海外で生産拠点を検討する5大条件は「インフラ」「体感治安」「対日感情」「労働争議」「税の優遇」
これから海外に生産工場を建てようと考えられている経営者に、私がこれまでの経験からつかんだ「最低でも20年、腰を据えて商売ができる地域を選ぶ5大条件」を知っておいてほしい。
というのも、販売会社ならばその拠点で売れなければ簡単に撤退できるが、工場の設備投資は膨大なカネがかかるため絶対に失敗はできない。
したがって、生産拠点選びについては吟味に吟味を重ねたうえで決断しなければならない。単に賃金が安いということだけで進出すると、必ず痛い目に遭う。
わが社において、その決め手となる1つ目の条件は、「インフラ」である。まずは、電気・道路・港湾設備などのインフラについて、しっかり現状を把握しておいてほしいのだ。
たとえば日本で停電は滅多にない異常事態だが、電力事情の悪いアジアでは日常のことだ。そこで工場に自家発電設備を入れるとなると、膨大な経費になってしまう。
さらに、製品を工場から積み出す港まで運ぶ際の、道路事情や港湾事情も重要である。
条件の2つ目は「治安の良さ」、それも外務省が発表している「人口10万人当たりの強盗割合」などといった単なる集計・統計の治安情報ではなく、社長自身が現地で感じる治安を、私は重視している。
この体で感じる治安、すなわち「体感治安」と私が呼んでいるものは、たとえば空港や街なかで、思わずパスポートや財布に手が行ってしまうとか、身構えてしまうような、そういう不安を感じるかどうか、である。
大事な社員にそこで働いてもらうのだから、治安の良さは絶対条件だ。その大事な条件を満たしているかどうかは、やはり社長が自分の足と目で実際に「体感」していただきたいのである。
そのほか3つ目の条件は、「対日感情」だ。これまでの歴史で日本に対して悪い感情をもっている地域は避けたほうがよい。
4つ目の条件は、「労働争議の実態」。労働争議や労使紛争ばかりやって、操業が何度も止まるような地域はダメである。
そして5つ目の条件は「優遇税制のあり。なし」で、たとえば「製造業は5年間無税」といったように、国によって現地の雇用増のために、誘致企業への税制でいろいろな優遇措置がある。
とくに新興国では、投資誘致策として、経済特区を設けて税制での様々な優遇措置が用意されているものだ。
以上、5つの条件を鑑みて、候補地選定にあたっては、十分に研究してもし足りないことはないと心得るべきである。
佐藤肇著「社員の給料は上げるが総人件費は増やさない経営」より
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