会社の規模によって、経営の要諦は違ったものになります。社員数 300人超の大企業と、 100人に満たない中小企業(定義によっては、社員数 50人の大企業もあるにはありますが)では、継続的に会社を成長させるための方策も自ずと異なります。本書はあくまでも、社員数 100人程度までの会社を対象にしたものであり、現状の 3人を 10人に、 10人を 30人に、 30人を 100人に、そして 100人を 300人にするために、どのような経営をなすべきかという点に重きをおいています。古田土会計では、社員数 100人程度までの中小企業を主な取引先としており、「未来会計図表」と「資金別貸借対照表」の「月次決算書」、そして「経営計画書」は、中小企業を主な対象として開発され、改訂を重ねてきた経営ツールであり、「月次決算書」は重要な会社経営の道標です。いわゆる中小企業といわれる会社では、社業の成長も衰退も、社長の取り組みひとつで変わるといえます。これが三十有余年の長きにわたり、会社経営を会計の側面から支援してきた私たちの実感です。これまでの経験に基づき、社員数 100人までの会社における成長の要諦について、ここで確認しておきます。まずは、「社長がなすべきことをなす」──これが絶対条件です。社長が社員に対して「必死で働け」と檄を飛ばしておきながら、社長自身がゴルフ三昧では社員はついてきません。それは極端な話だとしても、社員に対して「がんばれ、がんばれ」といいながら、社長自身はあまりがんばっていない会社というのは少なくないのです。社長が率先してがんばるからこそ、社員はついてくるのです。次に、社長は「社員の幸せを最優先する」ことが大切です。本章の冒頭でお話ししたように、顧客第一主義は大切な経営の要諦ですが、それは仕事の最前線にいる社員が守るべき行動原理。社長は、社員第一主義でなくてはなりません。中小企業は、大企業に比べれば、資源が少ないというのが実情です。いい方はよくないかもしれませんが、優秀な人材は大企業に流れてしまい、中小企業では人材の確保にすら苦労するかもしれません。会社に対するロイヤリティも大企業に比べて、中小企業のそれは弱いかもしれません。しかし、だからこそ、社員を大切にする、社員の幸せを第一優先とした経営が、中小企業には不可欠なのです。こうした考え方を頭では理解できていたとしても、それを具体的に実践できなければ、会社の成長は覚束ないものとなってしまいます。そうならないために必要な経営ツールが、本書で紹介する「経営計画書」です。思いつきや、そのときの気分で社員を叱咤激励するのではなく、きちんとした方針とルールに従って社内をまとめ、すべての社員のベクトル合わせをすることが、社長の使命だといっても過言ではありません。中小企業では、そうした全社一丸の体制が整って、はじめて売上予算・利益予算の達成があるのだということを、社長は肝に銘じてください。
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