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第1章 報告

■はじめに以前、新聞に「若手の先輩社員に、自らの経験を基に『新入社員に言いたいこと』を聞いたところ『ホウレンソウ』といわれる基本的なマナーが上位に並んだ」という記事が出ていました。ビジネスの世界ではもはや常識となっている「ホウレンソウ」とは、「報告(ホウ)・連絡(レン)・相談(ソウ)」のこと。新入社員にも「できて当たり前」として求められる、重要なマナーです。なぜ「ホウレンソウ(報告・連絡・相談)」が大切なのでしょうか。組織は複数の人間の集まりです。そして、上司と部下、関連する部署間の連携プレーで仕事をしています。その基本をなすものがホウレンソウです。部下は上司の指示・命令・依頼によって動き、上司は部下からのホウレンソウによって状況を判断して、次の指示・命令を発します。ホウレンソウが適宜、適切に行なわれないと組織は機能しなくなり、崩壊してしまうのです。実際、ビジネスの世界で不祥事が発生すると、必ずささやかれるのは「ホウレンソウの不足」です。組織の拡大や仕事の複雑化、Eメールの普及に代表されるようなコミュニケーション手段の多様化などに伴い、ますます適宜、適切なホウレンソウが求められてきています。「ホウレンソウは常識だ、わざわざ教えるまでもない」と言う人もいますが、ビジネスに関する常識は教えなければなかなか身につきません。だからといって、上司が丁寧にホウレンソウを教えてくれる会社はあまりないでしょう。そこで本書では、身近な事例を借りてホウレンソウの留意点、ポイントをわかりやすく解説しています。また、Eメールによるホウレンソウについてや、ホウレンソウを円滑に実行するための知恵についても紹介しています。どこから読んでも構いませんので、興味を惹かれたところから読んでみてください。厳しい経済環境のもとで、日夜ご苦労されているみな様のお役に立てれば、幸いです。

CONTENTSはじめに「ホウレンソウ」実践度チェック第1章報告01報告相手の「都合」を考える報告の際、上司の席に行ってどのようにアプローチするか02結論は先に、言い訳は後にする長いイントロは上司をイライラさせる03「事実」と「憶測」は分けて報告する出所や根拠が確かでないことをそのまま報告しない04問われることを前提に報告に臨む質問されることを想定して事前に答えを用意しておく05まずいことこそ早めに報告する失敗を放っておくと、大ごとになる場合がある06事実をごまかさず、正直に報告するミスを報告せずに隠そうとしても必ず露見する07中間報告を怠らない進行状況を報告しないと上司(依頼主)は不安になる08「こんなことは」と思わずこまめに報告する些細なことでも報告すると信頼感が生まれるコラム1自分勝手な判断はしない

第2章連絡

09状況を「把握」してから連絡する指示された事柄を右から左へ伝えるだけではダメ

10相手の期待に添えない結果でも連絡する相手にとって残念な事柄もきちんと連絡するのがマナー11言葉の「省略」には注意する言葉を正確に、具体的に話すことが大事12重要な事柄は「確認」を怠らない「本当に届いたか」の確認はビジネスの鉄則13誤解の生じかねない言葉は注意して使うあいまいな言葉を使ってはいけない14早め、早めの親切な連絡を心がける早めの連絡が相手からの信頼につながる15連絡の「タイミング」を考慮する内容・状況によっては連絡しないほうがよい時もある16大切な連絡には手間隙を惜しまない悪い知らせを伝える時こそ人間性が問われるコラム2完済のお礼に花束を届ける信用金庫第3章相談17相談相手の「都合」を考える「ちょっとよろしいですか」だけではよくない18内容を整理してから相談する一方的に悩みをぶつけても相手は理解できない19自責を隠さず相談する責任問題になりそうな時こそホウレンソウを20自分ひとりで問題を抱え込まない上司に助けを求めることは悪いことではない21不明点・疑問点は悩まず相談する時には、上司や先輩の豊富な知識を利用するべき22上司の出方を読んで相談に臨むある程度、自分の考えをまとめてから相談する23再検討を促されてもすぐ引き下がらない

早めの連絡が相手からの信頼につながる15連絡の「タイミング」を考慮する内容・状況によっては連絡しないほうがよい時もある16大切な連絡には手間隙を惜しまない悪い知らせを伝える時こそ人間性が問われるコラム2完済のお礼に花束を届ける信用金庫

第3章相談

17相談相手の「都合」を考える「ちょっとよろしいですか」だけではよくない18内容を整理してから相談する一方的に悩みをぶつけても相手は理解できない19自責を隠さず相談する責任問題になりそうな時こそホウレンソウを20自分ひとりで問題を抱え込まない上司に助けを求めることは悪いことではない21不明点・疑問点は悩まず相談する時には、上司や先輩の豊富な知識を利用するべき22上司の出方を読んで相談に臨むある程度、自分の考えをまとめてから相談する23再検討を促されてもすぐ引き下がらない一度で通る提案はめったにないと思え!24言外の相手の「思い」を察する気の利いた対応の原点は、相手の胸の内を察することコラム3勝手な決めつけは禁物第4章Eメール25相手にわかる用件名にするあやしいメールではないことを伝えなければならない26送信内容は読みやすいものにするメールも相手の読みやすさを考えてレイアウトする27返信は速やかにするメールを受け取ったと知らせがあると相手は安心する28言葉足らずにならないよう気をつける微妙な内容のメールはとくに表現に気をつけるべき29正しい文章を心がける間違いだらけだと知識レベルまで疑われる30手段の使い分けをする

一度で通る提案はめったにないと思え!24言外の相手の「思い」を察する気の利いた対応の原点は、相手の胸の内を察することコラム3勝手な決めつけは禁物第4章Eメール25相手にわかる用件名にするあやしいメールではないことを伝えなければならない26送信内容は読みやすいものにするメールも相手の読みやすさを考えてレイアウトする27返信は速やかにするメールを受け取ったと知らせがあると相手は安心する28言葉足らずにならないよう気をつける微妙な内容のメールはとくに表現に気をつけるべき29正しい文章を心がける間違いだらけだと知識レベルまで疑われる30手段の使い分けをするメールだけに頼らず、他の方法を併用するコラム4言葉がひとり歩きする第5章ホウレンソウを補完する知恵31相手の話をよく聴くよいコミュニケーションの第一歩は聴くこと32言葉だけでなく「アクション」を入れる身振り、手振りをつけると意思が伝わりやすくなる33人を見て法を説く相手の理解度を測りながら話すことが大事34早呑み込み、早とちりをしない相手の気持ちを読んだつもりが的はずれになる場合もある

メールだけに頼らず、他の方法を併用するコラム4言葉がひとり歩きする第5章ホウレンソウを補完する知恵31相手の話をよく聴くよいコミュニケーションの第一歩は聴くこと32言葉だけでなく「アクション」を入れる身振り、手振りをつけると意思が伝わりやすくなる33人を見て法を説く相手の理解度を測りながら話すことが大事34早呑み込み、早とちりをしない相手の気持ちを読んだつもりが的はずれになる場合もある35良好な人間関係を構築する良好な人間関係がホウレンソウを円滑にする※本書は2006年に刊行した『知りたいことがすぐわかる!ホウレンソウ[報告・連絡・相談]の習慣が面白いほど身につく本』を改訂したものです。

35良好な人間関係を構築する良好な人間関係がホウレンソウを円滑にする※本書は2006年に刊行した『知りたいことがすぐわかる!ホウレンソウ[報告・連絡・相談]の習慣が面白いほど身につく本』を改訂したものです。本文イラスト/藤本知佳子編集協力/小川由希子

01報告相手の「都合」を考えるいきなり話し始めないこと上司の席に行って、「ちょっと報告したいことがあります」といきなり話し始める部下がいますが、これはよくありません。上司にも都合のいい時と、そうでない時があります。こまめに報告することは必要ですが、相手の都合も考えなければいけません。常日ごろ、「いつでもホウレンソウに来い」と言っている上司でも、部下にひっきりなしに報告に来られては困ります。緊急の報告の場合は、上司の都合を確認するまでもありませんが、そうでない場合は、上司の都合を確認した上で報告するべきです。もし上司が忙しそうにしていて、時間がなかなかとれそうもない時は、「○○の件でご報告したいことがありますので、ご都合がよい時に声をかけてください」というメモやEメールで申し入れしておくとよいでしょう。とくに、込み入った事柄を報告するような場合には、相手の時間を相当とってしまうことにもなるので、用件をまず伝え、相手の都合を確認してから本論に入るべきです。言葉遣いに注意してまた、上司の都合を確認する時、言葉遣いには十分注意することを忘れずに。上司と親しい人間関係ができていると、「今、暇ですか?」などと声をかけてしまうことがあるかもしれませんが、これでは目上の人に対して失礼です。「確かに今、それほど忙しくはないが、部下である○○くんにそのように言われることはない!」と腹を立てる上司もいるでしょう。「親しき仲にも礼儀あり」で、「○○の件でご報告しておきたいことがあるのですが、今、お時間よろしいでしょうか?」という具合に声をかけましょう。タイミングをはかろう上司といえども人間で、出がけに奥さんと口げんかして機嫌が悪かったり、体調が悪くて気分が優れないこともあるでしょう。そのような時は報告のタイミングを考慮しなければなりません。気分が悪い時に厄介な事柄を報告・相談すると、普段だったらすんなり了解されるものが、そうでなくなってしまうこともあります。厄介な事柄を報告・相談する時は、上司の表情を確認したり、上司の近くにいる人に上司の機嫌を確認したりしてからのほうがよいでしよう。相手の姿が見えれば、当人がどういう状況にあるかがある程度わかり、大変忙しそうであれば報告・相談は後回しにしようという判断は容易につきます。しかし、電話のように相手の姿が見えない時は、相手の状況を予想しなければなりません。たとえば、月曜日の朝一番であれば、今ごろは部内のミーティングをしているのではないかと想像して、一刻を争う用件でなければ時間をずらすという配慮が必要です。

02結論は先に、言い訳は後にするダラダラと前置きをしない報告に来た部下が、肝心の話をせず、ダラダラと周辺の話ばかりをしていると、忙しい上司は「いったい、君は何を報告したいんだ」といらだってくるでしょう。たとえば、報告に来た部下が次のような前置きをしたとします。「今日、A社を訪問したのですが、はじめてだったので、道がわからず苦労しました。なんとか先方に着いたものの、約束の時間に10分も遅れてしまいました。そのため、お会いする予定の先方の部長が外出してしまい、参りました。その上、悪いことに……」こんな前置きから話し始めると、上司は次のように言うはずです。「わかった、その辺の事情はもういいから、結果はどうなったんだ。うまくいったのか、ダメだったのか、結果を早く聞かせてくれないか」言い訳や苦労話は後回しに結果が思わしくない時の報告は、「自分は精一杯努力したが状況が悪かった」「周囲の協力が得られなかった」など、言い訳めいた話から始めがちです。「いやぁ、参りました。やっぱり景気の低迷には勝てないものですねぇ。私も誠心誠意頑張ったのですが、よそ様も必死ですからなかなか厳しいですねぇ。ウチの積算部門の連中も頭が固いし、それに……」こんな言い訳めいた話をしていると上司はじれてきて、次のように言うはずです。「わかった。言い訳は後でゆっくり聞くから、結果はどうなったんだ。受注できたのか、ダメだったのか」また、自分の心配ごとばかりに気をとられて、要領を得ない報告をしてしまう人もいます。たとえば、あなたが上司から3つの会社の資料入手を指示されていて「この間頼んだ資料の入手はどうなっている?」と問われたとします。その時、「B社からの資料は明日中には届けてくれることになっていますが、B社は過去にも約束を守らなかったことがありますので心配です。昨日も今朝も念押しのメールを入れてありますが、今になっても返事がありません。今、大変困っています」などと答えたらどうでしょう。これでは、残りの2つの資料がどうなっているのかわからず、上司の質問への答えになっていません。上司は「残りの2つはどうなっている?」と聞かざるを得ないことになります。忙しい上司は言い訳や状況の説明より、結論を知りたがっています。報告に当たっては、「受注できませんでした」「3つのうち、2つの資料が入手できました。もうひとつは明日、入手できる見込みです」などと、まず結論を先に話しましょう。その上で時間があれば、経緯や状況の説明をするべきです。

03「事実」と「憶測」は分けて報告する報告内容を事前にチェック上司を含む関係者に何かを報告する場合、事実を正確に伝えなければいけません。この場合の事実というのは、誰もが否定しようがない客観的事実のことです。報告者である当人はすべて事実として報告しているつもりでも、自分の意見・憶測が入っている場合があります。早呑み込みの上司だと、報告者の報告内容をすべて真実としてとらえ、それを基にどうするかという判断をしてしまう恐れがあります。報告内容をあらかじめチェックして、客観的事実と自分の意見・憶測は分けて報告しなければいけません。不確定な情報はそのまま報告しないたとえば、工場で不良品が発生して次のような報告があったとします。「今朝の急激な冷え込みのせいで、○○製品に××不良が全生産量の10%に発生しています」この場合、「○○製品に××不良が全生産量の10%に発生している」というのは客観的事実であるとしても、「今朝の急激な冷え込みのせいで不良品が発生した」というのは、事実かもしれないし、報告者の意見・憶測かもしれません。口頭でこのような報告があると、そこに憶測が入っていたとしても、上司はすべてを事実のように受け止めてしまうでしょう。暖房を早めに入れて、作業場内の温度の低下を防ぐという対策を指示するかもしれません。このような報告をする時は、「○○製品に××不良が全生産量の10%に発生しております。これは私の憶測ですが、今朝の急激な冷え込みのせいではないかと思います」という具合に、「客観的事実」と「自分の意見・憶測」は分けて報告します。そう報告すれば、上司は「君の憶測の根拠はどこにあるんだ?」という問いかけがしやすいですし、あわてて間違った指示を出すこともないでしょう。情報を鵜呑みにしない関係者から上がってきた内容を上司に報告する場合は、その内容の「精度・出所」を確認してから報告したほうがよいでしょう。関係者に悪気はなくても、報告内容にその人の意見が入っていたり、勘違いなどで間違った内容になっていたりすることがあります。関係者の言ってきた内容を十分確かめず、すべてが真実であると自分で勝手に判断して上司に報告してしまうと、上司はその内容に基づいて、間違った対策を講じることになりかねません。これは、のちのち部下への不信に発展してしまいます。人づてに得た情報は、確かな根拠がない限り事実とは言えません。関係者の言葉を鵜呑みにすることなく、「誰が言ってきたのか」「どこの情報なのか」「根拠となった事実は何か」を確認することが大切です。

04問われることを前提に報告に臨む「わかりません」では評価されない指示・命令された事柄について適宜・的確に報告することは必要なことですが、事実をただ単に報告するだけでよいかというと、そうでもない場合があります。一般的に、上司に何かを報告した時「あっそう、わかった。ご苦労様」という答えが返ってくることがほとんどです。しかし、何か好ましくないことが起きたことを報告すると、上司は「なぜそのようなことが起きたのか?」と、必ず理由を聞きます。さらに「では、どうしたらよいか、君の意見を聞かせてくれ」などと言われることもあるでしょう。上司から問われても「わかりません」の連続では、上司を怒らせることになります。新入社員ならともかく、ある程度経験を積んだ社会人なら、多少でも厄介なことを上司に報告する場合は、問われることを前提に自分の意見なり、判断を持って臨むことが必要です。自分の判断・意見を持とう営業担当が「○○商品の売り上げが前月比20%落ちました」と報告すれば、上司は「なぜ、売り上げが落ちたのか?」と、必ず原因を聞いてきます。もし、営業担当の主張する原因が腑に落ちない時は、さらにつっ込んで聞いてくるでしょう。説明に論理性があり、裏づけもとれていれば納得してもらえますが、当てずっぽうのいい加減な答えだと、上司の不信を買うことになります。報告する前に、なぜそのようなことが起きたのかという原因を正しく把握した上で、報告に臨みましょう。そして、この事態に対して「では、どうしたらよいのか?」と問われることを想定して、「早急に次のように対処いたします。再発防止のためにはこの方法を考えております」と再発防止対策も提示できれば、上司は安心します。上司に問われる内容を想定して意見を整理して上司からなんらかの企画立案を命じられ、自分なりにベストと思われる案を用意して報告に臨んだ時、鋭い上司は「なぜこの案を考えたのか」「別の案はないのか」などと聞いてきます。ここで、自分の意見が伝えられなければ、企画案は採用されません。上司を説得し、納得させるためには、「企画案の狙いはどこにあるのか」「他にどんな案があったか」「なぜ、この案を選んだのか」「採用した企画案を実行した際のリスクはあるか」など、あらかじめ上司から問われる内容を想定した上で、答えを整理してから報告しましょう。何か意見を求められた時、適切に答えることができれば、上司からは「あいつは頼りになる」という評価が得られ、信頼度が高まります。

05まずいことこそ早めに報告するミスをひとりで抱え込まない私たちは、結果がよかった時は関係者に喜んでもらいたいという気持ちも手伝って早めに報告しますが、結果が悪かった時の報告はつい遅れてしまいがちです。しかし、結果がよかった時は急いで報告しなくてもよく、悪かった時こそ早く報告するべきです。なぜならば、好ましくないことが起きてもできるだけ早めに報告していれば、部下より権限を有する上司の立場で、なんらかの手が打てるかもしれないからです。反対に、土壇場になってからの報告では、上司でもどうしようもできないことも多いのです。早めの報告で失敗を乗り切る私たちは問題が起こると、しばしば自分ひとりで解決しようとしてしまいます。自分で解決しようと頑張り、その結果、うまくいけばよいのですが、さらに状況が悪化することもあるでしょう。どうしようもなくなったところで上司に報告・相談に行くと、上司から必ず「なぜもっと早く報告してくれなかったんだ。報告がもっと早ければ手の打ちようがあったのに」と注意を受けることになります。あなたがメーカーの資材の購買担当だったとします。自分の手配ミスで納期にAという部品が入らないことが判明した時、あなたならどうするでしょうか。自分でミスをカバーしようと、どうにかA部品を入れようとしても、一担当者の立場では限界があります。一方、部下より権限のある立場の上司であれば、同時並行で手配しているBという部品のほうを後まわしにして、A部品を優先するという処置がとれるかもしれません。あるいは、生産部門に連絡して、A部品を使う工程を後まわしにするなど、生産ラインの組み替えが可能かもしれません。ただし、このような対策がとれるのも、早い段階で状況を正確に報告した場合です。納期が間近になってからの報告では、上司といえどもどうにもできないことも多いのです。手配ミスなど、仕事上で何か失敗があったとしても、それは一時的なミスにすぎません。素早く上司に報告して、善後策を講じることにより、その後の影響を最小限に済ませれば大きな失点にはなりません。しかし、自分だけでどうにかしようと報告・相談を怠ったことで、周囲に多大な迷惑をかけ、ひいては上位者の責任問題にも波及してしまうと、これは大きな失点です。「バッドニュースは早めに、グッドニュースは後に」をモットーに、まずいことも早めに関係者に報告・相談しましょう。多少叱られることはあっても、上司は立場上、なんらかの指示や解決法を与えてくれるはずです。経験の豊かな人、権限の範囲が広い人であれば、失敗の悪影響を最小限に抑えることができるものと考えて、早め、早めに報告・相談しましょう。

06事実をごまかさず、正直に報告する叱責を恐れない何か好ましくないことが発生して、上司に報告すれば叱られることが明らかであったとしても、事実を正直に報告して善後策を講じるべきです。一般的に好ましくないことをしてしまった時、私たちは責任を追及されることを恐れて、自分の責任に帰することを正直に言わないことがあります。とくに、責任感の強いきまじめな人ほど、自分でなんとかしようと頑張る傾向があります。しかし、正直に話をしないと、上司には真実がわからず、場合によっては間違った判断をしてしまいます。小さな失敗が重大な問題に発展することもあるので、勇気を奮って正直に報告しましょう。過失を隠すと上司に迷惑をかける以前、兵庫県尼崎市で発生したJR西日本の車両の脱線により、貴い命が多数失われるという事故がありました。電車が事故現場の手前の駅で、40メートルのオーバーランをしていながら、その電車の車掌は亡くなった運転士と口裏を合わせて、運転指令所にオーバーランは8メートルであったと虚偽の報告をしたそうです。オーバーランしたのは運転士の責任ですが、車掌が運転士の依頼があったからといってなぜそのような口裏合わせをしたかというと、車掌にも過失があったからだそうです。車掌は、停止位置を過ぎても電車が止まらないのに気づきながら、手元の非常ブレーキのスイッチを押すという車掌の本来なすべき行為を怠ったというのです。大幅なオーバーランで生じた遅れを取り戻すために、本来の速度を相当上回るスピードで電車を運転したことは、想像に難くありません。電車のオーバーランした距離が正しく報告されていれば、事故直後のJR西日本の記者会見時の対応は、異なったものになったはずです。うその報告は物事を悪化させる人間だから誰だって自分がかわいいですし、保身にまわりたい気持ちになるのは当然です。しかし、前述の例のように、叱責されるのを恐れて、うその報告をしてしまうと、思った以上に大きな問題に発展し、場合によっては会社の存在を危うくさせてしまうこともあります。一度、うそをつくとうその上塗りをしなければならないことになりかねませんし、隠しても、うそはいつかばれるものです。真実が明らかになった時、上司の怒りの矛先は正直に報告しなかった報告者に向かいます。仕事上で失敗をすることは決してほめられたことではありませんが、人間ですから、時には失敗することもあります。失敗は失敗として勇気を奮って正直に報告すれば、叱責されることはあっても上司の判断を誤らせるようなことはありません。どんな場合も自責を隠すことなく、事実を正直に報告するよう、肝に銘じましょう。

07中間報告を怠らない上司は実は気にしている仕事が終了したら、上司への報告は絶対必要ですが、仕事がまだ終了していなくても、ひと区切りついた時点で、中間報告をしておく必要があります。上司から任された仕事が多少厄介な事柄であっても、完全にでき上がったら報告しようと思いがちです。そんな時、よく上司から「○○会社の件、どうなった?うまくいきそうか?」と報告を督促されることがあります。仕事を任せたといっても最終責任をとるのは上司ですから、気にしていないようで結構、進捗状況を気にしているものです。上司は進捗状況がわからないと不安を感じてしまいます。タイミングよく中間報告があれば上司は安心するし、場合によってはアドバイスがもらえることもあるでしょう。間違った方向に進んでいたら、それを指摘してもらうことで軌道修正をすることもできます。組織内の仕事は連携プレーで進めていくことが多いので、進捗状況は上司にこまめに報告しておくべきです。取引の信頼につながるお客様から何かを依頼され、その用件が多少でも長引くような時にも、やはり中間報告をしておきましょう。依頼された事柄に一生懸命取り組んでいても、相手にはこちらの状況は見えないことが多いので、適宜、的確な報告・連絡をするべきです。とくに時間のかかる仕事を依頼された場合、中間報告を怠ると、相手を不安にさせ、最悪、顧客を失う場合もあります。実際、こんな話がありました。通信関係の会社が競ってある特定商品の加入者獲得に乗り出していた時のこと。大手のN社に次ぐK社の担当者Aさんが顧客であるS社を訪問したところ、先方の責任者にこう言われました。「これまでのおつき合いからいけば、当然おたくにお願いするのが筋だが、N社にしてしまったよ。ウチがお願いしたことに対していつまでたっても返事がないので、おたくはウチみたいな小さい会社は相手にしないと思ったんだよ。それに引き換え、N社はすぐ返事をくれたから、お願いすることにしたんだ」Aさんは、「私どもは、御社から要望された5項目についていろいろな角度から慎重に検討していたのです」と説明をしましたが、「おたくでどのように検討しているかは、私にはわからない。なぜ途中で何かしらの報告をしてくれなかったんだ。それがあれば、おたくが真剣に検討しているということがわかって、それなら待とうということになったと思う」と先方の責任者に言われたそうです。中間報告をすることは、進捗状況とともに、自分たちの努力している姿を伝えられるので、相手を安心させることにつながります。上司や取引先・お客様から報告の督促があるようでは、ビジネスマンとしては失格と心得て、タイムリーな報告を怠らないようにしなければいけません。

08「こんなことは」と思わずこまめに報告する「気の利かない奴」と言われないためにこんな些細なことはわざわざ報告するまでもないだろうと勝手に思い込んで、報告を怠ることがあります。上司から「この文書を得意先のA社にFAXで送っておいてくれ」と依頼されたとします。このような場合、依頼された人は正しく送信したので、送信終了したことをあえて報告するまでもないと思いがちです。ところが、依頼した上司はその送信したものをA社の担当者に見てもらいながら話をしようと思っていたとします。「先ほどの依頼されたものは先方にFAXしておきました」と報告すれば、上司から「ありがとう、では早速A社と打ち合わせする」と感謝を込めた言葉が返ってくるでしょう。しかし、報告をしないと、上司から「さっき頼んだものは送信してくれた?」と聞かれることになります。「ええ、確かに送信しました」とあっさり答えようものなら、「そういうことはしっかり報告してくれよ!」と言われてしまうでしょう。そんなことが繰り返されると、そのうちに「あいつは気の利かない奴だ」というレッテルを貼られてしまい、信頼を損なうことになりかねません。わざわざ報告しなくてもいいだろうという思い込みが、時として関係者の不信を招くことがあるのです。報告するか迷った時は、報告すべき上司は、部下が自分の指示した通りやってくれていると信用していても、何も報告がないと気になるものです。太っ腹に見える上司といえども、気の小さい人(神経質な人)であるとみなして、それをカバーするために部下のほうから気を利かせた報告をするべきです。通常、余計な報告というものはありません。報告するべきか否かで迷ったような場合は、報告するのが正解です。たとえば、取引先を訪問した際、社内になんとなく落ち着きがなく、ばたばたしているような印象を受けたとします。さらに、以前の担当者の消息を確認すると最近辞めたとのことで、他の社員の表情も生気がないような感じがします。トラックの出入りもいつもより頻繁なようです。こんな時、何かあるかもしれないと直感的に引っかかるものがあれば、帰社してから、上司に「私の杞憂かもしれませんが」と前置きした上で気になったことを報告しておくとよいでしょう。経験豊かな上司から「それはひょっとしたら最悪の事態の前触れかもしれないので、もう少し情報をとってみよう。貴重な情報をありがとう」と感謝されるかもしれません。ちょっと気になるようなことがあったら、こんなことはわざわざ報告するまでもないだろうと思わず、こまめな報告に徹するべきです。報告が多いと「お前はマメだなぁ」と苦笑を浮かべながら言う上司はいるかもしれませんが、怒る上司はめったにいません。

「報告」とは「報告」とは、仕事の経過や結果を上司やお客様などに伝えることである。報告には、指示された仕事の現況・結果を知らせる「義務としての報告」と、自分の聞いたこと、見たことを自主的に知らせる「情報提供としての報告」がある。「ホウレンソウ」という言葉はいつから?報告・連絡・相談を表す「ホウレンソウ」が広まったのは、昭和61年、当時の山種証券の社長であった山崎富治さんが、『ほうれんそうが会社を強くする』という本を世に出してからであるといわれている。ホウレンソウが適切に行なわれない理由①「認識のギャップがある」部下は、「こんなことはわざわざホウレンソウしなくてもよい」と思っているが、上司は「当然、ホウレンソウがあるはず」と思っているなど、認識のギャップがあると、ホウレンソウは適切に行なわれない。ホウレンソウが適切に行なわれない理由②「明確な基準がない」ホウレンソウすべき事柄と、そうでない事柄には、明確な基準がない。ある意味、人任せとなっているため、気の利かない人はホウレンソウがおろそかになる。ホウレンソウが適切に行なわれない理由③「タイミングがむずかしい」相手が不在の場合はもちろん、忙しそうにしていたり、不機嫌な顔つきをしていたりすると、ついホウレンソウを躊躇してしまうことがある。ホウレンソウが適切に行なわれない理由④「すぐ怒る上司の存在」何かまずいことをしてしまった時、それを正直に報告すると、烈火のごとく怒る上司がいる。その怒りの激しさや嫌味たっぷりのお説教が嫌で、部下はホウレンソウするのを躊躇してしまうことがある。ホウレンソウが適切に行なわれない理由⑤「責任問題に発展するのを恐れる」何か好ましくないことが発生すると、自分の責任問題になることや、直属の上司、さらには会社に迷惑をかけてしまうことを恐れ、ホウレンソウしたがらない人が多い。ホウレンソウが適切に行なわれない理由⑥「人はホウレンソウが嫌い」人は、他人からあれこれ干渉されることを本能的に嫌うものである。仕事も、任された範囲内で自分の思い通りやりたがるので、ついホウレンソウを怠ってしまう。

コラム1自分勝手な判断はしない●些細なことでも報告をある建設会社の北陸支店で実際にあった話です。ある日、支店長秘書の山口さんは、石井という男性からの電話を受けました。石井さんは「支店長はいる?」とくだけた調子で聞いてきます。「本日、支店長は外出しております」と答えると、「今日もゴルフかな?」と言います。山口さんは失礼な人だなぁと思いつつ、「支店長が戻りましたらお電話差し上げましょうか?」と答えると、「私も外出先なので、後で改めて電話するからいいよ」と、電話は切れました。夕方、支店長が戻ってきた時に山口さんは、石井さんから電話のあったことを報告しようか考えました。しかし、「改めて電話するからいいよ」と言われたし、何よりも電話の調子で石井さんは友人のようだったので、「きっと今晩飲みに行こうという誘いか何かだろう」と勝手に判断して、あえて報告しませんでした。すると数日後、山口さんは支店長から「石井さんから電話があったことをなぜ私に知らせなかったんだ!」と叱られてしまいました。支店長がある会合に出たところ、電話をくれた石井さんから、「この間、仕事の件でいい話があったので電話したんだ。その時秘書の人には『後で電話する』と言ったが、忙しくてできなかった。その後、あんたから電話があると思ったがなかったね」と言われたからです。山口さんは、自分で勝手な判断をしないで、きちんと報告しておくべきだったと深く反省したそうです。

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