」によって社長が重要視すべき仕事が明確になり、それはどの分野の会社でもほぼ変わらないからです。 会社がスタートアップの場合、まだ売上もなく社長が背中で語らなければ誰もついてこない状況です。そんな状況では、社員教育をし、営業を仕組み化する余裕もありません。 社長自らが営業をし、売上をつくり、さらに銀行を回って融資の相談も同時並行で進めていきます。 僕もスタートアップを創業した際には、 365日毎日働いていましたし、繁忙期には二徹、三徹は当たり前でした。 社員も僕が必死に働いているのを目の当たりにしているので、休むことなくついてきてくれました(人に恵まれていたと感謝しています)。 繁忙期には、夜中に息抜きで、みんなで居酒屋に 90分だけ行くといったことがよくありました。道でもらった「生ビール 1杯無料 +焼き鳥 1本サービス」のサービス券を握りしめて、会計を 3人で 1500円以内に抑え、その後また仕事をし、事務所で段ボールを敷いて仮眠をするという「どベンチャー」な生活が当たり前になっていました。 この状況を打破するには自分で売上をいち早くつくるしかなく、脇目も振らず働きまくるのが社長の役割となります。 採用など人事に関してもスタートアップの場合はすべて社長が穴埋めをしていきます。 僕の先輩で、今では上場し大企業になっている会社の社長も最初は 1 Kのマンションの一室で起業したのですが、なかなか営業職を採用できずに困っていました。 1 Kのマンションがオフィスの会社に好きこのんで就職したい人はなかなかいません。 仕方なく先輩はそのマンションに営業にきた方を逆に会社の営業として勧誘してなんとか営業担当者を増やしていました。 1 Kのマンションというだけではなく、そもそもスタートアップが求人募集をしても、まともな人は応募してきません。 しかし、そんなことをいっていても状況を打破できませんから、とにかく社長が知恵を絞って勧誘してくるしかないのです。 これがスタートアップの社長の仕事の仕方です。 売上 2億円以上の社長の仕事 一方で、スタートアップから脱却し、売上が 2億円以上になると社長の仕事も変化していきます。 社長はまだまだプレイヤーなのですが、右腕となる幹部候補も育ってきて売上もつくれるようになります。 このステージでは、社長は社員をどう働かせるかのマネジメントを考えるようになり、さらに会社の営業を仕組み化して「売上をどうつくるか」に取り組むようになります。 人事についても、求人サイトなどで採用できる規模になりつつあるため、しっかりとした採用計画も立てられるようになります。 銀行との交渉も採用した経理と二人三脚で進めていき、少しずつ自分一人ですべてを行うステージから脱却していきます。 このように、社長の仕事とはステージによって変化していくのです。
ちなみに売上が 2億円未満の場合は、社長がガムシャラに働くステージなので、余計なことを考えず売上を伸ばすことをおすすめします。会社にかける投資はどんどんするべきですが、自分への関係ない投資(遊び?)で会社を傾かせる年商 1億円前後の会社は散々見てきましたので、どうぞお気をつけください。 売上 10億円以上の社長の仕事 業種にもよりますが、売上 2億 ~ 10億円未満の会社はそれほど社長の仕事の内容は変わりません。 社長はやはりプレイヤーとして頑張っていますが、社内に育ってきた右腕や左腕も売上をつくれるようになっている段階です。 このあたりで戦略を変えずに進んでいくと、売上 3億か 5億くらいで「売上の壁」ができて成長が止まることがよくあります。 どのような戦略を実施すれば良いかは本書を読んで学んでほしいのですが、ヒントとしては、安定して 10億円以上の売上のある会社は「売上をつくるための仕組み化」をしています。 仕組み化することで社長の仕事はプレイヤーから「監督」になります。 監督として、きちんと仕事を管理することがメインとなるため時間に余裕ができるようになります。 社長があまり会社にいないのに会社が成長しているパターンはまさにこのパターンです。 普遍的な社長の仕事とは? 社長の仕事内容はステージによって変化することは理解できたかと思います。 経営計画の作成をはじめ、資金調達、人員計画や新規ビジネスの開拓など様々な仕事は社長自ら行う場合もありますし、社長と役員を中心に実施する場合もあります。 では、社長だけができる普遍的な仕事とは何でしょうか? それは、会社を永続させるための方針を考えて決断することです。 社長は常に会社の将来的な姿を想像し、理想を実現するための活動をする必要があるのです。 そのための具体的な社長の仕事が3つあります。 1つ目は人材をどう使うのかを決断することです。 前述しましたが、ベンチャー企業には優れた人材が最初から集まることはめったにありません。 今いる人材の中で、誰をどこに配置するのか、「適材適所」の人材配置を行うことが社長の重要な仕事の一つとなります。 僕が経営をしていた会社で、役員の評価が低い社員がいました。 彼女は課長レイヤーでしたが、部下のマネジメントが苦手のようで部下からも多くの不満の声が上がっていました。 さらに、会社で共有している情報をきちんと把握できず指示や行動もズレていることが多く、役員が大事になる前にフォローすることもあり、「彼女は会社に必要ないのでは?」という疑問を持たれているような状況でした。 役員会で、彼女の処遇の話が出た際には彼女のマイナス面ばかり取り上げられていましたが、僕だけは、彼女にも優れた部分があるのではないかと様々な角度から必死に考えてみたのです。 この時点では、できない人材を切り捨て、優秀な人材を確保できるような会社にはまだ育っていないのがわかっていたからです。 役員レベルでもベンチャー企業の実態が、今いる人材で戦わざるを得ないということを完全に理解できている人はほとんどいません。 この部分は社長だけが言い訳できず会社の成長に責任を持っているからこそある感覚なのでしょう。 結局、広報部を新しく設立し、彼女をその責任者に抜擢しました。 彼女は、物事を深く考えずに浅い知識だけで対応する悪い癖がありますが、外部との軽いコミュニケーションは得意な方でした。また、マニュアルがあればその通りに対応でき、その場しのぎであればイレギュラーの対応もできます。 法人営業であれば安易に相手に「できます」と答えてしまうのはトラブルの元ですが、広報であれば自社にプラスになる内容を話すことがほとんどなので大丈夫であろうという判断でした。 結果、彼女は水を得た魚のように生き生きと働き出し、会社の PRもかなりの効果を上げることに成功しました。 このように社員間で評価が低い人材だとしても、適材適所に置くことができないかを必死で考えて判断できるのは社長しかいないと思います。 2つ目の仕事は、会社のお金をどう使うのかを決断することです。 中小零細企業の場合、予算を前もって計画している会社はあまり多くない印象があります。大企業では、年間予算を決算後すぐに確定させて一年間のお金の使い方を決めますが、中小零細企業は、まだまだその場の判断で決まることも多いのではないでしょうか。
これは経営面でのメリットもあり、即断即決することで成長スピードが上がり、会社に勢いをつけることができます。 僕のクライアントの大企業だと、年間予算以外のイレギュラーな案件には、対応するのに半年以上かかってしまうこともよくあるので、この部分はベンチャー企業の強みです。 一方で、よく吟味せずにお金を使ってしまうことで、会社の資金繰りを圧迫してしまうというデメリットもあります。 特に、今まで考えもしなかった分野の提案がクライアントからきて、勢いでやってみようと決めてしまうパターンには注意が必要です。 僕もかつて失敗したパターンだと、きちんと考えずに「会社の安定した売上になるのでは」とゲーム事業にお金をかけたことがあります。 当時は携帯ゲームが全盛期の頃で、とんでもない利益を上げている会社も出てきたのですごく興味がありました。 僕が飛び込んだのはパソコンで 10年以上運営されている人気ゲームを携帯のシステムに移植して携帯ゲームとして売り出していくという企画でした。 すでにパソコン版では固定ファンもいたため、携帯ゲームになってもその固定ファンが毎月課金してくれて月の安定収入になるだろうという目論見でした。 最初は予定通り固定ファンがついてきてくれて売上も順調だったのですが、パソコンから携帯にうまく移植できない部分が発生してしまい、そのバグを直すのにかなりの金額と時間がかかることが判明しました。 結局、そのゲームはリリースして 1年で終了となってしまい、その事業も赤字になってしまいました。 会社のお金をどう使うかの決断と責任はすべて社長にあります。 その決断一つで会社がどうなるかが決まりますので、本当に重要な社長の仕事と言えるでしょう。 最後の社長の仕事は、経営者人脈をつくり、役立つビジネス情報を取得することです。「経営者は孤独」とよく言われますが、それはある意味その通りで役員や社員には話せないことも社長には多くあります。 特に経営に関しての悩みは、話すことで社員を不安にさせ、社員が会社から離れてしまうリスクもありますので自分の中で処理していくしかありません。 多くの経営者はこのような状況に悩んでいますが、これを解決するには、経営者同士で交流し、お互いの悩みを解決するのがよいかと思います。 やはり、経営者の悩みは経営者にしかわからないこともありますし、経営者にしか話せないこともあります。 お互いの話を聞くうちに解決策が見えてくることも多いのです。 また、経営者のコミュニティをつくることにより、様々な分野の情報を手に入れることもできます。この情報をどう利用するかが重要です。 僕がコンサルティングに入ってビックリすることの一つが、クライアントの会社は自分の業種の情報はもちろんかなり深くまで調べているのですが、他の業種の情報はほとんど知らないということです。 僕は世の中に今までにない革命的なアイデアなどほとんどないと考えています。 革命的なアイデアとは、 Aという業種の成功例と Bという業種の成功例を足して応用した Cという手法からうまれると思っています。 要するに多種多様な業界の成功例の情報を模倣していくことで、新たな戦略が出来上がるという考えで、実際に僕が起業して数十億までつくった会社はすべてこの考えからうまれました。 この意味でもいろいろな経営者との交流は社長にとって重要な仕事だと思っています。 ちなみに、僕は顧問として中小企業に入ることもあるのですが、経営者の中には率先して人を繫いでくれる顧問と同じような動きをされる方もいます。 これは、エンジェル投資家のグループで、自分が投資している会社だけではなく、友人の投資先のためにいろいろと動いてくれる投資家の動きと似ています。 そのような方に出会えると自分も成長できると思います。黒字社長のルール ①社長の一番の仕事の根本は「会社を永続させる方針を考えて決断する」こと。そのために「人材」「資金」「人脈」を駆使して経営をする。
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