設備投資計画の実現性をチェックする場合、社長としては、もうひとつ次のような視点も
必要になってくる。
先に、個別の減価償却率の違いは細かく知る必要がない、と書いたこととちょっと矛盾す
るかもしれないが、償却年数の長い設備への投資と短い設備への投資とを区別し、状況によっ
て使い分けていかなければならない、という視点である。
たとえば、短期間に収益性の優れた会社にしたかったら、建物やマザーマシンのような償
却年数の長いものへの投資は当面やめ、利益増大にすぐにでも貢献でき、しかも償却年数の
短い設備、すなわち新製品開発のための金型とか合理化機械のような即効性のある設備に投
資の重点を置く、というように使い分けていくのである。
投資をそのように使い分けていくからには、計画作成のうえでもそれを区別しておいたほ
うがいい。償却率というのは、設備によって大変な違いがある。たとえば、 一般機械設備だ
と償却年数一〇〜一二年で、年間の償却率が定率法でおおむね二〇%ぐらい、工具・金型の
ようなものであれば償却年数が二〜三年からせいぜい五年、年間償却率が五〇%ぐらいであ
る。二〇%と五〇%では大変な違いだ。さらに建物などになると、鉄筋では償却年数が六五
年、鉄骨で二五年、したがって償却率も九〜二一・五%である。したがって、それらをひと
つにまとめて投資金額を出そうとしても、第一に償却の計算ができない。
そこで、もちろん個別に細かく分ける必要はないが、製造業なら建物と一般設備と工具・
金型、流通サービス業なら建物と一般設備と什器備品といったように、大まかでいいから三
つぐらいに分け、投資枠を配分して見ていくことが、設備投資計画を立てるうえでの大事な
手法のひとつとなるのである。
これらの具体的な方法等については、あとでケーススタディを通してもう少し詳しく見て
いくことにする。
ところで、社長として設備投資計画をチェックするうえで、これまでに述べてきたことと
は別の重要な視点がある。
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