社長に課せられた「役割」を自覚せよ。
社長の抱く夢や野望を、多くの人間の協力で実現させていくためには、その大前提として、社長がまわりから尊敬される存在でなければならない。尊敬のないところに真の協力関係は生まれないからだ。
そのために最も大切なことは、社長という仕事に課せられた世の中の役割を確実に果たすことである。
たとえば、国や地域に対しては適正な納税が、「社長の地域社会への役割」である。
ところが、社長のなかには、なかなかこういう考えに及ばない方が多い。そういう社長はたいてい、法人税は高いだの不公平だのと言って、税金をできるだけ払わない工夫に血道をあげている一方で、自分の車にはお金を惜しまないものだ。
実際に、利益が500万円程度の会社で、1000万円もする高級自動車を乗り回している社長も少なくない。
「せめて自分の乗っている自動車と同額の利益ぐらい出してみろ」と言ってやりたくもなる。
そんなものにお金を使うくらいなら、もっと社員の給料を上げたほうが数倍よい。
多くの社員に安月給で我慢してもらい、関係者に無理を言ってようやくあげた利益よりも、社長一人の取り分が多くて当然、と思うトップに、果たして社員がついてきてくれるだろうか。
要するに、社長の役割意識に欠けた私利私欲を満たすだけの経営は、たとえつかの間の繁栄はあっても、事業の永続繁栄は望めないということだ。
商売を可能にしてくれる国や地域社会に対して、株主に対して、金融機関に対して、そして何より社員に対して、立派な社長と言われるような役割を果たす。
立派だから尊敬され、尊敬されるから協力してくれる。それが最善の経営であり、自らの社長人生を豊かなものにする最高の生き方だ。
ゆえに、もしわが社を、3年先にいまよりもっと素晴らしい会社に、5年先、10年先にはさらに内容の濃い良いものに育てたいと願うなら、社長の役割意識というものを大事に大事に考えて、正面から受け止めてもらいたいのである。
社長業を一生の仕事として選んだ以上、社長の役割意識は「何のために会社を経営するのか」「誰のために儲けるのか」、その根本の生き方を決定するものであることを、心の底に刻んでおいてほしいのだ。
佐藤肇著「社長が絶対に守るべき経営の定石50項」より
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