【付録】フィールドマネージャー育成ノート
なぜ今、フィールドマネージャーなのかフィールドマネジメントの要諦~優勝劣敗~/優勝劣敗の勝因を考える企業は外的要員では潰れないフィールドマネジメントには「人間同士の関わり合い」が不可欠現場の状況やマネジメントチームの能力に応じたコミュニケーション行動科学に基づいた科学的管理法「プロフェッショナル」という職業観を持った選択意識/バリューマーケティングリーダーシップ=実践的知恵と賢慮(アリストテレス)/リーダーのあり方汝自身を知れ(フリードリヒ・ニーチェ)~傲慢であること~孔子の教え/ブランドとは/リーダーシップ「オオカミの存在と森の生態」チームワークとは/スーパーバイザーの職務記述書スーパーバイザーの目的/スーパーバイザーの役割
おわりに【巻末付録】話の魚話力革命マドウズ
【付録】フィールドマネージャー育成ノート優れたフィールドマネージャーになる~「THEFIELD」~「THEFIELD」は過去の優れた理論と、マクドナルド時代からツクイ時代に至る実践を融合した、優れたフィールドマネージャーを志す人のためのノートである。なぜ今、フィールドマネージャーなのかコンビニエンスストアなどのフランチャイズチェーン店をはじめ、わたしたちの周りにはフィールドマネージャー業務に携わっている人が大勢いる。フランチャイズチェーンを営む企業の現場は、競争の嵐である。そのため、優れたフィールドマネージャーの存在なくして、ビジネスの成長は語れなくなった。東日本大震災以降、東日本の現場にはハーバード・ビジネス・スクールに通うたくさんの学生が、被災地の研究と手伝いに訪れたそうだ。これは、「フィールド・スタディ」が重視されている証だといえよう。社会全体の動きは、私たちのビジネスにとって重要である。普段の私たちは、「企業競争の宿命」として数字を追いかけ、厳しい管理を追求している。しかし、そこで心をなくす必要はない。私たち人間が、何を食べて生きているかを思い出してほしい。自然界の力と、農民が耕作した恵みを食べているのだ。これがカルチャーの原点である。だからこそ、人を大切にしなければ行き詰まってしまう。若いときは、まるで競争馬のように猛烈に働いている人が多いが、競争に追いつけなくなったら農耕馬となり、ゆるやかな人生を楽しみ、若い人にアドバイスできれば最高だろう。そのように、いつまでも自分のいたポジションを占有してはならないのだ。企業は、経験豊富な人材を確保できれば、その人材が持つ経験によって、新たなる顧客を発掘できる。カルチャーの原点である「土づくり」や「森づくり」と同様に、企業は「人づくりの風土」を欠かすことができず、ましてやフランチャイズチェーンを営む企業は、人づくりの風土をつくることこそが命である。私はたびたび各所での講演で「優勝劣敗(すぐれた者が勝ち、劣っている者が負ける)」の想いを語ってきたのだが、ここでは、その考えをコンパクトにまとめて説明したい。とくに社会的な大局観や人間論、経営理念の基礎的な考えを持って、フィールドワークに当たれるようにした。客体は違っても、主体はあくまでも「人間」であり、人間が人間を使って人間のために事を成している。「人の使い方がうまい」「育てながら目標をクリアしている」という成功している人の特徴を、ぜひとも覚えておいてほしい。フィールドマネジメントの要諦~優勝劣敗~現場は、常に競争とリスクにさらされ、いわば「戦争状態」である。戦争を例に語るのは気が引けるのだが、スポーツと企業は「よい戦略を持った強いチームが勝つ」ことは間違いない。生存競争で、自分のいる境遇に適合した人や強い人が生き残り栄えて、弱い人が滅びる、すなわち「優勝劣敗」なのだ。『敗戦真相記』によれば、次のとおり、戦争に敗けた明確な5つの敗因が挙げられている。私たちはこれらの敗因を分析して、逆に成功の手立てに変えることこそ、優勝劣敗を勝ち抜く賢明な策だといえるだろう。●第1の敗因「公明正大な目標を欠いていた」●第2の敗因「軍部が自己の力を計らず敵の力を研究せず、ただ自己の精神力を過大評価して、これに慢心した」●第3の敗因「国民の良識と感覚を無視した」●第4の敗因は「科学的マネジメントがなかった」●第5の敗因は「軍部の取り巻きがもの申さなかった」優勝劣敗の勝因を考える●第1の勝因を考える「何のため、どんなゴールのためにするのか」「解決すべき課題は何か」を明確に示すことが重要である。夢を持てるビジョンを示すことが肝心だ。そうすれば、みんなでその方向に向かって、どんな困難も乗り越え、まっすぐに進むことができる。●第2の勝因を考える軍隊はミッションが明確であるが、経営者は自分で探し出さなければならない。だから、往々にして、日本の多くの企業がミッションを持たず、「危機感を持って頑張れ!」といった曖昧な「ガンバリズム」で進んでしまう。しかし、井の中の蛙に陥ってしまわないよう、徹底した競合分析をして、己の考えの範疇で考えるのではなく、広く知見を求めることが肝心である。●第3の勝因を考える顧客の良識と感覚を大事にする●第4の勝因を考える管理者は科学的なアプローチを持って、専門職を生かし動かないといけない。全員で成果を掴むことができれば、これが最良のフィードバックとなって、やる気の源泉となる。そして企業は成長するのだ。マクドナルド社は1店舗ごとに、小さな高速度食品加工工場を持った、科学的なレストランである。多能工のクルーたちが、自分勝手な手を加えることなく、科学的に編み出したマニュアルで「QSC&V」を意識しながら、新しいライフスタイルの食文化を生み出してきた。そして、多くの企業が、この仕組みを真似ている。今やコンビニとの競合状態にあるが、文化性のあるもの(=きれいで楽しいもの)は廃らない。そしてツクイは、ご利用者様が6万人にならんとしている中、統計的なもろもろのデータ、たとえば「心理的な利用者ニーズ」などのデータを活用できるので、科学的なアプローチが可能である。統計データの利用は、「失敗の確率を減らす」ことができるため、さらに統計を活用したイノベーションが可能である。●第5の勝因を考える取締役会は、意思決定の最高の場である。現場担当の役員は、現場環境の構築や発展を行なう責任がある。本部や本社のやり方に、具体的な意見を言わなければいけない。とくに、現場の意見を吸い上げて、代弁することも重要だ。社外取締役は形式的な存在に終始するのではなく、「アドバイザリーボード(顧問委員会)」と呼ばれる、いわゆる「ご意見番」的な存在であることが求められる。企業は外的要因では潰れないフランチャイズビジネスの企業文化は「規律第一」といっても過言でない。いつでも、どこでも同じ「QSC&V」が保障されることが重要だ。顧客に見えていない深層部分で「地道な企業努力」をしたことが、表層サービスでの真価を発揮することとなる。手を抜いてできることは、何もない。社員教育や訓練、モラルアップと何ひとつ欠かすことができないのだ。
市場競争に負けるのは外的要因よりも、戦略の失敗やずさんな管理、ブランド力不足などである。内部統制はリスク管理であり、内部監査はとくに重要だ。高位管理者の不正ほど発見が遅れるので、意識改革が重要である。天の網の目は粗いかもしれないが、「天網恢恢疎にして漏らさず」と老子は述べたとおり、お天道さまは必ず見ているもので、悪事は必ず発覚する。私は、この言葉をしっかりと心に留めて決して忘れないことにより、効果を発揮している。監査では、マニュアルや法令遵守の状況をチェックし、マニュアル逸脱や不正を牽制し、防御することだ。そして、結果は計量化して、判定すること。つまり、通常の監査は年1回しか行われないが、抜き打ちのOJT監査が行われれば、常に法令遵守が守られるのだ。フィールドマネジメントには「人間同士の関わり合い」が不可欠フィールドマネジメントはIT時代といえども、現場に足を運び、顔を会わせる経営にある(ドラッカー)ドラッカー氏がこう言ったように、お客様が店舗に足を運んでくれるビジネスでの教育は、ネットワークの力だけでは、十分なサービスを提供できない。ITだけに頼るのではなく、人間同士の「フェース・トゥ・フェース」が大切なのだ。そのため、フィールドマネージャーが優先すべき任務は、未熟な管理者のフォローアップである。人を育てながら、仕事を推し進めることだ。すると、人の成長が業績を押し上げ、成長戦略を加速させていく。現場の顔を見ずして、数字上で判断をするのならば、本社でコンピュータが全てを完了できる。そうではなく、現場の人間たちと血肉の通った仕事をしない限り、ヒューマンビジネスで成功することはできない。また、チームワークの人間関係は縁(えにし)、つまり「自然の巡り合わせ」である。ちょうど、祭りに参加したりする信仰者の集まりのような「絆」が大切なのだ。従業員が着るのは、「はっぴ」ではなく「ユニフォーム」なのだが、心をひとつにしてハッピービジネスを実現できるように、推進しなければならない。「あの人が好きだ、嫌いだ」ということを超えた「縁観(えにしかん)」を持ったチームワーク体を大切にして、やる気を育み、離職率を減らせればと願う。しかし、日本企業の平均離職率は30%と言われる。これは、若い人の職業意識の低さやトレーニング不足、研修不足、研修形態に問題があるようだ。しかも、1人っ子世代の意識変化に加え、昔のように2週間程度の合宿による同期との絆や宴会が消えてしまったことなどが原因とも聞く。このような客観的な現実を踏まえて、フィールドマネージャーは何を持ってモチベーションやリーダーシップ、経営戦略を全うしていかなければならないのか。業績向上を実現し、業界ナンバーワンの給与増額と離職率低減を実現するには、何よりも「コミュニケーション」が大事であると、私は確信している。
現場の状況やマネジメントチームの能力に応じたコミュニケーション新米管理者には、「惜しげもない指示」と「コーチング」というコミュニケーションが必要である。状況に応じて悩みや苦しみのカウンセリングや、業績混迷のコンサルティングをすることが、大切なコミュニケーションとなるのだ。肩肘を張らずフランクで親切に、相手に物事を考えさせ、やる気や考えを引き出すことが肝心となる。単刀直入に、命令や指令だけで仕事をしてはいないか、今一度振り返ってみてほしい。行動科学に基づいた科学的管理法「選択の科学」(シーナ・アイエンガー著/文藝春秋社)のなかで、アイエンガー氏は次のように述べている。それぞれについてコメントしていこう。●選択は生き物の本能であるなぜ満ち足りた環境にも関わらず、動物園の動物の平均寿命は短いのか。なぜ、ストレスが多いはずの社長の平均寿命は長いのか。それは、動物園の動物は「選択権」がないのに対し、社長は高度な選択権を何度も駆使してきたからである。それほど、「選択」は生き物にとって必要不可欠な本能なのだ。●「強制」された選択あなたは「自分らしさ」を発揮して選んだつもりでも、実は「他者の選択」に大きく影響されていることが多い。その他大勢から離れた突飛でない選択でも、人に影響されている。●選択を左右するもの人間は、衝動のために長期的な利益を犠牲にしてしまう。そうしないために、選択を左右する「内的要因」を知る必要があるだろう。私たちは、毎日何度も決断をしているが、豊富な経験と知識がある人でも、がっかりするような選択をすることが多い。そこで、賢明に選択するために、頼れる法則がある。これは心理学用語で「ヒューリスティック(経験則)」と呼ばれる。ヒューリスティックは、リスクを減らし、満足のいく選択を授けてくれる。●選択は創られるファッション業界は、「今季はこの色が流行る」と予測できる専門家と契約しているという。しかし、専門家は予測ではなく、流行を創っているのではないだろうか?人間の選択を左右する「外的要因」を考えることが重要なのだ。●豊富な選択肢は、必ずしも利益にはならないアイエンガー氏が行った実験のなかで、もっとも多くの人に引用され、応用されている実験として「ジャムの実験」がある。「ジャムの種類が多いほど、売上は増えるはずだ」と多くの人は考えたが、「品揃えが豊富すぎると逆に売上が下がる」という結果になった。これは豊富な選択肢は、必ずしも利益にならないことを表している。「プロフェッショナル」という職業観を持った選択意識
私たちは、不平不満を持ちやすい働き方をしていることが多い。「こんな安い給料で」「こんなきつい仕事で」と思って、「反動形成(抑圧されて無意識になっている欲求が意識や行動に現れないよう、それと正反対の意識・行動に置き換えられる)」している人の多くは、それが自分の心の成長を大きく蝕んでいることに気づいていない。しかし、年齢を重ねると、もう後戻りはできない。若いうちにしか、多くの現場で腕をふるうことができないのだ。「自分の成長のため」と強い意志を持って下積み時代を経験することが、自分の未来を創ってくれる。よって、「こんなにつらい修羅場を経験したことは、いずれ大きな意味を持つのだ」と自覚しながら働くことが大切だ。「われ鄙事(ひじ)多能なり」と論語で言われるように、つまらない経験でも、人生にとって多能工的にものいうときがくるのである。バリューマーケティング(「経営革命大全」ジョセフ・H・ボイエット、ジミー・T・ボイエット著/日本経済新聞社刊)この項目では、現場最優先で価値優位のフィールドマネジメントにおける、3大視点を説明していく。(1)オペレーショナル・エキセレンス(オペレーションの卓越性)オペレーションのカテゴリーでは、マクドナルドが世界的にも顕著で卓越性を持っている。その特長は、次のとおりである。●独自のノウハウと技術の応用の成果である(ツクイでは「人員配置基準表」や「変形労働時間制」などが、これにあたる)●ローコスト経営●厳しい管理自らをマネジメントできない人は、仕事では使えない。自己管理できず、規律を乱す人は、たとえ有能でも使えないのだ。このような人は、チームワークがとれないため、自由闊達(心が広くのびのびとして物事にこだわらないさま)とは違う。(2)カスタマー・インティマシー(顧客親密性)企業は、お客様によろこばれることをすべきだ。お客様を失うことは、最大の失敗である。差別化・愛情・美的・スピーディが、サービスの本質である。私は、これを「差愛美趨」と呼んでいる。(3)プロダクト・リーダーシップ(製品優位性)製品優位性では、ウォルト・ディズニー・カンパニーがトップを走っている。製品そのものをつくって売っている企業ではないのに、それはなぜだろうか?そのヒミツは、老若男女が何度も行きたくなる「企画力」にある。つまり、企画開発の優位性があるのだ。「再投資プラン」「リフレッシュ」「リモデル」も重要な差異化要因である。リーダーシップ=実践的知恵と賢慮(アリストテレス)そもそも、リーダーシップは後天的には育成できない、と言われている。しかし、会社の部門の長や、専門職に関しては、修羅場的な苦労を重ねた人は、かなりのリーダーシップを持っているといえる。成功と失敗の修羅場経験は、自信につながり、確信に変わるのだ。人が失敗する最大の原因は、傲慢(おごり)でしかない。リーダーのあり方リーダーとは、相手をおもんばかり、ワクワクするビジョンを示せる人である。しかも、未来志向で、号令を語りかけはするが、命令はしない。言葉は、人を動かすことができる。
汝自身を知れ(フリードリヒ・ニーチェ)~傲慢であること~人間は、ときに愚かな動物である。喜怒哀楽の「怒」や「哀」を人のせいにしがちだ。そのため、業績が悪いのは部下のせいであり、上手くいった「喜」や「楽」は、すべて自分の力だと傲慢になる。他人が馬鹿にみたいに見える時期だってあるだろう。しかし、そのときはおそらく失脚している。アメリカの実業家であるジャック・ウェルチ氏もこう言っている。「窓の外を眺めて自己反省し、上手くいったのは誰か称賛すべきである」と─。孔子の教え『声に出して活かしたい論語70』(三戸岡道夫(著)/栄光出版社)から、私が厳選した孔子の教えをご紹介しよう。●「徳は孤ならず、必ず鄰なり」道徳を守る人は、世の中から孤独しているように見えるが、決して孤立してはいない。必ず、よき隣人やよき理解者、よき協力者が周囲にいるものだ。●「君子は人の美を成す人の悪を成さず、小人はこれに反す」君子は、人のよいところを褒めたたえ長所を伸ばし、悪いところはそっと言って聞かすが、小人はまったく反対のことをする。部下の育て方は、君子を見習いたい。ブランドとはブランドは、機能的価値や感覚的価値、情緒的価値の3つを包含している。この3つの価値は、人をよろこばせて幸せにする。今や、世の中のライフスタイル
のなかに溶け込んでいる、マクドナルドの「ドライブスルー」やユニクロの「ヒートテック」、ルイヴィトンのバッグなどが、これを感じさせる。高齢社会の競争下で、介護ブランドづくりには、「何を持って機能的とするか」は重要なテーマだろう。これを大いに議論して研究していきたい。リーダーシップ「オオカミの存在と森の生態」「小善は大悪に似たり、大善は非情に似たり」。つまり、情けは人のためにならない。その甘いフィールドマネジメントのスタイルが、優柔不断な管理者を増殖させてしまうのだ。オオカミのように、知的で緻密で勇ましく、おおらかなリーダーシップが大切である。森の生態に従えば、オオカミがいなければシカが異常繁殖して、森の木々を食い荒らしてしまう。そして、森は荒れはてて、何もなくなってしまう。富裕な栄養分を持った土壌でも、有効な微生物が死んでバランスを崩せば、森は死ぬ。生態系連鎖の豊かな川や海は、むなしく死んでいく。これと同様に、知的なオオカミ的な存在がいなければ、組織はもたないだろう。チームワークとはチームワークは「助け合い」ではなく、それぞれの自己完結力とコミュニケーションの統合である。よって、「できない人」の穴埋めをし合うことを、チームワークとは呼ばない。しかし、社内で協調するという企業文化は大事だ。たとえば、仕事ができない人に、しっかりと責任を持ってスマイルで教え、その人ができるようにする。そうすれば、仕事ができない人は、素直にスマイルで学び、いずれできるようになる。これが「トレーニング」という仕事である。スーパーバイザーの職務記述書働き方改革のためには、「JobDescription(職務記述書)」で、担当の仕事の役割や責任を文書化することにより、仕事を「見える化」して、数値目標ゴールのPDCAをまわしやすくする必要がある。職務記述書を使うことで、職務の大きな部分で、個々の部下を育成しながら「聞こえる化」を図り、チーム機能を高め、業績向上に責任を持ちやすくなるのだ。スーパーバイザーの目的スーパーバイザーは、お客様が最高の満足を得るために、人材開発トレーニングをして、売り上げの増加や適正な利益を確保することを目的とする。そのために、店舗運営のプロとして、あらゆる面において専門的な助言を与え、具体的な方法を示し、指導やコーチングをしてフォローする。必要に応じて上司の指示を仰ぎ、適宜報告をする。また、スーパーバイザーになる人は、仕事(店長)の経験が豊富で意識が高く、リーダーシップのある人が適任である。スーパーバイザーの役割スーパーバイザーには、次のような役割がある。1.会社の目標や方針、予算、店舗運営に対して責任を持つ2.店長・アシスタントをコーチング・指導、援助し、育成する3.マニュアルに沿った店舗運営ができるようチェックリストを活用して、最高レベルの店舗運営を行う4.店舗のマネジメントチームを各タイトルに応じてトレーニングする5.本社と店舗の調整を図り、パイプ役として努める6.店長に目標を設定させ、評価を行い、目標達成に助力する。また、店長にアシスタントマネージャーの育成、評価を実施するよう指導する7.店舗の売り上げが上げるよう対策を講じる8.店舗の安全管理に努め、不備を是正する9.店舗運営にとって効率の悪いところを改善し、効率化、見える化を計る10.新しい機械、やり方、必要な情報を店舗に与え、該当部にもできるだけ早くフィードバックする11.担当店舗の再投資の必要性を判断し、上司と相談した上で、アドバイスしたり計画を立てたりする12.新規出店のオープンが円滑に、効率よくできるようにする13.秘密や情報が、外部に漏れないようにする14.健全な考え方で仕事に臨み、プロらしい態度と人間力を保ち、ほかへよい影響を与える
おわりに読者のみなさま、この本のなかでは、私が長年温めてきたことと何十冊分もの智恵、小生の実践論とを掛け合わせました。多様化する社会変化のなかで、日本の労働市場は、いよいよ大きな波がやってきました。働き方改革や健康推進には、確かな考え方とツールが必要です。その根底になるのが「人材有機養成」という考え方にあります。人生100年時代、「人手不足」や「ITだ、AIだ」と言われておりますが、その開発や使用は「人間」が全てです。労働市場は、おおよそ50年単位で産業革命が興っています。そのたびに、新たな人手不足に見舞われてきた歴史があります。だからこそ、そのイノベーションには、人材有機栽培やオペレーションマニュアルのような理論武装が必要なのであります。人材有機養成やマニュアルは「科学的管理法」によって、効率的かつ人間力のある人材を養成しなければ、生産的なチームワークは成り立ちません。このことは、平昌五輪のスピードスケート女子団体追い抜き(パシュート)決勝で、日本チームが強豪のオランダを破って優勝し、歴史的快挙を遂げたことでも明らかであります。「スポーツも企業もよい戦略を持った強いチームが勝つ」。心・技・体の鍛錬の結果、「心の克服」によって、チームの連帯感や挑戦心が最大となります。そして、強いチームとなって、感動する結果を生むことになるのだと思います。チームワークを定義するならば、「各自は日々、己を研鑽し、チームの生産性向上に資するべく、連携強調する」ことです。スポーツでは、そのために個々人を磨くコーチングとチームコーチングで、効果の最大化を図り、(スピードスケートチームの場合は年間300日の)合宿強化訓練など、寝食をともにしてコミュニケーションを深め、ムダのないチーム効率を研究して、効果を出すのです。企業活動においても、これと同じことがいえるでしょう。私は、学生時代にフレデリック・ウインズロー・テーラー氏の「科学的管理法」を産業能率短期大学(現産能大学)で学びました。現在、縁あって科学的管理法の父テーラー氏が1912年に米国で創設したSAM(SocietyforAdvancementobManagement)の海外支部として1925年承認された「SAM日本チャプター」に所属しております。テーラーのマネジメントは「生産性の向上によってもたらされる余禄の分配が労使双方の幸せ」になることを目標としています。米国マクドナルド社は、高度な仕事を誰が行っても高品質にプロダクトできるように、科学的管理法によって、厨房やオペレーションマニュアルを開発しました。そして、専門化、標準化、単純化して、大勢のクルーがスタンダードに仕事ができるようなシステムをつくり、世界中にチェーン展開を実現しました。このマニュアルによって、クルーチームがオペレーションプライドを持って「高速度食品製造加工販売業」、すなわちファーストフードレストランが外食産業になり得たのであります。さて、SNSが卑近なコミュニケーションツールになってきましたが、仕事上のスキルで一番難儀していることがコミュニケーションだと言われています。コミュニケーションはマネジメントの基本であり、「合意を得る」ことがコミュニケーションの成立なのであります。私は、伝える技術は「説得工学」であると考えています。なぜ工学なのか、ちょうどシーソーゲームのように、自分と相手との作用、反作用の理論だからです。相手が納得するということは、あなたの説得力、すなわち質と量に拠って、相手の能力や理解度、経験、知識、興味などによって反作用するわけです。だから、相手を見て物事を説くことが肝要です。人を見て法を説け、すなわち「思いやり」と「PSS」が説得工学と言えるでしょう。本書の発行に当たり、大変お骨おりを頂いた福地聡氏とは、10年前にお会いする機会に恵まれました。これがセレンディピティ(遇察力)です。今年の年賀状で「今年は書きます」とした処、福地氏から「やりましょう、お手伝いします」と反作用してくれました。この呼応が合意です。福地氏からエディター流石香織さんを紹介され、読者の皆様に分かり易い表現ができたことに感謝いたしております。多くの読者の方のPAC(PssionActionCreation)にお役に立てたならば、これ以上のノブレスオブリュージュはありません。2018年5月橋正夫
【巻末付録】話の魚話力革命マドウズ96話し手を観察するのは、おもしろいものである。話し手は、「酒のさかな」ならずも「話の魚」になる場合が多い。こんな経験をした人も少なくないはずだ。男:エー、私は、エー、そのー、話がエー、へたでしてエーエー、風邪をエー、ひいてましてエー、お聴き苦しいとエー、お思いますがエー…。(盛んにマイクのコードをたぐる)女:アノー、アノー、アノー、うちのアノー、主人はアノー…。(盛んに手を口に当てる)男:それでですネー、エート、それでですネー、エート…。(盛んに頭をかく)女:ウーン、ウーン、…。(盛んに髪を触る)あなたは、魚にされた方だろうか、魚にした方だろうか。では、論旨明快な表現力や話力を身につけて、「話力革命」をするには、どうしたらよいのか考えてみよう。たとえば、こんな悩みを持っている人がいる。1.簡潔に述べることができない。2.筋道を立てた話ができない。3.何を話したいのか、何を言いたいのか、自分の考えをうまく伝えることができない。なかには、人前で上気してしまう人も多い。実は「話す」こととは、コンピュータのハードとソフトと同じである。私たちの頭はハード、すなわち器であり、中身がソフトだ。私たちもコンピューターのように、新しいソフト開発に目を、いや、「窓(マドウズ)」を開こう。I基本編話、とくに挨拶は、定型的なものと非定型的なものがある。定型的なものが基本ソフト、非定型的なものがアプリケーションソフト(応用編)だ。まずは、定型的なものをしっかりとマスターする必要があるだろう。たとえば、結婚式の乾杯のあいさつなどでは、「只今、ご紹介を賜りました〇〇の〇〇でございます。甚だ僭越でございますが、諸先輩の皆々様を差し置きまして、誠に恐縮でございますが、ご指名により乾杯の音頭を取らさせて頂きますので、皆様ご唱和の程、よろしくお願い申し上げます。それでは、ご両家の益々の……」となる。普段から、このようなケースをはじめとした「基本的なこと」を頭に入れておく。非定型や、突然の指名は、その時々の状況に合った、応用でしかない。まず、基本ソフトをマスターしていこう。Ⅱ応用編話ができるようになるためには、かなりの物知りでなければいけない。ということは、ありとあらゆる分野にわたって、情報を集める必要がある。いろいろな情報やニュース、話に興味を持つことだ。そして、その話題をもとに、上手に話に組み立てることが重要である。(1)起承転結話の骨子を組み立てる
(2)話す方法(PSS:プレゼンテーション・スピーチ・スキル)の3大テクニック1目配り(アイコンタクト)全体を見渡すように努める。40~50人のときは、右図のように、4つのブロックにして手前左右、後左右というように10秒くらいずつ、アイコンタクトをする。100人~200人のときは、Z型に見渡して、目で語りかけるようにする。聴き手はその目に酔うのである。「自分に語りかけてくれている」と錯覚するのだ。2声あごを引いて、落ち着いた声を出すようにする。肉声の場合は後ろの人が聞こえるように、マイクの場合は会場の前方の人が聞こえる程度の声量を出すと、ちょうどよい(会場の状態やマイクの質にもよるのだが)。3ジェスチャー・姿勢一番の問題は、手のやり場である。もみ手をしたり、ポケットに入れたり出したり、頭をかいたり、あごをなでたりすると、聴いている人に忙しく見えて、話に集中できない(ディストラクション)。見苦しくないよう、手は自然にして、話の内容に合うよう動かせたら最高だ。(3)上気上気とは「上がること」で血が頭に上って、膝がガクガク、声が上ずってしまう状態のことを言うが、これは致し方ない。上がらないのは、赤ん坊とアホウだけで、上がるのが普通なのだ。ただし、上気を防止するには、最初の30秒間の動作をゆっくりとするとよい(緊張すると、アドレナリンが分泌し、緊張が消えるまでに、だいたい30秒かかるため)。ゆっくりと歩いて、壇上におもむろに立ち、ゆっくりとマイクを合わせて、そして、会場を一望して、色を3つ程度探すようにする。たとえば、「赤いセーター」「緑のネクタイ」「黄色いシャツ」が見えるほど、落ち着く必要があるだろう。話し手がゆったりとすれば、聞き手には、話し手が落ち着いているように見える。落ち着いた雰囲気になれば、聴衆からの注目度があがるのだ。人前で上手に話したいと思っている人や、話し下手で一生を終えたくない人は、この「話力革命」で窓を開けてみよう。きっと新しい世界が開けるはずだ。
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