「10トンの金型の変更を女性パート社員が楽々やっている」
人手不足が恒常化するなかでは、安くて有能なパートや再雇用シエアといった労働力を、もっと積極的に活用すべきである。
私の会社の例では、かつてピーク時に女子社員が213人いたものを、漸次パート化していって、5年後に96人にまで減らしていったことがある。
その分、もののコストがぐ―んと下がり、付加価値の増加分を人や設備に再配分して、会社の勢いをさらに増した経験がある。
いまは、経理部門でもパートの方に活躍してもらっている。「よく経理をパートに任せられますね」と驚く方もいるが、この頃では経理部門をそっくり外注化する大会社もある時代だ。
要は、パート活用の仕組みづくりの問題ではなかろうか。いまはパートにも正社員ほどではないにしてもボーナスを支払っている。
パートの人件費係数は18を超えている。それでもパート切り替えによる、付加価値増の波及効果は、業種業態にかかわらず、十分検討するに値するものだ。
ヨソでこういう話をすると、「それはおたくのような細かい商品だから女性パートでいけるんだ。うちみたいな何トンもの大きいものをつくっていると、パート化なんて、とてもとても」とすぐに反論である。
わが社は中国の大連に690トンの機械を動かしている工場がある。そこの作業者は全員女性だ。これまでは危険で重くて男でもつらかった、5トンから10トンもある金型の変更を、女性がやっている。
それは女性でもできるようにと、クレーンやテーブルを工夫して、機械の力で重くて大きいものでも操作できるようにしてあるからだ。作業者はネジをしめるだけ。
もちろん、よその国だから男でもつらい仕事を女性にやらせているわけではない。仕事を単純化し、作業環境を変えていく。そうすることによって、これまでの常識ではパート化が考えられなかったものが、パートでできてしまうのだ。要するに社長の執念の問題である。
とにかく、これからはパート社員に対する考え方を、根本的に考え直すことである。パート社員を繁忙期のクッションとして採用するとか、雑用に使うだけでは、宝の持ち腐れになってしまう。
パート社員のもっている能力をフルに活かすことのできる仕組みと上手な運用のやり方を、皆さんの会社にもぜひ確立していただきたい。
佐藤肇著「社長が絶対に守るべき経営の定石50項」より
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