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第3章KPIマネジメントを実践する前に知っておいてほしい3つのこと

目次

01会社の方向性を「構造」と「水準」でつかむ

私は何か物事を考える際に、「構造」と「水準」に分解して理解する習慣があります。

「構造」とは全体像、メカニズムがどうなっているのかを明らかにすることです。そして、「水準」とは、それがどの程度なのか、つまり数値で把握するということです。

KPIを考える際にも、この考え方が有効です。

KGIを確認し、現状とのギャップを確認し、そのギャップを克服するための最重要プロセスであるCSFを見極め、それを定量目標にしたものがKPIです。

つまり、KPIを設定するにはKGIの確認が出発点になります。KGIはゴールを数値化したものです。

このゴールとKGIが何なのかが間違っていると、当然、その後のKPI設定プロセスは意味がありません。

あなたが経営者であれば、ご自身で、あるいは周囲の経営陣やスタッフと一緒にゴールとKGIを設定できます。

しかし、大半の方は、その決定プロセスには関与していません。つまり、ゴールとKGIは所与の(事前に与えられた)情報なのです。

その情報を確認する必要があります。会社の方向がどちらに向いているのか。そして、それはどの程度なのかということです。この情報は、経営者の年頭所感や事業戦略をまとめた資料にあります。

会社の向かうべき方向を示す情報源

年頭所感の話をすると、一部の方は「当社の年頭所感には、たいしたことは書かれていない」と話されます。

しかし、その方々に「今年の年頭所感に書かれていた、その『たいしたことない』内容を教えてほしい」と質問すると、たいていの方は回答できないのです。

実は読んでいないのです。正確に表現すると、一度は読んだことがあったのですが、つまらなかったので、読まなくなってしまったのです。

あるいは、周囲の先輩方から読む意味がないという言葉を真に受けてしまったのです。これはもったいない話です。

年頭所感は、時候の挨拶や経済環境の変化などに触れた後に、自社の状況や今後の方針が書かれているというのが典型的なフォーマットです。

私自身も経営者や事業責任者として、一生懸命、文章を考えました。その年頭所感からキーワードを抜き出してみましょう。経営者が伝えたい言葉があるはずです。

それが、今期の最も「重要な言葉」たちなのです。自組織のKPIを考える際に、これを意識せずに作成するのはありえません。

ただし、年頭所感は、外部向けの言葉でもあります。もしも、あなたが今期の事業戦略や事業方針の資料を入手できるのであれば、その内容確認をしてください。

そこには、間違いなく、担当事業のゴールやKGIが明記されています。そして、それをどのように達成するのかといういくつかの事業戦略が記載されているはずです。これらは、その後のCSFの絞り込みや、KPIの設定に役立ちます。

繰り返しになりますが、すでに決まっている方針、戦略、戦術をゼロから考えたり、類推することはせずに、年頭所感や事業戦略資料などを入手し、確認することが先決です。

02ゴーイングコンサーンを実現させるKGI

KPIを設定するには、KGIを確認し、現状とのギャップを確認し、そのギャップを克服するための最重要プロセスであるCSFを見極めます。

それを定量目標にしたものがKPIです。年頭所感や事業戦略資料でKGIを確認できるケースもありますが、残念ながらよく分からないケースもあります。

そこで、まずはKGIが何かを考える際に、私がいつもKPI講義で説明している話を披露しましょう。「KGIの本質とは何か」という話です。

ビジネスを継続し続けるためにやるべきこと

ゴーイングコンサーン(GoingConcern)という言葉を聞いたことがありますか。いろいろな訳があります。単純に訳すと「繁盛している店や事業」のことを指します。

定義的な説明をすると「無期限に事業を継続し、廃業や事業整理などをしないことを前提にする考え方」となります。

つまり、事業をずっと続くように運営しなさいということです。KPIの講義では、私はこの話をします。私たちがビジネスを開始します。その商品やサービスをお客様が購入、利用してくださいます。商品やサービスがよいものであれば、私たちには責任が生じます。

どのような責任なのか。使ってくださるお客様に対して、商品やサービスを継続利用していただける状態をつくり続ける責任です。

例えば、困ったことがあれば相談に乗り、故障したら修理をすることです。アフターサービスをする責任です。そして、お客様のニーズを実現する新商品やサービスをつくり続けることが必要です。

新製品などの商品開発をし続ける責任です。私たちがビジネスを始めて、お客様に利用いただくというのは、こういうことなのです。売れれば後は知らないというのでは、話になりません。

ずっと、継続的に商品、サービスを改善し続ける責任があるのです。そのためには、現在の組織を改善、強化し、お客様のニーズを確認し、新商品、サービス開発のための投資も必要です。

それもこの瞬間だけではありません。継続的に、これらのことを実行し続けないといけないのです。そのためには、継続的に投資をし続ける必要があります。その原資として利益を出し続ける必要があります。それも継続的に利益を出し続ける必要があります。

一時的に利益を出して、そのときには投資できるけれど、そうでないときは仕方がないというのでは、お客様は困ってしまいます。

ですので、一時的な利益ではなく、継続的に利益を上げ続ける必要があります。つまり、KGIは究極的には利益なのです。それも継続的に利益を上げ続けることがKGIの本質です。

継続的ということですので、短期も中期も利益を出さなければいけません。短期、つまり今期の利益を出しながら、中期の準備、投資をしなければいけないのです。

そうでなければ、ゴーイングコンサーンは実現できません。もちろん、フェイズによって例外はあります。例外の一例としては、事業の立ち上げのタイミングがあります。

新規事業は赤字からスタートするのが大半です。その際に目先の利益のみを取りにいくのは、意味がないケースがあります。

それよりも市場ニーズを把握するために、ある単価以上で取引する顧客ニーズを把握することの優先順位が高いこともあるかもしれません。あるいは赤字の事業を立て直す際もそうかもしれません。

利益ではなく、赤字幅を小さくすることの優先順位が高いタイミングもあるかもしれません。当然ですが、すべてのことに当てはまる理屈は存在しません。

しかし、企業はゴーイングコンサーンを前提に考えるべきであり、その観点から考えると、会社全体のKGIは利益であるということは心に留めておいてください。

03利益を最大化させるための基本的な考え方

KGIは利益だという話をしました。では利益について考えてみましょう。一度触れましたが、利益=売上-費用という式で表すことができます。

利益を上げるには、売上を上げるか、費用を下げるか、またはその両方ができればよいことになります。つまり、「利益増=売上増-費用減」と表現できます。ということは考えるべきは3つになります。

①どうやって売上を上げるのか

②どうやって費用を下げるのか

③売上と費用に相互影響がある項目をどうやってコントロールするのか

①と②はイメージがつくかもしれません。ところがたいていの課題は③なのです。簡単な数式で説明してみましょう。次の図をご覧ください。

つまり、「←」がついている項目は増加させ、「→」がついている項目は減少させればよいわけです。一見簡単に思えます。

ここで登場するのが、「③売上と費用に相互影響がある項目をどうやってコントロールするのか」です。つまり、←項目と→項目は独立していなくて、相互に影響しあうのです。

例えば、顧客数を増やすには広告宣伝を強化する、営業量を増加する、営業提案力を強化するなど、いくつかの戦術が考えられます。

しかし、どれも費用が増える方向に影響するのです。例えば、広告宣伝を強化するには、広告宣伝費が増加します。営業量を増やすには、営業の人件費が増加します。営業提案力を強化するには、教育研修費用が増加します。つまり売上を増やすには、費用の増加が必要なのです。

当たり前の話です。

ところが、この当たり前を忘れて、売上を上げるためには何をしてもよい、あるいは、費用を削減するためには何をしてもよいとばかりに、「①どうやって売上を上げるのか」「②どうやって費用を下げるのか」だけを独立かつ盲目的に追いかけることがあります。

売上と費用に相互影響がある項目をコントロールする方法

そこで、「③売上と費用に相互影響がある項目をどうやってコントロールするのか」が重要になってきます。すべての項目を変数にして考えるのには限界があります。

しかも、そのコントロールを毎回、毎回、その都度検討していては判断スピードが遅れてしまいます。では、どうすればよいのか。一言で言うと「定数」にすればよいのです。

例えば、先ほどの例の、「顧客数を増やすには、広告宣伝を強化する」ケースであれば、1顧客増加のための平均広告宣伝費を決めてしまいます。

例えば1顧客増加のために1万円まで使用してよいと決めます。あるいは、「営業量を増やすには、営業の人件費が増加する」ケースでも、1営業量を増やすための平均コストを決めればよいのです。

教育研修費用の事例も同じです。実は、無自覚的に、平均や上限を決めながら事業運営をしているのが普通です。人件費の中で残業代や休日出勤の割増賃金などが典型的です。それを事業戦略、戦術に関係が小さい項目を定数にしてしまうのです。

これにより、KPIマネジメントのレベルが一気に向上します(この定数にするのも、それぞれの組織にとってはある意味ノウハウともいえるでしょう)。

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