31 「お菓子配り」とは「心配り」をすること
◆お菓子に隠された「本当のメッセージ」
CA時代、「一緒にフライトする機長はどんな人か?」という情報を CA同士で交換し合うことがありました。
フライトでは、毎便機長が変わるなんてことは珍しくありません。
その場で初めて会って、「安全・定時・快適運行」というチームとしての目的を発揮するためには、ある程度事前に情報があったほうが心構えもできるのです。
そんな中、 CAに人気の「いい機長」の特徴の一つに面白いものがありました。
それは、「お菓子をみんなに配ってくれる」というものです。
「なんだ、結局モノにつられるのね」「子どもじゃあるまいし」なんて声が聞こえてきそうな気がしますが……。
でも、私たち CAは、ただ「お菓子をもらえる」から「いい機長」と言っていたわけではないのです。
私たちは、お菓子の裏側にある「メッセージ」にその機長の人となり、人間性を見ていたのです。
◆ CAが機長を身近に感じる瞬間
機長という激務。
プレッシャーを感じるフライト。
そんな中でわざわざお菓子を買ってきて、一人ひとりに「この便一緒に頑張ろうね」と言って渡してくれる心配りに、私たちは「いい機長」だと言っていたのです。
ある機長は、お菓子を必ず一人ひとりに手渡してくれました。
CAは多いときで 1便 12名ということもありまし
ましたから、中にはフライトの間、機長と一度も接触しないなんてことも多くあります。
でも、このお菓子を手渡すという行為があることで、必ず機長と顔を合わせてコミュニケーションを取ることができる。
お菓子を手渡しされると、フライト中はコックピットの中で姿が見えない機長を、とても身近に感じることができました。
何かちょっとでも乗務中に気になる異変があったときに「言いやすい」環境を、機長自らつくってくれることは、 CAにとって非常にありがたいことでした。
◆手渡しでしか伝わらない「心」がある
オフィス勤めをしていたとき、気遣い上手の同僚が、お土産のお菓子をみんなに直接手渡ししていることに気づきました。
お土産のお菓子って、よく机の上にポンと置かれていることって多いですよね。
置かれているのに気づいても、忙しくて誰がくれたのか確認するのを忘れ、つい本人にお礼を言い忘れるなんてこともよくあります。
しかし、直接手渡しされると、必ずその場でお礼ができます。
普段仕事以外で話しかけるきっかけがあまりない人でも、そこから雑談がはじまり、コミュニケーションが生まれることも。
自然な形で関係を温めるのに「お菓子を直接手渡しする」という行為が一役かってくれているのです。
ただし、何かを渡す場合は、相手にとって負担にならないような気遣いがとても大事です。
「有給で旅行に行き迷惑をかけたので」「無理なお願いをしたので」 「○ ○をお借りしたので」 など、「 ~ので」という理由があると人は受け取りやすくなります。
また、金額もお礼を気にしない程度のものがいいでしょう。
何かを渡すという行為の目的は「物」を通じて気持ちを伝えたり、距離を縮めること。
それがかえって負担になってしまったら本末転倒ですよね。
職場でしたら、お菓子くらいがちょうどいいのかもしれません。
たかがお菓子、されどお菓子。
あなたも、ぜひお菓子を通じて、「心」を配ってみてはいかがでしょうか。
32 小さなお願い、些細な約束ほどちゃんと守る
◆「今度ご一緒に」を社交辞令にしない
誰しも、大きなお願い、重要な約束はしっかり守る傾向がありますが、小さなお願いや些細な約束はそのときの雰囲気やノリのようになってしまって、そのまま忘れてしまうことが少なくありません。
たとえば、「今度、ご飯にでも一緒に行きましょう!」というのはよく交わされる常套句。
そのときは社交辞令のつもりはなく、本当にお誘いしたいという気持ちで悪気なく言ってしまうものです。
相手に気遣ったつもりの小さな約束です。
でも、なんとなく気になりつつも、そのまま果たされないことがよくあります。
言われたほうは少し期待しながらも、「まあそんなもんだよな……」と相手のいい加減さにがっかりして終わるものです。
しかし、私がこれまでに出会った「気遣いができる人」は、日程調整の連絡を 3日以内にくれるのです。
そして本当に一緒に食事をしたいと思う人以外には「今度 ○ ○に行きましょう!」とは気軽に言わないのです。
たとえ、小さな約束であっても守れなければ信頼を損なうということをわかっているのだと思います。
仕事ができる人は、小さな約束をとても大事にしていると感じます。
気遣い、行動力、そして誠実さが、相手の信頼をどんどんつかんでいくのです。
◆断るときほど丁寧な気遣いが必要
私は、企業研修に行った際、「御社の企業名を私のサイト内で公開してもよろしいですか?」とお尋ねすることがあります。
担当者の方は「そうですね、本社に確認してみないとわからないのでまたお返事します」と言ってくださるのですが、その後、連絡はまずこないことが普通です。
「返事がない = NG」とこちらもあえて催促の問い合わせはしません。
しかし、とある企業で同じようなお願いをさせていただいた際、担当の方は翌日に「お役に立てず大変申し訳ありませんが……」と断りの内容ではありましたが、わざわざ電話をくださったのです。
その方にとっては、そのまま返事をしなくても大きな支障のないような私のお願いごとに対し、誠実に対応してくださったことに感激しました。
小さなお願いの内容も大事にしてくれる気遣いに、担当者の方はもちろん、その会社の印象がさらに良くなったのは言うまでもありません。
断るときほど丁寧な気遣いが必要ですが、自分がその立場になると、ついそのような気持ちは忘れがちです。
ビジネスシーンだけではなく、プライベートにおいても、何気ない小さなお願いや些細な約束を守ってくれる人ほど信頼され、今後も何かあったら頼りにしたいと思われるものです。
「小さなこと」を確実に行うことは、相手に対して誠実であろうとする気遣いの心の表れであり、あなたの信頼をグンと高めてくれるとても「大きなこと」なのです。
33 気遣いとはつまり、「想像力」のこと
◆ボディクリームとお手紙、2つのプレゼント
「もしこれをやったとしたら、その先にどんなことが起こる可能性があるだろう?」 まるで推理小説のようですが、気遣いには「想像力」が必要になります。
想像力が優れていると、一歩先の気遣いができるようになるのです。
以前、知り合いの Sさんから、緊急に仕事の依頼がありました。
当初仕事をお願いしていた方が急に都合が悪くなったとのことで、とても困っている様子でした。
私はその日に予定がありましたが、先約の友人に事情を話し、予定を変更してもらい、その依頼を引き受けました。
仕事当日も非常に気遣っていただき、「予定を変更して仕事を受けてくれたお礼です」とわざわざ紅茶の香りのボディクリームをプレゼントしてくださいました。
プレゼントには、「おやすみ前のひとときに、紅茶の香りで癒されますように」というメッセージが一緒に添えられていました。
Sさんの、こういうちょっとした一言にはいつも感心させられます。
◆一流の人は、まわりに広がる気遣いをする
そして、なんと驚いたことに、「時間を変更してくださったお友達にもお礼をお伝えください」と友人の分のプレゼントまで用意してくれていたのです。
Sさんから依頼された際に、私がちょっと口にした「時間変更できるか友人に確認してみます」の一言から、予定変更をしなければならない私の友人の状況を想像し、気にかけてくれていたのです。
友人にそのプレゼントを渡すと、「ナナエちゃんは、本当に素敵な方と知り合いだね」と、私の株まで上がってしまいました。
当事者である私だけではなく、私の予定変更によって手間がかかってしまうであろう友人のことまで気遣ってくれる想像力と配慮に、感動したことは言うまでもありません。
一流の人は、まわりに広がる気遣いができる人なんだと、心の底から感じた瞬間でした。
◆「この人のために」という思いに繋がる
そんな気遣いをしてくれる Sさんなので、「この人のためなら何でもしよう!」「何かあったらお手伝いしよう!」という気持ちにさせられるのです。
私はこのとき、仕事の内容やお金よりも「この人のために」という気持ちが人を動かすのだとあらためて気づきました。
気遣いができる人と関わることは、お金には代えられない学びや気持ちよさがある、そんな風に思います。
それは逆に言えば、そういう気遣いをしていると、「この人のために」「何をおいてもこの人のためなら」と相手に思ってもらうことができるのです。
あなたも少し「想像力」をはたらかせて、ワンランク上の気遣いをしてみませんか?「その先に何があるだろう?」と考える習慣が、あなたの価値を飛躍的に高めてくれるはずです。
34 「見ない」「言わない」「気づかない」ができる人になろう
◆「ほんの一瞬の視線」に敏感な人は多い
気遣いは「相手が心地よいと感じるか」が大事。
一歩先を考えて、あえて「見ない」「言わない」「気づかない」のも気遣いのうちです。
人は、ふとした無意識の「視線」を敏感に感じ取ったりするものです。
ある男性は、初対面の女性がビジネスシーンにもかかわらず、結婚指輪があるかどうかを確認する視線に気づくと言っていました。
すぐさま確認されると、なんだか品定めされているようで居心地が悪いと話していました。
女性にとっては、さりげない視線のつもりかもしれませんが、意外と相手は気づいてしまうものです。
私も、顔に大きなおできができたとき、会話をしている相手の視線がとても気になったことがありました。
「私のおできをジーッと見ているな」と感じたときには、いたたまれない気持ちになり、結局会話に集中できなくなってしまいました(被害妄想かもしれませんが……)。
そんな私も、視線で恥ずかしい経験をしたことがあります。
友人とランチをしていたときのこと。
友人が頼んだメニューを見て「おいしそうだな ~」と心の中で思っていると、友人が「ちょっと食べてみる?」と私に言いました。
私は驚いて、「えっ!? どうして?」と聞くと、「だって、食べたそうな熱い視線を感じたから」と一言。
「見透かされていた!」と、思わず赤面しました。
些細な目線で相手に気を遣わせてしまうこともある、ということを学んだ出来事でした。
相手に気を遣わせない「視線管理」に気をつけたいですね。
でも、どうしても気になるもの、違和感があるものは見たくなってしまうのが人間の性。
そういうときには、「私はつい見てしまう癖がある」ということをしっかりと認識し、会話の最中ではなく、何か動作をしたときなどにさっと視線を向けるようにしましょう。
どんなときでも「配慮」の気持ちを持とうとすることが大事です。
◆「 ○ ○にいましたよね」は NGワード
その場の状況を考慮して、余計なことを言わないのも一つの気遣いです。
学生時代、フレンチレストランでアルバイトをしていたとき、常連の男性がいつもとは違う女性の方をお連れになったときは、チーフに「余計なことは一切言わないように!」と口を酸っぱくして言われていました。
「いつものワインにしますか?」などうっかり口にしないよう、気を張っていたのを思い出します。
これは、仕事関係でも同じです。
「先日、 ○ ○にいましたよね」と言われて困った、という話をよく聞きます。
どういうことかというと、その日は同じ職場の仲間とのバーベキューパーティがあったそうなのですが、家族との約束があって断っていたようなのです。
ですから、みんなの前で、街で見かけたことを言われてちょっと気まずかったそうです。
特にビジネスにおいては、「 ○ ○にいましたよね」は気安く言わないほうが無難かもしれません。
プライベートの時間を大切にしている人が多いからこそ、注意したい一言です。
お伝えする場合には、一対一など限られた空間で言うのがベストでしょう。
状況によっては、「言わない」というのも一つの気遣い気遣いになるのです。
◆「気づかないふり」もときには大切
私が、まだ CAになる前の話です。
北海道から上京するため飛行機に乗ったときのこと。
寂しさと不安で離陸した後、涙が止まらなくなったことがありました。
まわりの人にぐちゃぐちゃな泣き顔を見られるのが恥ずかしく、窓の外をずっと見ているふりをしていました。
すると、飲み物のサービスにきた CAの方は、その様子に気づいたのか、私には声をかけないでいてくれました。
その代わりに、「いつでもお飲み物をお持ちしますので、声をおかけくださいね」と書いたメモをテーブルにそっと置いてくれたのです。
私の状況を察して、声をかけないでいてくれた気遣いに、気持ちが温かくなったのを覚えています。
無意識に、また不用意に向けたちょっとした視線や言葉で、「気遣いがない人だ」と思われるのは残念なことです。
視線管理、言葉管理も思いやりということを忘れないようにしましょう。
35 タクシー運転手から学んだ究極の気遣い
◆アクシデントで予定時刻ギリギリに
結果は変わらなくても、相手が自分に気持ちをどれだけ注いでくれたのかで、満足度は変わることがあります。
あるタクシーの運転手さんにまつわるエピソードです。
私はそのとき、急いで東京駅にタクシーで向かわなければなりませんでした。
事前にアクシデントが発生し、タクシーを飛ばしても予定の新幹線の時間にギリギリ間に合うかどうか、という切羽詰まった状況だったのです。
しかし、タクシーをつかまえようにも、なかなかつかまりません。
こんなときに限ってなぜか「回送」のタクシーばかりが通り過ぎます。
焦っていたそのとき、「回送」と表示しているタクシーが止まってくれました。
「お客様、お急ぎなんですよね。
どうぞ!」と運転手さんが声をかけてくれました。
「回送なのに、いいんですか?」と言う私に、運転手さんは「大丈夫ですよ。
こちらの心配をしてくださりありがとうございます」と返してくれました。
きっと時間からすると夜勤明けだと思われます。
焦った様子の私に目に留めてくれたのでしょう。
◆「同じ気持ち」になって言葉をかけてくれる
運転手さんを焦らせては危ない、と思ってはいても車内で落ち着かない様子の私に、運転手さんは頻繁に声をかけてくれました。
「この道を過ぎれば、あとは比較的スムーズですよ」「この調子ならあと 5分で着けそうですよ」 そして、信号待ちしているとき、運転手さんがじりじりとちょっとずつ、車を前に進めてくれているのです。
間に合うかどうかという観点で言えば、信号待ちしているときにほんのちょっと車を前に進めるだけでは、さほど意味はないかもしれません。
距離にすると、ほんの数センチの違いです。
しかし、その行為に「私と同じ気持ちになってくれている」という運転手さんの心遣いをヒシヒシと感じたのです。
私は、もうただそのことが嬉しくて、たとえ間に合わなくても、こんな運転手さんに会えてよかったとそんな気持ちになっていました。
◆気持ちは表現しなければ伝わらない
無事、予定の新幹線にも間に合い、ほっとしたところでタクシー会社にお礼の電話を入れました。
すると、電話に出た方も「それは間に合ってよかったですね! 乗務員も喜びますよ。
確かに伝えます! わざわざお電話ありがとうございます」と嬉しそうに言ってくれました。
〈お客様の立場に立って〉という言葉は使い古されていますが、頭ではわかっていても具体的にどうすればいいのか迷うこともあるのではないでしょうか。
お客様の気持ちになりきって、その気持ちを共有する。
そして「同じように感じていますよ」という気持ちが伝わるように表現していく。
行為というのは、もちろん結果が大事です。
しかし、プロセス、つまりどういう気持ちで、どんな方法でそれを行ったのか、ということも同じくらい大切にしたいことです。
相手の気持ちに寄り添って、それをきちんと相手に見える形で伝えていくことの大事さを、あらためて運転手さんに教えてもらいました。
36 「お客様」の立場になっても気遣いを忘れない
◆案内メールに返信したのはたった
2人「相手の立場で仕事を進める」という主旨のセミナーに参加したとき、講師から開口一番で喝が入りました。
「この中で、セミナー案内のメールに対して返事をくれた方は、 15名中 2名だけでした。
自分が逆の立場だったらどう思うか考えてみませんか?」 ドキッとしました。
私は案内のメールに対して何も返事をしていませんでした。
逆の立場だったら、「メールはちゃんと届いているだろうか」「当日は本当に来てくれるだろうか」 と、きっと心配になります。
仕事関係の方や友人からもらった連絡は、必ず「届いた」という報告をするのに、お金を払う立場になった途端すっかりその意識が抜けてしまうことがよくあります。
たとえば、店員さんやウエイターの方など、お金を払ってもらう側の人にも当然感情があります。
お客様からの何らかの心遣いを感じると、気分よく仕事ができるだけでなく、自然とプラスアルファのサービスをしてしまうのではないでしょうか。
◆身近な人と関わるときの気持ちで
ある気遣いの達人は、レストランなどを予約するときは、ランチとディナーの間の時間に電話を入れるようにしていると言っていました。
その時間であれば、お店の人も余裕を持って対応できるとのこと。
この友人は、いろんなお店に行くたびに、店員さんに顔を覚えてもらっているのですが、一人ひとりに丁寧な気遣いをしています。
「こちら、手に取って見てもいいですか?」「詳しくないもので、質問してもいいですか?」 わざわざ、店員さんに確認して了解をもらっているんですね。
去り際も「見せてもらってありがとうございます。
楽しかったです」と必ずお礼を言います。
友人は、「〈素敵だな〉〈楽しかったな〉と思ったままを伝えているだけだよ」と言っていました。
別に見返りを期待してコミュニケーションを取っているわけではありません。
なのに、まわりが友人のその振る舞いに、いろいろなサービスをしてくれるのです。
ときには、限定賞品を紹介してくれたり、裏メニューを出してくれることも。
自分がお金を払う立場にいても、身近な人と接するときのように関わることで、自分も相手も気持ちが明るくなり、楽しいことが起こるきっかけをまわりがくれるのではないかと思います。
今まで何気なく見過ごしてきたこと。
まずは、今度店員さんに何かしてもらったら「ありがとう」と言ってみる。
そんなちょっとしたことからはじめてみませんか? 37 美しい気遣いは「型」にはまらない
◆「上座」は状況によって変わる
「気遣い」に、決まった「型」はありません。
何か形式があるわけではないので、状況や相手に合わせて変えるのが望ましいでしょう。
ときに、型が先行していない気遣いに感動することがあります。
以前、大手保険会社の支店長さんと一緒に車に乗ったときのこと。
車に乗る際、私は招かれている立場なので、上座(運転席の後ろ)に座るのが普通です。
しかし、支店長は「三上さん、スカートですから私が先に乗りましょう」と気遣ってくれたのです。
確かにタイトスカートなどをはいている場合など、車の奥まで体を移動させるのは体勢的にきついものです。
重い荷物を持っているときなども同じで、手前に乗れるとありがたいなと感じることがあります。
いわゆる一般的なビジネスマナーという型に縛られることなく、その場に最も適した形で気遣いをしてくれる。
支店長さんの気遣いに私は心を揺さぶられました。
◆メールで「!」を使うのは間違いじゃない
メールでのコミュニケーションにおいても同じことが言えます。
メールは、直接顔が見えないからこそ、相手との温度を近づける気遣いが不可欠です。
たとえば、相手が「よろしくお願いします!」などの感嘆符を使ってきたとしたら、こちらも合わせて「こちらこそ、どうぞよろしくお願いいたします!」と、同じ気持ちをアピールする。
ビジネスメールでは使わないほうがいいとされている「!」も、相手によっては使うことで気配りを演出することができるのです。
いつまでも形式先行ではかえって相手を疲れさせてしまいます。
メールの場合、見えない分、距離もなかなか縮まりません。
すべて型に収めようとせずに、「相手」に合わせた気遣いを選択してみましょう。
ワンランク上の気遣いができる人は、このように状況や人に合わせるのがとても上手です。
それは、「状況」と「人」をよく観察しているからかもしれません。
「その場に応じて形が変わる」と言うと、高度な技に思えるかもしれませんが、「気遣いに形式はない」と言い換えれば、気負わずにできそうな気がしませんか?「形式」がないということは、絶対の「正解」も「間違い」もないということ。
自分が「良い」と思う気遣いをやってみることが一番なのです。
おわりに
本書を書き進めていく中で、本当にいろいろなことを思い出しました。
それこそ、自分の半生を振り返るような作業だったかもしれません。
今までの自分を振り返ってみると、私はいつも「自信」がなかったなと感じます。
自信とはもちろん文字どおり「自分を信じる」ことです。
以前の私は、自分がどう思われるかばかりを考えていました。
できることならみんなによく思われたい。
好かれたい。
叱られたくない。
優秀だと思われたい……など、多くの感情にとらわれていました。
今思えば、相手が全く見えていなかったのだと気づきます。
見ているのは自分ばかり。
だから、何かを言おうとすると、すぐに「これを言ったら、相手は自分のことをどう思うだろう?」と考えてしまう。
どう思われるかが不安で不安で仕方なかったのです。
気遣いがうまくできなかった頃の私は、常に「自分がどう思われるか?」というところに焦点があたっていたのです。
だから自信が持てず、ちょっとした一言、ちょっとした行動を躊躇したり、相手にとって必要だと思われることが言えなかったりしていました。
つまり、自信がなくて気遣いができなかったのです。
でも、今の私はこう思います。
「気遣いに自信なんていらない」と。
気遣いとは、スキルであると同時に、「相手のことを思う気持ち」から出てくるものです。
ちょっとした一言や行動が出ないとき、言いにくいことを言えないときには、注意を自分ではなく相手に向けてみる。
「どうしたら本当に相手のためになるだろう」ということに意識を向けるということです。
すると、少しずつ言葉や行動が出るようになり、気遣いがスムーズにできるようになっていったのです。
たとえ、それで相手に叱られたり、ダメ出しされたとしても、相手のことを思った結果であれば自分もすんなり納得できます。
そしてその行動が、自信に繋がっていったのです。
自信とは、言動の結果の積み重ねがつくってくれるもの。
繰り返しになりますが、「自信があるからやる」のではなく、「やるから自信がつく」のだと私は思っています。
この本に書いた一番大切なこと。
それは「相手のためになると思うこと」を「自信がなくてもやってみる」ことです。
最後にお伝えする「気遣い」ができる人になるためのポイントはこの3つ。
・「自分がどう思われるか」ではなく「相手のために」 ・悩みすぎず、自分が納得できることを正直に ・自信がなくてもとにかくやってみる そうすると、どんどん気遣いがうまくなっていきます。
あなたの人生も、少しずつ、確実に好転していきます。
その一つひとつが自信になって、さらにあなたを輝かせてくれるでしょう。
この本には、使えるヒントやコツをたくさん散りばめておきましたので、実際にどんどん使ってみてください。
繰り返しますが、「やってみること」が大切です。
最後に、この本に関わっていただいた方々にあらためて御礼申し上げたいと思います。
執筆にあたりアドバイスをいただいた鵜川洋明さんをはじめ、一つひとつの事例で登場してくださった私の大切な師匠・友人・ビジネスパートナーの方々、出版に際しご協力いただいた多くの方々、そして何よりこの本を手に取ってお読みいただいたみなさま。
本当にありがとうございます。
みなさまの人生がハッピーに輝くために、本書がちょっとでもお役に立てることを願っております。
三上ナナエ〈著者紹介〉三上ナナエ(みかみ・ななえ) 大学卒業後、 ANA(全日本空輸株式会社)に客室乗務員( CA)として入社。
失敗ばかりの日々を経験し、その中で自分なりの「気遣い、気配り術」を見出す。
その後、チーフパーサー、グループリーダー、 OJTインストラクターを経験し、後輩指導にも当たる。
仕事ぶりが評価され、社内パンフレットや空港イベント要員にも抜擢される。
フライト数は、のべ 4, 500回にも及ぶ。
ANAを退社後は、イメージコンサルタントとして活躍。
「 JCCA日本カラーコミュニケーション協会認定コンサルタント」「セブンシーズン認定カラーリスト」「日本パーソナルカラー協会上級資格」などの資格を持つ。
現在、セミナー講師として活動中。
独自の切り口で行う接客・接遇・コミュニケーション力向上セミナー、ビジネスマナー・第一印象アップ講座、プレゼン能力アップ研修などは、官公庁や商社、大学など多数で採用され、受講者総数は 14, 000人以上。
年間 80社以上の企業研修を任されている。
本書が初著書。
【三上ナナエ ホームページ】 http:// www. pro-manner. com/
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仕事も人間関係もうまくいく 「気遣い」のキホン発行日 2014年2月 10日著 者 三上ナナエ発行者 徳留慶太郎発行所 株式会社すばる舎 〒 170-0013東京都豊島区東池袋 3-9-7東池袋織本ビル TEL 03-3981-8651 FAX 03-3981-8638 http:// www. subarusya. jp/制 作 株式会社すばる舎リンケージ http:// www. subarusya-linkage. jp/ (C) Nanae Mikami※本商品は、株式会社すばる舎発行の書籍『仕事も人間関係もうまくいく 「気遣い」のキホン』に基づいて制作しました。
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