会社にお金が残らない理由をここでは4つに絞ってお話ししましょう。ひとつは、借入金の返済額が、稼ぎ出している利益の額よりも多いという状況。古田土機械がこの状況でした。2つ目は、売掛金の入金サイトよりも、買掛金等の支払いサイトが短い。たとえば古田土機械の入金サイトは 90日なので、4月の売上 1000万円が回収(入金)されて現金化するのは( 4 + 3)で7月末日。これに対して、外注先への支払いサイトは月末締めの翌月末日なので、入金される 2カ月前に支払いが発生します。毎月同じ金額の売上 1000万円と原価 400万円が発生しているとすれば、7月末に4月分の売上 1000万円が入金される前に、4月、5月の 2カ月分の原価を先払いすることになります。古田土機械は、原価の支払い分だけで総額 800万円の資金が必要になるということです。
3つ目に挙げておきたいお金が残らない理由が、「在庫」です。受注生産型の製造業であれば、在庫の問題は発生しませんが、在庫を持って受注に応じて出荷するメーカーだと、一定量の在庫が必要になって、売上が発生する以前に、外注先などへの支払いが生じます。作り置いた製品は、売上が発生するまでは「在庫」という形で資産計上され、貸借対照表では、「現金預金」も「在庫」も「流動資産」として計上されます。たとえば、現金預金 1000万円、在庫 500万円という資産状況も、現金預金 200万円、在庫 1300万円という資産状況でも、(他の要素を無視すれば)流動資産の残高はいずれも 1500万円です。しかし、手元にある現金預金が 200万円しかない後者の状況では、 400万円の支払いはできません。4つ目の理由は、「支払い手形の問題」です。以上、これら4つの問題をどう解決すればいいかは第 2章で詳しくお話ししますが、ここで申し上げておきたいことは、ここに挙げたようなお金が残らない原因は、毎月の損益計算書では確認できないということです。現在、いくらの借金が残っていて、今期(あるいは今月)いくら返済しているのかは、貸借対照表の「借入金」の増減や、キャッシュフロー計算書のキャッシュアウトの項目を見なければわかりません。どれぐらい先に支払わなければならないのか、在庫がどれだけ増えたのかということも同様です。損益計算書を見ているだけでは、4つの「お金が残らない理由」を無視した経営をしているようなものなのです。「損益計算書はわかるが、貸借対照表はわかりにくい」という社長が多くいらっしゃいます。しかしそれでは、「来月の支払いをどうしようか」とお金不足に悩む経営からは抜け出せません。稼げているのかを確認するためには、損益計算書はもちろん大切ですが、経営にとってはそれ以上に貸借対照表が重要なのです。損益計算書とキャッシュフロー計算書は一緒に毎月必ず、そして貸借対照表も定期的にきちんとチェックして、自社にお金が残らない原因を理解した上で、その改善策を練っていく経営を目指してください。
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