それでも撤退をせざるをえない局面に立たされてしまった。そのとき、社長には判断の拠り所が必要になります。 いくら社長が客観的に判断を下そうとしていても、明確な基準がないと、周りの人は社長が主観的に判断しているように感じて、納得しない人が出てきます。何より社長自身に何の拠り所もないと、判断がぶれて、「もう少し様子を見てみよう」となりやすいのです。 一般的な判断軸としては、収益性が挙げられます。「赤字が続くようなら撤退を検討する」というわけです。ただ、これには難しい点があります。 特にスタートアップはそうですが、ほとんどの新規事業では最初の数年は赤字になるのが当たり前です。最初から利益が出ている事業などまずありません。 そうなると、今は赤字事業でもこれから伸びる可能性は十分にありますし、多少売上が落ちていたとしても、環境が変われば V字回復するかもしれません。 また、先に述べたサンクコストも気になってきます。 これまで投下してきたコストを考えると、撤退を躊躇する気持ちが芽生えます。「赤字なら撤退」と判断するのはわかりやすいですが、ではどこまでの赤字なら許容範囲なのかと考え出したらやはり社長の主観に頼りがちです。 そこで、一定の組織規模において有効になるのは、事業を立ち上げたら「撤退のガイドライン」も設定しておくことです。 事業開始から一定の年数で、「売上 50億円以上」「主要な顧客数 100社以上」といった指標が達成できなければ撤退する、という大枠の基準を決めておくのです。株式投資で「何割損したらロスカット」、パチンコや競馬などのギャンブルで「 1万円負けたらやめよう」という考え方と一緒ですね。 このようにすれば、機会損失が生まれる可能性はありますが、少なくとも、事業を致命的になるまで続けてしまうようなケースは未然に防ぐことができます。
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