◆研修会場の変更を伝えていなかった……!「関係者って誰に連絡すればいいんだろう……」「あとで課長に聞いてから連絡すればいいや……」このように、連絡事項の確認不足で、連絡を後回しにするクセがついているビジネスパーソンを、研修活動を通して多く見てきました。私がある企業の研修に行ったとき、窓口となっていたAさんから研修前日までほとんど連絡がないということがありました。少し不安になりながらも、当日を迎えましたが、開始時間になっても誰一人会場に現れません。実は当日の会場が1週間前に変更になったのですが、なんとAさんは、参加者に対して会場変更の連絡を忘れてしまっていたのです。結局、1時間遅れで研修は開始できたものの、Aさんは上司や研修参加者から信頼を失うことになってしまったのです。どうしても連絡は、報連相の中で一番軽視されがちです。ですから、勝手に「連絡しなくていい」と判断してしまい、上司に「そんなこと聞いていないぞ」「なんで連絡しなかったんだ!」と怒られるケースもよくあります。連絡をする目的は、関係者の間での情報共有です。仕事によっては、上司だけではなく、他部署、社外の人などが関係者に含まれる場合もあるでしょう。そのため、情報は全員に漏れなく伝える必要があります。もし一人でも伝わっていない人がいたら、それは連絡したことにはならなくなってしまうのです。「Aさんには伝わっているけど、Bさんには伝わっていない」ではトラブルの原因になってしまいます。万一、情報共有に漏れが生じることがあれば、あなたに対する信用も一気に失ってしまう可能性があるので、連絡こそ注意深く行わないといけません。◆「連絡管理表」の形でデータに残すそこで、連絡についてはデータとして残して、管理することをおすすめします。たとえば、「連絡管理表」などの形で、いつ、誰に対して、どのような方法で、どんな情報を連絡したのか、といった事柄を漏れがないかチェックします。速くて正確な連絡こそ、信頼されるビジネスマンへの第一歩です。情報共有のためには、スピーディーな連絡を心がけます。連絡は「鮮度」が命です。情報を新鮮なうちに関係者に届けることで、より早く対策ができたり、ミスの二次災害を防ぐことができます。連絡はとにかくスピード勝負なのです。また、スピーディーに連絡することで情報共有の漏れもなくなります。関係者全員のスケジュールや居場所を、常に把握することなど、とても不可能です。たまたま社内にいたAさんには連絡できたものの、外出しているBさんには連絡できなかった、ということが起きないためには、やはりスピーディーに動くしかないのです。連絡すべき関係者が多ければ多いほど、早め早めに手を打ちましょう。とはいうものの、スピードだけにこだわった、単なる連絡係になってもいけません。仮に、あなたが直接携わっていない仕事であるにもかかわらず、上司から社外の関係者にメールで連絡するようにと、指示があったとします。「●●さん、この5人の関係者に▲▲について連絡しておいてくれないか。内容はこの通りだから」と、メモを渡されました。あなたは、ただ上司の指示通りにメールで連絡します。でも、連絡を受けた人は、発信者であるあなたも関係者であり、送られてきた内容について理解していて、質問にも答えられるだろうと思うはずです。単なる連絡係になることなく、連絡内容についてしっかりと理解した上で、なおかつスピーディーに連絡することが大切です。
◆「言った・聞いてない」でトラブルに上司「そういえば、今日の会議は部長は欠席だよね?」部下「いえ、部長は出席されますが……」上司「え!聞いてないよ!そういうことは早く連絡してくれないと!」部下「(先週ちゃんと連絡したのに……)」第1章でもお話ししましたが、報連相ではこのような「言った・聞いてない」というトラブルが非常に多いです。では、なぜそのようなトラブルが多発してしまうのでしょうか?連絡は相手に対して「一方的に伝える」ことのように思われるかもしれませんが、そうではありません。実は、一方通行ではなく、双方向なのです。相手から何らかのリアクション、伝わったことが確認できて初めて連絡が完了したことになります。もちろん、連絡を受ける側がしっかりと確認すれば良いのですが、日々多くの仕事を抱えている上司が、細かい連絡を忘れてしまうことも多々あります。ですから、連絡内容がしっかり相手に伝わったかどうか、常に確認することが大切です。とくにメール、伝言メモ、FAXなどは、その場で相手のリアクションがあるわけではなく、一方通行のコミュニケーションに陥りやすい傾向があります。また、口頭での連絡も「言った・聞いてない」というトラブルが起こる可能性が非常に高いです。連絡する側は正確に言ったのに、受け手が聞き損ねたのか、あるいは聞き間違いをしたのか。それとも、連絡する側が言い損ねたのか。本当の原因はわかりません。しかし、こうした初歩的なコミュニケーションミスは、もっと大きなトラブルに発展しかねませんので、連絡は書面で残すことを心がけましょう。必ずしも、Wordなどのワープロソフトで打ったものを印字する必要もありません。場合によっては手書きのメモ、付箋、メールでもかまいません。とにかく、文字として残しておくことが大切です。◆伝言をお願いするときは要注意あなた「Aさん。申し訳ないけど、課長に▲▲商事のBさんから電話があって、折り返し電話がほしいと言っていた』と伝えてもらえる?私、これから外出しないといけなくて」Aさん「わかった。伝えておくね」日常的によくある伝言のシーンですね。このようなちょっとした連絡であっても、第三者にお願いした場合には注意が必要です。課長に伝わったかどうかの確認は、決しておろそかにしてはいけません。帰社後、課長に対して確認するときは、「課長、Aさんからお聞きかと思いますが、▲▲商事のBさんから電話があり、折り返し電話がほしいとのことでした」と話します。課長からは「ありがとう、Aさんから聞いたよ!」と返事があるはずです。でも、もしそのやり取りをAさんが見ていたら、「『伝えておく』と言ったのに、私のこと信用していないのかな?」と少し嫌な気持ちになることもあるでしょう。そこで、Aさんに伝言をお願いするときに、もうひと言添えるようにします。「戻ったら、私からも課長に話すけど、急ぎみたいだから、その前にお願い!」と。このひと言があれば、Aさんだって嫌な気持ちになることはないはずです。この小さな気遣いこそ、周囲から信頼を得る大きなポイントです。伝言をお願いした人に対して、伝えてもらったかどうかの確認を取ることも大切です。その場合、「課長に伝えてもらった?」とストレートに聞く方法もあれば、少し遠回しに「課長何か言っていた?」と確認する言い方もあります。連絡は伝えるだけの一方通行のコミュニケーションではなく、双方向のコミュニケーションです。それは、第三者が間に入ったとしても変わりません。大きなトラブルやミス、「伝えたのに怒られる」という理不尽な場面をなくすためにも、ぜひ「伝わったかどうかの確認」を習慣化してください。
◆ささいなことでも関係者に「実況中継」報連相の中で、連絡は軽視されがちであると先にお話ししました。でも、実は一番頻繁に行う必要があるのが連絡なのです。報告や相談は、相手に考えてもらい、すぐに何らかの結論を求める行為です。次の指示をもらったり、アドバイスしてもらったり。でも、連絡は情報が共有されれば、今すぐ何かを求めることもありません。連絡は相手に負担をかけることもないので、とにかく「知らせる」ことにこだわってください。とは言っても、「どこまで細かく連絡すればいいのか?」と頭を悩ます方も多いでしょう。しかし、「この情報は連絡しなくてもいいか」と、勝手に判断することは危険です。何が重要で、何が重要でないか、ということは連絡を受ける相手が決めることで、連絡する側が決めてはいけません。たとえば、仕事中にもかかわらず、テレビで生中継しているスポーツの様子がどうしても気になってしまう、なんてことはありませんか?ネットでたまに状況をチェックしながら、「勝っている!」「負けている!」などの経過を知るだけでも、ひとまず仕事に集中できたりします。実は、この「知る」ということで、私たちは安心するものなのです。仕事も同じで、関係者に連絡することで「知っている」状態をつくり、安心してもらうことができます。今の仕事の状況を知らせるだけでもかまわないのです。逆の立場から考えてみてください。たとえば、チームで仕事を進めている場合に、あなたの知らないところで何か進んでいたら、疎外感や不安を感じてしまいませんか?ささいなことでも細かい連絡を積み重ねることで、上司にとって必要な情報がすばやく行き渡り、あなたの信頼度アップにもつながります。連絡の手段は、口頭・電話・メール・携帯メール・書面・メモ・付箋・SNSなど、さまざまなものがあるので、それぞれの場面によって使い分けましょう。
◆キーワードを3回はくり返し入れる報告と同様に、わかりやすい連絡は「短い」というのがポイントです。わかりやすい連絡では、重要なキーワードで短く伝えます。しかも形を変えて、何度もしつこいくらいに伝えます。ここでは、相手の印象に残りやすくする工夫をするのが大切です。実際に「●回連絡する」という基準があるわけではありませんが、一度連絡して満足するのではなく、2回、3回とくり返し伝えることが大切です。これは口頭での連絡でも、文書による連絡でも同じことが言えます。つまり、忘れられなくするため、記憶に留めてもらうために「短く、そして何度でも伝える」のです。たとえば、次回の課のミーティングを控え、課長から「課のメンバー全員に、『事前アンケートを提出するように』とメールを出しておいて!」と指示されたとします。そこで、あなたは提出期限の5月5日までに、事前アンケートの提出を求めるメールを送ることにしました。ここで重要となるキーワードは「事前アンケート」「提出期限5月5日」ということです。次図のように、メールの一文に2つのキーワードを3回ずつ入れることで、記憶に残りやすくします。このように、「事前アンケート」「提出期限5月5日」というキーワードを、くり返し伝えることで、相手の記憶に留めてもらうことができます。連絡したい内容を「短くくり返す」ことが、相手に連絡内容を留めてもらうポイントです。
◆社外の人にはとくに慎重に上司「●●社のAさんに見積もりお願いしておいて!あと▲▲社のBさんに明日の打ち合わせの時間も一応確認よろしく!」部下「は、はい!わかりました……」このように、入社数年目で仕事に慣れてくると、上司の補佐として、または自分の仕事関係で、社外の人と連絡を取ることが多くなります。社内の人への連絡であれば、普段から頻繁に顔を合わせることもあるでしょうし、補足の連絡や訂正なども比較的に容易に行うことができます。しかし、社外の人の場合、ほとんど顔を合わせることがなかったり、一度の連絡で、完璧に状況を伝えなければならないことも多いはずです。ですから、社外への連絡の場合には、より注意深くすることが求められます。また、自分より立場が上の人と関わることも多くなりますが、立場が上になればなるほど言葉遣いや表現方法には気をつけましょう。報告や相談は基本的に一人の相手に対して行いますが、連絡は相手が複数の場合も多くあります。対象となるのは、上司・同僚・後輩・他部署など広範囲にわたるでしょう。そのため、情報を受け取る側の関心度や理解度に、どうしてもバラツキが出てきてしまうのです。同じ内容の連絡を受けても、理解できる人もいれば、そうでない人もいます。ですから、複数の相手に連絡する場合は、全員が理解できるような表現で伝えることが重要になります。◆「わざわざありがとう」と一気に評判アップ「お礼の連絡は社会人としての基本」と教えられた方も多いのではないかと思います。上司や先輩にごちそうしてもらったあと、何かを手伝ってもらったあと、贈り物をもらったときなど、ビジネスシーンではお礼の場面が数多くあります。しかし、どのタイミング、どのような手段、どのような言い方でお礼を伝えればいいのか悩むこともあるでしょう。基本的にお礼の連絡は「すぐに」と考えてください。たとえば、SNSでメッセージをもらったら、メッセージを返信しますよね。私たちは、誰でも「相手から何かを与えられると、それを返さなくてはいけない」という気持ちになります。逆に、SNSでメッセージを送っているのに、返信がなかったら「なぜ?」と思ってしまいます。この「何かをもらったら、何かを返す」という心理は、ビジネスでも同じなのです。あなたが外出中に担当しているお客様が来社し、お菓子の詰め合わせをお土産としていただいたとしましょう。このような場合、帰社したらすぐにお礼の連絡を入れます。帰社してから、5分以内にできるといいです。できれば、電話がいいでしょう。もし電話が通じなければ留守電、携帯メールでもかまいません。「わざわざ連絡くれなくてもよかったのに」とお客様は言うかもしれませんが、内心では嬉しいものです。そして、あなたへの信頼感もアップします。お礼の連絡は〈超速〉が基本なのです。また、あなたが何かお願いをして、相手が動いてくれた場合などは、なおさらお礼の連絡は必要です。お客様に「どなたかお友達を紹介してください!」とお願いした場合には、「紹介してもらった人とアポイントが取れた」「初回訪問した」「受注が決まった」など、節目節目で連絡すべきです。お客様から「もう連絡しなくてもいいよ。あなたが思うようにしていいから」と言われるまでこまめに連絡します。自分がしてあげたことに対して、そこまでお礼を言ってくれる人のためには、「次回も何か協力してあげよう」と思うものです。そうすることで、次回相手と一緒に仕事をするときに、これまで以上にあなたの思う通りに仕事が進めやすくなるはずです。
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