所作・ふるまい
54美しく品よく見える振り返り方
菱川師宣の『見返り美人図』などの名画にも見られるように、女性がふと振り返る仕草は魅力的なものです。
しかし、首だけを回して「え?」と振り向く姿では美しさを表せません。ぞんざいに感じさせ、疲れて老けたイメージを与えてしまいます。
美しく品を感じさせるには、首だけを回すのではなく、上半身全体を使って振り向くこと。これだけでぐっと上品、かつ女性らしく、若々しい印象に変わります。
オフィスなどでどなたかに呼び止められる機会は意外とありますから、意識しておくにこしたことはありません。
55女性の所作の美しさアップ!クロスの法則
テーブルにある携帯を取り上げる際、右側にあれば右手で、左側にあれば左手で、と近いほうの手で取りがちですが、このとき、あえて遠い方の手で取るようにしてみてください。
腕を体の前でクロスさせるようにして取ると、腕と体の隙間がなくなり、女性特有の曲線が描かれ、ハッとするほどエレガントに映ります。
イヤリングを外すときや、髪を耳にかける際にも、ぜひこのクロスの仕草を試してみてくださいね。鏡に映った自分の女性らしさに驚くはずです。
56頬杖をついていいの?
頬杖はマナー的にはNGとされますが、場所や同席する方との関係性によってはOKの場合も。ここでは、頬杖をついてもいい場面においてエレガントに映る所作についてお伝えします。
手のひらを上にして頬と顎を支える頬杖は、「疲れている」「つまらない」「飽きた」「興味がない」「だらしがない」等、ネガティブな印象を与えてしまいます。
逆に、手のひらを下に向け、指の第二関節辺りにあごを軽く触れさせるようにすると、表情により優雅にもかわいらしくも見えますよ。
57「モデル立ち」と「ナチュラルで美しい立ち方」の違い
片方の脚を後ろに引き、かかとをグッと内側に入れ込む、いわゆる「モデル立ち」は、脚をほっそりと長く見せてくれますね。SNSの投稿でも多くの女性がしているのを見かけます。
ただし、この立ち方は「見せる」ことに重点を置いた立ち方。待ち合わせや電車を待っているときにすると不自然に映ることも。
普段使いの美しく、ナチュラルな立ち方は、両足を少しだけ前後にずらし、膝を寄せて脚が開かないよう意識するもの。
これなら「やり過ぎ感」を感じさせることなく、品よく美しく見えますよ。
58お辞儀をするときはかかとをつける
お辞儀というと、角度や速さ、背筋は美しいかなど、上半身に意識がいきがちですが、実は足元の所作が、お辞儀全体の印象を大きく左右します。
かかとをつけずお辞儀をすると、なんとも間が抜けた、だらしがない印象に。日常の何気ない所作ですが、ここに注意するだけでぐっと美しい所作になります。
59きれいな立ち方、手はどこへ?
お辞儀をするとき、両手は体のどの位置にありますか?私が特に気になるのは、両手を重ねてウエストの位置まで上げ、おなかを押さえているように見えるスタイル。
昨今、これが正式な立ち方、お辞儀と思われている方も多いのですが、このおなかを押さえた所作は日本のお辞儀としては自然に映りません。
体の前で手を重ねるときは、両腕は自然に下ろし、違和感のない位置に手を置くようにしましょう。
60つま先から着地するのはNG
歩くとき、足はかかとから着地するのが基本ですが、つま先からつく方がたくさんいらっしゃいます。
日本人はもともと猫背の人が多いことに加え、パソコンやスマホをする時間が長くなったことで、普段から体が前傾しがちになり、いわゆる前のめりな歩き方になってしまっているようです。
この歩き方はスマートさに欠けるだけでなく、つまずきやすくもなります。低めのヒールの靴で歩く際に、足のどの部分から着地しているか、一度確認してみましょう。
61自然でエレガントな歩き方
道に引かれた1本の線の上を歩く「モデルウォーク」と呼ばれる歩き方。美しい歩き方として参考にされている方も多いですね。
ですがこれは、すべての女性の脚を美しく見せてくれる歩き方ではありません。
O脚ぎみの方は逆にそれが目立ってしまったり、不自然な脚運びに見えるなど、かえってなさらないほうがいい方も少なくないのです。
どんな方でもナチュラルにきれいに見せてくれるのは、両足をつけて立ったときにつま先から伸びる並行な2本の線を想定し、その上にスッスッと足を運ぶ歩き方。
これならどなたでも自然で美しいウォーキングが叶います。
62手は、後ろへ振る
歩くときの手の振り方は、みなさん実にさまざま。前に大きく振る方、横に振る方、斜め前の方、そしてまったく振らずに歩く方。両手を同方向に一緒に振る方も!
腕はあまり前に大きく振り過ぎず、後ろ側に振ることも意識して歩けば、美しくエレガントなウォーキングとなります。
63歩幅は広いほうがエレガント
歩幅は狭いほうが女性らしいと思っている方もいますが、実際は気持ち広めにとったほうがエレガントに美しく歩けます。
普段の1・2倍くらいの歩幅を意識して歩いてみましょう。ゆったりと優雅なウォーキングになるうえ、少ない歩数で速く進むことに驚かれると思います。
また、気をつけたいのは、歩き出しの姿勢。横から見て耳、肩、くるぶしが一直線になることがポイントです。
上半身はそのままキープし、かかとから着地して歩きましょう。もちろん、和服をお召しになった際は別。
逆に、普段より狭い歩幅にし、さらに内またぎみで歩くことを意識して。装いによってサッと切り替えられる女性は粋ですね。
64バッグは持ち方で印象が変わる
・トートバッグ、ショルダーバッグショルダーバッグを、とても窮屈そうに持つ方。これは、ストラップを上のほう、つまり肩に近い位置でぎゅっと握りしめて持っているから。
その手を下のほう、ストラップの下部にずらすだけで、見違えるほどスマートに見えます。またそのとき、握りしめるのではなく、手をふんわり添える程度のイメージにすると、指先までエレガントに。
肘は張らず、脇を軽く締めるようにしましょう。
バッグは前下がりに持つと、スタイルアップに映りますよ。
・ハンドバッグバッグを腕にかけて持つとき、バッグの内側から外側に手を通して持つ「お買い物持ち」「おばさん持ち」になっていませんか?NGな持ち方ではありませんが、よりスッキリと洗練されて見えるためには、腕の通し方を逆にしましょう。
ハンドルの外側から内側に手を通すようにしてみてください。持ち方を変えるだけで、見違えるほど体もほっそり見えますよ。
65歩きながらきれいにお辞儀をするには?
ご近所の方へ通りすがりに挨拶するときや、会社の廊下で上司や同僚とすれ違うときなどにする歩きながらの会釈。実のところこれはとても難しい所作です。
私のスクールでも1回のレッスンでマスターされる方はまれで、ほとんどの方が2〜3回目のレッスンでようやく「コツがつかめました!」というほど時間がかかります。
たいていの方はすれ違いざまに首だけチョコンと動かす程度のため、雑な印象、不格好な所作に見えてしまいます。
会釈もお辞儀のひとつですから、きちんと腰から倒しましょう。日々のこのような動作を丁寧にすることが育ちのよさにつながります。
66お辞儀、何回していますか?
「初めまして。〇〇と申します。よろしくお願いいたします」と挨拶をするとき、何回お辞儀をしているでしょう?「初めまして」で1回、(その前に「あ、」で1回という方も!)名乗ってもう1回。「よろしくお願いします」でさらに1回。
その直後に無言でオマケの1回……!このように何度もお辞儀をすると、「腰が低くいい人」という評価はいただけるかもしれませんが、逆に「自信がなさそう」「デキる男性/女性には見えない」「大切な案件を任せられそうにない」など、ネガティブな捉え方をされてしまうことも。
スマートで〝デキる人〟を演出したいなら、お辞儀は1回だけで十分。その1回を、美しく丁寧に行いましょう。
67レディは膝を離さない
スクールではもちろんのこと、講演や研修、メディアなどでも私が常に申し上げているのが「レディは膝を離さない」という言葉。
両膝が微妙に離れている女性は非常に多く、驚くほど大きく離れてしまっている女性も少なくありません。これはただの癖。「ちょっとでも離れたら落ち着かない」と思えるまで癖づけしていきましょう。
68膝はついているけど
膝はついているのに、その下の両脚がずいぶんと左右に離れてしまっている方もいらっしゃいます。これは小学校中学年頃から中高生によく見られる座り方。
いつの間にかしているという方は、非常に幼い印象になり、大人の優雅さやエレガンスには程遠いということを認識してくださいね。
69椅子の背もたれは使っていいの?
「椅子の背もたれには寄りかからないのがマナー」と教わっている方も多く、ずいぶん浅めに腰かけていらっしゃいます。
もちろん食事中や、上司や大切なクライアント、目上の方の前で背もたれに寄りかかるのは、避けたほうがよいでしょう。
ですが、その姿勢を数十分キープするのは意外と大変。かえって猫背になるなど姿勢が崩れやすくなることも。
そこで私は、椅子の座面深くに腰かけて、背もたれには腰のあたりだけをつけ、背中は浮かす姿勢をおすすめしています。
背筋がまっすぐであれば決して失礼な姿勢には見えませんし、何よりぐんと楽に座っていられますよ。
70ソファでも安心して美しく座りたい
ソファなど座面が低い椅子に座る場合、スカート丈によっては裾が気になりますね。
そんなとき、どんな対策をとられていますか?ビジネスシーンなら資料、ロビーやラウンジならバッグを膝の上に置いていらっしゃるでしょうか。
それともハンカチ……!?ミーティング中、膝の上に資料を置き続けるのは不自然ですし、ラウンジでお茶を飲みながら膝にずっとバッグを置いておくのも、落ち着きがない印象に。
また、わざわざハンカチを出して広げて置く姿は非常に違和感がありますので、どのシーンであっても避けていただきたいもの。
そんなときは膝の位置を下に下げるようにします。
脚を揃えて斜め横に流しておけば、膝の位置が低くなるため裾も気にならず、女性らしく美しい脚の所作にもなります。
71きれいな脚の組み方
日本ではオフィシャルな場や畏まったシーンで脚を組むことはよしとされていませんが、カフェやバーなどでスマートに脚を組んでいる女性は格好よく素敵ですよね。
ポイントは、脚を流す方向を揃えること、右脚と左脚の間を空けないこと。何事も「スキマをつくらない」ことが、女性らしい所作の基本です。
72床に座るときもエレガントに
ホームパーティなどでカーペットや床、クッションなどに直に座るとき、女性は両脚を横に流して座ることが多いですね。
正座まではする必要がないし、体育座りや、脚を前に投げ出すのはどうかという場面では、確かにこの座り方が最適です。
ただし、その際も膝にご注意を。女性らしく見えるはずの座り方であっても、膝同士が離れれば離れるほどエレガントさに欠けていきます。
できるだけ近づけ、脚を斜めに流しましょう。カジュアルな場面でこそ、あなたの品が試されます。
73ヒールはきちんと階段に乗せる
パンプスで階段を上るとき、靴の前方だけを階段に乗せ、ヒール部分は乗せずに上がっていませんか?ヒールが高ければ高いほど、きちんとソール全体を段に乗せて上がるのは大変になりますが、所作はそのほうが圧倒的に美しく見えます。
楽を取るのか美を取るのかは、そのときのシチュエーションによって賢く選択してくださいね。
74階段を優雅に下りる
ハリウッド女優かプリンセスか─エレガントな女性がらせん階段を優雅に下りてくる姿をイメージしてみてください。
さて、その方の脚の所作は?階段の昇降時、とくに下りるときに気をつけたいのが、左右の脚のスキマです。
もちろん、階段では「安定よく」「安全に」を優先しなければなりませんが、そうであっても、脚と脚との間が開きすぎるのはNG。
危なくない程度に両脚は近づけ、優雅な脚さばきで下りてみましょう。
75手すりは使っていいの?
「階段の手すりは使わないほうがいいですか?」と質問されることがあります。
下りる際、特に高いヒールを履いているときなどは不安定になりますので、もちろんお使いになってください。
ただし、手すりに体重を預け、頼り切ってたどるように握るのはNG。これでは、すっかり「疲れた人」に見えてしまいます。
肘が軽く曲がる距離で手すりに軽く触れ、そっと手を滑らせるようにしましょう。もちろん前かがみや猫背にならないよう、背筋をピンと伸ばすことを忘れずに。
76拾う姿も美しく
落としたものを拾うとき、腰を曲げて拾い上げていませんか?これでは、かなり老けて見えてしまいます。そのとき脚を広げていたらなおさら。
脚は左右に開くのではなく前後にずらし、背筋を伸ばしたままスッと腰を落とすようにして拾ってください。
日常の何気ない動作が、ハッとさせるふるまいに変わりますよ。
77会話中に目を逸らすのは失礼?
私たちは幼い頃から、「話を聞くときは相手の目を見なさい」「顔を見て話しなさい」と指導されていますね。
ですが、実際に何十分もの会話中じっと相手の目を見たままでは、相当な圧迫感を与え、気詰まりな空気になってしまうもの。
相手に向き合っていることをしっかり示しつつ、圧迫感を与えずに視線を柔らかくするには、相手の方の瞳だけではなく、眉や口元のあたりを見るようにしてみてください。
また、視線を向ける頻度と時間を相手の方と同じくらいの割合にすると同調が生まれ、あなたとの会話をさらに心地よく感じてくれるでしょう。これは、話すスピードや声のトーンについても同様です。
78不機嫌さを人に見せてもいい?
大人は不愉快なことがあったときや落ち込んだとき、周囲の人にそれを察知されないよう、表情や態度に出さないもの。
とはいえ、人間ですから常に機嫌よくいられるわけではありません。
周りが不快になる態度はもちろんいただけませんが、どうしても普段通りにふるまえないときは、「ごめんなさい。今日は気になることがあって、あまり話ができないの」「気分がすぐれないのでいつもより静かになるけれど、気になさらないでね」とひと言伝えてみて。
「何かおつらいことがあって、話したくないのね」と、そっとしておいてくれるはずです。自分の状態をある程度伝えることは、相手の方に、「何か失礼なことをしたかしら?」と気をつかわせずに済み、双方にとって望ましい場合もあります。
79自分の「効き顔」を知る
「ご自分の写真映り、お好きですか?」と伺うと9割以上の生徒さんから返ってくるのが「いいえ!私、写真映りが本当に悪いんです」というお答え。
そして、「ご自身の右側と左側ではどちらの顔がお好き?」と重ねてお聞きすると、半数以上の方が「えーっと……」と考え込んでしまわれます。
私がレッスンで大切にしているのが「効き顔」というもの。
人の顔は完全な対称ではないので、眉の形、目の大きさ、瞼の二重の入り具合、フェイスライン、口角の上がり具合、ホクロの位置などによって左右の印象はガラッと変わります。
このように顔のパーツごとに検証していくと、普段気づかなかったディテールが見えてきますので、ぜひじっくりと鏡に向かい、ご自分の効き顔を発見してみてください。
写真撮影のときなどに、役に立ちますよ。
80どう見せたいか?で向きを変える
ご自身で考えた「効き顔」が、プロの目で見た、「より美しく見える顔の向き」と異なる場合もあります。また、人によって好みはさまざまです。
「とにかく若く!」「デキる女風に」「ふんわり穏やかに見えるように」など、見せたい自分や、写真を撮る目的によって、左右どちらが適しているかを考えることで、写真映りは劇的によくなります。見せたい自分、なりたい自分を演出できるようになれば、上級者ですね。
81ため息は想像以上に周りを不快にする
悩んでいるときや疲れたとき、不愉快なとき、イライラしたときなどにつくため息。
ホッと安堵の際につくこともあるのですが、たいていは前者のようなネガティブなイメージで捉えられてしまうので、その場の空気が一気に重くなってしまうことも。
周囲の方に「機嫌悪そう」「私、何か気に障ることしたかしら」と心配をかけたり、悩ませてしまう可能性もありますから、ため息は人知れず、心の中で。
82育ちがいい人は、何より時間を大切にする
節約は大切なことですが、そのために遠くのスーパーまで時間をかけて出かけたり、セールに長時間並んだり、我先にと特価品をつかんだりしているとき、失っているものにも目を向けてみませんか。
多くの場合、それは「時間」。たとえば、「少しぜいたくかな」と思っても適当なタイミングにタクシーで移動したり、たまに家事代行を頼んだり、カフェでゆっくり過ごすことで時間だけでなく心と体の余裕ができます。それは周りの方への気遣いや優しさにもつながっていくはずです。
83名前を大切にする
名前は、親からの最初のプレゼントといわれ、とても大切なもの。もちろん代々受け継がれてきた姓もその方のアイデンティティのひとつとなるものです。
「相手の方のお名前を言い間違えない」、「メールや手紙でお名前の漢字を間違えない」など、お名前を大事に扱うことは、その方自身を大事にすることと同じですね。
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