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「富士そば」は、なぜアルバイトにボーナスを出すのか【オリジナル】

目次

はじめに

「富士そばは、アルバイトにもボーナスを出すんですか?」富士そばの会長としてインタビューに応えて会社の仕組みを説明したところ、驚かれたことがあります。

よほど物珍しかったのでしょうか、そのインタビュー記事は話題になったようで、「富士そばって、ふしぎな会社だな」という声が耳に届くようになりました。

ふしぎに思われているのはボーナスの話だけではないようです。

他に話題になることが多いものを挙げてみましょう。

たとえば、飲食店のチェーンなのに細かいマニュアルが存在しない。

業務時間中に買い物に出ても怒られない。

店舗ごとにメニューが違う。

おまけに、「トルネードポテトそば」などという、とんでもなく個性的なメニューがある……。

富士そばは、東京を中心に展開する立ち食いそば屋です。

二〇一七年一〇月現在、店舗数は国内外合わせて約一三〇店舗で、従業員は一〇〇〇名弱。

多くの店が駅前にあってサラリーマンの利用が多く、かけそばを一杯三〇〇円で提供しています。

首都圏の方には馴染みがあるかもしれませんが、出店していない他の地域の方からすれば、富士そばは一層謎の存在として映るかもしれません。

また、社内の従業員からも「会長はふしぎな人だな」と思われることがあるようです。

出店する候補物件を見に行くと、数秒で判断を下してしまう。

駅前に立って、通行人の服の色やタクシーの運転手を観察している。

そして、演歌の作詞をしているらしい……。

演歌だけは個人的な趣味の話ですが、その他の行動は決して奇をてらっているわけではありません。

すべての行動には意味があります。

私は経営者として正しいこと、さらにいえば従業員に利益をもたらすことだけをやっているつもりなのです。

富士そばを三六歳で立ち上げるまで、私はいろいろな仕事をしてきました。

少年時代を過ごした四国では八百屋さんや油屋さんに勤め、上京してからは弁当屋さんに身を置きました。

炭鉱で働いたこともあれば、弁当屋を経営した後、不動産業を始めたりと、経験の広さと味わった苦労は、それなりのものであると自負しています。

そしてそうした数々の経験から学んだ「商いとして当たり前のこと」を実践しているのが、富士そばの経営です。

全国に一〇〇〇店舗以上展開しているような有名ファストフード店やレストランと比べると、同じチェーン店と言っても富士そばの経営規模は小さいものです。

斬新なオペレーションがあるわけでも、最新鋭のテクノロジーがあるわけでもありません。

しかし、お客様と従業員を大事にしながら一店一店を疎かにしない経営を心がけ、創業から四〇年以上の時間をかけて着実に店舗を増やしてきました。

景気が劇的に上向くことがない現在、多くの企業の経営は様々な苦難に直面しているのではないでしょうか。

そんな状況の中で、私にとっての「当たり前」を公開することで、日本中の経営者や従業員の方々に、さらに大げさにいえばこの国全体に、少しは良い影響を与えられるかもしれない。

不遜ながらそんなことを考えていた矢先に、経営に関する哲学を本にまとめないかというご提案をいただきました。

もし、この本を手に取ってくださった方が、富士そばという会社とその仕組みに少しでも興味があるならば、私の話にお付き合いいただければ幸いです。

ひとつひとつの「ふしぎ」にはちゃんと理由があるということが、きっとおわかりいただけるでしょうから。

それでは「ふしぎ」な富士そばの仕組みについて、これからお話ししていきましょう。

目次

はじめに

第一章なぜアルバイトにボーナスを出すのか

自由に働ける環境があれば、やる気も生まれてくる/儲けるのもほどほどで、余裕があるのが一番/なぜアルバイトにボーナスを出すのか/富士そばが二四時間営業にこだわる理由

第二章富士そばが誕生するまで

辛かった少年時代/高校を中退して就職するが……/一度目の上京と不採用/二度目の上京では、なぜか福島へ/三度目、そして四度目の上京/独立して弁当屋、さらに不動産業へ/不動産業で大成功/迷った末に、不動産屋から独立/立ち食いそば一本で生きていくと決意

第三章人を育てるにはどうすれば良いか

富士そばではどんな人が働いているか/居心地が良ければ社員は定着する/人間は数字ではない/叱り方にはコツがある/なぜ分社制度を取っているのか/最高の教育とは何か 京急蒲田店・保科由樹店長が語る「富士そば」と丹会長

第四章商売のコツとは何か

富士そばは不動産業である/サラリーマン感覚を磨く/そば屋ではなく、スナックを目指せ!津田沼店・花木幸輔店長が語る「富士そば」と丹会長

第五章経営者の役割とは何か

経営者には、やらねばならぬときがある/威張ると運は逃げていく/経営者の最も大切な仕事とは藤枝健司常務が語る「富士そば」と丹会長

第六章富士そばでは、なぜ演歌が流れているのか

ずっと夢だった演歌の作詞/演歌はいろいろなことを教えてくれた

おわりに*本書に記載されている「名代富士そば」の店舗・商品などに関する情報は、2017年10月現在のものです。

構成/鈴木工図版作成/クリエイティブメッセンジャー

 

 

 

 

 

 

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