前章でも説明したように、すべての判断は目的が基準となる。だが、会社の目的に直結するようなものだけを「判断」と呼ぶのではない。日々の小さな判断もまた、社長にとって重要な仕事であることは変わりない。 ただ、どんな場面でも会社の目的だけを頼りに判断しようとすると、二者択一が難しいことも多い。そこで、目的を叶えるための目標を細分化して、タスク(業務)と計画にまで落とし込む必要がある。そうすれば、「小さな判断」を積み重ねることで、大きな目標(と、その先の目的)へと向かうことができるようになる。 例えば、目標が「年間利益 1億円」だとした場合、利益率 10%の会社なら、その目標を達成するには 10億円の売上を立てなくてはいけない。これを細分化すると、「ひと月あたり 8000万円を売り上げる」という計画ができる。この月次計画が、より時間軸の短い問題について判断する際の指標になる。 さらに、月 8000万円の売上を立てるには、商品をどれだけ売ればいいか、何件の契約を取ればいいか、誰が契約を取ればいいか、どうやって契約すればいいか、入金方法はどうするのがいいか、週単位ではどうか、一日の時間の使い方はどうなるか……といった細部のタスクまで見えてくる。そして、これらタスクをこなしていくと、その結果として、 1億円の利益に到達しそうだ、という道筋が見えてくる。 これが、日々の「小さな判断」の指標となる。例えば、むやみに見込み客を増やすよりも、より確度の高い見込み客を集めたほうが良さそうだ、とか、もっと販路を広げる必要がある、といった判断を下せるようになる。 もちろん、こうした場面でも、最終的な目的・目標を意識することは重要だ。だが、それだけでは判断が難しいことが多いのも事実。と言うよりも、むしろ、こうした小さな判断の積み重ねこそが、目標達成への着実な道のりだとも言える。 明確な目標を持っている社長ほど、そこに一足飛びでたどり着ける(と思えるような)大きな判断を下してしまいがちだが、それは同時に、取り返しがつかない事態になってしまう危険性を秘めている。 そうではなく、会社として目指すべき目的、それを叶えるための目標を明確に見定めながらも、日々のタスクの中で「小さな判断」を適切に下していくことで、会社は着実に前に進んでいく。 しかも、このほうが、ひとつひとつの判断の難易度は下がる。 たしかに、社長の判断は会社の命運を左右する重要なものだが、だからと言って、すべての判断に全身全霊を捧げていては、身が持たない。社長の唯一の仕事は判断なのだから、それをより効率的に行う術を身につけることもまた、社長には必要だ。
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