Part1マネジメントの使命
1マネジメントの役割
マネジメントの三つの役割
企業をはじめとするあらゆる組織が社会の機関である。組織が存在するのは組織自体のためではない。自らの機能を果たすことによって、社会、コミュニティ、個人のニーズを満たすためである。組織は、目的ではなく手段である。
したがって問題は、「その組織は何か」ではない。「その組織は何をなすべきか。機能は何か」である。それら組織の中核の機関がマネジメントである。
したがって次の問題は、「マネジメントの役割は何か」である。われわれは、マネジメントをその役割によって定義しなければならない。
マネジメントには、自らの組織をして社会に貢献させるうえで三つの役割がある。それら三つの役割は、異質ではあるが同じように重要である。
①自らの組織に特有の使命を果たす。マネジメントは、組織に特有の使命、すなわちそれぞれの目的を果たすために存在する。
②仕事を通じて働く人たちを生かす。現代社会においては、組織こそ、一人ひとりの人間にとって、生計の資、社会的な地位、コミュニティとの絆を手にし、自己実現を図る手段である。当然、働く人を生かすことが重要な意味を持つ。
③自らが社会に与える影響を処理するとともに、社会の問題について貢献する。マネジメントには、自らの組織が社会に与える影響を処理するとともに、社会の問題の解決に貢献する役割がある。
時間という要素
マネジメントのあらゆる問題、決定、行動に、複雑な要素が介在する。それが時間である。時間は、第四の役割とはいえなくとも、第四の次元として扱うべきものである。
マネジメントは、常に現在と未来、短期と長期を見ていかなければならない。存続と健全さを犠牲にして、目先の利益を手にすることに価値はない。
逆に、壮大な未来を手にしようとして危機を招くことは無責任である。今日では、短期的な経済上の意思決定が環境や資源に与える長期的な影響にも考慮しなければならない。
はっきりしていることは、未来は現在とは違うということだけである。未来は断絶の向こう側にある。だが未来は、それが現在といかに違ったものになるとしても、現在からしか到達できない。
未知への跳躍を大きくしようとするほど、基礎をしっかりさせなければならない。
管理的活動と起業家的活動
マネジメントの役割はもう一つある。マネジメントは管理する。すでに存在し、すでに知られているものを管理する。
同時に、マネジメントは起業家とならなければならない。成果の小さな分野、縮小しつつある分野から、成果の大きな分野、しかも増大する分野へと資源を向けなければならない。
そのために昨日を捨て、すでに存在しているもの、知られているものを陳腐化しなければならない。明日を創造しなければならない。
成果をあげること、人を生かすこと、社会に及ぼす影響を処理するとともに社会に貢献すること、これらの課題すべてを今日と明日のバランスのもとに果たすことが社会の関心事である。
しかしそのためにマネジメントが何をするかは、社会の関心事ではない。社会が関心を持つのは結果である。もちろんマネジメントは、自らに課されたこれらの課題を果たすための手段に重大な関心を持たなければならない。
マネジメントの仕事と組織に関心を持たなければならない。とはいえ、マネジメントの仕事と組織から、マネジメントについて論じ始めることは、あまりにテクノクラート的な発想である。それもかなり質の悪い発想である。
なぜならば、マネジメントの仕事と組織は、それ自体が絶対かつ無条件のものではないからである。それらのものは、果たすべき役割によって決定されるべきものである。
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