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「正解」はないが「基準」はある

 何か判断を下すとき、どこかに絶対の「正解」があって、それを選ぶことが正しい判断だと考える人が、意外と多い。しかし、それは誤りだ。  私のもとには、全国から多くの社長が経営相談にやってくる。そうした社長たちと対話していても感じるのは、「たったひとつの正解」を求めているということだ。直接そう聞いてくる人はいないものの、私が正解を知っているか、少なくとも自分より正しい答えを持っていると考えて、それを教えてほしいとやってくるのだ。  しかし、そもそも判断に正解などない。その前提があることを知ってほしい。私自身が実際に判断するときにも、これが絶対的に正解だと思って判断することは、まずない。この世に 100パーセントの正解などないのだ。  だが、ベストな判断をすることはできる。  判断は、一般的には、その人の経験や器によって変わる。また、人によって判断できる範囲が決まってしまう。だからと言って、個人の経験や勘に頼ってやみくもに判断しても、目的や目標には近づかない。

判断に正解はないが、最善の選択肢を選ぶための基準はある。社長が判断を下すのは、会社の目標を達成して、目的を果たすためだ。その目標や目的こそが、判断における根幹的な基準となる。  したがって、判断を下す際には、基準となる目的や目標を常に意識することが重要となる。だがそれ以前に、目的や目標が曖昧であってはいけない。目的や目標が明確でないということは、つまりは基準が明確でないということになり、それでは適切な判断を一貫して下すことなどできない。  まずは目的をしっかりと定義し、目的が定まったら、目標を定める。どんな価値を提供するのか、どんな方法で提供するのか、それはいつまでにやるのか、いくら売るのか……など具体的に落とし込んでいく。  目的が言葉で表すものであるのに対し、目標には数字が使える。だから、目標のほうがより具体的だ。  目的は、意図を理解したり共有したりすることはできても、人によって言葉の捉え方は少しずつ違うため、完全に共有することは難易度が高いケースもある。しかし、期間や売上目標といった数字で目標を示すことで、誰もが同じものさしで基準を共有することができる。  また、目的・目標には、一貫性が重要だ。例えばある会社が、「ひとり親世帯の子供たちのために、いつでも安くて栄養のある温かい食事を提供する」という目的を掲げ、当面の目標として「栄養バランスの取れた 250円の弁当 4万食の提供」「売上 1000万円」を設定しているとしよう。  しかし、不意に入ってきた「地方の観光地に出店すると、ものすごく儲かる」という話に飛びついてしまうと、「売上 1000万円」という目標には近づくかもしれないが、それよりも大切な目的からは遠のく可能性が高い。  こうなると、もはや、何のために会社をやっているのかわからなくなってしまう。「ひとり親世帯の子供たちのために」という目的で始めた店が、観光地に出店し、そのために価格帯も上げてしまえば、ひとり親世帯の子供たちはなかなか来てくれなくなるだろう。  これでは、その観光地での事業では大きな成功を収められたとしても、当初思い描いていたような達成感や満足感は得られないはずだ。本来の目的から外れているのだから、それも当然と言える。

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