「粗利益率」の改善で経常利益が大きく増える 11の経営指標の1つ目が「粗利益率」です。これは、簡単にいえば「儲けやすさ」を示す指標です。「粗利益率 =粗利益 ÷売上高」で導き出すことができ、売上高に対する粗利益の比率を表します。「粗利益」(粗利)とは、「変動損益計算書」(変動 P/ L)で、「売上高」から「変動費」を差し引いたもので、毎月の「粗利益率」は「月次推移変動損益計算書」(月次推移変動 P/ L)から求められます。「粗利益率」は会社の事業がどれだけ付加価値を高めているかを、最もシンプルに表すものです。
一般に、仕入れた商品を売る薄利多売の業種では「粗利益率」は低くなり、製造業のように自社で付加価値をつけた製品を作り販売する業種では高くなります。 たとえば、会計事務所やコンサルタント業など、仕入れなどにかかる「変動費」がほとんどない業種では、売上高がほぼそのまま「粗利益」となるので、「粗利益率」は 100%近くになります。このほか、理美容業は 90%前後です。飲食業では 70%前後となります。他に製造業では 40 ~ 60%、建設業では 20 ~ 40%、小売業が 20 ~ 30%、卸売業が 10 ~ 20%といったところです。 経営戦略は、「粗利益率」の高低によって違ってきます。「粗利益率」の高い業種であれば、「数の戦略」で粗利益を増やしていくべきです。 このとき、顧客数と商品販売数がポイントになります。現在の顧客数を減らさず、新規顧客獲得数を増やしていくことが、粗利益を上げることにつながります。 一方、「粗利益率」の低い業種であれば、自分で値決めのできる「付加価値の高い商品」の開発をするべきです。「粗利益率」の低い業種では、価格、仕入値が粗利益に大きな影響を与えます。価格競争型の商品では差別化できず、大企業に潰されてしまうことになります。 ●「粗利益率」 1%アップで経常利益が 10%増加「粗利益率」が重要なのは、この数字を少し改善するだけで収益性が大きく上がるからです。具体的な例を紹介しましょう。 A社の変動 P/ Lは、売上高 1億円、変動費 7500万円、固定費 1500万円、経常利益 1000万円となっています。変動 P/ Lでは、粗利益は固定費 +経常利益なので、粗利益は 1000万円 + 1500万円 = 2500万円となります。売上高 1億円に対して、粗利益 2500万円なので粗利益率は 25%です。 この A社は、仕入れのコストダウンをできる限り進めて、粗利益率を 1%上げ、 26%にすることに成功しました。 1%というわずかな改善では、変動 P/ Lではどの程度よくなったのかは一見するとよくわかりません。 しかし、これ以降、 A社が同じ 1億円を売り上げたとすると、粗利益率 26%なので、粗利益は 2600万円と 4%の増加になります。固定費は 1500万円で変わらないので、経常利益は 1100万円です。経常利益の増加率は 10%にもなります。つまり、「粗利益率」 25%の会社が「粗利益率」を 1%上げると、 4%も粗利益が増えるのです。経常利益にいたっては、 10%もの増加になります。 このように、売上高や粗利益率の増減による粗利益や経常利益の増減を計算することを「増分原価計算」といいます。 社長は毎月変動 P/ Lを使って、こうした計算をしながら数字に強くなっていただくとともに、社員に数字教育をしていただければと思います。
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