はじめに
なぜ30分の早起きで人生の主導権が握れるのか?
早起きがしたい。これは普遍的なテーマで、多くの人が抱く願望です。
では、なぜ早起きをするといいのでしょうか?多くの人が会社の時間に起こされている「朝、何時に起きていますか?」私がセミナーで質問すると、ある方は「7時半ぐらいですね」と答えます。
そこで、「なぜ、その時間に起きるのですか?」と聞くと、「その時間に起きないと会社に間に合わないからです」との回答。
このやり取り、普通に聞こえるかもしれませんが、実はここが大きな悪循環のスタートラインであることに、多くの人は気づきません。
その時間に起きている理由が「会社に間に合わないから」というのは、受身の状態なのです。
受身とは、「何かにさせられている」「何かをしなければいけないからやる」という受動的なパターンで動いていることを意味しています。
会社の時間に起こされているというのは、受動的なパターンから1日がスタートしているということです。
これが、たった30分でも自分の意志で早く起きているなら、それは能動的なパターンでスタートしている状態です。
自分の明確な意図で起きているのか、起きざるを得ないから起きているのかの違いは、その後の1日のリズムに大きな影響を与えます。
表面上たった30分しか変わらなくても、です。受動的なパターンでスタートした生活では、会社に着いてからも受身の状態が続きます。
上司から言い渡される仕事や、緊急の案件に振り回されて、主導権を取り戻せません。帰ってから寝る時間まで振り回されて、1日が終わっていきます。
それが、次の日もその次の日も続き、週末を挟んでも何も変えられず、そのうち悪循環にはまってしまうのです。
しかし、能動的なパターンで30分早く起きれば、どうでしょうか。
余裕をもって出社でき、その日の計画も立てられ、明確な意図をもって、優先順位はもちろん、仕事を終える時間まで決められます。
出社から帰社時間までコントロール可能な生活をつくり上げることができるのです。
だからこそ、会社に決められた時間に起こされるのではなく、自分で決めた時間に起きることが重要なのです。
このような能動的な生活パターンに変わると、不思議と人はポジティブな思考をするようになります。
結果、自分の時間をつくれるようになり、やりたいことが見つかって、人生が変わっていくという好循環に移行していく人もたくさんいます。
早起きは、人生の主導権を取り戻すための大切な習慣なのです。
早起きは手段、目的は理想の生活習慣私は習慣化コンサルタントとして、500人以上のビジネスパーソンが早起きを習慣化する支援をしてきました。
早起きして何がしたいのか、人それぞれ目的は異なります。
- □仕事を効率的に済ませ、残業時間を減らしたい
- □仕事でもっと成果を出したい
- □朝から余裕を持ちたい(バタバタしたくない)
- □満員電車を避けて通勤したい
- □家族とのコミュニケーションの時間をとりたい
- □ゆっくり趣味や自分の好きなことをしたい
- □運動、読書、資格の勉強など自己投資をしたい
私たちは早起きをしたいと思いますが、それは手段であって目的ではありません。
本当の目的は、「もっと充実した生活を送りたい」「効率的な生活を送りたい」「人生を豊かに生きたい」など、理想の生活習慣を手に入れることが、究極の目的だと思います。
本書では、理想の生活習慣を手に入れるための早起きの技術についてご紹介していきます。
朝型の好循環で自分の1日をコントロールさて、ここで偉そうに語っている私も、つい12年前までは次のような生活をしていました。
ついついテレビとネットを夜遅くまで見てしまい、深夜2時になっている。朝は、目覚まし時計3つに叩き起こされ、気づけば遅刻寸前の時間。15分しか準備する時間がない。慌てて歯磨きをしながら着替えて、駅まで猛ダッシュ。汗だくで満員電車に揺られながら、始業時間2分前に到着。
すでに朝からヘトヘトになっていて、席についたら、朝一番からトラブルが起きてしまい、お客様へのメールと電話の対応に追われる。
当然、今日仕上げなければいけない提案書作成は後回しに。ようやく、お客様の対応が終わって一息ついたのは夕方6時。ストレスから夕食はカツ丼を頬張り、最後の提案書づくりに向けてエネルギーを蓄える。
もう精神的にはヘトヘトの中、終電ギリギリまで提案書をつくり始めるも、完成しないまま退社。
未完了感を抱えながら帰りのコンビニで、いつものようにスナック菓子とチョコとコーラを買ってしまい、体重は増えるばかり。
ストレスが溜まるのと比例するようにタバコの量も増えて、2箱がすぐに空っぽ。
このような情けない生活をしていました。ここで問題なのは、すべてが悪循環に陥っていることです。
生活の規律や主導権を握ることができず、会社の都合や、やるべき仕事に振り回されて毎日を過ごしていました。
当然、平日は仕事のみでやりたいことができず、土曜日の午前中は寝て過ごし、休日は平日の疲れを癒すために夜更かしする生活でした。
このような生活では、充実感がなく、どんどんセルフイメージが下がっていきます。セルフイメージが下がると、日々の幸福感が低下していきます。
典型的な悪循環のパターンを見てみましょう。
夜型悪循環とは、1日中、会社の都合や、やるべき仕事に振り回される受身的な生活です。
- □朝、出社まで追いつめられて余裕がない
- □満員電車や渋滞でイライラする
- □人より遅く動き出すことで劣等感を覚える
- □計画を立てる暇がなく、行き当たりばったりになる
- □朝一番から突発的に受身の仕事が舞い込んでくる
- □ヘトヘトの残業時間に重要で緊急の仕事を処理する
- □自分の時間が持てない
- □ストレスフルである
- □セルフイメージが下がる
- □幸福感が低下する
あなたも、このような悪循環に陥っていないでしょうか?本書では、次のような朝型の好循環を目指します。
朝型好循環は、自分で1日をコントロールし、生活の主導権を握っている生活です。
- □朝から精神的に余裕がある
- □満員電車に乗らず、座って本が読める
- □人より早く動き出すことで優越感に浸れる
- □計画を立てることで、効率的、計画的に仕事を進められる
- □朝一番から最重要の仕事に手をつけられる
- □残業時間が削減でき、自分の時間をつくれる
- □趣味や家族との時間、自己成長のために時間を捻出できる
- □セルフイメージが上がる
- □日々幸福感・充実感を味わえる
このように比較してみると、やはり朝型の好循環を味わいたいと思われるのではないでしょうか?さて、ここで具体的なイメージをつかんでいただくため、次ページに3人のビジネスパーソンのケースを取り上げました。
あなたに1つでも当てはまる部分があれば、本書を読み進めることで一緒に解決策を見いだしていただくことができます。
本書が、あなたの人生の主導権を取り戻すきっかけになれば幸いです。
2015年8月習慣化コンサルタント古川武士

第1章悪循環の夜型、好循環の朝型
朝バタバタの生活が大きなストレスの原因
私の開催しているセミナーで早起きの目的を聞くと、「朝からもっと余裕を持ちたい」という声がよく出てきます。たしかに、夜型で悪循環に陥っている人の朝は非常にストレスフルです。
- □朝、バタバタして準備をする
- □ゆっくり朝ご飯を食べられない
- □身支度が適当になる
- □通勤は時計とにらめっこしながらかけ足になる
- □電車が遅延すると焦り始める
- □会社についたら、すぐに緊急の仕事に追われる
こんな日々の中で、ストレスから解放されたい!あと30分でも早く動き出せれば、もっと余裕のある生活が送れるのに……。
こんな声が一番多いのですが、あなたはどうでしょうか?実は、この悩みで問題なのは、朝からすでに多くのエネルギーを消費してしまっていることです。
現代はストレス社会といわれています。
仕事の納期に追われ、複雑な人間関係やネットコミュニケーションの中で、少ない時間で高い成果を出さなければいけません。
日中の仕事でプレッシャーを受けつつ、集中力を発揮する必要があるので、余計なエネルギーはなるべく節約したいでしょう。
また、毎日を充実させたいと思うのであれば、やはり朝一番は、余裕を持ってスタートしたいところです。
朝型の生活で好循環の日常を送っている人は、朝から余裕があります。
- □朝日を浴びながら30分ジョギングをする
- □家族とゆっくり話をしながら朝食をとる
- □座って通勤できるので本が読める
- □1時間早めに出社する
- □朝15分かけてみっちり今日の計画を立てる
- □始業時間前に重要な仕事を1本終わらせる
この余裕のある生活か、いつも追いつめられてバタバタする生活を選ぶかは選択次第であり、生活習慣の問題です。
夜型は、多残業の悪循環に陥る
夜型の悪循環は、様々な問題を引き起こします。その最大の問題は、多残業です。それには3つの原因があります。
1つ目は、夜型寝不足によるエネルギーの低さです。
脳は睡眠によって疲労を回復します。寝不足で仕事をするのは、酩酊状態、つまりお酒を飲んで酔っている状態で仕事をしているのと同じで、単位時間あたりの生産性は低下するのです。
2つ目は、無計画で行き当たりばったりの仕事をすることです。
朝、始業ギリギリに出社すると、まずメールをチェックしているうちに内線電話が鳴り、上司から緊急の仕事を依頼される。
こうなると、今日やるべき仕事、重要な仕事の見定めができないままに業務を進めていくことになります。結果、余計な仕事をしていたり、段取りの悪い進め方になります。
改善の必要性は感じながらも、同じことを繰り返している人は多いのではないでしょうか?3つ目は、緊急な仕事から始めて、本当に重要な仕事を最後にしてしまうからです。
後ほど「高密度仕事術」の章で詳しくお話ししますが、朝型にシフトするには、重要な仕事を先に済ませることが重要です。
早く帰ることができない原因は、今日絶対にやらなければいけない仕事が、夜の7時になっても手つかずで残っているようなケースが考えられます。
朝、始業ギリギリに出社すると、重要な仕事からスタートすることは難しいものです。
この3つの問題が重なり合って悪循環が始まり、夜遅くまで仕事をするために、夜更かしになり、寝不足で朝はバタバタと追われる余裕のない生活習慣がつくられるのです。
できる人は朝型の圧倒的な集中力を知っている
朝型のビジネスパーソンは、口を揃えて「朝一番の仕事の生産性の高さ」をメリットにあげます。
よく「朝の1時間は夜の3時間に匹敵する」と言われます。
私の朝型コンサルティングでも、3時間~5時間もの残業時間の削減を目指し、実際に達成している人は多くいます。
なぜ、朝の集中力は高いのでしょうか?それは、時間は均等なペースで24時間流れていきますが、心のエネルギーは24時間で均等に消費されないからです。
心のエネルギーは朝が最も高く、徐々に消費されていき、日中の商談や上司とのやり取り、緊急業務への対応でヘトヘトに疲れてしまい、残業時間にもなると使い尽くされています。
この残ったエネルギーで、最も集中力と思考力を要する仕事をするならばストレスは大きくなり、かつ多大な時間がかかります。
朝型で好循環の生活を送っている人は、このメカニズムを体験的によく理解しています。
だから、朝一番に最も重い重要な仕事を済ませるのです。
これで何が違ってくるのでしょうか?まず達成感があり、重要な仕事を主導的に済ませることで、残りの1日を自分でコントロールできる感覚があります。
一方、同じことをするにしても、重要で気が重い仕事を先延ばしにしていれば、日中もずっとその仕事が気がかりになってしまい、心のエネルギーを消費します。
午前中に、その日に最も重要で気が重い仕事が終わっている生活を想像してみてください。
随分と気持ちがよく、気分が乗ってくる感じがしませんか?ここで強調したいのは、精神的な快適性の違いなのです。

早く起きれば、自分で決めたことを守れる
人生の主導権というと大げさに聞こえるかもしれませんが、起きる時間をコントロールできるようになると、運動や勉強、仕事、ダイエット、プライベートの予定など、自分で決めたことが守れるようになります。
実は、早起きは、自己制御の要となる習慣なのです。
私は習慣化コンサルタントとして、多くの習慣化の支援をしますが、波及効果の大きい習慣として、次の3つを提唱しています。
- □早起き
- □片づけ
- □運動
これらの習慣は、ほかの習慣を身につけていく上でも影響力が大きく、自制心をつくるのにとてもよい習慣です。
そして、その代表格が早起きなのです。早起きができるようになると、生活のリズムがよくなります。
しっかり寝ることでストレスが解消されるので、その分やけ食いがなくなったり、喫煙を我慢したりできるようになります。
また、早く帰ることで自己学習ができるようになり、家族とのコミュニケーションの時間も取れるようになります。
イライラすることが少なくなり、ポジティブな思考ができるようにもなっていきます。つまり、よい波及効果が、どんどん広がっていくのです。
「自分をコントロールできる!」という感覚が高まるため、ほかの自分との約束も守れるようになるのです。
早起きの最大メリットは自信が持てるようになること
早起きの短期的なメリットとしては、ストレスが軽減し、残業時間が減って、よい生活リズムになっていくことがあげられます。
長期的なメリットは、セルフイメージが高くなることです。セルフイメージとは、自分に対するイメージ、自己評価です。
自信と言い換えてもいいでしょう。このセルフイメージというのは、日々変動します。
たとえば、夜型の悪循環の生活を送って、毎日仕事と時間に追われている自分を想像してみてください。そんなあなたのセルフイメージは高いですか?おそらく、嫌な自分を想像すると思います。
一方、朝型の好循環の生活を送って、余裕を持ち、自分の時間がしっかり取れて、すべてのリズムがよい生活を送っている自分を想像してみてください。
あなたのセルフイメージは高くなると思います。そんな生活を1ヶ月、1年、3年と、続けたらどうなるでしょうか?結果、他人の評価に左右されない、強い自信につながっていきます。
自信をつけるのに一番いいのは、「自分で決めた習慣」を続けることです。習慣とは、自分で決めた約束を守り続けることにほかなりません。
人は、自分で決めたことができなかったときに、「あー、ダメだな」と自分にダメ出しをします。逆に、自分で決めたことをきっちり守れているときには、自分にOKが出せるのです。
人は毎日、自分に対して多くの自己評価をしています。
この評価が、自分へのダメ出しなのか、自分にOKを出せているのかで自信の強度は変わってくるのです。
これは、すべての習慣についていえることですが、特に生活リズム全体を左右する早起きの習慣が実現できると、自信を高めることに繋がります。自信が高まると、それだけで人生の充実感、日々の充足感が得られるのです。
脳科学から見た早起きのメリット
脳科学者の茂木健一郎氏は、「京都朝げいこ」を主催している曽和裕次氏との対談で、早起きについて次のようにいっています(「京都朝げいこ」のホームページより)。
「脳は、活動していると、どんどん未整理の情報が溜まっていくのですが、夜寝ると、睡眠を通して情報が整理されます。
ですから、朝起きたときというのは、脳のなかの情報がきちんと整理されていて、新しい情報を入れたり、クリエイティブなことをする状態が整っているのです。
目覚めてから2時間くらいを「黄金時間」と呼ぶのですが、このゴールデンタイムをいかに活かすかが、人生をどうやって充実させるかという意味で非常に大きなポイントになってくると思います」たしかに、朝はエネルギーと創造性があふれる時間です。
私は、経営者やビジネスパーソンのコンサルティングをする際には、朝の2時間を自己投資の時間にあてることを実践してもらっています。
私も、朝に自分のミッションや事業計画を考えることで、やりたいことや目標を次々と達成できています。
この作業は、脳が最もエネルギーのあるタイミングでやらなければ効果は低いのです。夜遅く、疲れた脳でやっても同じ効果は得られません。
ですから、英語の学習や資格取得の勉強など、自分のための時間が取りたいということであれば、朝一番が最も学習効果が高いのでおすすめです。逆に夜は、仕事を終えて脳がヘトヘトになっています。酷使した脳で学ぶと学習効率も落ちます。
「寝るのがもったいない」の誤解を解く
さて、私は睡眠への投資をおすすめしているのですが、セミナーで必ず「寝るのがもったいない」という声が出ます。
しかし、寝ることは起きているときのエネルギーを充電し、脳疲労を取って快適に過ごすために非常に重要なことです。
睡眠の効用については、茂木氏も先の対談で次のように語っています。
「睡眠というのは、実は脳が休んでいる状態なのではなくて、目覚めているときとはまた違う活動モードでいろんなことをしている状態であることがわかっています。そのうちのひとつが情報の整理。
つまり、目覚めている間、オンラインでどんどん情報が入ってくると、その処理にいっぱいいっぱいで情報の整理ができなくなる。
だから、睡眠中、オフラインにして情報を遮断した状態で自分の経験はどういうものであったかということを整理しているんですね。
ですから、睡眠時の脳活動というのは、むしろ覚醒時よりもレベルが上がっているというようなケースもあるんです」
眠りには、2つのレベルがあるとお聞きになったことはありますか?レム睡眠とノンレム睡眠です。ノンレム睡眠というのは深い眠りで、身体も脳も休んでいる状態です。
一方、レム睡眠というのは浅い眠りで、身体は深く眠っているのに、脳は活発に動いている状態です。
茂木氏のいう「脳の情報整理をしている」のは、レム睡眠のときです。受験生は、一昔前まで、睡眠時間を削ってまで勉強するのが美徳のようにいわれていました。
しかし今は、効果的な睡眠を取らないと学習効率が悪くなることがわかっています。
いずれにしろ、1日のエネルギーを充電し、効率的・効果的な活力ある生活を過ごすためには、睡眠は大切な投資となります。
朝型勤務で残業10%減の伊藤忠商事
今、伊藤忠商事やデンソー、東レなどの企業を中心に、朝型勤務化に向けての取り組みが活発になってきています。
政府も、朝型勤務化で残業時間の削減に成果を上げた企業には、助成金も検討しているようです。
ここでは、大手総合商社の伊藤忠商事の事例を紹介します(「日本の人事部リーダーズ〈2015Vol.3〉」/人事・総務部企画統轄室長垣見俊之氏のインタビューより要約)。
朝型勤務化のキッカケは、震災時にまるで何もなかったかのように10時に出社してくる自社社員を見て、社長が危機感を持ったことだそうです。
商社マンといえば、ハードワーカーのイメージがあります。
まず実態としては、厚生労働省の調査によると、従業員1000人以上の会社は、月の平均残業時間が20時間であるのに対し、取り組み前の伊藤忠商事では、なんと50時間弱もありました。
実に約2・5倍もの残業時間だったそうです。
そこで、以前から「夜の残業はダラダラしている。朝、スッキリした頭で仕事をしたほうが効率的だ」と指摘していた社長が、「割増賃金を払ってでもいいので、朝型勤務にせい!」という指示を出し、全社的な取り組みが始まりました。
1.就業時間は9時~17時15分。
昼食時間を除いた7時間15分で、徹底して業務効率を上げるよう活動2.「朝型勤務制度」では、遅くとも20時には仕事を終え、22時には消灯。以降の残業は完全禁止。
ただし、一部海外との時差のある部署は申請で許可を取ること
私も、効率的に仕事を進める方法をコンサルティングしていますが、そのキモは仕事を終える時間を徹底的に守ること。
恐ろしいまでの緊張感を持って臨めば、精密に優先順位をつけることができますし、必要のないことは捨てることができます。
この制度の企画・運用の責任者である人事・総務部企画統轄室長の垣見氏も、社員の業務への集中度がアップし、業務の取捨選択が進んで、本当に重要な仕事から取り組むようになったことが一番顕著に見られる成果だと語っています。
また同社では、強制力だけではなく、やる気を高める支援もしています。
- □9時前に仕事をした場合は、深夜勤務と同じように割増賃金を支給
- □8時前に仕事を開始した社員には、軽食を無料で提供
さらに面白いのが「110運動」。社内の飲み会は「1次会夜10時まで」という意味です。
これもとても大切なことです。
ついダラダラ飲んでしまい、深夜1時に帰ったともなれば寝不足になり、起きるのも遅くなって、始業ギリギリの出社は当たり前です。
伊藤忠商事では、半年間「朝型勤務」に取り組んだ結果、20時以降に残って仕事をしていた社員が30%から7%に減少。22時以降の勤務者に至っては、10%だったのがほぼゼロになったそうです。
一方、朝8時前に出勤する社員は、20%から34%に増加し、残業時間は約10%減少したとのことです。
先進国の中でもホワイトカラーの生産性が低いといわれている日本では、これから政府や多くの企業で朝型勤務制度の導入が増えていくと私は予想しています。
社員の自発的な取り組みが残業の削減を促す
私も、企業の朝型勤務化による残業時間削減の取り組みについてコンサルティングしています。会社の朝型勤務へのシフトには、会社のタイプによって大きく2つのアプローチがあります。
- □制度主導型
- □社員啓蒙型
私が大切にしているのは、制度面のアプローチだけではなく、社員の自発的な朝型・残業時間削減への取り組みです。
社員一人一人が、本書で紹介する朝型生活習慣をつくる技術と、高密度仕事術の2つの技術を手にすることで、自発的に取り組むことができます。
ただ会社から押しつけられた制度だと、社員はやらされ感と義務感で言い訳が生まれます。
「会社の仕事量が減らないのに残業を減らせなんて無茶苦茶だよ」「人事はただ、『帰れ』ばかり言う」などという不満が続出してネガティブな風潮が出ると、効果は限定的です。
さらに、会社の外で仕事をして帳尻を合わせる人も出てきてしまい、面従腹背の人が増える原因になります。朝型勤務にすることと残業時間の削減効果は、原因と結果のような関係で現れるとは限りません。
会社にやらされているという受身のポジションからは、前向きな改善は生まれにくいのです。
朝型・残業時間削減活動は1人でもできる
そこで重要なことは、個人の理想的な生活習慣からスタートすることです。各社員は朝型にして残業を減らして、どんな生活を送りたいのでしょうか?理想は、人それぞれ違います。
その理想をドライバー(モチベーションの源泉)にすると、その人は能動的なポジションから朝型勤務に取り組みます。
ここからスタートすると、社員にとっては自分のために何とか仕事を効率化して、朝型に変えようという骨太の理由ができ上がります。
社員が受身のポジションではなく、能動的なポジションから朝型勤務を進めていく。そこに制度面が後押しするのが、最も効果が高く、長期間の改善、生産性向上に寄与するのです。
あなたの会社が朝型勤務を始めていなくても、1人で朝型・残業時間削減活動に取り組むことはできます。
その方法は、この後ご紹介していきましょう。この章では、早起きの効用を述べてきました。
しかし、「理屈はわかるけど起きられない!」これが本音ではないかと思います。そこで次の章では、「なぜ早起きは難しいのか」を理論的に解説していきます。
コメント