前項までで、損益計算書を使って、損益分岐点比率、売上高経常利益率、労働分配率と労働生産性、未来費用の絶対額を確認・分析してきました。さらにもうひとつ、古田土会計で重要視している視点を紹介しましょう。それは、「固定費生産性」です。過去の損益計算書を分析して、御社の売上高経常利益率が低いことがわかったとしたら、社長はどんな手を打ちますか? 実は多くの社長が、「じゃあ、固定費を削減します」という判断をされます。もちろん状況によっては固定費の削減に手をつけることが重要な場合もありますが、その前に考えていただきたいのが「固定費生産性」で、かかっている固定費によって、その何倍の粗利益を稼ぎ出しているかという指標です。「固定費生産性 =粗利益 固定費」で計算します。損益分岐点比率の計算式を分母・分子を逆転させただけの指標ではありますが、見方を変えることで、「利益を増やすために固定費は削減するもの」という守りの視点から、「今の固定費生産性を向上させるにはどうすべきか」という攻めの視点に転換できます。まだまだ生産性を向上させられる余地があるのなら、固定費を削減して利益を増やす方策を模索するのではなく、固定費生産性を高める方策を志向すべきです。第 2章 4項の古田土印刷の例でいえば、粗利益額 2億 7289万 5000円に対して、固定費 2億 3940万 4000円なので、約 1・ 14倍ということになります。この 1・ 14倍が高いか低いかを議論するのではなく、この数値を 1・ 2倍、 1・ 3倍にすることは可能かどうかという視点で戦略を考えることが重要なのです。つまり固定費を削減することではなく、粗利益額を増やすことに全社員が知恵を出しましょうということです。
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