古田土会計では、新規に顧問を務めさせていただく会社の社長さんからは、直近 2期分の決算書をお預かりして、収益状況を把握することからスタートします。社長も手元に 2期分の決算書を用意してください。単年の決算書だけでは何も見えてきません。時系列に比較する中から、問題点や原因が浮かび上がってきます。たとえば、 2期分を比較して、「売上高は増えているのに、粗利益が減っている」ということがわかれば、変動費率に問題あり、と判断できます。また、「売上が増えて、それに伴って粗利益も同じ割合で増えているのに、営業利益が前年より減っている」場合は、販管費の増加が原因であることは明らかです。こうした問題点は複数年を比較することで明らかになることで、単年度の決算書だけではわからないことです。以下、損益計算書に基づくチェックポイントを説明しますが、時系列での比較については、チェックポイントごとに、社長ご自身で確認してみてください。まずは「売上高」の絶対額を見て、御社の事業規模がどの程度かを確認します。「今さらあらためて確認するまでもないだろう」と社長のつぶやきが聞こえてきそうですが、年間の売上高が 5000万円規模の会社と、 20億円規模の会社では、改善策として、打つ手がまったく違ってくるので、この点は重要です。たとえば年間売上高 5000万円の会社が、まず人件費の見直しから始めたとしても、そもそも従業員数が 2 ~ 3名なら、大きな金額にはなりません。ところが売上 20億円、従業員数が 50人という規模なら、人件費の 10%削減は大きな効果を生み出します。売上 20億円で人件費 4億円の会社が人件費削減に手をつけることは有効であっても、売上 5000万円で人件費 1000万円の会社では、焼け石に水。他の策を考えるほうが得策です。次に粗利益と営業利益の絶対額を確認します。粗利益率についてはどの程度が妥当なのかは、おおむね業種ごとにわかっていますので、それに対して高いか低いかは、一目瞭然です。すでに触れましたが、粗利益率は飲食業で 70%程度、美容業で 90%程度、製造業なら商品によって異なるが、ざっと 50%程度が目安となります。ただし、これらはあくまでも大まかな目安であって、業界平均に比べると低いから(あるいは高いから)悪いとかよいということは一概にはいえません。営業利益の状況は重要なチェックポイントです。営業利益は、売上から変動費を差し引き、さらに固定費(営業外損益を除く)を差し引いて残った利益です。営業利益は〝本業の儲け〟ともいわれ、その会社の本業での収益性を把握できます。営業利益を見る際には絶対額が重要で、ひとつの目安としては、「営業利益 +減価償却費」で、借入金の返済額を賄えているかどうかがポイント。単純化していえば、本業の儲けで、借金を返せているのかどうか、が大きな分析ポイントということです。たとえば、毎月の借金の返済額が 200万円あるのに「営業利益 +減価償却費」が 150万円しかなければ、資金繰りはかなり苦しいだろうなとわかります。中小企業のほとんどの会社は借入れがあります。借金を毎月返さなければならないから、中小企業は利益を出さなければならないのです。極端な話ではありますが、会社が無借金で、借入金の返済がゼロなら最終的な収支がトントンでも会社は継続できます。厳密には利益が出る・出ないにかかわらず、支払わなければならない税金などもありますから、まったく利益ゼロでよいということにはなりませんが。次に、経常利益( =利益獲得力)を確認します。経常利益は営業利益に本業以外の損益(営業外収益・営業外費用)を加減して算出される利益ですから、その会社全体としての「利益獲得力」を把握することができます。各年度の損益計算書でチェックポイントを確認するとともに、 2期分を横に並べて、増減の傾向も確認します。 2期分の損益計算書を比べることで、売上は伸びているか? 経常利益は増えているか? 売上が増えているのに、経常利益が減っているのならその原因は?といったことがわかります。
人件費が増えていたとして、その理由を社長にお尋ねしても、明確に答えられる社長ばかりではありません。社員数は増えていないが、定期昇給で増えているのか、退職金を支払ったために増えているのかなど、各費目ごとに増減の理由を社長自身が言葉にできるかどうか、そういうことが改善策を考え出す上では重要なのです。このように、まず損益計算書をベースに確認したら、次に「未来会計図表」に組み直して、あらためて分析をすることになります。
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