01ゴールに向かうプロセスを確認するここまでで、ゴール設定の手法としてのOKRは理解してもらえたでしょうか。しかし、ゴールを決めただけで安心してはいけません。このままでは何も変化はありません。ゴールを達成するには、まずは一歩踏み出し、ゴールに向けて進んでいく必要があります。狭義の「OKR」は単なる目標です。目標を決めて、後は祈っていればゴールを達成できるということはありません。進めるための設計をし、1日、1週間といった複数のPDCAを回しながら取り組んでいきます。ゴールに向かうには、「運用を設計する→行動を決める→行動する→達成状況を評価する→行動を見直す→最終的な達成状況を評価する」というプロセスを踏みます。
02運用を設計するまず必要なのが、行動の結果がKeyResultにいい影響を与えているか、そもそも行動が行えているのかを、いつ、どのように確認するかを決めることです。行動すること、確認することは、個人レベルで習慣化されていれば問題ないのですが、そうでない場合はチームで集まって確認する時間を決めてしまうのがベストです。週の仕事のサイクルと、日の仕事のサイクルを決めて確認することをおすすめします。これらのサイクルを時間割として表したのが、次の図です。まずは前の図で示した「ゴールに向かうプロセス」の大枠を把握していただきたいので、OKRブリーフィングとOKRデイリーチェックイン、個人面談の具体的な進め方は、後述とします(こちらから)。ここではざっくりとどんなイベントなのかということと、スケジュールをおさえておいてください。
OKRブリーフィングは、チームのメンバーが一堂に会して、KeyResultの達成状況をふりかえり、これからの1週間の行動を考えるイベントです。1週間に1回の頻度で行います。時間は1時間です。時間割では、火曜日に開催するようになっていることが不思議に思われるのではないでしょうか。1週間の計画を考えるならば、月曜日に開催するのがよさそうに思えます。しかし、日本の一般的な企業であれば、月曜日に開催するのは望ましくありません。日本の暦は、祝日の関係で月曜日の休みが多くなるように作られているので、月曜日に設定すると、その週の実施をスキップするか、日程変更が必要になってしまいます。どちらにせよリズムが崩れてしまい、1週間のPDCAサイクルを回しづらくなります。月曜日は他のイベントも含めて設定しないようにしましょう。OKRデイリーチェックインは、個人でそれまでの1日をふりかえり、どのような行動をしたかを確認し、次の1日にどのように過ごすかを決めるイベントです。1日に1回、最大でも15分以内で行います。1日に1回なので、どの時間に行ってもいいのですが、おすすめは午前の早い時間です。次の1日をどのように過ごすかを考える際に、「今日1日」のほうが考えやすく、今日1日をどう過ごすかが決まると、気持ちよく仕事のスタートが切れます。個人面談は、リーダーとメンバーが1対1で話をする時間です。各メンバーと1週間に1回、15分程度で行います。2人の予定と会議室の予定が合えばよいので、OKRブリーフィングやOKRデイリーチェックインに比べると、日程調整がしやすいでしょう。気軽に時間枠を確保しておけば十分です。しかし、「時間ができたら行おう」と考えていると、他の業務に押し出されてしまい、気がついたら1週間が終わってしまいそうで、慌てて調整しようとするも会議室が取れない……、などという事態に陥ってしまうかもしれません。あらかじめ、時間枠だけは確保しておきましょう。
03行動を決める行動=タスクを設定するKeyResultを達成するためにチームとしてこの1週間に何をすべきかを、チームメンバーで話をしながらタスクを洗い出していきます。これは、毎週火曜日のOKRブリーフィングで行います。KeyResultとは直接関係はなくても、チームとして共有すべきタスクがあれば、そのタスクも挙げます。このタスクを洗い出す作業は、慣れてくれば15分~30分程度で終わりますが、初めて行う場合は思いのほか時間がかかります。最初のうちは少なくとも1時間、余裕を見て2時間は確保しておくとよいでしょう。タスクのサイズは1日以内で完了できるものにもしタスク設定に2時間以上かかりそうならば、1週間よりも遠い未来のタスクを細かすぎるサイズで挙げようとしているからかもしれません。タスクのサイズは、1日以内に完了できる程度に細かくします。細かすぎるのも問題ですが、大きすぎるのも問題です。3日かかるようなタスクだと、そのタスクがどこまで進んでいるのかがわかりにくくなってしまうからです。たとえば、AとBの2つのタスクがあったとします。ある時点で確認したときにAが「30%完了している」、Bが「90%完了している」という状況だったとします。これだけ見ると、90%完了しているBのほうが進んでいるように感じますが、次の確認のタイミングではAが「60%完了している」、Bが「95%完了している」となったらどうでしょう。Bのほうには不安を感じますね。さらに次のタイミングでは、Aが「100%完了した」、Bが「96%完了した」という報告になるかもしれません。タスクが終わらないこと、それ自体も問題ですが、それよりも問題なのが、予測がつかないことです。AもBもタスクのサイズが大きいために、その進み具合をパーセントなどで表示することになり、状況がわかりにくくなっているのです。「数値で表す」ことは、物事を具体化するための手段の1つではありますが、数値化すればなんでも具体化できるというわけではありません。このような問題を避けるために、タスクのサイズを1日以内で完了できる程度に小さくして、「終わっているのか」「終わっていないのか」の状態だけで管理するようにします。タスクボードを活用するタスクはチームで共有して管理するのをおすすめします。その際に効果のあるツールがタスクボードです。タスクボードは、ホワイトボードや付箋紙を使ったアナログツールか、パソコンやスマホのアプリによるデジタルツールがあります(使い分け方については後述します)。
1週間分のタスクを洗い出したら、ToDo欄に配置します。ToDo欄は、チームで行うべきタスクを置いておく場所です。見方を変えれば、未着手のタスクとも言えます。作業を始める際に、ToDo欄から実施するタスクを選び、Doing欄に移動します。これで、そのタスクが作業中であることがわかります。作業中のタスクが完了したらDoing欄から、Done欄に移動します。そして次の作業を始める際には新たにToDo欄から未着手のタスクを選び、Doing欄に移動します。これを繰り返します。チームメンバー全員でこのボードを使うことで、他の人がどのようなタスクをやっているのか、チームとしてどのようなタスクをやらなくてはならないのかを頻繁に意識せざるを得ない状況となります。どこかのタスクに問題があれば、素早く発見できます。
04行動する次は、いよいよ実際に行動していきます。洗い出したタスクを参考に動きましょう。このプロセスでは、最低でも1日1回は、できるだけ高い頻度で行動の状況を更新します。タスクボードでタスクを管理しているならば、どのタスクがDoneになったのか、どのタスクがDoingなのかがわかるように、ステータスを更新します。Doing欄にたくさんのタスクが同時に貼られていたら、要注意です。複数の仕事を同時に行っているということですので、マルチタスキングの問題に陥っていないか確認してください。人によっては、複数の仕事を同時に行うことをかっこよいと思う方がいらっしゃるようですが、実はこれは効率が悪く、ミスも起こしやすくなります。また、行きすぎると、身体的、精神的な問題にまで発展するケースがあります。タスクボードの準備が難しい場合は日報を書いて共有という方法でもよいでしょう。行動の状況はリアルタイムに更新するのがいいのですが、つい更新するのを忘れがちです。OKRデイリーチェックインで、その日の早い時間にみんなで揃って状況を更新するという方法もあります。メンバーが集まっているので、相談したいことがあればすぐ行えるというメリットもあります。
05達成状況を評価する「O(Objective)」の達成状況を評価する行動した後は、週1回のOKRブリーフィングの時間を使って、達成状況を評価します。まずは、Objectiveに向かっているかを確認します。Objectiveは定性的な内容なので、数値化して確認するのは難しいです。そこで、チームメンバーの感覚値で判断します。評価の方法として、筆者が「表明じゃんけん」と呼んでいる方法をご紹介します。①各自がObjectiveの達成状況を0~5点で評価する②司会の掛け声「せーのっ!」で、同時に評価を指で出す(1点なら指1本、3点なら指3本を出す)③司会が集計し、平均点を算出する定性的な内容を「確認」するというと、その内容をただ読み上げるだけになってしまいがちですが、このように単純でも点数化しようとすると、その目標について具体的に考えるようになります。前に決めたものなので、時間が経つうちに内容の解釈がそれぞれで異なってくるかもしれません。解釈が変わってきたら、それについても話をしておきましょう。たとえば、「我々セキュリティチームは、社内のIT利用者のITリテラシーを向上させることで、セキュリティ事故を未然に防ぐ」というObjectiveであれば、「あれっ?そもそもITリテラシーってなんだっけ?」という疑問が出てくるかもしれません。情報量が少ない状況では十分に具体的だと思っていたことが、情報量が増えてくると具体化が不十分であることに気づかされることはよくあります。ちなみに、「表明じゃんけん」と呼んでいるのは、周りの人の顔色をうかがって「周りの人はこのぐらいの値を出しそうだ」と、評価を合わせに行くのではなく、「自分はこう思う」という自身の考えを素直に表明してほしいからです。
「Aさんは何点ですか?」「Bさんは何点ですか?」と1人ずつ順に評価を聞いていくと、最初に出した人の点数に引きずられてしまう傾向があります。最初の人が5点、次の人が5点と高い点を出している状況で、次にあなたの評価を伝える際に、自分では2点と低く評価していても、つい迎合してしまい3点とか4点とか思っていたより少し高めにつけてしまいがちです。他の人の評価を聞いていない状況で、「せーのっ!」で一斉に評価を出すことで、周りの意見に引きずられなくなります。「KR(KeyResult)」の達成状況を評価するObjectiveの評価が終わったら、続けてKeyResultの評価をします。こちらでお伝えしたように、OKRブリーフィングは、チームメンバー全員が集まるイベントです。多くの人が集まっているのにもかかわらず、KeyResultの値の収集に時間を費やしてしまうのは時間の無駄です。KeyResultは数値で表せるものにしているはずですから、OKRブリーフィングの前に、KeyResultの現在の値を誰かが代表して収集しておくか、いつでも誰でもすぐに現在の値を確認できるような仕組みにしておくべきです。KeyResultの達成状況は直感的にわかりやすいようにグラフにします。KeyResultは数値化されているので、グラフとはとても相性がよいです。前の図のように、設定したKeyResultを達成していくための基準線を引いておき、OKRブリーフィングのタイミングで、実績線を引いて、その差分を明確にします。
達成状況の評価方法についてまとめると、「O」は定性的なものなので「表明じゃんけん」などの方法で簡単に数値化してみましょう。「KR」はもとから定量的なものなので、グラフ化して確認してみましょう。
06行動を見直すKeyResultの達成に予定通りに向かっている場合でも、向かっていない場合でも、見直しが必要です。予定通りに進んでいるのに、なぜ見直しが必要なのでしょうか?KeyResultは、最初の設定時点では、達成できるかどうかが60~70%程度に設定しています。よって、予定通りに進んでいるということは、KeyResultの設定が甘かったのかもしれません。このような場合は、KeyResultを再設定しましょう。予定通りに進んでいない場合が、正常な状態です。KeyResult達成のために、行動を見直します。しかし、あまりにもKeyResult達成が困難であったり、KeyResultを達成したところでObjectiveの実現に貢献できなかったりするようであれば、このまま行動を見直しながら続けるのではなく、現在のOKRを捨てて、新たなOKRを設定することも検討してください。行動を見直すときは、行動指標と結果指標という考え方が参考になります。行動指標とは、何かしらの行動によって直接制御可能な指標です。結果指標とは、何かしらの行動の結果によって間接的に変化する指標で、直接制御できないものです。社内勉強会の例で考えてみます。「社内勉強会の参加者数」は、何かしらの行動によって直接変化させることはできないので、結果指標です。では、何をしたら参加者数を増やすことができるでしょうか。社内勉強会の回数を増やせば、参加者数は増やせます。また、勉強会の回数が多かったとしても、1回あたりの参加者数が少ない場合、告知が不十分なのかもしれません。その場合は、告知のチャネルを増やせば参加者数の少なさは解消できるでしょう。「社内勉強会の実施回数」や「社内勉強会の告知メディアの種類」は、直接的に行動できるので、行動指標となります。この行動指標と結果指標の間には「遅れ」があることに留意してください。
行動しても、すぐにその結果が数値として現れないことは少なくありません。結果指標によい変化が見られなかったからといって、どんどんと新しいことをやったり、1回だけ試してみてもうやらなかったり……、ということは避けてください。どのくらいの回数、どのくらいの期間試すのかも含めて行動を見直すことが大切です。行動を見直す方法には、「KPTAふりかえり」を推奨します。KPTAふりかえりとは、Keep、Problem、Try、Actionの4つの視点を持つ思考フレームワークを用いてふりかえる手法です。具体的な進め方については、後述します(こちら)。
07最終的な達成状況を評価するマイルストーンの期限になったら、最終的な達成度を評価します。それぞれのKeyResultの達成度も重要ですが、もっと重要なのがObjectiveが実現できているかどうかです。「Objectiveが実現できているか、いないか」という極端な評価である必要はありませんが、少なからずObjectiveに近づいている必要があります。Objectiveに近づいているならば、チームで喜びを共有してください。Objectiveが実現できているならば、チームで「盛大に」喜びを共有してください!最も悪いのは、途中でKeyResultの状況を確認せずに、最後になって「ああ、達成できていないね。でも、達成できないような高い目標を立てているんだから当たり前だよね」といった状況になることです。しかし、自分もそうだったのですが、周りを見ても同じような状況に陥りがちです。ついつい、直近の作業に集中してしまい、気がついたら3カ月が過ぎてしまって慌ててしまうのです。慌ててしまうならばまだしも、まったく忘れてしまって、いつの間にかなかったことになってしまうことも少なくありません。このような状況に陥らないようにするためにも、こちらの通り、毎週決まった時間に確認するように時間割を決め、スケジュールに登録してしまいましょう。評価が終わったら、続けて新しい期間が始まります。新たにゴールを決め直し、そのゴールに向けて動いていきます。
08OKRブリーフィングの進め方ここまでで「ゴールに向かうプロセス」の大枠は理解していただけたかと思います。ここからは、各プロセスで行う「ふりかえり」の方法を詳しくお伝えします。OKRブリーフィングは「KPTA」でふりかえるOKRブリーフィングは、1週間に1回集まって、「KeyResultの達成状況を評価する」「行動を見直す」「行動を決める」の3つを行うイベント(会議体)です。OKRブリーフィングのタイムテーブルはこちらの通りです。PDCAサイクルの、Check(評価)、Action(改善)、Plan(計画)について、チームで考えます。時間は、OKRブリーフィングに慣れたチームの場合の目安です。始めたばかりでまだ慣れていない場合は、最低でも2倍の時間は見込んでおいたほうがよいでしょう。本書では「行動を見直す」方法の例として「KPTAふりかえり」を紹介します。KPTAふりかえりとは、Keep、Problem、Try、Actionの4つの視点を持つ思考フレームワークを用いてふりかえるファシリテーション手法です。Keepは、「続けること」。うまくいっていて、次も続けることです。どんな些細なことでもよいので、続けたほうがいいと思うことを挙げます。Problemは、「不満なこと」。不満に感じていること、工夫の余地がありそうなことです。発生している現象だけではなく、感じていることも挙げます。また、将来的に発生しそうな未来の問題(不安、リスク)も挙げます。Tryは、「試したいこと」。KeepとProblemに対する改善策です。ネガティブな事象であるProblemに対する改善策だけではなく、現在うまくいっていることであるKeepに対してもさらなる改善策を挙げます。Actionは、「実施すること」。Tryを受けて、具体的に行うことです。誰が、いつ、何を、どうやって行うのかを明確にします。
KPTAふりかえりは、こちらのようなKPTAボードを使うのが基本です。筆者としては、慣れているせいもありこのレイアウトがとても使いやすく、しっくりとくるのですが、デジタルツールを活用しようとすると使いにくい場合がありますので、その場合は適宜工夫してください。特にKeepとProblemが上下に並んでいるのがデジタルツールと相性が悪いです。その場合は、Keep→Problem→Try→Actionと、横に並べるとよいでしょう。「KPTAふりかえり」のやり方KPTAボードのほか、付箋紙とペンを用意したら、KPTAふりかえりを始めましょう。KPTAふりかえりを初めてやるときは、次の5ステップで進めます。①Keepを挙げる②Problemを挙げる③Tryを挙げる④Tryを選択する⑤Actionを決めるステップ1:Keepを挙げるObjectiveおよび、KeyResultの達成に対して、いいと思われる行動を各自が付箋紙に書きます。全員が書き終わったら、KPTAボードのKeep欄に整理しながら貼ります。このとき、1人が1枚ずつ順に意見を出していく「ラウンドロビン」という進め方を試してみてください。Aさん、Bさん、Cさん、Dさんの順で意見を出していくこととします。まず、Aさんが手持ちのKeepを1枚だけKPTAボードに貼りながら、読み上げます。Aさんが貼ったKeepと同様の意見を、Aさん以外の人も持っていれば、Aさんが貼ったKeepの近くに貼ります。Aさんの次の順番のBさんが新たなKeepをKPTAボードに貼り、同様のKeepを持っている人は近くに貼ります。そして、Cさん、Dさん、またAさん……と、全員のKeepがなくなるまで続けます。ラウンドロビン方式をおすすめする理由は、対等に意見が言いやすくなるからです。もし、AさんのKeepを全部貼り、次にBさんのKeepを全部貼り、次にCさん、次にDさんと進めていくと、後になればなるほど同意見が先に共有されてしまい、新規の意見がなくなってしまいます。人は印象に左右されやすいため、同じ意見でありながら、順番が先か後かだけでチームへの貢献度が低く評価されてしまうことがあります。ラウンドロビン方式で1枚ずつ順に貼っていけば、このような状況を減らすことができます。ステップ2:Problemを挙げるObjectiveおよびKeyResultの達成に対して好ましくないと思う事象や行動を各自が付箋紙に書きます。Problemを書くときは「TryありきのProblem」を書かないように留意してください。たとえば、「ネットワークに関する社内勉強会を開催していない」というのは、「~していない」というように「行動の否定形」になっていて、「ネットワークに関する社内勉強会を開催する」というTryを含んでいます。勉強会を開催しないことで発生している事象である「ネットワークに関する問い合わせの対応で時間が取られる」などを書くほうが望ましいです。書き終わったら、KPTAボードのProblem欄に整理しながら貼ります。ステップ3:Tryを挙げるKPTAボードに貼られている、KeepとProblemに対する改善策を考えて付箋紙に書きます。ここで挙げた改善策は必ず行うものではなく、実行できるかどうかもわからないような、妄想レベルのもので十分です。少しでも改善の効果がありそうなアイデアをできるだけ多く挙げます。付箋紙は、どのKeepやProblemと対応しているかがわかるように貼って共有します。さまざまな視点でアイデアを出しているので、他の人が挙げたアイデアを見ると刺激されて新たなアイデアが浮かぶことがあります。その場合は、アイデアが浮かんだ時点で付箋紙にそのアイデアを書き、自分の番になったら貼って共有してください。ステップ4:Tryを選択するTryを共有したら、効果がありそうなものを選びます。挙げたTryをすべて実行するわけではありません。挙がっているもののうち、効果がありそうなもので、あまり労力をかけなくてもよいものを数個選んでください。ステップ5:Actionを決める選択したTryを実行可能なActionへと具体化します。タスク的なActionであれば、タスクボードのToDoとしてください。チームのルールであれば、ルールを追加、修正してください。
2回目以降の「KPTAふりかえり」のやり方2回目以降のKPTAふりかえりは、前回のKPTAの確認から始めてください。Try、Actionを確認し、Keepすべきことがあれば付箋紙をKeepに移動します。不要なTry、Actionは取り除きます。Problemを確認し、不要なProblemがあれば取り除きます。Keepを確認し、不要なKeepがあれば取り除きます。Keep欄には、TryとActionから付箋紙が移動してくるのでたくさん溜まります。そのため、見やすくするために整理するというのもありますが、本当に重要なのはチームとして続けていく行動を明らかにすることです。チームの能力が向上したり、外部環境が変化したりすることによって、ある行動を行い続けることが、チームのパフォーマンス低下を引き起こしているかもしれません。そのようなものは、Keepから外しましょう。その後は、初回のステップ1~5の進め方と同じです。
09OKRデイリーチェックインの進め方1日の作戦をたてようOKRデイリーチェックインは、1日に1回集まって短時間でその日の作戦を立てるイベントです。毎日行うので、短時間で終わるようにします。最大でも15分というのを目安にしてください。用意するものは、チームのOKRとタスクボードです。ステップ1:各人が報告するタスクボードを使って、各人が以下の事項を報告します。・昨日したこと・今日やること・Objective、KeyResultの達成を妨げるような障害ステップ2:障害の対応を検討するOKRデイリーチェックインが15分以内で終わるのであれば、障害の解決策を検討します。15分を過ぎてしまうようであれば、しかるべきメンバーで解決策を検討するミーティングを設定し、イベントとしては終了します。筆者の周りでは、このような解決策を検討するミーティングのことを「二次会」と呼んでいます。
10個人面談の進め方メンバーと対話しよう個人面接はリーダーとメンバーの1対1で、メンバーの成長に関して話をする時間です。1on1(ワン・オン・ワン)と呼ばれるものと近しいもので、メンバー1人に対して1週間に15分程度、対面で話をします。話の内容によっては、適宜時間を延長してください。心理的安全性が十分に確保できているチームであれば、個人の成長について互いに尊重しており、また個人の困りごとをチームで共有することは当たり前のように行えるので、個人面談の必要性は低いです。一方で、さほど心理的安全性が確保できていないチームであれば、個人の困りごとをメンバーが1人で抱え込んでしまっているかもしれません。このような場合は、メンバーがどのようなことを考えているのかを聞く時間を取ることは重要です。ステップ1:メンバーの最近のよかったと思うことを聞く「最近のよかった話を教えて」のように投げかけ、話を促します。まずポジティブな話をすることで、場の雰囲気をよくする効果が期待できます。ステップ2:メンバーが自身の成長に関して気になっていることを聞く「仕事の手ごたえを感じてる?」「気になっていることある?」といった質問を投げかけます。特に気になっていることがないようならば、そこで切り上げてしまってもよいですが、少し雑談をするのをおすすめします。ステップ3:メンバーと一緒に次に行うアクションを考えるメンバーが課題感を抱えているならば、その課題を聞いていきます。メンバーが言葉に詰まることがあります。その場合は、話し出すまで待ちましょう。リーダーは、メンバーが考えていることを想定して代弁してしまいがちですが、ぐっとこらえてください。ステップ4:メンバーが次に行うアクションを聞くステップ3でさまざまな課題とともにアクションのアイデアも挙がってきます。すべてのアクションを行うわけにもいきませんので、どのアクションをするのかをメンバーに決めてもらいます。そのアクションがまったくの見当違いでなければ、「よし、頑張ろう」と言って個人面談を終了します。もし見当違いであれば、あなたがなぜ見当違いと思ったのかを、伝えて、再考を促します。ここまで、リーダーであるあなたと、メンバーとの個人面談について説明をしました。リーダーも誰かと個人面談のような時間を取ることをおすすめします。上司に時間を取ってもらうのもよいですし、同僚と行ってもよいでしょう。
11OKRマネジメントボードを活用してみるここまでOKRの運用の仕方を紹介してきました。これらの運用をマネジメントしやすくするために、全体を一目で見渡せる1枚のアナログなボード(=OKRマネジメントボード)を用意することを推奨します。これまでに紹介してきた、OKR、タスクボード、KPTAボードをOKRマネジメントボードに配置します。さらに、チーム名や、チームルールも配置します。チーム名を決めると、チーム感が増していくきっかけとなります。ぜひみんなで一緒に考えて決めてください。いきなりチーム名を決めるのが難しいようならば、次のステップを参考にしてみてください。①チームとして仕事を進めていくうえで、大切だと思うことを各自が付箋紙に3つ書く(例)互いに尊重する、時間を守る②各自が書いた付箋紙を読み上げながら共有する③似たものを寄せてグルーピングする④グルーピングされたものを参考に、各自がチーム名の案を2つ書く⑤各自が書いた付箋紙を回収してシャッフルし、誰が書いたかわからなくする⑥気に入ったチーム名に投票して決めるこれらはチームとしての根本的なことなので、本来はObjectiveを決める前に決めておくのが望ましいです。OKRマネジメントボードはなかなかの大きさになるので、広い壁に直接作るとよいでしょう。壁の確保ができない場合は、養生用に用いられるプラスチック段ボール(略称「プラダン」)を用意して、それに貼るという方法も検討してください。物理的な場所の制約で、設置するのは難しいでしょうが、チームメンバーの意識を集中させる効果が期待できます。
OKRの運用を支援するデジタルツールOKRの運用で使われる、タスクボードやKPTAボードは、ホワイトボードや付箋紙、模造紙などのアナログツールを使うか、パソコンやスマホのアプリのようなデジタルツールを使うかで議論されることも多いのですが、まずはアナログツールから使い始めるのを強く推奨します。自由度が高く、さまざまな工夫がしやすいからです。OKRの運用に慣れていないうちから専用のデジタルツールを使うと、ツールを使うことに対して労力が割かれてしまい、本質的なところに時間をかけられないということになりがちです。いわゆる「ツールに振り回される」という状況です。OKRの運用に慣れてきて、自分たちがやりたいことをもっと効率化したくなってから、デジタルツールに切り替えるのがよいでしょう。OKR運用に使えるデジタルツールをいくつかご紹介します。OKRマネジメントボードと同等のことを実行できるデジタルツールはないのですが、複数のツールを組み合わせることで運用できます。【Zealup】https://business.zealup.jp/OKRを運用するツールの代表格です。期間と組織の階層、OKRの階層を管理できます。チェックイン機能で、データを更新するとグラフを自動で描いてくれます。KeyResultやチェックインに対する「いいね」やコメントで他の人の活動を応援する機能も搭載されています。専用ツールだけあって、OKRの考え方に沿って運用しやすくなっています。【Trello】https://trello.com/タスク管理ツールです。タスクボードとして使うことができます。カードのように扱えるので、KPTAボードとしても使うことができます。その場合は、レイアウトの工夫が必要です。【RealtimeBoard】https://realtimeboard.com/【lino】https://ja.linoit.com/デジタル付箋ツールです。付箋紙をデジタル化したものです。付箋紙代わりに使えるので、複数人でアイデアを出すブレーンストーミングやタスクボード、KPTAボードなど、多くの場面で使えます。【Googleスプレッドシート】【MicrosoftExcel】表計算ツールです。自由度が高いので、手を加えれば加えただけさまざまに使えます。筆者は、KeyResultの値を入力してグラフ化して表示したり、KPTAボードとして使ったりすることが多いです。
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