プレッシャーは身体に出る 不満、不安、心配、プレッシャーなど、感情は身体に症状となってあらわれます。第 2章で、言いたいことを我慢して、声が出なくなった方の事例を紹介しましたよね。 絶えず不安や心配事がある人は、体が硬くなって凝り固まってしまいます。それが慢性的な肩こりや頭痛、人によっては腹痛などの原因になってしまうのです。 感情コンサルにこられた鳥谷社長は、お父さんの経営する会社の飲食店部門で、オーナー社長をされている人です。 オーナー社長と言っても、自分でお店を切り盛りしていて、厨房に立つこともあるとか。出資者が親なので、遠慮なく経営に口を出してくることもあり、それがプレッシャーで、常に緊張と不安を感じる毎日とのことでした。「肩こりがひどくて、頭まで痛くなることがあります。リラックスできないんです。社長になって以来、いくら意識してもリラックスできたことがないんです」「鳥谷さん、リラックスって、意識してするものではありませんよ」「ああっ、言われて見ればそうですね」「そうですよ。リラックスしなきゃ、リラックスしなきゃって自分を責めていたら、リラックスできません。眠らなきゃ、眠らなきゃって意識すると、かえって眠れなくなってしまうのと一緒です。無理に笑おうとして作り笑いをするようなものです」「たしかに……」「鳥谷さんの場合は、まず、安心できる場所に身を置くことが良いと思います。そうですね……。ポカポカのお日様の下、森林浴ができる公園などへ行って、まず、大きく息を吐き切り、ゆっくり吸い込む深呼吸を 5回ほどしてみてください。息は先に吐き切ると、自然にたくさん空気を取り込めますから、先に吐いてくださいね。別にリラックスしようなんて思わなくてよいので、何も考えずにやってみてください」 身も心も凝り固まっていると、猫背になり、呼吸が浅くなっています。そういう方は、深い呼吸をして新鮮な空気を体に取り入れると、胸も開いてリラックスできます。 深い呼吸をするには、コツがあります。 肘を脇にくっつけて、手のひらを体と平行になるように前に向けます。自然と胸が開いて、肩甲骨あたりの筋肉がゆるむのが、わかりますか。 その姿勢で大きく息を吸って、いったん止めたら、大きく吐き出してください。 きっと、深い呼吸ができるはずです。 私からの提案を実行した鳥谷社長からは、後日、「公園で大きく深呼吸してみたら、今まで身体のなかに溜まっていた不安な気持ちが、吐く息と一緒に出ていったような気がして、少し気が軽くなりました」との連絡がありました。自分に効く「リラックス方法」を知っておく 鳥谷社長のケースでは、セーフティゾーンに身を置いた深呼吸が効きましたが、ほかにも効果的なリラックスの方法はいくらでもあります。 味覚からリラックスできる方は、「奮発して美味しいものを食べる」「コーヒーを飲む」「キャンディーをなめる」など。 聴覚からリラックスできる方は、「好きな音楽を聴く」「小鳥のさえずりや小川の流れる音を聞く( CDでもオーケー)」など。 嗅覚からリラックスできる方は、「アロマを楽しむ」など。 見ることで安らぐ人もいれば、香りをかぐことで安らぐ人もいます。人それぞれですから、自分は五感のうち、どこでリラックスできるのか、知っておくと良いでしょう。 可能ならば、仕事から離れて旅行するのも効果があります。今はコロナで控えていらっしゃる方も多いようですが、大きな仕事が終わるたびに旅行に出かける社長さんや、年末年始は毎年、家族とハワイへでかける社長さんも知っています。 旅行が無理なら、ご近所のスーパー銭湯だってリラックスできます。 あとは、すでにお話ししたように、「大声を出す(大声で歌う)」「何かを思いっきり叩く(壊す・蹴飛ばす)」というのもスッキリします。 心が解放される避難場所のような場所を決めておくのもお勧めです。お気に入りのカフェとか、会社の屋上とか。落ち着けるならトイレだって構いません。 私はそういう場所のことを、心がホッとする「ホッとスポット」って呼んでいます。「自分にとって気持ちいいことは何か?」「落ち着ける場所はどこか?」を知っておいて、気持ちが落ちているとか、緊張しているとか、そういうときには、それを使ってリラックスするようにすると、「悪い気」が溜まりにくくなります。 この「悪い気」、言いかえれば「負のエネルギー」は、オフィスにも存在します。 なかに入った途端、「負のエネルギー」に支配されていて、「居るだけで息苦しくなってくる」というオフィスが、本当にあります。 そういうオフィスで働いていると、社員も負のエネルギーに染まってしまいます。そんなオフィスの会社は、業績は良くても、人が次から次へと辞めてしまう。 信じる信じないは別として、そういう「悪い気」とか「負のエネルギー」というものは確実に存在しています。体のなかの「悪い気」を全部、吐き出す! ここで、この「悪い気」について、もう1つお話をさせてください。 それは、長年にわたって弊社の社長を務めた、私の父のことです。 社長の座を私の夫に譲ったあと、余命宣告をされた父。 私はその父が、まさにこの「悪い気」を吐き出す瞬間に遭遇したことがあります。 それまで、社長としてさまざまな苦難を経験し、時には辛酸をなめ、毎日毎日、夜中過ぎまで働き続けてきた父。その父が余命の宣告をされ、少し経っ
たある日のことです。 その日は、それまで心のなかに溜め続けてきた、「悔しさ」「虚しさ」「怒り」のようなものが、突然、堰を切ったかのようにあふれ出たようでした。 自分の感情を抑えることができなくなり、父は私の前で初めて男泣きしたのです。 嗚咽する父を前に、私は瞬間的に、「これは、溜め込んできた『悪い気』を全部吐き出させなくてはいけない」と思い、父に言いました。「ねえ、ねえ、お父さん! う ーって言ってみて! う ーって、声を出してみて! そして、全部、吐き出して!」 父は、私の言葉を聞いて、「うぉ ーーーっ」って低い唸り声をあげました。 そして、息を全部、吐き出したようでした。「お父さん、もう 1回、できる?」 父は、それから 3、 4回、「うぉ ー」と唸りながら、息を吐き出しました。 息を吐き出すたびに、少しずつ落ち着きを取り戻していく父。 それは、重苦しい悔しさや虚しさがその低い音に乗って、父の口から出ていっているかのような光景でした。 そんなことがあった翌日。 私が会いにいくと、父が穏やかな顔でこんな言葉をかけてくれました。「夕べは、ぐっすり眠れたよ」 父は、長年にわたって心に溜めていた「悪い気」を、なんとか吐き出すことができたようでした。不満、不安、心配、プレッシャーなど、「悪い気」は知らぬ間に、心のなかに、そして、オフィスに溜まっていきます。方法は何でも良いです。ぜひ、定期的に解消することをお勧めします。
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