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【3ー6】これからの日本の製造業の戦い方

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台頭する新興企業に勝つための秘策は、「値札にないサービス」で付加価値をつけること。

いま、我々の競合は欧米のメーカーではなく、中国、韓国、台湾、東南アジアにいる。

これらの国の製品が「安かろう、悪かろう」だったのはとうの昔の話で、製造技術力の勝負でみれば、もはや日本に優位性はないのである。

今後10年先を考えると、中国や韓国の企業はスペックや価格といったハードウェアの競争において、間違いなく日本メーカーを追い抜くだろう。

スター精密の工作機械にしても、性能における差別化競争はすでに限界にきており、新製品を発売しても、5年もすれば中国や韓国のメーカーが同じ性能で、より廉価な製品を売り出してくる状況である。

そこで、わが社の工作機械事業は、ハードウェアではなく「値札にないサービス」で付加価値をつける、新しいビジネスモデルで勝負に出ている。

値札にないサービスの1つ目は、完璧なアフターサービス体制である。

スター精密の工作機械は1台数千万円と高額のため、お客さんから不具合が出たと連絡をいただいた場合は、世界中どの地域へも、現地スタッフが36時間以内に修理に向かう体制を築いている。

そして、値札にないサービスの2つ目はビフォーサービス、つまり、まだ購入していない見込み客にも、手厚いサービスを施しているのだ。

たとえば、購入を検討している実際の機械で、試し加工ができるサービスというのがある。試し加工は2〜3時間程度ではなく、数日連続で機械を動かして、加工秒数が一定か、同じ精度を維持できるかなど、実際の機械で納得のいくまで試してもらい、見込み客の不安要素を解消してあげるのだ。

さらには、実際に機械を操作する見込み客会社のオペレーターに対する講習会も開き、長いときは1週間程度かけて丁寧に技術指導をしている。

もちろん、これらのサービスはすべて無償でやる。

要するに、中国や韓国メーカーは製品の品質は急速に向上していても、こうしたソフトウエアサービスを実現できる体制はまだ不十分で、そもそも無償で手間暇がかかるサービスをやるという発想自体がない。

そこで、いまのうちにスター精密のブランドイメージを上げ、その評判でリピーターを増やし、価格競争に巻き込まれずに売上を伸ばしていく。

さらに、サービス実施によって顧客接点を増やし、お客さんの様々な要望を吸い上げることで、世界各地のマーケティング情報を得る。こうした好循環によって売れる製品を開発し、収益力を高めていくことを狙ったものなのである。

製造業はモノ単体ではもう利益が出ない。アノ手コノ手で付加価値を高める、独自のビジネスモデルを構築しなければならない時代がきているのだ。

佐藤肇「世界で戦う経営」CDより

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