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穏やかな心

穏やかな心

穏やかな心は、真実の海のなか……水面から遠く離れた、いかなる嵐の影響もおよばない永遠の静寂のなか……に住んでいます。

穏やかな心は、この上なく美しい知恵の宝石です。

それは、自己コントロールの長く粘り強い努力の結果です。

そして、それが存在する場所には、つねに、成熟した人格と、「原因と結果の法則」に関する確かな理解が存在しています。

人間は、自分が思いによって創られた存在であることを理解すればするほど、より穏やかになります。

なぜならば、その知識は、自分以外のすべての人たちも同じようにして創られた存在であるという認識を、自然にうながすことになるからです。

思いと人格ひいては人生との関係を理解し、原因と結果の観点から、あらゆる現象をより正しく眺められるようになることで、人間は、不平を言い、いらだち、悩み、悲しむことをやめ、より落ち着いた、より安定した、より穏やかな心の状態を保てるようになります。

穏やかな人間は、自分自身を正しくコントロールすることのできる人であり、自分自身をほかの人たちに容易に順応させられます。

そしてそのために、彼(または彼女)と接した人たちは、彼の心の強さを知って敬うとともに、彼が自分たちの手本となりうる人物であり、頼れる人物であることを、肌で感じることになります。

人間は、穏やかになればなるほど、より大きな成功、より大きな影響力、より大きな権威を手にできます。

ごく一般の商人でさえ、より確かな自己コントロール能力と穏やかさを身につけることで、より大きな繁栄を果たせるようになります。

なぜならば、人々はつねに、冷静で穏やかにふるまう人間との関わりを好むものであるからです。

この上なく穏やかな心は、この上なく強い心です。

穏やかな心の持ち主は、つねに愛され敬われます。

彼は、まるで灼熱の大地に立つ日除けの大木のようです。

あるいは、嵐を遮ってくれる巨大な岩のようです。

そんな人間を愛さない人間がどこにいるでしょう。

彼は、雨が降ろうと晴れようと、あるいはその他のいかなる変化に直面しようと、そんなこととは無関係に、つねに柔和であり、静かであり、穏やかです。

「心の平和」とも呼ばれる、そのこの上なく貴重な人格的要素を身につけることは、私たち一人ひとりの究極的な目標です。

それは知恵の極致であり、黄金以上に求められてしかるべきものです。

そうなのです。

その価値は、純金の価値さえもしのいでいるのです。

金銭的な富ばかりを追求している心は、穏やかな心とくらべたとき、どんなに見劣りがすることでしょう! 穏やかな心は、真実の海のなか……水面から遠く離れた、いかなる嵐の影響もおよばない永遠の静寂のなか……に住んでいます。

しかし、自分の人生をみずから苦悩で満たしている人たちが、なんと多いことでしょう。

感情を高ぶらせることで、美しいものや愛すべきもののすべてをだいなしにしている人たち、身勝手な思いによって自分の人格的バランスを壊してしまっている人たちの、なんと多いことでしょう。

人類は、心のコントロールを怠ることで自分の人生と幸せを破壊することを、いったい、いつになったらやめるのでしょう。

バランスのとれた人格を手にしている人たち、その属性である真の穏やかさを所持している人たちの、なんと少ないことでしょう。

そうなのです。

人類はいまなお、コントロールされることのない激しい感情とともに突進し、コントロールされることのない悲しみのなかで取り乱し、不安や疑いの風に吹き飛ばされつづけています。

心の中の風や嵐をみごとにしたがえて生きているのは、自分の思いの浄化とコントロールをなし遂げている、ほんの少しの、真に賢い人たちだけです。

嵐に飛ばされつづけし魂たちよ あなたがたが いまどこにいようとどんな環境で生きていようと このことを知ることだ人生という海のなかには あなたがたにつねに微笑みかけている至福の島がありそこでは明るい日の光舞う美しい海岸……あなたがたの理想……があなたがたの到着をいまや遅しと待ちわびているその手を 心の舵の上にしっかりと置きつづけることだあなたがたの心の帆船のなかではその船の船長が 静かに体を横たえている彼はいま 眠る以外のことを何もしていない彼を目覚めさすことだ! 自己コントロールは強さです。

正しい思いは熟練技能です。

そして、穏やかさはパワーです。

あなたがたの心に語りかけることです。

「静かにしていなさい。

穏やかにしているのです!」

訳者あとがき ――ジェームス・アレンとは

いかがでしたでしょう。

この本が一世紀にもわたって売れつづけてきた理由が、よくおわかりいただけたのではないかと思います。

この永遠の名著を原書に忠実な形で出版していただくことが、私のかねてよりの願いでした。

この場をお借りして、その願いを叶えていただいたサンマーク出版のみなさまに、心より感謝の意を表させていただきたいと思います。

ありがとうございました。

しかし、これほどの本を世に出していながら、アレンには、つねに「謎」という文字がつきまとってきました。

『 AS A MAN THINKETH』を世に出した「謎」の偉人、「謎」の賢者、「謎」の哲学者、というようにです。

事実、現存する彼に関する情報はきわめて少なく、彼を生んだ英国の国会図書館や国立博物館にさえ、彼の私生活に関する情報はまったく残っていないようです。

ただ、一九八二年にプレンティス・ホール社が刊行した『 THE SUCCESS MERCHANTS』という本と、前出のアメリカ人の老婦人からいただいた出所不明の印刷物が、ほんの少しではありますが、彼の人物像をそこはかとなく浮かび上がらせてくれる貴重な情報を提供してくれています。

それを最後にご紹介申し上げて、「訳者あとがき」とさせていただきます。

アレンは、一八六四年十一月二十八日、イングランド中部のレスター市に生まれました。

彼の生家は小さな事業を営んでいましたが、彼が十五歳のときにその事業が破綻し、直後に彼の父はアメリカに渡りました。

アメリカで一旗揚げて家族を呼び寄せるというのが、その目的だったようです。

ところが、こともあろうに、その父がアメリカに着いて間もなく強盗に遭い、命まで奪われるという悲劇に見舞われてしまったのです。

家族は生活に窮し、彼は十五歳にして学校をやめねばなりませんでした。

彼はその後、さまざまな仕事を転々としながら、独学で学び、一九〇二年に作家として生きる決意を固める直前は、数名の工業家のための経営コンサルタントとして生計を立てていたようです。

彼が執筆活動に専念しはじめたのは三十八歳のときですが、作家としてのキャリアは短く、他界した一九一二年までのわずか九年間にすぎませんでした。

しかし、そのあいだに彼が書いた十九冊の本は以後もえんえんと生きつづけ、世界中の無数の人々を勇気づけてきました。

ただ、アレンの作家としての収入は乏しかったようです。

自身のあらゆる著書の英国外での著作権を放棄していたことが、その第一の理由だとされています。

ただし、それはいっぽうで、ほかの国では彼の本を誰もが自由に出版できたということでもあります。

そしてそれが、おそらく彼の思惑どおりに、本書の読者数の世界的な拡大に拍車をかけることになったことは、言うまでもありません。

最初の著書『 FROM POVERTY TO POWER』を書いた直後、アレンは、イングランド南岸の町、イルフラクームに移り住んでいます。

海沿いのその静かな保養地は、彼が哲学的研究を推し進めるために必要としていた雰囲気を、完璧なまでに漂わせていたといいます。

そして、夜明け前に近くの小高い丘の中腹までゆっくりと登っていくことが、アレンの一日のはじまりでした。

その丘からは、自宅と海が一望できたといいます。

そこに一時間ほど留まり瞑想したあとで、家に戻り、午前中を執筆活動にあて、午後は家庭菜園での農作業に精を出す、というのが彼の日課だったようです。

夕方以降は知人や友人たちの訪問を頻繁に受けてもいたようです。

アレンの友人のひとりはこう語っています。

「彼は夜になると、いつも黒のビロード地のスーツを着ていました。

そして、彼の家を訪れた我々小グループに、瞑想や哲学、トルストイや仏陀について、また、どんな生き物をも絶対に殺すべきではない(※おそらく、食用にする生き物は除いて)、といったようなことを、静かに語って聞かせたものでした。

我々の誰もが、彼のキリストを思わせるような風貌と、穏やかな語り口、そしてとくに、毎朝夜明け前に丘に登って神と交信していたという事実に、若干、ある種の恐れのようなものを感じてもいました」 この『 AS A MAN THINKETH』は、アレンの二冊目の本です。

彼はこの本を通じて、のちのち高い評価を受けることになった自身の哲学を、この上なく雄弁かつ簡潔に語っていますが、自分ではその内容に満足していなかったようです。

彼が本書を出版する気になったのは、妻のリリーの粘り強い説得があったからだといいます。

「夫は、人々に何らかのメッセージを伝えたいときにだけ書いていました。

そして、彼が人々に伝えたいメッセージとは、彼自身が人生のなかで実際に試してみて、良いものであることを確認したもの、それだけでした」 アレンの妻リリーが、彼の死後に語ったことです。

訳者

著者紹介ジェームス・アレン( JAMES ALLEN) 1864年、英国生まれ。

父親の事業の破綻と死から 15歳で学校を退学。

以後、さまざまな仕事に就きながら独学で学び、 38歳で執筆活動に専念する。

作家としてのキャリアは他界した 1912年までの 9年間と短いが、執筆された 19冊の著書は世界中で愛読され、とくに 1902年に書かれた本書『 AS A MAN THINKETH』は、現代成功哲学の祖として知られるナポレオン・ヒル、デール・カーネギー、アール・ナイチンゲールなどに強い影響を与えた。

いまなお、自己啓発のバイブルとして、世界中で読まれつづけている。

坂本貢一(さかもと・こういち) 1950年生。

東京理科大理学部卒。

製薬会社勤務後、 2年間米国留学。

帰国後、薬局チェーン経営を経て出版社の翻訳課に勤務し、主として自己啓発書の翻訳にあたる。

精神世界の研究にも携わり、 97年よりフリーの翻訳家および精神科学ライターとして活動。

精神世界関連の雑誌編集にも携わる。

訳書に『魂との対話』(小学館)、『十二番目の天使』『ライオンの隠れ家・異星人だった歴史上の偉人たち』『今すぐ人生を変える簡単な六つの方法』(以上求龍堂)、『アンデスの封印』『神々の予言』『考えるヒント・生きるヒント』『考えるヒント・生きるヒント Ⅱ』『考えるヒント・生きるヒント Ⅲ』『心の中の自分と語れ』(以上ごま書房)、『あなたに成功をもたらす人生の選択』『人生がばら色に変わる 50の言葉』『子どもはみな前世を語る』(以上PHP研究所)、『生きる不安への答え』(飛鳥新社)、『ヒーリングプラクティス』(心泉社)、著書に『秋山眞人の優しい宇宙人』がある。

茨城県桜川村在住。

 

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