本章では、私が常日頃から大事にしている考え方について触れておきたい。これから述べることは、すべての会社に、あるいはすべての経営者に普遍のものとして正しいかどうか、本当はわからない。
しかし、社長業をやってきて、また、日本経営合理化協会主催の経営塾の塾頭として、さまざまな業種業態の会社の面倒をみてきて、「社長としてこういうことが肝心だな、大切だな」とつくづく感じ、自戒として心がけてきたことだけを挙げてみる。
そのまず第一は、何と言っても、「自分の会社に対して自信を持つことが企業経営の第一歩」ということである。
というのも、私はこれから50項目にわたり経営の定石を挙げていくが、それはすべて自社をよくするための、あるいはさらに発展させるための定石である。したがって、自分の会社に自信を持っていない方には、次への飛躍のお話はできないのだ。
会社経営というのは、自社の良いところを伸ばし、悪いところを直していく、その繰り返しによってしか発展しえないものだ。ただ何となく、経営の目的や自社の存在意義を社長がしっかりと自覚しないまま、とにかく儲かればよいという気持ちでやっていても、会社が良くなっていくことはあり得ない。
ところが、これまで私の塾生である社長たちに、「自分の会社に対して自信を持ちなさい」と言っても、ほとんどは、「そう言うけれども、うちの会社は別にとりたてて良いところのない、平凡な会社ですよ」と返ってくる。
しかし、社長は自らの会社にもっと自信を持っていただきたいのだ。考えてみて欲しい。あなたの会社がこれまで20年、30年と存続してこられたのなら、そこには20年、30年と会社を支持してくれたお客様がいたということだ。あるいは、融資してくれる金融機関があったということだし、会社の発展に尽くしてくれた社員がいたということである。
世の中の役に立たない会社にそれほど多くの協力者が集まることはないはずだ。そういう立派な会社をあなたが経営している。その立派な会社を支えてくれているたくさんの協力者のために、もっともっと良くしていくんだという発想を持っていただかないことには、会社は立派にはならない。
社長ならば、常にそういう考えを持って会社を経営していただきたいという思いを込めて、まず最も基本的な定石の第一として、自分の会社に自信を持つこと、これを挙げておきたい。
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