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PART 2「報告」で上司と部下がわかりあえる

PART 2「報告」で上司と部下がわかりあえる 00「報告」とはどんなものか? ◆報告は会社ピラミッドの中のタテ方向のコミュニケーション 報連相の本質が「情報の共有化」であることは説明しました。では、その目的を達成するために、報告・連絡・相談のそれぞれは、一体どんな役割を担っているのでしょうか? それをこれから、1つずつ説明していきます。 その前に、まず会社の組織を次のようなピラミッドの図で理解してください。私なりの報連相の説明をするのに、この概念図を頭に入れておいてもらう必要があるからです。 三角形の下側は人数が多い一般の社員で、上部の頂点の近くは、社長をはじめとする少数の経営陣を表します。中間は管理職です。組織を表現するためによく使われる方法ですから、理解するのは難しくないですよね? さて、このピラミッド図に表現された会社という組織の中で、上は社長から下は多くの一般社員に至るまで、タテ方向の「情報の共有化」を行うのが、「報告」の役割です。どういうことか、これから説明します。 ◆指示と報告がセットになっている 実際の職場では、上から下へと向かう情報は、最初は「指示」という形でピラミッドの中を「下りて」きます。経営陣から各部署の部長へ、部長から各チームの係長へ、係長から一般の社員へという「指示」の流れです。こうして上から下りてきた指示に基づいて、会社というチーム全体が動くのです。 でも、上から下への指示だけでは、ピラミッドの上の方にいる経営陣や管理職の人たちには、現場の情報がまったく入りません。情報がなければ、新しい指示を出すことはできませんね。 そこで、下から上へと向かう情報の流れ、つまり「報告」が必要となります。 報告は、基本的に指示とセットになっています。上から下りてきた指示によってやるべき仕事を指定されたら、その仕事を精いっぱい実行し、実行した結果がどんなものであれ、その結果を下から上に報告する。 この、指示と報告のサイクルが、仕事を行ううえでの最小の単位となっているのです。報告の一番の役割は、このサイクルを回転させ続けることです。

◆指示と報告によって、上下に情報が共有される タテ方向に重ねられたこのサイクルを通じて、一般社員から係長へ、係長から部長へ、部長から経営陣へと、今度は報告によって、ピラミッドの中を情報が「上がって」いきます。 報告によって上へ上へと運ばれた情報は、経営陣や各部署トップの判断材料となり、再び新たな指示となって、上から下へと戻っていきます。こうして、上下に情報の循環が行われることによって、会社のピラミッドの中での、タテ方向の「情報の共有化」が実現されるのです。 ◆報告の分類は5つ 報告が果たす役割はわかりました。では、その役割を果たすために具体的にどうしたらよいのか、また特に注意すべき点はどこか、これから見ていきましょう。 報告を状況によって分類してみると、大きく次の5つに分けられます。 ①指示の受命、 ②結果の報告、 ③問題の報告、 ④中間報告、 ⑤気づきの報告の5つです。 ①指示の受命は、報告のスタート地点である上司からの指示を受ける場面です。ここがしっかりできていないと、正しい報告を行うことは不可能です。 ②結果の報告は、指示を受けた仕事を完了させてその結果を報告する、報告の基本となる場面です。いろいろなシチュエーションが考えられます。 ③問題の報告は、仕事の途中で失敗をしてしまったり、何らかの問題が起きたときの報告です。 ④中間報告は、長期間にわたる仕事や状況が変化してきた仕事で、要所要所で行わなければならない報告です。 最後の ⑤気づきの報告は、少しレベルアップした報告で、提案型の報告になります。 順番に説明していきますから、難易度の低いところから取り入れ、実際のビジネスに役立ててください。

01 上司からの指示を、間違えずに受け取ることが第一歩! ◆報告のよし悪しが決まる指示の受け方とは? 前述したように、報告は職場でのタテ方向のコミュニケーションを担っています。上から下りてきた仕事の「指示」と対になる形で、下から上へと情報を流します。 このとき、上司から指示を受けることを「受命」と言います。 この受命の仕方、つまり仕事の指示の受け方が、その後の報告がうまくいくかどうかの鍵を握っています。そもそも、上司からの指示の内容を上手に受け取ることができなければ、仕事自体の段取りや進め方まで大きく影響されてしまいますから、その後の報告がうまくいかなくなるのも当然ですね。 ◆指示の内容を正しく共有するためのコツ 具体的には、どのように受命するのがよいのでしょうか? まずは上司からの指示の内容を、聞き間違いや意味の取り違いをすることなく、正確に受命することを心がけます。これが、正しい報告への第一歩です。 常にメモを取ることの大切さは前述した通りですが( → Part 1の 03参照)、指示を受命する際にもメモは必須です。上司のところに呼ばれた段階で、必ずペンとメモ帳を持っていくように習慣づけて、いつ指示を与えられても大丈夫なようにします。 その際には、数字や人名、会社名など、重要な部分の聞き間違いに注意します。特に聞き間違いをしやすい箇所では、復唱して確認するようにします。 5 W 1 H( → Part 1の 04参照)も意識しましょう。 受命では、指示の内容を忘れてしまったり、聞き間違いをしてしまったりといった単純なミスでも、その後の仕事の結果に大きな影響が出てきます。 上司によってはしっかりと説明してくれない人もいますから、曖昧な内容の指示にならないように、指示を受ける立場のあなたの方で、欠けている情報を聞き出す意識を持つ必要もあります。

02 指示の裏には「目的」が隠れている ◆指示を受けるときは真剣勝負! 5 W 1 Hの内容を聞き出すことができたら、その仕事が何のために指示されたのか、指示の目的まで確認しておくことができれば、よりよい報告につなげることができます。 たとえば、上司から、職場で使われている備品をリストアップするように指示を受けたケースで考えてみましょう。指示の際には、そのリストの使用目的の説明は特にありませんでした。 こんなとき、何も考えずに、ただズラズラと職場の備品をリストアップし、結果を報告するだけでは、上司が満足する可能性はあまりありません。 指示を受ける段階で、「これは何のためのデータですか?」などとこちらから確認をして、たとえば「コストダウンのために使うデータだよ」ということであれば、その目的に合わせて価格や納入元も調べたり、同じ種類のものをグループ分けするなどしたデータを報告できます。 このように、上司に喜ばれる気の利いた報告を行うためには、指示の裏側に隠れている「目的」、つまり〈上司が本当にしてほしいこと〉を確認しながら受命し、その目的に合わせた形で仕事を進めて、報告につなげていくことです。 ただ漫然と上司の指示に頷いているだけではなく、できるだけ指示の目的まで共有するように努め、目的がわからない場合には自分から聞く姿勢を持つこと。 これが、しっかりとした受命を行うための心得です。 03 早め早めの「結果の報告」が、仕事の流れをスムーズにする ◆結果の報告が1つの仕事を終わらせる 指示を正しく受けたら、指示された仕事を実行してその結果を報告します。これで、1つの仕事が終わります。 逆に言えば、結果の報告がなければ、その仕事はまだ終わっていません。たとえ、あなた自身はその作業をとっくに終えて次の仕事に取りかかっていたとしても、上司の側からはそれはわからないのです。「結果の報告」が、1つの仕事の終了を区切る。まずは、それをしっかりと自覚しましょう。 ◆報告は、期日よりも少し早めがちょうどいい 仕事が終了したことを示す「結果の報告」ですから、手元の仕事が終了したら、すぐに上司に報告することが求められます。最初に指示を与えられたときに、いつまでに終了させるようにという期日を確認しているはずですから、少なくともその期日までには報告しなければなりません。 期日をすぎても仕事が終わらなかったり、とっくに終わっているのに報告をしていなかったりして、上司から「あれ、どうなった?」と催促されてしまうのは、「報告が遅い」と言われているのと同じなのだと心得ておいた方がよいでしょう。上司にそう言わせてしまうのは、社会人として失格です。 もし、思ったよりも早く仕事が終わった場合には、仕事が終了した段階ですぐに結果を報告します。期日までの余裕期間でさぼるのは論外ですが、次の仕事へと勝手に進んでしまうのも間違いです。 上司が指示する期日というのは、最悪でもそれまでには終わらせてほしいという時間のことです。上司の側から言えば、できればそれよりも早く仕事を終了してくれれば大歓迎です。 だから、報告をする際には、常に期日よりも少し早めのタイミングを心がけるぐらいでちょうどいいのです。そうすれば、上司は次の指示ができ、仕事がよりスムーズに流れていきます。 また、早めの報告を心がけていると、急な状況の変化にも対応しやすくなります。クライアントから時間の変更を指示されて、翌日の納期が急に 30分後になるなんて話は、ビジネスの現場ではごく普通に起こることです。常に早めの報告を心がけていれば、こういう状況にも素早く対応することができます。 逆に、毎回期日ギリギリに結果の報告をしているようでは、赤点ギリギリでテストをパスし続けているようなものです。上司の印象がよいはずがありません。

◆間に合わなければ、間に合わせるための報告を ほかの雑務に追われたり、仕事自体が意外に手間がかかったりして、期日までに仕事を終了させられない場合はどうしたらいいでしょうか? そういう場合には、期日まで待つ必要はありません。期日に遅れそうなことがわかった時点で、期日までにできないことを報告します。 期日になって「できませんでした」と報告するのでは、上司はもはや何の対応もできません。社会人にとっての期日は、絶対に守らなければならないものですから、これでは大目玉を喰らうことは目に見えています。 指示された仕事を期日までに終わらせるのが難しいと感じた段階で、早めにその旨を報告することです。 そうすれば、上司が状況を理解して、期日に間に合わせるためにヘルプをつけたり、チーム全体で取り組むなど、何らかの対応策をとる時間の余裕が生まれるのです。 04 大事な報告は上司の時間を奪ってでも行う ◆報告ができなくて、怒られるのはあなた! 報告は早めにとは言っても、上司の都合を無視して報告はできません。多忙な上司には、報告しようと思っても「ごめん、今は無理! あとにして」と断られたり、そもそも外出ばかりでほとんど席にいないという上司もいます。 しかし、こういう上司の場合、上司の都合にばかり配慮していると、重要な報告も行うことができません。報告がしっかりできず、怒られるのは誰でしょうか? 上司ではありませんよ。もちろん、あなたです。 上司の都合で報告ができなかったとしても、その責任を問われるのはあなたです。なぜなら、結果の報告は、上司ではなく部下がしなければならない仕事だからです。 どんなに忙しい上司が相手であっても、どうにかして報告をする機会を作らなければなりません。そのための作戦を、3つ紹介しましょう。 ◆スキマ時間利用作戦 基本的な作戦として、報告相手である上司のスケジュールを把握しておき、仕事と仕事の合間のスキマ時間を見つけて、そのタイミングを逃さず報告を行う方法があります。 会社によっては、上司のスケジュールを共有ソフトを通して各自が確認できるシステムになっています。こうしたシステムがあれば、細かく上司のスケジュールを把握することができますから、上司の手が空いた時間を狙って報告を行えばよいでしょう。 こういうシステムがない場合は、上司の行動を自分の目で確認して、手が空いた瞬間を狙います。上司が視界の中に入っている職場であれば、ほとんどの場合はこれで対応できるはずです。

まとまったスキマ時間がないほど多忙な上司であれば、それこそ瞬間的なスキマ時間を狙う必要があります。 外出やお手洗いに向かう際や、戻ってきた直後、電話を切った直後などは、次の仕事に取りかかる前に一瞬のスキマ時間が必ずできます。その瞬間を見逃さずに、報告をしてしまおうという作戦です。 もちろん、昼休みや就業直後、帰宅する直前などの時間も活用できるでしょう。 この作戦の場合、第一声が重要になります。上司はすぐにでも次の仕事に移りたいと思っていますので、ダラダラと話していては「あとにしてくれ」と言われてしまいます。「部長、 ○ ○の件の報告です。 1分よろしいですか?」といった感じで、要件の内容と大まかな所要時間をひと言目から告げるようにすると、時間を取ってもらいやすくなります。 ◆報告強行作戦 スキマ時間を狙おうにもまったくタイミングの合わないときもあります。そんなときは、強引に報告を行ってしまう作戦が必要になります。 報告を強行する作戦では、上司が電話中のときが狙い目です。先程も述べたように、電話のあとにはどうしても一瞬のスキマ時間ができるからです。 たとえば、上司が電話をしていたら、上司のデスクの斜め前に立って、そのまま電話が終わるのを待つのはどうでしょうか? ちょっと気まずいですが、ほとんどの場合、電話が終わったあとに「どうした?」と声をかけてもらえます。 また、 5 W 1 Hで報告内容をまとめたメモをつくり、末尾に「以上、ご多忙のようですのでメモの報告で失礼します。必要でしたら呼んでください」と書いて、電話中の上司に強引に手渡す方法もあります。この方法は、上司が外出してばかりでつかまらない場合も使えますね。その場合には、机の目立つ場所に置いておきます。必要なら上司があなたを呼びつけますので、オススメの方法です。 同じことは、メモではなくメールで行うこともできます。どちらにしろ、上司が多忙なため書面(メール)で報告することをわびる一文と、必要なら呼び出してくれるようお願いする一文を入れるようにして下さい。

◆報告タイミング共有作戦 外出の多い上司の場合は、外出先から上司がかけてきた連絡の電話など、数少ない報告の機会を職場のみんなで共有してしまいましょう。 まずは電話を受けた人が、上司が電話を切る前に「課長、 ○ ○の件の報告があるのでもう 1分よろしいですか?」と引き延ばします。報告し終わったら、「あ、ほかの方も報告があるようですので、もう少しお待ちください」などと言って、職場の全員に「課長からの電話ですが、報告ある方はいませんか?」と声をかけ、必要な人に回すのです。 ◆報告するのに遠慮は無用 前述したように、どんな作戦をとるにせよ、忙しい上司に何とかして報告を行うのは、部下の仕事です。 上司の仕事は指示することで、部下の仕事は報告することです。たとえ上司の事情で報告ができなかったとしても、それは、あなたの仕事が失敗したということなのだと、しっかり心得ておきましょう。 次の失敗談を見てください。 ×悪い例 今か、今か、とタイミングを見極めて、ちらちらと上司を横目に見ながら、腰を椅子から浮かせては「もう少しあとの方が上司の都合がよいのではないか」などと思い直し、何度か座り直したりしていると、気づいていた上司から「何か用か?」と不機嫌に言われてしまいました。 報告するために上司の時間を奪うのも仕事なのですから、必要以上に遠慮することなく、どんどんと攻撃するような気持ちで報告を行いましょう。何度も言いますが、報告ができなくて叱られるのはあなたなのですよ! 05 上司のパターンを知ってソツなく報告をすませよう ◆上司のパターンは先輩社員に聞け! 強引にでも報告を行うことが仕事の一部だと前述しましたが、現実的な問題として、上司のムードを見極めることも必要です。 機嫌がいいときに報告したら「はい、わかりました」ですむところが、機嫌が悪いタイミングに当たってしまうと、同じ報告内容なのに「そんな報告に何か意味があるのかっ!? だいたい君は、いつも報告の仕方がなってないんだ。そもそも……」と、いきなりお説教されたうえに、無理難題を言いつけられるといったことは、不条理ではあるのですが、現実としてよくある話です。 そうした上司は、日頃から気をつけて観察していると、贔屓の野球チームが負けた次の日は機嫌が悪くなるとか、天気の悪い日は機嫌が悪くなるとか、何らかのパターンがあることが多いようです。私の知っていたある人は、糖尿気味のために、血圧の関係で午前中は機嫌が悪く、午後になると機嫌がよくなっていました。 職場の上司についてのその辺りの事情は、先輩社員がよく知っているはずですから、あらかじめ聞いておくことをお勧めします。 上司のムードに左右されすぎるのは厳禁ですが、そうしたパターンに合わせて、機嫌のよいときを狙って報告を行うことも、実際問題としては必要になるかもしれません。

06 結論を先に伝え、事実と意見を明確に分ける ◆「結論先出法」が基本 報告を行うときには、タイミングだけでなく、どのように伝えるか、どのように話すかも大切です。「結果の報告」では、結論、つまりは仕事の結果をまず簡潔に述べたうえで、その理由や経過をあとから説明していくのが基本です。 これを「結論先出法」と言い、報告する際のスタイルとしては最も一般的なものです。結果の報告だけでなく、あらゆる報告はこのスタイルで行うことが求められます。報告に限らず、報連相のすべてに共通する情報伝達のスタイルと言ってもよいかもしれません。 職場では、誰もが時間に追われています。大きな責任を背負っている上司は、特にそうです。だから、ダラダラと長い説明を聞いている時間は誰にもありません。 最初に結論(仕事の結果)を報告するようにすれば、話の内容が何についてのものであるのか、聞き手である上司はすぐにわかります。その後の詳しい説明を聞くべきか、省いてよいかもすぐに判断できますので、非常にスピード感のある報告になるのです。 ◆上司を混乱させる報告をしない 報告をする際の伝え方・話し方で、もう1つ注意しなければならないのは、実際に起こっている(起こった)事実と、自分の考えや意見や印象などの部分は、きちんと分けて伝えなければならないということです。 実際の事実は1つであっても、その事実をどのように解釈するか、事実に対してどういう意見を持つか、どういう印象を受けるかは人それぞれです。 この点をしっかりと認識し、事実と自分の考えを混在させないように報告しないと、報告される側は、どこまでが実際に起こった事実で、どこまでがその人の頭の中だけで起こっていることなのか、区別がつかなくなってしまいます。 たとえば、新企画のプレゼンを行って、その結果を上司に報告するとします。「新企画のプレゼンの件ですが、先方はなかなか斬新な企画だと喜んでおられました。おそらく大丈夫でしょう」 このような報告の仕方では、上司からすると、部下の報告のうちどこまでが実際にあった事実で、どこまでが部下の希望的観測なのか、まったく区別がつきません。結論も先出しされていません。 新企画に対して、どうして「大丈夫」と言えるのか? 先方に何か言質をもらったのか? 先方が喜んでいたというのは、部下の印象なのか、それとも何か明言したのだろうか? 上司の頭の中は、こんな疑問でいっぱいになってしまうでしょう。

◆求められなければ感想は必要ない こういう場合には、通常は先に事実のみを言い、自分の感想や意見は求められなければ言う必要はありません。もし加える場合は、自分個人の考えであることを明確に断ってから話すようにしなければなりません。 先程の例の場合なら、次のような感じです。部下「新企画のプレゼンの件は、結論はまだ出ておりません。ですが、先方はなかなか斬新な企画だとおっしゃっていました」上司「そうか……、どんな雰囲気だった?」部下「私の受けた印象では、喜んでおられたようです」 こうすれば、斬新な企画だと先方が言ったのは事実。喜んでいたと感じたのは、部下個人が受けた印象であると明確にわかります。 個人の受ける印象やアイデアには、ときに仕事を進めるうえで重大なヒントが含まれていたりして、伝えることに価値がないわけではありません。ですが、一人ひとり感覚が異なるために、事実とは分けて伝えないと聞き手が判断を間違えてしまうのです。 07 判断に迷う「頭越し指示」への対応のポイント ◆別の人に頼むのは厳禁! 結果の報告を行うときには、直接、その仕事を指示した上司に行います。これは原則であり、必ず守らなければなりません。 同僚や先輩に伝言を頼んだり、別の上司に報告したりするのは、結果の報告をしたことにはなりません。必ず、自分で報告するようにしてください。 ◆「頭越し指示」の場合、結果の報告は誰にすればよいか では、次のような指示には、どう対応したらよいでしょうか? ビジネスの現場では、上司の上司である立場の人や、別部門の管理職の人などから、直属の上司を飛び越えて直接、仕事の指示をされることがあります。こうした指示を「頭越し指示」と言います。本来の指揮系統を外れて与えられた指示と言ってもいいでしょう。 こういう頭越し指示で任された仕事を終えたときは、結果の報告を誰にしたらいいのか、迷うところですね。 この場合は、直属の上司と、頭越し指示をした別の上司の両方に、同じ内容の報告を行うのが正解です。 直属の上司にだけ終了の報告をすれば、あとは直属の上司が報告を上げてくれるだろうとか、直属の上司には関係ないから報告は必要ないだろうと考えていると、必ずどこかで連絡ミスが起きてきます。直属の上司が、頭越し指示された仕事が終わったことを知らないままだったり、頭越し指示をした上司が、いつまで経っても報告がこないことに怒り出すかもしれません。 そうしたことを防ぐためには、両方の上司に報告をする必要があるのです。 具体的には、まずは直属の上司に次のように報告を行います。「課長。先日、部長から指示されていた報告書ができました。こちらになります。これから、部長にも報告してまいります」 そうしたら、次は頭越し指示をしてきた上司にも同じ報告をするのです。「部長、先日、指示されていた報告書ができました。こちらになります」 これで、対応に迷う頭越し指示にも、的確な報告を行うことができますね。

◆結果報告だけでなく、頭越し指示をされたことも報告する 頭越し指示への「結果の報告」を誰にすればよいかの疑問は解決しましたが、頭越し指示ではもう1つ、注意しなければならないことがあります。 それは、頭越し指示をされたら、その都度、直属の上司にもそのことを報告することです。 これは結構忘れがちな点です。でも、これを忘れると、あなたの直属の上司はあなたが別の仕事を抱え込んでいることを知りませんから、二重に仕事の指示を与えられて困ることになります。 次の体験談は、この点を間違えて失敗した例です。 ×悪い例 直属の上司を飛び越えて、他部署の管理職や部長から、直接指示がくることがしばしばありました。 最初のうちは、直属の上司に「誰々からこういった指示を受け、このくらいの業務時間を割くと思います」と報告していたのですが、そのうち、同じ管理職だから大丈夫だろうと、直属の上司には報告せずに、頭越しの指示で指定された仕事をこなすようになりました。 そうしたら、頭越しに指示された仕事と直属の上司に指示された仕事で業務量が増えすぎて、毎晩深夜まで残業をしてパンク状態になってしまいました。 頭越し指示をしてきたのが誰であれ、職場でのあなたの行動に直接の責任を負っているのは、あなたの直属の上司です。 ですから、本来は指揮系統から外れた業務を引き受けるには、まず直属の上司の許可が必要なのですが、社内での地位が上の人に対してそう伝えるのは現実的に難しいでしょうし、得策でもありません。 一旦その指示を受けたあとで、すぐに直属の上司に報告して、本来の指揮系統を外れてやってきたその指示に対して本当に時間や労力を割いて対応してもよいのかどうか、確認するのです。 この報告をないがしろにすると、直属の上司の面子を損ねかねないので、絶対に省略してはいけません。 同じ会社の管理職同士であっても、あなたの業務に対して管理する権限を持っているのは、本来は直属の上司だけなのです。また、自分の部下の行動を把握していないことは、直属の上司にとって恥ずかしいことでもあるからです。 実際には、直属の上司にも連絡が入っていることが多いでしょうが、それでもこのプロセスは省略しないようにしましょう。 なお、直属の上司が不在の場合は、ひとまず頭越し指示に対応したあと、直属の上司が戻ったらすぐに報告します。

08 指示の「目的」を踏まえた報告をしよう ◆目的に合わせることで気の利いた「結果の報告」になる 指示を受命するときに、上司が自分に一番してほしがっている「指示の目的」を確認しましたね( Part 2の 02参照)。結果の報告をするときにも、そのとき確認した目的に合わせた報告をすると、より効果的な報告を行うことができます。ただ、これは少しレベルの高い、気の利いた報告の仕方ですから、最初はできなくても大丈夫です。 次の体験談を読んでみてください。 ×悪い例 企画課の田中さんに、課長から各部門の売上げをまとめてくれという指示が出ていました。その指示の際、課長からは「企画課の立場からまとめてくれ」と言われていました。田中さんは数字をまとめ、報告にやってきました。「課長。各部門の売上げをまとめました」「そうか。どうだった?」「はい。まず、各課ごとに売上げを集計し、さらに各課ごとに商品別の売上げをまとめてみました。こちらです」「ふんふん、そうか。で、どうだった?」「はい。集計してみると細かい数字が合わなくて苦労しました。各課の月次売上報告書の数字が微妙に間違っていたんですよ。キチンと報告してくれるように、営業部の人に言っておいてくださいね。何度も計算したんですよ」 「……それだけ?」「は、はい。以上ですが……」「あのね、うちは企画課でしょ?『企画課の立場からまとめてくれ』って言ったよね? 企画課が売上げの数字をただまとめることに何か意味があるの?」 「……」 何だか、せっかく仕事をしたのに、報告が上司に認められていないようですね。 このケースで問題にされていることは、課長が本当にしてほしかったことが何かを、指示を受ける受命の際にしっかり共有できなかったことから発生しています。 各部門の売上げ集計をしてほしいという指示は、単に売上げ数字を課ごと、商品ごとに集計してほしい、という意味だったのでしょうか? ◆受命の際に目的を確認しておくのが大切「企画課の立場からまとめてくれ」と言っていたということは、それだけではなく、その集計をしながら気づいたことや結果の数字を分析して、もっと売上げが上がるような企画提案をしてほしい、と考えていたのではないでしょうか? そのための準備として、まず集計作業を指示したのでしょう。 田中さんは、指示の裏に隠れていたそうした上司の「本当の目的・期待」に気づかずに、単に数字の集計で終わらせてしまったがために、上司を満足させられなかったのです。 報告のときには、指示を受命する際に共有した、上司が最優先で「聞きたい」と思っていること(本当の目的)に応える内容を伝えます。 繰り返しになりますが、そのためには、受命の際に相手の本当の目的が何なのかをしっかり確認しておく必要があります。上司の目的が何か、わかりづらいこともありますから、自分から積極的に、相手の目的を確認しにいく姿勢も求められます( Part 2の 02参照)。 この例の場合なら、集計した数値を伝えることはもちろんですが、その数値から気づいた各課の売上げ差の理由の分析や、より重点的に販売していくべき商品はどれかといった意見を、ザックリとでもいいから伝えていたら認められていたでしょう。 09 ミスしてしまったら、隠さずにすぐ報告する ◆ミスをするのは仕方ないが、ミスを隠すのは罪が深い 仕事で失敗するというのは本当に嫌なものです。まず、ミスを発見したショックでガーンと暗い気持ちになります。次には、上司に怒られる自分がワーと頭に浮かんできて、さらに落ち込みます。 そのためでしょうか、多くの人はミスをしたとき、自分のミスやそれによって引き起こされた悪い状況などを、上司に伝えずに隠してしまいがちです。もしくは、思いきって報告するにしても、自分にとって都合がいいデフォルメした形で報告してしまいます。 しかし、これらは上司からの信頼を失う最短ルート。絶対にやってはいけません。 ミスをするのは別に悪いことではないのです。もちろん、できる限り避けなければなりませんが、人間ですから誰だって間違えます。まだ仕事に慣れていない新人社員ならなおさらです。 悪いのは、そのミスを隠すことなのです。 ◆「まずい」と感じたらすぐに報告する ミスを隠さずに早い段階で報告してくれれば、上司はそのミスをカバーするための何らかの手が打てます。早い段階であればあるほど、傷口は小さく、それをカバーするための労力も小さくてすみます。 上司は部下よりも豊富な経験を持っていますから、部下がどうしようもないと思ってミスを報告したときでも、部下の知らなかったノウハウを使って何とかしてくれることさえあります。 逆にミスを隠すと、ほとんどの場合、隠している間に傷口が広がって、上司の打つ手がどんどんなくなってしまいます。 ミスをしたときは、隠さずに自分から報告しましょう。それも、できるだけ早く、「まずい」と感じた時点ですぐに伝えることが重要です。そうすれば、ミスをしても極端に評価が落ちることはないのです。ミスをした責任を最小限に抑えるためにも、悪い情報ほどすぐに報告するようにしましょう。 また、どんなに隠そうとしても、悪い情報は必ずバレます。そのうちつじつまが合わなくなり、結局は隠しきれなくなることがほとんどです。 万が一、バレなかったとしても、いつバレるかとビクビクしながら仕事をするのは、心臓によくありませんよね。 ◆情報のデフォルメやしつこい言い訳は絶対にしない ミスを報告するときは、まず最初に、素直に自分のミスを謝罪し、現状がどうなっているのかをありのままに報告します。そうすれば、ミスを修正するための対策を上司や先輩が指示してくれるはずです。 このとき、情報を自分に都合のいいように変えては絶対にいけません。そういう情報は、上司や先輩の判断を狂わせる原因になるからです。 また、言い訳をしたいところでしょうが、それはグッとこらえて自分からは言わないようにし、ミスをした理由を上司に問われたときにだけ、できるだけ客観的に話してください。自分のミスを認めずに、しつこく言い訳ばかりしている報告は、上司の心証を大きく損ねます。

10 トラブルやクレームにも、落ち着いて対応する ◆トラブル発生時も落ち着いて報告する 自分のミスではなくても、仕事で突然トラブルが発生することがあります。こういう場合も、基本はミスしてしまったときと同じ対応をすれば大丈夫です。 つまり、自分 1人で勝手な判断をせずに、すぐに上司に報告するということです。まだ仕事の経験が少ない新人社員よりも、経験豊富な上司の方が、正確な判断を下せる可能性が高いですからね。 その際には、できるだけ感情的にならないようにして、冷静にわかっている限りの情報を上司に伝えます。 ◆クレームには丁寧な対応を忘れずに トラブルのときはすぐに報告しなければならないのですが、お客さまからのクレームなど相手があるトラブルの場合には、最初の段階で対応に失礼がないようにすることも重要です。 上司に報告することだけに気を取られず、まずは謝罪しつつお客さまの話をよく聞き、事情を整理したうえで報告を上げることが求められます。 11 時間と労力の無駄を防いでくれる「中間報告」 ◆長期の仕事では「中間報告」が求められる 上から下りてくる仕事の指示と、仕事を終了させたときの結果の報告とはセットになっていますが、仕事の流れの中では、それ以外にも報告が必要とされる場合があります。それが「中間報告」です。 中間報告は、時間のかかる仕事をする際に節目節目で行います。報告する内容は、主に仕事の進捗状況(計画や段取り、実作業の進み具合)ですが、必要ならば、疑問に思っていることや問題になっていることも報告して、関係者間で調整を図ったり、よりよい結果が出る方法を模索することも含みます。 なぜ長期間の仕事では中間報告が必要とされるのか、一番の理由は時間と労力の無駄を防ぐためです。 長期間かかる仕事を手がけるときに、中間報告をまったくしなかった場合を考えてみれば、その理由がよく理解できます。 ◆「中間報告」で仕事のズレを修正する 長期の仕事の場合、本人はその仕事に没頭して大変な苦労をしながら完了まで導き、最後の最後で上司に結果の報告をします。本人は達成感もあって満足顔です。 しかし、その結果が上司が求めていた通りならよいのですが、長い作業の間に上司の期待と実際との間にズレが生じてしまい、必要とされていた結果と異なるものになっている可能性があります。 ズレがすぐに修正できる程度なら問題ありませんが、やり直しが必要なほど大きくズレていた場合、それまでにその仕事にかけた時間と労力の多くが無駄になってしまいます。

中間報告は、こうした時間と労力の無駄や損失を防ぐために、必ず行わなくてはならないのです。 ◆「中間報告」で責任の分担ができる! 中間報告によって、上司は部下の仕事の方向性がズレていないか、節目節目で確認することができます。目の前の仕事に没頭しているあなたが気づいていない状況の変化にも、上司は注意を払っているでしょうから、当初の指示内容を状況に合わせて修正することも可能です。 一生懸命に仕事を終わらせたのに、状況の変化のためにやり直しを余儀なくされる、といった事態を防げるのです。 また、仕事の途中で判断が必要な場合にも、中間報告をすることによって指示してもらったり、アドバイスしてもらったりして、判断を間違えて時間と労力をロスしないようにできます。別の言い方をすれば、責任を上司と分担できるということです。 すべて自分で判断して何らかのトラブルになった場合は、責任もあなた 1人で負わなければなりませんが、中間報告で上司の指示を仰いでいれば、第一の責任はあなたではなく上司が負うのです。 さらに、自分 1人だけでは不可能なことも、中間報告によって上司と情報を共有していれば、ヘルプをつけてもらったり、チーム全体で取り組んでもらったりと、調整を行うことで実行可能になります。 中間報告は、上司の側から見ても、仕事を行うあなたの側から見ても、双方にメリットの多い報告なのです。 次節から、より詳しく中間報告を解説していきますので、しっかりと身につけて実行していきましょう。 12 仕事の期間によって間隔が変わる ◆「中間報告」が必要な仕事は3つに分けられる 中間報告の必要な仕事には、大きく分けると次の 3種類があります。 ①すぐには終わらない仕事 ②思うように進まない仕事 ③状況が変化してきた仕事 まずは、 ①のすぐには終わらない仕事について見てみましょう。 ◆どれくらいの期間の仕事から「中間報告」が求められるか ①の「すぐには終わらない仕事」に中間報告が必要だというのは、前述したように当たり前のことです。問題は、どれくらいの期間がかかる仕事から中間報告が必要とされるのか、また、その場合、どのくらいの頻度で中間報告が求められるのかですね。 状況によるので一概には言えませんが、 1週間以上かかる仕事では、確実に中間報告が求められます。チームを組んで行う大きなプロジェクトなどが当てはまるでしょうが、こうした場合は、毎日、中間報告を行うのは、逆に手間ばかり増えて非効率です。 2〜 3日おきとか、毎週月曜日というように、状況に合わせて中間報告を行う日をあらかじめ決めておき、その際に、前回の時点から変化したことを報告するとよいでしょう。 この場合、指示を受けた段階で全体の大まかなスケジュールを作成し、中間報告を何日おきにするのかも決めて、まずはその計画をできるだけ早く報告することが必要です。 もっと短くて、 2〜 3日の仕事ではどうでしょうか? この場合にも、中間報告をした方が上司には喜ばれます。数日間程度の仕事の場合は、毎日 1回、手の空いたときに中間報告すれば充分でしょう。

13 上司の判断を仰げば、予定通りにいかない仕事も大丈夫 ◆勝手に実行する前に「中間報告」する ②の「思うように進まない仕事」の場合はどうでしょうか? 思うように進まないということは、その仕事に何らかの困難があって、予定通りには進んでいないということですね。 このような場合には、そうした困難を感じた時点で、まず、ある程度は解決策を自分で考えてみます。 そして、ここが重要ですが、その自分で考えた解決策を実行する前に、中間報告をして上司の判断を仰ぐのです。その際、現在どういう状況なのか、何に困っているのか、問題点をあらかじめ整理しておき、できるだけ正確な情報を上司に伝えます。 自分で考えた解決策はこのときに、事実と意見を明確に分けたうえで伝えます( Part 2の 06参照)。 このステップを踏むことで、あとで述べる決定権のルール( Part 4の 06参照)を守りながら、自分で考える習慣を身につけることができます。 とにかく、既に不安を感じ始めている仕事に、上司の判断を仰ぐことなく時間や労力をかけるのはやめましょう。前述したように、中間報告することによって上司やチーム全体の力を借りることができますし、万一の場合には責任の分散にもなります。 ◆「中間報告」をためらって、期日を破ることがないように! ところが、 ②の状況での中間報告では、指示を受けた側が「ああでもない」「こうでもない」と 1人で悩み、「せめて解決策のメドがついてから」とか、「とりあえずほかの部分が終わってから」と自分の都合のいいように考えて中間報告を遅らせてしまうケースが多々あります。 次のケースなどはその典型でしょう。 ×悪い例 鈴木君は、課長から大きな案件のプレゼン資料の作成を指示されました。これほど大きな取引きの資料作成を任せられたのは初めてのことです。鈴木君は、任せてもらった喜びもあり、非常に意欲的に取り組みました。 ところが、いろいろと資料を集めてはみたものの、どのようなコンセプトでまとめたらいいのかわかりません。かと言って、せっかく任せられた仕事で音を上げたくはありません。いろいろと悩んでいるうちに、納期が明日になってしまいました。「困ったな。まだコンセプトがまとまらない……」「どうした鈴木君、困った顔をして? プレゼン資料うまく進んでいるのか?」「ハァ、実はいろいろと資料を集めてはみたんですが……中心となるコンセプトがまだ決まらなくて……」「えっ? コンセプト!? じゃあ、もしかしてまだ全然進んでないのか!?」「イヤ……、実はそうなんです」「先週からずっと悩んでいたのか? なぜ思うように進まない段階で報告しにこないんだ! もう間に合わないじゃないかっ!!(怒)」 鈴木君は気が引けて、まったく進んでいないことを中間報告する勇気が持てなかったようです。 このように、能力がない人材だと見られてしまうのではないかとか、叱られるのが嫌だからという理由で、思うようにいかない状況になっても中間報告をしない人が多いのです。 悩むこと自体はよいことです。自分ではまったく考えずにすべての判断を上司に任せていては、いつまで経っても主体的な意見や本当の実力を身につけることはできません。 ただ、社会人の仕事は、時間の制約を守って初めて評価されるものです。期日を越えてしまったら、どんなに立派な仕事もまったく評価されません。 自分でしばらく考えても思うようにいかない場合は、ためらうことなく上司に状況を中間報告し、決して納期を破ってしまうことのないよう気をつけなければなりません。

14「中間報告」で、状況の変化に素早く対応する ◆状況の変化に対応しないのは、バカがつく正直者 最後に、 ③の「状況が変化してきた仕事」の場合を見ていきましょう。 上司の指示により、あなたはあれこれ段取りを組んで、計画を立てて仕事を始めます。ところが、仕事を進めている間に周囲の状況が変化し、指示された内容をそのまま進めることが合理的でなくなることがあります。 そういう場合、「自分がやれと言われた仕事はこの内容だから」と元々の仕事を進め続ける人は、正直ではありますが、頭にバカのつくバカ正直な人です。 そのまま進めることが時間や労力の無駄なのであれば、より効率的で合理的な方法に変えなければなりません。 自分なりにどうすればよくなるのかを考え、状況を整理したうえで、直ちに上司に中間報告して、仕事のやり方を変える確認や提案をするのが正解です。 このとき、上司から新しい指示があればそれに従います。 なお、上司の確認を得ずに指示された仕事のやり方を変えるのは、よほどの緊急時やあらかじめ許可されていた場合を除いて避けるべきです。 ◆「中間報告」で変化に対応する 次の会話例は、指示された仕事を取り巻く状況が変化したことを簡潔に伝え、上司の確認を得ているものです。 ○よい例「課長、コピー機の今週中の入れ替えの件ですが、社内での問題により難しくなりました。来週中なら問題はないので、納入の期限を来週中に変更してもよろしいでしょうか?」「その社内での問題とは何だね?」「はい。経理部の山田課長から、今週中は一時的にでもコピー機が使えないことがあっては困ると申し出がありました。今週中に、給与データのプリントアウトを終了させなければならないとのことです」「なるほど。では、来週中でかまわない。経理部には私からもひと言声をかけておくよ。来週ならいいんだね?」「はい。来週中なら経理部も問題ないとのことです」 この例のように、自分なりの解決策を考えながら中間報告することによって、仕事を取り巻く状況の変化にスムーズに対応することができます。また、そうした経験を積み重ねることによって、主体的な仕事の力も身についていきます。 もし、あなたの考えた解決策に問題があれば、中間報告の際に上司の修正指示が入りますので、上司の持っている知識やノウハウを活かすことにもなります。 なお、何らかのトラブルや緊急事態が起こった場合( Part 2の 10参照)は、前述したようにとにかくすぐに問題の報告をして、対応策を検討してもらいます。 どんな状況であれ、自分 1人で何とかしようとしてはいけません。突発的な状況の変化には、 1人で対応するよりもチーム全体で対応した方がはるかに効率的だからです。 15 周辺情報もこまめに報告しよう!「結果の報告」「問題の報告」「中間報告」の3つは、必ず行わなければならない報告でした。それに対して、「気づきの報告」は義務的なものではありません。「気づきの報告」は、ほかの報告と比べると自主的でレベルが高い報告です。より気の利いた報告とも言えるでしょう。最初は、周辺情報の報告から始め、最終的には、提案型の報告ができるようになることを目指します。 ◆周辺情報は思わぬ面で役に立つことがある「気づきの報告」の最初のステップは、周辺情報の報告です。 報告によって共有される情報は、何も指示された仕事そのものに関することだけではありません。その仕事の周辺に少しでも興味を引く情報があれば、そうした周辺情報も常に収集するように心がけておきましょう。 そうやって集めた情報の中で、少しでも仕事に影響を与えそうなものがあれば、余裕のあるときに上司に報告して共有しておくのです。そうすると、意外なところで役に立つ場合があります。 たとえば、取引先企業の担当者が変わったことや、やり取りする書類の書式が変わったこと、もしくは訪問した会社の雰囲気が以前と変わったことなど、小さなことでもかまわないので、気づいた情報をどんどん上司に報告していきます。 そうすると、たとえあなたは知らなくても、上司がその新しい担当者の攻略法を知っていて教えてくれたり、新しい書類の書式が別会社のものとまったく同じで、合併や提携の気配を感じたり、雰囲気が悪くなっている会社の信用情報を調査したりと、思ってもみなかったところに役立つことがあるのです。

◆役に立たない周辺情報もイメージを共有する助けになる もちろん、まったく役に立たない情報も多いのですが、たとえ役に立たなくても、そうした細部の情報が、上司と部下との間でより正確に対象をイメージする助けとなります。 こうした周辺情報を適度に織り交ぜれば、あなたの報告はより気の利いたものになります。ただし、 Part 2の 06で説明したように、自分の考え(意見や感想)と事実はしっかりと分けて明示してくださいね。 16 報告の最終目標は「提案型の報告」 ◆あなたの気づきを活かす報告「周辺情報の報告」をしていると、集めた情報から「もっとこうした方がいいのに」とか「この商品も取り扱ったら売れそうだ」などと、より効率的に結果が出る方法に気づくことが多くなります。 こうした気づきを無駄にせず、チーム全体のために活かしていくのが「提案型の報告」です。 ◆提案する姿勢が上司に評価される! 具体的には、義務である「結果の報告」「問題の報告」「中間報告」の際に、「これは私のアイデアなのですが……」などと断りながら、つけ加える形であなたが気づいたことを提案します。 もちろん、提案した内容が必ず採用されるわけではありませんが、積極的に提案していく姿勢は、上司に必ず評価されます。 上司は、常に新しい試みについて検討していますが、新しいアイデアは上司が 1人で考えているだけでは限界があります。上司としても、新しいアイデアの提供はありがたいのです。 提案を考える際には、指示を受命した段階で確認した、上司の目的・期待を念頭に置きながら、 5 W 1 Hを意識するとよいでしょう。「何を」「どのように」「いつまでに」「どれだけ」「誰が」「いくつ」「いくらで」といった要素を確認しながら提案を固めていけば、パッと思いついただけの提案よりも、ずっと現実的で役に立つものになります。 提案型の報告は、ある意味、相談に近いものです。相談の章も参考にして、より建設的な報告を行えるようになりましょう。

 

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