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第6章食事で変わる筋トレと人生の質

食事が整うと心と腸が、自然に整う私は「何も進んでいない」という状況が非常に嫌いで、1ミリでも前に進んでいたいと常に思っています。

その点、バランスのとれた食事を続けることができていると、目標に向かって、一歩ずつ着実に進んでいる感じがします。

毎食毎食、飽きずに鶏むね肉を食べ続けるという行為は、1ミリを積み重ねていく作業であり、メンタル的にも安心を得られます。

「今日はほかのものを食べる」と、決まっていればいいのですが、不意打ちで望まない食事を口にしなくてはいけない状況などになると、精神的にかなりきついです。

1週間に一般的には21回、私に至っては42回も行う食事を整えるということは、自分を作り整えるということと同じ。

また、バランスのよい食事を心がけると食物繊維の摂取量が増えます。

「食物繊維は腸内環境をよくする」というのはまぎれもない事実。

つまり、心と同時に腸の調子も整うのです。

人間にとってすべての栄養素の入口は「腸」。

腸の状態がよくなかったら、どんなにいいものを摂取しても体内には入らず、むしろよくないものが入っていってしまいます。

数年前から「脳腸相関」なんていう言葉も耳にするようになりましたが、以前から腸は「第二の脳」と呼ばれ、神経系などを通じて脳と腸は互いに影響し合っているとされてきました。

たとえば、脳がストレスを感じると腸内環境が乱れ、その乱れがさらに不安やストレスを生む……というように。

ただ、悪循環を生むということは、好循環に変えることができるということ。

そのためにはまず、腸内環境を乱さないことが第一です。

たしかに、今年の減量は過去と比較してもストレスが少なかったです。

これまでも腸内環境をよくしようと考えて、発酵食品を多く摂ったりオリゴ糖を摂取したり、試行錯誤してきたのですが、そのときはあまり大きな変化を感じることができませんでした。

そういったことも踏まえて、今の私自身の実感としては、やはり食物繊維を積極的に摂ったことが効果を発揮しているのだろうな、と思います。

無敵ポイント1週間の食事を整えることは、自分を整えるのと同じこと

エネルギーと時間が管理できるようになる食事を整えると、トレーニングだけでなく仕事のパフォーマンスも上がります。

「腹が減っては戦はできぬ」的な経験は、みなさんもあるのではないでしょうか。

エネルギーが切れたときの思考能力、集中力の低下は甚だしく、逆にしっかりとバランスの整った食事を摂った後の仕事はキレが抜群です。

通常、食後は眠くなりがちですが、食事の前のトレーニングにより興奮状態にあるのか、アドレナリンが出ているのか、私はむしろ眠くなりません(これは個人的な感想ですが)。

それもあって、睡眠の質を確保するために以前は夜にしていたトレーニングを朝に切り替えたというのもあります。

この関係を把握できると、自分の脳がパワフルに動けるタイミングがわかるため、時間とエネルギーのマネジメント能力が高まり、生活の組み立てが上手になります。

特に私は食べたものの影響を受けやすいようで、そのおかげでかなりメリハリのある生活を続けることができるようになりました。

具体例として、私の「ある1日の行動パターン」をお伝えします。

毎日0時くらいには就寝。

4、5時間、眠って起きます。

おかげさまでさまざまな仕事をやらせてもらっていることもあり、少し睡眠時間が足りていませんが(6時間寝ると調子がよいです)、何とか保っています。

起床後すぐにアミノ酸を摂取して、1時間程度の仕事をします。

その後食事を摂り、トレーニングへ。

2時間のトレーニングを終えてリカバリーの食事をとって、大学へ。

授業など仕事。

3時間ほど経ったところで間食を挟み、もう一度3時間くらい仕事に集中。

食事を摂って、試合前ならポージング練習などを行い(通常は仕事)、終了後にリカバリーの食事を摂って、再び数時間の仕事と就寝準備。

もちろん毎日、この通りに行くわけではありませんが、一例です。

だとしても、このようにだいたい3時間間隔の栄養摂取とその間を埋めるようにスケジュールを組み立てていくとボディビルをしながら常人レベルの仕事時間を確保できるわけです。

ついでにいうと「自分にはこの時間しかない」という意識が働くので、フルパワーで取り組むため、処理スピードがかなり上がります。

おかげで時間の使い方も上手になり、寝起きの1時間で、すぐにやらなくてはいけない仕事がないときには「もう一度やり直したい」と思った英語の勉強をしています。

減量末期に、英単語を学ぶ余裕。

そのようなプラスアルファの時間を手に入れることができるようになるとは、1年前までは私にも想像はつきませんでした。

やり方次第で、人生=トレーニングにならず、人生に豊かさをプラスできるのです。

無敵ポイント「無敵の筋トレ食」により、英語を学ぶ時間とエネルギーまで確保!

しっくりいかない生活サイクル、改善の入り口は「睡眠」英語の勉強を再開してしまう余裕をもたらしてくれるほど、そのときの私の行動パターンはとてもいいサイクルとなっていました。

しかし、全員が全員、バッチリハマる生活サイクルでボディメイクに取り組めているとは限りません。

でも、この本を読んで「よし、生活サイクルの改善に取り組もう!」と思ったとしても、要素が多くて一体、何から始めたらよいのか迷うこともあると思います。

私の見解では、生活サイクル改善の入り口は睡眠にあると考えています。

質のよい睡眠を十分にとれていなければ、どのようなトレーニングをしても、どのような食事を摂っていたとしても、カラダ作りの質は低いままです。

何時間寝れば十分かは人によります。

ショートスリーパーの人もいますし、7~8時間は寝たいという人もいます。

私は6時間寝ると十分な集中力を発揮できます。

目覚めたときに倦怠感がある、頭がボンヤリとする、活力が湧かない、というのは睡眠時間が不足している、あるいは質が悪い睡眠をとっている証拠といってよいでしょう。

睡眠時間の調整ができないくらい多忙なのだとしたら、これを機に職を含むライフスタイルを見直すことも考えたほうがいいかもしれません。

SNSサーフィン、寝る前のスマホ……。

もしも、そういったすべての時間を切り詰めても、睡眠が確保できないのであれば、改めて転職や引っ越しをおすすめします。

ここまでいうのは、それほどまでに睡眠の充実を図ることがカラダ作りに与える影響が大きいから。

身を以て重要性を把握した今では、私は睡眠にかなり貪欲です。

仕事を終え帰宅してから寝るまでのスピード、効率たるや。

無駄なく床につきます。

ここにたどり着くまで、栄養摂取なりトレーニングの方法なりを詰めてきましたが、それはほかの多くの人たちも意識してきていることです。

しかし、睡眠に関しては、まだ意識していない人が多いと思うのです。

上質な睡眠の確保は、精神面にも強く作用します。

心のブレがなくなると、それだけで活力が湧いてきます。

つまるところ、私が英語の勉強を再開できたあの時期も、そこに起因していたのではないかと思うのです。

無敵ポイント何よりも、質の高い睡眠時間確保せよ。

食事もトレも、考えるのはその後だ

ピンチをチャンスに変換するポジティブ思考が育つ肉体、精神、この両者のエネルギーと、時間を管理することによって、私は今、ボディビルや仕事に取り組むのに適したサイクルを手に入れることができています。

そのように環境や心を整備することに成功した、というわけです。

せっかく手に入れた好循環。

できることなら崩したくはありません。

だからこそ自作弁当を持ち歩き、毎日でも同じものを食べ続けています。

心と腸を整えるために、その食事の内容もしっかりバランスを整えて準備をしています。

しかし、どんなに努力をしていても、想いが叶わぬこともあるわけです。

私のことをいえば、年に数回、柔道の国際大会に向けて数週間、異国の地に滞在することがあります。

現地の環境は、必ずしも整っているわけではありません。

そうなると、現地で手に入るものでどうにか自分のカラダを管理するしかありません。

それでも仕事の合間を縫って、しっかりトレーニングさえできていれば、まだどうにかなる!と望みをつないだとしても、場合によってはホテルに併設された本当にちょっとしたトレーニングエリアしか選択肢がない場合もあるわけです。

つい最近のことをいえば、ホテルとは別にジムを見つけたものの、そこに行くまでの道に数匹の野犬がいて、こちらを狙ってくるというまさかの状況。

さらには、必死の思いでジムにたどり着いたというのに「日本人が珍しい!」と次々声をかけられて、時間を吸い取られる始末。

どうにかメニューをこなし帰ろうとすると、もちろん道には数匹の野犬……。

あまりに貴重すぎる体験を経て、帰国後の私のメンタルは、道に野犬がいないというだけですべてのことに感謝ができてしまう聖人君子級に到達しました。

少し話が逸れましたが、つまるところ、トレーニングを続けていくと、自然と人としての器も広がっていくということです。

トレーニングや食事を継続するには、野犬はいないにしても何らかの困難を乗り越えていく必要があるわけですから。

多少のトラブルに遭遇しても、ネガティブ側面を受け止めながら、ポジティブ側面を伸ばしていけるようになりますし、ピンチをピンチとしてとらえず、それを意識と行動でチャンスへと変換できるようになります。

よく脚のトレーニングはこのジム、胸のトレーニングはあのジム、といって部位によって使う施設を変える人がいます。

都度、環境を変えるということ自体を楽しむのはいいのですが、固執しすぎてしまうと、何かの拍子にできなくなってしまったときのショック、そしてストレスがものすごいことになってしまいます。

いつもと同じことができないなら、いつもならやらないこと、できないことをすればいいのです。

新たな気づきを得たり、カラダの変化がおこる可能性を楽しんでください。

そもそも、ボディメイクにとって最も恐れるべきは刺激に対してカラダが「慣れ」てしまうことです。

同じことを続けすぎて、カラダが慣れてしまったら、それはもう「刺激」とは呼べないのですから。

普段、脚トレをするジムで行う背中トレは、ベストの刺激とは違うかもしれないけれど、確実に新鮮な刺激にはなるはずです。

そうポジティブに思考を切り替えることができたら、もうそれだけでトレーニングは成功したと思ってもいいでしょう。

無敵ポイントいかなる出来事も、カラダへの「刺激」と思えば乗り越えられる

人間的な「総合力」が想像以上に底上げされる今年、私が「筋トレ」で意識して取り組んだものを振り返ってみます。

食事にはバランスを求めつつ、食物繊維による腸内環境の改善を試みた。

オフを必ず入れて、カラダを休めるとともに家族や仲間との時間を大切にするようにした。

エネルギーと時間の関係性に視点をおき、トレーニングと仕事のどちらにも効率のよいスケジュールを組み立てた。

睡眠を大切にしたうえで、副産物的に生まれた時間を有効活用して、英語の勉強を再開できる余裕が持てた。

結果として、とても調子よくボディメイクを進めることができたというのはすでにお伝えしましたが、健康面、精神面、仕事面、生活環境、人間関係、すべてにおいて人間的な総合力が底上げされたことに気づきます。

それに伴い、さらなるトレーニングへの愛情、ボディメイクへの意欲も自然と湧き起こってくるのを感じました。

特に、メンタル面においては本当に安定してきます。

それは今年になってようやく、というわけではなく、トレーニングを始めた頃から少しずつ感じており、ボディビル競技を行うようになって確信へと変わりました。

以前から私を知る人たちからも、特にボディビルを始めてからは安定度に磨きがかかったとありがたいお言葉をいただくほどです。

たしかに、自分のなかでもどのようなことがあっても動じなくなったというか、憤りを感じたりイライラしたりすることが、だいぶ少なくなったように感じています。

ストレスを感じると、さまざまな黒い感情がカラダの内側に溜まり、渦巻いていくような感覚になりますよね。

その感覚のまま、じっと動かずにデスクワークなどをしていくと全身が真っ黒いものに支配されそうになります。

全力でトレーニングをすると、自分のなかにあるものをすべて発散することになります。

聞けば、会社で感じたイライラをウエイトという鉄のかたまりにすべてぶつけるつもりでトレーニングをしているという人も、多いです。

やはり私も、無意識のうちに発散しているのかもしれません。

健康面でいえば、睡眠をよくとることは血管ケアにもつながります。

活発に活動しているとき、優位になって働いているのが、自律神経の交感神経です。

交感神経が優位の状態にあると、血管は常に締めつけられているような状態にあります。

睡眠をとるなどして副交感神経を優位にするタイミングを作らないと、狭く締めつけられた血管のなかに血液を通すために、血圧を上げた状態でいる必要が出てきます。

血液のポンプ機関である心臓にも、大きな負担がかかります。

血管の収縮コントロールは自律神経によるもの。

自律神経を休ませない限り、血管のケアというのは根本的にはできないのです。

血液がドロドロであろうと、サラサラであろうと、血管が狭まっていたら意味がありません。

だから、睡眠不足で自律神経が休めない状態が続くと血管が詰まり、心筋梗塞、脳梗塞を引き起こしやすくなるのです。

よく病気の原因として「ストレス」とあるのを見て「身も蓋もないことを……」と思うのですが、ストレスを抱えていると睡眠に悪影響をおよぼします。

嫌なことを思い出して寝つきが悪くなる。

それは間違いなく自律神経を休ませる機会を奪っているのです。

筋肉を育てるという面でも、血流に乗った栄養素のデリバリーが必要なわけで、血液の通り道である血管を整備しておくことは、とても重要となります。

無敵ポイントストレスを感じた今こそ、全力ボディメイクのチャンス

おわりに冒険は誰でも怖いが好奇心をもって臨め「はじめに」にも書きましたが、この1冊には、今ある私の(ほぼ)すべてが詰まっています。

中心に据えているのは、自分自身のボディビル競技経験を通して学び得てきたことですが、こうして改めて振り返ってみると、私は根底の部分では、専門分野である骨格筋の研究を続けているのだなということに気づかされます。

もちろん大会に出場してよい成績をおさめたい、という気持ちもあります。

しかし、実際に勝つためには、年間を通してさまざまな取り組みをしていく必要があり、それには絶対的な答えがないことを知っているため、毎年あれこれ工夫を凝らして「よりよい方法」を探っているのです。

よりよい方法を探るということは、昨年うまくいった「答え」があったとしても、それに固執せず、前向きな気持ちで手放すということ。

いってみれば、砂漠地帯でようやく見つけたオアシスに、自ら別れを告げて新たな冒険に出るようなものです。

「怖いから」「不安だから」といっても、いつまでもそこに居続けるわけにはいきません。

動かなければ、自分の未来は一向に広がっていきませんからね。

どうせいつかは旅立つしかないのなら、いっそのこと自ら、好奇心をもって飛び出そう。

そのような想いで、私は日夜ボディビルに取り組んでいるのです。

本書を手にとってくださった皆さんのなかには、同じくボディビル競技に取り組んでいる人もいるでしょうし、大会には出ずにライフワークとしていいカラダを手に入れるべく毎日を積み重ねている人もいるでしょう。

競技に出場している人は、ボディメイクにおける目的がより明確です。

いつまでに仕上げるという期日(私は「作品提出〆切」と呼んでいます)もあるため、シーズンごとの振り返りもできるし、反省を次に活かすための切り替えもしやすいと思います。

次に時期がきたときは、ぜひ旅立つ勇気を。

ライフワークとしてボディメイクに取り組んでいる人は、ゴールのないマラソンを走っているわけですから、そのよさを活かして、もっとゆとりをもってトレーニングを楽しんでほしいなと思います。

自分のカラダを評価するのは、自分自身。

誰かの目を気にすることなど、ないのです。

変化の先に失敗があったとしても、そこをゴールと決めている人は誰もいないのですから。

カラダは真っ白なキャンバス!もっと自由に、筋肉を描け私は、勤務先である日本体育大学でバーベルクラブを立ち上げ、現在も顧問を務めています。

設立からたった3年ですが、部員数も、ボディビル系のコンテストに出場する学生も年々、増え続けています。

そのため実際のトレーニングに対して指導・助言するだけでなく、ポージングを見る機会もかなり増えてきました。

そのなかで今年感じたことが、カラダ作りに熱心になるがゆえに、ものすごく視野が狭くなってしまっている学生が多いということです。

そもそもポージングとは、自分で鍛え上げた筋肉を、よりよい状態で見せるために行うものです。

その日は、数名の学生と私とでポージング練習をするなかで、上腕二頭筋の見せ方に複数のパターンがあるという話をしていました。

一人の学生は「Aパターンのほうがよく見えるかもしれないけれど、僕はBパターンでやりたいんです」といいました。

それを見ていたもう一人の学生が「自分はAパターンのほうが好き」と発言すると、Bでやりたいといっていた学生が「じゃあAにします」と意見を変えたのです。

ちょっと待ってくれ、と思わず口を挟みました。

ボディビルダーとは、肉体の芸術家です。

芸術家なのに「マルはこう描け」といわれたら、その通りに描くのか?と。

私たちのカラダは、真っ白いキャンバスも同然。

そこに何を、どのように描こうと、本来はもっと自由なはずです。

学生たちは皆、とても真摯にボディメイクと向き合っています。

しかし、ときに真面目さが裏目に出て、審査傾向から算出した「勝てそうなカラダ」「勝てそうな見せ方」にとらわれすぎたり、時代の流れに左右されすぎたりしてしまうことがあるのです。

ボディビルは競技ですから、もちろん勝つための策を練ることは大切です。

でも、忘れてほしくないのは、何のためにやっているのかということ。

枝葉の部分では、応援してくれる人、支えてくれる人のために、という答えが返ってくるかもしれませんが、根本の部分では、誰もが自分自身のためにやっているはずです。

いいカラダには基準がないのだから、もっと自由に、自分のなかに軸をおいて楽しみながらやってほしいと、心から思っています。

「知らない」ことは実力不足のひとつである1年目で苦しみ、2年目に失敗し、3年目は切り替えて、4年目にして気づき、5年目が限りなく答えに近いものにたどり着いた年となる──。

自分の食事を振り返り、客観視をしてみると、苦しみながらも年を重ねるごとに少しずつ進化および深化しているのだな、と改めて感じます。

失敗は成功のもとというのは、ボディメイクに関しても絶対にいえることです。

第4章のなかで、私のボディビルヒストリーと合わせて食事の遍歴を振り返りました。

そのなかで今年の競技結果について(第22回日本クラス別ボディビル選手権大会70キロ以下級)触れることができませんでしたので、最後にここで少しお話ししたいと思います。

減量に関しては、あらゆる角度から見て完璧でした。

制限をかけるストレスもなく便秘もなく、除脂肪が停滞することもなく、毎食「おいしくいただく」を実践しながら当日を迎えることができました。

トレーニングの進みも、また仕事の状況もよく、最高の状態で迎えられるのははじめてのこと。

当日朝もそれまでとまったく同じ時間に便通があり「今、やれることはすべてしてきたんだ」という実感が得られました。

同時に、今年自分が選んだ減量の道は間違っていなかったのだと自信が湧き起こってきました。

緊張というよりも、ワクワクが止まらないままステージ裏へ……。

しかし結果は3位止まりでした。

敗因は何か。

減量食ではありません。

仕上げたカラダの「魅せ方」です。

カラーリングないし、水抜き・塩抜きの部分で「クラス別」という体重別カテゴリーにおける戦い方を、私はまだまだ熟知していなかったのです。

いくら減量が順調でいいカラダに仕上がったとしても、審査の場でよく魅せる術が整っていなければ、競技としては負ける。

改めて戦いの厳しさを目の当たりにしました。

トレーニングを進化させ、食事のバランスを整えることばかりに意識を向けすぎて、最後の最後、ステージ上で比較されることへのレディネスが整っていなかったということ。

戦い方を知らなかった。

つまりは私の実力が不足していたということ以外の何ものでもありません。

限界値は近くとも、繰り返すことで開ける道はある大会出場を終えてすぐ、柔道の合宿で宮崎県の延岡に滞在をしていました。

スケジュール的に自分のトレーニングを組み込むことは、ほぼ不可能。

それでも食事は柔道選手を応援する地元の方々からのおいしい差し入れも含め、大充実という完璧なリバウンド環境に身をおきました。

トレーニングもできない、食事も自分で管理できない。

カラダ作りを司る3輪のうち2輪が外れているような状況ですから、カラダの状態をコントロールすることをあきらめてしまってもおかしくはないわけです。

それこそ第5章の話と同じことで「0か100か」で考えて「もう0でいい」と見限ってしまいそうになりました。

それでも、ギリギリのところで持ち直し、とにかく隙間時間を見つけては「歩く」ことを心がけてみたら、思っていたよりカラダをいい状態にキープできました。

今後のボディビル人生のことを考えても、とても大きな収穫だったと思っています。

得られた気づきは、いうなれば「焼け石に水と思われることであっても、あきらめずに水をかけ続ければいずれ必ず鎮火する」ということです。

実は、この発想のベースはトレーニングに関するとある閃きにあるのです。

私のボディビル歴は5年ですが、トレーニングキャリアは20年を超えています。

つまり、カラダを鍛えることに関してはかなりやり込んできているのです。

それゆえ鏡の前に立ち、自分のカラダを見るにつけ「自分の限界はここなのか」「これ以上の成長は望めないのか」と思うこともしばしば。

しかし、ふとしたとき「いや、待てよ」と、心のなかから聞こえてきた瞬間がありました。

これまでの経験から「自分には効かない」と考えていた種目を、たとえばひたすらやり続けたら、どうなるのか?という閃きを得たのです。

挑戦した結果、カラダはたしかに変わりました。

ということは、これまでは自分が勝手に先回りをして、結果が出る前にあきらめていただけだったのです。

無駄だと思われることでも、人が考えられないような量を繰り返すことで開ける道があるということ。

やはり人のカラダはおもしろいと改めて思いました。

さて、いよいよ最後です。

もう一度、食事に関するメッセージを送って、この本を締めくくりたいと思います。

減量食に関しては、5年目の今がベストと感じているのはたしかです。

しかし、本当に完璧なのか、漏れはないのか、といわれれば「おそらく」の域を超えません。

これから先、2020年東京オリンピックに向けてさまざまな取り組みが加速していくなかで、どこまで自分のボディビルに時間をあてることができるのか、実際のところわかりません。

ただ、競技に出ないからといってボディメイクを一切しないという選択肢は、私にはないことだけは間違いありません。

どのような目的を掲げて、どのような手段を構築しているのかは未知数ですが、何らかのかたちでカラダ作りを続けている限り、新たな気づきが得られるのだろう、と思っています。

そしてみなさんにも、きっと「そのとき」が来るはずです。

そのときが来たらまずは、変化を恐れないことです。

変えることは、怖い。

けれど一番怖いのは変化を恐れるがゆえにカラダが一向に変わっていかないことだということを、思い出してください。

最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。

岡田隆

岡田隆(おかだたかし)日本体育大学体育学部准教授/日本オリンピック委員会強化スタッフ(柔道)/柔道全日本男子チーム体力強化部門長/日本ボディビル&フィットネス連盟選手強化委員/理学療法士/スポーツトレーナー/ボディビルダー/骨格筋評論家(バズーカ岡田)1980年、愛知県出身。

日本体育大学大学院体育科学研究科修了。

東京大学大学院総合文化研究科博士後期課程単位取得満期退学。

総合病院、整形外科クリニックに勤務後、2007年4月より医療従事者、トレーニング指導者、アスレティックトレーナーの養成大学に着任。

2016年4月より日本体育大学体育学部准教授に着任し、現在に至る。

日本オリンピック委員会強化スタッフ(柔道)、日本オリンピック委員会科学サポート部門員、柔道全日本男子チーム体力強化部門長を務めており、2016年8月リオデジャネイロオリンピックでは、史上初となる柔道男子全階級メダル制覇に貢献。

また、日本体育大学バーベルクラブの顧問を務めている。

自身もウエイトトレーニングの実践者として2014年にボディビル競技に初挑戦。

デビュー戦の東京オープンボディビル選手権大会70kg級で優勝。

2016年には日本社会人ボディビル選手権大会を制し、日本選手権大会に2016年、2017年と連続出場している。

骨格筋評論家として「バズーカ岡田」の異名で『ホンマでっか!?TV』(フジテレビ系)をはじめとしたテレビ、雑誌など多くのメディアで活躍中。

『除脂肪メソッドハンディ版』(ベースボール・マガジン社)、『2週間で腹を割る!4分鬼筋トレ』(アチーブメント出版)、『つけたいところに最速で筋肉をつける技術』(サンマーク出版)など、著書多数。

累計100万部を突破してい

この作品は株式会社ポプラ社「栄養で筋肉を仕上げる!無敵の筋トレ食」(2018年12月6日第1刷発行)に基づいて制作されました。

栄養で筋肉を仕上げる!無敵の筋トレ食発行日2018年12月6日著者岡田隆発行者長谷川均編集村上峻亮発行所株式会社ポプラ社〒102-8519東京都千代田区麹町4-2-6住友不動産麹町ファーストビル8・9F電話03(5877)8112〔編集〕www.poplar.co.jp©TakashiOkada2018本作品の内容を無断で複製・複写・放送・データ配信などすることは、固くお断りいたします。

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