はじめに
──去年売り出した商品のプレゼン用の資料、出しておいて。
そう指示を受け、慌ててデスク周りの書類をひっくり返して探した経験はありませんか?ビジネスシーンにおいても、さまざまな書類の電子化が進んでいるとはいえ、ひとりの人間が1年に作成する書類を積み上げれば、膨大な量になるものです。普段から書類の整理が行き届いていれば、必要な書類も素早く取り出せます。
しかし、仕事量の増える現代ゆえに、身の周りの「整理整頓」は優先順位が低く、後回しにされがちです。
結局、積みあがった書類の山から1枚の書類を探し出すために毎度多くの時間を浪費してしまうのが現実でしょう。
たとえば、そうした書類探しの時間を1人20分削減できたとします(1日630円分のコスト減とする)。
これを社員40名の組織で考える場合、1年間の業務日数を掛けてみると(630円×40名×240日)、605万円のコスト削減となります。
こうした計算からも、オフィスの整理整頓は個人にとどまらず、組織全体の問題であるといえるのです。
本書では、デスクや身の周りの整理整頓、個人で管理する書類やデータのファイリングのポイント、仕事の管理術といった個人で行う整理整頓の方法から、保管書類のファイリングと什器の使い方、オフィス内の書類管理術へと言及し、組織全体で取り組む整理術を解説しています。
とはいえ、一度整理整頓を終えただけで放置しては、せっかくの整然としたオフィスもすぐに元に戻ってしまいます。
ファイリングと整理術は、一体となって効果を発揮するのです。そこで整然としたオフィスを維持するための方法も紹介しています。
本書が必要な情報を必要なときに時間をかけずに引き出し、活用できるオフィスづくりの一助となれば幸いです。
PART02理想の机周りにするPART02のガイドライン机周りの整理のコツ053整理する時間はしっかり確保する054書類の山がなぜ混乱を生むのか055情報管理の“事件”は机の上で起きる056仕事がデキる人は分類もうまい057使った書類や情報を元に戻すだけではダメ058まずは机の上のモノをすべて取り除く059引き出しの中のモノもすべて取り出す060すぐに捨てられる指標を見て判断する061パーティションや壁のメモもすべてはずす062内線表はデスクトップに置く方法もある063共有か個人で使用か私物かを判断
064処理に迷ったものは“迷い箱”に入れる065保管できる量を再確認する066机の上はゼロ・アクションの配置がおすすめ067机の上のものは仕事の流れを考慮して戻す068引き出しの収納のコツ069センター引き出しは一時的な退避スペースにする070デスクボードで机上スペースを有効活用する071机周りのストックのルールを再検証する072片づけの効果を実感、確認する073廃棄の仕組みで書類の山を二度とつくらない理想の机のつくり方074書類や資料を机の上に置いたままにしない075情報の漏洩を防ぐクリアデスク076捨ててはいけない文書をチェックする077リサイクル、リユース、リデュースを考える078とりあえず机の上の書類を立ててみる079ファイルを立てる3つのメリット080立たないファイルは“寝ぐせ”がつく081引き出しのファイルの並べ方082進行中の案件、終了案件を整理する083整理術に絶対的な正解はない084すぐ見つかるか検証、評価する085色分けによる直感的表示を取り入れる086便利グッズで使い勝手をアップ087大判封筒の資料はクリアーホルダーに移すファイリング術の基本088ファイル用具を使い分ける089ファイル用具を交換するメリット、デメリット090ファイル用具の分類と選択のポイント091投げ込むファイル用具092バーチカル・ファイリング093ボックス・ファイリング094挟むファイル用具095綴じるファイル用具096簿冊式ファイリング097デジタルデータの外部記憶媒体も専用用品で整理098A4判以外もサイズを統一して収納する099A4判以外の用紙の綴じ方100机が散らからない「仕掛りファイリング」
101離席中も机が散らからない「MAILファイリング」102すべてのファイルに仮タイトルをつける103分類が細かすぎるとかえって混乱する104文書の個人所有と共有105職務分掌表で担当を見直す106個人で所有するか、共有するかを仕分けする107仮タイトルを見直し、正式な見出しをつける108見出しの表示方法PART03時間を生み出すアイテム術PART03のガイドライン時間をファイリングする109ファイリングを応用して時間を有効に使う110時間を投資してリターンを得る111時間投資と時間の後払いの違い112仕事に5段階の優先順位をつける113毎日を「これさえメモ」で管理する114「これさえメモ」で優先順位を管理1151カ月1テキストファイルの「これさえメモ」116「朝の5分」という緊張感を仕事に生かす1173分、5分のスキマ時間にやることを決めておく1185Sの次にくる6つめのS「すぐやる」119パソコン操作の待ち時間を短縮する120定期作業をパソコンに任せるメモの紛失を防ぐ方法121メモが散らばることで失うものとは?122メモは1日1枚、A4用紙に一本化する123外で思いついたことは「Gmail」に下書きする124スキャンやスマホ利用でデジタル化する名刺の管理125名刺が散らかる理由を考える126量と探し方、道具のマッチング127時系列順こそ絶対不変の分類基準128氏名順、会社名順の場合も日付を記入129「これさえメモ」の応用で名刺を検索130その日その場でできる方法で継続する131名刺ホルダーがいっぱいになったら
カバンの整理術132常に持ち歩くものはカバンの中で場所を固定する133忘れ物がないか瞬時にわかる管理術134定位置が決まると新しいカバンも迷わず選べる135充電器、電源の周辺機器は収納グッズを利用136ワイシャツの胸ポケットはモバイルオフィス137オフィスを持ち歩く138移動中に読むものをスキャンして持ち歩く139非常事態グッズは厳選するファイルを使った時間管理140ファイルで時間を管理する方法141タスク管理に使用するファイル用具142定型業務は期限、発生日をフォルダーに表示143「やらないこと」を決めて時間を節約PART04デジタルデータの整理術PART04のガイドラインパソコンの文書管理144苦労を増やす使い方をやめる145電子文書のメリット、デメリットを把握しよう146紙文書と共通のファイリングシステムで管理147ファイル名は日付、案件名の順に148仕掛り文書と完結文書の保存場所を分ける149PCの仕掛りフォルダを現物と連動させる150完結文書は時系列で保存する151検索はまず時系列、次にキーワード152時系列外の分類はショートカットファイリング153ハードディスクがいっぱいになったら時系列フォルダごと移動する154メールはそのまま保存、1年後に別フォルダへ安全な情報データ管理155ISMSを確立、運用する156文書の電子化に関するe文書法への対応157原本にはタイムスタンプ、電子署名を付与158紙文書の電子化コストをどう見るか159紙文書をスキャンしたらファイル名を入力し直す160保存・保管するフォルダにはアクセス権限を設定する161外部記憶媒体での長期保存の注意点162外部記憶媒体の管理ツール
163デスクトップはクリアスクリーンを保つ164取り扱い説明書は管理部署ごとに紙で用意しておくPART05共有部を整えるPART05のガイドラインオフィスデザインのノウハウ165扉付き什器は管理が崩れやすい166扉のない什器はファイリングシステムを維持しやすい167ファイルの利用頻度に応じて什器を配置する168ファイルと什器の住所を定める169アイデアを生むためのオープンなオフィス作りオフィス全体の書類管理170組織における自分の役割、必要な書類を見直す171書類の分類体系の作り方172基本形はオープンファイリングシステム173仕掛りBOXを部署で管理する174仕掛りBOXでの仕事の進め方175MAILファイリングで仕事依頼・報告文書を管理176MAILファイリングで情報を回覧、共有化177MAILBOXを使わないケースを考える178「緊急」「回覧のみ」などひと目でわかる分類179完結文書をグループで共有する保管ファイリング180保管ファイリングで業務効率がアップ181保存庫で管理する保存ファイリング182保存箱と什器の表示183保存ファイリングのメリット184保管&保存ファイリング維持のためのキャンペーン185保存年限の期、年の違いに注意共有サーバの文書管理186紙ファイリングが確立すると電子化がスムーズ187電子化の失敗を防ぐ土台づくり188表計算ソフトを活用してファイル管理表を作成する189ファイル管理表があれば倉庫の中も確認できる190オキカエ、廃棄のルール作り191使い勝手を評価し、改善していく
1まずは「頭」と「心」を整えるなぜ整理術が必要なのか?
001心理的な「壁」を探ってみる
なぜ整理術が必要なのか──。まずそこから考えてみましょう。
山積みの書類や資料と日々格闘しながらも、何とかなっていると思い込んでいる人は多いはずです。人は従来のやり方を変えることに抵抗を感じるもの。
今までと同じ、前回と同じ、前任者と同じなら、さほど頭を使わずとも惰性でできるからです。やり方を変えるとなれば、あれこれと頭を使い、覚える必要もあり、失敗する恐れもあります。
「これまで問題なくやってきたから必要ない」「自分仕様のやり方でミスしたことはない」そんなふうに拒絶反応を示す人も少なからずいます。
しかし現実には、問題を起こしたり、ミスを犯したりしたことが一度もないなどという人はほとんどいません。
整理術の改革に拒絶反応を示す人も、組織を主体とした視点に立てば、考え直す必要が見えてくるはずです。
散らかった机が自分にとっては問題なくても、周囲にとってブラックボックスになっていないでしょうか。仕事はひとりではできません。ほかの人に書類を見てもらわないと進まない局面が必ずあるはずです。
整理のできていないブラックボックスは、組織活動の障壁になります。楽をしたがる脳と闘い、整理整頓に取り組みましょう。いったん導入してしまえば、その維持はさして難しくありません。最初の心理的な壁を乗り越えることが肝要です。
002片づけられない理由は3パターン
上司から「もっと整理するように」「なぜ片づけられないのか」などと言われた経験はないでしょうか。
これまで言われたことがなかったとしても、自分の机と周囲の人たちの机を見比べて、散らかっていると思ったら要注意です。
片づけられない人、整理が苦手な人の特徴には、主に3つのパターンがあります。
①「忙しい」が口癖の人「忙しい」「忙しい」といつも言っていて、忙しすぎて片づけをする時間などないと思っている人。
机の上は書類や資料の山に占領され、キーボードには書類がかぶさり、マウスを操作するスペースにも不自由する状態で、紙をかき分けながら仕事をしているパターンです。
②資料が増えてしまう人いつの間にか資料が増えてしまう、増やしてしまうので、収拾がつかなくなる人。
仕事に取りかかると次々に興味がわいてきて、その仕事に関連がありそうなことなどなんでも熱心に調べ上げます。
満足がいくまで資料が集まったら整理しようと思いながらも、急な用事などが入って結局時間切れになり、山積みにしたままとなります。
③捨てられない人未来のことを考えて、資料を溜め込んでしまう人。
ひと区切りついて廃棄できる時期がきても、「今後の仕事に使えそうだから保管しておこう」と捨てずに置いておきます。
重要なプロジェクトの書類は「捨てるには忍びない」と思い、昔の書類を見て当時を回想し、感傷に浸るなどして、いつまでも廃棄できないままとなります。
誰もが「片づけられない人」になりうる耳が痛いと思ったら、早速、対策に乗り出しましょう。
「仕方がない」とあきらめないことです。
自分は大丈夫だと思った人も油断は禁物。
実は、この3パターンの傾向は、誰にでもあります。
放っておくと、誰もが片づけられない人になりうるのです。

003「整理」と「整頓」の違いを考える
「整理整頓をする」というように、整理と整頓は一緒に使われることが多い言葉ですが、実は意味が異なります。
それぞれの意味合いを簡単に見てみましょう。
【整理】基準に基づいて「要るもの」と「要らないもの」に分け、「要らないもの」を捨てること。
【整頓】ある基準に基づいて「要るもの」を誰もが使いやすいように配置・配列すること。
誰でもすぐ取り出せるようにすること。言い換えると、整理は捨てることともいえます。一方の整頓は、誰もが素早く探せることがポイント。
きれいに陳列すれば整頓したことになると誤解している人がいますが、そうではありません。前提になるのは、「定位置」「定品」「定量」。
定位置に、これと定めた品を、必要と定めた量のみ、使いやすく、かつ、戻しやすく配置・配列することです。
つまり、整理整頓は本書で紹介していくファイリングと共通しています。
机の上に書類が山積みの人は、上司から「もっと整理整頓するように」と注意されることもあるでしょう。
そんなとき「この忙しいのに。とりあえず片づければいいんでしょ」と、書類の束を揃えて積み直したりしていないでしょうか。
それでは整理整頓したことにはならないのです。
004片づけられないことのコストを考える
これまで日本の職場は、片づけられないことで発生するコストに比較的無頓着でした。
書類探しに1人の社員が1日に20分かかっていたとすると、そのコストは630円/日と見積もることができます(※)。
社員が40名いたとして、年間605万円ものコストになります。ほかにも、次のシチュエーションを考えてみてください。
【シチュエーション1】自分が外出している間に、会社に得意先から問い合わせがあった。
連絡をくれた同僚に「資料が机の上にあるから、それを見て答えておいて」と頼んだが、同僚はそれを見つけられず、結局、自分が戻るまで返答を待ってもらうしかなかった。
【シチュエーション2】ファイリングシステム未導入の部署では、文書が見つからないので社員各自がコピーを持つ習慣が根付いている。
仕事を進めるたびに文書量がどんどん増える悪循環に陥り、更に探す対象が増えて探す時間が伸びていく。
このような書類探しに直接かかるコストだけではない見えないコストが発生しているのです。個人としてはたまにしかなくとも、企業全体としての書類探しのコストは膨大な額に上るのです。
※平成29年「賃金構造基本統計調査」の「一般労働者の賃金(月額・男女計)」を参考とした。
005「片づけられない」ではすまされない時代になっている
「仕事の成果を上げ、売り上げに貢献すれば、片づけられなくとも責められない」とは過去の話。
その理由は、次の3点です。
①処理しなくてはならない情報量の飛躍的な増加インターネット環境の普及により、情報の量とスピードは飛躍的に増加しました。
メールで配信された文書が印刷、コピー、配布されるなど、これまで以上に大量の情報の処理が求められています。
片づけが苦手な場合、すぐに書類の山ができることとなります。
②企業組織による内部統制の強化従来に増して、企業組織による内部統制の強化が求められる時代となりました。
企業組織、企業活動の適正化を目指した内部統制の仕組みが必要とされ、情報管理、危機管理を含めたマネジメントシステムが不可欠です。
こうしたマネジメントは文書で行なわれ、その文書管理自体もシステムの一部となります。
③説明責任(アカウンタビリティ)の常識化日本の企業風土は、欧米に比べて説明責任の考え方が比較的弱いとされてきました。
今日ではアカウンタビリティは企業の義務、倫理として常識とされ、経営が公正に行なわれていることを顧客や株主、取引先や従業員などの利害関係者(ステークホルダー)に説明する責任を負います。
従業員ひとりひとりが、説明責任を果たせるよう書類を整備し、関わった仕事であらぬ疑いをかけられないようにしておかなければなりません。
マイナス評価を得ないためにこうして見ていくと、「片づけられない」が許されない時代になったことはもはや明白でしょう。
これまで問題なくやってきたと思っている人も、実際には書類の誤廃棄や紛失、ことによると情報漏洩などもしていたかもしれません。
企業で働く人間としては、片づけられないことは大きなマイナスになります。
企業に貢献できない人という評価につながりかねないのです。

006この書類は本当に個人管理すべきか?
こうして見てくると、誰もが整理術を必要としていることが現実問題として感じられるでしょう。
自分の机を改めて見てください。
その書類、その資料は、本当に必要ですか?捨てるのが面倒なだけではないですか?保存するか、それとも廃棄していいか、確認するのが面倒なだけではないでしょうか。
書類の利用頻度は1年で1%に整理術を導入しないことには、オフィスは不要な書類でいっぱいになってしまいます。
日々作成する書類は、時間とともに利用頻度が落ち、取っておく必要性がなくなっていきます。
使う機会が多いのは、できたてのうちだけです。
半年もすれば10%、1年経つと1%にまで頻度は下がります(こちら(*)の図を参照)。
利用頻度が低下したら、それに応じた対策をとることが大切です。
もう使う機会がない書類までいつまでも取っておいたら、オフィスは散らかる一方。
必要な書類を必要なときに引き出すことが困難になります。
書類のなかには個人で管理するのではなく、共有できるものが多くあります。
自分の机に置いておかなくとも、誰もが必要に応じて取り出せるよう共有できます。
ところが、共有すべき書類が整理がされていないと探しても簡単には見つかりません。
探すのに時間も手間もかかります。
そのために、自分用に再度作成したり、コピーしたりして、共有ではなく個人で管理するようになります。
これこそ“共有文書の負のスパイラル”。
ますます書類の量が増え、混迷を深めることとなってしまうのです。

007ファイリングはビジネスの基本スキル
話を進める前に、ここで整理術の基本であるファイリングの意味を説明しておきましょう。
一般的には単なる書類の整理という意味で使われることが多く、そのために「仕事としてさほど重要な価値はない」と思われがちです。
しかし、ファイリングの意味合いを見極めると、まるで異なる様相が見えてきます。
ファイリングはビジネスの基本スキルであるということです。
最も基礎的かつ効果的なビジネススキルなのです。
これは紙の書類のみだった時代から、電子化が進む現在まで変わらず、未来においても変わらないでしょう。
ファイリングを効果的なものにするために欠かせないのが、整理することです。
整理術とは必要なものだけを残しておくこと。
一方、必要な情報を目的に合わせてうまく活用できる状態にしておくことがファイリングです。
ファイリングと整理術は一体となって、効果を発揮するのだと考えてください。
言い換えると、目の前の書類を活かせるかどうか、持てる情報資産を活かして新たな価値を生み出せるかどうかは、ファイリングにかかっているといっていいでしょう。
そして、システム化されたファイリングを組織、企業として導入することができれば、それが業績という結果となって現れるということなのです。
008整理術の狙いを明確に見定める
ファイリングと整理術を導入するには、何のために行ない、何が得られるのかを明確に見定め、強く意識することが大切です。
はっきりと目的を定めないまま、「どうやら必要みたいだから、とりあえず片づけてみるか」と試しに行なっても、つまるところは無駄な作業となってしまいます。
身近な目的としては、「オフィスをきれいに気持ちよくしたい」「仕事を効率よく進めたい」「仕事の質を高めたい」といったことが挙げられるでしょう。
管理職であれば「さらなる発展のために組織の管理をしっかり行ないたい」という動機もあるはずです。
組織として導入する狙いを次に挙げます。
・組織内で異なる文書管理の方法を統一していく。
・必要な情報をすぐ取り出せる環境にする。
・不要な書類を確実に捨てられるようにする。
・書類の発生を少なくするよう努める。
・貴重な経験や知識を集積した記録を組織のものとして活かす。
・文書の私物化をなくし、会社の財産として利用する。
・ファイリングルールを可視化し、取り扱いを容易にする。
・シンプルなファイリングシステムを構築し、持続性のあるものにする。
いかがでしょう。
必要性とともに意義がわかると、やる気が自然とわいてくるのではないでしょうか。
009能率が上がる意思決定のためのファイリング
あらかじめ目的を明確に意識すれば、それに応じたファイリングができます。
目的にぴったり合ったファイリングならば、情報を素早く上手に活用し、結果を出すことができます。
一般的にあまり認識されていないようですが、意思決定もファイリングの目的のひとつです。「意思決定のためのファイリング」を考えてみましょう。
どのような仕事であれ、取りかかる際には目標達成までのプロセスを決定していかなければなりません。
いつ何をするのか、何から始めるかなど取るべき行動を決定していくことが必要となります。
そして重要な決断、判断を下すためには、その材料、根拠となる正確で質の良い情報を集めなければなりません。
参考になる情報を的確に集められるかどうかがカギです。
どんな分野のどのような種類の情報が求められているのか、上司から任された仕事であれば、その点を具体的に上司に確認しましょう。
自らが上司の立場で部下に指示を出す場合は、無駄な資料まで集めて時間と手間をとられないように明確に伝えることです。
意思決定のためのファイリングが上手になされれば、すぐに仕事に取りかかることができ、能率が上がります。
仕事を進める過程において参照資料がすぐに揃い、最も重要な考える時間が確保できます。
「資料探しに終始して時間切れ」ではなく、考えに考える時間、考えを練りに練る時間が生まれます。
反省点を把握すれば仕事の質が上がるこうして目的に合ったファイリングを行なうと、仕事の結果を検証する余裕も生まれます。
仕事の準備に活用した資料、判断材料とした資料を、ふり返って検証することで反省点も見えてくるでしょう。
情報収集や資料探しに時間をとられていると、期日に間に合わせることに必死になり、何の検証もしないまま次の課題に追われることになってしまいます。
どのような仕事であれ、検証し、反省点を明確にすることで、次の仕事にそれを活かすことが可能になります。
その結果、仕事の質が上がるのです。

010説得のためのファイリング
人を動かして目標を達成するには、まずは相手に納得してもらわなければなりません。
対象は顧客、取引先であることもあれば、上司、重役であることもあるでしょう。
商談やプレゼンなどで人を説得するには、そのための参照資料、情報資料のファイリングが結果を左右します。
精度が高い情報を集め、上手にファイリングしましょう。そうすれば、効率よく必要な情報にアクセスでき、本来、力と時間を注ぐべきことに専念できます。
たとえば、重要な人物の説得にあたる際は、具体的な事例がよく用いられます。参考にするにふさわしい過去のケースなどを出して、納得を得る手法です。
説得がうまい人は、たとえ話に使える事例をたくさん持っています。その状況に応じた事例を挙げて、相手の共感や同意を引き出し、首を縦に振らせるのです。
これは参照資料、情報資料を上手にファイリングしてこそできることです。もうひとつ、ファイリングの主な目的として、業務革新にも触れておきましょう。
組織を効率よく運用するためのマネジメントシステムを支えるのも、文書管理です。
マネジメントシステムの構築から運用、確認、対策まで、正しく機能しているかどうかを証明するにも文書管理、記録管理が欠かせません。
いかにファイリングするかは組織の業務革新に大きく影響します。
011「しっている」と「している」の大きな違い
本書を手に取ってくれた方は、多かれ少なかれ整理術に興味があるのでしょう。
何か特別な秘訣、秘密でもあるのかと読んでみて、「なんだ、そんな当たり前のことか」と思う人もいるかもしれません。
実際のところ、整理術やファイリングに関する説明に対しては、「知っている」「わかっている」といった反応が起こりがちです。
しかし、よくいわれる通り「知っている」と「している」には、大きな違いがあります。小さな「つ」が入るかどうかで、すべてが変わるといっても過言ではないでしょう。多くの人は「知っているけれど、していない」状態です。
その内容が当たり前のことだと、「難しいから、なかなかできないのだ」と自分に言い訳することもかないません。
あまり認めたくない、気分の良くない話と感じる人もいるでしょう。自分のなかのモヤモヤとした嫌な感じ、不快感を解消するには、実際にやってみるしかありません。時間を確保し、手を動かして作業をしないことには効果は上がらないのです。
どんなに当たり前のことでも、十分よくわかっていることでも、実行に移さないことには何にもなりません。
やることをやった人だけが恩恵を受けられるのです。「時間がとれない」とあきらめていたら何もできません。時間を確保することを考えてみてください。
012整理とは捨てること、「見極めBOX」を試してみる
昔から「案ずるより産むが易し」といいます。まずは試しに机周りの書類やモノを捨てることから始めてみましょう。整理とは、すなわち捨てることです。分類したり、きれいに整えたりしようと考える前に不要品を捨てましょう。
人がひとりで管理できる分量には限りがあります。
増え続ける書類やモノを捨てずに持ちすぎていることこそ、片づかない最大の元凶。
役に立つ日がくるかもしれないと取っておいても、必要なときに見つけられないのでは、捨てたも同然です。
無理に持ち続ける意味はありません。
「でもやっぱり、捨てる、捨てないの判断は難しい」と思った人は多いはず。そこで手始めに試したいのが、「見極めBOX」を使うやり方です。
これは捨てるかどうか見極めるための箱。モノをドサッと入れられる段ボール箱を用意してください。やり方は簡単。
足元に「見極めBOX」を置き、机周りの整理を始めます。手に取った書類やモノが必要かどうか判断し、不要品はその場でゴミ袋やゴミ箱に捨てます。
そして、判断に迷ったとき、必要かどうかすぐには決めかねると思ったときは、「見極めBOX」の出番。
とりあえずの待機場所として箱の中に入れておきます。見極めにかける期間は、1週間でも1カ月でもかまいません。自分であらかじめ、はっきりと決めておきます。
期間終了後、残ったものは捨てるそれからは、「見極めBOX」にあるものが必要になった場合にのみ、箱から取り出して使います。
使い終わったら、正規の置き場所を決めて収納しましょう。見極め期間が終了したとき、はたしてどれだけのモノが箱の中に残っているでしょうか。ほとんど取り出さずに終わるモノも多いでしょう。
それはすなわち、それらが「不要」であることを意味しています。残ったものは捨ててください。これは誰でも簡単に、すぐに実践できる方法です。
机が散らかってきたときの対処法としても有効で、何度も繰り返していると、要らないものを選別する力が磨かれていきます。

013ファイリングは企業の責任
ファイリング、整理術は、企業や組織の信頼維持に深く関わっています。
「片づけられない」ことは個人の資質、性格、癖では済まされない話です。
企業が責任を問われる問題であることを、しっかりと認識しましょう。
適切な文書管理は、企業が社会的信頼を獲得するために避けて通れない課題です。
言い方を変えると、情報の品質管理のベースとしてファイリングを捉える必要があります。
求められるのは、きちんと管理がしやすく、トラブルが起こりにくいファイリングシステム。
たとえば、顧客の個人情報が記載された書類は、取り出した人が放置することなく、速やかに戻しやすいシステムを構築したいものです。
もしも書類の杜撰な管理によって外部に情報が漏れるといった問題が発生すれば、企業の信用は失墜します。
「そんなセキュリティの甘い企業は信用できない。
情報のやり取りをするのが怖い」と、取引を避けられてしまうでしょう。
個人情報保護法などの法律を守り、ISOのような国際標準規格の認証を得るために、ファイリングの重要性は高まる一方……。
もはや、どこの会社も「ウチは関係ない」とは言えない状況です。
従業員ひとりひとりが得た情報を各自が管理するのではなく、企業として情報を保護、管理しましょう。
保護しつつ、上手に活用できるファイリングシステムを構築することが大切です。
014過去の「しきたり」を変える
組織を挙げて新たなファイリング、整理術に取り組む手法についてはPART2で順に解説していきます。
その前に、これまでとは異なる考え方を取り入れ、心の持ち方を切り替える必要性があることを知っておきましょう。
今まで続けてきたからというだけの理由で、過去の「しきたり」に縛られていては、うまくいくものもうまくいきません。
次の点について、まず考えてみてください。
①個人所有をやめる・文書は個人ではなく部署で管理しましょう。
・「担当者=情報の所有者」ではありません。
②紙の発生量を減らす・紙文書が発生しないフローに切り替えられないか検討しましょう。
・デジタルデータで保管することを検討しましょう。
③保管期間を短くする・とにかく捨てずに取っておけば安心、という考えは捨て、保管期間を短くできないか検討しましょう。
・取っておくことのリスクとコストを考えましょう。
長く守ってきたしきたりは、そう簡単に変えられないかもしれません。
新しいやり方なら大きなメリットを得られる、と認識することから始めてください。
015工場からオフィスへ広がる「5S」
製造業に携わる方なら、「5S」という言葉をご存知でしょう。
「整理」「整頓」「清掃」「清潔」「しつけ」という5つの言葉の頭文字をとって5Sといいます。
生産現場などで無駄を徹底的になくし、安全かつ効率よく作業ができるように行なわれてきた活動です。
職場管理の基盤としてさまざまな工場に広く導入されてきました。
この5Sの活動は、オフィスにも広がりつつあります。
その理由は、せっかく工場で生産性を上げても、工場を管理するオフィスがその成果を相殺するほど無駄だらけで、つまるところ実を結ばないという反省にあるようです。
工場では微に入り細を穿って無駄をなくしているのに、オフィスでは5Sができていなかったということです。
オフィスにおける5Sは、安心、安全で快適な職場づくりにつながります。
情報セキュリティとコンプライアンス対策、コストダウン、効率化など、さまざまな面から5Sの活動が注目されています。
ファイリングにおける5Sとはオフィスでの5Sは、ファイリングにおける5Sです。
まず「整理」。
取っておく必要のない書類を各自が捨てて、机周りと共有スペースの書類の量を徹底的に減らしてください。
「整頓」の目標は、必要な書類や情報、モノなどが、誰でもすぐに取り出せ、元に戻せるようにすること。
本章とPART5、6で詳しく説明しますが、具体的には「ファイル管理表」を作成し、ルールつきの見出しを表示するといった方法が考えられます。
さらに、「清掃」によって、オフィス全体から個々の机周りまできれいにしましょう。
セキュリティの観点から、離席、帰宅するときの机の上は書類などのないクリアデスクにすることも求められます。
「清潔」については、ファイルを立てたり、ファイルやフォルダーに見出しを表示したり色分けしたりしてきれいな状態を保つことです。
最後の「しつけ」。
これについては、全員がきちんと5Sを守る習慣がつくように、定期的な社内キャンペーンを行なうといいでしょう。
016ファイリングシステムの対象はすべての書類
オフィスで「新しいファイリングシステムを導入する」と聞いても、自分の仕事に直結するとは思わない人もいるかもしれません。
共有什器の収納の話と思い、書類の出し入れの際だけ気をつければいいと勘違いする人もいるでしょう。
しかし机周りに個人で溜め込んだ書類と、部署で共有する書類を切り離して考えることはできません。
ファイリングシステムの対象となる書類は、すべての書類なのです。
「保管しておく書類のことだな」と思った人は、ここでまた頭を切り替えてください。
作成したばかりの文書も、まだ読んでもいない回覧の書類も、以下の通りすべてが対象です。
・未完結書類関係者への回覧がまだ途中の書類、間近に迫った会議の資料など、未完結の書類。
PART2で説明するように「仕掛りファイリング」(→こちら(*))「MAILファイリング」(→こちら(*))で管理。
・完結書類業務が完了し、すべての書類が出揃ったもの。
・帳票類伝票、帳簿、電算出力帳票など。
・資料等会議資料、カタログ、図面、情報、広報誌、雑誌・新聞記事など。
いかがでしょう?ファイリングシステムは社内のすべての書類に及ぶと考えてください。
017書類の整理は仕事の整理につながる
今、目の前にある書類はなぜそこに存在するのでしょう?当たり前ですが、あなたがその書類に関わる仕事をしているからそこにあるのです。
自分で作成した書類なのか、回覧がきて決裁をするのか。
仕事をすれば、さまざまな書類との関わりが発生します。
そして、それらを捌いたら、結果は文書情報(記録)として残ります。
言い換えれば、文書情報(記録)として残さなければ仕事をした結果が残らないということです。
記録がなければ、仕事をしなかったとみなされることさえあるのです。
だからこそ書類を確実に次の工程に回さなくてはなりません。
共有するファイルに綴じるのか、自分の参照資料として保管するのか、誰かに回付するのか。
適切な文書管理のために、後工程を考えて次工程に回さねばなりません。
こうした書類を整理したければ、仕事を整理すればよいのです。
だからといって不要な書類を独断で廃棄してはいけません。
組織で共有すべき書類もあります。
そこで、まずは自分が関わるべき仕事か否か、関わりたい仕事か否か。
自分の仕事を見直すことから始めると良いでしょう。
自分が保有している書類のリストを仕事の括りで見直すと、自分だけで保管したほうがよい書類なのか、組織で保管したほうがよいのかが見えてくるのです。
紙文書の管理方法が理解できれば、電子文書も管理がしやすくなります。
電子文書の扱いも紙文書と同様に考えればよいのです。
1まずは「頭」と「心」を整えるワークスタイルから考える整理術
018ワークライフバランスを考える
整理術に取り組む余裕などないと思っている人は、実行すれば時間に余裕が生まれると考えてみてください。
これまで仕事に追われる一方であったのが、時間的なゆとりができるとなれば、俄然興味がわいてくるのではないでしょうか。
整理術により無駄を省き、効率が上がれば、仕事の内容が変わらなくとも時短効果が得られます。
無駄なことに割く時間をなくすことで、新たな時間が生まれるのです。
残業や休日出勤が多く、趣味や友人との交流を楽しむどころか、家族と過ごす暇もないという人は、最近でも珍しくありません。
整理術の時短効果によりワークライフバランスに変革をもたらすことも夢ではないでしょう。
家庭での時間をもっと大切にしたい、趣味に時間を割きたいと考えている人にとっても、整理術は救いとなりうるのです。
加えて、要るか要らないかを見極める力が養われると、生活の幅広い場面で応用できます。
時間の使い方にも、整理術の考え方をあてはめてみましょう。
要る、要らないを素早く見極め、その精度を上げ、要らないものは捨てるのです。
プライベートにおいても、不要なモノや作業は手放し、省くように考えてみましょう。
そうすることで、本当に大切なことや、モノ、時間をより大切にできるはずです。
019趣味は片づけを加速させる
仕事の話からは少し外れますが、気をひかれるままに新しい趣味に手を出し、モノが増えて困っている人は多いでしょう。
最新グッズを買ってみたけれど、楽しむ暇がないということも起こりがちです。
本当に必要かどうかではなく、「欲しい」という物欲だけで購入し、使わないまま置きっぱなしになることも多々あります。
そこで試してみたいのが、「アクティビティマップ」。
自分が何をしたいのか、どうなりたいのかを図にしてみるのです。
こちら(*)はその一例です。
縦軸を趣味と仕事とし、趣味性が高いほど上、仕事に関連するものほど下に置きました。
横軸は情報の流れ。
左からインプット、ストック、アウトプットとなります。
楽しんでやる趣味は、質の高いインプットになります。
特に力を入れたいこと、大切なことは太字にしてもいいでしょう。
図にすると意外な結びつきも見えてきます。
バラバラにやっていた趣味や仕事がつながったり、結びつけて考えると面白いと気づいたりするでしょう。
その結果として、趣味のモノも本当に必要か、使えるか冷静に短時間で決断できるようになります。
図にして考えることで買い物の精度が上がり、無駄なモノが増えなくなります。
趣味ではいろいろなモノ、情報、ノウハウが蓄積され、愛着があるがゆえに無駄にしないように頭が働きます。
有形、無形のインプットが整理・整頓されてストックされ、アウトプットされた結果、片づけが加速するのです。
020整理術で業務もコントロールする
自分のペースで仕事をしていると断言できる人は、そう多くはないでしょう。
自分らしいワークスタイルを確立するためには、仕事をコントロール下に置くことが重要です。
そうでないと次から次へと押し寄せる仕事に追われ、流されるままとなってしまいます。
整理術はこの点からも重要な役目を果たします。
ファイリングシステムを構築し、書類探しの時間を減らすことが、オフィスの業務改善、ひいては個人の生活の充実につながります。
スティーブン・R・コヴィー博士の世界的ベストセラー『7つの習慣』には、「時間管理のマトリクス」が紹介されています。
重要性と緊急性を基準に仕事を4つの領域に分けて管理する方法ですが、緊急度と重要度から見ると、ファイリングの仕事は、このうち第Ⅱ領域に属すると考えていいでしょう。
緊急度が低いためにオフィスでは後回しにされがちですが、重要度は高い仕事なのです。
同書でこの領域の例とされているのは、ほかに人間関係づくり、自己啓発、健康維持など。
ファイリングもこれらと同じ位置づけといえます。
時間を投資して書類探しを減らすそう考えてみると、ファイリングシステム構築のために時間を投資する必要性もご理解いただけるでしょう。
投資の結果として、書類探しの時間が減るうえ、仕事のノウハウの蓄積と継承ができるようになります。
仕事を片づけるのに精一杯では、同じような仕事が再びきたときに書類や資料を活用できる状態になどしておけません。
一方、ファイリングにより誰もが見える形でノウハウを蓄積してあれば、ほかの人も活用でき、業務がスムーズに進み、ミスを防ぐこともできるのです。
ファイリングの効果が目に見えるようになるまでは、少し時間がかかるでしょう。
投資というのは、そういうものです。
長期的な投資の成果を待つことができないと、非生産的な書類探しに時間をとられ、仕事に追われるままとなってしまいます。
整理術によって自らが仕事をコントロール下に置く状態へともっていきましょう。
021自分の仕事と責任について考える
どのような働き方をするかという問題は、誰もが興味のあるところでしょう。
「できるなら定時で帰って、もっとプライベートを楽しみたい」という人も多いはずです。
本音ではそう願いつつも、ついつい頑張って残業しているかもしれません。
そこで改めて考えたいのが、仕事熱心なあまり、本来、自分の仕事ではない領域にまで手を広げていないかということです。
たとえば、知らず知らずのうちに自分には権限のないことに対し判断を下し、業務を進めていたという場合。
そんなときでも、文書管理をしっかりと行なっていれば、万一、大きなトラブルが発生しても、速やかに対応できるでしょう。
判断の理由となる証拠を挙げて示したり、業務の流れに従って判断の経緯をたどったりできるからです。
何か問題が起きたときに、証拠となるのが文書。
必要に応じてすぐに取り出せるようにしておくことが、自分の身を守るために役立ちます。
長く会社で頑張って働いていると、わかっているつもりでも自分の受け持つ業務の内容と責任を負う範囲が、見えにくくなってしまいがちです。
自分の仕事とそれに対する取り組み方、ひいては働き方について、今一度考えてみるといいでしょう。
022ファイリングのスキルで生活も変わる
ファイリングのスキルを身につけると、オフィス以外でも活用できるようになります。
机周りが片づかないと悩んでいる人は、できれば家の中もすっきりさせたいと思っているのではないでしょうか。
「いざというときのため」という理由で捨てられないまま取っておくのは書類に限りません。
生活用品も同じこと。
目に留まった便利グッズを買ったはいいけれど、使わずしまい込んだままになっているなどというのは、よくある話でしょう。
しかも、いざ出番がきたときに、どこにしまったかわからず、悔しい思いをすることになりがちです。
家全体の収納を見直すのは大変な作業ですが、戸棚やクローゼットひとつずつであれば始めやすいもの。
冷蔵庫の中、車のトランクの中なども同様です。
不要なものは捨て、使うものはファイリングのスキルを応用して使いやすく分類、配置してみてください。
衣類、靴、本、趣味のモノなど上手に収納できれば、普段の生活が快適になるでしょう。
食料品や調理道具、また洗濯用品、掃除道具なども見直せば、家事の時間が節約できるかもしれません。
そうするなかでファイリングのスキルを自分流にカスタマイズする楽しさが実感できます。
最初から100点満点の理想を目指す必要はありません。
できるところから始めてみて、始めた分の便利さを享受することが次へとつながります。
1まずは「頭」と「心」を整える考え方を変えれば自由になる
023整理下手でも「管理できる量」はある
「できることならやりたいけれど、やっぱり自分には無理なのではないか……」「一度はやり遂げたとしても、それをずっと続けていく自信が持てない」片づけが苦手という人は、そんなふうに後ろ向きに考えてしまいがちです。
いろいろなルールに縛られると思って抵抗を感じ、不自由に思う人もいるでしょう。
そこで心にとどめておきたいのが、誰にでも「管理できる量」があり、その範囲内で維持すれば整理上手への道が開けるということ。
整理整頓がどんなに下手であっても、持っている書類やモノの量を減らしていけば、管理できる量に行き着きます。
必要なときにすぐに見つけられ、維持できるポイントです。
整理とは捨てること。
自分が管理できる量になるまで要らないものを捨てていけば、持っているモノを上手に、自由に使えるようになると考えましょう。
「そんなに簡単に捨てられない」と思うかもしれませんが、取っておいてもどこにあるかわからず使えないのでは意味がありません。
「管理できる量」は、ファイリングのノウハウを習得したり、新しい技術を導入したりすることで高めていくことができます。
限界を高める努力をしつつ、保有量をその範囲内に維持するように取り組んでみてはいかがでしょうか。
024面倒くさがりだからこそファイリング
「面倒くさがりな自分には、ファイリングなんてとてもできそうにない」「整理術はものぐさには難しい」そんな声もよく上がります。
今のやり方をそのまま続けたいと望むのは人間の常ですが、面倒くさがり、ものぐさだからとあきらめてしまうのは実に惜しい話です。
誰だって面倒くさいことはしたくありません。
それがファイリングのスタート地点につくときの最大の障壁にもなります。
現状に目を向けてみましょう。
今現在、必要な書類を探すのにいちいち手間がかかって、面倒な思いをしていないでしょうか。
そこで、面倒くさい思いをしないように工夫をするのだと考えてみてください。
だからこそ、ファイリングのスキルを身につけて、書類がすぐに見つかって、仕事がサクサクと進むようにするのです。
ファイリングは几帳面な人だけの技術ではありません。
使ったらすぐに元に戻す、新しいファイルは管理表に登録するなどと聞くと、「やっぱり無理」と思うかもしれませんが、このひと手間によって面倒が省けると実感できれば、習慣としてできるようになるでしょう。
面倒くさい、楽をしたいという気持ちは、ファイリングに磨きをかける推進力になるのです。
025ファイリングで楽ができる
「ファイリングをすれば楽ができる」とわかっても、そのためになすべきことを考えると気持ちが萎えるという人は多いでしょう。
「それこそが面倒」という声が聞こえてきそうです。
たしかに、ファイリングシステムを確立するまでには、いろいろとやることがあります。
考える必要もあります。
ただ、それは見方を変えれば「いかに楽をするか」を実現する過程。
あなたは、次のどちらを選びますか?①面倒なことは避けて楽をする(実際には、書類探しでいつも面倒くさい思いをしている)。
②この先、楽ができるようにファイリングに取り組む。
面倒な書類探しをこれからも続けるよりも、この際、思い切って努力して楽を手に入れたほうがいいのではないでしょうか。
最初に努力すれば、後でその成果が得られるのです。
たとえば、大急ぎで企画書を仕上げなければいけないとき。
「あの資料、どこに行ったかな」「前回の企画書は?」と探しても、なかなか見つからず、時間ばかりが経過して焦りに焦ったという経験はないでしょうか。
そんなとき、あらかじめファイリングされていれば、必要な書類がパッと取り出せ、その分、肝心の企画を考えることに時間を使えます。
どちらの出来がいいかは考えるまでもないでしょう。
ファイリングによって楽ができるのです。
026表示、色分けなどの工夫で面倒をなくす
面倒くさくないようにする工夫は、使いやすい優れたファイリングに直結します。
最も身近な例が、ファイルの中身の確認でしょう。
見出しに何の表示もなければ、ファイルを開けてみないと中身がわかりません。
ひとつならまだしも、キャビネットにずらりと並んだファイルから目的の書類を探し出すことを考えてみてください。
ひとつひとつ取り出し、開いて確認しなければなりません。
一方、ファイルが収納された状態で中身がわかるように表示されていたら、どれだけ楽でしょう。
ファイルを開くどころか、抜き出さなくとも中身がわかるのです。
面倒なことをせずに、素早く必要な書類が手に入ります。
色分けするという方法もあります。
「重要」「緊急」などの事項を色で示すと、パッと見ただけで判別しやすくなります。
また、ジャンル別に色分けするといったやり方もあるでしょう。
「重要」「緊急」「社外秘」などは、いずれも赤が使われがちですから、色だけで示すのではなく、文字による表示を組み合わせると確実です。
手に取って開ける、じっと目を凝らして探すといった手間と時間が省けると、作業は楽に進みます。
探しやすく、戻しやすい環境に慣れると、もう元のような面倒な状態には戻りたくないと思うでしょう。
027無法地帯のオフィスにルールをつくる
「あれ、先月の記録はここにあるはずなのに、どこにも見当たらない……」「誰がこんなところに関係ない書類を置いたのだろう」そんな経験を日常的にしている人も多いはず。
これはファイリングシステムが確立されていない、無法地帯のオフィスです。
大げさだと思うかもしれませんが、借りたものを返さず、最低限の決まりも守らないならそれは無法地帯と同じです。
そこで大切なのが、ルールづくりです。
ただし、オフィスではいろいろな人が働いていますから、理想のルールを求めすぎると、かえって衝突の種になりかねません。
誰もがわかりやすく、必ず皆が従うような、できるだけ多くの人に共通する経験値を意識しながら、理解しやすく判断しやすいルールにするとよいでしょう。
たとえば、ファイルを棚に並べる順番は、下から上ではなく上から下、左から右より右から左が自然です。
これを無視すると違和感が生じ、ルールを守りにくくなってしまいます。
働いている業界、企業やオフィスに特有の慣習などもあるはずです。
注意喚起には赤が最適なオフィスもあれば、濃いオレンジのほうがしっくりくる職場もあるでしょう。
働く人たちが共通して持っている認識や感覚を踏まえたルールにすると、違和感なく直感的に判断することができます。
自然な判断に合うルールなら、難しく考えなくて済み、定着しやすいといえます。
028“持たざる解放感”を実感する
「整理とは捨てること」と聞くと、自分の選択肢が狭まるようで窮屈に感じる人もいるでしょう。
しかし、そんなことはありません。
それどころか、捨てることで楽になり、“持たざる解放感”を得ることができるのです。
持っていれば安心できるモノでも、感情的に捨てるに忍びないモノでも、取っておくと管理しなければなりません。
その場所を確保するために棚を新設して管理するのは大変です。
一方、持たなければ、管理する必要もありません。
管理するための手間も、置く場所も、用具も何も必要ありません。
そこにあるのは心地よい解放感です。
その解放感は実際にやってみないことには実感できませんが、試しに想像してみるといいでしょう。
本当に必要なものだけを残して、机周りの要らないものをすべて処分、探しやすく、出しやすく、戻しやすい環境を整えた状態です。
散らかったり、積み重なったりしているものも一切ありません。
「さて、仕事に取りかかろう」と思ったら、文房具でも資料でも電話番号表でも、さっと取り出してすぐに取りかかれます。
「デキるビジネスパーソンみたいで気持ちいい」と思った人も多いでしょう。
重い荷物をたくさん持っていては走りにくいけれど、身軽になればスピードが出るのと同じです。
その状態を維持すれば、身軽に、自由に、仕事ができるのです。
029シェアすることでスマート&シンプルになる
“持たざる開放感”を想像しても、「それでもやっぱり捨てることには不安がある」「必要があって取っておいたものだから、そんなにたくさんは捨てられない」などとためらってしまう人は、情報も管理も共有化することで得られるメリットを考えてみてください。
同じ書類をオフィスの何人もが持っていたりしませんか。
重複をなくして、共有化し、使うときだけ取り出してきて、終わったら元に戻せばいいのです。
個人で持っていたほうが便利だからと重要書類を10人がそれぞれ持っていたら、書類を管理するリスクも、責任も、管理する工程も10倍になります。
スペースの無駄だけではありません。
書類の所有には責任が伴います。
本来であれば個人で持つべきではないような書類まで抱え込んでいたりしてはいないでしょうか。
そのようなリスクや責任は手放したほうが気持ちは楽になります。
すっきり楽になるために、個人で持たずに共有化しましょう。
情報もシェアし、管理もシェアするのです。
そうすると、スマートに、シンプルに、楽に仕事ができるようになります。
捨てるのが不安でも、確実に共有する方法が確立できれば、心配はなくなるでしょう。
身軽になって、本来エネルギーを注ぐべきことに注力できるようになり、大きな満足感が得られるはずです。
030ファイリングは目的ではなく手段である
オフィスにファイリングシステムを導入する際、ルールづくりはとても重要。
ただし、それを守ることを最重要課題とはしないよう気をつけましょう。
ファイリングはビジネスの基本スキルであり、業務の基本。
人と水のような関係といえます。
人が生体として生存するために水は必要不可欠ですが、人は水を飲むために生きているわけではありません。
それと同じことです。
ファイリングはそれ自体が目的、ゴールではありません。
ファイリングシステムをきっちりと維持しようと努めるあまり、非常に厳格なルールをつくり、守るよう全員に求めたら、オフィスの居心地はかえって悪くなってしまいます。
たとえば、使ったファイルを戻す前に机の横に置いておき、少し席を外して戻ったら、同僚たちからいっせいに白い目で見られるというような極端な状況になったらどうでしょうか。
「とても窮屈でいたたまれない」「これが毎日なら、ストレスで参ってしまう」そう思って当然です。
ファイリングは目的ではなく、手段。
ファイリングシステムに沿って業務を行なうことで、効率が上がり、ミスが減り、セキュリティ対策になるという、ひとつの手段です。
熱心に取り組もうとするあまり、オフィスの雰囲気が苦しくならないように注意しましょう。
031モノを増やさないために入口を狭くして抑制する
せっかく奮起して要らないものを捨てたら、以降はその状態を保ちましょう。
これについても難しく考えるより、実際にやってみると案外自然とできるものです。
“持たざる解放感”を実感したら、元に戻りたいとは思わないでしょう。
モノを増やさないための秘訣は、単純なこと。
モノが入ってくる入口を狭くして抑制するのです。
そのうえで、不要になったものが溜まらないように出口を確保し、出ていくようにしておけばいいのです。
入口を狭くするコツを挙げてみましょう。
・捨て方がわからないような面倒なものは持たない。
・内容だけわかればいいなら、写真やスキャンで済ませる。
・ワークフローや生活スタイルを確立し、本当に使うシーンがあるかを判断する。
・タダだからといって安易にもらわない。
・共有物で済ませられないかを考える。
・お土産やギフトは消費して後に残らないものを選ぶ。
こうして入口を狭くし、本当に必要なものだけが入ってくるようにしておくと、その後、不要になったときの処分も容易にできます。
捨てるルールと処分の方法が確立されていれば、面倒なこともなく捨てられるでしょう。
たくさんのモノに押しつぶされそうな状態から解放されるのです。
1まずは「頭」と「心」を整える整理を習慣化させるためには?
032成功のための“7つの習慣”を知っておく
どんなことであれ、成功へと導くには、日々の積み重ねが必要です。
ではファイリングの成功には何が必要か、コヴィー博士に倣って“7つの習慣”を挙げてみます。
【1】捨てる不要なものは捨て、管理できる分量にとどめます。
【2】立てるファイルは立てれば埋もれません。
出しやすく、戻しやすく、スペース効率も良くなります。
【3】表示するひと目ですぐわかるようにファイルにラベルをつけます。
【4】ファイル管理表を作成するファイル自体が目の前になくとも、情報を一覧できます。
どこにあり、どこに戻し、いつ捨てるのかが誰でもわかります。
【5】ルールをつくる目標を定め、実現に必要なルールを決めます。
【6】道具をうまく使うルールを守るのに役立つ道具をうまく使います。
【7】意識を持つ高い意識を持ってルールを守り、改善に努めます。
それぞれの詳しいやり方については、PART2でご紹介します。
033誰もが識別でき、使いやすく戻しやすく
「片づかなくて困っている」という人の机の上には、山のように書類が積み重なっていることでしょう。
整理を習慣化するために覚えておきたい基礎的な知識として、前項の“7つの習慣”の3番目の「表示する」にあたる、「ラベル付け」があります。
ファイルにはラベルを付け、それが何なのか誰もが識別できるようにしましょう。
混沌とした状態では、ファイルがひとつ消えても誰も気づきません。
誰かがファイルを持ち去ってもわからないでしょう。
大切な情報を「どうぞ持っていってください」と差し出しているようなものだと考えれば、整理の重要性が感じられるのではないでしょうか。
次に押さえておきたいポイントが「配置・配列」。
ファイルをどこにどう置いておくかということです。
たとえば、日に何度も見る書類の置き場所が、隣室の奥の取り出しにくい棚の中だとしたら、使った後にきちんと戻さないという事態が起きやすくなるでしょう。
ファイルの場所がわからなかったり、自分の手元にきたファイルをどこに戻せばいいのかわからなかったりすると、あるべき配置・配列を守れず、散逸、紛失につながります。
そうなれば、せっかくの良い情報も使えず不良資産化してしまいます。
使いやすく、戻しやすいことが習慣化につながるのです。
034“捨てる”を見える化する
“7つの習慣”で第1に挙げた“捨てる”は、整理の基本。
前にも述べた通り、整理とは捨てることです。
もちろん何でもかんでも捨てればいいというものではなく、正しく捨てることが求められます。
手始めに明らかに不要とわかる資料、書類は廃棄しましょう。
ただし、部署で共有すべき情報は勝手な判断で捨ててしまわないよう、気をつけましょう。
捨てると判断した場合でも、責任者の許可を得てください。
習慣化のためには、ルールに従ってこまめに廃棄することです。
そうすれば、捨てるのにまとまった時間も要りませんから忙しいなかでも続けられます。
ここでも役立つのが表示。
いずれ捨てるべきものはあらかじめ“見える化”しておくのです。
たとえば、案件の書類の保管期間が1年間と定められている場合。
案件が終了した時点で、ファイルのラベルに「〇年×月△日終了」と書き込んでおけば捨てる時期がわかります。
終了日時ではなく、廃棄の予定日時を表示すれば、さらにわかりやすいでしょう。
誰が見ても一目瞭然です。
こうしておけば、通常業務をしながら廃棄ができます。
書類が溜まってどうしようもなくなり、そのために、わざわざ片づけの時間をとる必要がありません。
日頃から楽に整理ができるというわけです。
035強制力を上げるために組織で取り組む
ファイリングシステムの確立に組織で取り組むと、自分ひとりだけ「そんなこと知らない」「面倒だからやらない」と言っていられなくなります。
組織での取り組みは習慣化のための強制力になるともいえるでしょう。
全社を挙げてのファイリングシステムに参加するかどうかは任意ではありません。
「これまで通り我流のファイリングでいく」と通そうとしても、もはや許されません。
導入後、自分がきちんと習慣化できているかどうかは、周囲の反応を見ればわかるでしょう。
さらに踏み込んで確認するには、「電話口から、自分の書類のありかを同僚に伝えられるか」を自己検証してみるといいでしょう。
たとえば、あなたが出張中、予期せぬ事態が起きて、その日のうちに同僚が対応しなければならなくなったと想定してみましょう。
はたしてどこから書類を取り出せばいいか、電話をくれた同僚に口頭で伝えられるでしょうか。
どこのキャビネットの何段目、何と表示したファイルと伝え、すぐさま同僚が取り出せると確信できればOK。
もしもそのファイルが机の引き出しに鍵をかけてしまわれていて、鍵を自分が持って歩いていたりしたら、アウトです。
こうして時折、自己検証をする機会をつくるようにすると、習慣として定着させる助けとなるでしょう。
036自分だけでなく組織全体の効率を考える
「この仕事の担当者は自分ひとりだから、書類や情報を共有する必要性は感じない」周囲から浮こうが、非難の目で見られようが、そんなことを言い張る同僚もいるかもしれません。
そのような同僚の協力を得て、オフィスのファイリングシステムを確立し、習慣づけるためには、「経営者目線で考えてほしい」と提案をするのもいいかもしれません。
自分ひとりで完結する個人ファイリングでは、後任への引き継ぎや緊急時の対応に膨大な時間をロスすることになります。
当然これを組織全体としてみたら、ひどく効率が悪いのはいうまでもありません。
社員もひとりひとり経営者意識を持って仕事をするようにというのは、ビジネス書などでもよく言われる通り。
向上心の強い同僚であれば、「みんなでやることだから」と言われるより、「経営者目線で組織全体の効率を考慮してこそ、ファイリングの効果を最大化できる」などと説明したほうが、説得力が増すことでしょう。
担当する仕事をうまく捌いている人であっても、いつもひとりで動いていると、自分目線でしか仕事を見ていないことがあります。
経営者目線、組織目線で見ると効率が悪いことを説明し、オフィス全体で取り組めるようにしましょう。
037ファイリング成功の「三識(意識・知識・組織)」
ファイリングが習慣化するかどうかを決定づける要素として、意識、知識、組織の「三つの識」があります。
意識とは、「ファイリングをしよう、やるべきという志」。
これがないと、どうにもなりません。
意識を高く持っていられれば、多少面倒なことがあっても容易には投げ出さず、整理を習慣として続けることができます。
知識とは、「ファイリングを推進するためのノウハウや、ファイリングをしないとどうなるかなどファイリングにまつわる知識」。
大まかにいえば、テクニックです。
テクニックをいくら知っていても意識が欠けると実行に至りません。
高い意識と知識が揃って初めて効率よく実行し、継続することができます。
オフィスの全員に高い意識を求めるのは難しいもの。
そんなとき、「こうすれば効率よくできる」という知識は、意識の足りないところをカバーしてくれます。
「これならできそうだ」という人が増え、実際にやってみると「これはいい」と実感し、意識と意欲が高まるという好循環が期待できます。
最後の組織は、前述した通り、強制力として働きます。
ファイリングシステム導入後は、組織として定期的にチェックをして、意識が足りずにこぼれ落ちた人を救い、スケジュール通りにサポートして、知識不足の人への指導を行ないます。
038組織は知識と意識の調整機関
ファイリングシステムの構築と維持の成否は、前項の三識、すなわち「意識、知識、組織」の総和にかかっています。
それぞれが一定水準を超えた状態で保たれつつ、総和が一定水準に達している状態が理想です。
同じひとりの人でも、意識は時間の経過とともに変わっていきます。
はじめは高い意識で「完成度の高いファイリングシステムを維持しよう」と決めても、そのうちに熱が冷め、別のことに意識が向くなど長続きしない人もいます。
導入時にオフィス全体で意識が高揚しすぎて、高すぎるハードルを設定し、失敗するケースもあります。
ほどなくして皆の意識が低下してしまい、とても継続することなどできず短期間で崩壊することになるのです。
ですから、そのファイリングシステムを持続できるか否か、客観的にやり方を見定めることも重要です。
新たなシステム導入の熱気が静まった後も、淡々と続けられる内容かどうか冷静に考え
てみましょう。
システムというものは、継続してこそ効果が上がります。
一過性のブームで終わっては意味がありません。
そうしたモチベーションの乱高下を制御するのが組織である、ともいえます。
個人個人の知識と意識がどのような状態であるのかを把握し、ばらつきを平均化する。
一定水準から下がらないように調整する働きを担います。
039減量目標を決め、全員で作業をする
体重を減らすダイエットと同じで、書類も減量目標を決めることが意味を持ちます。
わかりやすい目標を掲げれば、気持ちに迷いが出たり、怠け心が頭をもたげたりしたときも、自重する方向に働くでしょう。
紙文書を管理可能な範囲におさめ、オフィス内の文書の絶対量を減らそうという場合、目標は高めに設定します。
驚く人が多いかもしれませんが、たとえば「50パーセント削減しよう」と高々とうたいます。
つまり、半分は捨てることを目指すのです。
この目標が明確でなく、中途半端だったりすると、判断に迷ったときに「まあ、取っておいてもいいか」と判断が甘くなりがちです。
ひとりひとりが思い切って捨てる決断を後押しするように、高めの目標を定めましょう。
作業を部署内の全員で行なうことも重要です。
出張や外出などでひとりでも欠けていると、思うように作業が進みません。
「この書類は、どうなんだろう?」「〇〇さんに聞かないとわからない」「それなら一応、残しておこうか」「これも〇〇さん次第だな……」そうやって残した書類は、そのままになるケースがほとんど。
せっかく廃棄に取り組んでも、効果が大きく減じてしまいます。
全員揃って作業し、その場で判断しましょう。
040ファイリングのルールを決める
整理を習慣化するためには、あらかじめ実行できるルールが決まっていなければなりません。
とりあえず捨てられるものは捨て、すっきりした状態になったから、それを維持しようというだけでは、すぐに行き詰まってしまいます。
ファイリングのルールとは、どのような書類を、どのような科目に分類して、どのファイルに保管するかということ。
さらに、保管した書類を一定期間が過ぎたら廃棄するのか、ほかの場所に移すのか、その期間をどのくらいに設定するのかなどです。
決めることはたくさんあります。
「何をどうしたらいいのかわからない。絶対失敗せず、守り続けられるルールを教えてほしい」そう思うかもしれませんが、どこのオフィスにも、誰にでもあてはまる正解はありません。
それぞれが、それぞれの状況に合わせてルールを定める必要があります。
オフィス全体ではなく、自分ひとりの整理の見直しである場合も、ルールは必要です。
「本当に要るものだけを残して、あとはおいおい考えればいい」というのでは、ファイリングとはいえません。
場当たり的ではなく、あらかじめ、しっかりとしたルールを決めましょう。
また、ルールを決める前に適当にファイル用具を買ってくるのもNG。
ファイリングシステムをどのような形にするのかを確実に決めてから、それに合ったファイル用具を選んでください。
041部署のルールは、メンバーで協議して決める
オフィス全体としてファイリングシステムを構築しようという計画が持ち上がった場合、ルールは部署ごとに話し合って決めることが重要です。
ファイリングを推進する委員会などが勝手に決めて「皆さん、これに従ってください」と一方的に通達したのでは、守ろうとしない人が続出してしまいます。
上から押し付けたルールではなく、メンバーが自主的に協議して決めること。
行動心理学でも、人は納得できないと行動には移さないことがわかっているそうです。
もしもメンバーのなかに、自分流のこだわりの整理方法を確立し、実行している人がいたら、ルールを決定する際のまとめ役になってもらうといいでしょう。
「勝手なやり方はやめてくれ」と止めるのではなく、皆で行なうファイリングとしてはどのような方法が有効だと思うか、どうすれば効率が上がるか、アイデアを出してもらいルールに反映させるのです。
また、ルールづくりでは次の2点に特に気をつけてください。
①シンプルで実行可能なルールに複雑すぎて覚えきれないようなルールは、守れません。
難解で複雑なルールは継続できないと肝に銘じましょう。
②「」時間に余裕がないとできないファイリングでは意味がありません。
特に忙しい人でも実施できるルールにしましょう。
042書類作成のルールを徹底する
整理術を実践し、長く続けるには、今後、生み出される書類についても考えましょう。
せっかく不要なものを捨てても、これまで通りに増やしていたら、すぐに保管スペースがパンクしてしまいます。
書類作成について求められるルールは、以下の通りです。
①書類サイズはA判系列に統一A4判、縦長を原則とする。
ファイリングしやすいようにB判系列はできるだけ使わないようにしましょう。
②表や図面などは別ルールを適用表や図面の判型については、業務内容とニーズに合わせて別にルールを決めておきましょう。
③原則として1件1葉1枚の用紙に1テーマを書くことを原則としましょう。
④1枚が無理でも2枚まで内容は簡潔にまとめ、2枚を超えないようにしましょう。
また、配布文書についてのルールは次の通りです。
①配布先一覧の枠を設ける配布先を一覧にし、コピー枚数を明確にしましょう。
②1部署1部が原則1部署に何部も配布しないようにしましょう。
③むやみにコピーしない「コピー厳禁」のスタンプを押すようにすると効果的です。
0431日のなかで整理時間を確保する
ファイリングシステムを維持するには、1日のなかで整理の時間を確保することが重要です。
「忙しくて時間がない」と言う人がいますが、どんなに多忙でも食事と睡眠、通勤時間は確保するもの。
書類を使いやすく整理しておくことも、仕事の能率を上げるために必要不可欠と考えましょう。
まとまった時間がとれなくとも、毎日10分程度でもかまいません。
10分あれば、次のようなことができます。
・元に戻していなかったファイルを戻す。
・見出しをつけていなかったファイルに表示をする。
・机の上に積み上げてしまった書類を立てる。
・捨てるものと必要なものの選別をする。
1日の最後でなくとも、細切れ時間を活用してもいいでしょう。
次の仕事に移る前、会議が始まるまで、来客が到着するまでなど、ちょっとした空き時間を上手に使ってください。
そのとき手がけている書類、資料ならすぐ手に取れるところにあり、内容も頭に入っているので、すぐに判断できます。
「これ、なんだったっけ?」「あれは、どこに行った?」となる前に、片づけてしまうのが一番です。
整理の時間を毎日確保することで、書類探しの時間がぐんと短縮されます。
ちょっとした時間の投資で大きなリターンが得られること実感し、継続してください。
044遅れが出たときの挽回の仕組みを設ける
オフィスで働くビジネスパーソンが文書を扱わない日はないでしょう。
ファイリングは毎日毎日行なうものなので、最初はルールに従って行なうことに戸惑ったとしても、そのうち慣れて苦もなく片づけられるようになります。
整理の時間は毎日確保しますが、それでも現実には遅れが生じてしまうことは起こります。
緊急事態への対応で手一杯になったり、大きなイベントがあったりして、ファイリングが後回しにされるような状況です。
これについては、部署内のファイリングシステムが崩壊に向かう前に、遅れを取り戻す仕組みをあらかじめ設けておくといいでしょう。
組織としてファイリングに充てる時間を、一定のタイミングで確保しておくのです。
実施する日時は早めに告知し、その時間にはほかの予定をいれず、全員が揃って行なうようにします。
「ひとりくらいいなくてもいいだろう」「自分の分は後でやればいい」というような生ぬるい雰囲気にならないよう気をつけましょう。
部署を挙げて全員で取り組むことです。
もしもひとりでも抜けてしまうと、判断がつかない文書が出てきて中途半端に終わったり、きちんと参加した人に二度手間、三度手間の負担がかかったりします。
遅れの挽回も、業務の一部と考えて取り組むようにしましょう。
045ファイル管理表を作成する
ファイリングを見直したときは、オフィス内にある文書すべてをリスト化しておきましょう。
はじめは面倒なように思うかもしれませんが、実践してみるといかに便利かわかってきます。
すべてのファイルについて管理表をつくるということは基本中の基本です。
どの文書がどのように分類されてどのファイルに収納され、さらにそのファイルがどこにあるのかを明記すること
で、リスト化されていると現物と突き合わせて抜けや漏れ、重複がないかスムーズにチェックできます。
どのような分類を定め、どこにどんな情報を保存したか、頭の中ですべてを記憶し、把握しておくのは不可能です。
だからこそファイル管理表をつくり、明記しておくのです。
そうすることで、「あのファイルはどこに行った?」と必死で記憶をたどったり、大慌てであちこち探し回ったりしなくとも、ファイル管理表を見れば一目瞭然となります。
今は表計算ソフトを利用できます。
入力後に並べ替え、順番表示などの機能を使えますから、手に取ったファイルから入力していけばいいでしょう。
この方法をとるのは、組織を挙げてファイリング・システムを確立する場合だけでなく、個人的に机周りを片づける場合も有効です。
最初からすべてのファイルを網羅しなくともよいので、できるところから始めてみてください。
自分の傾向や癖のようなものが見えてくるメリットもあります。
046ファイル管理表は新しいものから取りかかる
ファイリングシステムを構築し、運用していくために、まずファイル名基準表を完成させることを優先してください。
その際、古い書類から作業を始めると、なかなかゴールにたどり着けません。
古い書類は閲覧する頻度がきわめて低く、廃棄の時期が迫っています。
このため、古い書類をファイル管理表に登録しても、すぐに廃棄対象になるかもしれません。
したがって、まずは、新しい書類から登録をしてみてください。
オフィスの収納棚に保管し、使う機会の多い書類なら、「ファイル管理表があるというのは、なんと便利なのだろう」と実感できるはずです。
まとまった時間と手間を投じられないようなら、収納棚の一部から始める方法もあります。
利用頻度が特に高い収納棚に収めてある書類から登録していくのです。
収納棚ひとつでもかまいません。
ファイル管理表が完成したら、見出しの印刷、表示まで完成させましょう。
頻繁に使う収納棚であれば、すぐに効果を実感できるでしょう。
こうしてオフィスにある書類を登録していく一方で、保存庫にすでにあるファイルは登録しない方法もあります。
もちろん捨てる時期がきたら捨てますが、オフィスにある書類のファイル管理表を完全にすることに注力したほうがその後に役立ちます。
047ファイリング推進委員会を設置する
せっかく導入したファイリングシステムを有効に活用し、そのメリットを最大限得るには、適正な維持管理に努める必要があります。
全社を挙げての取り組みであれば、はじめからしっかりと維持管理の仕組みを設けておきましょう。
ファイリングのルールづくり、基本方針の企画・推進にあたる存在として、ファイリング推進委員会を設置します。
トップに立つのは、もちろん社長。
ファイリング推進委員長として、全社に基本方針を示し、目標を設定します。
ファイリング推進委員会は、総務部、業務部、情報システム部、法務部など社内のメンバーで組織し、各部署の状況や問題点、課題や解決策などを話し合います。
また、ファイリングの年間スケジュールを策定し、各部署に伝達します。
一般的には、部門の責任者がファイリングマネージャーを務め、現場の管理指導の責任を負います。
そのサポートをするのはファイリングクラーク。
マネージャーの指示に従って実作業を行ない、グループメンバーに具体的な指示をします。
また、ファイリング推進委員会とは別に、ファイリング推進事務局を設置します。
事務局は委員会の開催、審議会の議事進行など、社内の調整およびコンサルタントや業者など外部との調整を行ないます。
また、ファイリング用具の調達、在庫管理についてマネージャーに提案やアドバイスを行なってファイリングシステムを支えます。
048登録キャンペーンのすすめ
オフィスのどこに、どのような情報があるのか、それを一目瞭然にするのが、前述(こちら(*))のファイル管理表です。
細かい説明はPART5、6でしますが、ここではシステム維持のための登録キャンペーンについて紹介しましょう。
登録キャンペーンというと、人が何かを志望して登録するイメージが浮かぶかもしれませんが、ここで登録するのはファイル。
ファイル管理表への登録ということです。
登録キャンペーンは、ファイル管理表への登録の遅れを正すために組織として行ないます。
こちらの課はきちんと進んでいるのに、あちらの課は大幅に遅れが出ているといった状況は、どうしても出てきます。
そこで登録キャンペーンを行なって、定期的に足並みを揃えましょう。
タイミングの目安は四半期ごと。
頻繁すぎると負担が大きくなり、間が空きすぎると未登録の文書が増えすぎて管理に支障をきたすようになります。
全員それぞれが未登録の文書がないか確認し、あれば登録します。
現状とファイル管理表を一致させ、見出しの印刷、表示などを行ないます。
もちろんこうした維持管理の計画、実施を円滑に行なうためには、ファイリングシステム導入時にファイリング推進委員会を設置し、役割を明確にしておくことが重要です。
049廃棄キャンペーンを行なう
何度も述べたように、整理とは捨てること。
日々仕事をするなかで、これは取っておくべきなのか、捨てていいのかを判断して、不要な書類を溜め込まないようにすることが大切です。
それでもやはりオフィスには、少しずつ書類が増えていきます。
対策としては、定期的に文書を捨てることを年間業務のサイクルに組み込むこと。
廃棄キャンペーンの実施です。
廃棄キャンペーンは、年に一度、オフィスと書庫、保管庫などすべてを対象に行ないましょう。
登録キャンペーンと同様、ファイリング推進委員会が各部署に予定を伝え、作業内容なども指示します。
各部署のメンバーは、時期が近づいたらファイル管理表と現状が一致しているか確認。
ファイリング推進委員会がこれを受け取り、廃棄リストを作成します。
あらかじめ廃棄時期を明示してあれば、パソコンで作成したファイル管理表で簡単に抽出して作成できます。
当日は、廃棄リストを見ながら現物を取り出し、本当に捨てて問題ないかを確認。
廃棄リストの確認印の欄にチェックを入れ、まだ廃棄できないと判断した場合はファイル管理表の修正を忘れずに行なうようにしましょう。
廃棄する書類については、リサイクルできるファイル類は外してストック場所にまとめて移し、書類は定められた廃棄設置場所に運びます。
年に一度、全員参加で行なうことにより、業務の効率を保ち、無用なトラブルを回避することができます。
050オキカエキャンペーンの実施登録と廃棄とともに全社を挙げて取り組む
3つ目のキャンペーンが、オキカエキャンペーンです。
「オキカエ」とはファイルの置き場所の「置き換え」。
簡単にいうと、オフィスに置いておく必要はないが保存の必要はある文書を、保存庫へと置き換えるということです。
こちら(*)で述べた通り、文書を見る頻度は時間とともに下がっていきます。
よく見るものだけを厳選し、オフィス内に収納するのが理想です。
ただし、閲覧しなくなっても5年、7年、10年などと保存年限が法令などで定められている文書もあります。
そうした文書はファイルごと保存箱に収め、保存庫に移動させましょう。
オキカエキャンペーンも、通常は年に一度実施します。
その時期が近づいたら、各部署でファイル管理表が現状と一致しているかどうか確認しておきます。
ファイリング推進委員会はこれを受け取り、あらかじめ記載された廃棄年からオキカエリストを作成します。
当日は全員参加で作業を行なうこと。
オキカエリストを見て現物のファイルを取り出して確認し、保存箱に入れます。
保存箱には整理番号を振り、その番号をオキカエリストに記入。
オキカエを取りやめた文書があればファイル管理表を修正します。
保存箱は廃棄年ごとにまとめるのが正解。
廃棄年がきたときに、中身をまとめて捨てられるので効率的です。
051維持管理のために守るべきこと
全社を挙げてファイリングシステムを導入したら、維持管理に力を注ぎましょう。
これまでとはまるで異なるシステムを取り入れるには大変なエネルギーが必要ですが、実は導入よりも継続のほうが難しいのです。
いつの間にか形骸化していたという事態にならないように、個人レベル、部署レベル、そして会社として注意すべきポイントを挙げてみましょう。
【1】個人が守ること・書類を私物化しない。
・利用した書類は元の場所に必ず戻す。
・進行中の案件の書類は定められた場所に保管する。
・ファイル管理表についてきちんと理解する。
・ファイリングシステムを勝手に変えない。
【2】各部署が守ること・新しい分野の書類には新しいファイルをつくる。
・書類の増加に伴って、廃棄、分冊、追加をする。
・ファイル管理表を常に現状と一致させる。
・ファイリングルール通りに廃棄を行なう。
・ファイリング担当者(クラーク)の任命、登録をする。
・ファイリング担当者(クラーク)の変更があれば、きちんと引き継ぎをする。
【3】会社として守ること・全員参加型の体制をつくる。
・職制に則った体制にする。
・維持管理のための組織と役割を明確にする。
・定期点検・評価を実施する。
・新入社員、新任のファイリング担当者(クラーク)、マネージャーにファイリング教育を実施する。
・ファイリングの推進、維持を全社的な活動と位置づけ、そのための活動の時間を設ける。
・ファイリングシステム運用のために年間スケジュールを作成し、それに基づいて活動する。

052無理な計画を立てず、楽しんで行なう
前にも述べた通り、整理を習慣化するには、楽しんでやることが一番です。
人は苦痛に感じることは避けようとしますが、楽しいことは続けようとするからです。
楽しさの源となるのが、投資に対するリターンの大きさと考えていいでしょう。
ファイリングにかけた時間と手間がかなりのものであっても、仕事で大きな成果が上がり、社内での評価が上がれば、大きなリターンとして喜びが得られます。
「机の上を片づけるように」「だらしがない」「仕事が遅い」などとよく言われる人は、自分の変身した姿を想像してみましょう。
きれいに片づいた机でてきぱきと作業を進めていく“デキる人”の姿です。
継続するためにも、無理な計画を立てるのはやめることです。
完璧を求めて壮大な計画を立て、すぐに頓挫してしまうケースは現実に多くあります。
“ファイリング”自体が何か特別なビッグイベントのように見えると、ピカピカ輝く理想を追い求めがちですが、成功は遠のいてしまうでしょう。
ファイリングは毎日のこと。
日常の業務のなかで行なうものです。
それを十分に考えたうえで、楽しんで続けられることを目指しましょう。
投資に対するリターンが達成感、充実感となり、楽しんで続けられるはずです。
コメント