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「社長たるもの、『感情的になったら負け』と思っているのに、小さなことで、つい、イライラしてしまう」不動産会社社長   40代  黒川健三さん(仮名)

感情は「スタンプカード」?  私は、感情というものは、「スタンプカード」みたいなものだと考えています。  どういうことかというと、たとえば、 Aさんという人が、 Bさんに対して、「怒るほどではないけれど、少しカチンとくる態度をとった」とします。このとき、 Bさんの心のなかにあるスタンプカードに「怒り」というスタンプが1つ、ポンと押されます。  このスタンプは、 Aさんがカチンとくる態度をとるたびに、 Bさんのスタンプカードに1つずつ押されていきます。  そして、ある日、「 Aさんが、ちゃんと挨拶をしなかった」という怒りのスタンプがポンと押された瞬間に満了を迎え、ついに、 Bさんの怒りが爆発するのです。  でも、周りの人は、それまでの Bさんの心のなかのスタンプカードに積み上げられたスタンプの数を知りませんから、「たかが、挨拶をちゃんとしなかったくらいのことで、あそこまで怒るなんて、 Bさん、ちょっと大人げないよね……」って見られてしまう。  そして、 Bさん自身も、「あんな小さなことに腹を立てるなんて、自分はなんて器が小さいんだ」などと思ってしまう。  スタンプカードの内容を覚えていると、「あのときも」なんて、過去の怒りまで口から出てきて、「今さら?」って、余計に、みっともなく感じてしまいます。  相談にこられた黒川社長は、たとえば、ゴルフのときに、一緒にまわっている相手から、「アプローチ、ヘタですね」って冗談を言われただけでカチンとくるのだとか。言われたときは笑って流しても、ずっと腹が立っていて、だんだん顔に出てしまう。結果として、その日のスコアはボロボロになるのだそうです。「この程度のことで怒るなんて器が小さい。それに、怒りの感情をコントロールできないなんて、社長失格」。そんなふうに考えて自己嫌悪に陥っていました。怒りの感情は、コントロールしないで吐き出す  社長さんのなかには、「社長たるもの、感情的になったら負け」という考えを持っている方が多くいらっしゃいます。  たしかに、今は感情むき出しに叱ろうものなら、社員からパワハラで訴えられかねない時代です。「部下に対しては、ネガティブな感情を持ってはいけない」などと唱えるセミナーもあるほどです。「感情的になったら負け」と考える社長さんが多いのも、よくわかります。  でも、感情なんて、次々と湧いてくるものです。「思っちゃいけない」なんて、生理現象を抑えようとするのと一緒で、無理な話。できっこありません。  私は、感情コンサルでよく言っています。「なんでも、どんなことでも、思っていいから!」  聖人君子じゃあるまいし、感情なんて、簡単にはコントロールできないもの。ヘタにコントロールしようと思うから悩ましくなります。  マイナスの感情を持ってもいい、と自分に許可することが大事です。そもそも感情には、良いも悪いもなくて、湧き上がってきた思いが、常にその人にとっての正解なんです。「じゃあ、怒りの感情が湧き上がってきたら、どうしたらいいんですか?」「怒りで冷静なままでいられないときは、口に出して吐き出すのが一番です。相手に伝えるかは別にして、『ほんとに嫌だ!  腹が立つ!』って、思いっきり吐き出してください」「吐き出していいんですか?」「いいです。どんな感情も吐き出せばスッキリします。でも、吐き出すだけではもったいないので、スッキリして少し冷静になったら、考えてほしいことがあります」「考えてほしいこと?」「はい。『自分は、何がそんなに嫌だったんだろう?』って考えてほしいんです。怒りの正体を知ると……  怒りを口にしてスッキリするだけでは、また、新たなスタンプカードを作りはじめるだけのことです。冷静になったところで、怒りの理由について考えてください。  自分は、どうして相手の態度に腹を立てたのか?  そうすると、「そうか、アイツが挨拶しなかったことに腹が立ったのは、子どもの頃に親から挨拶について厳しく躾けられていたからだ。怒りのもとは、自分の挨拶へのこだわりのせいだったのか」って、怒りの原因がわかってきます。これがわかると、怒りの 8割がたは納得できます。そして、「自分が礼儀に厳しいから、カチンときた」など、怒りの原因が、自分の「こだわり」や「好み」だったとわかると、「わざわざ、相手に伝えるまでもないかな」と思えてきます。  さて、感情コンサルの結果、黒川社長には「感情的になる人は器が小さい」という思い込みがあることがわかりました。「じゃあ、黒川さんは、いっさい感情をおもてに出さない社長が好きなんですか?」「いや、それはちょっと人間味が感じられないかな……」「ですよね。ときには感情的で、弱みを見せてくれる社長って、器が小さい人でしょうか?人間味があって、いいと思いませんか?」「なるほど……。そうですね。そっちの社長のほうが魅力的かもしれないな……」  社長だって怒って当然。そう認識を変えられたことで、黒川社長は、逆に小さなことでは、腹が立たなくなったそうで、とても喜んでいただけました。

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