よく、「私はお金を手にしないようにしている」という社長がいます。 それは、会社のお金と自分のお金を区別しているからだと言います。 しかし、現実に区別できているかどうか、というとどうでしょうか? 社長になると、当然ですが現金を手元に置かず、銀行の通帳に入金します。すると、その通帳の印字がお金の基準になってしまいます。毎月の集計、金銭出納簿、決算書なども同じで、パソコンの印字がすべてとなります。 このように入金、支払いなどすべてが数字で判断されます。確かに便利な時代となりました。がその半面、現金という意識が薄くなりました。 買い物はカード決済ですまし、電車もバスもタクシーもカード。財布の中身は小銭くらいですみます。 すると、お金は幻想に近い、バーチャルな存在になります。 こうなると、自分のお金ではないという意識は生まれますが、誰のお金でもなくなるという他人ごとになってしまう恐れがあります。集金は振り込み、支払いも振り込み、こうしてすべてが印字だけの判断となります。 社長になると、お金の厳しさ(資金繰り、決済の苦しみ)を知ります。 お金は、「入るお金」と「出るお金」の二種類しかありませんが、お金の厳しさは「出るお金」にあります。 毎月確実に安定している入金がある場合は別ですが、請負業のように数カ月までは予定が組めるが、数年先の予定が組めないという会社のほうが多いかもしれません。 しかし、どうして資金繰りで悩み、苦しむのでしょうか? もちろん、「入るお金」が足りないから、「出るお金」で苦戦するわけです。でも、それだけなのでしょうか?「私は、小切手も、手形も切らない。常に現金払いで仕事をしています。小切手や手形、締日支払いは、借金と同じだからです。その場では現金が動きませんが、数日、数カ月すれば現金が必要になるわけですから、借金返済となんら変わりません。 一時的には小切手や手形、締日支払いが楽そうですが、先のことなんて見えないし、昔でいう『ツケ』と借金は同じものですよ。 実は私は、長年、小切手や手形で支払いをしてきました。 下請けにしてみれば、それがあれば銀行で融資が受けられるわけですから、早く現金化したいという希望に応えて支払いをしてきたのですが、結局誰かに借金をさせているわけなので、それも同じことです。 私も借金、下請けも借金という世の中です。すると、お金の価値観が数字だけとなり、現実感が薄くなってしまうのがわかりました。ポケットに一万円あるのと、通帳に一万円あるのとでは現実感がまるで違うのです。 それと、お金はなければ支払うことができませんが、あれば支払うものです。ですから、お互いが無理をしない関係が大切だと考えました。手形、小切手であえて支払いを先延ばししている会社もあるようですが、お金はあれば支払うものなのです。他人に支払うお金でも、たくさん集まれば、自社の金融資産、自分のお金だと勘違いしてしまいます。すると、経営判断が甘くなります。 私は、本当のお金だけを通帳に残したいと考え始めました。そして、支払いはすべて現金で支払うことで、勘違いを防止するとともに、お金の価値やありがた
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