私は土地を持つな、とは言っていない。持ってもいいが、なぜ持つのかというしっかりし
た根拠が必要だと言っているのだ。中小企業の経営者が土地を持とうとする理由は、おおむ
ね次の四つに集約される。
①土地を持つことで、とくに外部に対し社会的な信用ができる。
②日本の場合は土地担保主義であるから、土地所有は欠かせない。
③土地は長期的に見れば価格が上がるので、含み資産となる。
④火事、盗難などに遭っても土地があれば無一文になることはない。
たしかに、土地にはお金や建物などの他の資産に比べてこのようなメリットがある。しか
しである。

上の算式を固定比率と言う。自己資本が多くて、固定資産が少ないとき
は、土地を買いなさいと、この方式は教えてくれている。とくにこの算式
の結果が一以下の○。九か○・八ぐらいのときは、土地を持ったほうが経営
的にも安定する。だが、この比率が一。○とか二・○ では明らかに自己
資本に対して所有している土地が多すぎ、土地が経営を圧迫しているので、
これ以上、土地を持つのは避けるべきである。
次に大切なことは、土地を買う場合には、できれば自己資金、自前の金
で購入資金を調達することである。ただ、実際にはそれだけの自己資金を
持っている方も少ないので、銀行から融資を受ける場合が多いだろう。こ
の場合大切なのは、金利のいかんを問わず、必ず長期借入金で融資を受け
ることである。短期借入金で土地購入資金をまかなうことは、絶対に避け
るべきである。
以上は、土地を持つ場合、守らねばならない絶対に欠かせないルールな
ので、ぜひとも覚えておいていただきたい。さて、次に、実際に土地を買っ
たあとの賢い対策に触れておこう。
第一に心掛けるべきことは、買った土地を全部使い切らないことである。できれば購入地
の半分ぐらいは空き地として残しておき、いざという場合にその土地を売ってでも生き延び
られるよう、土地をいつでも売れるよう、流動化しやすいような配慮をしておくべきである。
全部使う方針なら、返済額が滞ることのないような売上高を確実に達成できる方針を立てて
かかるべきである。いずれにせよ、どっちつかずの中途半端な形で土地を利用するのは、命
取りになりかねない。
なぜこんなに土地を持つことにいろいると厳しい注文をつけるかというと、土地を持つこ
とのメリットの半面、デメリットもあるからである。それらをあげると、
①土地は換金性がない。土地は値打ちがあるように見えても急場の役に立たないことが
②こんな土地はもう三度とないと思っても、実は必ずある。自分が思うほど商品力はな
いものだ。
③移動、移転できない。
④価格が下がることもある。土地は絶対に下がらないと信じている向きもあるが、土地
にも絶対はありえない。今回のバブルの崩壊がそのいい例である。
⑤減価償却ができない。
⑥税金がかかり、しかもそれが高くなる。
日本ほど土地の高度化利用が遅れている国はない。高度化とは、いわゆる摩天楼というか、
高層ビルの建設を言う。高度化利用が進めば、狭い日本でもまだまだ新しい土地が生まれる
余地がある。
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