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PART 3「連絡」で職場の風通しが格段によくなる

PART 3「連絡」で職場の風通しが格段によくなる 00「連絡」とはどんなものか? ◆チームで仕事を進めるためのヨコ方向のコミュニケーション 指示された仕事を行うにあたっては、同じ職場の同僚やチームリーダー、関係する部署の人たちなどの間で、業務に関係するさまざまな情報を伝言ゲームのように伝え合う必要があります。これが「連絡」です。 報告(と指示)がタテ方向への情報の共有化を行うものだったのに対して、連絡は職場のヨコ方向へ情報の共有化を行います。そうすることで、チームプレーをするときにより効果的に組織の強みを発揮できるのです。 考えてみてください。業務知識や進捗状況など、さまざまな情報を共有しているメンバーで構成されているチームと、そうでないチームとでは、前者の方がずっと無駄なく、的確に仕事を進めることができますよね。 そういうチームプレーを行うための土台となるのが、ヨコ方向への情報の共有化、すなわち「連絡」なのです。 厳密に言えば、部下から上司に連絡したり、逆に上司が部下に連絡したりすることもありますから、ナナメやタテ方向への連絡もたくさんあります。 ただ、ここでは、タテ方向の報告(と指示)に対して、指示された仕事を実行するために行うヨコ方向の情報の流れが「連絡」であるとして、単純化して捉えてください。 ◆連絡の3つの要素 連絡では、 ①確実に情報を共有することが最も大切です。本章では、まずそのためのコツをいくつか紹介します。 また、連絡は会社の内部だけで行われるものではありません。 取引先企業の担当者や、消費者であるお客さまなど、外部の人とも連絡は行われます。 組織の内部・外部の違いによって連絡を2つに分類して、それぞれについても解説していきます。 ②内部連絡では、連絡の基本スキルと心構えについて述べます。 ③外部連絡では、お客さまや取引先の企業などと、どのようにして情報を共有すればよいのかを述べます。 便宜的な分類にすぎませんが、この3つの要素を順番に解説していきたいと思います。

01 最大のポイントは、間違えて伝えないこと ◆ビジネスの伝言ゲームは間違えられない! 連絡は、伝言ゲームによく似ています。 伝言ゲームは、短い文章をメモを取らずに言葉だけで伝えていくゲームですが、ほんの 2〜 3人を間に介しただけで、あっという間に伝言内容に間違いが生じてしまいます。 ゲームならその間違いを楽しめるのですが、ビジネスの連絡で間違いが起きたら大変です。 たとえば、発注数量を間違えたり、納品日を間違えたり……。どんな間違いにしろ、すぐに損失やクレームに結びついてしまいます。 連絡では、連絡する側とされる側が、どちらも情報を間違えないで共有することが最も大切です。何はともあれ、まずはそのことを頭にたたき込んでください。 ◆基本のメモ取りと復唱確認を徹底する 共有する情報が、投げ手と受け手の間で齟齬を生じないようにする方法はいくつかあります。 まず、伝言ゲームと違ってビジネスの連絡ではメモを取ることができますから、連絡をするとき・受けるときには、必ずメモ帳とペンを手元に用意し、いつでもメモを取れる体勢を作っておきます( Part 1の 03参照)。 もう1つの基本は「復唱確認」です。 連絡を受けたとき、あなたがメモを取って理解した内容と、情報の投げ手が伝えたかった内容には、もしかしたら間違いが生じているかもしれません。 間違いがないことを確認するためには、ひと通り連絡を受けた段階で「わかりました。確認しますが、………ということですね」と、声に出して聞いたことを繰り返し、お互いの認識に違いがないことを確認するようにします。これも、怠ってはならない基本スキルです。 逆に、連絡する立場で相手が復唱確認してこない場合には、こちらから復唱をお願いしてもかまいません。確認のための復唱は、それほど基本的なことなのです。 ただ、何にでも例外はあります。相手の役職がずっと上であるなどの理由で復唱をお願いできない場合には、連絡の最後に、情報の内容を要約してもう一度念押しするようにします。これで、間違いは格段に少なくなるはずです。

02 数字を確実に連絡する習慣を身につける ◆数字のミスはダメージが大きい! 連絡で情報を確実に伝達するコツを、もう少し紹介しましょう。 情報の中でも、「日付」や「発注量」などの数字は、絶対に間違えてはならない部分です。納品日や打ち合わせの時刻、生産量、取引先の電話番号などなど、例を挙げ出したらキリがありませんが、こうした数字を間違えて連絡すると、ビジネスでは大きなトラブルや損害になってしまうことは説明しなくてもわかりますね。 でも、恐ろしいことに、こうした数字の間違いの原因は、ちょっとした不注意やケアレスミスであることが多いのです。 ふと気が緩んだとか、聞き間違えたとか書き間違えたとか、とにかく日常でいくらでも起こり得る小さな失敗が原因で起きるのです。プライベートなら笑ってすませられるこうした失敗が、ビジネスでは致命的なものになることもあり得ます。 不注意やケアレスミスは、いつでも起こり得るからこそ、逆に防ぐのがなかなか難しいものです。完全な予防法というものはありません。 でも、普段からケアレスミスをしないように意識していれば、かなり減らすことができるのも事実です。いくつか具体的な方法を紹介しますので、今日からでも取り入れてください。体に習慣づけてしまって、意識しなくてもできるようになることが大切です。 ◆日付を省略しない 日付を連絡するときに、日にちだけを連絡して、月を省略してしまう人がかなりいますが、これは数字の間違いにつながりかねない習慣です。 情報の送り手が考える月と、受け手が考える月が同じだとは限りませんし、今月のことだとわかっている場合でも、連絡してからしばらく時間が経つとどの月のことだったのかわからなくなってしまいます。 日付を常に ○月 ○日の形式で連絡すれば、こうしたミスは避けられます。 長期間にわたる業務の連絡や、記録に残る書類やメールなどの場合には、さらに ○年 ○月 ○日まで明示するとよいでしょう。これだけのことでも、メールや書類の資料性がグッと上がり、あとから調べものをするときに役立ちます。 ◆時刻は 24時間表記で また、時刻についても曖昧にならないように気をつけましょう。常に 24時間表記を使用し、たとえば 3時ではなく 15時と連絡し、午前・午後の間違いを防ぎます。 ◆曖昧な表現は指定していないのと同じこと 日時や時刻の指定の際は、曖昧な表現を極力避けるようにします。 たとえば、「朝イチ」「月末」「そのうち」「早急に」「だいたい ○日頃に」などの表現は、対象となる時間の幅が広すぎて、情報の受け手側が予定を立てることができずに迷惑をかけてしまいます。 こういう表現は、実質的には何も指定していないのと同じです。もっと具体的に、「朝の 9時」とか「 30日(月曜日)」のように、時間の幅が狭い表現をするよう心がけましょう。 どうしても漠然としか予定が立たない場合には、だいたいの日時の連絡をしたあとに、「明日 17時までに、詳しい日時を連絡します」と、追って正確な日時を連絡するようにしてください。 ◆数字の出元に確認することをためらわない 連絡しようとする情報の数字が、どうもおかしいんじゃないかと思うこと、結構ありますよね。たとえば、連絡された生産量についてゼロが1つ多そうだとか、いつも同じ数だけ注文される商品の発注量が突然増えているとか、これまでの経験から、「何となく数字がおかしいな」と感じた場合です。 こういう場合、疑問には思いながらも、そのまま連絡してしまう人が多いと思いますが、それはやめましょう。 次の人に連絡する前に、その情報を渡してきた人に確認したり、可能であれば数字の出元に電話をかけたりして、本当にその数字で間違いがないのか、確認することをためらわずに行ってほしいのです。 これは、数字を正確に伝えるうえで、重要な習慣です。 あなたがその数字をおかしいと感じたということは、他の人もおかしいと感じるはずです。 それならば、自分のところに回ってきた数字を一旦戻して確認することによって、もし間違っていれば大きなトラブルになる前に修正できますし、何らかの理由があるのであれば、その理由も添えて連絡することで、数字に違和感を持つ人がほかにいてもその数字が正しく共有されていきます。 とにかく、ビジネスではちょっとした数字の間違いが大きな損失につながります。それをしっかりと認識して数字を扱うようにし、相手が聞き間違えたり、読み間違えたりしていないか、常に確認することです。 よく似た発音の数字(イチとシチ、シ、クとロク)も、読み変えるなどして聞き間違いが起こらないように気をつけましょう( Part 2の 04)。

◆固有名詞にも気をつける なお、記号や略字、商品名、人名などの固有名詞も、数字と同じように間違えるとダメージが大きい部分です。充分に注意してください。 03「思い込み」に捕らわれていないか振り返ろう ◆連絡ミスのもう1つの原因「思い込み」 人間は誰しも思い込みの激しい生き物です。しかも、自分が今、思い込みで話している、行動していると気づけない生き物でもありますから始末が悪いですね。 そして、思い込みはときに事実をも曲げてしまいます。連絡では、こうした思い込みが、情報の共有を妨げる原因になることがあります。 思い込みがよく起こるのは、大きく分けて次の4つのシチューションです。 ①ほかの仕事のことで頭がいっぱいなとき ②そうなればよいという強い期待感や願望があるとき ③過去に同じような経験があるとき ④ほかの人が自分と同じ状況にあるとき それぞれのシチュエーションで、どんな連絡ミスを起こしやすいのか簡単に説明しましょう。 ①ほかの仕事のことで頭がいっぱいなとき……何かに没頭しているところに急な連絡が入ってくると、頭を切り替えられずに間違った情報を信じ込んだり、誤解をしたまま信じ込んでしまいます。聞き間違いや単純な勘違いをしやすいのはこのときです。 ②そうなればよいという強い期待感や願望があるとき……たとえば、受注したいという強い願望があるときには、相手の反応が煮え切らないものであっても、てっきり受注できるものだと思い込んだりします。 ③過去に同じような経験があるとき……過去に似たような状況での成功体験や失敗経験があると、あのときはこうだったから今回もこうに違いないと思い込みやすくなります。確かに、同じ状況なら同じ結果になることも多いのですが、それは絶対ではありません。類似点ばかりに注目して、異なる点を見ようとしなくなります。 ④ほかの人が自分と同じ状況にあるとき……自分たちにとって緊急性の高いものなら、ほかの人もそうだろうと思い込んでしまいます。実際には、人や組織が異なれば判断基準や価値観などすべてのことが異なるので、自分と同じ判断をするとは限らないのに、そう思い込みやすくなります。

◆自分も思い込んでしまうことがあるのを自覚する これで、思い込みが起こりやすいシチュエーションはわかりました。では、思い込みを防ぐには、私たちはどうしたらいいのでしょうか? それにはまず、自分が思い込みで行動したり、話すことがあると自覚することです。 思い込みの存在を自覚することによって、「もしかして、今の私は思い込みに支配されてるんじゃないか?」と自分に対する問いかけを行うことができます。 思い込みを完全に防ぐのは不可能ですが、この「これってもしかして思い込みでは?」という問いかけを、連絡する前に自分に向かってすることよって、間違った情報の連絡を防げるのです。 04 お客さまの視点に立てば、連絡忘れ・連絡モレが見えてくる ◆気づかないところで起きるから恐い! 連絡ミスを発生させる原因はまだあります。それは連絡忘れや連絡モレです。 連絡忘れや連絡モレの恐いところは、自分ではすべての関係者に連絡したつもりなのに、ちょっとした見逃しで起きてしまうことです。たとえば、次の失敗談のケースを見てください。 ×悪い例 高橋さんは、とある遊園地で働いていました。ある遊具の点検作業をすることになり、「しばらく乗車を中止させ、もしお客様がきたらほかの乗り物へ誘導するように」と指示されたので、その遊具の係員に連絡しました。 ところが、点検中もなぜかお客さまが次々にやってきて、遂にはクレームに発展。何と、チケット売り場に点検の連絡をするのを忘れていたために、乗れると言われてきたらしいのです。 チケット売り場は離れた場所にあり、子会社の管轄だったので見逃していたのです。でも、お客様から見ればそんな事情は関係ありません。高橋さんは、お客さまには平謝りで、上司にもあとからこっぴどく叱られました。 この例でも、高橋さん自身はすべての関係者に連絡したと思っていたのです。一体、どうしたらよいのでしょうか? ◆お客さまの視点に立ってみるのがカギ 連絡忘れ・連絡モレを防ぐには、連絡するときに、その情報がどういう意味を持つのか、できる限り自分でも考えるしかありません。 単に「上司に言われたから連絡する」という態度では、例に出したような単純な連絡モレを防ぐことはできません。 情報の内容から、関連する部署はどこか、担当者は誰か、自分なりに考えて、わからない部分は上司や先輩に確認しながら、連絡忘れ・連絡モレが起こらないように情報の共有化を進めるのです。 その際には、お客さまの視点で考えると効果があります。 自分の仕事だけを考えているときには気づかなかったことも、「もし自分がお客さまだったらこれで大丈夫だろうか?」と考えることで、気づいていなかった連絡先に気づかされることがあるのです。 ケアレスミスや思い込みと同じく、連絡忘れや連絡モレを完全に防ぐことはできません。何しろ、頭の中にその連絡先のことがまったく浮かばないからこそ、連絡忘れや連絡モレが出てしまうのですから。 でも、お客さまの立場に立って考えてみたり、自分なりに情報の内容を検討することによって、ある程度は防ぐことができるのです。

05 スタンドプレーは没コミュニケーションを招く ◆誰もフォローしてくれないのは、連絡ができていない証拠 内部での連絡がおろそかになりがちな人の典型的なパターンは、自分 1人だけで仕事をしているつもりの人です。 こういう人は、自分の手柄や成果ばかりに目がいっているので、上司に対する報告はしっかりできています。自己アピールは完璧なのです。 でも、職場の同僚や取引先、お客さまといったヨコ方向へのコミュニケーションがなくなってしまっています。 そのような没コミュニケーション化した状況では、思ってもいなかったトラブルが起きたり、別の部署との連携がうまく取れなくてお客さまを怒らせたりと、小さな問題がポロポロとこぼれるように起こってきます。当然、仕事の結果や成績にも悪い影響が出るでしょう。 自分でそうした状況を招いているのですが、こういう人に限って、「誰も自分をフォローしてくれない」と嘆くものです。でも、周りの人は、「フォローしてほしいのなら、きちんと連絡しろ」と思っているかもしれませんね。 ◆連絡を密にしていればフォローしてもらえる どんな仕事であれ、自分 1人の力で 1から 10まで完結させることはできません。 本書の読者は、ほとんどが会社勤めをされている方だと思いますが、組織で働いている人は自分 1人で仕事をしている気になってはダメなのです。そういう気になると、どうしても連絡がおろそかになってしまいます。 そういう思い込みをせずに、職場内部の連絡を密にして、情報がすぐに共有される状態を作っておくことが大切です。 充分な連絡がされていると、お互いの状況がわかっているので、問題になりそうなところでは自然にフォローし合い、助け合うようになります。また、ほかの人の視点で見た情報も常に入ってくるようになります。 そうすると、チームプレーの強みが存分に発揮されます。仕事の効率がよくなり、ミスなく成果を上げられるようになります。全体の成績も上がり、結局はあなた自身の評価も上がっていくでしょう。 連絡は、職場全体のためだけに行うのではありません。あなた自身の仕事を、ミスなく効率的に行うための行為でもあることを、忘れないようにしましょう。 06 電話の取り次ぎと連絡メモの取り方をマスターしよう ◆身近だけど重要な電話の取り次ぎ 日々のビジネスの中で最も身近な「連絡」の場面は、同僚や上司にかかってきた電話を取り次ぐことでしょう。 身近すぎるためにあまり意識していませんが、うまく取り次ぎができないと大きな失敗につながることもあります。 1日に何度も直面する場面でもあり、これがソツなくこなせないようでは、それだけで使えない人材だと判断されかねません。しっかりとマスターして、確実に取り次げるようにしておきましょう。 ◆基本の 3項目を確認してから取り次ぐ 電話連絡を取り次ぐ基本は、次の 3項目を確実にメモしてから、名指しされた人に取り次ぐことです。これは、たとえその人が隣に座っていたとしても同じです。 ①相手の会社名(所属部署) ②相手の名前 ③用件のおおまかな内容 少なくとも、 ①と ②の「相手の会社名」と「名前」だけは確実に把握してから取り次いでください。 これは、曖昧な情報を連絡しないために重要なことですし、あやしげな営業電話をシャットアウトする効果もあります。 また、電話を取り次ぐ際には、電話をかけてきた人を 30秒以上待たせないこと。それ以上長いと、待っている方はイライラしてきます。長く待たせてしまいそうなときは、一旦電話を切ってもらい、こちらからかけ直すようにします。

◆不在の上司や同僚には連絡メモで伝達する 取り次ぐべき上司や同僚が不在の場合は、連絡メモを残します。 連絡メモは、必要な情報をモレのないようにすべて記入するのがポイント。多くの人は、1つか2つ情報が抜けてしまっているので要注意です。 まず、 ①誰宛ての電話だったのか、メモを残す相手の名前を書きます。これを忘れると、メモが風などで机から落ちてしまったときに、誰宛てのメモなのかわからなくなってしまいます。 次に、 ②電話をしてきた人の会社名と名前。これは必須ですね。 そして、 ③用件のおおまかな内容か伝言の内容を書きます。相手が伝言を残さなかった場合にも、「伝言はありませんでした」と記入します。 そして、可能な限り ④相手の連絡先も聞き出して、メモに記入しておきます。たとえ相手がかけ直すと言っても、「申し訳ございませんが、念のためご連絡先を頂けますか?」と、一度は問いかけるようにしましょう。 そして、最後に ⑤自分の名前と、電話を受けた日付と時間を記入します。日付を忘れる人が多いのですが、意外に重要です。 どうでしょうか? 電話の連絡メモも、結構奥が深いのです。 こうして作成した連絡メモは、相手の机の目立つ場所に貼っておきます。そして、できれば不在にしていた本人が帰ってきたら、その時点で電話があったこととメモを残したことを伝えてください。書類の影になって連絡メモに気づかなかったり、ほかの用件に追われてデスクに戻ってこないこともあるからです。 本人が出先から連絡してきた場合は、電話があったことと、連絡メモの内容を電話ですぐに伝えてあげると親切です。 なお、この連絡メモは、電話連絡に限らず、不在の上司や同僚に連絡をしたいときにも使えます。

◆こんな電話にはどう対応する? 連絡すべきかどうか迷ってしまう、次のようなケースもたまにありますね。こんなときは?「田中はただいま席を外しております。何か伝言を残されますか?」「いや、結構。また電話しますから」「そうですか。では、お電話があったことだけ伝えておきます」「いや、それも結構です。また直接かけ直しますから」 電話してきた本人が連絡しないでくれと言っています。あなたならどうしますか? この場合の正しい対応は、たとえ先方が連絡は必要ないと言ったとしても、名前や会社名は最低限聞き出し、そのような電話があったことを伝えることです。「 C社の鈴木様から電話がありましたが、特に伝言はなく、またかけ直すとおっしゃっていました」という感じです。 07 目的のわからない連絡は無視されやすい ◆指示のニュアンスを含んだ連絡は、「目的」まで伝えるのがポイント 連絡される情報は、多くの人の間で間違いなく共有されるために、必要最小限の簡潔な内容になりがちです。そのため、どうしてその連絡が必要なのか、何のために連絡しているのかという情報が欠落しやすく、その連絡が行われた本来の「目的」がわからないまま、とりあえず連絡だけが行われることが少なくありません。 しかし、目的がわからないままに実際の作業指示だけの連絡をしていると、問題になる場合があります。たとえば、次のようなケースです。 ×悪い例 C社の人事部では、営業部の新しい人事配置を検討するために、営業部員全員に「毎月の残業時間報告書」と「外回り時間報告書」を提出してもらうことになりました。そこで、翌月 5日に全営業部員が人事部にこの2つの書類を提出するようにと、次のような社内メールを通じて連絡しました。「営業部の皆様:『毎月の残業時間報告書』と『外回り時間報告書』を提出してもらうことになりました。以下がその書式となります。9月 5日までにご提出ください。人事部」 ところが、期日になっても書類を提出してくれない人が何人も現れました。理由を聞いてみると、「自分 1人くらい出さなくても問題ないだろう」「今は大きな商談中なので、そんな資料を作る時間があればもっと営業活動をしたい」「そもそも、何のための資料かわからないのに時間をかけるのはもったいない」といった声が聞かれました。 この例では、資料を提出してもらう目的を伝えないまま、報告書を作って提出するという実際の作業だけを連絡していました。 そのため、各営業部員が実際に報告書の作成を行う段階で、その作業の重要性がわからず、より重要そうな事柄(たとえば営業活動)に費やすべき時間を割いてまで行うことではないと判断する人が出てしまったようです。 これでは、連絡した本来の目的が達成できませんね。 連絡を行う際には、お願いする作業の内容だけではなく、その連絡を流した本来の目的、つまり、その連絡によって何をしたいのかを同時に伝えるようにしなければなりません。 先程のケースなら、次のように連絡していればよかったはずです。 ○よい例「営業部の皆様:営業部の新しい人事配置を検討する資料として、『毎月の残業時間報告書』と『外回り時間報告書』を提出してもらうことになりました。以下がその書式となります。9月 5日までにご提出ください。人事部」 これなら、営業部の人たちも自分たちの人事に関係する話ですから、間違いなく全員が書類を提出してくれたでしょう。 ◆お願いの連絡は、伝え方に注意が必要 ここまでの説明でわかるように、連絡というのは、その内容によって業務の指示と同じ性格になる場合があります。 ところが、連絡による指示はヨコ方向からの指示ですから、上下関係に縛られている上司からのタテ方向の指示と違って、強制力がなく、徹底させることが難しいのです。悪くすると、 Part 3の 07の例のように無視されてしまうことになりかねません。 ヨコ方向の指示は、どちらかと言えば「お願い」に近いものなのです。「お願い」をしっかり実行してもらうためには、細かいところまで説明してあげなければ、相手もやる気になってくれません。指示のニュアンスを持つ連絡の場合は、その連絡を必要とする「目的」まで、相手に伝える必要があるのです。

08「目的」がわからなければ、ためらわずに確認しよう! ◆わけもわからないまま仕事をしても、身が入らない 逆に、目的のわからない連絡がきたときはどうしたらよいでしょうか? たとえば、先程の資料提出のお願いが連絡されてきた営業部の 1人だったら、どうしたらよかったのでしょう? 大きな商談を抱えていて猫の手も借りたいほど忙しいのに、人事部は「資料を早く提出してください」と催促の連絡をしてきます。ほかの営業部員の中には、書類の作成などほったらかしで、本業の営業活動に注力している者もいます。 こんなとき、「この忙しいのに人事部は何を寝ぼけたこと言っているんだか。使用目的もわからない書類なんかつくってられないよ」と、相手のせいにして連絡を怠るようではいけません。 連絡されてきた作業の目的がわからなくても、もしかしたらそれが重要な作業である可能性もあります。それを放棄してしまっては、あとで後悔することにもなりかねません。 こういう場合は、連絡元にその作業の目的を直接聞いて、確認してしまうのが一番です。 例の営業部でも、人事部に電話をかけて次のように確認してみました。「もしもし、営業部の佐藤です。今度提出する資料についてですが、これは何に使うものなのか教えて頂けませんか? 今、営業部では大きな案件を抱えていて、その営業活動より優先すべきものなのかどうか、判断ができないのですが」 こうやって、連絡元に連絡の目的を直接聞いてしまえば、わけもわからないまま作業をすることはなくなります。 聞かれた方も、自分たちの伝え方が悪かったのだと気づき、もう一度連絡をし直すなどの対策を取ることができます。少なくとも、むやみに嫌がられたり、疎まれたりすることはないでしょう。 佐藤君の質問に対して人事部の担当者は、この資料によって営業部員の労働時間や経費をとりまとめ、今後の人事配置の参考資料にすることを話してくれました。それならばと、営業部の人たちも忙しい時間を削って報告書を作成し、全員がきちんと提出してくれました。 ◆目的がわかっていた方が仕事ははかどる 人は、納得して仕事をする方が、わけもわからずに仕事をさせられるよりはかどりますし、よい結果を出せるものです。また、目的がわかっていれば、「もっとこうしてあげたら相手は助かるだろうな」といった思いやりや、「もっとこうした方がよいのじゃないか」という知恵も出てます。 連絡された指示の目的がわからなければ、ためらわずに確認することが大切なのです。 09 誰にでもわかる言葉で伝えよう ◆お客さまや外部の人は業界用語など知らない 連絡相手が社内の人ではなく、社外の取引先や関係者、またはお客さまである場合は、その人たちが理解できない言葉を使わないよう、気をつけなければなりません。 社内では当然のように使っている単語も、社外の人からすればまったく意味がわからないというケースはよくありますからね。 たとえば、その職場の中や同じ業種の人にしかわからない業界用語や、専門用語などを使って連絡すると、連絡された相手は意味がわからず、正確に情報を共有するという本来の目的が果たせなくなってしまいます。 業界用語や専門用語は、複雑な情報を短く言い表すことができて使い勝手のよいものではあるのですが、情報の受け手もその用語を知っているとは限りません。社外の人やお客さまが相手なら、知らないのが当然だと考えた方がよいでしょう。子どもでもわかるくらいの言葉遣いを心がけると、ちょうどよいはずです。 また、相手にわからない言葉を使っていると、悪い印象を持たれてしまうこともあるので気をつけます。 ◆わかっていてもつい使ってしまう 繰り返しますが、外部の人を相手にした連絡では、誰にでもわかる言葉で、正確に情報を伝えることが大切なのです。 わかっていてもつい使ってしまったり、自分ではそれが業界用語だと気づいていないこともありますから、一度、自分が仕事で使っている用語をチェックしてみるとよいかもしれませんね。

10 初めて会った人にはお礼の連絡をする ◆「気持ち」の連絡がビジネスの潤滑油になる 報告と同じで、連絡が伝えるのは具体的な仕事の情報だけではありません。 たとえば、初めて会った人には、すぐあとに「お礼」のメールや手紙を送って連絡し、こちらの感謝や喜びの気持ちを伝えることがよく行われます。 つまり、連絡では「気持ち」を共有することもできるのです。こうして共有された気持ちは、その後のビジネスをスムーズに進める潤滑油になります。 ◆お会いしたらすぐに出す こうしたお礼の連絡は、特に初めてお会いした人には、すぐに出さなければなりません。メールであれば、翌日の朝、その人がメールチェックをしたときに受信できるようにしておくのがベストです。遅くとも、面会の翌日中には受信されるように送っておくのが礼儀とされています。 これが、 3日も 4日も経ってからメールを出すと、相手は「今ごろになってお礼のメールか。不精な人だな〜」と、かえって悪い印象を与えてしまいます。 これなら、逆に出さない方がまだマシです。 手紙やハガキなどのお礼状の場合は、メールほどすぐには届きませんから、もう少し時間がかかってもよいようです。でも、それでも 2〜 3日中には届くようにしなければなりません。 ◆する人が少ないからこそ効果抜群 手紙やハガキのお礼状には、メールにはない暖かみがあります。たまに毛筆のお礼状を頂くことがありますが、くださった方に対して敬意さえ抱きます。 こうしたお礼の連絡は、した方がよいと言われながら、実際に行っている人はそれほど多くはありません。でも、だからこそ、相手に強い印象を与えることができます。ビジネスをスムーズに進めるために、是非活用してみてください。

 

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