小さな池をたくさん探して、大きな魚を獲る。
中小企業が利益率の高い商売をするには、小さな池で大きな魚を狙わなくてはいけない。
つまり、大企業が参入してこない小さな市場で、トップシェアを握る、これが価格の決定権をもつ商売をする重要な点である。
具体的には、市場規模は最大でも2000億円以下。そこで2割、できれば3割のシェアを握る。この基準を下回る商売には、絶対に手を出さないことだ。
市場規模が大きければ売上が伸びると勘違いする経営者も多いが、それは逆で、市場は小さければ小さいほど、ライバルが少なくなってシェアを獲れる。
わが社の売上の7割を占める工作機械事業にしても、ニッチな特殊機械のため全世界の需要を合わせても1500億円程度で、大企業は見向きもしない。
競合は、ドイツ企業1社と日本の中堅企業2社と、全世界でわずか3社だ。
ここに経営資源を集中させてシェア3割を獲り、プライスリーダーになったからこそ、営業利益率15%の商売ができるのだ。
ただし、小さな市場に事業を限定すると、業績が大きく伸びていかないという問題がある。
資金力のない中小企業は、新事業の投資を早く回収しないとカネが回らない。
わが社が1962年に、たった年商2億円の頃から海外へ工作機械を売りに出たのも、日本の市場だけでは小さすぎて、設備投資の資金回収が間に合わなかったからだ。
当時、社内には一人も外国語ができる者はおらず、何のツテもなかったが、先人たちは徒手空拳、海外のマーケットヘと挑戦してくれた。そのおかげで、いまのわが社の高収益。実質無借金の体質が築かれているのである。
そして現在、わが社の海外売上比率は85%だ。狙うのはすき間のように小さな市場ばかりだが、世界中にあるニッチ市場をかき集めて、全体として約600億円の年商を稼いでいる。
ちなみにわが社ではこれを「グローバル・ニッチ戦略」と呼んでいる。
現在収益の柱となっている3つの事業は、どれもこの戦略にのっとって100億円から大きくても200億円程度の売上規模だ。
ここで私が言いたいことは、高収益体質にするためには身の丈にあった市場を選ぶことが第一であること。
そして海外に出る戦略的な必然性があるならば、10年後の高収益体勢のために、できるだけ早く着手せよということだ。
これからの日本は、少子高齢化と人口減少でマーケットは先細りが必至となる。日本だけで商売をしていてもやっていけるならば、無理して海外進出することはないが、それが難しいようならばリスクをとって挑戦すべきではないだろうか。
佐藤肇「世界で戦う経営」CDより
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