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第3章 これはアウト?セーフ?―知っておきたいパワハラの判定ルール

第3章これはアウト?セーフ?──知っておきたいパワハラの判定ルール本章でお伝えしたいこと●すべての要件を満たさないと「パワハラ」にならない●「職場」の範囲は意外と広い●パワハラには「6つの類型」がある

すべてそろって初めて「パワハラ」に──パワハラの要件◆本来「絶対の判断基準」は存在しないが……「これはセーフなのか?アウトなのか?」多くの人のパワハラについての最大の関心事は、これかもしれません。本章では、新たに定められたパワハラ防止法の厚生労働大臣指針(告示)を紹介しつつ、「何がパワハラになり、何がパワハラにならないのか」を解説していきたいと思います。ただ、最初に申し上げておきたいのは、会社で起こり得るあらゆるケースにおいて、白か黒かの絶対的な回答を準備することは不可能だということです。状況によって、あるいは相手によって、同じ行為や発言がパワハラになることもあれば、ならないこともあります。にもかかわらず、事例の言葉だけを拾って「これはパワハラだ!」と指摘するようなことは、職場をギクシャクさせてしまう面もあるということにご注意いただければと思います。以下、「パワハラになる・ならない」について言及することは、あくまでも「パワハラになる可能性が高い・低い」ことだとご理解いただければと思います。◆「パワハラの要件」は5つあるさて、ここまで何度か述べてきたように、以前はパワハラについて直接定義する法律がありませんでした。そこで、従来の雇用対策法が労働施策総合推進法、正式名称は「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」という非常に長い名前の法律に改正され、その中にパワハラについての根拠規定が新設されました。まず、「パワハラとは何か」が、この法律とそれに基づく大臣指針に規定されました。具体的には、以下をすべて満たすものが、職場における「パワーハラスメント」となります。①職場において(社長・取締役・管理監督者等の上司・同僚・部下による)②優越的な関係を背景とした言動であって③業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより④(その事業主の雇用する)労働者の⑤就業環境が害されるもの(身体的もしくは精神的な苦痛を与えること)これは、それ以前からの厚生労働省の定義や、世間一般の考えるパワハラの概念と、言っていることはほぼ同じだと考えていいでしょう。

ちなみに今回告示された大臣指針では、上記①〜⑤を「3つの要件」にまとめていますが、ここではよりわかりやすくするため、5つに分けています。◆すべてを満たさないと「パワハラ」にはならないこれらすべてを満たすことが要件なので、優越的な関係、たとえば上司から部下への発言であっても、業務上必要かつ相当な言動ならもちろん、パワハラにはなりません。仕事に関する指導すら「優越的な関係を背景にしたパワハラだ!」となってしまっては、仕事は進みません。とはいえ、この5つの要件だけでは「このケースはどうなるの」という疑問が出てくることは必然です。そこで、より個別のケースについて、厚生労働省が「指針」、正確には「事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針(告示)」を出しています。これに含まれているのが、前述の「6類型」です。個別のケースが「パワハラか否か」は、この要件と指針と照らし合わせつつ、様々な条件を勘案したうえで判断されることになるのです。

そもそも「職場」ってどこを指す?◆取引先のオフィスは?忘年会は?パワハラの第一の要件は「職場において(社長・取締役・管理監督者等の上司・部下・同僚による)」でした。では、「職場」とはどこのことか。実はこれ、当たり前のようでいて意外と悩むところでもあります。自分が働いているオフィスや工場内が職場であることはもちろんですが、では、取引先のオフィスで上司に暴言を吐かれたら、それは「職場内でのパワハラ」になるのでしょうか。あるいは帰宅途中に偶然、同じ電車に乗り合わせたときは?職場の懇親会の場は?疑問は尽きません。これについて指針では、「当該労働者が通常就業している場所以外の場所であっても、当該労働者が業務を遂行する場所については、『職場』に含まれる」としています。ということは、取引先の事務所や打ち合わせをするために入った飲食店、顧客の自宅等であっても、業務を遂行する場所であれば、自分の会社内でなくても職場に該当することになります。取引先への往復の移動時間なども、職場に含まれると考えていいでしょう。問題は懇親会や忘年会などの場ですが、それに参加することがほぼ必須だという場合は、職場に含まれると考えていいでしょう。一方、「通勤途中」や「帰路」についても、優越性という人間関係に基づく言動であれば「職場」の一環と考えていいと思います。どのケースも「社長・取締役・管理監督者等の上司・部下・同僚による」ものである必要があります。赤の他人から職場内で暴言を吐かれたとしても、それはパワハラにはならないということです。ちなみにこの「職場」についての解釈は、セクハラやマタハラについても同様です。

「パワハラか、そうではないか」を分けるものとは?◆要件その2「優越的な関係」ってどんな関係?パワハラの要件をもう少し詳しく見ていきましょう。パワハラの要件の第二は「優越的な関係を背景とした」言動である、というものです。指針では、「当該事業主の業務を遂行するに当たって、当該言動を受ける労働者が当該言動の行為者とされる者に対して抵抗又は拒絶することができない蓋然性が高い関係を背景として行われるもの」とされています。法律特有のわかりにくい言い回しですが、簡単に言えば「指示や命令を聞かざるを得ない関係」となるでしょう。一番わかりやすいのは「職務上の地位が上位の者による言動」、つまり「上司・部下の関係」です。直属の上司、部下である場合はもちろん、さらに上の上司や経営者も「優越的な関係」となります。たとえ役職は同じでも、年齢が上の先輩社員やベテラン社員が指示や命令をしているのだとしたら、これも優越的な関係になり得ます。◆「部下から上司へのパワハラ」もあり得る?ここで気をつけてほしいのは、パワハラとは決して「上司から部下へ」という関係だけではないことです。同僚、あるいは部下から上司へのパワハラも存在します。こうした行為は「逆パワハラ」などと呼ばれることもあります。指針ではパワハラの例として、「同僚又は部下による言動で、当該言動を行う者が業務上必要な知識や豊富な経験を有しており、当該者の協力を得なければ業務の円滑な遂行を行うことが困難であるもの」「同僚又は部下からの集団による行為で、これに抵抗又は拒絶することが困難であるもの」を挙げています。前者はたとえば、部門においてその仕事ができる人が一人しかおらず、上司といえどもその人の言うことを聞かないと仕事が回らない、といった状況が考えられます。そして、その社員がその立場を利用して上司のことを無能呼ばわりしたりすることも、パワハラになるということです。後者は、部門の部下全員が集団で上司をつるし上げる、無視するというような事態を指します。こうしたケースはこれまで「マネジメント力不足」として片づけられがちでした。もちろん、その側面もあるでしょう。ただし、度を越した場合は部下もパワハラを問われることになりかねない、ということは、ぜひ知っておくべきだと思います。◆ミスは否定しても、人格を否定しないパワハラの要件の3つ目は、「業務上必要かつ相当な範囲を超えた」言動です。「社会通念に照らし、当該言動が明らかに当該事業主の業務上必要性がない、又はその態様が相当でないもの」とされ、

●業務上明らかに必要性のない言動●業務の目的を大きく逸脱した言動●業務を遂行するための手段として不適当な言動●当該行為の回数、行為者の数等、その態様や手段が社会通念に照らして許容される範囲を超える言動が、例として挙げられています。たとえば、部下のミスを指摘し、注意することは業務上必要なことですが、ミスをした部下の人格を否定するような言葉は明らかに必要のない言動だと言えるでしょう。「このようなミスは二度としないように」ではなく、「こんなミスをするなんて、お前は知能が足りないんじゃないか」「学歴が低いからこんなミスをするんだ」といった発言です。また、もしその指摘が的を射たものだとしても、同じ注意を毎日何十回も繰り返す、というようでは、本人はたまったものではありません。では、どういう注意の仕方ならいいのか。何回ならいいのか……。この判断は非常に難しいところです。指針でも「社会通念に照らし」「様々な要素を総合的に考慮すること」とされており、その発言がどのような意図で行われたのか、実際に問題行動があったのか等を踏まえて判断すべきとされています。だからこそ、後述する「6類型」が判断基準として必要になる、ということでもあります。◆「誰が相手か」も要件になるパワハラの要件の4つ目が、「(その事業主の雇用する)労働者」に対して行われるということ。ここで言う労働者には当然、パート・アルバイト、契約社員等も含まれます。ただし、社外の人に対する暴言、たとえば取引先や業務委託をしている個人事業主などに対する「取引先いじめ」のようなケースは、独占禁止法等との関係や倫理的な問題はあっても、この指針でいう「パワハラ」ではないわけです。採用面接やインターンシップの際にひどい暴言を吐かれたといったケースは、その人がまだ採用されると決定されていない段階では、やはりその事業主の雇用する労働者ではないので、この指針でいうパワハラとはなりません。ただ、これは許容されるものではありませんし、会社の評判を大いに貶めるものであることは言うまでもありません。大臣指針でもこれらの人たちに対して、事業主はパワハラ問題が生じないよう配慮することが望ましいとされています。また、派遣労働者は本来、派遣元(つまり人材派遣会社)に雇用され、派遣先(実際に働く会社)に派遣されるものですから、働いている会社に直接雇用されているわけではありません。ただし、今回の法改正により、派遣社員も自社の雇用する労働者とみなし、事業主にパワハラ防止・対応の義務が課されています。

◆「就業環境を害する言動」とは何を指す?パワハラの要件の5つ目が「就業環境が害される」言動です。その行為や発言が、相手の雇用労働者の就業環境を害したかどうかが、パワハラかどうかの判断基準となるのです。大臣指針によれば、「当該言動により労働者が身体的又は精神的に苦痛を与えられ、労働者の就業環境が不快なものとなったため、能力の発揮に重大な悪影響が生じる等当該労働者が就業する上で看過(見過すこと)できない程度の支障が生じること」とされています。大声で怒鳴りつけたり、人格を否定するような発言が繰り返されれば、その社員が精神的に傷つき、仕事に悪影響が出るのは、十分予想できることです。身体的な暴力については、言うまでもありません。ただ、難しいのは人によって「打たれ強い人」「打たれ弱い人」がいること。同じ言動を同じ条件で受けても、まったく気にしない人もいれば、それだけで会社に来られなくなるくらい落ち込んでしまう人もいます。そこで、この判断に当たっては、「平均的な労働者の感じ方」を基準とすることが適当とされています。すなわち、同様の状況で同じ言動を受けた場合に、社会一般の労働者の多くが、就業する上で看過できない程度の支障が生じたと感じるような言動であるかどうかです。◆「部下の遅刻を注意」までパワハラになるのか?「職場におけるパワーハラスメント」とは、これら5つの要件をすべて満たすものとされます。つまり、上司から部下への、明らかに優越的な立場から発せられた命令であっても、それが業務に必要なことならば、業務上必要な指示です。もちろん言い方にもよりますが、再三の遅刻をとがめることは、「業務上必要かつ相当な範囲」だと考えられます。あるいは、まったく立場が同じ同僚同士のケンカは、どちらか一方の優越性に基づくものではないので、たとえ人格を否定するような暴言であっても、「パワハラ」ではないのです(もちろん、別の意味で対処が必要ですが)。

言うまでもなく「暴力は禁止」類型1「身体的な攻撃」ここまでお読みになった方の多くは、「言っていることはわかるが、なんだかモヤモヤする」と思われたのではないでしょうか。実際、これらの要件だけでパワハラかどうかを判断するのは、少々困難です。だからこそ、より具体的な指針として、「6つの類型」が必要となるのです。具体的には、以下の6つです。●身体的な攻撃(暴行・傷害)●精神的な攻撃(脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言)●人間関係からの切り離し(隔離・仲間外し・無視)●過大な要求(業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制・仕事の妨害)●過小な要求(業務上の合理性なく能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと)●個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)以下、それぞれについて「何がアウトか」を取り上げていきたいと思います。まずは、「身体的な攻撃(暴行・傷害)」です。●身体的な攻撃(暴行・傷害)・該当すると考えられる例①殴打、足蹴りを行うこと。②相手に物を投げつけること。・該当しないと考えられる例①誤ってぶつかること。OUT!怒りのあまり、思わず部下にペンを投げつけたこれについては、詳しく説明するまでもないでしょう。殴る、蹴るといった直接的な身体的攻撃は当然、パワハラに含まれます。「怪我をしかねないものを投げる」といった間接的な攻撃ももちろん、パワハラとなります。「小さいものならいい」という話ではなく、ペンであっても目に入ったら大怪我になりかねません。一方、ついうっかりぶつかってしまったり、誤ってものをぶつけてしまって怪我をさせ

てしまうようなケースは、パワハラにはなりません。悪気はないのにコーヒーをぶちまけてやけどをさせた、というようなケースです。念のためですが、パワハラになるのはあくまで、「優越的な関係」を背景にして行われた暴力のことを指します。では、たとえば部下から上司への暴力はどうなるのか……部下が上司に対して優越的な関係にあるという例外的なケースもあり得ますが、ほとんどの場合、パワハラとはならないでしょう。ただし、「傷害罪」として、刑法上の罪に問われることはあります。

ミスは指摘しても、人格は否定しない類型2「精神的な攻撃」類型の2つ目は「精神的な攻撃(脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言)」です。大臣指針によれば、以下のようなものが該当します。●精神的な攻撃(脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言)・該当すると考えられる例①人格を否定するような言動を行うこと。相手の性的指向・性自認に関する侮辱的な言動を行うことを含む。②業務の遂行に関する必要以上に長時間にわたる厳しい叱責を繰り返し行うこと。③他の労働者の面前における大声での威圧的な叱責を繰り返し行うこと。④相手の能力を否定し、罵倒するような内容の電子メール等を当該相手を含む複数の労働者宛てに送信すること。・該当しないと考えられる例①遅刻など社会的ルールを欠いた言動が見られ、再三注意してもそれが改善されない労働者に対して一定程度強く注意をすること。②その企業の業務の内容や性質等に照らして重大な問題行動を行った労働者に対して、一定程度強く注意をすること。OUT!「馬鹿野郎」「給料泥棒」などの、人格を否定するような発言をするパワハラで問題にされることが多いのはこのケースでしょう。実際、何が「指導」であり、何が「暴言」になるのかは、グレーゾーンが広いところでもあります。大臣指針ではまず「人格を否定するような言動」がパワハラとされています。たとえば、遅刻を繰り返す部下に対して、「これ以上の遅刻は周りにも迷惑をかけるので、二度と行わないように」とある程度厳しく注意するのは、あくまで事実と希望を伝えています。一方、「これだけ遅刻を繰り返すのは、お前が人間としてなっていないからだ」「そもそもどんな教育を受けてきたんだ」という発言は、人格否定と受け取られても仕方がありません。人格を否定する発言としては他にも、「ふざけるな」「役立たず」「給料泥棒」「死ね」といった直接的に攻撃するような発言はもちろん、「親の顔を見てみたい」「だから○○出身の人間は」なども、人格否定と取られかねない表現で、避けるべきでしょう。また、これ見よがしにため息をついたり、机を叩きつけたりといった行動も、人格否定

になる可能性があります。また、大臣指針ではあえて「相手の性的指向・性自認に関する侮辱的な言動を行うことを含む」と、いわゆるLGBTを意識した項目がつけ加えられています。「君は男なのに男が好きなのか?」「女性なのにまるで男性みたいだね」といった発言は完全にアウトです。ただし、これはLGBTだけを対象にしているわけではありません。たとえば、女性経験がないことを揶揄するなどした上司・同僚の行動が「いじめ」と認定され、損害賠償請求が命じられた事件があります(川崎市水道局〈いじめ自殺〉事件)。こうしよう!このタイプのパワハラを避けるポイントは、あくまで「事実を叱る」ことです。もし、遅刻を繰り返す部下がいたとしたら、「今月はもう5回目の遅刻だ。このままではチームのメンバーにも迷惑がかかるので、改善してほしい」という言い方に変えるのです。OUT!部下の人格を否定するようなうわさを流す大臣指針には書かれていませんが、直接本人に言うのではなく、「風説の流布」、つまり悪いうわさを流すことも、パワハラになり得ます。裁判例として「上司を中傷するビラを配布」「他の従業員の面前で横領行為の犯人扱いする」といったことが違法と認められたケースがあります。うわさというものはとかく、尾ひれがつきがちなもの。軽い気持ちで言った言葉がとんでもない悪口になって、本人に伝わってしまうこともあります。「良いうわさ」ならともかく、悪いうわさを軽々しく口にしないほうがいいでしょう。OUT!数時間にもわたり叱責を繰り返す業務について指示・指導したり叱責したりすることは、時には必要です。ただし、いくら業務遂行に関することであっても、必要以上に長時間にわたる叱責を繰り返し行うことはパワハラとなります。ミスをした部下への注意が、長時間にわたることもあるかもしれません。ですが、数時間にわたって怒鳴り続けるような怒り方は明らかに異常であり、それが繰り返されると、パワハラと認定されることになります。こうしよう!叱責がついつい長時間にわたってしまう人には、いくつかの特徴があります。一つは「感情のままに言葉を発している人」。話しているうちに怒りが増幅し、ついつい止めら

れなくなる、というタイプです。こういうタイプの人はそもそも、「叱責とは自分のストレス発散のためではない」ということを再認識すべきです。肝心なのはあくまで、相手の行動を改善してもらうこと。「怒ること」と「叱ること」は違うのです。もう一つは、「叱る内容が整理できていない人」。何度も同じことを繰り返したりしがちなのがこのタイプです。事前に「相手の何が問題なのか」を整理したうえで、話すようにしましょう。OUT!チームメンバー全員の前で一人の社員を怒鳴りつけるそもそも、大声での威圧的な叱責自体がパワハラになる可能性が高いのですが、それを大勢の人の前で行うことは、相手の心にさらに大きなダメージを与えかねません。しかも、それが何度も繰り返し行われるようだと、完全に「アウト」です。部下指導の鉄則としてよく言われる「誉めるときは大勢の前で、叱るときは別室で」が、パワハラ対策でも重要だということです。こうしよう!そもそもこうした行為を繰り返すタイプは、叱責の目的を「相手にダメージを与えること」だと勘違いしている傾向があります。本来の目的は「相手の行動を変えてもらうこと」であり、必要以上に相手にダメージを与えることは不要どころか、百害あって一利なしです。発言する前に一呼吸置き、周りを見渡す。こうした余裕を持ってほしいところです。OUT!特定の社員を罵倒するメールを多数の人に送るパワハラの要件は言ったことだけでなく、書いたことに対しても適用されます。相手の能力を否定したり罵倒したりするメールやメモ、メッセージを送ることも、パワハラと認定される可能性があるのです。最近はデジタルコミュニケーションの発達で、直接の発言ではなく、メールなど文章によるパワハラも増えているようです。LINEなどのSNSやメッセージアプリがパワハラの舞台となることもあるでしょう。この例は「他の社員の前で大声で叱りつける」ことをメールで行う、ということとほぼ同義と考えられるでしょう。これは前述した保険会社の例がまさに当てはまります。「会社を辞めるべき」などというメールを、本人だけでなく部署のメンバーにも送ったというケースです。こうしよう!

感情に任せてメールを打つと、ろくなことがありません。センシティブな内容であればあるほど、一度書いたメールを読み返すことが必要です。場合によっては一晩寝かせたうえで送ることも考慮すべきでしょう。さらに、文章によるパワハラは、証拠が残りやすいという特徴があります。それだけに上司は注意しなくてはなりませんし、被害者側としてはパワハラへの対応策として、そうしたメールやメッセージを証拠として保管しておくことが重要です。

「仲間外し」がパワハラになる!?類型3「人間関係からの切り離し」パワハラは暴言や威嚇などによるものだと一般的には考えられがちですが、逆に「何も言わないこと」「何もしないこと」によるパワハラもあります。それが、3つ目の類型「人間関係からの切り離し」です。ここで挙げられているのは隔離や無視、仲間外しなど、まるで子供のケンカですが、こうしたことが会社内でも行われていることは、厳然たる事実です。●人間関係からの切り離し(隔離・仲間外し・無視)・該当すると考えられる例①自身の意に沿わない労働者に対して、仕事を外し、長期間にわたり、別室に隔離したり、自宅研修させたりすること。②一人の労働者に対して同僚が集団で無視をし、職場で孤立させること。・該当しないと考えられる例①新規に採用した労働者を育成するために短期間集中的に別室で研修等の教育を実施すること。②懲戒規定に基づき処分を受けた労働者に対し、通常の業務に復帰させるために、その前に、一時的に別室で必要な研修を受けさせること。OUT!自分の思いどおりにならない社員を仕事から外し、別室に隔離「仕事をやらせるとミスばかり。とてもじゃないが現場に出せない」ということで、ずっと別室に閉じ込めて何もやらせない。これはNGです。ただ、そのミスが商品に関する知識不足によるもので、まずは別室で商品について勉強させる、というのであれば、教育だと認められるでしょう。ただし指針にあるように、あくまで「短期間集中的に」行うものに限られます。かつて「追い出し部屋」「リストラ部屋」というものが問題視されたことがあります。リストラ候補になった社員をある部屋に閉じ込め、そのまま仕事をさせるわけでもなく、ただひたすら待機させる。トイレに行くことすら許可を取らなくてはならない。それに耐え切れなくなった社員が自主的に退職するように仕向けるというものです。バブル崩壊後に企業の業績が急速に悪化した時期に、これらの問題が表面化しました。当時は、パワハラという言葉はあまり知られていませんでしたが、これは明らかに「パワハラ」です。

OUT!チーム全員で一人の社員を無視なんとも幼稚な話ですが、こうしたケースは少なくありません。また、いくらその社員の態度に問題があったとしても、チーム全員で一人の人を無視するといったことはパワハラになり得ます。こうしよう!チームの足並みを乱す人は、どんな組織にもいるものです。だからといってその人を隔離したり無視したりすればいいかというと、それはあまりに短絡的な発想です。その人が「足並みを乱す」のはなぜでしょうか。もし、仕事のレベルが十分でないのなら、まずは教育を行うべき。態度の問題なら、足並みをそろえることの重要性を説いたうえで、それでも従わないのなら、会社の手続きに従って懲戒処分なども検討する。無視や隔離は、問題の先送りにすぎないのです。また、組織というのは怖いもので、無視や隔離を行っている当事者たちはまったく悪いと思っていない場合があります。他部門でそうした事例が発生していたら、積極的に指摘するべきです。人事部門の人が目を光らせるなどの「外の目」も必要かもしれません。

高すぎる目標はパワハラになるか?類型4「過大な要求」類型の4つ目が、「過大な要求」です。具体的には、業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害など。不要なことや妨害が「過大な要求」というのはちょっとわかりにくいところですが、「適切ではない仕事」くらいに考えればいいでしょう。●過大な要求(業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制・仕事の妨害)・該当すると考えられる例①長期間にわたる、肉体的苦痛を伴う過酷な環境下での勤務に直接関係のない作業を命ずること。②新卒採用者に対し、必要な教育を行わないまま到底対応できないレベルの業績目標を課し、達成できなかったことに対し厳しく叱責すること。③労働者に業務とは関係のない私的な雑用の処理を強制的に行わせること。・該当しないと考えられる例①労働者を育成するために現状よりも少し高いレベルの業務を任せること。②業務の繁忙期に、業務上の必要性から、当該業務の担当者に通常時よりも一定程度多い業務の処理を任せること。OUT!明らかに不要な業務を長期間行わせる一番苦痛な刑罰は「穴を掘り、それを埋めることを毎日繰り返す」ことだという話があります。人間にとって無意味なことは、大きなストレスになるということでしょう。だからこそ、「業務上明らかに不要なこと」の強制がパワハラとされるのです。指針にある「長期間にわたる、肉体的苦痛を伴う過酷な環境下での勤務に直接関係のない作業を命ずること」とはちょっとわかりにくい日本語ですが、たとえば掃除などの雑務ばかりをやらせたり、仕事に直接関係のない資料整理をひたすら指示する、といったことなどが該当すると考えられます。ちなみに裁判例では、車体の接触事故を起こしたバスの運転手に対して、それを理由に1カ月間にわたってバスに乗車させず、炎天下での除草作業などをさせた例が違法とされています。この事例では、除草作業自体はこれまでも手の空いている運転手が行うものとされていたため違法ではないが、期限を示さずに炎天下で作業を命じたことが違法とされました。

もちろん、仕事の効率を高めるため、時に仕事の手を止めてオフィスの片づけを命じることはあってもいいでしょう。でも、そればかりをいつまでもやらせるとパワハラになる可能性がありますよ、ということです。OUT!上司の私的な雑用を強制的にやらせる「タバコを買ってきて」は明らかにアウト。自分の弁当を買うためにコンビニに行く部下に「俺の分も買ってきて」と頼むのもグレーゾーンです。しかし、「何か買ってきましょうか?」という部下に、お金を渡してついでに頼む、くらいなら問題ないでしょう。かつての日本企業では、上司の引っ越しや大掃除に部下総出で手伝いに行く……などという話がしばしば聞かれましたが、それを今、強制したら明らかにパワハラになるわけです。もちろん、自主的になら問題ないのですが……事実上、それが強制になっていることは多いものです。上司が指示・命令できるのはあくまで業務上のことだけです。それを忘れ、いつの間にか部下のことを「なんでも頼める人」だと思い込んでいないでしょうか。その姿勢がパワハラにつながるのです。OUT!どう考えても達成不可能な目標を強制する「遂行不可能なことの強制」もパワハラになります。たとえば、新人研修と称し、新入社員にろくにやり方も教えずに「飛び込みで注文取ってこい!」と命じる。商品にもよりますが、多くの場合は明らかにパワハラとなるでしょう。かつてはこうした「ふるい落とし」が実際に行われていた業界もあったようですが、今ではこんなことをしたら社員はすぐに辞め、悪評が広まって誰も集まらなくなるでしょう。新人でなくても、あまりに大きすぎる売上目標を課すことはパワハラと判定される可能性があると考えられます。裁判例では、1年以上にわたって他の従業員より高いノルマを課し、達成できないことに対して人前で叱責したことが違法とされたケースがあります。ただし、俗に「ストレッチゴール」などと言われますが、今より少しだけ高い目標を設定してその部下の成長を促す、ということは認められています。もちろん、どのくらいが「少し高い目標」なのかは難しいところで、ケースバイケースとしか言いようがないでしょう。OUT!目標未達の罰ゲームとして男性社員に女装させて撮影

「業務上明らかに不要なこと」には、いわゆる「悪ふざけ」も含まれると考えられます。裁判例として、販売目標数を達成できなかった美容部員が、意に反して「罰ゲーム」としてコスチュームを着せられ、その様子を別の研修でスライド投影したことが違法とされたケースもあります。ひょっとすると仲間内では「単なる遊び」だと思っているようなことが、実は誰かに精神的な苦痛を与えているということは十二分にあり得ます。こうしよう!ここに挙げたどのケースにおいても、大事なのは部下の「納得感」ではないでしょうか。たとえば目標設定においては、「こういう理由で君は前年120%の売上を達成できると思う。だからやってほしい」「商品の大ヒットで倉庫がパンクしそうで、せっかくのチャンスを逃しかねない。すまないがしばらく残業してほしい」などと理由を明示したうえでお願いし、もし、相手が納得できないのなら、その思いもくみ取りつつ話を進める。こうした姿勢を見せれば、少なくともいきなり「パワハラだ!」と言われるようなことはないはずです。一見、不要と思われる業務を頼まざるを得ない場合も、「倉庫がめちゃくちゃになっていることで、明らかに業務に支障が出てしまっている。申し訳ないが今週だけは、社員全員で整理作業をしてほしい」などと理由と期限を示せば、相手の納得感も高まることでしょう。一方、部下の側も、どうしても納得できない指示や目標設定に対しては、その「意図」を問うべきでしょう。それで納得できればいいですし、明らかに仕事と関係がない、あるいは過大だというのなら、それは「パワハラになる」のです。

「仕事を干される」こともパワハラに類型5「過小な要求」業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた「程度の低い仕事」をやらせたり、あるいはまったく仕事を与えないこともパワハラになり得ます。「仕事が楽になるのに、パワハラになるの?」と思う人もいるかもしれません。ただ、仕事とはお金を稼ぐ場であるとともに、自分の能力を発揮する場でもあります。たまにならともかく、毎日のように簡単な仕事ばかり与えられると、それは大きなストレスになるのです。ここで問題になるのは、明らかに相手に苦痛を与えるために「過小な仕事」を命じること。いわゆる「干す」という言葉で表されるような状況です。●過小な要求(業務上の合理性なく能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと)・該当すると考えられる例①管理職である労働者を退職させるため、誰でも遂行可能な業務を行わせること。②気にいらない労働者に対して嫌がらせのために仕事を与えないこと。・該当しないと考えられる例①労働者の能力に応じて、一定程度業務内容や業務量を軽減すること。OUT!「働かない管理職」を辞めさせるため、わざと仕事を与えないたとえば、営業管理職として活躍していた社員に、いきなり「かかってきた電話を取り次ぐだけの仕事をしてください」というのは、この「過小な要求」になる可能性が高いでしょう。裁判例として、管理職(課長)を退職させるために、受付窓口業務に配置転換したのが違法とされたケースがあります。年功序列型の日本企業では、増えすぎた管理職の扱いは頭の悩ませどころです。できれば「働かない管理職」にはさっさと辞めてほしい……そんな会社の中には、あえて管理職にどうでもいいような仕事を与え、会社を辞めるよう暗に仕向けるケースがあるようです。経験も実績もあるはずの管理職が、普段はアルバイトの人がやっているような単純業務ばかりをやらされたら、確かに苦痛でしょう。ただし、これが業務上の必要に応じたものならば仕方がないとされる場合もあります。たとえば、国際部門ひとすじでやってきた社員に、一時的な円高でしばらく事業を縮小す

るしかなくなり、その間、国内業務に携わってもらう、といったケースです。OUT!「仕事ができない社員」から仕事を取り上げ、何もさせないもっとストレスになるのは、「何も仕事がないこと」かもしれません。「人間関係からの切り離し」にあったような隔離や無視はなくても、「仕事を与えない」ということそのものがパワハラになる可能性があります。たとえば、気に入らない社員やミスを繰り返す社員に、嫌がらせや懲罰として仕事を与えないことは、パワハラになり得ます。上司としては気を使ったつもりであえて仕事を減らしたり、なくしたりしたことが「パワハラ」と受け取られる可能性もあるので、注意が必要です。ただし、もしその部下がまだ経験や能力が不十分で、しばらくは仕事に慣れる必要があるということなら、「仕事を軽減する」ことは許されます。また、病気や怪我、体調不良などで一時的に仕事量を減らすことも認められます。本来、仕事の目標はその人の能力や経験に応じて与えるべきですから、これは当然のことです。こうしよう!人手不足の昨今、部下に対して「大した仕事を与えない」「働かせない」という選択肢は、誰にとっても不幸になるだけです。もし、部下の能力が足りないために活躍できないのなら、上司はそのための教育を行えばいいのです。また、「適材適所」という言葉もあるように、ある仕事を任せたら別人のように能力を発揮したという例は枚挙にいとまがありません。長年、営業しかやってこなかった社員が、そのコミュニケーション力を生かして人事や総務の仕事に就いたり、研究部門の第一線で働いてきた人が、専門知識を持つ営業として活躍するなどといったケースです。パナソニック創業者である松下幸之助は、人間はみな「ダイヤモンドの原石」であり、磨き方次第でいくらでも輝かせることが可能だと言っています。人をあきらめずに、「どう輝いてもらうか」を探っていくことこそが、本来あるべき姿ではないでしょうか。

プライベートには踏み込まない類型6「個の侵害」個人のプライバシー意識は、ここ数十年で最も大きく高まってきたものの一つかもしれません。かつて、同じ会社の人同士は同僚の家族構成や家の場所まで把握していたものですし、家族ぐるみのつき合いをすることも少なくありませんでした。もちろん、それを望んでいるならいいのですが、中には望まぬつき合いに神経をすり減らした人もいたことでしょう。今回の指針で、労働者が望まないのにプライベートに過度に踏み込むような言動はパワハラになることが明確化されました。●個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)・該当すると考えられる例①労働者を職場外でも継続的に監視したり、私物の写真撮影をしたりすること。②労働者の性的指向・性自認や病歴、不妊治療等の機微な個人情報について、当該労働者の了解を得ずに他の労働者に暴露すること。・該当しないと考えられる例①労働者への配慮を目的として、労働者の家族の状況等についてヒアリングを行うこと。②労働者の了解を得て、当該労働者の性的指向・性自認や病歴、不妊治療等の機微な個人情報について、必要な範囲で人事労務部門の担当者に伝達し、配慮を促すこと。OUT!ロッカーを開けて、中のものを勝手に撮影大臣指針では、過度な立ち入りの例として、「労働者を職場外でも継続的に監視したり、私物の写真撮影をしたりすること」を挙げています。こうなるともう、パワハラというよりストーカー行為のような気もします。これは、特定の政党の党員であることを理由とし、職場内外で継続的に監視したり、他の従業員に接触しないよう働きかけたり、ロッカー等を無断で開けて私物の写真撮影をしたことなどが違法とされた裁判例があることを受けてのものでしょう。OUT!「あいつ、ゲイらしいよ」と勝手に暴露するまた、性的指向・性自認や病歴、不妊治療といったデリケートな個人情報について、その労働者の了解を得ずに他の労働者に暴露することもパワハラとなります。アウトの例と

して挙げたLGBTに関することはもちろんですが、「結婚まだなの?」「子供はいつできるの?」といった、かつての上司が当たり前にかけていたような言葉も、パワハラになりかねないことを示しています(これは後述する「セクハラ」に該当する話でもあります)。こうなると逆に「個人的なことは何も聞いちゃいけないんじゃないか」と、疑心暗鬼になってしまうかもしれません。ただし、「労働者への配慮を目的とする」ならば、家族について聞くことも許されています。実際、住んでいる場所や家族の状況といった情報は、その人にどんな働き方をしてもらうかに影響を与えます。また、当人の了解があり、必要な範囲内であれば、性的指向などについての情報の伝達も可能です。たとえば、トランスジェンダーの人が男性と女性に分かれている更衣室を使う場合、どうするか……といったことは、会社としての対応が必要です。当人の了解のもと、人事部などと情報を共有することは、パワハラとはなりません。こうしよう!プライベートに「過度に立ち入る」の解釈がなかなか難しいところではあります。指針が例として挙げたようなケースは犯罪スレスレのものが多く、たとえば「休日に自宅に遊びに来るよう上司にしつこく誘われた」「結婚相手を紹介すると言われて断れない」、あるいは、「SNSでプライベートなことに頻繁に口を出してくる」といったケースはどうなるのか、迷う方も多いでしょう。あいまいな言い方になりますが、結局は「当人がどう思うか」でしょう。たとえば「今すぐ結婚したいです!」と普段から公言しているような社員に対してなら、結婚の話題を振っても構わないでしょうし、本人が望むならば相手を紹介することも問題ないはずです。一方で、週末にどこに行ってきたかという話すら、したがらない社員もいます。そういう人に、「今度の休日どこ行くの?」などと無理やり聞き出そうとしてはいけません。ちなみに年次有給休暇を取る際、社員は会社にその理由を伝える義務はありません。大臣指針ではあくまで「過度」に私的なことに立ち入ることを禁じているだけで、私的なことをまったく話してはいけない、とは言っていません。そしてその線引きは、人によって違います。「一人ひとりに合わせ、話していいことを話し、話すべきでないことを話さない」。別に会社内に限ったことではありません。少々はっきりしない結論かもしれませんが、そんなコミュニケーションの常識を守ることが大事だということです。以上が「パワハラの6類型」です。もちろん、これらを意識することは重要ですが、それによって必要な指示や命令までで

きなくなってしまっては、本末転倒です。そもそも、会社には経営権があります。この権利に基づき、上司は部下に対して業務上の指揮命令や指導、監督などを行う権限が与えられています。あくまで必要かつ相当な範囲内であれば、この権限を使用する分には何の問題もありません。これはパワハラ防止法施行前も、施行後も、何ら変わることはありません。パワハラの定義を知ることで、上司の方々は自信を持って自らの権限を正しく行使し、職務をまっとうしていただきたいと思います。

column増え続ける「ソーシャルメディアハラスメント」「私的なことへの過度な立ち入り」がパワハラになる昨今、問題視されているのが「ソーシャルメディアハラスメント」です。主にプライベートで使用しているツイッターやフェイスブック、インスタグラムなどのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)に、会社の上司などが絡んでくることで精神的な圧迫を与える、といったもので、・プライベートな話題にしょっちゅう口出ししてくる・上司が投稿した写真や記事に「いいね」を強要するなどがあります。特に、フェイスブックのように実名での登録が基本のSNSは、会社の人から見つけられやすい、という特徴があります。上司から友達申請され、断るのはなかなか勇気のいることです。たとえコメントをしてこなくても、上司とつながったことにより、常にプライベートを監視されているような気分になるのも致し方ないことでしょう。あなたが立場が上の人だとしたら、自分からSNSで部下とのつながりを求めるのは避けたほうがいいでしょう。仮にすでにつながっているとしても、SNS上で過剰に接触したり、SNS上の話題を会社で持ち出したり、ということも避けるべきです。一方、部下の立場にある人は、情報の公開範囲を制限したり、誰でも見られる状態にするならばそのリスクを考えながらSNSを使うべきです。昨今は人事担当者が就職希望者のSNSをチェックするような時代です。会社や上司はもちろん、取引先の人もSNSを見ている可能性があると考えて、発信をすべきでしょう。また、昨今はLINEなどのメッセージアプリを仕事で使用するところも増えていますが、休日や深夜に仕事の連絡をこうしたメッセージアプリに入れることも、ソーシャルメディアハラスメントと呼ばれることがあります。どちらも、「公私の境目が見えにくくなった」ことによるハラスメントだと言えるでしょう。

これってパワハラ?Q8あまりに営業成績が悪いA君。たまりかねたB部長は「外に出なくていいから、まずは商品パンフレットを熟読するように」と指示。でも、A君にはこれが屈辱に感じられたらしく「パワハラではないか」と……。

Aこれはパワハラにならない可能性のほうが高いでしょう。冒頭のクイズで「仕事ができない社員を別室にて待機させる」という例をパワハラとして挙げました(Q2)。しかし、この例はあくまでも「戦力になってもらうための教育として」「期間を限定して」社内にいることを求めているからです。ただし、教育という名目で期限も決めず、ただパンフレットを読むだけ……となると、パワハラと判断されても仕方がないと言えるでしょう。

これってパワハラ?Q9弊社では、お客様へのお茶出しは女性と決まっています。だって、お客様だって男性より女性にお茶を出してもらったほうがうれしいでしょ?

Aこれはパワハラというより、セクハラになる可能性があります。男女雇用機会均等法では、「男女の差別的な取り扱い」を禁じています。つまり、「女性だけ〇〇をやらせる」ということがセクハラになり得るのです。そしてこれは、「男性だけ〇〇をやらせる」ことも禁じられているということを表します。

 

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