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Chapter4組織でOKRを使う

01OKRの組織導入パターンここまでで、チームでどのようにOKRを活用するかを説明してきました。チームでうまくいくならば、もう少し広い範囲で使えると、より効果が高まります。企業全体で取り組むことができれば、それぞれのチームがどのようなゴールに向かって活動しているかがわかるようになります。そうすれば、他のチームを支援することができるようになり、企業としてより大きな成果を得ることもできるようになるでしょう。当然、あなたのチームも助けてもらいやすくなり、より高い成果を出せるようになります。あなたのチームでのOKR導入が功を奏し、企業レベルでOKRを導入することになったとします。OKRを企業レベルで導入するには、一気に全組織に導入するようなアプローチよりは、局所的、段階的に導入するアプローチがおすすめです。立ち上げ、展開、定着の3ステップで考えるとイメージしやすいでしょう。

【ステップ1:立ち上げ】OKRを企業内で推進するための組織を作り、その組織の主導のもとで事例を作るステップです。【ステップ2:展開】OKRを活用するチームを増やすステップです。【ステップ3:定着】OKRを組織のルールの一部として、運用するステップです。定着すれば推進チームは不要ですので、このステップまで行きついたら、推進チームは解散となります。

02「ステップ1:立ち上げ」の進め方OKR推進チームを作るまず必要となるのがOKR推進チームです。OKR推進チームのミッションは、あなたの会社にOKRを導入することです。メンバーは、実績のあるあなたと、もう1人の2人が最小構成です。多くても4人までとしてください。2人の場合は、最低でもどちらか1人は推進チームの専任者となってください。推進チームは短期間で多くのことをする必要があるので、他の業務と兼務してしまうと進まなくなってしまいがちです。また、メンバーが5人を超えるのもおすすめしません。メンバーが5人以上の場合は、多くの方が兼務となるでしょうから、メンバー間での合意を形成するだけで、思いのほか時間が割かれてしまいます。チームや部門のOKRを設定するなど、会議の進行をする機会があるので、会議ファシリテーターとしてのスキルがある人をメンバーに加えるのがおすすめです。チームを作ったら、役員会などで承認を得るなど、お墨付きをもらってください。多くの日本企業では、このお墨付きがあるかないかで、動きやすさがかなり変わってきます。なお、活動に必要な予算の確保も忘れずにしてください。OKR推進チームメンバーの人件費は当然のこと、外部研修の参加費、有識者による講演会の謝礼など、教育に関する費用も必要です。有志による勉強会を開催するならば、大きな額ではありませんが、お茶菓子代も忘れてはなりません。OKR管理ツールの利用ライセンスや、ホワイトボードや付箋紙などの文具類も、予算として考えておきましょう。OKR推進チームのOKRを設定する社長や役員と相談しながら、OKR推進チームのOKRを設定してください。理想は企業レベルのOKRを設定するべきですが、OKRを使いこなせるような土壌が整っていないようならば、まずはOKRを導入することで企業をどうしたいのかをはっきりとさせ、どのくらいの期間で導入するかを決めていきます。社長や役員がOKRを理解しているとも限らないので、OKRについて説明し、正しい理解をしてもらってください。ガイドを作る自社にあったガイドを作ってください。他社でどうやっているかを参考にしながら、自社で「なぜOKRをやるのか」「OKRの設定の仕方」「OKRの運用の仕方」「設定や運用で起きる失敗例とその対策」「参考書籍、参考サイト」などを決めます。Googleでは「Googlere:Work」というサイトで、OKRのガイドやツールを公開していますので、見てみるのもよいでしょう。作ったガイドは、全社に公開する前に、社内でレビューをしてもらいます。後述する、講演会や勉強会に参加した人を対象に、レビューに協力してくれる人を募ってください。レビューアは、リーダークラスに限定する必要はありません。マネジャークラスや、担当クラスなど、さまざまな階層の方に参加してもらうのが理想です。同報メールなどでは、なかなか手が挙がらないかもしれないので、そのような場合は個別に連絡を取ってお願いするとよいでしょう。レビューアにガイドをレビューしてもらい、できる限り現場の生の声を取り込むようにします。しかし、より多くの意見を取り込もうとすると、ガイドの内容がぼやけてしまうことがあります。「最終決定はOKR推進チームで行う」というルールを設けておくと、不必要な混乱を避けることができます。有識者による講演会、有志による勉強会を開くOKRに詳しい方を講師に招き、講演会を行ってください。この講演会を開催する狙いは大きく2つあります。1つは、OKR推進チームが活動していることを全社的にアピールし、認知度を向上させることです。もう1つは、社内に隠れている、OKRに興味を持っている人を見つけることです。講演会の企画を作ったら、全社アナウンスをして、参加者を募ります。この参加者リストが、ガイドのレビューアや、導入部門を検討する際の材料となります。興味があってもさまざまな事情で参加できない方もいるでしょうから、選択肢には、「参加」「不参加(興味はある)」「不参加(興味なし)」の3つを用意しておくとよいでしょう。講演会が難しい場合は、有志を募って勉強会を開催するというのもありです。その場合の講師はあなたがふさわしいでしょう。あなたはOKRで成果を出した事例をお持ちなので、OKRに興味がある人ならば、きっとあなたの話を聞きたいと思っているはずです。最初の導入部門を決める最初に導入する部門を決めます。

推進チームのメンバー数や習熟度を考えると、最初は5~10チーム程度の規模の部門が、取り回しやすいのでおすすめです。しかし、OKR流に「野心的」な目標とするならば、その倍のチーム数を設定してもよいでしょう。とは言え、同時に支援する導入の対象となるチーム数は、OKR推進チームが2人ならば6チームぐらいに収めておくほうがよいです。部門長がOKRに対して前向きな部門から始めるのがおすすめですが、そうでない場合は、事前に部門長にOKRとは何か、OKRを導入することのメリット、デメリットを説明しておきます。その企業の文化によっては、役職を気にする方がいます。部門長とチームリーダー上がりのあなたとではつり合わないと思われるならば、見合うように昇格して役職を上げてもらうか、社長と同席で説明をしてください。もちろん、役職をあまり気にしない企業文化でも、社長と同席で説明すれば、その本気度が伝わることでしょう。研修をするガイドをもとに導入対象となる部門のリーダークラスを集めて研修をしてください。研修の冒頭では、社長から「なぜOKRに取り組むのか」について、話をしてもらってください。このとき、事前に社長と話をしながら、どのように話をすれば、社員が前向きに取り組んでくれるかを検討して、原稿を作ってください。推進チームで原稿を用意して読んでもらうだけにすると、社長が「読めと言われたから読みますが」という前置きをしてから読んでしまい、社員のやる気を削いでしまったという笑い話のようなことが起きます(聞いた話ですが、実話のようです)。さらに、OKRの設定方法と、運用方法を理解してもらいます。これで、導入対象部門のチームリーダーにもOKRを始めるための基礎知識が身についたことになります。どのような活動が必要かを理解してもらったところで、主要なイベントである、部門OKR設定ミーティングの実施日と、各チームで行う毎週のOKRブリーフィングの実施タイミングを決めます。さらに、OKR推進チームが、各チームに対してどのような支援ができるかも紹介します。導入を支援する部門長と、チームのリーダーに集まってもらい、部門レベルの3カ月のOKRを設定します。この会議のファシリテートはOKR推進チームで行います。その後、各チームは、部門レベルのOKRをもとに自チームのOKRを設定します。この会議のファシリテートは、最終的にはチームリーダーにやってもらいますが、最初のうちはチームリーダーも慣れていないでしょうから、OKR推進チームがファシリテートしたほうがよいでしょう。なお、各チームのOKRは部門内で共有します。OKRブリーフィングはチームリーダーに行ってもらってください。そして、日程をやりくりして、OKR推進チームもOKRブリーフィングに参加し、気づいた点があればチーム全体にフィードバックします。OKR推進チームと、部門長、各チームリーダーで集まって、ふりかえりを行い、よりよい導入支援について話し合う機会を定期的に作ってください。事例発表会を開催する部門での導入を始めてから3カ月ほど経ったところで「事例発表会」を開催します。この事例発表会には、次の3つの狙いがあります。1つ目は、OKRを導入したチームに、自分たちの変化を自己認識してもらうことです。活動を整理し、OKRの導入前と導入後で、仕事の進め方や仕事の成果にどのような変化があったかを発表できるような形でまとめてもらいます。このとき、事例発表をするのは、よい成果が出てきているチームを対象とします。導入を支援している中で、成果の出やすいチームと、そうではないチームが出てきます。成果が上がらないチームに発表してもらうのは、避けたほうが得策です。発表者が苦痛を感じますし、「OKRは難しい」「OKRは成果が出ない」といったイメージがついてしまうのは好ましくありません。2つ目は、ナレッジを蓄えることです。発表資料がナレッジとなります。3つ目は、OKRに興味を持っている人を探すことです。次の導入部門を検討する際の材料にします。事例発表会は、次の表のようなタイムテーブルで進行します。

会社のトップが参加して話をすることで、会社として認知された活動であることをアピールできます。事例発表の時間は、1チームあたり10分以下とします。あまり長いと資料の準備に時間がかかってしまいますし、聞く側も飽きてしまいます。ディスカッションは、こちらの図に示すように事例の発表者を中心にグループを作ります。そして、参加者が発表者に対して質問をしていきながら、参加者の聞きたいことを聞き出していきます。それぞれの事例発表の後に質疑の時間を作っても、なかなか質問が挙がらないことがありますが、小さいグループにすることで質問しやすくなります。時間が来たら、発表者はそのままに、参加者が次の発表者のグループに移動します。OKRに対してそれほど興味がない人は、ディスカッション前の休憩の時間で抜けてしまうことが多いです。これは、フィルターとして機能します。簡単な食事と飲み物を用意し、その場で立食形式の懇親会を行うのもおすすめです。また、この時間まで残っている人は、OKRに対して興味を持っている人なので、次の導入先の候補と考えてよいでしょう。次の導入部門を決める部門長が集まる会議にて、導入を希望する部門があるかを確認します。手を挙げてくれる部門があれば、その部門を次の導入部門とします。そのような部門がない場合は、これまでの講演会や勉強会、事例発表会の際に集めた参加者リストから、興味を持ってくれている人が多い部門や、上級職が参加してくれている部門を探し、その部門に導入してください。ここまでを一通り行えば、OKR推進チームとしての進め方が理解できるはずです。これで、立ち上げステップは終了です。

03「ステップ2:展開」の進め方研修をする内容や進め方は「ステップ1:立ち上げ」と同じです。導入を支援するこちらも内容はステップ1と同じです。ただし、展開ステップでは、同時に平行して進めるチームが増えるので、OKR推進チームのメンバーを増やすなどの対策が必要です。大きい企業では、部門ごとにOKR推進チームを作って、加速度的にOKRを導入するチームを増やすという方法を採用する傾向があるのですが、これまでの筆者の経験からはこのような急進的な展開は避けるべきです。もしそのようにしたいならば、いくつかの注意が必要です。というのも、急に推進チームを立ち上げるために、OKRに詳しくない人を選抜してOKR推進チームのメンバーにすることがあるからです。これも問題ですが、さらに問題なのは、このような方たちを人に指導できるレベルに育成もせずに、推進をさせるということです。その結果、「なんちゃってOKR」で進めてしまうチームが増えてしまいます。一度身につけてしまった癖を治すのは大変です。そうならないよう、指導的な立場の人はOKRに関する十分な知識と、指導のスキルが必要です。さらに問題となるのが、OKRに詳しくないだけではなく、あまり能力のない人のやっかいばらい的な位置づけで部門OKR推進チームを作ってしまうことです。推進チーム全体が停滞するというのもありますが、OKRチームを解散したときに、このような方たちの受け皿がないということになってしまう可能性もあります。事例発表会を開催するステップ1と内容は同じでもよいですが、同じ内容で繰り返していくと、参加者が減ってきてしまいます。少しずつやり方を変えてください。外部から講師を招いて講演会をするというだけでも、変化を感じられます。次の導入部門を決める新たな導入部門を決めます。初期段階では「やりたい」という前向きな部門から行うので進めやすいのですが、中盤になってくるとどちらかというと「やりたくない」という後ろ向きな部門を対象としなくてはならないので、何かとパワーが必要です。ここが踏ん張りどころです。導入されていない部門が残りわずかとなってくると、導入に難色を示していた部門も、取り残されたくないという思いから前向きに取り組むようになってきます。このような状態になれば、展開ステップは終わりです。

04「ステップ3:定着」の進め方OKRを制度化する制度化するというのは、「出張に行ったら旅費の精算をする」というのと同じレベルで、当たり前のルールとしてOKRが存在している状態にするということです。年に1回企業レベルのOKRを設定する。各部門は、企業レベルのOKRに従って、3カ月ごとに部門のOKRを見直す。といったイベントを企業の年間スケジュールに組み込みます。OKRについての正しい理解と、OKRの設定やOKRの運用に関するファシリテーションの手法を学ぶための研修を、社内の人材育成の仕組みに組み込みます。このような研修は、新卒の3年目や中途社員の方が受講するのが適しています。研修の講師を社内で育てておくことも忘れないでください。自社のことをよく知っている人が講師をしたほうが、自社の状況に合わせて適切な事例を使うなどして、内容の濃い研修ができます。研修を社外の研修会社に委託するというのもありです。日本企業特有の特徴なのか、社内の講師だと受講者から軽く見られてしまい、話を聞いてもらえないという傾向があります。このような状況が顕著な場合は特に、社外の講師を検討する余地があります。OKR推進チームを解散する制度ができたら、OKR推進チームは不要となります。OKR推進チームを解散し、メンバーはそれぞれ異動します。企業レベルのOKRを設定するイベントのファシリテータや、各チームでのOKRの設定を支援するコーチは、経営企画部に異動するのが適切です。数人はOKRについての研修をするために、人材育成部門に異動することになるでしょう。受講対象者が少なく、年に数回、講師を担当するだけならば、人財育成部門でなくても他の業務をしながらでもできます。ここまでの活動が行えるというのは、他の仕事でも十分に成果を出せるような人財に成長してきていますので、異動先でも暖かく迎えてもらえるでしょう。

05階層型組織のOKRそれぞれのチームがOKRを使って運営を行えるようになってきたら、次はチーム同士が連携して相乗効果を出せるようにしていきます。メーカーの例で考えてみます。「営業チーム」の担当が顧客から注文を取ってきて、その注文に基づき「製造チーム」が製品を作ります。しかし、製造するには、自社では作れない部品が必要で、その部品は「調達チーム」が社外のサプライヤーに発注をかけて納品を待ちます。完成した製品は「配達チーム」が顧客のもとへと運搬します。それぞれのチームが、自チームのミッションに基づき、野心的なOKRを設定したとします。たとえば、次のようなObjectiveです。・営業:注文あたりの利益を増やすために、高利益の製品に絞って提案をする。・製造:コスト低減のために、ある程度の注文が溜まってから機械を動かして製造する。・調達:部品の原価を低減するために、大量購入をしてサプライヤーから値引きをしてもらう。・配達:完成した製品を素早く顧客のもとへと届けるために、運搬車両とドライバーの数を増やす。

各チームはそれぞれ頑張っているのですが、足並みが揃っているとは言えず、プロセス全体で見ると多くのムダが発生しています。このムダが積み重なっていけば、経営を圧迫するのは明白です。どのような方向に向かって努力をすべきか、その方針が必要となります。この場合、この4チームが所属している組織として、上位のOKRを設定し、そのOKRが達成できるように、各チームがOKRを決めます。次の図のように、上位のKeyResultが属するチームのObjectiveと対応するように設定するのが最もシンプルでわかりやすいです。

しかし、このようなOKRの階層構造はチーム同士の関係をおろそかにするので、チーム間の相乗効果を狙うならば、あまり好ましいとは言えません。組織でOKRを運用する際に、全チームのOKRをオープンにするとよいと、どこでも言われていますが、オープンにしたところで他のチームに関心が持てないならば、その効果は半減してしまいます。チーム間の相乗効果を生み出すには、上位のKeyResultを複数のチームで達成する形を取るのをおすすめします。チームのOKRを決めるのに、他のチームを交えて話をしなくてはならないので、衝突が増えますが、その一方で互いのチームの理解が増します。また、運用をする中でどのチームも上位のKeyResultを十分に達成できればよいのですが、そうではないとき、それぞれのチームが助け合うような関係になっていきますし、新たなアイデアも生まれます。組織の階層が増える場合は、階層ごとに同様の考えでOKRを設定してください。

06マトリクス型組織のOKR前述の階層型組織の場合は、組織が上位下位の概念で構成されており、上位のObjectiveに向かってOKRを決めればよいのでわかりやすいでしょう。しかし、マトリクス型組織の場合は、その組織の構造上、「職能軸と製品軸」のように複数の軸で組織を分類するので、上位のObjectiveも複数存在します。OKRの「アライメント」の原則に重きを置くと、「フォーカス」という原則から外れてしまいます。このような状況で「フォーカス」するには、経営トップから「職能軸を優先する」「製品軸を優先する」というような方針を出すというのが、解決策の1つになります。たとえば、それぞれの製品に関わる人数が10人程度で1チームとして動ける人数であれば、製品のOKRにフォーカスするほうが行動しやすくなります。人数が多い場合にチームを分ける際も、製品にフォーカスするのがおすすめです。多様な職能のメンバーが集まるほうが多様性が増して、新たなアイデアが生まれやすくなります。

職能ごとでチームを作ると、それぞれのチームの同質性が増すので、自然とチーム間のセクショナリズムが強くなる傾向があります。現状を維持するのならば問題ありませんが、クリエイティブさを求めるならばおすすめしません。適切な道具を使おうOKRは単なる道具です。どのように使うかは使い手次第。目的に応じて適する道具も異なります。OKRを他の道具と組み合わせてよりよい道具へ進化させることができる一方で、OKRが適さない問題にもOKRを使い、より解決が難しい状況になってしまうこともあります。板に釘が半分刺さり、邪魔になっている状態を想像してください。金槌しかなければ、打ち込むしかなく、板の裏側に突き抜けて、より問題が大きくなるかもしれません。しかしペンチがあれば釘を抜けますし、釘抜きという専用ツールがあればもっと小さな力で解決できます。みなさんの「本当にやりたいこと」を実現するための道具箱の中に、ゴール設定の道具である狭義のOKRや、ふりかえりの道具であるKPTAを常備し、いつでも使える状態にしていただけると幸いです。

Epilogue読んだだけではよくなりません。始めて、わかるのです。OKRには、組織を激変させる効果が間違いなくあります。これは世界で活躍する企業がそのポジションまで成長したことや、現在もトップを走り続けていることが、証明しています。私はOKRのことを初めて知ったとき、この特効薬をチームや組織に導入さえすればみんな幸せになれる、と思い、期待を胸にしていました。しかし、実際に導入してみると、思うようにはいきませんでした。OKRの書籍で書かれているようなことを実行してはみたものの、成果が出てこないのです。少し時間がかかるのかな?と思い、待ってみたものの、変わらない。私はOKRは万能のツールだと信じていましたが、チームに導入した後、錆びた鎌と同じように、役に立たないモノとして認識してしまう時期がありました。私の失敗は、まさに「『できる』と『できた』は違う」ということを示しています。世の中にはOKRを活用し周りを幸せにできる人もいれば、チームの目標を見失い、統制が取れず、結局目標を達成できない人もいるのです。この違いは何なのか?それは、本を読んだだけで、「できる」と過信してしまうこと。すでに会得したものと誤認してしまうこと。イレギュラーには目をつむること。創意工夫せず、自分たちのものに変える努力しないこと……。本書は、OKRとKPTAを活用し、組織の目標を達成するプロセスを紹介しています。ただし私が経験したように、すべての組織がこの本の方法でうまくいくとは限りません。むしろ、何らかの工夫、ふりかえり、改善は絶対に必要です。「『できる』と『できた』は違う」を念頭に、組織として改善活動を継続すれば、よい規律が生まれ、成果が出るようになるのです。福井県にある禅の修行の地として有名な曹洞宗大本山永平寺に、そのお寺の開祖である道元禅師の教えが掲げられています。「修せざれば現れず」。「知る」ということと「わかる」こととは違うのです。知ってはいても、実行が伴わなければ、わかったことにはなりません。薬の効能書きを読んだだけでは、病気は治りません。禅も実行してはじめて、わかることなのです。みなさんもぜひ読むだけではなく実行して、OKRを「わかって」いただきたいと思います。OKRJapan代表北野弘治

謝辞本書を作成するにあたり、多くの方のお力添えをいただきました。私にOKRについての手ほどきをしていただいた、OKRJapan代表の北野弘治様には大変感謝しております。購入者特典として、Zealupのトライアルライセンスの発行を快く引き受けていただいた、株式会社Zabutonの矢納正浩様にも感謝いたします。株式会社永和システムマネジメントへの入社のきっかけを作っていただいた、平鍋健児社長には、大変感謝しております。さらに、同僚の家永英治さん、齋藤崇さんには、実践の方法を一緒に考えていただきました。マナビノシクミとして一緒に活動している、串田幸江さん、前川直也さんには、KPTAの活用について、いつも相談にのっていただきました。また、本書をよりよくするためにレビューをいただいた多くの方に感謝いたします。特に、株式会社エーラボの西原隆様には、TOCの観点で多くの指摘をいただき、筆者の勘違いを正していただきました。懸田剛様には、「Why」を考えることの大切さを教えていただきました。最後に、遅筆の筆者の原稿を我慢強く待っていただき、さらに素晴らしい編集をしていただいた、株式会社かんき出版の鎌田菜央美さん。本当にありがとうございます。天野勝

【著者紹介】天野勝(あまの・まさる)◉──株式会社永和システムマネジメントコンサルティングセンターセンター長。OKRJapanマスターファシリテータ第一号。◉──総合電機メーカーの情報システム部を経て、2002年より現職。オブジェクト指向をはじめとするソフトウェア開発技術および、アジャイルソフトウェア開発手法の導入に関するコンサルタントとして活躍。ソフトウェア開発現場を楽しいものとするため、アジャイルソフトウェア開発の実践・コンサルティングから得られた知見をもとに体系化した、チームファシリテーションの普及に注力している。アジャイル開発コーチ業務でかかわった顧客は、キヤノン、富士通、オリンパス、本田技研工業、ヤフー、ビッグローブ、NTTデータCCSなど。◉──著書に『これだけ!KPT』(すばる舎リンケージ)がある。また、『リーン開発の本質ソフトウエア開発に活かす7つの原則』(日経BP社)などの翻訳のほか、日経ソフトウエアなどに雑誌記事を多数寄稿。【監修者紹介】OKRJapan(おーけーあーるじゃぱん)◉──Googleやインテルなどの名だたる成長企業が導入する目標管理手法「OKR」の普及を行う団体。OKRの恩恵をより多くの人が受けられるようにすることを「Objective」として活動している。

最短最速で目標を達成するOKRマネジメント入門発行日2019年2月18日第1刷発行著者天野勝監修者OKRJapan発行者齊藤龍男発行所株式会社かんき出版〒102‐0083東京都千代田区麴町4‐1‐4西脇ビル電話営業部:03(3262)8011㈹編集部:03(3262)8012㈹FAX03(3234)4421振替00100‐2‐62304http://www.kankipub.co.jp©MasaruAmano2019

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