「社長がやりやすい組織」では強くならない 組織の課題というのは、フェーズが変わるにつれてより複雑さを増していきます。どんな大企業でも、課題がなくなることはなく、特に組織が大きくなるほど、その難易度は増していく一方です。 それは言い換えると、かかわるメンバーやステークホルダーが増えている証であり、それ自体は素晴らしく、誇るべきことです。 しかし、ここまで論じてきたように、必ずしも社長がマネジメントや仕組みづくりに長けているとは限りません。むしろ、組織運営がしたくて、社長を始めた人はあまりいません。だからこそ社長の悩みは尽きないとも言えます。 組織課題に向き合う度に、「気の合う仲間数人でやったほうが楽しくやれるよな」と思った社長も多いと思います。これは紛れもない事実ですし、私自身もクライアントにこう言われたことは何度もありました。 一方で、目指すミッションやビジョン、大きなゴールに向かうためには、やはりより多くの人で力を合わせることが必要になる。それもまた事実です。 なぜ、エッグフォワードは多くの会社の修羅場や組織変革に向き合い続けるのか? それは、社長にも社員にもまったく見えていなかった新しく素晴らしい世界を、かかわってくれた人たちみんなと一緒に見たいからです。 私は人の可能性を信じています。人が本来持つ可能性をいかんなく発揮し、チームや組織の掛け合わせにより生み出された価値は、個人や数人では決して成し遂げられない大きなインパクトを社会にもたらします。 しかし、そこに至るまでは、従来の組織運営の在り方を否定しなくてはいけないフェーズが必ず訪れます。そのとき社長は自分自身と真剣に向き合うことになるのです。 組織づくりには、社長自身の思想や本気度が色濃く表れます。放っておいたらいつか理想の組織が完成するなんてことはありえません。 社長が自分の好きなメンバーで周りを固め、自分がやりやすい組織設計をして、自分の思うがままコントロールしているようでは、組織の強化は望めません。 組織の在り方を変えるには、社長自身が過去のコンフォートゾーンを脱さないといけない。自分の目先の好き嫌いではなく、中長期のゴールに向けて全体最適で決断できるか──その覚悟が問われます。それは時につらくて孤独なことです。けれどやらなくてはいけないのです。「小さくて、弱かった組織がここまで成長できるとは……」 将来、周年記念の式典等で当時を振り返り、あなたは組織が持つ力の大きさと偉大さに気づくはずです。それもまた、社長にならないと味わえない感覚です。
第 3章社長の心得 ●組織の崩壊は、企業の規模を問わず起こりうる。解決策は大きく二つ。 H Rに経営陣がリソースを割くか、組織運営の構造を整えるか。 ●社長の考え方に問題がある場合は、制度を整えるだけでは組織の体質は変わらない。社長自身が自分の心と向き合う覚悟が問われる。 ●組織が成長しない背景には、構造的な問題が潜んでいる。特定の人や組織を追及する「犯人探し」に終始せず、組織全体を分解し、どこにメスを入れればいいのかを検証するしかない。 ●社長の想いの大きさ、思想の深さによって、組織の形はまったく変わるという意識を持つ。とはいえ、組織の責任を社長一人で抱え込まないようにする。
Column session 3横領、パワハラ、情報漏洩……コンプライアンスを軽視する会社が招く悲劇
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